風祭文庫・モランの館






「忘れられた部屋」
(第3話:封印された部屋)


原作・風祭玲
加筆・バオバブ

Vol.T-012






「ちょっとぉ〜いいの?

  勝手に入ってぇ」

美佳が心配そうな顔をする。

「あぁ…大丈夫だ、誰もいないよ」

俺が彼女を心配させないようにその部屋の様子を伺うとそう答えた。

北校舎の奥にその部屋はあった。

なんでも、無類の旅行好きだった先代の校長が、

世界の至る所の土産物を生徒の教材にと、

学校に寄贈して作らせた部屋なのだが、

あまりにものの気味の悪さに近づく生徒はおらず、

そのために校長が代わると、

すっかりその部屋は忘れられた存在になっていた。

そしていつの頃からかそこは「封印された部屋」と呼ばれるようになっていた。

しかし、近付く者がいないと言うことは…

イコール、格好の隠れ場所…と言うことで…

まっ俺たちの様な不埒モノが入り浸る部屋になっているのも事実だった。


「よっこいしょ」

先に俺が入り、

「うんしょ」

後から入ってくる美佳の手助けをする。

「いつ見ても…スゴイ部屋だねぇ…」

美佳が展示品を眺めながら言うと、

「あはは…

 気味の悪さじゃぁ、
 
 そこいら辺のミステリースポットよりは上は確実だね」

俺も展示品を見ながらそう言った。

「じゃ…」

「あっ…」

俺はいきなり美佳を抱き寄せると軽く彼女の口にキスをした。

「…んっんん〜っ」

美佳は渾身の力を込めて俺の唇を離すと、

パァァァァン!!

俺の頬を思いっきりひっぱたいた。

「なにするんだよぉ〜」

頬を押さえながら俺は文句を言うと、

「いきなりするなんて、イヤよ!!」

「ごめんごめん」

「もぅ…」

”いきなり”はちょっとまずかったか…

頬を撫でながら俺が先に座ると、

彼女も一緒になって腰を下ろした。

「デリカシーの無い人は嫌い」

「悪かったってぇ…」

プイっ

と横を向く彼女の機嫌を何とか取っているとき、

コトン…コロコロコロ

何かが転がってくると

コツン!!

っと美佳のアタマに当たった。

「痛っ

 なにこれ?」

美佳がそれを手に取ってみると、

それは細長く片方が尖った筒状のモノだった。

「どれ見せてみ?」

俺は美佳かからそれを受けとるとシゲシゲと眺めた。

「あっそれ、

 あそこから落ちてきた見たい」

と由美は壁を指さす。

すると、そこには同じような筒が1本下がっていて、

その左側は空間が開いていた。

「ふぅーん

 あそこから落ちてきたのか」

壁を見ながら俺はそう言うと、

「ん?、何かが入っている…」

筒の中に黒い塊が入っていることに気づき、

それを上下に振ると、

ポトっ!!

筒の中から何かが飛び出てきた。

「なんだこりゃぁ?」

俺はそれを手にとって落ちてきた物体を見てみると、

なんとそれは干からびた男のペニスだった。

「うわっ、なんじゃぁこりゃぁ…」

俺はそう叫ぶながら思わずそれを放り投げると、

「なぁに?」

起きあがった美佳がそれを拾いじっくりと眺めた。

「おっおい、そんな気味の悪いのさっさと棄ててしまえよ!!」

そう俺は言うが、

美佳は俺の顔を見るなり、

「あはは…」

と笑うと、

「雄一、これ、作り物よ」

と言って俺に見せた。

「作りモノぉ?」

「へぇ…こんなのに驚くなんて以外と肝っ玉が小さいのね」

美佳が軽く笑う、

「うるせー」

俺はちょっとムカっとくると、

美佳からそれをひったくるなり再度それを眺めた。

「確かに作り物のように見えるが…」

そう思ったそのとき、

ピクッ

それが微かに動いた。

「!」

声を出す間もなく俺は再びそれを放り投げた。

「なに、驚いてんのよ…」

美佳が情けなさそうに言う。

「それにしても、良くできているねぇ」

美佳がしばらく眺めた後、

突然それをペロリとなめた。

「おいおい、そんなもん舐めて、汚いぞ」

と俺は諭したが、

美佳は俺の言葉なんぞ耳を貸さずそれを舐め続ける。

「おっおい、美佳…」

彼女の目は徐々に欲情の目つきになり、

「あ…ん…」

スカートの中に空いている左手を突っ込むと、

自分の股間を慰め始めた。

俺が思わず唖然として、

「なっ何やってんだお前…」

そう言って俺が美佳の体に触れようとしたとき、

「触らないで!!」

と言う言葉と共に、普段の美佳とは信じられないような力で

俺は突き飛ばされた。

「痛ってぇーなっ!!」

尻餅をついた俺は美佳に怒鳴ったが

しかし、彼女は一切介せずひたすらそれを舐め続けていた。

「ぷはぁ〜」

と言う声と共に美佳はそれを口から離したが、

唾液に濡れているそれは、

さっきよりもリアリティーが増し、

それどころが大きく勃起し

まるで本物のペニスと見違えないくらいになっていた。

はぁはぁはぁ…

美佳は事も無げに左手でパンティをずり下げ、スカートを捲りあげると

口から離したそれをゆっくりと自分の股間へと移動させていく…

ようやく自分のしている事に気が付いたのだろうか?

美佳の表情に少し変化があった。

「だめ…」

「やめて…」

とうとう美佳は声を上げだした。

「やめて…やめて…」

そう言いながらもそれを自分の合わせ目に沿って這わせはじめる。

「…………」

俺はただ唖然と彼女の様子を眺めているだけだった。

ピチュピチュ

「あは…はぁ…はぁ」

俺の目の前で、美佳は更にそれと割れ目を激しく擦り合わせる。

その光景は…

なんというか、危ないエッチビデオのようで、

俺はそれを止めようという事すら忘れていた。

「うッ!?」

だが、突然美佳の動きが止まる。

一瞬イったのかと思ったが、

「やめて…」

美佳はそう叫ぶと、

グニュッ

手にしていたそれを自分の”中”へ押し込み始めた。

「オっオイ、美佳…」

俺はようやく自分を取り戻し、彼女が心配になって声をかけたが、

美佳は一切無視してそれを押し込むことに専念しはじめた。

するとそれは

ズブズブズブ

と彼女の体の中にゆっくりと入ってゆき、

ついには首の部分が割れ目より顔を出すだけになってしまった。

美佳は恍惚とした表情のまま、

今度はその覗かせている首の部分を握り締めると

シュ…シュ…

っと男のオナニーの様に扱き初めた。

最初は顔を赤くしたまま、耐えていたようだが

「あ〜っ」

感じるのか美佳が喘ぎ声を出し始めると

彼女の手のなかのそれはまるでキノコが成長するごとく、徐々に大きくなり始め、

それに合わせて彼女の手の動きも幅が大きくなってきた。

「美佳…お前…」

俺は直感的にその場にいることに危険を感じると、

少しずつ美佳から遠ざかり始めた。

はぁはぁはぁはぁ…

そうしている間も、美佳は黒光りする逸物の先端から

透明な液体を溢れさせている。

そして俺は次の瞬間、

信じられない光景を見た、

「はぁ、何か…何かが…出るッ、出るぅ〜ッ!!」

そう叫び声をあげると

「うぉうぉうぉ〜っ」

ドピュトピュッ…

それは彼女の呻き声と共に、

それの先から白い液が噴き出したのだ。

「ばかな……

 こんなコトが…」

俺は目の前で起きていることが信じられなかった。

はぁはぁはぁ…

目がトロンとして美佳は自分の股間を眺める。

そして、満足そうな笑みを浮かべていた。

「おぃ、美佳…」

俺が彼女に近づくと、

「…あれ…あたし、どうしたんだろ…」

美佳は急に頭を押さえ込んだ。

「美佳、お前、一体どうしたんだ?」

暫く頭を抱え込んだまま、俯いていた美佳だったが、

「なっ、何よ、これッ!?いや〜ッ!!」

突如として悲鳴をあげた。

そして、震えながら、自分の股間に生えた逸物に驚愕していた。


その後、ようやく俺がなだめると、

美佳は少しずつ先程の記憶を取り戻し始めた。

「…それでね、勝手に体が動き出して…

最後に何かが出るッて思ったところで記憶が途切れてるのよ…」

強気だったさっきまでとは打って変わって、

美佳は気弱そうに項垂れていた。

そして、急に涙を浮かべた目を俺に向けると

「ねぇ、雄一。これ、どうしたらいいの?」

自分の股間で萎えているペニスを指差しながら聞いてきた。

「う〜ん、引っ張っても取れないんじゃなぁ…」

俺はなだめた直後に二人で引っ張りあいっこしたのを

思い出しながら困惑していた。

「いっそのこと、病院で取ってもらうか?」

「いやっ。そんなの恥ずかしいよッ。

 それに一体どうやってこれを説明するの?」

確かに病院に行って、”差し込んだら抜けなくなった”と

女の子が気軽にいえるはずがなかった。

「そうだなぁ…

 そういえば、この前、エッチをしたら元に戻ったとか

 そういう話があったような気がするんだけど…」

俺は慌てて頭の片隅に残っていたことを口にする。

すると、美佳は顔を赤く染めながら、

「それは雄一が読んでるエッチな本での話でしょ?」

と恥ずかしそうに答えた。

「でも案外、やってみたら抜けるかもしれないぞ?」

そういうと、

「…うーん、そうかもしれない…」

と意外にも美佳は反対しなかった。


「で、どうすればいいわけ?」

美佳は自分の股間から顔を出しているペニスを眺めながら、

控えめに俺に尋ねる。

「うん、多分。それも俺のチンポと同じだと思うから、

 扱けばいいんだと思うぞ」

俺は、美佳の女性器のすぐ上に生えたようになっているペニスに

少し興奮を覚えながら答えた。

「…ダメ。全然分かんないよ」

美佳は困惑しつついう。

「じゃあ、俺がしてみようか?」

というと、

「うん」

と答えた。

俺は床に座り込んでいる美佳に近づくと足の傍に座り、

萎えているものの確実に俺のモノより大きいソレを

そっと握った。

「あッ!?」

それを感じ取ったのだろうか?美佳は敏感に反応する。

「美佳、本当に触られた感触があるのか?」

と聞くと、こっくりと頷いた。

「まさか本物のチンポみたいになってしまうなんてな…

 作り物だなんていってたのに…」

「ごめんね、雄一」

美佳は珍しく汐らしく謝った。

俺はそんな美佳を見ながら、

「じゃあ、扱くぞ?」

「うん」

美佳のペニスを愛撫し始めた。

シュッ…シュッ

その途端、

「ああッ!?いやぁ〜ッ!!」

美佳は甘ったるい声を上げる。

そんなにも気持ちいいのだろうか?

さっきは操られていたせいなのか、今回は激しく美佳は悶える。

「うはッ…あはッ…はぁはぁ」

美佳はまるで激しいエッチをしているかのように激しく呼吸していた。

そして、俺もあの干からびていたはずのペニスで感じながら喘ぐ美佳を見て

妙に興奮し始めた。

「ああっ、何かがこみ上げてくるぅ…ダ、ダメ〜ッ」

そういうと、間もなく、俺の手に美佳のペニスの痙攣が伝わってきた。

そして、何かがペニスの中を膨らませながら駆け抜けていく。

「ぐぉぉぉ〜ッ!!」

ビュッ…ビュッビュッ

2回目のせいだろうか?

美佳はさっきよりも粘っこくなった精液を射出した。

「すげぇ…」

俺が一人エッチするときより明らかにすごい射精に俺は驚いていた。

そして、ましてや自分の彼女が男の俺より精力があることに

なんともいえぬ気分を感じていた。

「はぁはぁはぁ…気持ちいい〜、なんて気持ちなの…」

美佳は萎えていく自分のペニスを握り締めながら、上気していた。

「そんなにすごかったか?」

「うん。そっか、これが雄一の…男の子の感じなんだ」

どうやら、美佳は美佳で男の感覚に興奮しているらしい。

「ふ〜ん、なんだか得した気分。まさか男の子感覚を知ることができるなんて」

「それより、抜けそうか?それ?」

俺はそんな美佳に呆れつつも、ふと心配になっていう。

だが、美佳は

「え?…まだ抜けそうにないけど。それより、もう一回だけしてみていい?」

とグーにして握り締めた手をぶんぶん振り回しながらいった。

「ああ…別にいいけど」と俺が言うと、

「じゃあ今度は自分でしてみる」

といって、美佳は自分の細い指で不釣合いな黒光りするペニスを握り締めると

シュッシュッシュッ…

と慣れた手つきで扱き出した。

「はぁはぁはぁ…」

徐々に美佳の呼吸が速くなる。

それにつれて、上下する手の速度も上がりだした。

それを見ていると不謹慎ながらも俺のペニスも

美佳のペニス同様に勃起し始めた。

「すごい…はぁ…あはぁ…自分がとろけそう…」

美佳はコツを掴んだのか、すぐにイかないように

扱く速度を調整しながらセンズリをしている。

「あ…なんかが溢れてくる…」

俺がやったときはすぐに射精してしまったため、

我慢汁が出ることはなかったが

長期戦に突入し始めた美佳のペニスから透明な液体が溢れ始めていた。

「うわッ、我慢汁か?」

「あはっ…はぁ…そうなの?」

美佳は我慢汁で手をべとべとにしながら、更に高みに上り始めた。

ヌチャヌチャ

我慢汁のせいで、室内になんとも嫌らしい音が響く。

「あぁ…もうダメッ!!出ちゃう〜、出ちゃうよッ!!」

美佳はそううめくと、

「あたし、あたしィ〜…ぐぉぉぉぉぉッ!!!」

3回目だというのに、これまで最高潮に達し、

ビピュッピピュッピピュッ!!

とその怪しく黒く光るペニスから大量の精液を吐き出す。

そのあまりの激しさに、俺も少し浴びてしまった。

そして、確かに精液の栗の華のような匂いが鼻を突いた。

「くッハァ〜ッ!!」

美佳はまるでハッスルしきった男のように、最後の精液を搾り出していた。

「くぅ〜ッ!」

俺は美佳が男の快感に浸っているのを妙に羨ましく感じていた。

俺はもう果てたものだと思っていたのだが、

まだ息巻いている美佳にふと違和感を感じた。

「はぁはぁはぁ…」

「…って、美佳?」

そして、俺は行為を終えたはずの美佳を覗き込むが、

美佳はまだ興奮の最中にいた。

そう…それで終わったわけではなかったのだ。

美佳のペニスはそれでもなおいきり立っており、

美佳もペニスをしっかりと握り締めていた。

そして、その手の中で、美佳のペニスは自己主張するかのように

ビクンッ

と激しく脈打った。

「うッ!?」

その途端、美佳も我慢できなくなったのか、

思わず呻き声を上げた。

美佳のペニスは衰えることを知らず、

更にビクンビクンッと鎌首をもたげていくと、

再び美佳を男の行為へと誘う。

シュッコシュッコ…

「うぅぅ…ダメ、また出る出るぅッ!!」

ビュバッビュバッ…

そういうと、美佳は出し切ったはずのペニスから再び白濁した粘液を飛ばした。

「うそだろ…」

俺は呆然と眺めていると、

未だに男の行為を続けていている美佳の体に

変化が起こりつつあるのに気づいた。

シュッコシュッコシュッコ…

そう…

その扱いている美佳の股間に埋まったペニスの傍から黒ずみが広がっていくのだ。

まるで美佳がペニスを扱く事がキーになっているように、

美佳の動きに合わせてジワジワと黒ずみは広がる。

「くッハァ〜ッ!!」

ドピュッドピュッ

だというのに、美佳はまだ絶頂の中だ。

そうしている内に、

美佳のピンク色の女唇は褐色に染まり、その口を閉じていく。

その代わりというのか、

今度は女唇の両側にひだひだが現れ、

徐々に膨らみを見せていく。

あまりにも現実離れした出来事に俺はただ見つめていることしかできなかった。

ビクッビクッ

美佳が扱いているせいなのか、筋肉が波打っているせいなのか、

美佳の足や、腹に筋の影が現れ始めると、

周りの柔らかな脂肪を吸収していくかのように逞しく筋肉が発達していく。

ギシッギシッ

そして、筋肉に吸い取られるようにヒップがへこみ始めると、

骨盤の形が変わりだしたのか、骨が変形するような音が響きだした。

「そんな…」

呟く俺の目の前で美佳は徐々に…

しかし、確実に逞しい男の肉体に変化しつつあった。

「あん…あああん…あはッ」

美佳は女の声で喘いでいるのに、その顔の下では、

ブリッブリッ

と胸板が張り出すと、成長過程のふくよかな胸を、

逞しい筋肉が多いつくし…

ペニスの性感からか大きく張り詰めていた乳首は、

黒く色ずむとピクピクと小さく萎縮していった。

「はぁん…体が…体が熱いッ…熱いよ〜」

美佳はそう魘され始めると、

筋骨逞しくなりつつある美佳の肉体から汗が噴出し…

するとまるで汗に染料が含まれているかのように、

肌が褐色に染まっていく。

「はぁはぁはぁ…」

ムァ〜

そして、美佳からあのいつもの甘い香りでなく、

全く違うきつい体臭が放たれだした。

そうする間も、美佳は男の行為をやめず、

自分の周りに自分の精液を放ちまくっていた。

「…こんな事が…」

俺は呆然としていたが、

不意にこのままではたいへんなことになってしまうのでは?

という恐怖感につかれた。

「クソッ…どうやって止めたらいいんだ?…ええい、もうこうなったら…」

俺はもう形振りかまわず美佳に体当たりして、行為を止めさせた。

「はぁはぁはぁ…雄一?」

しかし、美佳はまだ現状を認識していないかのようにぼう〜としている。

「おい、美佳。お前、自分がどうなってるのか分かっているのか?」

俺はすっかり腕や足も筋肉質化し、

長く伸びてしまった美佳を見下ろしながら尋ねた。

「あ…ああ…あああ…」

ようやく美佳は理解したのかと思いきや、


美佳は再び勃起し始めるペニスを握り締めていた。

「おい、美佳。このままじゃ、お前でいられなくなるぞッ」

俺は美佳を揺すぶるが、

シュッコ…シュッコ…

美佳は再び男のオナニーをし始めた。

ビキビキビキ…

それに合わせるかのように、美佳の胴体は更に発達し、

既に体に張り付いていたブラウスのボタンが次々と千切れていく。

そして、短くなった裾からは腹筋が漲った褐色の腹が見え出していた。

「うはぁ…気持ちいい〜ッ…まるで自分が自分でなくなっていくみたい…」

美佳は変身していっていること自体に快感を感じているらしく、

体をうねらせていた。

「クソッ!!」

俺はたまらなくなって、実力行使に出、

美佳の手をあの忌まわしいペニスから引き離す。

「ぃ、いやッ!!やらせてよ、雄一。あたし、我慢できないのッ。

 あと少しで…あと少しでイけそうなんだから…」

それでも美佳は黒く染まりつつある手で必死に抵抗した。

「おい、お前。このままじゃ、マジで男になってしまうぞッ」

俺は心の中の不安をぶちまけた。

だが、

「…分かってる。自分でも変だって分かってるよぉ。

 でも、でも…我慢できないのぉ」

美佳は必死にそう言い張ると、すっかり血走った目で

まるで男のように激しくセンズリ扱き出した。

シュッシュッシュッシュッ…

「はッ…はッ…はッ…」

それは、千切れた女子生徒の服をまといながら、

男の行為に耽る裸族の勇者のように見えた。

そうしている間にも、肌は更に黒褐色へと変化していく。

俺はもはやどうしていいか分からず、ただそんな美佳を眺めていた。

「クッ…つつッ…もッ、もう、ダメ…

 あたしが…あたしが…

 自分でなくなるぅ〜ッ」

と呟くと、美佳はまるで目の前に女がいるかのように腰を激しく突き出した。

そして、

「フンッ!!」

というまるで男のような声を上げると、

ブシュッブシュッブシュッ…

まるで、水鉄砲のように精液を部屋に撒き散らした。

はぁはぁはぁ…

そして、美佳の目はすっかり色を失っていた。

「おぃ、美佳…」

俺が彼女に声をかけると

「俺に近付くなっ」

っと彼女はまるで男のような声を出した。

「え?」

「ふふふ…やっと俺は自分の身体を手に入れたぞ」

美佳は男の声でしゃべり出すと

自分の体に張り付いていた制服を眺めると、

「ふんっ、俺にこんなモノはいらん!!」

と言いながら、

ビリビリビリ

服を引き裂きだした、

「なっ」

程なくして、彼女は全裸になった。

だが、その肉体は既にアフリカの部族の男性にしか見えなかった。

ただ唯一美佳らしさを残しているのは、顔だけだった。

「美佳…お前、どうして?…」

俺は呆然と尋ねると、

「ふふっ、俺は美佳じゃないぞ。

 まぁ、美佳という女であったのは確かだがな」

とまるで他人のことのようにいった。

「どういうことなんだ?」

と聞くと、

「美佳という女の精神は既に俺の意識の中に取り込んでやった。

 だから、お前の言葉も解せるし、お前が誰かかも分かってるんだ、雄一」

美佳はニヤニヤすると、喉仏を震わせながら、低い声でそういった。

「なんだって!?」

俺は理解できず、聞き返す。

「ふふん、それにしても、呪術はなかなかよかったようだな。

 ありがとよ、俺を復活させてくれて」

「何のことだ?」

「俺はな、部族間の戦いで命を落としたんだが、

 戦いの前に呪術師に復活の呪いしてもらっていたんだ。

 そして、

 やつらは卑劣にも死んだ俺の象徴を切り裂きコテカと共に売り物にした。

 俺の魂も一緒についているとは知らずにな。

 全く、この女が鈍感でよかったぜ。

 お前はすぐに投げ捨てたんで取り込めなかったが、

 美佳とかいうこの女、まんまと術中にハマってくれてな。

 それにしても、しっかりと俺の体になってくてるぜ」

美佳は満足そうに自分の全身の筋肉を摩りながら呟いていた。

「貴様、何いってんだ」

俺が怒鳴ると

「ふん、お前はまだわかんないみたいだな…

 そうだ、

 せっかくだから、最後の仕上げはお前に手伝ってもらおう。

 お前はこの女のことが好きだったようだし」

というと、美佳はいやらしい笑みを浮かべながら立ち上がった。

いつの間に背が伸びたのか、美佳は身長が勇に2メートル近くあった。

ドキマギする俺に、美佳は余裕の表情で近づくと、

ゆっくりと自分の顔を俺の顔に近づけていく。

「おいッ!?」

「ふふふ…最後のおまけだ。キスというものをしてやろう」

そういうと、美佳はいきなり俺の口を塞いだ。

ンプッ

目の前にある顔は確かに美佳のものだったが、

その息の匂いも、顔を伝う汗の匂いも、美佳のものとは違っていた。

ンンッ

唇と唇が激しく当てがわれる。

そうしている内に、俺は妙な感覚を覚えた。

美佳の唇がだんだん腫れ上がっているように感じたのだ。

俺は驚いて目を開けると、

美佳の唇はだんだん突き出し始め、

顔の中でも大きなアクセントになりつつあった。

そして、荒い鼻息を漏らす鼻は徐々に膨れるように鼻孔が広がり、

鼻の高さも高くなると、

目元も大きく変化していく。

「ヒッ!?」

俺は思わず恐ろしくなって、美佳から唇を離した。

そして、間もなく美佳の顔から美佳の面影は消え去ると、

俺の目の前で裸族の勇者というのに相応しい顔形に変化していった。

すると、美佳はいやらしい笑みを浮かべ、

「ふふふ…お前のおかげで俺の体に完全に戻った。

 どうだ、この体は?

 立派なもんだろう?」

というと、俺の手を掴み、自分の股間へと導く。

そして、俺は無理やり美佳のペニスと睾丸に触れさせられた。

「ここにお前の彼女のアレがあったんだぞ。すごいもんだろう?」

俺はそのとき悟った。

こいつはもう既に美佳じゃないんだということに…

「こいつッ、俺の美佳を返せッ!!」

俺は次の瞬間、そいつに殴りかかっていた。

だが見事交わされると、腹部に一撃食らってしまった。

俺は床に座り込むと、元美佳は冷ややかな表情を浮かべ、

あのペニスが入っていた筒を取りにいく。

そして、その筒を手に取ると自分のペニスに被せ、

「ようし…………」

そう言いながら、俺をジロリと見るなり、

「これでさよならだ、雄一…」

とひとこと言うと、

傍に置いてあった槍を手にとり、

バッ

「………」

槍を構えた。

そして何か呪文のような言葉を発すると、

すぅ…

男になった美佳は俺の目の前から、

まるで霧が晴れるようにしてその姿を消した。

「………………」

俺は唖然として、彼女が消えた跡を眺めていた。



おわり



この作品は拙作「忘れられた部屋」を元に
バオバブさんが独自の視点で新たに書かれたものです。