風祭文庫・モランの館






「ブルッサ族へ」
(前編)


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-056





それは中学の卒業式を数日後に控えたある春の日、

突然振って沸いた話だった。

「アフリカ?」

「あぁ、父さんの取引先がな、

 向こうで事業を広げるので

 観光がてら一度現地に見に来て欲しい。

 っと言って来たのでな、

 うん、信吾も受験が終わったことだし、

 中学で卒業旅行というのもなんだが一緒に来るだろう?」

「え?

 行くよ行く!」

「ようし、じゃぁ私と母さんと信吾、

 あっそれと、

 仁科さんのところは卒業式がある真由ちゃんと奥さんを残して先に行ったので、

 真由ちゃん達も同行するからな」

「え?

 真由も一緒に行くの?」

「何言ってんだ、

 真由ちゃんも行くに決まっているだろうが」

「えぇ!!

 真由の奴、そんなことひとっことも言ってなかったぞ」

「まぁ、それはどうでもいい、

 とにかく卒業式の次の日に出発するから

 行くのなら準備をしておけ」

いつもより早く帰ってきた父さんが僕にそう話すと、

すぐに母さんと旅行についてアレコレ話し始めた。

「アフリカかぁ」

振って沸いた話だけど僕にとってはじめての海外旅行…

そのときには期待に胸を膨らませていた。



僕の名は吉田信吾、

そして真由と言うのは僕の幼馴染で真由の父親と僕の父さんとは会社の同期で

なんでも、新入社員の頃からの付き合いなんだそうだ。

こうして、僕達は卒業式が終わった翌日、

日本を発ちアフリカへと向かって行った。



アフリカ到着後、

父さんは迎えにきていた真由の父親達と合流をすると、

父さんたちが進めている仕事の見学がてら

ガイドとともにあっちこっちを見て回っていった。

土、匂い、景色、

何もかもが日本のそれと違うのに僕は感動しながら

初めての海外旅行をかみ締めていた。

そして、数日をかけて大方見終わった頃、

僕たちはブルッサ族の村にきていた。

ここで約二時間ほど観光・休憩した後、

今夜泊まるホテルへ向かうのだという。

「へぇ…ここが…」

村の中心にある広場に来た真由がクルリと回りながら感心をしていると、

『…ここでは、木彫りの人形が有名なんです。ブルッサ族は…』

現地のガイドが癖のある日本語で父さんたちにだらだらと説明している。

「ねぇ、あっち行ってみない?」

「そうだな」

いつまでも続く説明に我慢できなくなった僕たちはこっそりと抜け出すことにした。



広場から小屋という感じの粗末な家々を見て回っていた僕らだったが

ふと、僕らと同じくらいの背丈の少年が手招きしているのを見つけた。

どうやら誘ってくれているらしい。

『******』

よく分からないが彼はブルッサ族の言葉で僕たちに話しかけてくる。

友好的な雰囲気だが何を言ってるのか分からない。

「ねぇ、何ていってるの?」

「さぁ?僕に聞かれても…

 ガイドに訳してもらうしかないんじゃないか?」

彼の言葉の意味を真由に尋ねられた僕はそう返事をすると、

真由は”仕方ないなぁ”という顔をしながら僕から視線をそらし少年を見る。

彼は背は僕と同じくらいと思ったが…

体はずっと細身だ。

でも、細いといっても筋肉のつき方は僕よりいいくらい。

こっちの人は背が高いから

多分、こいつの方が年下だろう。

漆器っていうか、そんな濃い茶色の肌がてかてかしていて

髪の毛は縮れた毛が薄く載ってる。

いかにもアフリカの少年という感じだ。

「おい、君たち。何をしてるんだい?」

そのとき、同行のガイドの一人が僕らに気づいて声をかけてきた。

ちょうどいいタイミングだ。

「ねぇ、彼が何言っている分かんないんだけど、

 訳してもらえませんか?」

「あ、そうか。

 ちょうどよかったね」

真由も納得するように頷いた。

少年も僕の言ってることがなんとになく分かったのだろう。

ガイドに同じ言葉で話しかける。

『**********』

『*********』

「えっとね、ブルッサ族を直に体験してみないか?っていってるよ」

「直に」

「はい。

 お金は取るみたいだけど…ははは」

「ウソ…お金取るのぉ?」

真由が明らかに嫌そうな顔をする。

しかし、真由の顔を見た少年はまた何かを言った。

『*********』

「えっと、君ならお金いらないって、よかったね。

 でも、あんまり遠くいったら駄目だよ。

 ブッシュはチェチェバエとか出るから集落から出ないこと、

 一時間くらいしたら広場に戻るんだよ」

ガイドはそういうと、

演説が続いている広場の方へ荷物を運んでいった。

『***********』

少年はニコニコしながら、真由の手をとる。

くそ…

女には甘いってか。

どうせ僕は金を取るっていうんだろうな。

僕はちょっとむかつきながら、二人の後に付いて行く。

「ねぇ、直に体験ってどんなんだろうね?」

「さぁ?

 なんか踊りでも見せてくれるんじゃないか?」

「あ、そういうのかもね。

 それとも、ブルッサ族の生活体験とか?」

「生活体験って…二時間で出るんだぞ?」

「それもそうね。

 まあ、でもせっかくだから楽しもうよ」

そういうと真由は、目の前を歩く少年に歩調を合わせながら進んでいく。

たどり着いた先は集落の一番端の小屋だった。

ちょっと大きめだが、様子がほかと違う。

仕事場なのか、ホールみたいなものなのか?

僕が中に入っていくと

小屋の真中に祭壇…のようなものがあった。

腰の高さくらいの祭壇の上に模様のあるシートみたいのが広げてあって

その上にやや大きめの彫像が置いてある。

「へぇ〜」

「これはすごいな」

この集落で作られる彫像はすごいらしいということはガイドから聞いていたが

実物を見ると感心の溜息も出る。

写真で見た彫像は、人をシンボル化したようなもので

人一人だったがこれは二人が向かい合って手を合わせているような変わったものだった。

それにしても実物は以外と大きい。

これが特別大きいのかもしれないけど…

感心してみていた僕たちだったが

『**********』

少年は真由をじっと見つめて何かをいうと

真由を手取り足取り、彫像にポーズをつけながら触らせていく。

「何してんだ?」

「分かんない。

 なんかのお呪いかな?」

真由は、少年によって彫像の反対側を両手で抱きしめながら

手前の彫像の額の広がったところに自分の額を当てさせていた。

『**』

それでじっとしていろということか、何かいうと少年も反対側に回って、

まさに左右対称という感じで真由の同じポーズを取って、その彫像に張り付いた。

「なんだ?

 何かの儀式みたいだな?」

「そう?

 分かんないけど…なんか気持ちいいよ」

「…ど、どういう意味?」

「額のとこ、冷たくっていい気持ちなの。

 あとで信吾もやってみなよ」

「ほう、じゃあ後でな」

二人でそんな会話をしていると

急に真由の様子がおかしくなったように感じた。

「はぁはぁはあはあはあ」

突然、息苦しそうにし始めると、

「ど、どうした?」

「ん、なんか…体が熱くって…

 す、吸い込まれそうなの…すごい。

 すごい、気分なの。

 目の前にぽっかり穴が開いてて

 そこに吸い込まれていくみたい…

 はぁはあはあっ!

 額を当ててるだけなのに…すごいっ」

真由は顔を真っ赤しながら肩で息をしているようだ。

一種の催眠術みたいなものなのだろうか?

と思っていると、

「ふわあっ!!

 吸い込まれるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

真由が絶叫を上げた。

いや、真由だけでなく少年もガクガクと体を震わせている。

真由がその場で振動しているように震えだし

いきなり

ビクビクビクッ

と体を痙攣させた。

「何っ!?」

驚く僕の前で真由と少年が崩れ落ちる。

そして、

荒い息のまま

異常な汗を浮かべながら、二人は横たわっていた。



「真由、真由っ!!」

死んだように気絶している真由を揺り動かし起こそうとする僕。

十分ほどそうしていただろうか

パチッ

突然電気が入ったかのように真由はガバッと体を起こした。

「真由?」

『*********』

起き上がった真由は途端まるで嘗め回すように自分の体を見つめ

そして、珍しそうに自分の衣服を上から触っている。

「どうしたんだ、真由?

 頭でも打ったのか?」

気にでも触れたかと思って、僕はびっくりして真由の肩をゆすぶる。

『**********』

真由は邪魔だいわんばかりに僕を振り払うと

横たわっている少年に脇に座り顔をペシペシと叩いた。

「う、ううん…」

少年が魘されるように覚醒する。

さっきまでのいたずらっ子ぽい表情ではなく

ぼぅ〜っとした顔だ。

とそのとき、

「あれ?

 あたし、どうして?」

と少年は呟いた。

僕にもわかる日本語で

「は…」

僕は唖然として二人を見つめる。

『******』

少年のそばで理解不能な言葉を喋る真由に気づいたのか

少年は唯一真っ白な瞳を大きく見開いて体をのぞけらせた。

「きゃあっ!!

 なんで、なんで、あたしがいるのっ!?」

その口調に僕は凍りついた。

だって、それは真由のものだったから。



「じゃあ、お前が今は真由なのか?」

「お前が…といわれても…

 あたしが真由だよ。体は違うけど…」

少年は困り果てたように自分の体を見つめる。

垢に汚れたT シャツに同様にぼろぼろの短パン。

そして、漆器のような濃い茶色の肌。

汗のせいか、てかてかしている。

なのに、結構肌はつるつるという感じがする。

って、それどころじゃなかったな。

「じゃあ、直に体験っていうのは、本当にブルッサ族になるってことだったのか…」

「そうなの?」

「そうじゃなきゃ、真由がこいつになってたりしないって」

「それはそうだね」

真由は困惑しつつも苦笑いを浮かべていた。

「でも、マジでこんなことが…

 すげぇなこれが彫像の呪術ってやつなのか」

僕は改めて感心しながらさっきの彫像を見る。

なるほど、これは金になるのかもしれない。

観光客にはすごく刺激的かも…

「ねぇ、あたし、どうなっちゃうのかな?」

「馬鹿だな、真由。

 普段金取ってるってことは、商売なんだろ、これ。

 観光客にブルッサ族を体験してもらおうっていうツアーみたいなもんじゃないのか?」

「あ、そっか。

 じゃあ、元に戻れるんだよね」

「当たり前だろ。

 多分、こいつ、そうやって稼いでるんだろうなぁ」

「ふぅん、じゃあ楽しまなきゃもったいないね」

俄然勇気が出てきたのか少年の顔にさっき見てたようないたずらっ子ぽい表情が戻った。

しかし、まぁあいつの中に真由が入っちまうなんて…

なんかすご過ぎるぞ、ブルッサ族。



そんな風に驚き半分興奮半分で話し合っていた僕らだったが

「うふふ…楽しんでもらえてる?」

突然背後から嫌な声がした。

いや、真由本人の声なんだが…なんだか気持ち悪い。

振り返ると真由になった少年が立っていた。

「…なんで、お前、日本語話せたのかよ?」

僕は仰天して突っかかる。

「いいえ、この女の記憶を使って…

 ようやく話せるようになったところよ、信吾」

ゾクッとする。

背筋に寒気が走るとはまさにこのことだ。

「お前…真由の記憶を覗き見してるのか?」

「覗き見じゃなくて、勝手に見れちゃうのよ。

 まあ、その内、彼女もそうなるわ」

少年に憑り付かれた”真由”は、そういいながら座り込んでいる元の自分近づいた。

「ねぇ、気持ちはどう?

 ブルッサ族のムイになった気分は?」

「あなた、ムイっていうの?」

「そうよ。あなたは…原田 真由っていうのね」

「…そんなことまで分かっちゃうんだ」

「そうよ。あなたももうすぐそうなるから安心して」

偽真由はそういいながら、少年になった真由の肩に手を置いた。

「そうなるっていわれても…

 ねぇ、これって、ブルッサ族になってブルッサ族を体験できるってことなんでしょ?」

「そうよ。今あなたは、ブルッサのムイ。

 あたしになってどうだった。

 まだ勇者とはいえないけど、逞しいでしょ?

 さぁ、ブルッサの格好に着替えましょ?」

偽真由はそういうと、真由の手を取って立ち上がらせた。

偽真由…真由の記憶でしゃべっているせいか

口調が真由とまったくおんなじだ。

なんか気持ち悪い…

「着替えって…ああ、そうか。

 だから、Tシャツと短パンなんだ」

「さあ、脱いで」

「え?あたしが?」

うろたえる真由。

「当たり前でしょ。

 別にあんたの体じゃないんだから、気にする必要なんてないわよ」

そういわれて、真由は渋々恥ずかしそうに脱ぎだした。

「うわっ、汗臭…

 もう、Tシャツったってちゃんと着替えなきゃ駄目よ」

頭をTシャツの中に突っ込みながら、脱く途中の真由が偽真由にいう。

「ここでは水があまりないんだから、そんなの当たり前よ。

 それにあんた自身の汚れなんだから、気にならないでしょ?」

「あたしの汚れ…」

Tシャツを脱ぎきった真由は何かを意識したようにまじまじと垢まみれのTシャツを眺める。

それを見て、偽真由はくすりと笑った。

「さぁ、下も脱いで」

「う、うん…

 いいの?」

「何いってるの、あんた。

 自分のもの見たって、何したって、文句ないでしょ?」

「そ、そう…」

真由はちょっと困惑しつつも、せいのっで薄汚れた短パンを脱ぎ捨てる。

しかし

そこには直にチンポが見えていた。

「わわっ、見えちゃった…」

どこを見ていいか分からないという風な真由に偽真由は呆れたように近づくと

「こんなもんで何騒いでるんだ?」

というなり、真由のち…いや、少年のチンポを握った。

「はぁうっ!!」

真由はなんともいえないような声を上げて身を揺らした。

「ああ、そうか。

 あんた、お姉ちゃんだったもんね。

 イガリは初めてか」

偽真由はその反応を面白そうに眺めるといった。

「イ、イガリ…」

真由はもういいやって感じで、じっと自分の股間に生えたチンポを凝視している。

やっぱり気になっているのだろうか?

「そうだ、お姉ちゃん。

 せっかくだから、先に体験しとく?

 ここだったら人目に付かないし

 お姉ちゃん、僕の体、しっかり楽しむといいよ」

「え?え?」

何のことだ?といわんばかりの目で偽真由を見つめる真由。

だが…

僕はなんとなくそれがわかった。

なんかドキドキする。

なんかさっきから異常な状態が続いてて僕は見ているだけしかできなかった。

これが金を出してまでするようなことなのだろうか?

偽真由が真由のチンポを握りなおすと

くいっと曲げて真由に見せ付ける。

「ほら、これがあんたのイガリだよ。

 どうだい、すごいだろ。

 友達からもお前のはいいなぁっていわれるんだ」

「い、嫌…

 そ、そうなの…」

困ったようにいいながらも目を離せられない真由。

「触ってみなよ」

偽真由は、促すようにいいつつ、真由の手を自らのチンポに近づけて握らせる。

「あ…はぁ」

真由は、初めての体験に酔いしれるように手の握り具合を変えながら

感触を楽しんでいる。

「ほら、もっと調べてみなよ」

偽真由はニヤニヤしながら、真由を促した。

真由ももはやとめられなくなったのか、好奇心に任せるがまま探索していく。

チンポを裏返したり

カリをなぞってみたり

チンポの穴を確かめたり

少年の…ムイのチンポを一心不乱に観察している。

「はぁ…あたしに…オチンチンが…」

「ふふ、お姉ちゃん、面白いなあ。

 さあ、そろそろお姉ちゃんにも僕のイガリのよさを体験してもらうよ」

そういうと、

偽真由は、弄って勃起始めていたチンポに絡まる手を握りなおさせて

シュシュッ

と扱き方をレクチャーするように真由の手を導いていく。

「ふわぁ…な、何、この気持ち…

 ねぇ、何してるの?」

「勇者の証をたてるのさ、これからね」

「勇者の証…」

「気持ちいいんだ、僕になった人はいつもやってるよ。

 お姉ちゃんも体験してよ、お勧めだぜ」

シュッシュッ

そういう間も手は止まらない。

だんだん速くなりつつも微妙に強弱をつけて快感を調整している。

「ああっ、やだ…やだ。

 まさか…これって」

腰を自然と振りつつも真由が嫌がっているようなよがり声を上げている。

しかし、真由は止めようとはしない。

ただ、偽真由の行為を受け入れているだけだ。

「ふふ、気持ちいいだろ。僕のイガリ。

 まあ、今はおねえちゃんのだけどさ」

「ああ、いわないで…

 あぁ、はぁはぁはぁはぁ…」

「お姉ちゃん、すごく気持ちよさそうだなぁ。

 うれしいよ、僕」

「ああ、なんか出てきた…

 ベトベトするぅ」

「ほら、もっといくよ」

「ああ、駄目…やめて、ああっ!!

 いい、いやっ…あん…はぁはぁ」

ブルッサの少年なのに仕草は真由なあいつは腰をピクピクさせ始めた。

「さぁ、そろそろだよ。

 男の精を吐き出そうよ」

「やめて…ああ、出てくるの

 何かが…出てくるっ!!

 なんか、出てくるぅ!!

 やだ、やだ…はぁはあっ

 出るぅぅぅぅ」

真由が少年の体で叫び声を上げる。

体がブルッと震えたその瞬間、真由は腰を突き出した。

「はぁうっ、うっ、うっ、うっ」

ブチュチュチュ

軽い射出音と共に少年のチンポから精液が飛び出していく。

僕もオナニーはするけどこんなに激しく飛ばしたことなんてない。

正直言ってすごいって思った。

「はぁぁぁぁぁ」

真由が軽く気絶したかのようにのけぞると膝を折って座り込んだ。

ピタピタ

少しずつ萎えていくチンポから精液の残りが垂れて、真由の手を伝って落ちていく。

まさか…真由が射精するなんて…

僕は衝撃的な光景に言葉を失っていた。

「お姉ちゃんったら、出すの早いよ」

偽真由は笑いながらそういうと

飾り紐も付けていく。

原色的なそれを首、腕、腰につけて

少年の真由は、裸族の少年へと変身していく。

「はぁはぁはぁ…」

真由はそれにもまだ気づかない様子で射精の余韻に浸っているようだった。

「ほら、できた。

 これでおねえちゃんもブルッサの一員だよ。

 ほら、この鏡で見てみて」

偽真由は、また呪術用ではないか思える…変わった鏡を差し出した。

鏡の中に…今の真由の姿が映し出され真由はそれを見ているのだろう。

「はぁはぁはぁ…

 あたし…」

「お姉ちゃんは、ムイだよ。

 生まれ変わったんだ。

 気持ちよかったでしょ?

 さっき」

「ああ、何これ…」

真由は呆然としたまま、手に付いた精液を目の前にもっときて眺める。

「お姉ちゃんの…ムイの男の精だよ。

 どうだった、初めての勇者の証は?」

「そんな…あたし、まさか…」

そういいつつも、真由は自ら出した精液の匂いを嗅いでいた。

「ほら、お姉ちゃんの精だよ。

 自分で出すのって初めてだったでしょ?

 もう僕の体の虜になった?」

「ああ…う、うん」

真由は自分の精液を淫らな表情で眺めだした。

鏡に精液を嗅ぐ自分を映し出して、それを見ながらうっとりしている。

「あ、あ…また勃ってきちゃった」

真由は、再び勃起し始めた自分のチンポをべたべたの手で握った。

「ああ、そんな…あたし」

「だんだん、そんな気になってきたでしょ?

 なんだか、これが当たり前のような気がしてくるでしょ?」

「あ、う…うん……ああ」

真由は、少年の顔を嫌らしく歪めながら、頷いた。

何かおかしな空気が場を支配している。

真由は左手で鏡を持ちながらじっくりと自分の顔を眺める。

「これが……あたし…の…顔」

「そんな気になってきたね?お姉ちゃん」

「ああ……う…うん、やだ……」

真由は酔いしれたように少年の顔を眺めて満足しているようだ。

「あたし……こんな目してるんだ……

 ああ、鼻の穴、大きい……唇もぶっといのね…

 髪の毛、縮れちゃってる、クス…」

「それがあんたの顔だよ」

「…これが……あたしの…顔……」

真由の股間では、

少年のチンポが勃起しすっかり上向いて

ビクッ

ビクッ

と脈打っている。

そして、真由は、それを右手でしごき始めた。

まさに真由は自分の意思でオナニーを始めていた。

ムイというこの少年の体で

ムイのチンポを感じて

ムイの顔をじっくりと眺めながら

「ああ、あたし……何やってるの…

 ああっ、やだ……なのに、気持ちいいよぉ

 すごいの……ああ、あたし」

シュッシュッ

真由がオナニーをしている。

男のオナニーをしている。

しかもまるでナルシストのように自分を見て興奮している。

「さぁ、お姉ちゃん、心も僕になるんだ。

 身も心も僕になっちゃうおう」

「あたし……あたしがムイ

 あたしがムイ…

 あたし、ムイっ」

真由は鏡を全身が見えるような場所に置くと、

鏡の中を見つめながらオナニーをし始めた。

本当に信じられない光景だ。

真由の仕草はまったく少年のものになりオナニーも手馴れたような感じだ。

鏡に映るムイの姿に今の自分の姿に興奮しているのだろうか?

「ああ、くる…

 何かが、くる…

 あたしの中が…変わっちゃう

 ああ、出るぅぅぅぅぅぅ」

シュッシュッシュッ

真由はまさに激しくチンポを扱いた。

さっきの射精と今のオナニーで出た我慢汁が混ざって

べとべとになりながら

その手を素早く上下させる。

「ぅぉっ、うぉっ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

さっきの射精とは比較にならないほどの雄たけびを上げて真由が絶頂に達する。

ブシュシュシュシュ

白濁した粘液が真由のチンポから吹き上げた。

そう…吹き上げていた。

真由が確信したような快楽に酔った顔をして余韻に耽っている。

射精が済んでもあふれ出す精液。

真由は、すっかり…少年になっていた。



「はぁはぁはぁはぁ…」

真由は満足げに股間を眺めている。

もはや羞恥心も何も感じられない。普通の男の顔だ。

「真由」

「ああ………し、信吾」

じっと見つめて、ようやく思い出したかのように僕の名を呼ぶ。

「お前、大丈夫か?」

「平気だって。

 …ああ、なんか最高の気分だ」

「真由?」

真由の様子がおかしい。

まるで…雰囲気が別人のようだ。

「こ、これは、どういうことなんだよっ」

僕は偽真由に食って掛かる。

「なんだよ、五月蝿いなあ。

 お姉ちゃんは僕に目覚めただけだって」

「何だよ、それ」

「だから、あの鏡の中でお姉ちゃんは、

 自分はブルッサのムイだっていう自覚をもったのさ」

「何だってそんなことを…」

「ふはは…当たり前じゃないか

 ブルッサを体験するにはブルッサになりきらないとな。

 だから、お姉ちゃんはブルッサになったのさ」

こともなげにいう偽真由。

確かにやつの言葉が本当なら一時のもののような気もする…

でも、なんか嫌な気がしてならない。

本当に真由は大丈夫なんだろうか?

心配だ。

「真由、ほんとになんでもないのか?」

「ほんとだよ、大げさだな」

僕の手を振り払うその態度、なんか変だ。

「ああ、なんていう気持ちだろう。

 自分が本当に生まれ変わったみたいだ…

 さっきまで恥ずかしかったのに…

 イガリを触ってもなんともねぇ」

「お姉ちゃん、もうそろそろブルッサの言葉が分かるようになるよ。

 そうなりゃ、お姉ちゃんも晴れてブルッサのムイになったも同然さ」

「ブルッサの言葉も…すげえ」

真由は興奮したようにムイの言葉に反応していた。

そして、ふと精液でべとべとになった手に気づいて

「うわっ、べたべたする。

 男の精でべたべただ。

 ははは…さっきまでの違和感が全然ねぇ。

 なんかこの体がすごくしっくるっつーか

 最高だぜ」

真由は、ぺろりと精液のついた指を舐めた。

「ああ、なんか頭が…ぐわんぐわんする…

 あ、すげぇ……

 分かるような気がするぞ。

 ブルッサのことが分かるような気がするっ」

「へへへ…

 お姉ちゃん、それじゃ、狩りに行こうか?」

「ああ、****!?」

真由は口から出た言葉に口を押さえる。

「僕の口から……*****!?」

ブルッサの言葉だ。

「ああ、****。

 ぅぅ、****」

真由は陶酔するようにブルッサの言葉を呟いた。

何を言ってるかまったく分からない。

だが、偽真由はにやりと僕を一瞥すると

「*****」

何かを叫び

すっかりブルッサの少年らしくなった振る舞いの真由を連れて出て行く。

「そこで兄ちゃんは寝てたほうがいいぜ。

 どうせ狩りの邪魔になるから…」

唖然する僕の前で二人はまぶしい外へと飛び出していった。

「おい………」

なんてことだ。

真由が……あの真由がまるで男だった。

ここにいる二時間。

いったいに何がどうなるってんだ!?

僕は思わずハッとして時計を見た。

残りは一時間半。

真由が彫像で体が少年と入れ替わって…まだ三十分しか経っていない。

感覚的には、何時間にも感じたのに…

僕は呆然としながら、冷たい地面に座り込んでいた。



…時間の流れが遅い。

時計が狂ってるんじゃないか?

そう思えるほどだ。

あれから一時間が経った。

ここを経つまで後三十分。

真由はいったい何をしているのだろう?

僕はいらいらしながら

小屋の中をうろついていた。

小屋の中には呪術に使われると思しき彫像や鏡が並んでいる

その内のひとつがさっき真由とムイを入れ替えたあれだったということか。

そして、あの鏡で真由は自分がムイだと思い込んだ。

催眠術、刷り込みなのか?

とにかく、僕らにはとうてい信じられないようなことが現に起きてしまっている。

こんなことになるなんて…

アフリカ旅行を楽しむどころじゃない。

まさか、真由がブルッサ族になってしまうなんて…

元に戻れないとかないだろうな?

僕は不安で仕方なかった。

「*****」

そのとき、ようやくというべきか…

外から少年の…ムイの声が聞こえてきた。

もっとも喋っているのは真由のはずなのだが

言葉が既にブルッサになっていて何を言っているかまったく分からない。

「真由…」

バサッ

心配する僕の前に

飾り紐だけでほぼ全裸の真由が入ってきた。

片手には弓、

片手には射落とした鳥。

普段の真由ではないかのような、そのオーラ。

それはまさにブルッサ族の少年だった。

「し、信吾…」

言葉遣いがおかしい。

僕の名前もブルッサの発音だ。

「真由」

近寄ろうとする前に

僕の進路をふさぐように真由になった少年が現れた。

びりびりになった服。

乱れた髪。

まるで野生少女に生まれ変わったような姿だ。

「な……」

言葉を失う僕の前で

「ほら、見てよ、信吾。

 僕が捕まえたんだぜ。ああ…もう最高な気分だ。

 もうずっとブルッサでいてもいいぐらい気持ちいい。

 僕、ブルッサのムイになってもいいぐらいだ」

チンポむき出しの格好で真由がいう。

手前にいる偽真由は、そんな真由の言葉を聴きながら

「****

 じゃあ、最後にいいことさせてあげるよ、ムイ」

といって、にやりと笑う。

「え?」

平然とした顔で聞き返す真由に

「僕の女とやらしてやるよ、ムイ」

偽真由はそういった。

「なぁぁぁぁぁぁ、お前、なんてこといってんだっ!!

 真由は女の子なんだぞっ。

 それになぁ」

僕は偽真由の胸元を思わず掴みにかかる。

「ははぁ、兄ちゃんまだしたことないんだろ?

 はは…お姉ちゃんの方が先に女味わうんだ。

 それを指をくわえてみてるんだな」

というと、小屋の外に飛び出していった。

「おい、真由。どういうつもりだよっ」

「何が?」

「ほ、ほんとに…せ、せっくすするつつつつもりかよ?」

「…うーん、セック……ジキジキか

 嫌悪感はあるようなんだけど……ないんだ……

 それより、この体になったときから……なんか……女を抱きたいような気分になるし…

 ああ、僕、どうしちゃったんだろう」

そういいながら真由はチンポを弄っていた。

「ああ……してぇ、女としてぇ。

 ムイの体が疼く。

 なんか呪術にかかってるみたいだ…」

オナニーして、狩りをしてもなお収まらない真由の雄性。

僕は不安のまま真由を見つめていた。

「ムイ、*****」

真由になった少年が、一人の少女を連れて小屋に入ってきた。

真由よりちょっと背が高いが

真由と同じ年くらいだろうか…

胸がそのまま晒し出されていて

乳房が丸見えだ。

僕は恥ずかしさのあまり思わず顔をそらせてしまう。

「*****?」

「************」

真由を見ると真由は少女をじろじろと眺め回しながら

ブルッサの言葉で何かをいう。

そして、少女も何かを答えた。

何を話しているのだろう?

分からない…

まるで僕だけがのけ者にされているようだ。

「*****」

少女…いや、体はもうかなり成熟している…が

艶かしい表情で真由に近づく真由の表情も淫らだ。

空気がおかしい。

なんてことだ。

僕は…僕は…どうしたらいいのか分からない。

見た目にはブルッサの少年と少女が絡み合おうとしているだけなのに…

本当に真由なのか?

やつは

真由があんな表情をして、女に欲情しているというのか?

あり得ない…

まだ中学卒業して、ようやく高校に入るんだぞ

あの真由がなんでセックス慣れした男みたいな顔してるんだ!?

僕は呆然としながら見の前に繰り広げられる異常な光景を眺めていた。

「*****」

少女が誘う。

真由が正面から少女の乳房を掴んだ。

濃い茶色の肌ながらもプロポーションのよい乳房がムイの手によって歪む

その感触にムイのチンポが激しく勃起している。

これは…なんだ?

これは、いったいなんなんだ?

「へへ、****」

ブルッサの言葉で女を抱こうとしているムイ…真由。

本当にやつは真由なのか?

疑問が…疑惑が僕の中で膨らんでいく。

一時間半前まで普通だった真由が

ブルッサの肉体を得て頭の中までブルッサになろうとしているのか?

そんなことが…

あり得ない。

あり得ないよ。

こんなの夢だ…

僕はそう思いたかった。

「へへへ…****」

真由が女の股間に舌を這わす。

ぺろぺろと

女の秘書を嘗め回している。

そして、女も真由のペニスを咥えて愛撫している。

いやらしい音が小屋に響く。

見ると真由になった少年が、

真由の体を弄んでいた。

「はぁっ………あ……あんあん…ああっ…」

ちぎれたブラウスを引きちぎり

ブラを乱暴に解いて胸をもみしだき

秘所に手を突っ込んでオナニーしている。

「そんな…」

僕はさらに異常度が増していく光景に凍りついた。

淫らな匂いが小屋に広がる。

ムイになった真由から立ち上る雄の匂い。

真由に犯されようとしている少女と真由の体でオナニーしているムイの雌の匂い。

その匂いを嗅いでいるうちに僕のチンポは勃起していた。



つづく



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。