風祭文庫・モランの館






「ブルッサ族へ」
(後編)


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-057





「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」

「あ……あ……あ……あ……」

真由が女を貫いている。

チンポを突っ込んでかき回し

目の前の胸をもんでいる。

女は声を上げて喘いでいる。

そして、ムイは真由の体で何度もイキながら愛液を股間から垂れ流している。

異常だ。

こんなことが起こっているなんて…

けど、そういう僕も無意識のうちにジーパンの上から勃起したチンポを擦っていた。

「はぁっ!!……**、**!!」

真由が何か叫ぶ。

「**、あはぁっ」

女が叫ぶ。

いよいよクライマックスなのか?

真由が真由とは思えない激しい突きでチンポを女の中にめり込ませる

グチョグチョ

淫らな響きが辺りを支配している

「ぁあ、うぉ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

真由が止めを刺すように女に向かって腰を突き上げる。

「あぁっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

絶頂だ。

二人が共に絶頂を迎えていた。

真由が自分の精液を女の中に注ぎ込んでいる。

僕はトランクスの中が熱くなるのを感じた。

僕も同じなのだろうか?

僕は射精していた。



「はぁはぁはぁはぁ…」

余韻に耽る少年少女たち。

今でも信じられない。

真由とムイが体を交換してムイになった真由が

ブルッサの少女とセックスして今こうして目の前にいる。

むせたくなようなこの匂い。

セックスの後というのは、こういうものなのだろうか?

それともブルッサ族の体臭のせいなのだろうか?

僕は呆然としながら三人を眺めていた。

白い…目の前で唯一白い真由の体のムイが

むくりと起き上がると本来の体に入っている真由に近づく。

「****?」

「はぁはぁ…*****」

何を話しているのか?

僕はもはや聞くことすらできなかった。

まるで映画を見ているかのようだ。

ブルッサ族の言葉で交わされる会話はまったく理解できない。

僕だけが取り残されている…

そんな感じだった。

僕の側にいた真由も手の届かないところに行ってしまった…

真由がブルッサ族に取り込まれてしまったかのようなそんな恐怖に囚われる。

そのとき、

「し、信吾…じ、時間?」

ムイになった真由が僕に尋ねてきた。

その問いが僕にされたものであることにも僕はしばらく気が付けなかった。

……

「………あ、ああ、じ、時間?」

時計を覗き込むと

もう時間は5分も残っていなかった。

多分、こんなもそろそろ心配しているだろう。

一時間どころか

二時間いっぱい使いきろうとしていたのだから…

というか本当にこんなので元に戻れるのか?

僕は焦り、不安、恐怖でいっぱいだった。

セックスしたばかりの真由が平然としているのにも僕は動揺していた。

真由が…

あの真由が…

最初のセックスは真由がいいな

なんて、心の奥底では思っていたりしたのに…

真由は男として初体験を済ませてしまった。

「し、んご……時間?」

真由に再度尋ねられ僕はうろたえながら

「あ、あと5分しかない…」

と答える。

「****」

「***?」

「*******」

「****、******」

そして、また繰り返されるブルッサ族の言葉での会話。

付いていけない…

真由はいったいどうなっちまってるんだ?

おどおどしながら

様子を見守る僕の前で二人は祭壇へと向う。

どうやら元に戻るらしい。

しかし、僕は怖くて祭壇に近寄れなかった。

すごい嫌な感じがする。

ムイになった真由の不服そうな顔、声。

しぶしぶ元の体に戻ろうとしているかのようだ。

そして、自分の体でオナニーされたというのに気にも掛けていないあの様子。

いったい、真由に何が起きたっていうんだ?

二人があのときと同じ姿勢になる。

彫像の両側から向かい合い。

相手側の彫像を両手で握り締め、

手前の彫像に額を当てる。

肉体を交換する儀式……

僕はいつしかごくりと唾を飲め込んでいた。

時間が経つのが遅く感じる。

じっとしている二人。

何をしているのか?

まさか…元に戻れないなんてこと?

僕の中の不安はどんどん募っていく。

「****」

真由なのか、少年なのか分からないが

真由の体がブルッサ族の言葉で喋った。

なんか戸惑ったようなその口調。

おい……

まさか…

僕は、唇をかみ締めた。

そのまさかが現実に変わる。

真由とムイは体が元に戻らなかった……



あれから数時間…

親どもを宥めたり、ガイドを説得したり

そして、ムイが村の呪術師に叱り飛ばされたりと

いろいろなことがあった。

そう…

ムイは村の掟を破っていた。

あの呪術は勝手に使ってはいけないものだったのだ。

呪術師があの呪術を使うところを盗み見たムイの勝手な行い

それには村の長も激怒していた。

叱られているのは、真由の体のムイ。

見ていて違和感を誘う光景だった。

呪術師によって真由の暗示は解かれたが

肉体はムイのままだ。

真由はムイの肉体のままこの村での初めての夜を迎えようとしていた。

父さんたちは、真由とムイが入れ替わったことを知らない。

ただ、真由が村の掟を破ったので

どうしても明日までいなければならなくなったということで納得してもらった。

まさか、体が入れ替わったなんて…

そんなことをいえば、

ふざけてると思われるか、精神病院にでもぶち込まれるだろう。

こんな異常な事態、僕たち以外には信じられまい。

僕は焚き火を見つめながら

暗くなりつつある村で時間を無駄に過ごしていた。

「ごめんね…信吾」

暗示を解かれた真由は、普段の真由に戻ったようだった。

戻っているように見えた。

でも、肉体はブルッサ族の少年のまま。

焚き火に照らされる濃い茶色のてかてかする裸体が

なんとも違和感を誘う。

「仕方ないよ…僕だって止められなかったし…」

真由もセックスまでしてしまったことにショックを受けているようだった。

初めてのセックスをアフリカで、

しかも男として相手かまわずやつてしまったのだから…

「あのね……ちょっと付き合って」

そう思っていた僕に立ち上がった真由が少し恥ずかしそうな顔でいった。

「どうした?」

「と、トイレ」

真由はチンポをぶらりと揺らしながら

チンポを押さえる。

「はぁ、しょんべんか」

「う……うん」

そういえば真由はムイになってからトイレに行った様子がなかった。

確かに水もあまり飲んでいないし

この暑さだ。

汗とかでおしっこになるほど水はなかったのだろう。

僕は納得して立ち上がる。

僕たちは小屋から出てすぐの木の裏に回った。

元々貸してもらったムイの小屋自体

村の端だったので人目には付かないだろう

「も、漏れちゃうよ…」

真由が耐えるようにいう。

多分無理して我慢していたのだろう。

なんだかんだいっても、入れ替わってゆうに四時間は経っている。

「ここならいいだろ?

 さっさしろよ」

「でも……あたし、初めてだし……

 その…立ってするの」

「はぁ…もしかして、やり方が分かんないのか?」

「そういうわけじゃないけど……」

「チンポ支えて、向きを整えてするだけだろ」

「う……うん」

真由は恥ずかしそうにそういうとチンポを握って木に照準を合わせた。

「…あ……」

そんな声の後

チョロチョロ

ジョョョョョョョョ

茶色のムイのチンポから濃い色をした尿が

勢いよく飛び出してあっという間に鋭い放水になる。

「ああ……すご、い……」

真由は酔いしれるように立ちしょんの感覚を感じているようだ。

顔が何か浸っているようなそんな表情をしている。

「ああ……あ……う」

次第に弱くなっていき真由の小便は途絶えた。

腰がぶるぶるって震え

「うっ、ううっ、んっ!!」

変な声も漏らして、真由は目を瞑った。

そして、

チンポをプルプルって振っている。

「あは……ああ……あ」

なんか仕草は慣れているような感じなのに

声だけは、初体験の女の子のようだった。

どうも変な感じがして仕方ない。

「はぁはぁ……すごい……

 あたし……ムイの体……

 これが……立ちしょんなんだ…

 すごい……ああ」

真由は感動したようにチンポを握ったまま、

じっと自分の股間を見下ろしている。

「……はぁ………はぁ……」

そして、何をするかと思うと真由は鈴口に指をもっていき一滴の小便をつけた。

そして、それを自分の鼻先にもっていく

「な……!?」

呆然とする僕の前で

真由は自分の小便を嗅いでいた。

「これが……あたしの……ムイのおしっこ……

 ああ……あたし……ムイの体なのに……

 あたし……こんなおしっこ

 こんなに匂いきついんだ……ああ、あたし……」

真由は、酒にでも酔ったかのように陶酔しきった表情になっていた。

ムキムキムキ

その下で

真由のチンポがいきなり勃起し始める。

真由は興奮しているのだろうか?

ムイになっていることを……ブルッサ族の少年になったことを…

「はぁはぁはぁ……あたしがムイ……

 ブルッサの……ムイ……

 **、ムイ***

 ああ……ムイ、****

 ムイ……***」

真由の言葉がだんだん口調が変わっていくかと思うと

いつの間にかブルッサの発音になっていた。

「お、おい、真由……!?」

僕は呆然としたまま、彼女……彼を見つめる。

やつは、自分を味わうように

じっと自分のチンポを眺めながらオナニーを始めていた。

シュッ

シュッ

シュッ

シュッ

まるで、ブルッサ族の少年のオナニーショウを見ているかのような気分になってくる。

少年というにはたくましいそのチンポ。

茶色の肌に、張り出したカリ。

浮き出す血管。

縦に裂けた鈴口から溢れ出す尿の残りと我慢汁。

そして……

それを感じているのは、他ならぬ幼馴染の女の真由。

なんてことだ!?

「お、おいっ、やめろっ!!」

僕は悲鳴を上げるように、真由をゆすぶった。

「はぁはぁはぁ……**っッ!!」

ブルッサの言葉で僕を邪魔だといわんばかりにどつく真由。

真由のオナニーはまさに激しくなっていく。

「はぁはぁはぁはぁっ」

シュコシュコシュコ

チンポを扱くその様子はそれこそ生まれつきの男だ。

「真由っ!!」

「***、ムイっ!!

 ぁぁっ、うぉっ、うぉっ、うぉぉぉぉっ」

真由は酔いしれるように最後のスパートをかける。

すさまじいオナニーに宙を白濁した液が飛び散った。

ブシュシュシュ!!

これが……

あの、真由だなんて……

僕は絶句していた。

言葉が出ない。

何もいえない。

怖い。

それが僕の本音だった。



「ごめんね……あは……

 あたし、謝ってばかりだね……

 でも、ごめん、信吾」

「真由……怖かった、さっき?

 こ、怖かったよね、あれじゃ……

 あたしもそんなつもりはなかったんだけど……

 が、我慢できなくて……」

「そんな……」

「なんかね……

 あたしの中で何かが狂っちゃったのかもしれない……

 あたしね……興奮してるのよ、ブルッサのムイになったことに……

 ムイになっていくのに興奮しちゃうの。

 ムイの感じてることを自分が感じてることに興奮してる。

 自分がムイなんだって思ったら、なんだかうれしくなっちゃうの。

 なんでだろね、あたし……

 ムイに自分がムイだっていう暗示をかけられてから変なんだよ。

 ムイになっていくことに快感感じちゃって……

 なんか……ムイを感じたいの……

 自分がムイだってことを実感したい……

 ムイの体を自分のものにしてしまいたい……

 そんな……よ、欲望が……あたしの中……にあるのかも…」

「み、真由」

「怖いよ、あたしも怖いの。

 このままじゃ、あたし……あたしじゃなくなっちゃう。

 なのに……ブルッサ族の言葉が自分の中に……

 いえ……ムイの記憶があたしの中に溶け込んでいくのが……

 す、すごい……快感なの……あ、あん」

真由はいつの間にかムイのチンポを握っていた。

もう…僕はそのことを指摘する意欲もなくなっていた。

「ごめん……」

真由は立ち上がると何を思ったか小屋の中に駆け込んだ。

僕はふらふらしながら、ゆっくりとそれに付いていく。

そして、小屋の中で真由は昼間脱いだ自分のTシャツを被り何かをしていた。

「ああ……これが……ムイの匂い…

 あたしの……匂い……

 ムイの垢…なのに……あたしの垢。

 ああ……あんっ、興奮しちゃう……」

Tシャツを着た真由は撫で回しながら、

シャツをべったりと自分の肌に当てさせる

「あたし……汚くなっちゃう……

 ああ、お風呂なんて要らないっ……汗かきまくって……

 勉強もしないで……狩りをして……走り回ってたいっ

 ああ………あ、あたしがムイになっちゃう

 あん、あん……あはぁ……」

真由は脇の匂いを嗅ぎだした。

「あたしの匂い……ムイの匂い……

 これが…今のあたしの匂い……

 あたし、男の子になっちゃったよぉ……

 ああ……オチンチ…イガリが生えてるの……

 やん…感じちゃう

 あたし……あたしぃ」

真由は短パンを取ると、その股の部分を嗅ぎだした。

「はぁ……ああ………あ……うぅ」

真由のチンポは、あれだけ出したのに、もうパンパンだ。

充血しきって、まさに爆発寸前だった。

「あたし、おかしくなっちゃう……ああ……

 自分が……真由じゃなくなっちゃうの……あんっ

 あたしは……ムイ……ムイ…ムイ、ムイ…

 これがあたしなの……この体があたしぃ

 この体はあたしのものなのぉ」

真由はオナニーしている。

ムイの肉体を感じながらムイの肉体でオナニーしている。

いったい…何度オナニーするつもりなのか……

僕はとめる気力さえ失っていた。

「はぁはぁ……ああ、いい、いい……

 あたしが真由じゃ……なくなっちゃう……

 いやなのに……いや…なのに……

 気持ちいいよぉ……あん…

 当たり前になっちゃう……この体が……

 あたしがムイになっちゃう……ああ…」

真由は、汗を浮かべながらチンポを扱いている。

そして、そのまま短パンを履くと短パンの社会の窓からチンポを出しオナニーを再開する。

真由は……壊れてしまったのだろうか?

目の前にいる真由は、真由だった頃の真由じゃない。

もうあの真由じゃないんだ。

そんな気がした。

真由は、ブルッサになることに…

ムイになりきることに興奮している……

その行き着く先は……何なんだろう?

身も心もムイになりきってブルッサ族で生活するのだろうか?

僕の中で何かがさめていくような気がした。

「ああ、もっともっと……ムイ……を感じたい……

 あたし、ムイ……ムイになりたい……

 ああ……あはぁ……出る……

 はぁはぁ…出る……

 出る出るぅぅ」

ムイの体で真由がイこうとしていた。

腰をぶるブルッて震わせて、

「ああっ、ああっ、ああっ…」

射精していく。

真由が自分で射精している。

なんてことだ……

ブルッサ族を直に体験するなんてものじゃない……

真由はブルッサ族になりたがっている……

憧れを抱いてしまっているのだ……



翌朝、ガイドが迎えに来てくれた。

熱いものが一気にさめたようなそんな気分で

僕は朝を迎えていた。

ガイドに頼んで呪術師の小屋にきてもらう。

こんな話を訳してもらうのもなんだが

頼むしかなかった。

「それで……真由は、どうなるんでしょうか?」

「*****」

事情を知らないガイドが訝しげな顔で僕を見ながら訳していく。

呪術師の皺の刻まれた顔が、

さらに険しくなった。

「精霊より頂いた力を使い果たしたそうです。

 体を…交換するには、三日かかる…といってます」

ガイドは、不思議そうにしながら訳してくれる。

「こんなこというのもなんですけど…

 真由の様子が変なんです……元に戻りますか?」

「………」

ぼそぼそと呪術師がいった。

「あの呪術は……本来はあまり使ってはならないもの……です。

 え、影響……は、残るでしょう」

ガイドの訳がむなしく響いた。

「元に戻せないんですか?」

熱くなる僕。

「…ムイも悪気が…あった…わけではないでしょう。

 でも…しかし……相手の記憶を取り込めば……

 SOUL…えっと……た、魂に…影響は避けられないです」

「そんな……」

「まさか…あんな若い娘と体を……交換?…するとは思わなかった…です。

 申し訳ない…ですが……

 もし娘が…望むならば……わたしたちは受け入れる…でしょう」

「それって……真由がムイとして生きていくならってことか?」

「…そうです」

「なら、ムイはどうするんですか?」

「…あの人は……あの子には……罰として、生きてもらう…その娘として……

 記憶はあるので……無理ではない…です。

 まあ……一度……体を…元に戻してもいいでしょう。

 そして……様子…見なさい」

「そんな……じゃあ三日後に……

 でも、そんなに待てないです。

 帰国、あさってだし…」

僕は絶望に近い何かを感じながらいった。

「……えっと……

 仕方ないです……精霊……に頼んで

 特別に…今夜することにしましょう……

 その代わり、力少ないので……元の体に戻るだけしかできないです」

ガイドは不審に思っているだろう。

でも、正確に訳してくれているようだ。

ありがたかった。

僕は礼を言って、

明日の朝迎えに来るよう伝えてくれと頼んで

無理やりガイドを押し返したのだった。



「今夜、元に戻れるそうだ」

「そうなの?

 じゃあ、ブルッサ族の体験は今日限りだね…」

うれしそうに振舞いながら苦笑いしている真由。

あれだけ、オナニーを見られてしまってかそれともムイの体に未練があるのか

真由は気まずそうだった。

「まあ…随分といろいろあったな……」

「うん……」

「なんていうのか……まさか、真由がここまで…

 ブルッサ族に馴染むとは思わなかった……」

「ごめん……」

「ショックだった……」

「そう……

 あたしも…そうだった。

 なのに……いつの間にか喜んでたんだよね……あたし」

ムイの体で変声期の男の子の声で喋っている真由。

さっきから僕の中で何かが揺れている。

「あたしの中で……ブルッサ族の自覚が強くなって…いるの……

 あたし……元に戻って……どうなるのか…不安。

 でも、このままでいたら……多分もっとムイになりきっちゃう。

 ムイの記憶が何気なく蘇ってくるの。

 村の中歩いてたら思い出して……あたし……

 だんだんムイに染まってきてる……

 日本語で……ううん……真由で思考するのが……

 苦痛になってくるの……真由の記憶がう、うざ、うざったい…っていうか…

 重荷みたいで……ムイの考え方っていうか……

 ムイで考えてるとすごく楽なの……

 そうやってるうちに……

 ムイ、ブルッサ族として思考してるあたしが…いる

 真由で考えてると……頭の中、ごちゃごちゃする…の

 よくあんな…せ、せい、生活してたなぁって……

 そんなこと…考えて…る。

 真由で考えるの…やめると……すごく楽なの…

 あたし……今も時々ムイで…考えてる

 思わず、ブルッサのことばで…喋っちゃいそうになるくらい」

そんな真由を見てて僕は辛くてたまらなくなった。

僕の好きな真由が消えてしまう。

そんな不安に取り付かれて僕は思わずムイの真由に抱きついていた。



夜になって二人は呪術師の小屋に呼ばれた。

あの呪術らしき文様の描かれた紙と彫像が備えてあり

いつでも儀式を始められるようになっていた。

僕も小屋の入り口から様子を見せてもらう。

叱られて罰を受けていた偽真由…真由の体のムイは項垂れていた。

自分のやってきたことの重大さを今になって受け止めているようだ。

そのせいで……

真由が……

真由が…

悔しさに唇をかんだ。

儀式が始まる。

二人があのポーズを取って並んだ。

震えが始まる。

二人の呼吸が乱れ始める。

苦しそうなその様子。

ガクガクガクッ

と大きな震えが二人同時に訪れて

二人は同時に失神した。



僕は真由の本来の体を小屋に運び込んだ。

もう……ムイの体は見たくない。

匂いも嗅ぎたくなかった。

だから、僕は真由だけをムイの小屋に運び込んで

二人一緒にいた。

ムイは、呪術師に任せてある……僕は無理をいって真由を運び出したのだ。



「はぁはぁ…う………うん」

魘されるように声を漏らす真由。

長かった時間がようやく戻ってきたようなそんな気がする。

真由が真由の体にいる。

それだけで僕はうれしかった。

ビクッ

あのときと同じように電気が走ったかのように真由が体を震わせて飛び起きた。

「はぁはぁはぁ…」

「真由?」

「…………し……んご、信吾?」

真由が真由の声で僕を呼んでくれた。

すごくジーンとする。

…しかし、ちょっと口調が変なような気もする。

まさか……ね。

「あたし……元に……戻った……の?」

ゆっくりと言葉をかみ締めるようにいう真由。

真由は、僕の目を見てからそっと自分の体を眺めた。

一日の間に破れたブラウス。

ジーンズ。

薄汚れてしまって、真由が野生少女のように見えてしまう。

「あ……はぁ……ああ……」

真由は、物珍しげに自分の体を眺め回すと

クイッ

と胸を掴んだ。

「はぁ〜あ……ああ…あん………」

味わうように、ブラウスの上から胸を掴み動く手の動きがいやらしい。

「な、何を?……お、おい、真由っ」

その言葉すら聞こえていないかのように

真由は、口元を緩ませた。

「……なんか……初めて、女になったみたい……」

ブチッ

ブラウスの残っていたボタンを引きちぎると

僕の前だというのに

ブラジャーに手を当てて喜ぶ。

「こんなの着てたんだ……ああ……邪魔くさいなぁ」

僕は自分の耳を疑った。

真由は、大胆にもブラの中に手を差し込み

乳房の柔らかさを味わうようにもんでいる。

「……はぁ……ふぁ……ああ……う、うん」

「おい…真由……」

僕の存在すら感じていないかのようで真由は自分の体を探索している。

「ああ……ああ……我慢できない……」

真由は、ジーンズをまるで脱ぎ方を知らないかのような雑さで引き摺り下ろすと

ショーツを見つめて淫らな顔を浮かべた。

「へへ……これが……

 あたし……こんなの履いてたんだ……ふぅ〜ん」

そう呟きながら真由はショーツの上から股間の辺りに手を当てた。

「……はは……ないよ……ないよ」

ゆっくりとショーツを撫で回すように右手を動かす。

だんだん動きがいやらしくなり

割れ目にそって指でなぞるように愛撫し始める。

「………はぁ……自分の体なのに……自分の体じゃないみたい……

 ああ……生まれ変わったようだわ………

 すごい……これが女か……

 ああ……う……うん……ふぁぁ」

左手が自然に胸の乳房に向かい両手での愛撫が始まる。

胸と割れ目、そこを重点的に攻撃している。

「ああ……いい、いい……ムイのおかげで……

 あたし…生まれ変わったの……

 あたし、興奮してる……自分の体……

 へへ……そうよ、ムイと同じよ……

 あたしもムイと同じ……

 そっか……あたしになったムイ……こんな感じだったんだ……

 ああ……興奮する……欲情しちゃう……

 いい……ジキジキしたい……ジキジキ***

 ****、ムイ……ああ……**

 **……う、うん……***っ

 ***、ムイ……あん」

真由はまるで女に憑り付いた男のように体を味わっていた。

自分の体だというのに……

一日前までずっといた自分の体だというのに……

信じられない。

これがあの真由……

真由なのか?

僕は、見ていられなかった。

言葉もブルッサ。

仕草もムイ。

まるで真由に見えない。

だんだん荒々しくなる女体への愛撫。

自分に愛撫しているというより

ムイが他人の体を味わっているようなそんな違和感が伴う。

「ああ……あん…あんあんあんっ

 あぁぁぁぁぁぁ!!」

真由がビクビクッと体をのけぞらせる。

絶頂に達したのだろうか?

すさまじいオナニー。

…真由の……真由本人のオナニーなんて初めてだった……

なのに……僕は冷めていた。

興奮しつつも……

おかしい。

真由なのに……ムイのような気がする。

こいつが真由のはずなんてない。

僕の中の何かが叫んでいる。

「はぁはぁはぁ……まゆ、***。

 へへへ……ムイ、****まゆ****」

真由が何かいっている。

ブルッサの言葉で……

ムイの記憶に犯されてしまった真由。

もはや……元の真由なんかじゃない。

こいつはムイだ。

僕の中に激しい感情がわきあがる。

「貴様っ、ムイだろっ。

 ムイなんだなっ。

 真由の体で何してるんだよっ。

 出てけっ、出てけよっ!!」

僕は真由の胸倉を掴んでいた。

僕は気が気でなかったのかもしれない。

真由が真由であるという確証をなくして…

「はぁはぁはぁ……あたし……

 ああ、し……んご」

「なんだ、その口調は?

 お前が真由じゃない証拠だ。

 僕の名前もろくに喋れない癖して」

「やめて……ああ……あはぁん」

真由はまだ股間に手を突っ込んだままだった。

プチャ

ショーツの中で秘所に突き刺さっていた指が抜かれ嫌な音がする。

その瞬間、僕の中で何か引きちぎられるような気がした。

「こいつ、僕の真由に何てことしてんだよっ!!

 ゆるさねぇ、さっさと真由の体から出てけ、このやろう」

「あん……んんっ……落ち着い……**

 落ち着いて、信吾」

「なんだよ、この偽真由。

 そんなので騙されるかっ」

「お前は……お前……は、さっさとムイの体に戻るんだよっ。

 お前は僕の知ってる真由じゃない…」

涙で視界がゆがむ。

視界が曇って、真由の顔も分からなくなる。

「し……信吾…」

「うるさいうるさいっ」

「出てけっ、こいつ」

がしっ

そのとき、僕は抱きしめられていた。

真由に……真由の体に……

暖かくていい匂いがする。

僕の知ってる、真由のいい匂い。

「ごめん…ごめんね……信吾。

 あたし……飲み込まれちゃって……

 欲に溺れて……情けないよね……

 本当にごめんね。あたしが悪いの……

 信吾の…気持ちも考えないで……目の前でこんなことするなんて…

 ごめん。あたし……信吾がそういうなら……

 ブルッサ族になってもいい……

 でも……信吾が許してくれるなら……信吾のそばにいたいの……

 ごめんなさい。あたし……こんなときにいうなんて最低だと思うけど……

 信吾が好き……こんなエッチな女嫌かもしれない……

 ううん……こんなとこ見て変態だって思ったでしょ?

 でも……あたし怖いの……信吾に嫌われるのは嫌なの。

 わがままな女だって分かってる……

 信吾に心配かけといて……あたし、あたし……」

真由は泣いていた。

今までオナニーしているときとは違って

僕の知ってる真由の顔だった。

「真由……よかった……

 僕も好きだ、好きだったんだっ!!」

僕は真由を抱きしめ返した。



あれから三ヶ月が過ぎた……

僕たちは何事も無く日本に帰ってきて、

同じ高校に入学した。

アフリカで異常な状況下で告白しあった僕たちだったが

今でも今まで通り、仲のいい生活を送っている。

恋人同士になっても元々幼馴染だったから身近な関係は変わらない。

ただ、ようやくファーストキスと初体験に至れたのは告白のおかげだろう。

そして、今日も僕はいつもように真由の家にきていた。

真由の母親に挨拶して上に上がる。

いつもよりちょっと早かったけど

たまには早く来て驚かせるのもいいだろう。

僕はそっとドアの隙間から中の様子を伺った。

ベッドに座り込んだ真由の姿が奥に見える。

へへへ…何やってるやら

僕がわっとドア開けようとしたとき

僕は何かがおかしいことに気づいてドアを開けようとしていた手を止めた。

隙間を広げて様子を見る。

そして……

僕は言葉を失った。

「はぁはぁはぁ………ああ………いい、いい……

 たまんね……興奮する……」

そこに広がっていたのは異常な光景だった。

裸の真由がブルッサの飾り紐を首、腕、腰、足に巻きつけて

ドレッサーの鏡に自分の裸体を映しながらオナニーしていたのだ。

「……はぁはぁ……にしても、この格好に限るなぁ……

 ブラにしても、ショーツにしても、なんて邪魔なんだろ……

 鬱陶しいったらありゃしない……ああ……あんっ

 制服なんていらねーから、飾り紐だけでいたいぜ……

 はぁ…う、うん………ああ……ああん」

真由は、ブルッサ族の格好……

ほぼ全裸でいて股を広げて指をそこに突っ込んで動かしていた。

グチュグチュ

淫らな音が微かだが、廊下にも響いてきた。

「はぁ……ふぁ………い、いい、いい……

 いい女だよなぁ……興奮しちゃう〜…

 たまにはこんなにしないと体が疼いて仕方ねぇ

 ああ……あんあんっ」

真由の手の動きが怪しく動く。

愛液のいやらしい匂いが隙間から流れ出して

僕の鼻にも入ってきた。

「そろそろ……くる……ああ

 ああ、きた……

 きたきた……う、うくっ

 うぅぅん、うん、あんあんあんっ」

真由の……股間の手の動きが激しくなる

いったいどうして……

唖然とする僕の目の前でそれはおきた。

グチュリ

真由のクリトリスが……

初体験のとき、小さくて……僕が驚いた……あのクリトリスが勃起していた。

いや、もう親指サイズを越して

チンポのように伸び始めていた。

「そんな…」

僕は体を凍りつかせながらそれを食い入るように眺める。

「ああ……いい、いい……

 あたしのイガリ……イガリが……

 あんあんっ……んっ、うくぅ」

真由が腰を浮かせた瞬間

ビクッ

ビクッ

クリトリスのグロテスクな変貌が目に見えた表れた。

信じられないような速度で

チンポ……男性器へと姿を変えていくクリトリス。

真由の股間で肉棒となったそれは

プチュリ

という艶かしい音と共にペニスへと変化を遂げた。

ピチュチュ

先端から皮が裂け、

鈴口が姿を見せ、カリが張り出し

まるで………

ムイのチンポへと変化していく。

瞬く間に真由の股間には濃い茶褐色のチンポが生えていた。

にやりと笑う真由。

「……へへ……***……

 もう手放せないよな、これ……

 久々に勇者の証をたててやるぜ……ああ…

 あたし……生まれ変わったんだ……

 女に……すごく綺麗だ……自分じゃないみたい……

 ああ、はぁはぁはぁ……ジキジキしたい……***

 自分に戻ったのに……ああ……自分に疼くなんて……

 そう……**はムイに生まれ変わった……

 そして、ムイとして……はぁ…この体を……へへへ」

ついにチンポでオナニーを始めた真由。

そして………

真由は……

シュッ!!!

鏡に映る自分に向けて白濁した精液を飛ばした……



おわり



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。