風祭文庫・モランの館






「復活」



原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-002





「で、どうするの…コレ」

そう言うあたしの目の前にあるのは、

父さんがアフリカ出張帰りに買ってきてくれたお土産の山だった。

『はっはっはっ、

 適当に買って見たのだが、
 
 おそらく一個ぐらいは気に入るモノはあるだろう!!』

そう言って父さんは土産の山を

ドサッ!!

っとあたしの机の上に置いてくれたのだが、

この青い石で出来た美しい首飾りはともかく、

この細長く片方が尖った筒状のモノが何のなのかは分からなかった。

「一体…なんだろうこれ?」

そう言いながらあたしは筒状のモノを手に取り、

シゲシゲと眺めていると中に何か入っていることに気づいた。

「あれ?、何かが入っている…」

そう思いながらあたしは筒を上下に振ってみると、

ポトっ

と中からそれが飛び出してきた。

「ん?なに?」

あたしの手のひらに落ちてきた物体を見てみると、

干からびたキノコのような形状のモノだった。

「…これって…あっ!!」

数秒後、手にしたものが男のペニスであることに気付いたあたしは、

「やだっ!!」

と叫ぶと、思わずそれを放り投げた。

でも、普段見ることのない男のペニスに、

あたしは不思議なほどの興味にそそられた。

再びそれを拾うとしげしげと眺める。

「へぇ〜、男の子のオチンチンって

 こんな風になってるんだ…」

すっかり興味に刈られてペニスを触っていると、

突然それがピクッと動いた。

「!」

と同時に、あたしの心臓もドクッと大きく鼓動を打った。

「何?…」

自分の中で起こり始めた事に戸惑っていると、

急に妙な気分が湧上がっているのを感じた。

「舐めたい…でも…」

しばらくの間続いた心の葛藤に後に

ついには我慢できなくなった私は、

そっとペニスを自分の口に近づけるとペロリとなめてしまった。

「………」

味はしない、

しかし舐めていると、更に興奮が高まってきて、

あたしはそのペニスを唾液を絡ませるように、

舐め上げ始めた。

はぁはぁはぁ…

ただ、ペニスを舐めているだけなのに、

オナニーのときみたいに体が疼く。

ペチャペチャ…

あたしの目は徐々に欲情の目つきになり、

空いている左手で自分の股間を慰め始めた。

ペニスを舐めている間にすっかりあたしの股間は愛液にまみれていて、

パンティーに大きな染みができていた。

(あたし、一体どうしちゃったんだろう…)

押さえ切れない衝動に、

あたしは口の中にペニスを奥深く突っ込んで舐め上げていた。

次第に干からびていたペニスもあたしの唾液を吸ったせいか、

表面が生きている皮膚のように滑らかになり始めていた。

「ぷはぁ…」

と言う声と共にあたしはそれを口から離したが、

唾液に濡れているそれは、

さっきよりもリアリティーが増し、

本物のペニスと見違えないくらいになっていた。

はぁはぁはぁ…

さらにあたしの手は口から離したペニスを自分の股間へともって行きだした。

「だめ…

 やめて…」

あたしは、それをやめさせようとしたが、

体は全く言う事を聞かなかった。

まるで、手が何かの力に操られているようだった。

「やめて…やめて…」

そう言いながら、あたしはそれを自分の合わせ目に沿って這わせはじめた。

「くぅ〜」

ペニスの根元があたしの割れ目を擦る接触感に思わず喘ぎ声を漏らしてしまう。

「や、やめて…」

あたしは必死に抵抗したけれど、

あたしの手はそれを持ち替えるとそれを自分の”中”へ押し込み始めた。

その間にも快感が走り、

あたしは次第に抵抗するどころか、

考える事すらもできなくなり、

勝手に沸いて来る衝動に刈られてクリトリスのあるあたりの割れ目に

それを押し込むことに専念しはじめた。

するとそれは

ズブズブズブ…

とあたしの体内へと入ってゆき、

あたしのクリトリスにそれの根元が覆い被さって行った。

ビクン!!

「ぐぅ〜」

クリトリスがそれの中に入ってしまった途端、

ものすごい快感が全身を駆け抜けた。

まるでクリトリスとそれが溶けて一体化するような熱さをあたしは股間に感じた。

そして、ついにペニスは割れ目から首の部分が顔を覗かせる様になった。

あたしはただ操られるまま、

その覗かせているカリ首の部分を握ると上下に擦り始めた。

「あぁ〜っ」

初めて体験する未知の感覚に、

あたしの心は酔いしれる。

それはクリトリスが充血しているときのような感じでありながら、

ちょっと違っていた。

「はぁはぁはぁ…」

シュッシュッ…

何か我慢できなくなって来る衝動が、

あたしの股間の根元当たりに集中し始める。

すると、ペニスはまるでキノコが成長するごとく徐々に大きくなり始め、

それに併せてあたしの手の動きも幅が大きくなってきた。

しかもそれだけでなく、

クリトリスと一体になったペニスはパンパンに腫れ上がり、

その表面が敏感になっていくのが分かった。

そして、

何か体の中に溜まっているものを吐き出したくなる衝動があたしを襲った。

とうとう絶頂に達したあたしは、

「くぅ〜、イくぅ〜っ…」

そう叫び声をあげると、

「うぉうぉうぉ〜っ」

あたしの呻き声と共にペニスの中を何かが駆け抜け

その先端から白い液が噴き出した。

ピュッピュッ…

はぁはぁはぁ…

栗の華ににた香りが部屋中に漂う、

目がトロンとしてあたしは自分の股間を眺めながら、

初めて体験した男の感覚の余韻に浸っていた。

ふと気付くと、

あたしの股間のペニスはダラ〜ンとたれ、

先端から粘液が糸を引いていた。

「…やだっ!」

ようやく正気に戻ったあたしは、慌てて股間に手をやった。

「くっ」

まだ敏感なあたしのペニスの感覚に思わず声が漏れる。

「どうしよう、これ…抜かなくちゃ」

あたしは自分の股間に生えたようになっているペニスを抜こうと両手で引っ張った。

しかし…

「ああん…」

再び快感が走り力が抜ける。

ビクッビクッ

そして、再びあたしの股間に埋まったそれが勃ち始めた。

「うそ…」

あたしは呆然として自分の股間を眺める。

だが、それは既にあたしの股間の周りの皮膚と、

元からそこにあったかのように癒着していた。

心配になって、慌ててペニスをどかして股間を見ると、

ペニスはまるであたしの女性器を押しどかせるように生えていた。

「そんなぁ〜」

その日から、

あたしは自分の股間に生えてしまったペニスを隠しながらの日々が始まった。

学校の体育は休み、

ペニスが勃起したときのために必ずパンティーの上にブルマを穿いて隠していた。

だが、次第にあたしの股間に定着してしまったペニスは

あたしの心を虫食み始めていた。



はぁはぁはぁ…

あたしは今日もオナニーをしている。

最近では、男の性欲が強くなってきたのか、

徐々にオナニーの回数が増えてきていた。

できるだけ、家でヌくようにしていたが、

我慢できないときは、学校のトイレでもしてしまったこともある。

「あたし、どうなっちゃうんだろう…」

あたしは自分の体に不釣り合いな黒く光るペニスを眺めながら呟いていると、

ムラムラ…

あたしのペニスの根元に何かがたまってくるのを感じ始めた。

「あっまた…」

するとあたしの手は無意識にペニスを扱きはじめ程なくして、

「あぁぁ〜っ」

ドピュドピュ

軽い音を立てて、あたしのペニスは精液を吹き上げた。

「はぁはぁはぁ…」

最初の頃に感じていた嫌悪感ももはやなく、

あたしはペニスの存在を当たり前のように感じ始めていた。


「ねぇ、由佳。最近、日焼けしてきてない?」

そう友達に聞かれたのは、夏服になった日のことだった。

そう言われてみれば、ここんところ体全体が褐色がかってきていた。

その上、手足の筋肉も発達してきている。

その日改めて自分の部屋で全身を見たあたしは

愕然とした。

何時の間にか胸は引き締まり、

かつての乳房はその胸板に飲み込まれ、

ウェストがぐんぐんと横に伸び、

ヒップも随分小さくなっていた。

「こんな…」

毎日、見ていたはずなのに…

オナニーに夢中になっていたせいか、

自分の体の変化に注意を払っていなかったのだ。

あたしは自分が男へと変身している事を感心せざるを得なかった。


「入ってこないで!」

あたしは、自分の部屋のドアまでやってきたママにそういった。

『どっどうしたの!!』

ドアの外でママのうろたえた声が聞こえる。

とうとう自分の体が自分でなくなっていくのを感じたあたしは学校も休み、

自分の部屋に閉じこもるようになっていた。

はぁはぁはぁ…

ドピュピュ…

「くぅ〜」

もう何回ヌいたのだろう。

あたしのペニスから白濁した液が飛び出していく。

でも、何度ヌいても、すぐにまた次が溜まる。

オナニーの間に、あたしは自分の体を鏡で眺めた。

そこにかつてのあたしはなかった。

肌は完全な黒檀色、

体中の筋肉は逞しく盛り上がり、

身体の骨格もスラリとした長身へと変わり、

股間に巨大なペニスをたれ下げた裸族の男が鏡に映っていた。

「あたし…どうなっちゃうの…」

ピクッピクッ

裸族となった自分の姿を見ていると、

また興奮してあたしのペニスが勃起をし始める。

「だめっ…」

だけど、あたしはもう自分の性欲を押さえられなかった。

ふと、そのとき、あたしは机の上の筒が目に入った。

「これは…」

それを見たときあたしは自分のペニスが元々この中に入っていた事を思い出した。

「これをあたしのオチンチンにかぶせるの?」

あたしは無性に自分のペニスにソレを被せたくなり、たまらなくなってきた。

シュスススス…

それを手に取ったあたしは、

思い切っていきり立つペニスを筒の中に挿入した。

「あぁ〜ん…」

勃起しきっていたあたしのペニスと筒がこすれてものすごい快感が生まれた。

「あぁんっ、すごいよっ!!」

そして、ペニスを筒の中に押し込んだ途端、

あたしの中に何かが流れ込んできた。

「うわわわ…」

あたしの頭の中に、知らないはずのサバンナの風景が浮かぶ。

なぜかあたしはそこを知っているような気がした。

そうだ。

あたしは、そこに住んでいたんだ。

そんな気がしてきた。

「ソウダ、オレハココデクラシテタンダ。」

あたしの頭の中で声がする。

「誰?」

「オレ ハ オマエダ。オマエ ガ ワスレテイル オレダ。」

と声はあたしに言った。

「あたしがオレ?」

「ソウダ。コノコヲ ドレホドマッタコトカ…」

「何言ってるの?」

「サァ、ハヤク オレヲ ウケイレルンダ。」

「あっ、もしかして…あんたでしょ、

 あたしの体をこんなにしちゃったのは…」

「ナニヲイウ。オレノモノヲウケイレタノハ、オマエダ。

 ダカラ、オマエハ オレニナルンダ。」

「いや。あたしの体を元に戻してよ」

「ナニヲイマサラ、オレノ モノデ

 ズイブン タノシンデイタヨウジャナイカ?」

「あっ、あれは…」

「サア、オレト ヒトツニナルンダ」

「いやっ」

「ナラバコウスルマデダ。」

「いっ、イヤ〜ッ」

あたしの中に、やつの記憶が流れ込んできた。

狩りをしたときの記憶。

割礼を受けたときの記憶。

そして、戦いで命を落としたときの記憶。

「ソウダ。

 オレハ、ヨウヤク カラダヲテニイレタンダ。」

オレハ ヤット夢カラ醒メタヨウニ 自分 ノ 体 ヲ 実感シタ。

「ハハハハハ…

 ソウダ、オレハ ヒジリ ユカ ナンカジャナイ。

 ホコリタカイ ズールー ノ センシ ダ。」

そう叫びながら、裸族の戦士は雄叫びをあげていた。



おわり



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。