風祭文庫・モランの館






「ディンガの首飾り」
(第1話:入れ替えの首飾り)


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-035





それは、とある珍品市で買った首飾りが全ての始まりだった…


「わぁ…

 ねぇ、洋。これ、面白くない?」

そう言いながら

たまたま幼馴染の由希が手に取ったのは、

アフリカの荒野で暮らしていると言われるディンガ族の首飾りだった。

その首飾りは首周りに貝殻が敷き詰めてあり、

前の部分には染められた鮮やかな紐が数本垂れ下がっていた。

「ん?

 ああ、確かに綺麗だな。

 でも、ちょっと外では付けられんだろ?

 それじゃ目立ちすぎる」

やや原色気味の首飾りを見ながら俺が怪訝そうに言うと、

「うーん、それはそうなんだけど…

 でも、家でつける分には問題ないでしょ?」

と由希はそのことにあまり気にしていないような台詞を言う。

「由希、お前そんなのが好きなのか?」

彼女の言葉に俺は呆れるようにして言うと、

由希はぷいっと俺から視線を逸らし、

「別にいいじゃん。

 こういうのってアフリカに行かなくても雰囲気あるし…

 わたし、舶来物って好きなんだ」

「はぁ?

 今どき、舶来物なんていうかよ?」

「うーん、つまり…

 何ていうかなー。

 旅行先でしか買えないようなものを集めるのが趣味なの」

「はいはい…

 まあ300円なら安いから買っておけば?

 損にはならないだろ」

「うん」

俺の言葉に、由希はうれしそうにその首飾りを買った。

確かにアフリカに行くことを考えれば安かった。

でもそのときは、それがあんな災いを招くとは思っても見なかったんだ。



秋の短い陽は早々と沈み、

俺達がバスから降りたときには既に真っ暗になっていて、

路地の街灯が道を所々照らしていた。

「ねぇ、これつけてみよっか?」

由希の家まであとちょっとと言うところで不意に由希が俺にそう言うと、

「はぁ?

 まぁ別に構わないけど…こんなとこでつけるのか?」

「ちょうど街灯の下にきてるでしょ?

 せっかくだから今付けて帰ってお母さんを驚かそうかなってね」

由希はそう言いながらいたずらな笑みを浮かべた。

「へいへい」

俺は諦めて、由希の好きなようにさせると、

由希は紙袋からごそごそと首飾りを取り出すと

わくわくしたような顔をして首の後ろに手を回して首飾りをつけていた。

「んっと…」

パチ

という音と共に、アフリカの首飾りは由希の首に留まる。

「お…」

「ね、どう?」

由希は早速視線を下に向けながら俺に聞いた。

まるで…

サーカスのピエロがしている首巻の縮小版のような気もするが

前に垂れている紐のおかげか、

確かにアフリカの首飾りだという感じがした。

「へぇ…」

俺が一瞬見とれながらそう呟くと

「よかった。

 それほどはおかしくはないみたいね?」

俺の反応を見た由希は安堵したように言う。

「でも、これきついんだよ。

 アフリカの人って首細いのかな?」

そう言いながら由希は首飾りと首の隙間に手を入れて隙間のないことを強調すると、

「ほう、そうなのか」

その様子を見ながら俺がそう言ったときだった。

ドクン!!

由希がしている首飾りが突然2つにだぶって見えたような気がした。

「え?」

と同時に由希も声を上げる。

ドクン!!

間違いない、その首飾りは確かに脈動している!

「お、おい、由希。

 なんかやばいぞ」

「う、うん…な、なんかおかしいね」

由希も顔を蒼ざめさせながら慌てて首の後ろに手をやった。

ドクン!!

「あれ、あれっ!

 取れない…

 取れないよっ」

再び首飾りが脈動する中、

由希は必死になって首飾りを外そうとしていたが、

しかし、由希の首飾りはまるで彼女のクビに巻き付いたかのように外れなかった。

「おっおい!?

 ちょっと待て。俺がやるっ」

そう叫びながら俺が慌てて由希に駆け寄ったとき

ドクンッ!!!

すごい脈動が首飾りに起こると、

残像なのかよく分からなかったが、

首飾りがまるで周囲に広がるように光り輝きはじめた。

「た、助けてっ、洋っ」

「由希っ!」

俺が由希の手を握った瞬間

パァァァッ!!

俺達はまばゆいばかりの光に包まれていた。



「ここって」

「さぁ…」

ザワザワ…

気がついたときには、

俺達は黒い肌をさらけだした文字通り裸体の男達に取り囲まれていた。

ディンガ族…

俺がこの部族の村であることを知ったのはそのすぐ後だった。



「・・・・・・・」

呪術師らしき男がが説教たれる中

由希と俺は怪しげな小屋の中に入れられると、

由希はその中央にある椅子のようなところに座らせられ、

そして、動けなように両手首を縛られた。

その一方で俺は由希の後ろの床で縛られたまま横になっている。

「・・・・・・・・」

呪術師が何を言っているかは分からないが、

さっきからニヤニヤしているのが気にかかる。

「一体何をする気なのだろうか?」

俺がそう思っていると

スッ

呪術師の手が上がると誰かを招き入れるように動いた。

すると、

「・・」

外から人の声が聞こえ、

のそっ

一人の屈強なディンガ族の男が入ってきた。

彼らが身に付けているものが紐と首飾りだけなので

まさにペニスは丸見えになっている。

「…おい、何する気だよ?」

心配そうに俺は由希と呪術師とディンガの男を見比べていると、

ビンッ

ディンガの男のペニスははちきれんばかりに膨らみ股間で起立していた。

「まさか…」

その様子を見た俺は思わず嫌な妄想をすると冷や汗を流す。

俺の倍はありそうなペニスが体の動きにあわせて揺れる様子に俺は気が気でなかった。

「由希…」

そう呟きながら俺はじっと由希の姿を見ていると、

由希もディンガの男のその様子に怯えているようだ。

当然といえば当然だが、

由希は女でペニスを膨らませているのはディンガの男だ、

しかも、あれだけの屈強なディンガの男が裸で由希の隣にたっているだけで、

危険を察するに余りあるだろう。

すると、呪術師はどこからか由希と同じ種類の首飾りをもってきて

ディンガの男につけさせると、

なんと由希の隣の席に座らせた。

「何をする気だ?」

「んー…」

口をふさがれている由希も隣に座ったディンガの男に

怯えたような視線を送りながら声を上げていた。

そりゃあすぐ横でペニスをニョキッと生やしている奴がいれば仕方ないだろう。

「さっさと由希を放せ、この野郎!!」

俺は怒鳴り声をあげたが、

呪術師は黙っていろとばかりに俺を蹴り上げた。

「うげっ!」

「んーっ」

それを見た由希が心配そうな声を出す。

でも、俺はあまりの腹部の痛みに悶えて声がでなかった。

「・・・・・・・・・・♪」

痛みに俺が苦しんでいると

突然呪術師が変な踊りをしながら

呪文のような言葉を呟き出した。

それはリズムがあり、歌のようであったが、

どこか厳かで神か精霊の力を呼び覚まそうとするようなそんな感じもあった。

(なんだ…)

俺が激痛に耐えつつ上を見ると

二人の表情に変化があった。

ディンガの男が興奮していたのはさっきからとしても

由希もなぜか顔が赤い。

それどころか動悸が激しくなっている。

「ん、んーっ…」

「お、うぉ、うぉ」

二人は苦しんでいるのか気持ちよがっているのか分からないが

身を捻らせて耐えているようだった。

見ると

由希まで股を擦り合わせて性的に興奮しているようだった。

「なんか、やばい…」

俺が直感でそう感じたとき、

「ん、ん、んっ」

「うぉ、うぉ、うぉっ」

二人はまるで同調するかのような声を上げ始めていた。

次第に身のゆすり方まで二人揃ってくる。

「お、おぃ、由希…」

俺は搾り出すようにして声を出したが、

興奮している由希の耳には届いていなさそうだった。

「んんーっ、んんーっ」

「うぉーっ、うぉーっ」

由希がディンガの男のマネをするように股を閉じたり開いたりを繰り返し出した。

「ぉい、由希っ…」

その雰囲気は何ともいえない危ないさを物語っていて

俺すら引き下がってしまいそうだった。

パクパクと開く口と一緒に開く股の間から

由希の濡れたパンツが見えて俺は思わず顔を逸らした。

「゛゛゛゛゛゛!!」

そのときだった。

呪術師が大声で最後の呪文らしきものを小屋に共鳴せんばかりに叫ぶと

ガタガタガタ

まるで二人同時に感電したかのように二人がガクガクとものすごい痙攣を起こした。

そして、由希が飛び上がらんばかりに椅子ごと跳ねた途端。

ガクン

二人は気絶したかのように首を垂れた。

「由希!!!」

「・・・・・♪」

今度はゆっくりとした呪術師の歌声が響くなか、

薄暗い小屋の中に二人の口から光の靄のようなものが出てくるのが見えた。

「な、なんだ…」

その靄は二人の頭の辺りから漏れ出し

まるで頭に蚊取り線香でも炊いているかのようだった。

でも、その靄が光っていたので、ただの煙ではないのは確かだった。

「・・・・・・♪」

「あ…」

呪術師のメロディーが変わったときだった。

靄はたなびき方を変えると

ふわーっと

互いの方向にむき出した。

由希から漏れ出す靄はディンガの方へと、

ディンガから漏れ出す靄は由希の方へとたなびいていく。

「……」

俺は言葉を失って、ただその様子を見ていた。

そして、靄の尾が体から切れると

二人の体がガクガクっと震えた。

(な、何が起こってるんだ?)

そう思っていると

「・・・・・!

 ・・・・・・!」

呪術師の呪文が何かを促すようなものに変わった。

それにつられるように

二つの靄もふわっふわっと動いていく。

そして、由希から漏れ出した靄がペニスをおったてているディンガの男の上へ、

また、ディンガから漏れ出した靄が由希の上にくると

「・・・・・・っ!!」

呪術師は今まで一番大きな声を上げた。

「な、何!?」

ビュワッ

すると靄が命令されたかのように目の前にある体へと飛び込んでいく。

その様は、体に靄が吸い込まれたような感じだった。

ガクガクッ

その途端、二人の体が再び激しく震えた。

「あっ、あっ…」

「んっ、んっ…」

ディンガの野太い声と由希の切ない声が重なる。

「・・・・・・・♪」

そして、呪術師が何かを落ち着かせるように呪文を唱える声を小さくしていくと

靄は綺麗さっぱりとそれぞれの体の中へと入っていってしまった。

「・・・・・」

沈黙の時間が流れる…

その中で呪術師はすっかり満足したような笑みを浮かべると

ペチペチ

と由希の頬を叩いた。

すると、

「う…あ、あん…」

気づいたのか由希が気だるそうに目を覚ました。

「由希?…」

ようやくしびれるような痛みから解放された俺が

寝ぼけたような由希に声をかけると、

「・・・っ!」

由希は驚いたような声を上げ、続いて歓喜した。

由希はまるで人が変わったかのように自分の体を見て喜んでいる。

「由希…

 ど、どうしたんだ?」

由希は呪術師と同じようなわけの分からない言葉をうれしそうに喋りながら、

服の上から胸をもんでいる。

「・・・・っ!」

「おっ、おい…」

さらに確かめるような手つきで股間を触ると

「・・・・っ!」

と由希は叫さけびながら喜んだ。

「由希…」

俺は信じられない状態にただ唖然としていた。

「・・・・・」

口をあけたまま、俺が思わずぽかんとしていると

由希はペニスを勃起させたまままだ寝ているディンガの男をいやらしそうに見た。

「え?」

俺が驚く間もなく、

由希はゆっくりとディンガの男に近づくと、

「……」

いきなりそいつのペニスを鷲づかみにした。

由希のその行為にさすがの俺も我に返ると、

「由希、お前。何やってんだっ」

と怒鳴った。

しかし、由希は全く意に介さずディンガの男のペニスを

シュッ

シュッ

と扱き始めた。

すると、

「あ、あん…」

ディンガは無意識に声を漏らし喘ぎ始める。

シュッ

シュッ

由希は数回扱き続けた後、

ギュッ

とディンガの男のペニスを握り締めると、

「あんんっ、んっ、何?…」

ディンガの男は突然日本語の声を上げると目を覚ました。

そして、女のような仕草で目を擦ると

ぼんやりと正面に立つ由希を見た。

その途端、

「…えっ?

 なんで、わたしが目の前にいるの?」

ディンガの男は驚きながら間違いなく日本語でそう言った。

「…あれ、なんか変…

 ん、ええっ?わたし裸っ!?」

ディンガの男はさっきまで同じ格好のはずなのに慌てて胸を隠すと

その表情は凍りついた。

そして、恐る恐る自分の体を見るなり、

「いやーっ!!」

と絶叫したのだった。




「そんな…そんなぁ…」

ディンガの男は自分のペニスを一握りして胸を撫でた後、

絶望したかのように座り込んだ。

そして、

その様子を呪術師に紐を解かれた由希は面白げに観察している。

「何が…起きてるんだ…」

俺は茫然自失になりつつも、横になったまま二人を見上げていた。

すると、

「ええん、ええん…

 わたし、どうしたらいいのぉ?…」

ディンガの男は泣き叫びだすと、

俺に視線を向け、

そして、

「…洋」

と俺の名前を呼んだ。

「え?」

「洋っ!」

「あ?」

「わたし、わたしよっ。

 わたし、由希なのっ。分かるっ?」

とすがるような目つきで言ってきた。

(このディンガ…このディンガの男が由希?)

俺は一瞬こんがらがりながらも、ようやく今の現状を認識した。

そう…

さっきの呪術で、由希とあのディンガの男の体が入れ替えられたらしいのだ。

確かにそう考えれば、由希のように喋るディンガと様子のおかしい由希の説明がつく。

だから俺はディンガの言うことを信じた。

だって、それ以外に説明つかないし、

俺も呪術を目の当たりに一人なのだ。

きっと、あの靄は由希とディンガの魂だったのだろう。



「どうしてこんなことに…」

「分かんないよ。

 わたしだって、縛られてたし…

 体が熱くなってきて

 急に体から抜き出るような感じがした後、

 何かに吸い込まれたなって思ったらもうこうなってて…」

「というか、なんであいつら由希の体と

 ムカジとか言うディンガの男の体を入れ替えたりしたんだ?」

「私に聞かれても分かんないよ」

由希は俺に向かってそう訴えると、

男の体のまま再び泣きそうになっていた。

「くそ…

 言葉さえ通じれば…」

俺がそういいかけたとき

「入れ替えたわけをしりたいの?」

いやらしい笑みを浮かべていた由希が急に日本語を喋り出した。

「な…」

その突然の自体に縛られている俺達は思わずぎょっとした。

「ふふ、驚いた?

 わたしが日本語喋り出して?」

それは図星だったが、

なんで急に由希がこんなことを言い出したのか

俺は混乱に陥った。

まさか二人して俺をからかう気なのか?とも思ったが

ムカジの様子を見るにそれはなさそうだ。

「うふふ…

 そろそろ相手の知恵を使えるようになってきたわね。

 だから、わたしも日本語わかるのよ。

 もっとも、まだ『分かる』程度だけど…

 完全に相手になりきらないと全ての知恵は使えないのよ」

と由希は俺に向かって言う。

「なんで…

 そんな…」

「だって、相手になっても周りにバレたら意味ないじゃない?

 だから知恵は交換しておくのよ。

 もちろん、交換しても元の知恵はすぐには消えないから安心して。

 残そうと思えば残せると忘れようとすれば忘れられるわ」

「何言ってんだ、お前…

 お前、あのディンガだったんだろっ。

 おいっ」

俺が由希に向かってそう言うと

「ディンガじゃなくてムカジよ、

 勇者・ムカジ、これがあたしの名…

 ちょっとこの女のせいで女言葉になってるのが恥かしいのよ、これでもね。

 まあ、いいわ。

 もう交換は済んだから話してあげる。

 そう…わたしは、確かにそのディンガだった者よ」

「やっぱり…」

それを聞いたムカジ(由希)は、落胆するように漏らす。

「なんで、お前こんなことっ」

俺が声を荒らげると、

「ふん。

 それは呪術師がわたしを誘ったからよ。

 一度上玉の女になってみないかってね。

 わたし、男だったとき、たくさんの女の子と寝たんだけど、

 でも、女の子の感じがどんなのか知りたかったし

 あんたがうちらの女とは全く違う上玉の女だったから

 呪術を受けてみることにしたのよ」

「いや、スケベ、変態っ」

その途端、ムカジ(由希)は男の声で罵った。

「それにこれは呪術師にとっても腕をなまらせないために必要だったのよ。

 たまたまあんたが『入れ替えの首飾り』を手にしていたものだから

 呪術師があんたをはるばる呼んで『交換の儀式』をやったってわけ。

 こういう呪術って使わないと廃れるからね。

 たまにこうやって行われるのよ」

由希(ムカジ)はそう言うと、胸を触った。

「な…」

「でもいいわぁ。

 女の感じって興味あったし、こんなにいい女になれるなんて…

 あんたもよかったじゃない。

 こんないい男になれて…

 わたし、村じゃ一番もてるのよ。

 今のあんたなら出ていったってエッチし放題よ」

由希(ムカジ)は胸をもみつつ、ムカジ(由希)に迫った。

「や、やめてよ」

ムカジ(由希)は野太い声でそう言うが

しかし、何時の間にかムカジ(由希)は興奮しているようだった。

「由希?」

「ふふふ…

 わたしの体って好きだからねー。

 すぐに男の精を出したくなってきたでしょ?

 一日に何十回もしたこともある体なのよ。すごいでしょ?

 どう、わたしの体の感じは?」

「そ、そんなことないっ」

ムカジ(由希)は必死に否定するが、

しかし、開かれている股間にあるペニスは既にパンパンに膨れていた。

「由希…」

「ほら、こんなに勃ってる」

「違う。やめて…」

「興奮してきたんでしょ?

 女の自分を見て」

「違う。さっき入れ替わるとき、あんたが興奮してこうなったんでしょ?」

ムカジ(由希)は必死に言い張った。

「じゃあ、これでどうかしら?」

由希(ムカジ)は急にムカジ(由希)の前に座り込むと

「あん…あん、あ、あん…」

胸を激しくもみ始めた。

そして、

「ん、んんっ、いい…」

日本語で喘ぎながら、股へと手を這わせる。

「やめてっ」

ムカジ(由希)は思わず目を瞑ったが

足がパクパクと動き出し、勃起しきったペニスの根元を刺激していた。

「由希、やめろっ」

俺は思わず叫んだが

しかし、由希(ムカジ)はスカートの中に手を突っ込み

クチュ

クチュ

と股間をまさぐり出す。

そして、ムカジ(由希)もまた

「はぁはぁはぁ…」

とペニスの先から透明な体液を溢れさせていた。

「何、これ…

 アレが張ってる。

 股の先が変、熱い…熱いよ」

ムカジ(由希)は股をパタパタと開いたり閉じたりしながら興奮していた。

すると、

「ほっほら、すっすごいだろう、俺のチンポは?」

なぜだかムカジ(由希)の口調が変わってきた。

もしかして、ムカジの知恵を得て男らしく喋れるようになってきたのだろうか?

「いや、そんなことない。

 誰がこんなので…

 はぁはぁ…」

ムカジ(由希)は激しく呼吸しながらもの欲しそうな視線を由希(ムカジ)に送っていた。

「ふふ、すっかり男の欲に目覚めたようじゃないか?

 じゃあ、お前もイかしてやるよ。

 そのついでに”俺”にも目覚めな」

由希(ムカジ)はスカートの中の女の液で濡れた手を取り出すと

そのままムカジ(由希)のペニスを握った。

「な、何を?」

ムカジ(由希)は驚いた目で由希(ムカジ)を見る。

「元のお前の女汁だ。

 それを今のお前のチンポに塗ってやる。

 それとも舐めてみたいか?

 みたいよなぁ?

 俺、女のアソコ舐めるの好きだったから。

 お前の体は舐めたくて仕方ないはずだぜ」

由希(ムカジ)は挑発するかのように濡れた手を舐めた。

「やめてっ。気持ち悪いことしないで」

その様子にムカジ(由希)は目を瞑って叫んだが、

「んぐっ」

その直後ムカジ(由希)の口には由希(ムカジ)の指が突っ込まれていた。

「うまいだろ?

 女の味だ。

 ほれ、目覚めてきたよな、男に…

 男なら突っ込みたいとか、男の精を出したいって思うだろ?」

「んなっ!?」

ムカジ(由希)は、元の自分の体の体液の味にペニスをむくっと勃たせる。

「不思議なものだろ?

 さっきまでの自分の…女の部分の味だ。

 それを今のお前は男として興奮してるんだ。

 さぁ、一気に男の精を出して男に目覚めちゃいな」

ムカジ(由希)が恥かしさと興奮のあまりに凍りついている間に

由希(ムカジ)は愛液でべたべたの手でムカジ(由希)のペニスを扱き始めた。

シュッ

シュッ

「お、おい…」

あまりの異常な雰囲気に俺はすっかり飲み込まれて

ほとんど何を言っていいかも分からなくなっていた。

「あ、あん…

 や、やめて。

 やめなさいよっ」

ムカジ(由希)は興奮の頂点に近づきつつも必死で抵抗し続けている。

しかし、紐で縛られているせいでほとんど無意味だった。

「はぁはぁはぁっ…」

「お前もいい加減”俺”に目覚め始めないとな。

 さっさと男の精を出して思い出しちまいな。

 思い出し始めたらあとは簡単だ。

 普通にしてれば、俺っぽくなってくるって。

 ここの暮らしも好きになってくるぜ」

次第に抵抗が薄れ始めるムカジ(由希)に由希(ムカジ)は誘いかけるように言った。

シュツ

シュツ

ムカジ(由希)のぶっといペニスは、

だらだらと我慢汁を溢れさせ

由希(ムカジ)の手についている由希の愛液と交じり合う。

「ふふ、我慢強いやつだな。

 そんなに気持ちいいのか。

 男の快感は男の精を出すまでだからなぁ。

 それをそんなに味わっていたいのか?お前?」

由希(ムカジ)はからかうようにムカジ(由希)にいう。

「誰がそんな…はぁはぁ」

「ほら、感じてるのだろう?

 俺様のチンポの味をよぉ。

 気持ちいいだろ。
 
 たまらないだろ。
 
 さっさと高みにいってみたいだろ?」

「やめ、やめて…

 んんっ、はぁっ

 くぅぅ」

ムカジ(由希)は射精が近づいているのか、切なそうな野太い声を上げた。

「イっちまえよ。

 そしたら、それはお前のだ。

 そのチンポはお前のものだ。

 さぁ、さっさと精を吐いて楽になっちまいな。

 そしたら、お前は何度でもその快感を味わえるんだぜ?」

由希(ムカジ)の言葉の攻勢と手の動きに

とうとうムカジ(由希)は腰をぷるぷると震わせ出した。

「お、おい…由希」

「や、やめっ…

 あ、ああっ…んんっ

 駄目っ…

 漏れ、漏れるっ

 ん、くぅっ!!!」

ムカジ(由希)は目を瞑ると縛られたまま必死に腰を突き出した。

と同時に、

ピッ

ブシュッ

ブシュッ

ブシュッ

白濁した男の精が空中を舞った。

大量の粘液がピチャピチャと地面の床に撒き散らされる。

「あああ〜っ…」

ムカジ(由希)は何かがふっ切れたかのように声を上げると

情事を済ませた雄の顔になっていった。



つづく



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。