風祭文庫・モラン変身の館






「部屋異聞」


原作・カギヤッコ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-307





「…大丈夫でしょうか。

 迂闊に入って因縁つけられたら、

 どうしましょう…」

保奈美の後ろにいる美佳が心配そうな顔をしてみせると、

「大丈夫だぁって、

 誰もいないよ。

 さっ行くわよ」

部屋の様子を伺っていた保奈美は中に人影が無いことを確認すると、

美佳の手を引いた。



北校舎の奥にその部屋はあった。

無類の旅行好きだった先代の校長が様々な世界の至る所の土産物を

生徒の教材にと学校に寄贈して作らせた部屋なのだが、

そのほとんどがいわゆる「キワモノ」ばかりだった事もあり、

それらが醸し出す気味の悪さに近づく生徒はいなかった。

そのために校長が代わった途端、

その部屋は忘れられた存在になり、

いつの頃からかそこは「封印された部屋」と呼ばれるようになっていた。

しかし、近付く者がいない…

と言う事はすなわち格好の隠れ場所と言う事で、

不埒モノが入り浸る格好の隠れ家になっているのも事実だった。

美佳と保奈美の二人はさすがにそう言う不埒ものでこそなかったが、

授業の関係でこの部屋にある品物を持ってくる事になり、

恐る恐るながらもこの部屋に足を運んでいたのであった。

カチャリ、

ガラガラ…

鍵を開けるや先に保奈美が入り、

「うんしょ」

後から入ってくる美佳の手助けをする。

「いつ来てもスゴイ部屋ですねぇ…」

怯えるようにして美佳は展示品を眺めると、

「あはは…気味の悪さじゃぁ、

 そこいら辺のミステリースポットより上位は確実だね」

胸を張り笑いながら保奈美は頷いてみせる。

そして、

「じゃ…始めますか」

「はっはいっ」

対照的な態度を見せつつ二人は品物を探し始めたのだが、

「あぁんもぅっ

 見つからないよぉ!!!」

「えっと…聞いた話だと

 この辺りらしいのですが…

 うーん、どこかなぁ」

手探り状態で二人は目的の品物を探すが、

しかし、思うように作業は進まず。

「んがぁぁぁ!!!

 もぅ全部纏めてポイしてやりたい気分だわ」

ついに保奈美が頭をかきむしりながら爆発してしまうと、

「しーっ、

 大声を出さないでください」

美佳は慌てて嗜めようとするが、

しかし、そこには保奈美の姿はなく、

それと同時に誰かの指が美佳の背中を突っついた。

「ひっ!」

間髪いれずにギクッとなった美佳は恐る恐る振り向くと

彼女の目の前に異様なデザインの顔が浮かぶが、

パァァァァン!!

「キャッ!」

声よりも早く美佳は渾身の力を込めて思いっきりひっぱたいてしまうと、

顔は天高く飛び上がり、

床の上を転がっていく。

「み、美佳ったらやりすぎよぉ〜」

顔があったその場所で頬を押さえながら保奈美が文句を言うと、

「保奈美さんっ!

 変な冗談はやめてくださいっ!!」

「ごめんごめん」

「もぅ…」

「あはは、ちょっと冗談がすぎたかな…」

頬を撫でなでつつ保奈美は探し物を再開すると、

気持ちが落ち着いたのか美佳も探し始めた。

「中々見つからないですね」

「それ、さっきあたしが言った台詞…」

などと言いながら二人が探し続けている時、

コトン…コロコロコロ

棚の上を何かが転がってくると、

コツンと音を立てて美佳の頭に当たった。

「痛っ…ってなんですか、これは?」

頭をなでつつ美佳がそれを手に取ってみると、

それは細長く片方が尖った筒状のモノだった。

すると、

「なになに?

 見せてよぉ」

「あっ」

横から割り込んできた保奈美が美佳からそれを奪うとシゲシゲと眺める。

「どうも、あそこから落ちてきたみたいです」

と美佳は壁を指さす。

「ふーん」

その壁には筒が入っていた跡らしい空間が開いていて、

「ふぅーん、あそこから落ちてきたのかぁ」

壁を見ながら保奈美は呟き、

筒の先を覗き込んだ。

「あれ?

 何かが入っている…」

筒の中に黒い塊が入っている事に気づいた保奈美が筒を上下に振って見せると

ポトっ!!

勢いを持って筒の中から何かが飛び出てきた。

「何これ?

 何かの干物かな?」

それを手にとって落ちてきた物体を見てみると、

なんとそれは干からびた男のペニスだった。

「キャッ!」

保奈美はそう叫びながら思わずそれを放り投げると、

それはぺチンと力ない音を立てて美佳の足元に落ちた。

「どうしたのですか?」

それを拾い上げた美佳がじっくりと眺めると。

「み、美佳ぁ、

 そんな気味の悪いのさっさと棄てちゃって!」

と保奈美は激しい口ぶりで言うが、

美佳は保奈美の顔を見るなり、

あはは…と笑うや、

「保奈美さん、

 これ、作り物です」

と言って保奈美の目の前に見せた。

「作りモノぉ?」

「へぇ…こんなのに驚くなんて、

 案外怖がり屋さんなんですね」

美佳が軽く笑うが、

「そ、そんなんじゃないわよぉ!」

そのことを指摘された保奈美は不機嫌そうな表情を見せるや、

美佳からそれをひったくるなり再度それを眺めた。

「むーっ

 確かに作り物のように見えるけど…」

と彼女がそう思ったその時、

ピクッ

それが微かに動いた。

「!」

声を出す間もなく保奈美は再びそれを放り投げるや、

「ふんっ」

足を上げて踏み潰そうとする。

「保奈美さんっ」

それを見た美佳が止めに入ると、

「みっ美佳っ、

 それってやっぱり変よぉ!」

と保奈美は訴えるが

「まぁまぁ

 それにしても、良くできているねぇ」

それを拾い上げた美佳はさらにしげしげと見つめた。

そうまるで魅入られるかのように。

「美佳ぁ、

 そんなもんじっくりと眺めちゃって、

 あんた、ちょっと危ないわよ…」

あきれ半分に保奈美が言った時、

美佳はそれをペロリとなめてしまったのである。

「ひっ!

 ちょっと、

 そんなもん舐めて、汚いよぉ」

衝撃の光景にと保奈美慌てて諭したが、

美佳は保奈美の言葉なんぞ耳を貸さずそれを舐め続ける。

「ちょちょっと、美佳ぁ…」

表情を凍らせる保奈美の前で美佳の目が徐々に欲情の目つきになっていくと、

「あ…ん…」

スカートの中に空いている左手を入れると、

ショーツの中にまで手を伸ばして自分の股間を慰め始めた。



「なっ、何やってるの…」

淫らな美佳の姿に耐えられず、

保奈美が彼女の体に触れようとした時、

「触わるな!!」

の声と共に、

美佳は信じられないような力で保奈美を突き飛ばした。

「痛っ!

 なによぉ!」

尻餅をついた保奈美は美佳に怒鳴ったが、

彼女はそれを無視するようにひたすら右手に乗っているそれを舐め続け、

左手はなおも股間を慰め続ける。

「ぷはぁ〜」

と言う声と共に美佳はそれを口から離したが、

唾液に濡れたせいか半ば干からびていたそれは瑞々しい姿になり、

リアリティーを増していた。

それどころかさらにそれは大きく勃起し、

まるで本物のペニスと見違えないくらいになっていたのである。

「はぁはぁはぁ…」

軽く息を荒げながら

美佳は事も無げに股間を慰めていた左手を一度ショーツから抜き取ると、

そのままをずり下げてスカートを捲りあげる。

白い肌にぽつんと生えた朝露に濡れた草むらの様な茂みが露になるが、

美佳は気にする事無く

口から離したそれをゆっくりと自分の股間へと移動させていく…

そうするうちにようやく自分のしている事に気が付いたのだろうか、

美佳の表情に少し変化があった。

「だめ…やめて…」

その声と共に明らかな拒否の表情が浮かぶが、

それだけではなかった。

「やめて…やめて…でも…でも…」

羞恥と恍惚、

拒否と渇望が混じる顔でそう言いながらそれを茂みの奥、

彼女自身の合わせ目に沿って這わせはじめる。

「…………」

保奈美はただ唖然と彼女の様子を眺めているだけだった。

ピチュ、ピチュ…

「あは…はぁ…はぁ…」

保奈美の目の前で美佳は更にそれと割れ目を激しく擦り合わせる。

美佳も保奈美も実際見た事はないもののその光景は…

さながら危ない成人向けビデオの光景である。

只少し違うのは美佳はそれを生理学的に受け入れるべき向きとは逆の方向、

すなわちペニスの先端を外に向けて行為をしている事である。

逆に言えば根元の方を自身の合わせ目にすり合わせているとも言えよう。

「み、美佳…これって…ちょっと…」

その異様さに保奈美はそれを止めようと言う事すら忘れていた。

「って言うか、

 す、すごい…」

いや、むしろその光景に刺激されたのかその手は知らず知らずのうちに

保奈美自身のスカートの中に伸びようとしていた。

しかし、

ビクッ

「うッ!?」

突然美佳の動きが止まったのである。

一瞬絶頂に達したと思われたが、

「あっ…やめて…やめないで…おねがい…それを…」

美佳はそう叫ぶと、

グニュッ

そのまま手にしていたそれを自分の”中”へ押し込み始めた。

「ちょっと、美佳…」

保奈美はようやく自分を取り戻すと、

彼女が心配になって声をかけたが、

美佳は一切無視してそれを押し込む事に専念しはじめた。

それはズブズブズブと彼女の体の中にゆっくりと入ってゆき、

遂には首の部分が割れ目より顔を出すだけになってしまった。

美佳は恍惚とした表情のまま立ちすくんでいるが、

そんな中でもそれはビクビクとうごめいている。

「あ〜っ」

感じるのか、

美佳が喘ぎ声を出し始めると彼女から生えるそれはまるでキノコが成長するごとく、

徐々に大きくなり始めた。

「美佳…」

保奈美は直感的にその場にいる事に危険を感じたのか、

少しずつ美佳から遠ざかり始める。

はぁはぁはぁはぁ…

「そんな…こんな事が…」

恍惚とした吐息を上げる美佳を目の当たりにしながらも

保奈美は目の前で起きている事が信じられなかった。

はぁはぁはぁ…

美佳はトロンとした目で自分の股間を眺め、

満足そうな笑みを浮かべていた。

「あっあのねえ、

 美佳…」

恐る恐る声を掛けながら保奈美が彼女に近づくと、

「はっ、

 …あれ…あたし、どうしたんだろ…

 うっ…」

我に返ったのか美佳は急に頭を押さえ込んだ。

「美佳、大丈夫?」

暫く頭を抱え込んだまま、

俯いていた美佳だったが、

「なっ、何よ、これッ!?

 いや〜ッ!!」

突如として悲鳴をあげ、

震えながら、

美佳は自分の股間に生えた逸物に驚愕していた。

「おっ落ち着いて美佳ぁ!」

必死の保奈美がなだめが通じたらしく、

美佳は少しずつ先程の記憶を取り戻し始めた。

「…それで勝手に体が動き出して…

 それをあそこに沿わせた所で記憶が途切れているんですぅ…」

彼女の話を聞きながらも

保奈美は美佳の股間で萎えているペニスをいぶかしそうに見つめていた。

「う〜ん、引っ張っても取れなそうだし、

 いっその事、病院で…

 でも、一体どうやってこれを説明しようか…?」

確かに病院に行って、

”差し込んだら抜けなくなった”

などと女の子が気軽に言えるはずがない。

しかし、美佳はと言うとさっきの狼狽の名残を残しつつも

少し落ち着いたような顔をしていた。

そして、

「あの、保奈美さん。

 こうなってしまったのはもちろん驚いていますし、

 何とかしないといけないのはわかってる。

 でも…」

「でも?」

保奈美は疑問たっぷりの顔で尋ねる。

「わたし、もう一方ではこのままで良いと思ってる自分を感じているの。

 ううん、これって元からわたしのだったんだって」

美佳は自分の女性器のすぐ上に生えたようになっている

黒光りしたペニスを白い指先で優しくなでながら言う。

「美佳、あんた何バカな事言ってるの?

 あなたは女の子なのよ?

 それがどこにあったともわからないような

 その……あの……

 とっとにかく、

 そんなものをつけたくらいでおかしくならないでよ!」

保奈美は美佳に向かって厳しく言うが、

しかし、美佳は静かに首を横に振っら。

「おかしくなんかないです!

 判るのです。

 わたし……これを手にしているうちからうっすらと、

 そして感じ始めてからはより強く……

 だからイヤと思ってても気持ちよかったし、

 一つになりたいと思いました……

 それに……」

涙目を浮かべながらうつむいていた美佳だが、

ふと保奈美の顔を見上げる。

「み、美佳?」

彼女のその目はどこか恍惚として、

そして何かを貪欲に求めようとする者の目だった。

「こんな事になってわかったんです。

 わたし、保奈美が好き。

 友達としてでなくて

 そう……もしわたしが男だったら思い切り抱きしめたい、

 自分のモノにしたいって位……」

「美佳、本当におかしいよ、

 本当にあなた……」

そう言いながらも保奈美の目は美香の瞳、

そして股間から伸びるモノに引かれて行く。

「ホント、

 おかしいですよね、

 わたし……これ―オチンチンついちゃったせいで

 まるで男の子みたいに感じちゃって……

 でも、我慢できないんです!

 保奈美、保奈美が欲しいの!

 保奈美と一つになりたいの!

 保奈美の中をわたしでいっぱいにしたいの!」

ビリビリッ!

そう言うや美佳は制服のブラウスやスカートを引き裂くように脱ぎ捨て、

ソックスごと靴も脱ぎ捨てた。

そこには黒光りするイチモツを除けば白い裸身をたたえた思春期の少女の姿があった。

「!」

その瞬間、保奈美の中に何かが走る。

「……美佳……わたしも……」

その途端保奈美の目も少しずつうつろになりそのまま制服に手をかけ、

ものの数秒で保奈美も一糸まとわぬ姿を露にする。

「保奈美……」

「美佳……」

美香の黒光りする逸物は再び凛とそびえ立ち、

先端から透明な液体を溢れさせている。

迎える保奈美のそこもいつのまにか湿りを帯びながら静かに呼吸を始めている。

そしてどちらからともなく歩み寄ると、

そのまま上気した肌を触れ合わせ、

甘いと息を漏らしながら床の上に静かに身を横たえる。

「保奈美……いくよ……」

「いいよ……美佳……」

熱く潤んだ瞳をしながら静かに美佳は自分のモノを保奈美のそこに沿わせる。

ズッ、ズブブ……

「あっ、あぁ〜っ」

「んっ、いやぁ〜っ!」

保奈美は初めてそこにモノを入れる衝撃と快感、

そして美佳は男のモノを女の中に入れる快感と

その根元に残る女の感触の両方に刺激を受け甘く高い声を上げる。

「やった……

 わたし、保奈美と一つになれた……」

「美佳……美佳とこうなっちゃうなんて……

 でも……悪く……ない……」

余韻にしばし浸っていた二人だったが、

それに酔う間もなく二人は再び動き始める。

ズッ、ズッ、ズッ

ネチャ、ネチャ、ネチャ……

「あっ、いやっ、あぁっ」

「んっ、あんっ、はぁん」

激しく腰を打ち付ける美佳とそれを受け止める保奈美。

二人はまるで発情した熟練の獣のように

激しい呼吸を漏らしながら身をもだえさせている。

「うはっ、あはっ、はぁっ、ああっ……」

特に美佳は逸物をつけたせいかより精力的に激しく行為を進めてくる。

それに対して保奈美は受け止めるのが精一杯である。

それを示すように逸物を咥えている二人の「口」は

上下する中でも激しくそれを締め付け

それと一つになろうとするかの様にその身を狭めてゆく。

そうしている間に美佳の勢いに変化が現れる。

「はぁ、何か…

 何かがこみ上げて来る…

 出るっ、出るぅ〜っ!」

「く、来るの?

 出すの?

 あっ、ああっ、

 来るっ、来る〜!」

熱くなった股間から来る勢いにあえぎながらそう叫び声をあげると

「うぉうぉうぉ〜っ!」

「あっ、あああ〜っ!」

ドピュ!

トピュッ!

美香の呻き声と共に彼女の精通が初めてと言うには激しすぎる量と

勢いで保奈美の中に注ぎ込まれる。

いや、打ち込まれると言うべきだろう。

なぜならそれは一滴も漏れる事無く保奈美の中に注ぎ込まれたからだ。

「くっふぅ……

 これが……

 男の子なんだ……」

本来なら永遠に感じる事のなかった感覚にしばし酔う美佳。

保奈美もまた初めての性的行為、

それも強烈な勢いの貫通と射精をその中に注がれた勢いにしばし酔っていた。

「保奈美……大丈夫?」

「う、うん大丈夫だよ

 美佳……でもすごかった……

 美佳のがわたしの中にいっぱい入ってきたんだもの」

恥ずかしさと恍惚で赤くなった顔で保奈美は答える。

そして、一息入れようと美佳が保奈美から離れようとした時……

グッ

「えっ!」

「こ、これって?」

思わぬ抵抗に二人は感じながらも驚きの声を上げた。

無理もない。

美佳だけでなく保奈美の女性器もまたモノをくわえたまま放そうとしない。

いや、二人の女性器はモノと完全に癒着していたのだ。

「やだ……まさかこうなるなんて……」

「い、一体どうなるのわたし達……」

一瞬おののく二人だったが、

ビクンッ!

二人の股間の間でモノが激しく脈打つ。

「きゃっ!」

「あっ!」

軽く呻き声を上げる二人。

「美佳、なんだかあそこが熱い……」

「保奈美、わたしもまたたまってきちゃった……」

そして二人はそのまま唇を、

乳房を激しく絡ませながら両腕で互いの肌を撫で回す。

それはあたかも自分のモノを扱くかのように。

そうしながらも間にあるモノを挟み込む様に互いの腰を打ちつけ合う。

「く、来る、また来ちゃう〜!」

「こ、今度はわたしからも何かあふれてきた〜っ!」

二人の中で行き場をなくしている高ぶりが二人を中から熱くさせる。

「わたし、わたしもうダメ〜っ!」

「出る、出ちゃう〜っ!」

ブシュッ!

ビシューッ!

今度は二人の中から溢れる息吹がモノを通じて互いの中に注がれる。

「はぁ、はぁ、わたしの中、

 保奈美で一杯……」

「美佳が、美佳がわたしの中ではちきれそう……」

激しく噴出した精を胎内に、

そして全身に溢れさせながら二人はあえぐ。

もう二人が股間を軸に癒着している事など知る事もないように。

「美佳、

 わたし、もっと美佳と一つに、

 ううん、美佳になりたい。

 だからもっと……」

「保奈美、わたしだって保奈美になりたい。

 わたしを保奈美にして!」

そう訴えながら保奈美はぐるりとその身を翻す。

「うっ、ああっ!」

「く、くうっ!」

癒着した股間を軸に保奈美の裸身がぐるりと回り、

ちょうどお尻を美佳に向けるような姿勢と言うより

美佳が保奈美を後ろから攻めるような姿勢になった

「はぁはぁ……入れるよ、保奈美!」

「アァ……オオ……出すよ、美佳!」

互いの姿勢に扇情された二人はそのまま更なるラウンドに進む。

ズッコズッコ……

バシンッ、

バシンッ!

一応美佳が押しているように見える姿勢だが、

同時に保奈美もうつぶせの姿勢のまま

美香に尻ごと押し付けているようにも見える。

「ああ……

 ダメ、また出る出る出る〜!」

「あん、はぁっ、

 来ちゃうっ、

 出ちゃう〜!」

そして二人は再び達し、

互いの中に噴出す。

それが終わるとまた行為を始めるのだ。

そうしているうちに二人の体に少しずつ異変がおき始める。

互いが交わるのをキーとするように互いのものの根元から少しずつ黒ずみが広がり、

そのまま保奈美の股間から膝、つま先までを覆う。

同じ様に美佳の尻から太もも、

ふくらはぎからかかとまでが黒く染まってゆく。

「かぁ、はぁ、くはぁ……」

「あはぁ、ひゃあ、うひゃぁ……」

幾度とない交錯を重ねるうちに美佳と保奈美の脚の白い部分が重なり、

さらに癒着し始める。

まるで水にぬらした小さな石鹸が押し付けられて癒着するように。

ピクッ、

ムキメキッ!

そして癒着した二人の足の骨や筋肉、

さらにはそれを構成する細胞が形を整えるように長くなりだし、

その回りをより厚く弾力に富んだ筋肉が覆い始める。

黒ずみはそのままへそから胸や背中に登ってゆく。

バキバキッ!

交わっている股間同士が癒着してゆくと同時に骨盤が変化し、

柔らかかった二人の腰の括れや尻もたくましい筋に覆われる。

保奈美の柔らかい腹筋や形のいい乳房が、

美佳のしなやかな背中から肩のラインが黒ずみと共に

たくましい筋肉に覆われ形を変えてゆく。

「はぁ……ほなみぃ〜」

「みかぁ〜あぁん……」

美佳が保奈美を抱きしめ、

白い背中に乳房を押し付けた瞬間、

そのまま乳房は背中の中に埋もれてゆき、

同時に保奈美の形のいい乳房は完全に筋肉に吸い込まれて

たくましい胸板と化す。

「熱い、体が熱い……」

「溶ける、溶けちゃう……」

重なり合ううちに二人の肌から立ち上る臭いも

少女特有の甘い香りから野生の獣臭へと変化しているが、

それもまた二人を高める媚薬でしかなかった。

そして、重なり合っていた二人の両腕も癒着を始める。

二人の両腕は絡み合い、

一つになると変化を始める。

しなやかで細かった二人の腕は長くたくましい野生の豪腕に変貌した。

ブルンッ!

「おうぁっ!」

「ひゃぁぁ!」

不意に保奈美の股間からつながっていたモノが抜けた。

いや、癒着していたモノが二人の胎内を完全に吸収し完全な男性器として現れたのだ。

その証拠にその根元からは人並みはずれたサイズのしわ袋が大きく揺れており、

もちろんそのサイズも一回り大きくなっている。

もはや二人は顔を除けば全身を褐色の筋肉の鎧に覆われた裸身の男性のものであり、

唯一少女の名残を残している二人の顔がかえって異形性を増している。

そして二人だったものは静かに立ち上がると、

そのまま見えない女性にそうするかの様に腰を動かし始める。

「わたし……もうダメ……

 みか……ほなみ……

 まじってる……かわる……」

「ほなみはわたし……

 わたしはみか……

 がまんできない……まじる……」

既に二人の目にも、

顔にも意識はない。

只快感だけが全てであり、

二人は二人の少女としての最後の絶頂を迎える。

「ああ……はぁ……くぅ……」

「ううっ……つつっ……ふぁぁ……」

声を重ねながら二人の顔は少しずつ近づき……

「ああっ、

 あおっ、

 おおっ……おおおおぉぉぉぉーっ!」」

同時に叫んだかと思うと二人は顔ごとぶつかり混ざってゆく。

「ああ……おおお……おおお……」

二人の少女の声が混じりながら一人の男の声に変化してゆく。

髪は抜け落ち、

目はくぼみ、

鼻と唇は肥大化してゆく。

やがて全てが終わった時

そこにはたくましい筋肉の鎧をまとい、

同じくそそり立つ筋肉の槍を股間に生やした裸族の勇者の姿があった。

『やった……やっと蘇る事ができた……』

勇者はまじまじと全身を見渡す。

『でも、まさかおれの魂がここまで引き裂かれていたとは……

 それに、あれからどれだけ時間がたったんだ?

 ここはどこだ?』

と回りに目を向ける。

そこは見たこともない作りの部屋に異様な置物が一杯並んでいる。

そして床の上には小さな布切れがいくつか無造作に投げ捨てられている。

『とにかく戻らなければ……

 あいつとの決着をつけないと村が危ない』

かつて自分達の村や部族を危機に陥れた悪しき術師に戦いを挑んだ彼だったが、

その力に及ばず倒れた彼は二度と転生できないようにその魂を分割され、

肉体もイリガを残して消滅された。

そのイリガも封印されたのだが、

奇しき因縁か対極に飛ばされたはずの魂は流れに流れて求め合い、

さらにはイリガもまた同じ地に導かれたのである。

分かれた魂を引き継いだ二人の少女と

肉体の名残であるイリガをヨリシロに遂に彼は蘇ったのである。

『行かねば』

そうつぶやくと彼は床に落ちていた筒―ウルカを拾うと

自分のイリガに静かにはめる。

『あっ…』

一瞬少女のようなあえぎ声を漏らしたが、

それを振り払う様に改めてウルカ越しにイリガを天に突き出す。

そして棚の一部に置かれていたトンボ玉のアクセサリーを身につけ、

どこからか手にした槍を手にする。

『……』

身支度を整えて静かに呪文を唱えた時、

彼の前に空間の歪みが浮かび上がる。

『行くぞ!』

彼はそのまま時空の彼方―彼がかつていた時間、

彼が居た場所へと飛び込んでいった。

それから長くも短い時間が過ぎた後、

顔を赤くした二人の少女が手をつなぎながら部屋を出てくると、

この部屋を利用する「不埒もの」の一組になる事はまた別の話である。



終わり