風祭文庫・モラン変身の館






「闇から響く声」


原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-038





「はぁはぁはぁ」

あたしは学校から帰ってくるなり自分の部屋に駆け込んでいた。

前かがみで帰ってきたにも関わらず、

あたしの股間のスカートは前部が持ち上がってしまっている。

「やっぱり雄一と一緒にいた方がよかったのだろうか?」

とさえ一時は思ったけれど、

でも、これを他の人に悟られるわけにはいかなかった。



「どうして、どうしてこんなことに…」

そう…

あたしがこうなってしまったのは、

学校の旧資料室にあった干からびたオチンチンが原因だった。

雄一は、何か嫌な感じを初めから感じてたみたいだけど

あたしはなぜかそれを感じれず、

気がついたときにはオチンチンに操られていた。



『さぁ、それをお前の股に挿すんだ』

あのときの頭の中に響いてきた声が忘れられない。

『そうだ、勇者の証を立てるのだ。

 その男根から精を放つのだ』

その言葉に操られるようにして、

あたしは射精というものをしてしまったらしい。

気持ちはよかったけど、でも気持ち悪かった。

白く濁っていてベタベタした粘液があたしの股間から吐き出されたなんて、

とても信じられなかった。

でも、今こうして感じている股間の突起物の存在はそれが真実だと語っている。

射精した後、

あたしの股間に刺さってしまったオチンチンを何度も抜こうとしたけど

それは抜けてくれなかったのだ。



「あの後から声がしない…

 でも…

 こんな体になって…

 あたし…

 どうすればいいの?」

そんな不安な気持ちのまま

あたしは鏡の中にいるもぅ一つのあたしの姿を眺めていた。

鏡の中には普段と変わらないあたしがいるけど、

でも…

制服のスカートは持ち上がり、

ビクン!

ビクン!

と揺れていた。

「………」

そんな自分の姿を見ているうちに

あたしはなんだかドキドキしてくると、

思わずスカートを捲ってしまった。

ビンッ!!

「う…」

ショーツの中にバナナでも突っ込んだかのように盛り上がる漆黒のオチンチン。

それが衝撃的であたしは目を離せなかった。

ドクン!

ドクン!

あたしの胸の内では心臓が破裂しそうな勢いで鼓動を撃つ、

(こ…ここなら誰も見てない…)

このオチンチンをオマンコに突き刺して、

そして、射精して、

その後、半狂乱になって雄一に慰めてもらって抜こうとしてたけど、

でも、実は今の自分の姿とじっくりと見ていなかった。

いや、見ていられなかった。

しかし、自分一人というこの状況で、

あたしはイケナイとは感じつつも

硬く勃起しているこのオチンチンに興味を抱いてしまっていた。



「あ、あたし…」

心臓がバクバクする中、

あたしはスカートのホックを外すと、

ゆっくりとベッドに腰掛けた。

そして、ゆっくりとキツキツになったショーツを脱いでいく。

ピンッ

「あっ」

ようやく狭苦しいショーツから解放されたオチンチンはうれしそうに

あたしの股間に勃ち上がっていた。

「そんな…」

改めて見ていると変な気分になってくる。

あたしが頭の中の声に従って舐め続けた干からびたオチンチンが

いまこうして生々しくあたしの股間に生えているなんて…

「オチンチンの感覚がある…」

あたしは、股間でビクンビクンと揺れるオチンチン全体の感覚を確かに感じていた。

(どうしよう…)

『触れよ』

オチンチンを見ながらあたしが困惑していると

突然、あのときの声が響いた。

『え!?』

思わずあたしは怖くなった。

誰もいないのに、またあの声がするっ!?

『ふふふ、何を怯えているんだ。

 それはお前の男根だぞ』

「いや、やめて…」

あたしは恐怖に竦みながらも、なぜか興奮をしていた。

『お前も覚えているのだろう?

 お前は男の精を出した。

 俺の男根でな』

「俺の男根…?」

その言葉にあたしは愕然とした。

『そうだ。

 お前は俺の男根を生やしているんだよ。

 全く術掛けてもらっていたとはいえ、

 ここまで復活させてくれたんだ。

 お前さんには感謝してるぜ』

「じゃあ、あたし…あなたの…オチンチンを…

 は、生やしているというの?」

あたしは心臓が破裂しそうな気がした。

ドクンドクン

その鼓動に合わせるように、

あたしの股間に刺さったオチンチンも脈動している。

『そうだ。

 お前は既に俺の精を出す男なんだ。

 お前がさっき俺の精を吐き出したとき全て決まった。

 お前は俺になる。

 俺はお前になって、俺に戻るのさ』

「分かんない、分かんないよっ」

あたしは泣き叫んだ。

なのに、股間のオチンチンはどんどん硬くなっていく。

『まあ、次第にお前も分かるさ。

 復活までもう少し時間もかかりそうだし、

 楽しませてもらうがな』

男はそういって笑うと

あたしの体が勝手に動き出した。

「やっ、やめて…」

『さぁて、お前もじっくりと自分のものになった男根を知るんだ。

 そして、高みを上り詰める度に俺と混ざり合っていんだ。

 気持ちいいぞぅ、俺の男根は。

 お前も俺と同じ気持ちよさを感じて、じっくりと味わうんだな』

「そ、そんな…」

あたしは信じられない目の前の事象に混乱していた。

でも、あたしの手はそうっとペニスを包み込むと

ギュッと握り締めた。

「は、はぅ…」

握っている感覚と握られている感覚が同居している。

まるで体の一部分が突き出して、それを触っているような…

違う…これは、こいつのペニスがあたしと繋がっているせいだ。

あたしはそれを認めたくなんて目を瞑ろうとした。

でも、瞑れない。

『さぁ、じっくりとお前の男根を見るんだ』

「う、いや…やめて…」

『何を嫌がっているお前も気になっていたのだろう?』

「違うっ!違うわよっ」

『じゃあ、なんでそんな格好をしてるんだ?』

「それは…」

恥かしさに顔が真っ赤になっていくのを感じながら、

あたしはオチンチンとご対面していた。

信じられないことに黒いオチンチンはあたしの白い肌と密着していて

干からびていた表面には幾筋の太い血管が走り、

長く硬く太くなっていた。

そして、この漆黒の皮膚。

あたしの肌とくっついているのが不自然すぎる。

でも、あたしは自分の右手でそのペニスを撫でながら

それが今自分の皮膚として感じているのを知った。

「そん…な、そんな…」

じわっと涙が溢れてくる。

『ははは、俺の男根がお前の股間に生えているんだ。

 どうだ、納得したか?』

と言う声が響く、

すると、

「いやぁ…」

あたしは首を振りながら

シッュ

シュッ

とオチンチンの上下に擦り始めた。

「んんっん、んんっん…」

嫌なのに、

さっきと同じような快感があたしのペニスから流れ込んでくる。

あたし、こいつの男根を感じるんだ…

そう思うと不思議と嫌悪感が消えていく。

イヤなのに、

あたしは受け入れたくなってくる。

「あ〜ん」

あたしは我慢できなくなって喘ぎ声を上げた。

『ははは、今度は自分でやらせてやる。

 自分で精を出してみろ』

男の声が響いた後、

あたしを拘束していた力が消えたように感じた。

でも、あたしの手は止まらない。

あたしは、必死に男の快楽を追い求めていた。

慣れていないからかもしれない。

でも、一度始まってしまった快感を止めたくはなかった。

いやなのに、あたしは最後までイクことを望んだ。

「あ、あっ、ああっ!

 いやっ、出ちゃう…

 漏れちゃう…

 何か、が溢れ…

 くぅっ!!」

そこまで叫んであたしは再び男根の中を液体が駆け抜けていくのを感じた。

「はうっはうっはぅっ…」

それが繰り返されてその度にあたしは腰を突き上げる。

「ぁぁぁぁぁぁぁ…」

ネバネバした液体があたしの右手に付着し

その不思議な感覚にあたしは酔いしれた。



「はぁはぁはぁ…」

気が付いた時、あたしは右手に付いた精液を嗅いでいた。

「ああ、これが俺の精か…」

無意識に変なことを喋っている。

あたしは朦朧とする意識の中、

再び射精してしまった事実を漠然と感じていた。

そして、あたしは股間を見た。

そこには萎えながらも、ぶっとい男根が硬さと長さを誇っていた。

そして、それを撫でながら、

あたしは手についた精液の感触を楽しんでいた。



「ひぃ、ひぃっ!」

あたしが由佳としての羞恥心を取り戻すまでそんなに時間はかからなかった。

はぁはぁはぁ

あたしは、とんでもない事実に目を見開いていた。

「あっあたし…

 あたしは、なんてこてを…」

でも、股間に生えた漆黒の男根から今だに溢れ出す精液は、

あたしの体の変化を冷徹に告げていた。

『はははははははっ』

そして、頭に響く男の声はとてもうれしそうだった。



それから二日過ぎた。

運良くママは当選した海外旅行で、パパは出張でいなかった。

でも、あたしは学校に行けないまま、一人部屋に篭っていた。

だって、あたしの体は、あたしでなくなってしまったから。



「はぁはぁはぁはぁ…」

荒い息があたしの口から漏れる。

あたしは、とんでもない夢に飛び起きていた。

「まさか…」

嫌な予感がして、何も履いていない股間に手をやると

ニョキッと勃起する男根から精液が溢れ出していた。

「そんなぁ…」

保健の教科書から、

それが夢精だと知ってから何度目の夢精だろうか?

あたしは、寝るたびに自分とセックスする夢を見ていた。

気が付くとあたしは漆黒のペニスを生やしていて

目の前にいる女の子のままのあたしを見て欲情していた。

そして、誘ってくる女の子のあたしに襲い掛かると

あたしはそのアソコに…あたしの男根を突っ込み

何度となく膣を往復させた。

「駄目…あたし、おかしくなりそう…」

最初は、嫌悪感で泣き叫んでいたけれど

次第にあたしは男に目覚め始めたのか、興奮するようになっていた。

なぜか女の子のアソコを見ているとムラムラしてくるのだ。



ビクンビクン

夢の中のセックスを思い出してあたしの股間で起立する男根。

あたしはオナニーがしたくなってきた。

「だ、駄目よ。そんなことしちゃ…」

『やれよ。

 我慢するな。お前はしたいはずだろ?

 俺もしたいんだ。

 さっさと出してしまおうぜ』

あたしは必死に拒もうとするが

もう一人の…いえ、心に巣くう男の声が聞こえると我慢できなくなってしまう。



「あ、あたし、我慢でき…ない…」

あたしは興奮して男根を握った。

今まで知らなかったのに慣れてしまった男の快感があたしを包み込む。

イヤっていう気持ちはあるのに、あたしはなぜか喜んでいる。

そして、あたしは、必死に自分の男根を扱き出していた。

「うっうっうぅっ」

途中何度も、うまく扱き方を調整して精を吐き出すタイミングをずらして

男根の快感を長く味わう。

「駄目ぇっ。出るぅぅ」

あたしはようやく耐え切れない男の衝動に折れると鏡に向かって射精した。

あまりの気持ちよさに頭がぼうっとする。

鏡に映る自分の上半身に精を掛けられたことに満足していた。

「へへへへへ…」

あたしは、変な笑い声を上げ始めた。

(あ…やめて…)

「そんなこというなよ。

 お前だって、俺の男根で勇者の証を立ててんだ。

 これくらいいいだろう?

 それにお前だって、興奮しているくせに…」

そう…

射精している内にあたしは心に巣くう男に体を奪われることが何度となくあった。

射精してその余韻に浸っているとあいつが…

出てきてしまうのだ。

「へへへ…なかなかいい女だよな。

 お前もそう思うだろ?」

あたしは、そういうとネグリジェを脱ぎ捨て胸をもみ出した。

女の快感が…

女の感覚がまるで初めてのように感じられる。

このあたしの体がまるで自分のものではなかったような…そんな気がしてきて

あたしもあいつ同様、自分の上半身に興奮していた。

(こ、これがあたしの体…)

夢の中でいつも犯しているからだろうか、

襲っているせいだろうか?

あたしの体が別人の体のようだ。

「あ、ん、あんあん」

あたしはあいつと一緒に喘ぎ声を上げていた。

(まるであたしが男で、この体を奪ったみたい…)

あたしは自分の体の感覚なのに違和感を感じてしまっていた。

そして、完全に欲情していた。

「ああっ、これが女の胸の感覚なのかよ、おい…」

あたしはあいつと同調して感覚を共にしていた。

(いいぜ、そんなの体験できるのなら…

 もう少しこのままでも)

「そうだな。

 お前の体に俺の勇者の象徴という組み合わせはなかなかいいぜ」

(ああ、イクッいくっ)

「俺もイッちまう」

「あぁぁぁぁぁぁ」



気が付いたとき、あたしは胸を揉みながら精液を吹き上げていた。

「体の自由が戻った…」

なのに、あたしは自分の胸の感覚がおかしくて仕方なかった。

まるで今、あたしがこの体に生まれ変わったようなそんな感じだ。

「へへへ…」

あたしは、イヤらしく笑うと胸の乳房を掴んだ。

ふにゅ

柔らかく変形していく乳房の感覚が不思議だ。

ずぅっと当たり前に感じてきていたはずの胸が、当たり前でないように感じる。

「あたし、の胸…」

あたしは、飛び出した乳首を軽く握ると

「う、あんっ」

と喘いだ。

「自分が自分でないみたいだ…」

あたしはそういうと、鏡に向かって自分の顔を変えてみせる。

まるで男を誘うようなイヤらしい表情。

今までのあたしなら絶対にしなかった表情が面白いようにできる。

「はははは…」

あたしはヤラシイ女の顔の自分に興奮して、男根を握った。

「はぁっ」

(なんか…男の感覚の方が当たり前な気がする…)

あたしは、男根の存在が当然のように感じた。



「あっはぁ〜ん」

あたしはイヤらしい格好をして、鏡を見ていた。

あたしは男として興奮している。

女の子としてのあたしは信じられないと思っているのに

あたしは欲情している。

「あたしの胸とアイツの男根って最高だぜ」

あたしは、自分に欲情したままマスをかき出した。



アイツはあたしの女の部分に興奮していたが、

あたしもまた自分の女の部分に興奮するようになっていた。

女の匂いを求めて、

一昨日まで来ていた洗っていない自分の制服を嗅ぎながら射精してしまったりもしたし

下着も漁っては匂いを嗅いだ。

あたしは、アイツ同様女を求め始めていたのだ。



特にあたしが男根を受け入れる前の女汁が染み込んだショーツは堪らなかった。

それだけであたしの男根は硬くなり、

以前のあたしのアソコを妄想しながら射精をする。

「ああ、あたし、おかしいぜ。

 たまんねぇ」

『ははははは…もうお前も男に近づいてきたな』

「ああ、どうせなら。

 一度でもいいから自分とセックスしたかった…」

あたしは、夢の中で見た女の自分を思い出しながら

シコシコとオナニーに精を出していた。



昨日とは自分がかなり変わり果てていることは感じていたけど

あたしは、風呂場に行った時一瞬まともな自分を取り戻して泣いた。

「そんな…あたし、何やってんのよ」

愕然した。

でも、変わっていく自分にあたしは興奮を押さえられなかった。

昨日はオナニーと夢精と寝て過ごしていたが…

今日はどんどんおかしくなってくる。

自分を犯すことを妄想しては、オナニーを繰り返していた。

「駄目…このままじゃ、あたしじゃなくなっちゃう」

あたしは、鏡を拭くと顔を叩いた。

『何をいっている?

 さぁ、取り戻せ、本当の自分を』

「やめて…いやいや」

『ほら、お前の体は勇者に戻りたがっているぞ』

アイツの言葉を聞いているとショーツの中の男根が再び首を擡げてきた。

「あっ、はぁ駄目っ」

『鏡の中の女は他人だ。

 お前じゃない』

「これはあたし、あたしなのよ。

 他人なんかじゃないわ」

『じゃあ、お前のそれはなんだ?

 お前は勇者だ!

 マサイの勇者だ!』

「いやっ、やめて」

その声にあたしは慌てて股間を押さえた。

でも、あたしの男根は興奮して、ショーツからはみ出した。

その漆黒の…元は干からびいていて筒に入っていたはずの男根は

あたしの股間で必死に自己主張していた。

「やめて…」

『さぁ、それはお前の男根だ』

「やめて…」

『鏡の中の女は他人だ』

「違う。あたし、あたしよ」

『さぁ、感じろ勇者の証を立ててもとの体を取り戻せ』

「いやっ!」

でも、あたしは何時しか自分の男根を握り締めていた。

『さぁ、マサイの勇者の証を…』

「まっマサイの

 ゆ、勇者の証…はぁはぁ」

あたしがショーツをずり下げオナニーし始めると

なんと鏡の中のあたしはショーツを脱ぎ女のアソコを見せた。

「う、嘘…」

今、あたしは男根を扱いている…はずなのに

鏡の中のあたしは、女のアソコを弄くっていた。

「なんで…」

『だから、鏡の中の女は他人だ』

「そんな…」

『お前は、マサイの勇者だ』

「あたしが…マサイの勇者…」

あたしが呆然としてそう呟いたとき、

あたしの手には朱染めの衣であるシュカと

鈍く光る槍がしっかりと握り締められ、

勇者だった自分を取り戻しはじめていたのであった。

『そうだ、お前は勇者だ…

 そして、お前は俺だよ…』



おわり



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。