風祭文庫・モランの館






「ムルシへの誘惑」
(第1話:コエの贈り物)


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-085





今井真美は長いようで短かったアフリカ旅行から帰国して

いま自室でお土産や荷物の整理をしていた。

彼女にとって初めての海外旅行ということもあってか真美は上機嫌になりながら

一つ一つに詰まった旅行の記憶を思い返しながら荷物を取り出していた。

「ふう、まあ今日はこんなものかな……」

真美の片づけが一段落したとき、

ふと、たまたま車での移動中に会うことの出来た

ムルシ族の少年コエからもらった土産が鞄の隅にあることに気が付いた。

「あ、これって……コエの」

真美は未だに中身を見ていなかったことを思い出してそれを手にとると

巻きつけられた薄汚れた白い布地を取り払う。

すると、

そこに出てきたのは竹のようでいて細長い漆黒色の尖った棒のようなものだった。

「これ……何だろう?」

手に持って回しながら、真美はじっくり眺め

棒の根元に開いた穴を見つめる。

「……臭い」

穴から噴き出したきつい匂いに思わず鼻を摘むが

その瞬間、真美はこれと同じものをコエが股間につけていたのを思い出した。

「あ、これって……まさかっ!」

その物体の正体がペニスケースであることに気付き

真美は高校生らしい女の子の顔を真っ赤に染める。

と同時にドキドキするのを感じていた。

「これ……ホントにコエのウルカなのかな?」

そもそもウルカは、話こそガイドから聞いていたが

真美はコエに間近で見せてもらった実物でそれがどんなものか知ったのだった。

だから、コエのウルカは鮮明に覚えている。

じっくりといま手元にあるものを見れば見るほど

そのウルカはコエのものに似ていた。

いや、それはコエのウルカそのものだった。

「コエったら、なんであたしにこんなものを?」

会ったときにつけていたウルカを土産にくれたコエの意図がわからないまま

真美はどんどん恥かしくなる。

その一方でウルカに開いた穴から漏れてくるきつい匂いに

真美の心臓はどんどん高鳴っていた。

(ここにコエの…オチンチンが入ってたんだ……)

なんともいえない衝動に真美は思わずウルカの根元に鼻を近づける。

すると独特の匂いと共にアンモニアのような刺激臭も真美の鼻の穴に入ってくるのだった。

ドキドキ…

「あたし……何してるんだろ?」

真美は慌ててそれを鼻元から離すと苦笑いをする。

しかし、次の瞬間

ビリィ

手にもつウルカから電気ショックのようなものが真美の体を走り抜けると

真美は自分の体が自分の意識では動かせなくなっていることに気付いた。

「えっ!?」

ドクンドクン…

緊張に胸の鼓動がどんどん高まっていく。

(い、一体何が起きてるの?)

混乱する真美の意識とは対照的に体は勝手にゆっくりと動き出すと

手がウルカを真美の股間へと持っていった。

「な、何を……?」

恐る恐る自分の股間を眺めていた真美だったが

ウルカはスカートの上から自分の股の恥丘の辺りをうろうろしている。

(服が邪魔なの……?)

そう思った瞬間、

真美は自然な動きで服を脱ぎ始めていた。

「えっ、えっ、えっ!?」

自室ということもあって、ラフだった真美はどんどん曝け出されていく。

キャミソール、ブラジャー、スカート、ショーツ、靴下。

訳も分からないまま、自分の体は慣れた手つきで衣類を脱ぎ去っていった。

「ちょっ、ちょっと……」

夏ということもあって寒いことはないが、

勝手に脱がされていく自分に恥かしさが増していく。

(なんであたし脱いでるのっ!?)

真美が気が付いたとき、恥かしそうな表情を浮かべた裸の真美が鏡の向こうにも立っていた。

そして、真美は一度置いたウルカを手にとると

そぅっと股間へと近づけていく。

「えっ、えっ、今度は何っ!?」

羞恥心のあまり、頬が焼けるように熱くなる。

「やんっ!」

ウルカは女の子のアソコからそっと撫で上げると少し離れてもたれていた。

自分の股間にコエが身に付けていたペニスケースが擦りあわされたことに

なぜか真美は興奮するのを覚えていた。

(あたし……一体何してるの…)

そのときだった。

パチッ

部屋の電気が一瞬消えると

ウルカを持つ手が震え始めた。

いや、ウルカ自体が振動始めていた。

「な、何なの?……」

真美は不安の篭った眼差しで股間を見つめる。

すると、白いもやのようなものがウルカの根元から溢れ出すと

真美のアソコへと漂っていく。

「や、やだ……な、何?」

白い煙は次第に真美の股間に集まり始めると、

きゅぅぅぅぅ

今度は股間のある場所に吸い込まれるように消えていく。

「い、いやぁっ、んんっ、んはぁっ!」

慌ててもむなしく、真美のクリトリスに憑り付くように白いもやは入り込んでいく。

と同時に異様な感覚を真美は感じ取っていた。

最初ははっかのようなひりひりする感覚から

だんだんクリトリスが勃起するような張り詰めた感覚へと変わっていく。

「あ、駄目……や、やめて」

感じてしまう真美は目を潤ませて懇願するが、

事態は徐々に進行していった。

普段オナニーをしても表皮の中に隠れているような小さいのクリトリスは

どんどん勃起し亀頭を膨らませると、

とうとう表皮から顔を出した。

下側の真ん中が折れこみ、その形状はミニペニスへと変化していく。

「い、いやっ……な、何が…あんっ…起きてるの?」

股間がむずむずするような、むらむらするような性感に真美は悶え始める。

勃起していくミニペニスは少しずつ小陰唇を覆い、尿道穴や膣穴も隠していく。

その膨らんでいく感覚は真美にとって冷や汗ものだった。

「な、何なのよっ!?これっ……あ、ああっ、駄目……感じちゃう」

真美は必死にその感覚を拒もうとするが

初めての感覚は真美を翻弄していく。

皮から剥いでたピンク色の亀頭は形を整えていくと

男性のペニスの亀頭のような姿へと変化していった。

そして、大陰唇が縮んで閉じていく小陰唇の代わりに増大し陰嚢へとなっていく。

「く、うううっ……下半身が熱いっ、熱いよぉっ!」

真美の体内では、卵巣が精巣へと変質し、

ムルシ族のコエと同じ精子が真美の精巣で作られ始める。

精巣はどんどん下降し、睾丸に収まるべく、陰嚢へと向かっていった。

「くっ、はぁっ、い、いやぁっ……

 はあはあはあ……あたし、どうなってるのぉ……」

真美は苦痛とも快感ともつかない体の熱さに苦しみながら

変身していった。

ピンク色だったミニペニスの亀頭が一気に青黒く染まり出し

むくっむくっ

と胎動し始めると

「あっ、あっ、あっ……」

真美は男性化していく自身の元クリトリスの変化に合わせて声を漏らし始める。

折り目に尿道穴を吸収し、縦に裂けた鈴口が形成され

ミニペニスはいよいよペニスへと変わろうとしていた。

ぷちゅっ

突然肌から熔け離れるような音を立てると

ミニペニスは元小陰唇があったところから離れ

首を上に向けて伸び始めた。

「あっ、あんっ、んあっ……はあはあはあ……いっ、一体何?」

真美の口調から余裕がなくなっていく。

そして、真美が覗き込んだ股間には

かわいらしいペニスがどんどんと逞しい姿に変貌していく最中だった。

「ひ…………い、いやあっ!」

目が点になった真美は、悲鳴を上げる。

しかし、変化には何も影響はなく。

股間の突っ張った感覚が増長していくにつれ、真美のペニスは股間にその雄姿を見せ始めた。

「ひっ、ひっ、ひっ……」

自分の股間に生えたペニスに怯える真美。

しかし、

きゅぅぅっ

ペニスの中心から搾り取られるような感覚の後

じゅわぁぁぁ

真美のペニスは中から色が染められていくように黒ずんでいく。

「ひぃっ……いやあ」

真美の目尻からは涙が溢れ出すが

ペニスの変化は止まらない。

更なる勃起と共にコエのペニスと同じ姿へと変貌していく。

ぷるんっ

ぷるんっ

股間にぶっとい肉棒を揺らせつつ、

真美のペニスはコエのペニスそのものへと変化していた。

(ま、股が痛い……張り裂けちゃう……ううっ)

初めてクリトリスからペニスへと変わり果てたその肉棒は

真美に新鮮なその感覚を突きつける。

ぷるぷるぷる

そして、精巣が陰嚢に落ち込み、

真美の睾丸が完成した。

すなわち、真美の性器がコエの性器に変身を遂げた瞬間だった。

「ああっ、そ、そんな……」

見下ろせる下半身と鏡に映る自分の姿から

自分の股間に真っ黒な男性器が完成したのを見て

真美は驚愕のあまりに鳥肌が立つのを感じていた。

「い、いや……そんな……まさか」

しかし、次の瞬間、真美の手が再び勝手に動き出すと

真美の股に出現したコエのペニスを掴み取った。

「んはぁっ!!」

ペニスの肌の敏感な感覚に真美は顎を突き上げて叫ぶ。

(いや……なんであたしに……あたしにオチンチンが!?)

混乱し泣き喚きたい真美だったが

シュッ

自らの手が動いた瞬間、

股の肉棒からたまらない感覚が脊髄を駆け上り、

真美の魂を貫いていた。

「んはあっ……な、何これ……」

シュッ

シュッ

この感覚の正体を確かめる間もなく、

真美の手は徐々に速さを増してコエのペニスを扱いていく。

「あっ、あっ、んっ、んんっ!」

くすぐったいような感覚はあっという間に快感となり真美の心を埋め尽くしていく。

(駄目……やめて…こんなことしちゃ)

理性は必死にそれを否定するものの、

真美はコエのペニスが生み出す快楽に飲み込まれていった。

「はあっ、はあっ、はあっ」

シュッ

シュッ

真美の股間のコエのペニスは真美の理性を蕩かせ

真美をムルシ族の少年の快楽に染め上げていく。

(い、いやっ……駄目っ…)

それでも、真美は必死に唇を噛み締めていた。

シュッ

シュッ

理性のぎりぎりの抵抗の中、真美の男性機能は本能的に作用し我慢汁を垂らし始める。

そして、真美の手が十数回自らのペニスを往復したとき

真美に宿ったコエの性器に掛けられた呪術は真美の血液が体を駆け巡るように、

真美の全身へと広がり始めた。

じわじわじわ……

股間のムルシ族の漆黒の肌は、

周りの真美の肌を蝕むように少しずつ加速しながら広がっていく。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……」

真美は朦朧とする意識の中、変わっていく自分を鏡の中で見つめていた。

侵食していく漆黒の肌が腹部に、そして大腿部に及ぶと、

そこから筋肉の筋がむりむりと発達していく。

真美の女の子の柔らかい脂肪を吸収して使い果たすように引き締まり、

漆黒の肌から珠のような汗を浮かべ始めた。

「あ、熱いっ、い、いやっ…やめて」

腹部に腹筋が張り出し、影が付いていく。

侵食させた黒い肌からムルシの男性の体臭が沸きあがり真美の鼻についた。

「あ、あたし……ど、どうなっちゃうの……」

真美の不安に漲った声が震える。

黒い肌は真美の乳房を覆い尽くし、ムリムリと筋肉の筋が張り出していく。

「あ、あっ、あっ」

そして見る間もなく

黒い肌は首や腕にも広がり、組織の変化を促していった。

「そ、そんなっ……」

胴体が全て漆黒に染まるのを見て、真美は愕然としていた。

そして、黒くなった部分が発熱していくのを感じる。

「ひっ、ひぃっ、熱い〜っ」

細い首に蔓が巻きつくように筋肉がミリミリと張り詰めていくと

真美はゴキキと硬いものが喉に張り出していくを感じた。

「あ、い、やぁっ」

自分の声音がどんどん変化していくと、

真美の声はコエと同じ少年の声へと変性する。

ゴクリ

真美が思わず唾を飲み込むと

真美の喉でコエと同じ喉仏が上下した。

「な、なんでぇ……」

涙が溢れていく真美の顔も下の方から黒い肌が占めていくと

表面から中へと熱さが移っていく。

真美は顔を押さえたかったが、体は未だに動かせないままで

そのまま耐えるしかなかった。

真美の頭の中で

ゴキッ

グキッ

と無気味な音が起こると

真美の細い顎が発達し始め、

丸い頭が少しずつ細長く伸び始めた。

「うう〜っ、くう〜っ!!」

真美が目を瞑っている間にも、真美の頭蓋骨はムルシ族らしい形状へと変化していく。

鼻の高さも変わり、鼻の穴も横へ広がっていく。

唇が腫れていくような感覚の中、

真美の細くてピンク色の唇はアフリカの少年らしい太い濁った色の唇に成り代わった。

真美の細い女の子の髪は黒く染まった肌の部分から脱毛していくと、

じわじわと太い赤毛がその先端を黒い頭皮に見せ始める。

「はあっ、はあっ、はあっ……」

バサッ

最後の真美の長髪の塊が一気に抜け落ちると

もぞもぞとムルシ族の男の髪が真美の頭皮に縮れながら生え始めていた。

そして、

ポキポキポキ

という音と共に

手足の指や、腕や足の骨が伸びていくと

真美の体形はどんどん細身で背の高い逞しい少年へと代わっていった。

「んんん〜っ!」

真美は目を瞑ったままその苦しみに耐えている。

変身により全身から襲う感覚を紛らわせるように

真美はコエと同じペニスを再び扱き始めた。

シュッ

シュッ

シュッ

むわっ

体からの熱気と自らの体臭が真美の顔に伝わってくる。

ムルシ族の村で嗅いだムルシ族の男性の体臭が自分の体から漂っていた。

股間にはコエと同じペニスが張り詰め爆発寸前だ。

「はあっ、はあっ、はあっ……」

真美は血走った目で必死に苦痛から逃れようとペニスの快感にすがりつく。

そして、真美の肉体が頭の先から足の先までコエの肉体に成り代わったとき

真美はコエのペニスの気持ちよさの虜になっていた。

「あ、あ、あっ、駄目、出る、出ちゃう、出ちゃうっ!」

股間の肉棒の付け根に溜まった熱い体液が出口を求めて暴れまわる。

真美はその意味することに気付くことなくムルシの肉体で絶頂を迎えた。

「ん、んくぅっ!!」

ビュッ

ビュッ

ビュッ

真美のペニスからコエの精液が射出させる。

そして真美が初めての射精に気付くまでには、

その後五分ほどの時間がかかった。



「はあはあはあ……

 あたし……」

真美は徐々に意識を取り戻しながら、目の前の自分の下半身に焦点を合わせていた。

漆黒の肌に覆われた自分の肉体に股の間につく男性器。

「い、いやあっ!!

 あ、あたしっ、な、何をっ!!」

手の先から伝わってくるべたつく粘液の感覚と、

ペニスから垂れ下がる冷たい液体の感覚。

それは、真美に射精に気付かせるには十分なものだった。

「あ、あたし……そ、そんな……」

(あたし……まさか射精……しちゃったの?)

真美の脳裏から一気に血の気が引いていく。

真美の体だったら卒倒していたところだったが、

脳髄まで変化した真美は暫く茫然自失な状態のまま凍り付いていた。



「はあっ、はあっ、はあっ……」

あれから五日が経っていた。

真美の部屋は再びムルシ族の体臭に満ちていた。

あの後分かったことだが、

変身した後ウルカを付けてもう一度射精をすると、

元に戻れるということが分かり安堵した真美だったが、

しかし、一度体験した射精とコエへの変身が忘れられず

真美は四度目の変身をして、男のオナニーに耽っていた。

「ふんっ、ふんっ、ふんっ」

鼻息を荒らげて真美はペニスを扱き上げると

ブシュッ

ビュッ

ビュッ

ビュッ

とコエのペニスに変化した真美のクリトリスからコエの精子が詰まった精液が噴き出し、

真美の自室の床を濡らしていった。

「はあはあはあ……

 ムルシ族って……こんなに気持ちいいんだ」

真美は射精後の余韻に浸りながら自分の漆黒のペニスを眺めた。

巨大な肉棒は最初は嫌悪感しかなかったが、

射精になれるうちに次第に誇らしくさえ感じ始めていた。

「はあはあ……

 これがコエのオチンチンかあ。

 まさか、日本に帰ってきて本物を見ることになるなんて思わなかったなあ…」

真美は自分のペニスを観察しながらいった。

鈴口からはまだじわじわと白濁した精液が溢れ出している。

真美は確かめるように赤紫黒い亀頭を撫でる。

「んっ、敏感………

 コエのってこんな感じなんだ……

 あたし、コエと同じ感覚を味わってるんだ……」

そう思うだけで真美は興奮していた。

真美の股間の肉棒はビクンビクンと脈打ち、

真美の興奮に応えている。

そして、

真美の手にはムルシ族の男の精液がねちゃねちゃと絡み付いている。

「あたしの……精液なんだ……」

どきどきと真美は胸を高鳴らせながら、自ら射精した精液の匂いを嗅ぐ。

栗の花の匂いに似た独特の強い匂いが真美の鼻腔を満たしていく。

「はあ……

 あたし……すごいこと体験してる」

真美はムルシ族に変身することになんともいえない満足感を感じていた。

もしかすると、コエは真美にムルシ族の体験をしてもらうために

このウルカをくれたんだろうか?

とさえ真美は思い始めていた。

真美の細長い他人の指の間に精液が糸を張っている。

(あたし、男の子の感覚、感じてるんだ……

 しかも、あのコエとおんなじになってるんだ……)

再び興奮が真美を襲う。

真美は鏡に近づいて、自分を見つめた。

もはや写真の中でしか見ることはないと思っていたコエというムルシ族の少年の顔が

自分の虚像として数センチ先にある。

充血して目脂のついた眼。

その虹彩の色は、明らかに真美のものとは違う。

鼻はやや低く、横に穴が広がり、真美の興奮を示すように収縮を繰り返している。

分厚くなった唇は、アフリカ系の人間になった自分を実感させ、

頭には硬く薄い縮れ毛しか残っていない。

「コエの顔、

 こんな風に見るの……初めてかも」

真美は自分の顔となったコエの顔にドキドキしつつ、じっくりと観察していた。

それはコエの顔を自らのものにしたからに他ならない。

真美は顔を撫でようと手を近づけ、精液まみれの自分の手に気付く

「くすっ」

目の前で広げてみる自分の手。

内側は黒くないのだが、かといって真美の名残があるわけではない。

手相は見たことのない……ムルシ族の少年コエと同じものに変化しきっている。

爪も、指の長さも同様だ。

「すごい……

 こんなとこまで、あたし、コエになっちゃってるんだ……」

真美は先ほどの変身の快楽を思い返しながら、変身しきった自分を味わっていた。

くんくん

手についた精液を改めて嗅いで、ぴろりと舌で舐める。

「うげっ」

しょっぱく苦い味にコエの顔に歪ませながら、真美は鏡に向かって舌を出した。

「あ……」

口の中の歯並びや歯の表面の色合いまで、真美はコエになっていることを知る。

真っ赤な舌も口に溢れる唾さえも、真美はムルシ族のコエに生まれ変わっていた。

「だ、駄目……

 だんだんあたし、変態っぽくなってきてる……」

真美は興奮し始めている自分に気付いて、慌てて頭を振った。

ここ数日の自分を振り返ってみると、なんとなくやばいような気がする真美だった。

(あたし……

 何してるのよ……

 コエ変身して射精して……匂い嗅いだり……舐めたりって……

 あたし、一体どうしちゃったんだろう…)

しかし、股間のコエのペニスは素直に勃起を始めている。

真美は自分のムルシ族の体臭を肺いっぱいに吸い込みながら、

ムルシ族の男性器の快楽を味わっていた。



シュッシュッシュッ

ブビュッ

ビュッ

ビィッ

ビャッ

床に飛び散る白濁した粘液。

立ち上る精液の匂い。

真美はどんどん倒錯した世界にのめり込んでいた。

「あたし……

 お、おかしくなっちゃう……

 やめたいのに……

 が、我慢できないよぉっ」

真美はコエのペニスのオナニーに染まりきり、

何度となく射精しないと満足できないようになりつつあった。

ムルシ族がどんどん自分に染み付いていくような

そんな倒錯的快感が真美をどんどん満たしていく。

それでも一度射精すると、もう一度射精したくてたまらなかった。

「駄目……

 もうやめなきゃ……

 こんなの……

 こんなことばかりしてちゃ……

 夏休みの宿題だってあるのに……」

真美はなんとか性欲を押さえ込もうと必死だった。

元に戻るためにペニスケース、

そう変身するための道具であるウルカを取りに行く。

そして、ウルカをペニスに被せると、

あの変身の呪術のもやがウルカに戻り

もう一度射精をすると元の女の子に戻れるのだ。

しかし、今日はまだ満足しきれていないのか、

真美はウルカを手にしたまま、それをペニスに被せはしなかった。

(あ…やだ……)

真美はウルカを被せることで自分があのときのコエと全く同じになれるという妄想をしていた。

その興奮が再び真美のペニスを勃起させる。

「はあ…はあ…はあ」

(コエのウルカ……)

真美はウルカの穴に鼻を当てて、匂いを嗅ぐ。

コエ自身のペニスの精液や汗やおしっこの匂いが

真美の鼻の中に入り込んでくる。

「くうっ、はあっ!」

びくんっ

真美のコエと同じペニスは硬く勃起しきり、

その漆黒の肉棒を張り詰めさせていた。

(あたし、コエと同じ……)

真美は自らの妄想に興奮し始める。

ウルカをペニスに近づけ

最大限膨らみきったペニスを無理やり押し込もうした。

キュッ

赤黒い亀頭がウルカの口と擦れる。

「んくうっ!!」

鋭敏な感覚に真美は思わず少年の甘い声を上げた。

ス…

ス…

ス…

コエが付けていたウルカが今ぴったりと真美のペニスと一体になっていく。

そのことに真美は自分が熔けていきそうな感覚を覚えていた。

「コエ……あたし、コエになっちゃう」

自分の手ではない、ウルカがペニスを包み込む感覚に

真美の脳髄でムルシ族の男性の本能が火花を発した。

「き、気持ちいいっ!」

女の子だった真美が

コエの頭部を得ることで、徐々に男性化していく。

真美は無意識のうちに自らの雄性に火をつけていた。

(な、何……この感覚ぅ……)

真美はペニスの蕩けそうな感覚に

シュッ

シュッ

とウルカを上下に往復させ始める。

根元が擦れる感覚が気持ちいい。

「あ、あ、ああっ、んっ、あんっ……」

真美は既に止められなくなり、

必死にウルカを握り締めると上下に動かす。

シュッ

シュッ

シュッ

中で溢れ出していく我慢汁。

べとべとになっていく漆黒の肉棒。

真美のペニスはウルカの根元によってローションを塗りたくられるように

ぎらぎらと黒い肉棒をてからせていく。

(あたし、コエになってくみたい……

 快感っ……)

真美は自分がコエに侵食させていくのが気持ちいいように思えていた。

今こうしていることで自分から真美を蝕ませているような錯覚にすら陥っていた。

(ああ、あたし、あたしが真美でなくなってく……

 あたしがコエになってく……

 あたしが……真美が少しずつ抜き取られるぅぅぅ)

真美の倒錯した妄想は呪術の掛かったウルカを発熱させていた。

コエの魂の複製を込めたウルカから『もや』が再び立ち上ると

真美の体に巻きつくように伸び始める。

「ああっ、何っ、気持ちいいっ!!」

真美は『もや』に気付くことなく

快感の虜になっていた。

(あたし……身も心もコエになってちゃう……

 ああ、やめて……

 真美のあたしが吸い取られるぅぅ

 あたしがコエになってっちゃうぅぅ)

真美の妄想は徐々にウルカの呪術によって叶えられ始めていた。



つづく



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。