風祭文庫・異形変身の館






「摩羅の寺」
(美紀恵編)


作・風祭玲

Vol.599





「うわぁぁ…

 精進料理だぁ〜っ」

日の落ちた宿坊にあたしの嬉しそうな声が響き渡ると、

「おっおいっ

 美紀恵」

隣に座る健彦がすかさず注意をする。

「あっ」

その声にあたしは思わず恐縮すると、

「いいんですよ、

 そんなにかしこまらなくても」

お膳を挟んであたし達の前に座る白い尼僧頭巾をかぶる

二人の尼僧、摩洸さんと羅洸さんが笑みを浮かべた。

「そっそうですか?」

年は20代半ばだろうか、

頭巾から覗くツルンとした白い頬と、

透き通った目に

あたしは視線を釘付けにされそうになりながら返事をすると、

「だからといって、

 羽目を外すんじゃないぞ」

とすかさず健彦は釘を刺した。

「判っているわよ、

 そんなに言わなくてもいいじゃない」

健彦の注意にあたしは横を向きながら返事をすると、

「うふっ」

向かって左側に座る摩洸さんが小さく笑う。

「え?」

なんで彼女が笑ったのか不思議に思った途端、

その声があたしの口から漏れてしまうと、

「あっ」

それに気づいたあたしは慌てて手で口を覆った。

「あっいえ、

 ごめんなさい。

 ちょっと思い出し笑いをしたもので」

摩洸さんは慌てて笑った理由を説明をすると、

「あはは、

 尼さんでも思い出し笑いをするのですね」

と健彦は軽く笑いながら箸を手する。

「あっちょっと」

それを見たあたしは咎めると、

「いえいえ、

 いいんですよ、
 
 尼だって笑うことがありますし、
 
 泣くこともあります。
 
 ただ…
 
 以前にこの寺を訪れた方達のが言っていたことを思い出しましてね」

「へぇ、どんなことです?」

「さぁ、詳しいことはすでに忘れてしまいましたが、

 でも、その時の気持ちが残っていましてね」

「あぁ、判りますそれ」

「ホント…

 あなたがご夫婦のように明るい方でしたわ」

そのことを思い出しているのだろうか、

摩洸さんは頬に片手を当て思い出しながらそう言うと、

「いっいえっ

 あたし達はまだ…」

とあたしはまだ結婚していないことを指摘する。

「あら、

 そうでしたの?」

あたしの言葉に摩洸さんと羅洸さんが驚くと、

「えっえぇ、

 僕たちは婚約はして居るんだけど、

 籍はまだ…」

と達彦さんが説明をし、

その直後、

「あっあのっ

 らっ来週の日曜日に式を挙げるんです」

来週の日曜日に健彦との結婚式を上げることをあたしが付け加えた。

「おっおいっ」

あたしの言葉に達彦は驚くと、

「別にいいじゃないっ

 知って貰っても」

あたしはそう言い返す。

すると、

「そうですか、

 それはおめでとうございます」

摩洸さんと羅洸さんが口をそろえてお祝いを言ってくれた。

「そんな…」

二人のその言葉に健彦と共に恐縮をすると、

「そうだ、

 なにか、お祝いをしなくてはね」

「とびきりのをね」

摩洸さん、羅洸さんは二人で盛り上がりながら、

互いに手を叩き、

その後、

チラッ

あたしたちを見ると、何か含みのある笑みを浮かべたのであった。

「?」

深い意味のありそうなその笑みをわたしは不思議に思っていると、

「さぁ、

 冷めないうちに食べてください」

と摩洸さんたちは勧めてくれた。



あたしの名前は恵庭美紀恵、都内の会社でOLをしている。

一方、あたしの隣で精進料理をパクついているのが、

来週あたしの夫となる野尻健彦。

彼とは大学1年の時に同じ登山サークルに入り、

新入生歓迎イベントの一環で訪れたこの山で知り合って、

それ以降、くっついたり離れたりを幾度も繰り返した後、

出会ってから6回目のこの春にめでたくゴールイン。

と言う訳だった。



早速、あたし達は箸を手にとり、

摩洸さん、羅洸さんが作ってくれた精進料理を食べ始めるが、

食が進んだ時

「あら?

 これは?」

あたしは料理の中にある一品には気づくと、

「ん?

 どうした?」

隣で食べていた健彦が声をかける。

すると、

「お気づきになりましたか

 それは、白子の和え物です」

と話を割るように摩洸さんが説明をしてくれた。

「白子って…

 確かお魚の?」

摩洸さんの言葉にあたしが尋ねると、

「いえっ

 お魚のではありません。

 殺生は禁じられていますし、
 
 それに精進料理ですから」

と羅洸さんが返事をする。

「では、この白子は?」

健彦が摩洸さんに再度尋ねると、

「それは…」

と摩洸さんが言ったとき、

折角、ご馳走になっているのにケチをつけているみたいに感じたあたしは

「別にいいじゃない」

と話を遮り、

さっさと白子の和え物を口に運んだ。

「あっ

 おいっ」

そんなあたしに健彦は注意しようとするが

「うん、おいしいよ

 達彦も食べたら?」

とあたしは和え物を味わいながら彼に言う。

「ったく…」

あたしに向かって健彦は文句を言いながらも、

和え物を口の中に運ぶと、

苦いような甘いような不思議な味が口の中に広がっていった。



夜…

「う〜ん」

あたしは床の中で幾度も寝返りを打っていた。

枕が替わっても朝までぐっすり寝てしまうことから、

高校時代、

部の仲間から”眠りの小五郎”ならぬ”眠りの美紀恵”とまで

あだ名されたあたしだったが、

しかし、なぜか寝付くことが出来なかった。

「う〜ん」

さらにまた数回寝返りを打ったところで、

ムク

あたしは起きあがると、

「眠れないよぉ〜」

と寝ぼけ眼で呟きながら、

ポリポリ

とやたらとムズ痒くなっている頭を掻く。

するとその時、

ゴリッ

指の力の加減が狂い、

強い力で頭を掻いてしまうと、

ズルッ!

頭の皮が考えられないくらいに大きく動き、

また同時に

グリュン!!

肉のような弾力性のあるものを引っ掻いたような感触が走った。

「ひっ!」

ビクッ!!

始めて感じたその感覚にあたしは飛び上がると、

「なっなにっ

 いまの…」

瞳を大きく見開いてそっとその場所に指を付け軽く動かしてみる。

すると、

グリンッ

グリンッ

指から伝わってくるのは弾力性物体と、

その上に乗っかっているのだろうか大きく動く頭の皮の感覚だった。

「なっなにこれぇ」

頭蓋骨の堅さが一切感じられなくなってしまっている自分の頭の様子にあたしは驚き

そして、その様子を一目自分の目で確かめようとして、

あたしは隣の部屋で寝ている健彦を起こさないようにそっと床を離れると、

宿坊の洗面所へと向かい始めた。

トタ

トタ

トタ

月明かりに浮かび上がる廊下をあたしは歩いていくが、

しかし、

「うっ」

「くはっ」

「うぐっ」

ムルッ

ムルッ

ムルムル…

一歩一歩くたびに

胸の下で何かが上下に向かって膨らんで来る感覚の他、

次第に息苦しさをかんじるようになり、

また身体中から痺れを感じるようになってきていた。

「うくっ…

 なっなに…

 この感覚は…」

次第に自由がきかなくなってくる身体と、

胃が圧迫されているのだろうか、

強くなってくる嘔吐感にあたしは困惑し、

そして、

「うっ、

 ゴボッ!!」

堪えきれなくなったとき、

ついに嘔吐をしてしまった。

しかし、

「うげぇぇぇ!!」

ビチャビチャビチャ…

あたしの口から出てきたのは夕方に食べたものや胃液などではなく、

白く栗の花に似た生臭い臭いを放つ粘液状のものだった。

「うっ

 うぅっ」

糸を引きながら口から垂れ下がるそれをあたしは手で拭い取ると、

「なんで…

 こんなものが…」

と手に付いた粘液を眺めながら呟く、

そう、あたしの口から出てきたのは男の人の精液だった。

「なんで…

 なんで…」

足下に広がる精液の溜まりを見つめながら、あたしは呟いていると、

ムリムリムリ!!!

身体の中で”あれ”がまた成長を始めだした。

「うぐっ!!」

その感覚にあたしは慌てて口を押さえるが、

「ゴボッ!!」

その手を押しのけるようにして

再び精液を吐き出してしまった。

メリッ!!

「はぁはぁ

 はぁはぁ
 
 くっ苦しい…
 
 グッグボッ!!」

身体の痺れはさらに強まり、

胸を押しつぶされるような苦しさと、かすむ視界

そして幾度も繰り返し吐き出す精液に苦しめられながら

あたしは廊下を這いずってゆくと、

視界に入ってきた見えてきた襖を開け、

とある部屋の中に入っていった。

そしてそこで、

グボッ

ゴボボボボッ!!

さらに激しく大量の精液を噴き上げてしまうと、

「ゲホッ

 ゲホゲゲホ!!
 
 だっ誰か…
 
 助けて…
 
 健彦ぉ
 
 苦しいよぉ
 
 グボォォ!!」
 
精液を噴き上げながらあたしは健彦に助けを求めた。

そのとき、

スッ!

あたしの頭元に衣がすれる音が響き渡ると、

ソッ

と手があたしの頭に当てられた。

「え?」

その感触にあたしは顔を上げると、

「大丈夫ですか?」

と月明かりに頭巾を銀色に輝かせる摩洸さんが

あたしを心配そうに見ていた。

「まっ摩洸さん?」

ひょっとしらた羅洸さんかも…と思いながらあたしは返事をすると、

「苦しいのですか?」

と摩洸さんは具合を尋ねてきた。

「まっ摩洸さんっ

 あっあたし、変なんです。

 さっきから幾度も吐いて、
 
 それに身体も痺れて、
 
 息も苦しいんです。
 
 お願いです。
 
 助けてください」

摩洸さんの黒衣にしがみつくようにしてあたしは訴えると、

「うふっ

 綺麗なピンク色…」

一瞬、摩洸さんのそのような声が漏れた後、

「大丈夫、安心していいわ、

 いま、あなたは仮性なのよ。

 剥けてしまえば、

 いまあなたを苦しめている据えての苦しみから解放されるわ」

とあたしに告げた。

「剥ける?

 剥けるって?

 それに仮性っていったいなんですか?」
 
その言葉の意味を尋ねると、

「あら?

 知らないの?

 女の子ならみんな剥けるのよ」

と摩洸さんは言いながら

そっとあたしの口に自分の唇を会わせた。

そして、

キュッ!

あたしから何かを吸い取ると、

ムリムリムリムリ!!!

あたしの体内にある”それ”が一気に成長し、

メリメリメリ!!

「うごぁぁぁ!!」

胸を内部から押しつぶし、

さらに上に向かって伸びていった。

そして、

ムルンッ!!

頭の周りを覆う弾力性のある肉塊と結合したとき、

メキメキメキメキ!!

あたしの顔はパンパンに膨れあがり、

そして、

「いやぁぁぁぁぉぉごぉぉぉ…」

 ブッ

 ガボォッ

 グシャッ!!

 ビュルルルルル!!!

あたしの悲鳴が部屋の中に響き渡ると同時に

大きく開いたあたしの口より生暖かい半固形物が吹きだした。

そして、

それを追うように大きな肉の固まりが骨を砕きながら飛び出してくると、

グリン!!

あたしの視界は一回転し、

見えるはずのない後ろ側の景色が飛び込んでくる。

「ぷちゅっ…

 ぷちゅ…」

悲鳴をいくら上げてもあたしの口からは声を出すことが出来ず、

飛び出し高くそびえ立つ新しい口からは、

何かを吹く音が響くだけだった。

その間にも

ムクムクムク!!

キシキシキシ…

あたしの身体から手足が無くなると、

胴体がはち切れんばかりに張りつめてゆき、

やがて

ポロッ…

お腹の辺りから何かが飛び出すと、

次第に大きくなっていった。

「あらあら、

 すっかりイヤらしい姿になって」

ゴロン…

大きく反り返った姿を晒し、

床に転がるあたしを見下ろしながら摩洸さんはそう呟くと、

『摩洸さん、

 あっあたし…

 どうなっちゃったの?』

とあたしは問い尋ねるが、

「ふふふ」

摩洸さんはその問いには返事をせずにただあたしをじっと見つめていた。

『答えてください、摩洸さん。

 あたしは…
 
 何になってしまったんですか?』

そんな摩洸さんにあたしは響かない声をあげると

「教えてあげましょうか、

 いまのあなたは男性のシンボル・オチンチンになってしまったのよ、

 ふふっ
 
 とっても逞しいわ、
 
 大きく張り出したカリ首、
 
 ツタのように絡まる血管。
 
 色と言い、
 
 反り具合と言い、
 
 全く申し分ない、オチンチン。
 
 それがいまの貴方…」

と摩洸さんは囁き、

そっと手を伸ばすと、

サワッ

あたしの顎の辺りを軽く触った。

すると、

『ううっ

 出るっ!!』
 
あたしの身体の中をその刺激が津波の様に伝わり、

ほぼ同時に、

ジュオッ!!

あたしに中を熱い物体が一気に通り過ぎると、

ブシュッ!!!

あたしの口より精液が吹き上がってしまった。

「ふふっ

 オチンチンとしての機能は

 ちゃんと機能しているわね」

それを見た摩洸さんは満足そうに頷くと、

サワサワ…

とあたしの顎を続いて刺激をする。

そして、その直後、

『いやぁぁぁぁ!!』

あたしは悲鳴を上げると、

ビュッ!!

シュシュシュ

盛大に精液を噴き上げてしまった。



ぴちょん!!

「あらあら、

 まるで精液の湖ね…

 それに、
 
 こんなに出しちゃって、
 
 すっかり小さくなっていますわよ」

あれからどれくらいの時間が過ぎたのであろうか、

あたしの姿を見ながら摩洸さんがそう指摘すると、

ヌチョッ…

あたしの過身体はすっかり小さくなり、

自分が噴き上げた精液の溜まりの中に沈んでいたのであった。

「こんなに出して、お腹がすいたでしょう」

そう言いながら摩洸さんが

溜まっている精液の中よりあたしを拾いあげると、

「でもね、

 オチンチンになってしまったあなたは

 もぅ人間の食べ物を食べることは出来ないのですよ」

と残酷な言葉を告げる。

『え?』

その言葉にあたしは驚くと、

「ふふっ

 いまの貴方が食べることが出来るのは、

 女の人の愛液だけ…

 さぁ、向こうも準備が終わっているはずだから連れて行ってあげます」

小さくなってしまったあたしを掌の上にのせた摩洸さんはそう言い聞かせると、

軽い足取りで宿坊の裏へと向かっていった。

そして、あるところまで来たとき、

「摩洸っ

 そっちの準備は?」

と向かう先から羅洸さんの声が響くと、

「えぇ、こっちも終わっているわ、

 さぁ、美紀恵さん。
 
 いまのあなたの姿を夫となる健彦さんに見せてあげますわ」

言いながら部屋の中へと進んでいく。

『ハッ!!

 いまのあたしの姿を健彦に…?
 
 そんな、
 
 やめて!!!』

歩いてゆく摩洸さんにあたしはそう訴えるものの、

しかし、あたしのこの声だけでは摩洸さんの止めることは出来るはずもなく、

あたしは羅洸さん達の前に自分の姿をさらけ出してしまった。

『いやっ

 見ないで…』

手足を無くし陰茎となってしまった身体をよじりながら、

あたしはそう訴えると、

「え?

 なに?
 
 そっそれって…」

と女性の声が響き、

「はいっ、

 男の人の男根、オチンチンです」
 
続いて摩洸さんの声が上がる。

「おっオチンチンって」

その言葉に答えるようにまた女性が響くと、

摩洸さんの掌の上にいるあたしを見ようと、

青い剃りを光らせる坊主頭の顔が近づいて来た。

『あっ

 健彦じゃないんだ』

予想外の女性の登場にあたしは内心では安心するものの、

しかし、どこか健彦に似ている女性の顔に不安を抱いていた。

その時、

「うぇっ」

まじまじとあたしを見る女性が口に手を当てて、

顔を背けると、

「あら、随分と冷たい仕打ちをするのですね、

 妻となる女性なのに…」

と摩洸さんが告げた。

『え?』

その言葉にあたしが驚くと、

「こっこれが、

 美紀恵だってぇ?」

と女性はあたしを指さし、声を上げた。

『うそっ

 まさか、
 
 健彦…
 
 あなた、女の人になっちゃったの?』

その言葉にあたしは聞き返すが、

しかし、当然、あたしの声は誰にも聞こえるはず無く、

「えぇ、

 摩羅サンショウウオの白子を食べた男性は女性に、
 
 一方、女性は男根になってしまうのですよ、
 
 ほら、この通りに」

と摩洸さんは説明し

グィ

あたしを女性の顔に押し当てた。

『いやっ!」

摩洸さんのその行為にあたしは思わず声を上げてしまうが、

「さぁ、いやがってばかりでないで、

 彼女を助けてあげなさい。

 摩羅になって以降、
 
 射精ばかりして、
 
 とうとう、こんな大きさになってしまったのですよ、
 
 このままでは無くなってしまいますよ」

とあたしに構わず摩洸さんが女性に言う。

「小さく?」

「えぇ、

 最初は人と同じ大きだったのに、
 
 幾度も幾度も射精を繰り返すうちにね、
 
 小さくなって、ついには消えてしまうのです。
 
 摩羅は勃起することと射精することしか出来ませんから、
 
 さっ、早くあなたのお股よりあふれるその愛液を飲ませてあげなさい。
 
 摩羅には一番のご馳走なのですよ」

と続けると、

あたしは無性に悲しくなってきた。

もぅ誰とも話すことが出来ないただのオチンチンになってしまったことに…

「愛液って…」

「さぁ早くしてあげてください、

 遅くなれば遅くなるほど小さくなり、

 いざ、女陰に挿入しても絶頂にはいけませんよ」

「そんな…」

「さぁ」

摩洸さんに急かされるように坊主の女性があたしを手に取ると、

「ほっ本当に…美紀恵なのか?」

と話しかけてきた。

『あっあなたこそ…

 健彦なの?
 
 本当に健彦なの?
 
 あっあたしは…
 
 見ての通りオチンチンになってしまったの』

話しかけられた言葉に応えるようにして、

グッ

グググググ…

あたしは陰茎が伸ばし、

亀頭を持ち上げると、

コクリ…

と頷くように上下に動かした。

「そんなぁ!!」

それを見た途端、

女性は悲しそうな顔をすると、

「嘘だ!!」

と叫び、

ダッ!!

あたしを抱きかかえたまま部屋から飛び出していった。

そして、あたしが寝ていた部屋に飛び込むが、

無論、そこにはあたしの姿などあるはずもなく、

「そんな…

 美紀恵!」

トーンの高い女の声を上げながら女性はあたしの名を叫ぶ。

『本当に…健彦なんだ…

 健彦…
 
 あなたは坊主頭の女性・尼にされてしまったのね…』

次第に薄れてきた意識の中、

あたしはそう呟くと気を失ってしまった。



ヌプッ

ヌプッ

ヌプッ

『…あっ

 あぁ…
 
 気持ちいい…』

身体を包み込む生暖かさと気持ちよさにあたしは目を覚ますと、

ヌチャッ!!

視界を覆っていた暗闇から開け、

スッ

とぷっくりと膨らんだ唇が姿を見せる。

そして、再び唇が開くと、

ヌポッ!!

あたしの身体はその中へと潜り、

ねっとりとした舌があたしの身体にからみつき、

亀頭を吸い上げた。

『あぁ…

 いいよ、
 
 健彦…
 
 いいよ、
 
 気持ちいい…』

その感触にあたしはすっかり身体を固く伸ばしていて、

そして、その直後、

ビュッ!!

あたしは射精をしてしまった。

「うごっ!

 ゴホッ!」

口の奥深くめがけて放たれた精液に噎ぶ声が響くと、

「ぷはぁ

 はぁはぁはぁ…」

あたしは口から吐き出され、

「美紀恵…
 
 お前…
 
 とってもイヤらしい身体になりやがって

 もっもぅ、我慢が出来ないよ」

未だ勃起を続けるあたしの姿を見ながら

彼女はゆっくりと愛液があふれ出ている股間へと導いてゆくと、

あたしの目の前に巨大なオマンコが姿を見せる。

『あぁ…

 女のオマンコが…
 
 そんな…』

次第に近づいてくる、

幾重もの肉ヒダを含んだ縦の門を見据え、

あたしは健彦が女に、尼にされてしまったことを実感すると、

ビンッ!!

それに反応するように身が固くなってきた。

そして、

「さぁ、

 僕の愛液をたっぷりと飲みな」

と声が響くと、

ヌプッ!

あたしの亀頭の先端がオマンコにふれ、

肉ヒダをこじ開けるように潜り込んでいくと、

ズニュゥゥゥ!!!!

あたしは健彦の体内奥深くへと挿入されていった。

『あっ

 あっ
 
 すごい…
 
 身体が
 
 身体が締め付けられるぅ」

いきなり掛かってきた身体を押しつぶしてしまうほどの力に抗するようにして、

あたしはさらに身を固くする。

すると、

グニュッ!!

ニュルルルルル…

あたしの身体は引き出されると、

再び押し込まれた。

そして、

その動作を続けていくうちに、

あたしの身体の周りには愛液があふれ、

その愛液は先端で開く口を通してあたしの身体の中に入ってくる。

『あぁ

 おいしい…
 
 おいしいよぉ
 
 もっと、
 
 もっとちょうだい。
 
 いくらでも精液を出すから、
 
 もっと、愛液を…』

膣の中を往復しながらあたしはそう訴えると、

『うっ

 ぐぐぐっ!!』

ブシュッ!!

膣の奥に向けてあたしは精液を吐き出した。

すると、同時に、

ドプッ

あたしに向かって降り注いできた愛液をあたしは只すすっていのであった。



「うふふっ

 摩羅を己の女唇にねじ込み一人悶える尼の姿…

 とても美しいですわ」

「えぇ、

 これこそが結婚というものですわね。

 固く結ばれた二人の永遠の愛、

 とても美しいですわ。

 いつまでもお幸せに…」

外から響く摩洸さん、羅洸さんの声を聞きながら、

『あぁんっ

 あぁんっ
 
 また出る
 
 出るよ、
 
 健彦ぉっ

 あたし、出ちゃう!!!』

と叫びながらあたしは精液を噴き上げていたのであった。



おわり