風祭文庫・モランの館






「ディンガ族の少年」


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-018





「すごーい、ほんとにこんな暮らししてるんだぁ」

あたしはディンガ族という部族の村を訪れていた。

男の人は腰に紐を回しているだけのほぼ全裸。

女の人は布で股間を隠してはいるが、胸は曝け出している。

あたしからすれば、その文化の違いに驚いていた。

すると、あたしの視線に気付いたのか、

あたしと同い年くらいの少年が近づいて来ると、

オイデ…

と手招きをした。

こっちにきて遊ぼうって感じで…



なんであたしたちがこんなところにいるかというと、

うちの家族が元々アウトドア派なせいだ。

だから、

海外旅行に行くのでも珍しいところに行こうという事になって、

それで今回はアフリカ旅行に決まったというわけだった。

このツアーの最低催行人員は4名。

見事、うちの家族4名だけでこのツアーを行われている。

全く、すごいとしかいいようがない。

私たち以外は現地のガイドと運転手さんの二人。

現地に着いてからも日本人が珍しいのか、

みんな遠巻きに私たちを眺めている。

最初はガイドさんについて長のところまで行き、

色々な話を聞かせてもらったのだが、

出発まで時間があるということで、

あたしは村の周りで遊ぶことにした。

子供たちも遊びまわっているので危険はないと思ったからだった。



そして、今あたしはその男の子と一緒にいる。

あたしは中学3年で、身長は比較的高い方だが、

彼は同い年そうに見えるけど、

でも、とても身長が高い。

あたしと比べるとまるで子供と大人だ。

さらに、うちの同級生とは比べ物にならない逞しい体つき。

そんな彼に手を握られているかと思うと、

あたしは思わずドキドキした。



暫く歩くと、

掘っている最中らしい井戸があった。

その周りに少年少女たちが集まっている。

なるほど、

どうやら彼はあたしに手伝って欲しかったらしい。

「なぁーんだ、遊ぶんじゃなかったのか…」

あたしがそういうと、

彼はあたしが理解できない言葉で何かいった。

どうやらジェスチャーで掘り方を説明してくれているらしい。

あたしは大体のことを飲み込むと、

彼らに混じって手伝ってみることにした。

でも、彼らの肉体の屈強なこと。

あたしは返って足手まといになりそうだったが、

みんなすぐに仲間に入れてくれた。

そして、みんなあたしという来客に興味をもっているようだった。

やはり、服が気になるのか、

みんな引っ張るのだ。

でも、あたしはさすがに脱ぐことは出来なかった。



そうして、ようやく打ち解けてきた頃、

もう帰る時間となった。

ガイドと一緒にパパやママや弟が迎えにくる。

あたしはせっかく仲良くなったみんなともう少し一緒にいたいと言ってみた。

すると、村の長は妙にあたしを気に入ったらしく、

今夜あたしが泊まってもいいと熱心に勧めた。

あたしたちのコテージから、この村までは

さほど離れていなかったので、翌朝迎えに来るということで、

結局あたしは泊まれることに決まったのだった。

あたしもみんなともう少しいられるというので、

とてもうれしかった。



そして、その夜、

あたしはディンガ族の歓迎を受けて、

珍しい夕食をたくさん用意してもらったが、

本音を言うと少し食べにくかった。

そうして、

夕飯が済んで宴も暫くした頃、

例の彼があたしを呼びにきた。

どうやら、彼のうちに泊めてもらうことになるのらしい。

――って、あたしの女の子なのに…大丈夫よね?

あたしは少し心配になったが、

村の外れの彼の家に着いてみると、

彼の父親らしい人物もいて安心した。

彼の家は呪いでもやっているのか、

色々とすごいものが置いてあった。

ドキドキしながら進んでいくと、

華やかに文様で?彩られた寝台のようなものがあり、

彼がそこに横になるようにいった。

どうやら、来客用のベッドと思ったあたしは

素直に横になる。

少し硬かったけど寝れることは寝れそうだ。

虫除けのためか、

煙が小屋の中に立ち込めていて幻想的な雰囲気だった。

あたしは、そんな雰囲気に飲まれ、

妙に興奮していた。

そのときだった。

ビリッ

と電撃のようなものを感じたあと、

体が動かなくなったのだ。

それは当に金縛りというものだった。

あたしは驚いて

「いやッ!!」

と叫んだ。

どうやら、顔と声だけはまだ自由に使えるらしい。

すると、

あの少年が近づいてきた。

あたしを覗き込んだ。

途端、頭の中に彼の言葉が入ってきた。

彼の言葉は理解できないはずなのに、

不思議と頭の中の言葉は理解できた。

――これから、君をディンガ族の一員として迎え入れる…

彼は確かにそういった。

昼間の優しそうな彼とは全く違う怖そうな態度にあたしは怯えた。

「いや、何をする気なの?」

あたしが尋ねると、

――俺はこのディンガ族の呪術師の息子だ。

  だから、呪術を継がなければならない。

  しかし、呪術師になるためには供の勇者が要る。

  そのため、今夜君には呪術でディンガ族の勇者になってもらう…

彼は暗い瞳であたしを見つめながら心に話し掛けてきた。

「ディンガ族…

 勇者になる!?

 それってどういうことなの?」

――幸い君はディンガ族になりたがっていたようだった。

  だから俺も君を選んだんだ。

  今からの呪術で君はディンガ族の勇者に生まれ変わる。

彼は相変わらずの調子で答える。

「勇者って?

 どういうことなの?」

――何も心配はいらない。

  君は心も体もディンガ族へと生まれ変わるんだ。

  それに俺は君の友として君を助けよう。

「いやッ、意味がわかんないよぉ。

 お願い、こんなことやめて…」

あたしは必死に懇願したが、

彼は静かに立ち上がるとあたしの衣服をはぎだした。

でも、あたしは体を動かすことが出来ず、

なすがままあっという間に裸にされてしまった。

まだ、エッチもしたことのないこの体を…

彼も男の子のせいか、

あたしの裸体を見て顔を赤らめているような気がした。

あたしは余計に恥ずかしくなった。

だが、彼はすぐに、

何か不思議な呪文を唱え始めたのだ。

それを聞いていると、

なんだか体がカッカッすると共に、

眠くなってきて、

あたしはうつらうつらし始めた。

ピチュ

どれくらい経っただろうか?

まどろみの中、あたしが気が付くと、

股間が妙に突っ張るのを感じた。

それとともに下半身が燃え上がるように

熱くなり、

それが次第に股間の先へと移動していった。

「はぁはぁ…」

あたしは苦しくなって、

激しく呼吸していた。

――さぁ、ディンガ族の勇者の象徴を見せてもらうぞ

彼が突然あたしの心に語りかけた途端、

ビクンッ

と腰が震えた。

そして、鼓動に合わせるように

股間のツッパリが強烈になっていく。

それは痛いというより、

快感だった。

「あ、あぁぁんッ。い、イヤッ。

 はッ、はぁ…何が起きてるの?」

あたしは必死に状況を探ろうとするが

分かるのは股間の違和感だけだった。

次第にそれは大きくなり、

足の間に何か突起していくのが分かった。

そして、太ももに熱い何かが触れる。

「ええッ!?何よ、これ…」

あたしは何か嫌な予感がして鳥肌が立った。

ムリッ

だが、今度はその突起物の先が裂ける感覚が脳天を直撃し

「いィッ!!!」

と叫んでしまった。

そして、突起物の先が広がり、

何かが貫通していくような気がした。

「…こ、これってまさか…」

あたしが声を震わせると、

――お前は、ディンガ族の勇者の象徴を得た。

  これで、勇者の証を立てれば、

  お前はディンガ族の勇者に生まれ変わる。

と彼はあたしに言った。

「…い、一体…どうなってるの?」

あたしが恐怖しながらいうと、

首が少し動くようになった。

裸体の胸の間から見ると、

あたしの股間に何かキノコのようなものが生えているのが分かる。

「ぅ、うそでしょ…あたしにオチンチンなんて…そ、そんな…」

――これがディンガ族の勇者の象徴だ。

それは、

彼のと同じように黒く、

そして太く長かった。

それがあたしの股間に生えているのだ。

あたしは思わず混乱状態に陥った。

「いやッ、いやッ、イヤッ!!

 早く元に戻してよぉ」

泣き喚くあたしに、

彼は

――今からお前には勇者の証をたててもらう。

  お前自身の男の精を吐き出すのだ。

といった。

「えッ、えッ!?えええ〜!?」

あたしは訳が分からず錯乱する。

しかし、彼はあたしの出来立てのオチンチンを

いきなりギュッと握り締めた。

「や、ヒャウン…」

そのくすぐったさにあたしは思わず声を漏らしていた。

そして、

その手を

シュッ

シュッ

と上下させ始める。

その彼の手で擦れるたびに

あたしは初めて体験する男の快感に踊らされた。

「や、やぁん、あぁぁぁん…ぁんッ」

あたしはこのままでは駄目だと思ったが、

彼は一向に手を休めない。

それどころか、

更にその勢いを増していく。

「駄目、そんな…

 オチンチンがビクビクしてる。

 あ…やだ、

 何か…何かこみ上げてくる。

 いや、やめてお願いよぉ」

シュッ

シュッ

あたしは懇願するが、

彼の手の動きはピストンのように激しくなっていく。

そのとき、

あたしはオチンチンの根元に何かが溜まってくるのに気付いた。

そして、

次第にそれは溢れ返り、出口を求めて暴れ始める。

「あぁ…何か、出る…

 出ちゃう…」

――そうだ。吐き出すのだ。

  勇者の証を…

彼がそういった途端、

あたしは遂にその欲求を押さえきれなくなった。

「あッ!?」

頭に…全身に…

衝撃的な快感がビクンと走ると、

オチンチンの根元から何か勢いよく駆け上っていく。

「ああッ…ああッ…あんッ…あぁぁぁぁぁん」

あたしはそのリズムカルに繰り返し何かを射出する感じに

叫び声を上げる。

そして、そのオチンチンの中を何かが駆け抜けていくたびに、

いいようのない快感があたしの心を埋め尽くした。





「くぅ〜…はぁはぁはぁ…」

あたしは射精したとも知らずに

満足感に浸ってしまった。

すると、彼は

――お前は今、男の精を出すことが出来た。

  これでお前はディンガの勇者である証を立てたのだ。

  もうすぐ体もディンガの勇者に成り代わる。

といった。

「男の精?…

 はぁはぁ…あ、あたし…」

射精の余韻から少しずつ理性を取り戻したあたしは愕然とした。

今、自分がした行為に気が付いたから。

あたしだって、保健で射精くらいは習っている。

だから、今自分が射精してしまったらしいのに気が付いたのだ。

「いやッ、こんなのイヤッ!!

 あたしは‥あたしは女の子なのよ」

あたしは涙していった。

――お前はもう女ではない。

  ディンガ族の勇者だ。

彼の心の声が終わるか終わらないうちに

ドクンッ

とあたしの体が震えた。

「え?…何?」

あたしがドキドキしていると、

ビキッ

とお腹のあたりに異変を感じた。

そして、

ビクビクッ

と何か筋肉か張り出すような感じを覚えた。

「そんな…」

それどころか今度は胸の筋が、

ビリビリ

と走ると、

横に引き伸ばされるように成長過程の乳房の形が崩れ、

少女漫画で見たような男の子の胸板が張り出していく。

「あ…あッ…あッ…」

あたしの鼓動に合わせるような筋肉の発達に

あたしは声を止められなかった。

腕や足の筋肉が張り出していくと

次は骨格といわんばかりに

骨がミシミシと音を立て始める。

あたしは自分の体が違う何かに作り変えられていくのを感じた。

「やッ、やめて。

 お願い、元に戻して…」

あたしは必死に彼に訴えた。

だが

――もう遅い。

  お前はもうディンガ族へと生まれ変わりつつある。

  もはや元に戻ることなど出来ない。

と冷たく突き放した。

手足が次第に長くなっていくのが感覚で分かる。

そして、肩の筋肉が漲ると更に首の筋も張り出した。

「いやッ、こんなのいやッ」

あたしは叫ぶが、

喉にごりごりと喉仏が発達していくと

あたしの声は変声期を経た少年の声へと変化していく。

「あ‥あたしの声が…」

呆然とするあたしを余所に変化は遂に顔に至った。

「や、や、や、や…」

次第にプクッと張り出していく唇。

鼻孔が広がっていく鼻。

そんな感じが直接伝わってきた。

まるで顔を粘土で作り変えられているようだった。

そして、あたしの長髪が抜けていくと

硬く太い髪の毛がぞろぞろとあたしの頭皮から伸びていくのを感じた。

「はぁはぁはぁはぁ…」

あたしは、

徐々に変化が頭の中に浸透しつつあるのを感じながら意識を失った。




翌朝あたしはその寝台の上で目が覚めた。

「はぁはぁはぁ…」

男として、

ディンガ族して生活している夢を見てあたしは飛び起きたのだった。

「夢?…」

呆然と自問するあたしの目の前に、

黒褐色で筋肉の発達した逞しい自分の下半身が映る。

そして、股間に朝立ちして巨大に勃起したオチンチンがあった。

「ヒッ、ヒッ、い、いやーッ!!」

あたしは悲鳴を上げると小屋を飛び出していった。

そして、

数十メートル離れた池に行くと自分の体を映してみた。

そこには、

あの男の子のように逞しいディンガ族の少年の裸体があった。

ふと気が付いてみると、

あたしも腰の周りに紐をつけていて、

由紀という女の子だった面影は微塵もなかった。

「う、うそでしょ…」

あたしの喉からは声変わりした少年の声が漏れた。

じっくりと見るあたしの顔は、

彫りが深く精悍なディンガ族の顔へと変わっていて、

髪の毛も硬い赤褐色の髪に変化していた。

「あたし…あたしがディンガ族なんて…」

確かに、

昨日はディンガ族の少年少女たちと一体感を味わっていたか、

自分がディンガ族になってしまうなんて思いもしなかった。

「あたし…」

と呟くあたしの頭に昨日の彼の声が蘇る。

――お前はディンガ族になりたがっていた

「違う、あたし。ディンガ族になりたかったわけじゃ…」

あたしは頭を振りながら、そういって否定したが、

心の中で妙にディンガ族になってしまった自分に興奮している自分がいた。

――お前は、男の精を吐き出したのだ。

「あたしが…男の精を…」

あたしは彼の声に引かれるように自分の股間を眺める。

そこには逞しい男根が聳え立っていた。

「すごい…

 脈を打ってる…

 これがあたしのオチンチンなの?」

あたしは駄目だ駄目だと思いつつ、

男根に触れてしまった。

「あ…」

自分の股間にディンガ族の勇者の象徴がある…

自分にオチンチンが生えている…

あたしはそのことに心を高ぶらせ始めた。

それに呼応して、

あたしの男根も更に勃起を強める。

そのサイズはもはや赤ちゃんの腕くらいあった。

「すごい…

 ああ…なんで、なんであたし、興奮してるの?」

あたしは不思議とその感覚に覚えがあるような気がした。

まるで、今までもディンガ族の勇者であったように。

そして、

この男根のことが当たり前に分かる…

扱く…

男の精を吐き出す…

そんなことが次々とあたしの頭の中に湧き上がる。

あたしはとうとう自分を押さえきれなくなって

自分の男根を握り締めると

男の自慰行為を始めてしまった。



「はぁはぁはぁはぁ」


シュッ

シュッ

昨日備わったばかりとは思えないくらい、

あたしは自分の男根の気持ちよさを当然に感じていた。

「くッ、出…出る…まだまだ…」

あたしは微妙に射精を押さえ込みながら、

生まれたての男根の快感を猛者ぶった。

そして、

昨日見たディンガ族の夢の中の女を妄想しながら、

「うッ…ううッ、ううッ、ウウッ」

ジュッ

ジュッ

ジュッ

と白濁した精液を自分の男根から大量に吐き出したのだった。

「はぁはぁはぁ…」

あたしは別に嫌悪感を抱くことなく、

地面に飛び散った精液をぼぅーっと眺める。

それは初めて自分で行った射精だったのに。

あたしは初めてのような気がしなかった。

「はぁはぁはぁ。なんであたし、こんなこと…

 なんで恥ずかしいはずなのに、恥ずかしくないの?…」

ほんとなら、

恥ずかしくて穴があったら入りたい気分になるはずと思うのに、

あたしは女の子としての羞恥心を感じることが出来なかった。

それは、自分に対する違和感だった。

「あたし…女の子なのに…

 こんなことして…

 どうして?どうしてなの…」

そのとき、

あたしは背後に人の気配を感じた。

それはあいつだった。

――どうやら、男の精を自分で飛ばしたようだな、

とホッとした顔つきであたしに言った。

「何よ、あたしが男になってそんなによかったわけ?」

思わずあたしは反論するが、

――これでお前も自らの心をディンガ族のモノに変えることになる。

と彼は言う。

「え?あたしの心までディンガ族になるっていうの…」

あたしは呆然としていった。

「じゃあ、あたしが自分に違和感を感じたのは…」

――そうだ。お前の心がディンガ族のものに変わりつつある証拠だ。

「そんな…」

あたしは身も心もディンガ族になるのが怖いはずなのに、

今は怖いとは思えなかった。

なぜか、それがごく普通に思えていた。




あれから、1ヶ月が過ぎた。

その間に随分と俺も変わった。

呪術とディンガ族としての生活は俺の心をディンガ族のものへと変えていき。

由紀という女の子だったはずの自分に実感が湧かなくなりつつあった。

日々、見る夢はディンガ族として成長していくような夢で、

俺の記憶を徐々に置き換えていっているらしい。

そのせいか、

俺はもう日本語も話せなくなりつつある。

俺の両親はあの変身の翌朝迎えにきたらしいが、

記憶を消され、由紀は行方不明扱いになっているとのことだった。

そして、俺は割礼や色々な儀式を受けた後

村人の一員となった。

俺はまだ日本の中学生と同じ歳だが、

ここではもう大人扱いだ。

そして、今日俺はようやく誘いにきた女と初めて行為に至ったのだった。

はっきりいって女のアソコを見るのは1ヶ月ぶりだが、

その間にソレは俺の性欲の対象となっていた。

まさか、自分が女と行為に至るようになるとは

1ヶ月前なら思いもしなかったろう。

こんなにも、女の胸やアソコに欲情するなんて

随分俺も変心したものだ。

「ハァハァハァ…」

俺は我慢できなくなって女の乳首に吸い付いた。

もう硬くなっていたが、

その乳房の柔らかさには驚いた。

自分の乳房もこんなのだったのだろうか?

今となっては実感もできない。

次第に俺の象徴は大きく勃起し、

咆え狂っていた。

「コレガ オトコ ノ カンジ ナノカ…」

俺は女の体を抱きしめながら、

懐かしい女の体の感じを味わう。

そして

興味津々になっている女のアソコに

逞しい自分の指を這わせた。

「アアアア…」

女は喘ぎ声を上げる。

俺はとうとう首を突っ込むと

アソコを観察した。

俺は女だったとき、一度もエッチを体験しなかったが、

こんなに汁だらけになるものなのか…

と俺はムラムラと余計に欲情するのを感じながら思った。

「モウ ガマン デキナイ…」

俺はとうとう自分の男根を女に突っ込むことにした。

徐々にお互いを近づけていくと

そのキノコ状のものをゆっくりと挿入する。

「ツ…ツツツツツ」

思わず声が漏れる。

女の中は暖かく締め付けてきて、

この1ヶ月扱き続けてきた俺の男根でも

すぐイってしまいそうになる。

だが、俺は勇者としての威厳のためにも

なんとか我慢した。

そして、

次第に高ぶる興奮と男としての性欲にかられ、

俺は腰を動かし始める。

ジュクジュク

いやらしい音が小屋に響いた。

――ほんの1ヶ月前まで女だった俺が

  いま男として女と交わっている。

俺はそのことに胸を高ぶらせた。

そう…

俺は自慰して男の精を放つたびに、

男である自分に興奮し、

自分がディンガ族の勇者であることを快感を感じていたのだ。

自分の片隅に残る由紀としての気持ち、

それをあざ笑うかのように

男の行為を続ける自分…

それが異常なまでの興奮を高めた。

しかし、多分それはトラップだったのだ。

それを繰り返すごとに俺は以前の自分を失っていっていたから。

自分がどんどんディンガ族に近づいていっていたから。

俺は内心では気付いていたのだ。

だが、俺はやめられなかった。


突然女のアソコが俺の逞しい男根を締め上げ始める。

「ク…ウォオオーッ!!」

俺はこの1ヶ月のことを振り返りながら、

とうとう男としての絶頂に達した。

ドクドクドク…

俺の男根はとうとう女の中に男の精を吐き出した。

そして、全身を襲う快感とともに、

自分の中で何かが換わっていく感じがする。

これが俺の心をここまで変えたのだ。

…という女だった俺の心を

勇者の心へと。

――あれ…なんだ、思い出せない。

  俺が女だった?

  そんなことがあったのか?

俺は更に記憶を書き換えられたようだ。

でもこれは俺はまもなく勇者になろうとしている証拠なのだ。

俺はそのことがうれしくてならなかった。



おわり



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。