風祭文庫・モランの館






「忘れられた部屋」
(第2話:由香の変身)


原作・風祭玲
演出・バオバブ

Vol.T-001





「ちょっとぉ〜いいの?

 勝手に入ってぇ」

俺の後ろで由佳が心配そうな顔をすると、

「あぁ大丈夫だ、誰もいないよ」

彼女を心配させないように部屋の様子を伺いながら俺は答えた。



北校舎の奥にその部屋はある。

なんでも、無類の旅行好きだった先代の校長が、

世界の至る所の土産物を生徒の教材にと学校に寄贈して作らせた部屋なのだが、

あまりにものの気味の悪さに近づく生徒はおらず、

そのために校長が代わると、すっかり忘れられた存在になっていた。

しかし、近付く者がいないと言うことは、

逆に格好の隠れ場所…と言うことで、

俺たちの様な不埒モノが入り浸る部屋になっていた。


「よっこいしょ」

先に俺が入り、

「うんしょ」

後から入ってくる由佳の手助けをする。

「いつ見ても…スゴイ部屋だねぇ…」

由佳が展示品を眺めながら感想を言うと、

「気味の悪さじゃぁ、そこいら辺のミステリースポットよりは上だな」

俺も展示品を見ながらそう言い、

そして、

「なぁ、知っているか?」

と由佳にあることを尋ねる。

「なによっ」

俺の質問に由佳は返事をすると、

「去年、ここで一人の女子生徒が行方不明になったんだってな」

と由佳に説明をする。

「え?

 うそっ」

俺に説明に由佳の顔色が見る見る変わると、

「まっ

 もっとも、

 嘘か本当かは判らないけどね」

そう言いながら俺はそんな由佳を抱き寄せ、

いきなり唇を重ね合わせた。

「んっんん〜っ」

パァン

由佳は渾身の力を込めて唇を離すと、

いきなり俺の頬をひっぱたいた。

「あにするんだよぉ!!」

頬を押さえながら俺は文句を言うと、

「いきなりするなんて、イヤよ!!」

と言って口を尖らせた。

「ごめんごめん」

「もぅ」

”いきなり”はちょっとまずかったか…

頬を撫でながら、俺が座ると、由佳も一緒になって腰を下ろした。

「デリカシーの無い人は嫌い」

「悪かったってぇ…」

何とか彼女の機嫌を取っているとき、

コトン!

…コロコロコロ

コツン!

何かが転がってきて由佳のアタマに当たった。

「痛っ」

「なんだこれ?」

俺は由佳の頭に落ちてきたそれを手に取ってみると、

それは細長く片方が尖った筒状のモノだった。

すると、

「あっあそこから落ちてきた見たい」

落ちてきた物を眺めている俺に由佳は壁を指さすと、

その先にはそこには同じような筒が2本下がっていて、

その左側には約2本分の空間が開いていた。

「ふぅーん

 あそこから落ちてきたのか」

壁を見ながら俺はそう言うと、

「ん?、

 何かが入っている…」

筒の中に物体が入っていることに気づいた俺は

筒を上下に振ってみると、

ポトっ

中から入っていた物体が出てきた。

「なんだこりゃぁ?」

俺の掌に落ちてきた物体を改めて見てみると、

それは干からびた男の逸物だった。

「うわっ、なんじゃぁこりゃぁ…」

俺はそう叫ぶと、思わずそれを放り投げた。

「なぁに?」

起きあがった由佳がそれを拾うとしげしげと眺めた後、

「あはは…」

と笑い、

「雄一、これ、作り物よ」

と言って振って見せた。

「作りモノぉ?」

「へぇ…こんなのに驚くなんて、以外と肝っ玉が小さいのね」

由佳が軽く笑う、

「うるせー」

俺はちょっとムカっときて由佳からそれをひったくると、

しげしげとそれを眺めた。

確かに作り物のように見えるが…

っと思ったそのとき、それがピクッと動いた。

「!」

声を出す間もなく、俺はそれを放り投げた。

「なにそんなに驚いてんの…」

由佳が俺を見ながら情けなさそうに言いながら

「それにしても、良くできているねぇ」

っとしばらく眺めた後、突然それをペロリとなめた。

「おいおい、そんなもん舐めて、汚いぞ」

と俺は彼女に諭したが、

由佳は俺の言葉なんぞ耳を貸さずそれを舐めていた。

「おっおい、由佳…」

由佳の目は徐々に欲情の目つきになり、

空いている左手で自分の股間を慰め始めた。

「なっ何やってんだお前…」

そう言って俺が由佳の体に触れようとしたとき、

「触らないで」

と言う言葉と共に俺は突き飛ばされた。

「痛ってぇーな」

俺は尻餅をついて由佳に怒鳴ったが彼女は一切介せず、

ひたすらそれを舐め続けていた。

「ぷはぁ」

と声と共に由佳はそれを口から離したが、

唾液に濡れているそれは、さっきよりもリアリティーが増し、

本物のペニスと見違えないくらいになっていた。

はぁはぁはぁ

さらに由佳は口から離したそれを自分の股間へともって行きだした。

「だめ…

 やめて…」

由佳が声を上げだした。

「やめて…やめて…」

そう言いながら、それを自分の合わせ目に沿って這わせはじめた。

「…………」

俺はただ彼女の様子を眺めているだけだった。

やがて由佳は、

「やめて…」

と言いながら、それを持ち替えると自分の”中”へ押し込み始めた

「オっオイ、由佳…」

俺は彼女が心配になって声をかけたが、

由佳は一切無視してそれを押し込むことに専念しはじめた。

するとそれは

ズブズブズブ…

と彼女の体内へと入ってゆき、

割れ目から首の部分が顔を覗かせる様になった。

そして由佳は今度はその覗かせている首の部分を

シュ…シュ…

っと男のオナニーの様に扱き初めた。

「あ〜っ」

感じるのか由佳が喘ぎ声を出し始めると、

彼女の手のなかのそれはキノコが成長するごとく徐々に大きくなり始め、

それに併せて彼女の手の動きも幅が大きくなってきた。

「由佳…お前…」

俺は直感的にその場にいることに危険を感じると、

少しずつ由佳から遠ざかり始めた。

そして信じられない光景を見た、

「はぁ、イク…イクーっ」

由佳はそう叫び声をあげると、

「うぉうぉうぉ〜っ」

シュン!!

彼女の呻き声と共に、先から白い液が噴き出した。

「ばかな………

 こんなコトが…」

俺は目の前で起きていることが信じられなかった。

はぁはぁはぁ

目がトロンとして由佳は自分の股間を眺める。

「おぃ、由佳…」

俺が彼女に近付くと、

「あ…あたし…」

と呟いた。

「由佳、お前大丈夫なのか?」

「雄一…あたし…うぅっ」

俺の声に由佳は顔を上げようとしたが、突然うめき声を上げた。

「おっおいっ、どうしたんだ!!」

由佳の股間を見るといつの間にか2つの膨らみが現れ出していた。

「あぁぁ〜っ」

体の奥から湧き上がって来るような感覚に、由佳は悶え声を漏らす。

ムニムニ…

生々しく膨らんでいくそれが男の睾丸であることはすぐに分かった。

そして、それに合わせるようにペニスと睾丸の周囲が少しずつ黒く染まっていく。

「だめ…やめて…

 くぅっ…」

睾丸の発達に伴って萎えていたペニスがピクピクと再び勃起を始めた。

まるで、ペニス自身が意識を持っているような動きだった。

「由佳…一体これ…どうなってるんだよっ!!」

俺は焦りながら由佳に声を掛けるが、

由佳は全く聞こえていない様子で、

必死に性欲に耐えているようだった。

「いっ、いや…」

由佳の意識は拒絶しようとしているらしいものの、

彼女の手は少しずつペニスへと伸びていく。

「だめ…我慢できない…」

由佳はそう叫ぶとペニスをさきほどの倍ぐらいの勢いを付けて扱き始めた。

「うぉ〜」

由佳の柔らかい手で揉み扱かれるペニスはビンビンに張り、

彼女の目は次第に血走っていく。

「くぅ〜…」

由佳は手慣れた手つきで自分の股間に埋め込まれた黒光りするペニスを扱く、

「これ…これよ…」

不思議なことに、あれほど嫌がっていたはずの由佳の顔が喜びに満ち始めた。

「この感覚…」

まるで由佳は昔失った何かを取り戻そうとしているかのように、

ペニスを握る手を激しく上下させる。

「くぅぅ…うぉうぉうぉ〜」

ブシュッ!!

雄たけびを上げると再び白濁した液を吹き上げた。

「こんな…」

思わず絶句してしまった俺が床を見ると、

最初のときの倍ぐらいの量で、

なおかつより粘性が増したような精液が飛び散っていた。

「由佳…お前一体どうしちまったんだよっ」

由佳に駆け寄ると、頭を掴んで俺の顔に向けさせた。

「ゆ…雄一……」

由佳の顔はすっかり緩んでいて正気とは思えなかった。

「もうだめ……あたし…」

「くそっ、由佳がこんなことになったのもこれのせいだ!!」

俺は由佳の股間に入ってしまったペニスを掴んで思いっきり抜こうとした。

ペニスはまるで初めから由佳の股間の生えていたかのように周りと同化していて、

その上、彼女の割れ目は消失していた。

「そんな…」

さたに良く見るとペニスが萎えていくのにしたがって、

股間周りから皮膚の黒ずみがゆっくりと広がっていく。

「くそっ」

俺は怒りにまかせて、もう一度由佳のペニスを引っ張った。

ブシュッ!!

その途端、

まだ残っていたのか、由佳のペニスは精液を少量ではあったが、

吹き上げ俺の顔に掛かる。

「うわっ…」

それは確かに間違いなく精液の匂いだった。

「雄一…」

今の刺激で正気に戻ったのか、

目の潤ませながら由佳は俺の方を向いた。

「由佳…お前、大丈夫なのか?」

俺の問いかけに

「あたし…あたし…

 自分が分かんないの。

 あの干からびたオチンチン触ってたら、
 
 体が操られるかのように動き出して…

 それでなんかが頭の中に入って来るの…

 …

 あっ、また…

 いや、やめて…

 雄一、助けて…助けてよ」

由佳は頭を両手で押さえながら、俺に助けを求めた。

「そんなこと言ったって…俺に何ができるって言うんだ」

俺は思わず叫ぶと、

「うわぁ〜」

由佳は声を上げてまたペニスを握った。

「由佳、やめるんだ!!」

…そうだ、これをいじるから由佳が男になっていくんだ。

だから、これを止めれば…

俺はペニスを掴んでいる彼女の両手を引き離そうとする。

しかし…

「うくぅ〜…

 やらせて、やらせてよ…

 あたし…

 こんなこと、したくないのに…したくないのに…

 我慢できないのっ」

そう叫びながら由佳の手は股間のペニスへと伸びていった。

「くっそう…なんて力だ!!」

俺は渾身の力を込めたが、彼女の手を引き離すことができなかった。

「なんでだっ!!」

歯を食いしばりながら、由佳の腕を見ると、

すると彼女の手はまるで日に焼けたように黒くなりはじめていて、

その上、筋肉が盛り上がり出していた。

「くっ、こんなところまで…」

3度目だというのに、ペニスは今まで一番大きくなり、

由佳の股間に聳え立つぐらいになっていた。

その上、睾丸もすっかり大きくなり、

股間にぶらーんと垂れ下がっている。

「んんんん…

 この気持ち…

 どっかで…

 違う…こんなのあたし、知らないっ!

 こんなの違うっ!!

 いや、思い出したくないっ

 だめ、あたしの中に入ってこないで…

 あなたはあたしじゃないっ

 やめて…

 知りたくない知りたくない…

 こんなの…」

由佳は、泣き叫びながらペニスを扱く。

彼女は興奮しているのか、

鼻息を荒くしながらペニスの先からは我慢汁がほとばしっていた。

「だめ〜

 あたしが…

 あたしでなくなるっ…」

そう叫び声をあげると、

「うぉうぉうぉ〜っ」

一段と大きいうめき声と共に、

ビュッビュッビュッ

と天井まで吹き上がるような勢いで、白い液が吹き出した。

「由佳っ」

俺は思わず引き下がりながら、由佳の名前を呼んだ。

ガクッ

由佳は頭を下げると、震え出した。

「くくくく…」

「え?」

「やっと身体を手に入れたぞ!!」

由佳は男の声でしゃべり出すと、

自分が着ている制服を眺め、

そして、

「こんなモノはいらん!!」

と一言言うと、

ビリビリビリ

っと制服を引き裂きだした、

「なっ」

一分もしないウチに彼女は全裸になった。

見ると、彼女の体は男も同然の体つきになっていた。

ふんっ

由佳は全身に渾身の力を込めると

ググググググググ

体中の筋肉が盛り上がりはじめ、

さらに、身体の骨格も変わりはじめた。

「…………」

俺は何も言えず彼女の変身を眺めていた。

やがて、由佳は筋肉が逞しく盛り上がった男になってしまった。

そして由佳は、さっきの筒を手に取ると、

ゆっくりと自分のペニスに被せた。

「ようし…………」

そう言いながら、由佳は俺をジロリと見ると、

「俺を復活させてくれてありがとうよ」

と俺にそう言う言葉を残して、

俺の目の前からまるで霧が晴れるようにしてその姿を消した。

「………………」

俺は唖然として、彼女が消えた跡を眺めていた。



おわり



この作品は拙作「忘れられた部屋」の変身シーンを
バオバブさんが独自の視点で書かれたものです。