風祭文庫・モラン変身の館






「大都会の勇者」
(第2話:ビルダーのパンツ)


原作・inspire(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-278





俺の名前は四門正志。

沼ノ端高校に通う高校2年生だ。

好きなことは…女子じゃあるまいし、

どうでもいいか、そんなこと。

さて、話は変わって俺には妹がいる。

いや”居た。”と言ったほうがいいかもしれない。

名前は瑞穂。

将来の夢は女優と言うツインテールが良く似合う13歳の中学1年生だった。

え?

いまは妹じゃないのか、って?

うん、強いて言えばそうだ。

瑞穂は既に俺の妹ではなくなっている。

性別も…

無論外見も…だ。

事の起こりはひと月前に遡る。

ひと月前の日曜日。

俺の自宅に宅配便が届けられた。

そうだ、魔女が運ぶというあの宅配便だ。

残念ながらマスコットのクロネコは付いては来なかったそうだが、

でも配達員はキラリ☆と白い歯を光らせながら、

応対に出た妹に向かって厳重に梱包されている荷物を手渡したと聞く。



「どこからだ?

(えっと、パイン萌えっ…っと)」

ニチアサ恒例・特撮2番組、アニメ1番組を1時間半に渡って見続けていた俺は、

3番組分の実況掲示板に書き込みをしつつ部屋に戻ってきた妹に尋ねると、

「うーん」

妹は即答せずに手渡された箱を縦横斜めに持ち替えて送り票を読み取ろうとするが、

「お兄ちゃん、

 ダメ、

 送り主の名前書かれて無いよぉ」

とギブアップの台詞を言いながら箱を俺に向かって放り投げた。

「うわっとっと」

いきなり投げられた箱を俺は体勢を崩しつつキャッチして、

「あん?

 なんだ、お袋からじゃないか」

送り票に目を通すなりそう答えると、

「え?

 どこにそんなことが書いてあるの?」

それを聞いた妹は身を乗り出して聞き返してきた。

「ほらっ、

 ココにお袋の名前が書いてあるだろう?」

送り主が書かれていない送り票の下に張られていたもぅ一枚の送り票を指差し指摘すると。

「うっそぉ、

 もぅおかあさんったらもぅ」

そう文句を言いながらプッと膨れて見せる。

「お袋からの荷物は必ずギミックが仕掛けてあるけど、

 大体パターンは決まっているから、

 いい加減それを読み取れるようになれよ」

そんな妹に向かって俺は笑ってみせると、

「えぇっ

 家族宛の小包みだよぉ

 そんな手の込んだことをしなくてもいいじゃない。

 で、何が入っているのかな?」

文句を言いつつもすぐに気持ちを切り替えて妹は箱の包装を解き始める。



お袋はいま俺と妹が住んでいるこの自宅にはいない。

演奏家のオヤジと共に世界のあちこちに出かけているのだ。

「いまはどこにいるんだ?

 アメリカか?

 それとも中国か?

 (おっ早速ベリーのアニメGIFが上がっている。乙!と)」

目ぼしいファイルをダウンロードしつつ俺は尋ねると

「うーん、

 アフリカだって」

箱に添えられていた手紙を読みつつ妹は答える。

「ほぇ、

 アフリカとは…

 これままた遠いところに…

 この間はロシアとか言っていなかったっけ?」

ダウンロードが終わり動き始めたGIFアニメを横目にして俺は振り返ると、

チャラ…

妹はカラフル色使いの首飾りを箱から取り出していて、

「へぇ…

 結構きれいじゃん」

と物珍しそうに眺めていた。

「なにそれ?」

妹が手にしている異国情緒たっぷりの首飾りを指差して尋ねると、

「え?

 中に入っていたのよ」

と返事をするなり、

「どれ?」

そう言いながら自分の首に着け始めた。

「おぃおぃ」

あまりにも無防備な妹の行いを見た俺は呆れつつ、

お袋からの手紙に目を通すと、

「あれ?

 その首飾りは男用だからつけるなっ

 って書いてあるぞ」

と指摘する。

ところが、

「えぇ?

 そんな事言ってももぅ着けちゃったわよ」

俺の指摘よりも先にさっさと首飾りを着けてしまったことを妹は言うと、

「なんでもその首飾りは、

 マサイ族の戦士・モランが着ける首飾りで、

 戦いや狩りのときに自分を守ってくれる精霊が宿っているんだって、

 あはっ、

 女のお前が着けたら罰が当たるぞ」

笑い半分に俺はそう指摘した時、

「あっ、

 いっ

 いやっ!」

突然妹はスカートを押さえると身悶える仕草をし始めた。

「ん?

 どうした?」

妹のその仕草を見た俺は聞き返すと、

「おっお兄ちゃんっ

 体の中からなんか変なのが出てこようとしているの。

 ちょちょうど…おっ…おま…

 あっ、

 だめっ

 やだ、出てこないで!!」

顔に汗を浮かばせながら妹は悲鳴を上げるが、

グッ

グググッ

ググググググッ

股を押さえる妹の手を押し出すかのようにスカートの下から膨らみが突き出してくる。

そして、

モコリッ!

力強くスカートを持ち上げてしまうと、

「いっいっいやぁぁぁぁぁぁ!!!」

部屋中に妹の悲鳴が響き渡って行ったのであった。



「これは!!」

ビクンッ!

妹の悲鳴が響き渡ってから小一時間後、

俺は妹の股間から見事に起立している真っ黒なチンポの姿に驚愕していた。

「おっお兄ちゃん…」

マジマジとチンポを見つめる俺に向かって妹は泣き出しそうな声で話しかけてくると、

「いやぁ…

 男のチンポはイヤと言うほど見てきたけど…

 これほどまでにデカイのは見たことが無いぞ。

 チンポも出かければ玉もまたでかい…

 それにチンポから漂ってくるこの臭いも、

 …クッセーッ」

自分のよりもはるかに立派な姿をしている妹のチンポを見つめながら、

チンポではおなじみの饐えた臭いとはアンモニア臭とは明らかに違う臭に俺は鼻を摘んで見せる。

すると、

「そっそんなこと声を出して言わなくてもいいじゃない。

 思いっきり傷ついたよ」

と妹は不機嫌そうに言う。

「いや、

 それにもこのチンポ、

 とても日本人のチンポじゃないぞ、

 どっちかと言うとアフリカ人…」

そう言いかけたところで、

「え?」

俺は黒いチンポの周りから生えている陰毛の縮れが強く巻いていることに気づいた。

そして、

「あれ?

 こんなにきつく縮れていたっけ?

 それに周囲の肌もなんか色が濃く…」

ついさっきまで白い肌を見せていた下腹部の肌が、

妙に浅黒くなっていることに気づくと、

「さっきから何を言っているの?

 お兄ちゃん?」

と妹が覗き込んできた。

「え?

 いや、お前の肌が…」

その言葉に応えながら俺は顔を上げると、

「いっ!!!」

妹の顔を見るなり言葉を飲み込んでみせる。

「?」

表情を硬くする俺を見て妹は小首を傾げて見せるが、

だが、その顔の肌は褐色色に染まり、

眼窩は突き出し、

唇の周りが太く突き出しかけていたのである。

「みっ瑞穂っ

 お前その顔は…」

妹を指差しながら俺は声を震わせると、

「?」

俺の表情を見てか妹は小首を傾げつつ部屋の鏡に自分の姿を映し出してみた。

そして、その直後、

「そんなぁ!!!

 いやぁぁ!!!」

何度目かになる妹の悲鳴が響いていったのであった。



あれから数日後、

シッ

シャッ

シッ

シャッ

妹は手にした棒を掲げ、

イスに座りパソコンを操作する俺を目標にして棒でつつく動作を繰り返していた。

「おいっ、

 気が散るからそれやめてくれないか?」

指の動きを止めて俺は妹に向かって言うと、

「そんな事言っても、

 こうしていないと、

 気持ちがムラムラしてしまって居ても立ってもいられなくなるのよ」

と黒い肌に汗を浮き出せつつ答えてみせる。

「はぁ…」

それを横目に俺はため息をつきながら立ち上がると、

ムワッ

強烈な臭いが俺の鼻を襲ってくる。

最初嗅いだときは頭がクラッと来たものだが、

けど、嗅がされていくうちに幾分か慣れて来たらしく、

立ちくらみをすることはなくなっていた。

「すっかりマサイの戦士になっちゃったな」

そう話しかけながら俺は妹に近づいていくと、

赤く染まる縒られ結い上げられた髪を叩いてみせる。

そう、日曜日母親から送られてきたペンダントを身に着けてしまった瑞穂は、

その首飾りに宿っていたモランの精霊に体を乗っ取られて

肉体もマサイの戦士になってしまった。

原因となった首飾りはなんとか破壊したものの、

しかし瑞穂の肉体は元に戻らず、

デカくて黒いチンポを晒すマサイ戦士の姿のままであった。

「ねえ、お兄ちゃん。

 いつまであたしをココに閉じ込めとくつもり?」

「そんな格好で外に出せるか。

 せめて服でも着ろよ」

「いやよ、お兄ちゃんのお下がりなんて…

 それに、なんか裸でいるほうが気持いいわ。」

俺に向かって妹は不満をぶつけた後、

そういいながら瑞穂は自分の黒い巨大なチンポをしごきだし、

「あっ

 あっ

 あっ

 あぁっ

 でるぅ!!!」

程なくして妹はその真っ黒チンポから白いオシッコを噴出したのであった。

誰が掃除するんだよ、まったく。

射精をする妹に向かって俺は小声で文句を言うが、

しかし、妹のせいで家中精液まみれになってしまうこともあった。

「まったく。

 俺は学校に行くからな…」

オナニーをやめようとしない妹を残して俺は家を飛び出したが、

かわいかった妹を外に出してやれない自分にふがいなさを覚える日が続いた。

そんなある日、ある店で買い物をした俺はくじ引きを行うこととなった

いつもは籤運の悪い俺だが今回引いたのはなんと3等賞だ。

「おめでとうございます!

 3等が当たりました。

 3等の景品は…これです」

オーバーに言いながら店員が取り出したもの…なにやら水色の小さい布のようだ。

よく見るとこれは男物のビキニパンツではないか…

「これは筋肉ムキムキのお兄さんがよく穿いているものです。」

俺は少なくともそのような筋肉はない…

まったく無駄なものほど当たってしまう。

「とくに、こんがり日焼けしてたら最高ですね」

店員は調子よく付け加えた。

「まったく…そんな奴…」

と呟く俺の頭の中にふとある考えがよぎった。

「ただいま!」

俺が勢いよくドアを開けると、

瑞穂が裸のまま飛び出してきた。

「瑞穂…これをはいてみろ…」

俺は先ほどのくじで当てたビルダーパンツを瑞穂に差し出した。

「…これ、はくの?」

「ああ…」

瑞穂はビルダーパンツを穿き、股の上まで上げて見せる。

すると、マサイの発達した胸筋と腹筋、

しなやかな手足と黒い肌の色に対比した青いパンツは

それらをより引き立ってているようだ。

「…どうだ…」

「なんか凄く引き締まって…

 とっても気持いい…

 とくにチンポの部分がフィットして…」

そう履き心地を訴える瑞穂はビルダーパンツに青いふくらみを作っていた

「少なくともそれを穿けば外に出ても何とかなるかもしれない…」

「本当?」

瑞穂はこれに喜んでいるようだ。

「ただし、この格好でも許される状況でだ…」



さらに数週間後、元マサイのマルチタレントとして素性を隠して活躍する、

もちろん水色のビルダーパンツ1枚で瑞穂の姿を、

液晶を通してみることが多くなったのは公然の秘密です。


おわり



この作品はinspireさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。