風祭文庫・モランの館






「サン族の少年へ」
(後編)


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-059





パン!

パン!!

パン!!!

少年の股間に自分の肉棒を突き刺した真奈香は

貪りつくように体を前後に振り腰を突き上げ、

そして、少年のお尻が膨らんできたのか、

真奈香が突く度にタプンタプンと揺れていた。

「真奈香……どうして…」

茫然自失だった私の前で真奈香と少年の姿は徐々に変わりはじめるが、

しかし、そのことに涙目にぼやける私が気付くまでに数分を要してしまった。

「え?……」

そう…

二人の変化にあたしが気付いたとき、

真奈香のお尻は男の子のように凹み、

その一方で少年のお尻が膨らんでいたのだ。

しかも、それだけじゃなく真奈香の股間から黒ずみが広がっていくと

その周囲の組織が中身ごと少年のその部分と入れ替わっていくかのように

その肌、筋肉、筋…と変化していく。

「はぁっはぁっはぁっ」

「ぁっぁっぁっ」

それなのに真奈香は腰を突き上げるのに夢中で何も気が付いていない。

少年も女の子のように喘ぎ声を上げるのに夢中だ。

「ま、真奈香……」

私はどうしたらいいか分からないまま

その変化を見極めようと必死に目を擦った。

ピクピク…ビキビキビキ

真奈香の変化がお腹一面に広がり、少年のお腹のように変化していくと、

その代わりに元少年の下半身に白い肌が広がっていった。

「このままじゃ真奈香と少年の体が完全に入れ替わってしまう!」

私は焦った。

「止めなければ…

 止めなきゃ!」

そう思った私は立ち上がろうとして腰が抜けてしまっているのに気が付いた。

「こ、こんなときに…」

その間にも

パンパンパン

真奈香は男の行為に夢中になりつつ体を取り替えていっていた。

真奈香の胸が両脇から引っ張られるように

ビキピキビキ

と乳房が潰れていくと、

変わりに膨れるように逞しい胸板が出来上がり、

かわいらしい女の子の乳首は黒ずみながらどんどん小さく縮んでいく。

その一方で

サン族の少年の胸には…信じたくないのに…

真奈香と同じ女の子の胸が…乳房が出来上がっていく。

「駄目…お願い、誰か止めてっ!」

私は叫んだ。

しかし、

真奈香と少年の変化は足や腕をも包み込み

二人は入れ替わっていくように

片方は肌が黒ずみ、逞しい肢体へと変化し、

もぅ片方は白く柔らかい肢体へと変化を続けている。

「はぁはぁはぁはぁ…」

「あんあんあんあん」

真奈香は血走った目で必死に腰を少年に打ち付け

少年は当に女の子のように喘いでいる。

違和感を誘うその光景も徐々に姿がそれに伴いつつあった。

真奈香の肌の黒ずみは、首を侵食し始め

喉を通り過ぎると

ピクピク

と何か飛び出してきて

「はぁはぁはぁはぁ…」

真奈香の息の音が変わっていく。

「喉仏?

 そんなところまで?」

私は驚愕しつつ、変化を唾を飲み込むことも忘れ呆然として眺めていた。

「あんあんあんあん」

その一方で少年の口から真奈香の喘ぎ声が溢れ出し

ついに首から下がほぼ入れ替わっていた。

ミシミシミシミシ

姿が入れ替わり終わると

サイズの変化が続き

腕や足の長さや、骨格さえも二人の間で入れ替わっていく。

「はぁぁはぁぁっはぁっ!」

真奈香の息が激しくなり、

二人のセックスも最高潮になりつつあった。

「こんなことって…」

私が愕然とする中

ついに肌の侵食は顔を覆い尽くしていく。

「ふぁっはぁぁっはぁぁっ!」

真奈香が息を吐き出す度に

唇が膨らみ

真奈香のピンクの唇は一気に色が濁り始めた。

そして、鼻の穴がピクピクと動くと

まるで鼻が変形していき、鼻が崩れ横に広がり、

穴が大きくなった。

目元も変わり、

額が広がるのか思った瞬間

パサパサパサと

真奈香の髪が抜け落ち始め、

真っ黒な肌に覆われていく額が見えてくると

どんどん頭皮から綺麗な真奈香の髪がなくなっていく。

そして、髪の毛がかなり後退していくと

前よりも広くなった額周囲から

ムシュムシュ

と縮れた短い毛が湧き上がるように生えていった。

「こんなことって……」

私は立ち上がる気力すら失ってそれを眺めていた。

「はぁっ、熱いっ!

 あ、頭が焼けるゥ〜ッ」

ようやくそのことに気が付いたように

腰を突き上げつつも、頭を押さえる真奈香。

そのとき、真奈香の髪は全て抜け落ちると

生え湧き上がる縮れ毛に真奈香の頭は覆われ、

ゴキキキ

という音と共に真奈香の頭蓋骨が変形していく。

「あ、頭が…焼けるぅ〜。

 お、おかしくなりそうぉ」

「ま、真奈香……」

真奈香の頭の形が横から見ていてはっきり分かるほどの変形を見せる。

真奈香の頭が細長く…

顔すら形を大きく変えると

「あ、駄目ぇ。

 きちゃう。きちゃうっ!

 出ちゃうよぉ〜」

真奈香は頭を押さえながら

ビクビク

と腰を振るわせ

シュック

と突き上げた途端、

真奈香は真奈香の姿へと変貌した少年の中に射精をしてしまった。



「真奈香……」

私はサン族の少年の肉体を得てしまった真奈香と共に小屋へ戻ってきた。

あの後、私たちを監視していたらしい呪術師が出てくると

こういったそうだ。

「これで呪術は完了したと…

 キントゥの女になりたいという願いは叶えられた」

と…

そう…キントゥというサン族の少年は女の子になりたかったらしい。

それで呪術師に相談したが

同族では駄目だと断わられ、

そこに現れた真奈香を一目見て、

真奈香と入れ替わることを決意したそうだ。

むろん、真奈香は了承などしていない…

しかし、呪術師とキントゥは勝手にそれをしてしまった。

私にとってそれは絶対に許せないことだった。

いずれにしても、

もう真奈香の肉体はキントゥという少年のものになってしまっている。

これから元に戻すには、やはり呪術師との交渉が必要だということになる。

だから…

私はなんとか理性を保つことが出来ていたのだった。

「真奈香…大丈夫?」

「あははは…あたし、完璧にキントゥになっちゃったよ…

 ど、どうしよう……

 頭のてっぺんから…足の先っぽまでキントゥになっちゃった…」

真奈香は、乾いた笑いを上げつつ、私を見た。

自分の秘所とセックスをしてしまったということ…

もちろんそれに呪術師のまじないがあったにしろ

真奈香にとって大きな心の傷になったのには違いない。

その上、体を完全に取り替えられるなんて…

なんて酷いんだろう。

私はあまりの悲惨な真奈香の現状に、言葉が出てこなかった。

ダッ

突然、真奈香が走って飛び出していく。

「ま、真奈香!?」

真奈香を追って私は慌てて飛び出したが

キントゥという少年の肉体を手に入れた真奈香に追いつくのは容易なことではなかった。



「真奈香……」

遠目にようやく真奈香を見つけたのは

川の傍だった。

真奈香は川の方を向いていた。

私はそっと静かに近づいていくと

そのまま見守る。

しかし、私の目に飛び込んできたのは更に信じられないことだった。

「あたし……キントゥになってるの?」

真奈香は川に自分の顔を映し出して

じっとサン族の少年となってしまった自分の顔を眺め、

手で顔を撫で廻しながら、それを確かめる。

「ああ…ホントになっちゃってるんだ…」

以前より間隔が広がった二つの目は、

目元すら…いえ、瞳孔すら以前の真奈香とは違っていた。

真奈香は自分の目を見つめていたかと思うと

鼻に指を這わしていく。

鼻も横に膨らみ、真奈香だったときの面影すらない。

「あたしが…キントゥだなんて……」

真奈香は次に唇に触れ、じっと感触を確かめていた。

膨らみ、黒く染まった唇も全く真奈香のものとは違っている。

そう…

真奈香の肉体は完全にキントゥというサン族の少年になっているのだ。

「あ……また…」

気が付いたとき

真奈香のペニスはすっかり勃起しきっていた。

「あたし……体を交換されちゃったの…」

真奈香は誰にいうでもなく呟いた。

「顔も体も…声も……性別も……キントゥと同じになっちゃった…」

泣き声に混じりなるが

少年の声だと情けなさが伴った。

でも、中身は中学生の女の子。

しかも私の妹の真奈香…

「駄目…こんなことしちゃ……

 キントゥの思う壺じゃない……

 ま、まさか…キントゥが女の子に……あたしになりたかったなんて…」

そういいつつ

真奈香は、漆黒に染まった右手で元はキントゥのペニスを握った。

「やだ…感じちゃう……あたし、興奮しちゃってるの?

 こんな……おかしいのに…あたし、キントゥのチンチン気持ちいい」

シュッ

シュッ

そう呟きながら真奈香はオナニーを始めていた。

私は諭すことも止めることも出来ないまま

真奈香のすることを眺めているだけだった。

「ああ…こんなことって……

 あたしの体が……キントゥになっちゃってなんて……」

真奈香は右手で激しくペニスを扱きながら

左手で体を撫で回していく。

特に胸の辺りを撫で、

喪失した乳房の変わりにできた少年の胸板を触っている。

「ああっ、んんっ……駄目。

 止められない……また、やっちゃうの?あたし」

真奈香は顎を上げて

逞しく勃起した漆黒のペニスを擦りつづける。

溢れて濡れていくのが見えるペニス。

さっきセックスして綺麗に洗い流したペニスは再びその分泌液で濡れていく。

それも…真奈香の意思によって…

「ああ、きちゃう、きちゃう……

 い、いい……イっちゃう!」

真奈香は首を振りながら必死に射精に耐えているようだった。

「ああ、駄目ぇ。

 おかしくなっちゃう、このままじゃおかしくなりそうっ!」

真奈香の…元少年の顔は、

いやらしく笑いながら、日本語でそう呟いている。

違和感…

ぞっとするような違和感が私を震撼させた。

「ああ、くるぅ。

 出ちゃう、出ちゃうよ〜っ!

 あ、ああ〜ッ!」

真奈香がそう叫んだ瞬間。

真奈香は全身が入れ替わって二度目になる射精をしていた。



「真奈香……」

私はようやく勇気を出すと、

射精の余韻に浸る真奈香に近づいていった。

真奈香は、じっと股間を眺めながら

完全に入れ替わり、少年と全て同じになった股間の観察をしているようだった。

真奈香は蟹股に座ったまま、たまを触ったり、

ペニスを持ち上げてみたり

それを味わうので精一杯のようだった。

「真奈香……」

「あ、お姉ちゃん……」

真奈香がやっと私に気付いた。

異常なこと続きで私も真奈香も感覚が麻痺しているようなそんな気もするけれど

何時までも現実逃避をしているわけにはいかなかった。

「真奈香……大丈夫…なの?」

「さっきは…ごめんなさい」

「え?」

私もちょっと意外なリアクションに戸惑った。

「あの…突き飛ばしたりして…

 あたし、そんなつもりはなかったんだけど…

 気持ちの変化を押さえられなくなってて…

 呪術で操られてはいたみたいなんだけど…

 お姉ちゃんにあんなことしちゃうなんて…」

「そ、そんなこといいのよ。

 それより、真奈香の方は大丈夫なの?」

「だ、大丈夫だよ。

 あんなことやっちゃったけど…あたしが自分でしたことだもん。

 …そりゃショックだけど…仕方ないと思うし。

 それより、これからどうなるかが心配」

「そうだよね……」

「真奈香…なんか、気持ちが変になったりすることはないの?

 催眠術とかかけられてない?」

「今は大丈夫だと思う。

 でも、あたし……何してるんだろうね。

 キントゥは女の子になりたかったらしいけど…

 元に戻りたいとかいいつつ、こんなことしてるなんて」

「そう…ね」

「あたし……興奮しちゃうんだ。

 自分が全く自分になったことに

 ……ううん、男の子の感じに飲み込まれてたのかも…

 キントゥが女の子になりたかったというのを聞いて、

 そのため…あたしの体が奪われたんだと思ったら嫌な気持ちになったのに

 あたし、こんなことしてるなんて、笑っちゃうよね」

「真奈香…」

「男の子の体に興味があったのは本当。

 ここにキントゥの体があるって思ったら、チンチンが大きくなってきちゃって…

 男の子って止められないものなのね。

 なんか、もうドキドキするたびにやっちゃうの」

そう言いながら真奈香はちょっと俯いた。

「そういえば…真奈香、あなた、サン族の言葉が分かるの?」

「え?

 …そういえば、そうかな?

 …さっきも呪術師のいってることわかったし…キントゥのいってることも…」

「まさか、何かされたんじゃ…」

「ま、まぁ…頭までキントゥになっちゃってるから…言葉ぐらいはわかるのかもね」

真奈香はちょっと不安そうにしながら

セックスをしているときとは違う真奈香らしい口調でこたえてくれた。



翌日…

私たちは、呪術師のところで真奈香の姿になったキントゥと会った。

真奈香姿のキントゥは日本語は喋れる様子もなく

身に付けているのも、

こちらの女の人がしているような腕輪やネックレスをしていた。

「キントゥ…ホントに女の子になりたかったんだ…」

真奈香は離れながらもそう呟いた。

そうしている間に呪術師が現れると

二人を満足そうに眺めながら、うんうんと頷いた。

「あの…真奈香とキントゥを元に戻してもらえませんか?」

そこに私は強い調子で呪術師に言う。

すると、真奈香はあたしをチラリと見ながら

『○○○○』

とサン族の言葉に翻訳してくれたようだ。

その途端、呪術師が何かいう。

『○○○』

「そ、それはできない」

きっぱりした返答に戸惑いを見せながらも、

真奈香が同時通訳をしてくれた。

「キントゥはサン族の勇者として不適格だった。

 だから交換にも応じたのだ。

 そして、お前さんには呪術を施し、

 サン族の勇者に相応しいキントゥとして生きてもらう…

 って、そんな……○○」

真奈香は反発して何かをいった。

「あたし、そんなことできません。

 あたしはここの人じゃないし、そんなことする義務なんてないでしょ?」

真奈香はもう一度日本語に直して言い返した。

『○○○○○』

呪術師は怪しく笑うと余裕の笑みで何かをいう。

「お前さんも、キントゥの肉体はまんざらではないようじゃないか?クッ

 せっかく手に入れたこれから逞しくなるサン族の勇者の体、

 そのままでいようとは思わないのか?

 もったいない…」

真奈香は訳しながらも、唇を噛んだ。

『○○○○っ!!』

真奈香も必死に抵抗する。

『○○○○○○』

「お、お前さんのいうことはもはや根元から間違っている。

 体を交換するには元の自分の証と交わることが不可欠だが…

 それをお前さんは自分でやってのけ…体を完全に交換してしまった。

 その時点で、お前さんは生まれ変わったのだ。

 キントゥとして…

 サン族に生を受けたキントゥという少年に生まれ変わったのだ」

真奈香の口調から抑揚が消えてきたような気がした。

向こうで真奈香になったキントゥが笑っている。

私も顔は…姿は真奈香なのに腹が煮え繰り返るような怒りを覚えた。

『○○○○○っ!』

真奈香はサン族の言葉で訳すのも忘れて怒鳴っていた。

仕方のないことだけど、私は話の内容についていけないのが悔しかった。

サン族の言葉を喋れない私では真奈香に加勢することすらできない…

「そ、そこまでいうのなら考えてやろう。

 一月、その肉体で暮らせ。

 その肉体に満足しているなら、お前さんの魂はしっかりと肉体に馴染み、

 もはや戻る気など失せていようが、

 それでも元に戻る気があるのなら考えやらんではないぞ…だってさ」

真奈香は吐き捨てるように訳す、涙目でキントゥを睨みつけた。

「一月……そんな」

「いいわ、受けてたとうじゃない?

 ○○○」

真奈香はそういうと、呪術師に怒鳴り返した。



それから帰国できないまま、サン族での暮らしが始まった。

最初の一週間はほとんどついていけなかったキントゥになった真奈香も

サン族の少年として生活のために働いている。

狩りなんかは数日でこつを掴んだらしく

毎晩色々な獲物を捕まえてきてくれた。

それは大事なことだと思っているのだけど…

そんな野性味溢れる少年になっていく真奈香が心配だった。



あれから二週間が経った。

私は用を足しに、小屋から出た。

夜だというのに…今日は真奈香の帰りが遅い。

心配なので、迎えのついででもあった。

「あれ……」

小屋の傍で…

以前真奈香がオナニーをしていたところに少年の姿があった。

それは…やはり

キントゥ…の姿の真奈香だった。

「はぁはぁはぁはぁ」

横からの姿が見えていたので、やっていることは明白だった。

男の子の…オナニーだった。

以前よりずっと慣れたような雰囲気で

真奈香はキントゥが持っていたペニスを一生懸命扱き、

射精を堪えながら、性欲を諌めているようだった。

「はぁはぁはぁ、んんんっ!

 ぅぉうぉうぉうぉぉぉっ!」

真奈香は以前とは比べものにならないほどの激しさで扱きあげていく。

射精までの時間もじっくり長く耐えているようだった。

「こんな……」

私は呆然としながら、妹のオナニーを眺めていた。

前よりずっと長く続いているオナニー。

どれほど、繰り返しやっているのだろうか?

真奈香はすっかり男の子のオナニーに染まってしまっているようだった。

「○○○っ!

 うぉぅぉぅぉぅぉぅぉ」

プチュブチュチュチュ!

白濁した粘液が月明かりの中、飛び出していく。

真奈香はサン族のキントゥという少年の肉体で、

その絶頂を今味わっている。

そう思うと、なぜか愕然としてしまう…私がいた。

プチュプチュ

真奈香は残っている精液を搾り取りながら

地面に伸びていく精液を見つめて、満足そうな笑みを浮かべていた。

「真奈香…」

「あ、お姉ちゃん、見てたのか?」

どこかあっさりとした感じの真奈香。

違和感が付きまとう。

「なんで、こんなことしてるの?」

「し、仕方ないだろ。

 溜まっちゃうんだから…それも以前のオレが見せ付けてきて…

 いや、それ以上に最近、女の子見ると…興奮しちゃうんだよ」

口調はいつの間にか少年のものになっていた。

今度こそは…多分本物だろう。

真奈香の精神が変化している…私は感じた。

「も、元に戻るんでしょ?真奈香」

「戻りたいさ……

 なのに、昔の体を思い出すとオレのイガリが

 ……すごく燃え上がってきて…

 オレ、男になってきてるみたいなんだ」

と真奈香は寂しそうに言う。

「きっと、脳みそまでキントゥになったせいなんだろうな。

 最近、好きなものとかまで変わってきたみたい…

 性欲も男になってきてるみたいだし…

 こんななので、オ…レ…あたし…元に戻れると思う?」

真奈香は久しぶりに涙を浮かべていた。

「そ、そんなの関係ないじゃないっ!

 真奈香は、真奈香なんだもん。

 性欲は…体がそうなんだから仕方ないよ。

 元に戻ったら、ちゃんと普通の女の子に戻れるから

 だからそんな諦めるみたいなこといわないでっ!」

私は怒鳴るように強く言う、

ところが、

「駄目よ。

 多分、もう無理だと思う。

 あたしの頭ん中、ホントにキントゥになってきてるの。

 この体のせいなんだろうね…

 あたし、キントゥに生まれ変わっちゃったのよ。

 もう真奈香に戻るのは無理……」

「なっなんで…?」

真奈香の衝撃的な言葉にあたしは目を丸くして驚くと、

「お姉ちゃん、ゴメン

 これまで黙っていたけど、

 実はこの数日間で記憶が次々と抜け落ちていってるの…

 サン族の生活に慣れればなれるほど…

 あたし…以前のことが…わかんなくなってくの…

 学校で何を習ったのか、

 友達とどんなことを話していたのか、

 次々と忘れていって…

 このままじゃ、あたし……あたし」

真奈香はあたしにしがみつくと訴えるように言う、

「真奈香、お願い諦めないでっ!

 お姉ちゃんと一緒に戻ろうよ」

「そんなこと…いっても……

 最近、キントゥの体に…あたし、馴染んできちゃってるもん。

 気持ちいいの、もうこのままでいいとか思っちゃう。

 元に戻ったら…

 もうあたし…こんなことできないんだなとか思っちゃうの。

 キントゥ…の体でオナニーして…それに慣れちゃったんだもん。

 男のままで…いたいような…そんな気がしてくるの」

キントゥの顔で真奈香はあたしにそう言った。

「真奈香…」

真奈香の言葉にあたしはなんて言っていいのか判らなかった。

すると、

「お姉ちゃん…」

急に真奈香の表情が何かを決意したような表情に変わると、

「あっあたし…いろいろ考えたんだ…」

「考えた?」

「うっうん…

 あっあのね…

 おっお姉ちゃん…

 その…○○○…

 ○○○○○○!!」

真奈香の言葉が徐々につっかえるようになると

急にサン族の言葉を話し始めた。

「真奈香、どうしたの?

 ちゃんと言葉をしゃべって」

サン族の言葉を話す真奈香の肩をゆすり、あたしはそう怒鳴ると、

「!!」

あたしの表情に気づいたのか真奈香は驚いた顔をすると、

その場に蹲り両手で頭を押さえた。

そして、

「…○○○…ごっごめ…ん

 あたし…○○○…

 ○○○…こっ言葉…

 ○○○…○○○
 
 話せ…○○○…なく…○○○…なった

 お姉ち…○○○…村…○○○…出て、

 ○○○○○○」

搾り出すように真奈香はあたしにサン族の言葉を混じえながらそう言うと、

最後にはまたサン族の言葉を話し始めた。

「真奈香……」

そんな真奈香にあたしはそっと声を掛けると

コツリ…

杖の音が響き渡ると、

「ふふ…

 大分サンの勇者になってきたようじゃな」

という言葉と共にあの呪術師が姿を見せた。

「あっ」

呪術師の姿にあたしは声を上げると、

「○○○○○○!!」

真奈香が呪術師に向かってサン族の言葉で叫び声を上げた。

そして、

「○○○○○○」

「○○○○○○!」

「○○○○○○」

「○○○○○○…」

サン族の言葉での真奈香と呪術師との激しいやり取りを

あたしは意味も判らずに眺めていると、

サッ!

真奈香はあたしを指差し、

「○○○○!」

と叫ぶ、

すると、

コクリ

呪術師は大きく頷き、

「○○○○○○」

と返事をした。

「なに?

 あたしのことで?」

二人のやり取りが自分のことであることにあたしが気づくと、

「あっあのぅ…」

と思わず声を掛けた。

その途端、

ギュッ!!

真奈香の黒い手があたしの腕を掴むと、

「○○○○○○!!」

真奈香はあたしにサン族の言葉で話しかけ、

小屋からあたしを引っ張リ出しそうとした。

「真奈香っ

 どうしたの?」

真奈香の態度にあたしが驚くと、

「その者がキントゥとして生きていくことを引き換えに

 お前を元の世界に返すことにした」

呪術師はあたしの前に出てくるとそう理由を言いながら、

スッ

腕を伸ばすとあたしの頭の上に置き、

「さぁどうするか?」

と小声で尋ねてきた。

「え?」

呪術者からの意外な言葉にあたしは驚くと、

「ふふ…

 実はもぅ一人、女になりたいという軟弱者がおってな、

 どうしようかと思案をしているところなのじゃ」

呪術者は悩んでいるような言葉を言いながらあたしを見下ろした。

その瞬間、

「!!」

あたしは呪術者が言わんとしていることを察し、

チラリと真奈香の方を見ると

ジッ

っとあたしたちのやり取りを聞いている真奈香の姿があった。

「真奈香…安心して…」

すっかりサン族の少年・キントゥとなってしまった妹を見ながら

あたしは大きく頷くと

キッ

目の前にいる呪術者を見据え、

「いいわ

 そいつとこの体を交換しても」

と決心を告げた。

「ふふ…

 随分と物分りが良いではないか」

あたしの決心を聞き呪術師は満足そうに頷いた。



シュシュ!!

シュシュ!!

あの日以降、あたしは真奈香に会っていない…

いまあたしがいるところは真奈香がいる小屋とは別の小屋で、

そして、あたしの股間には棍棒のようなペニスが勃起し、

あたしはそれを扱いていた。

「あぁ…」

喉仏が盛り上がった喉から男の声が漏れる。

あたしは呪術師によってサン族の男・ゼゼルと体を交換したのであった。

「あぁ…

 真奈香はこれを感じていたの?」

黒光りする逞しい裸体を仰向けに倒し、

あたしはオナニーを続ける。

そうこの体になり男の感覚を知ってからずっとあたしはオナニーを続けていた。

いくら吐き出してもすぐ次が溜まってくる。

ゼゼルはキントゥ以上に性欲があるようだ。

「くはぁ

 うっ」

ビクン!!

それが来たとき、あたしは息を大きく吐き、

体に力を入れた。

すると、

ジン!

体の中を快感が一気に突き抜け、

ビュッ!!

空を睨む亀頭の先から白濁した筋が吹き上がっていった。

「あぁ…

 こっこれが男の快感…

 いぃ…」

射精後の余韻をあたしは浸っていると、

「そろそろ、よいか?」

呪術師の声が響き渡り、

コトリ

封じられていた小屋の戸が開くとあの呪術師が小屋に入ってきた。

「はいっ」

サン族の言葉で返事をしながらあたしは起き上がると、

「ふふ…

 すっかりサンの姿が板の付いたようじゃな、

 お前は立派なサンの勇者だ」

呪術師は満足そうにそう言うと、

あたしの肩を軽く叩いた。

「はい…」

呪術師の言葉にあたしは返事をすると

ヒタッ

一歩前に踏み出した。

あの戸の向こうには真奈香がいる…

あたしはそう思いながら開かれた戸に向かって歩いていった。




おわり



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。