風祭文庫・モラン変身の館






「仮面」



原作・バオバブ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-003





「はぁ〜」

美咲はベッドの上で溜息をついていた。

この夏休み、彼女は約一週間をかけて海外旅行に行ってきたが、

しかし、いざそれが終わってみると、

祭りの後に似たむなしさを感じていた。

「あと3日で新学期か…」

美咲は憂鬱な気分に浸りながら、

おもむろにベッド脇の低いテーブルの上に置いてある仮面を手に取った。

「う〜ん…」

それは、旅行に行ってきたときの土産だった。

旅行の大半はツアーで組まれていたので団体行動だったが、

自由行動が許されていた最終日にあたしはナイロビ市内のある露天商の店先で、

いかにもアフリカを表現しているその仮面を買ってきたのだ。

「………」

何かの儀式に使われるものなのか、

仮面には呪術的に紋様が施されている。

その独特な模様に美咲は惹きつけられていた。

「ふ〜ん、見れば見るほどおもしろい仮面ね…」

寝転びながら彼女が仮面を眺めていると、

フォン…

一瞬仮面の周りの空気が歪んだような気がした。

「え?」

っと彼女が驚いた途端、

ヒタッ…

仮面が美咲の手に貼りついた。

「やっやだ…」

突然のことに美咲は驚くと、

ググ…

仮面が急に美咲の顔をめがけて近づいてきた。

「や…」

彼女が声を上げる暇もなくその仮面は美咲の顔に近付き、

そして、彼女の鼻の先に触れた途端。

ボコッ!!

っと言う音を立てて凹凸が逆になると、

ガポッ!!

っと美咲の顔に覆い被さった。

「フグゥゥゥゥゥ!!」

うめき声を上げながら美咲は部屋中を転がり回るが、

仮面はさらに変形すると美咲の顔に完全に密着した。

「ふぉぉぉぉ…」

美咲はようやく自由になった両手で顔から仮面を引き離そうとするが、

仮面は既に顔と一体化していて彼女の力ではとれなくなっていた。

トクン、トクン…

そして次第に仮面から美咲へと熱いものが体の中へと流れ込んでくる。

「何…これ?…」

美咲はその変な感覚に戸惑いながら、

体の中で何かが起こりつつあるのを感じていた。

「んん?」

ムリッ!!

次の瞬間、美咲はあそこが突っ張り出した。

美咲とて高校生の女の子だったので一人エッチは経験済みだったが、

こんなの感覚は初めてだった。

ムリムリ!!

美咲のアソコが痛いほどの強烈な膨張感に包まれる。

「あッ、ああッ、あッ…」

美咲の体は自然の摂理に従うように、

腰をベッドの上で突き上げ始めていた。

ピクッ…ピクッ…

美咲は本能的な何かに突き動かされるように腰を上げつづけた。

それに伴いアソコが更に熱くなっていき、

ものすごい快感が美咲を襲う。

「あぁッ、ああんッ、あんッ…」

ピチュ!!

朦朧とする意識の中で何かが

アソコが突き出し始めているのを美咲は感じた。

「うッ!!」

ドクンッ、ドクンッ…

激しくなる鼓動に併せてそれはどんどん大きくなっていった。

「ダメ耐えられない…」

美咲はとうとう自分を押さえきれなくなり

ついにそれに手を伸ばした。

ヒタッ!!

自分の手の中に熱く太い棒のようなものが入る。

「え?」

と思う間もなく、

それが自分の体の一部であることが触れられている感覚から分かった。

「はぁ…はぁ…まさか?…」

激しい動悸の中、美咲はそれを握った。

「あう…」

その途端、美咲の背筋をゾクっとする感覚が走る。

「やだッ、これってもしかして…」

美咲は直感的にそれが男のペニスであることを悟った。

彼女の手の刺激に更に膨張したソレは、

ペリッ

という音とともに、先端の皮が破れ始めた。

「やぁぁぁ…」

頭がおかしくなるような刺激に、

美咲は涙しながら突き上げている腰を仮面越しに首を曲げて見上げた。

そこには、キノコのような形状になりつつある自分のクリトリスがあった。

「やめてぇ〜」

美咲は信じられない光景を眺めながら泣き叫んだ。

しかし…

ビチッ

と言う音がするとクリトリスの皮は完全に剥け、

彼女の肉棒はペニスへと変貌していく、

「こんな…やだ!!」

美咲は快感に揉まれながら、それを拒絶しつづける。

ピクッピクッ

ペニスへと変貌を遂げたクリは未だに勃起したままで、

美咲の鼓動に合わせて揺れていた。

「はぁはぁはぁ…」

美咲は自分の中に熱いものがこみ上げてくるのを感じてきていた。

次第にそれは激しくなり、

ついには美咲は自分のペニスを無意識のうちに握っていた。

「あぅ…はぁはぁはぁ…」

すると勝手に手が上下運動をはじめだした。

「だっだめぇぇぇぇ!!」

美咲は自分の行為を必死になって否定するが、

しかし、徐々に美咲は何かが満たされるような気持ちになっていった。

シュッシュッ!!

次第に手の動きが速くなるにつれて気持ち良さが広がっていく。

「くぅぅぅぅ…」

そして、歯を食いしばりながら美咲は頂点に達しようとしていた。

「だめぇっ。出るぅぅぅ…」

自分の中の何かを吐き出したいという衝動が美咲を襲い、

ビュッビュッ!!

ついに、美咲は白濁した液を自分の股間に出来あがったペニスから高く放出した。

「はぁはぁはぁ…」

美咲は満ち足りた気持ちに浸りながら、

初めて体験した射精の余韻に酔いしれていた。

しかしその直後、

「ぐっ」

美咲の体に異変が起こった。

ビキビキビキ!!

彼女の身体の筋肉がひきつけを起こしたような音を立てて張り出した、

「いやッ…だめぇ…」

まるで体中の筋肉が蠢めているようだった。

すると、突き出していた腰のしたから腹にかけて腹筋が

ムキムキと筋を表しだし、

乳房を覆いつぶすように胸にも筋肉が張り胸板が発達していく。

「ぐぅぅぅ…」

そして、筋肉が発達するに従って、

体が大きくなっていくのを美咲は感じた。

「あぁぁぁぁ…」

脂肪が殺ぎ落とされ、

無駄なく筋肉に覆い尽くされた手足が細長く伸びいていく、

彼女を襲っている変化が首筋まで迫った時、

「やめてぇ…!!!!」

美咲が声を張り上げたとたん、

彼女を襲っていた身体の変化が止まった。

「え?」

カンッ

軽い音の音、

仮面が美咲の顔を真っ二つに割れ両側に転げ落ちた。

そして、大きく広がった視界に男性の肉体化した美咲の体が映った。

「いやぁぁぁぁ…」

美咲はかすれた声で叫ぶ。

そして、自分の体を確認しようとベッドから飛び上がると

姿見の前に走った。

すると、黒檀色に黒光りした肌に筋肉が盛り上がり、

すらっと身長が伸びた、美咲の姿が鏡に映った。

「うそ…」

その体格は、アフリカで見たマサイ族の体つきそっくりだった。

顔はまだ美咲そのままだったが、やはり肌は黒くなっている。

「どっどうしてこんなことに…」

美咲は泣き崩れるようにして姿見の前に座り込んだ。

すると、大きなペニスが股間から聳え立つ。

「……」

美咲は無言でそれを観察した。

まさか…

美咲は慌ててペニスをどかした。

すると、女性の象徴だったところはぴったりと塞がっていて、

一筋の線になっていた。

「そんな…」

”せめてそこだけでも残っていてくれたら…

 元に戻れる糸口を見つけられるかもしれない…”

と思っていた美咲はショックを受けた。

ドクドク…

心臓の鼓動が早まる。

まるでそれにあわせたかのように、

再び体の異変が進行し始めた。

「だ、ダメッ!!」

下半身の奥の2つものが発熱しているのを感じて、

美咲はそれを押さえた。


2つの熱いものは次第に下降しつつ、お互いに近づいていく。

「こ、これって!?」

ムニムニ…

体の感覚にあわせるように、

股間の線の両側から2つの膨らみが姿をあらわしつつあった。

美咲はすぐそれが男の睾丸であることに気付くと押し戻そうとしたが、

無情にもその膨らみはシワシワの襞をつけながら、

彼女の股間にたれさがっていった。

そして、睾丸の発達に伴ってペニスがゆっくりと反応する。

「あぁぁ!?」

勃起し、透明な液体をあふれさせるそれを見つめながら、

美咲は必死に性欲に耐えようとする。

『………』

そのとき、彼女の内側でなにがか彼女に囁き始めていた。

『……るなよ…』

『我慢するな…』

「だっダメ!!」

美咲はこれを我慢できなければ、

囁いている者に自分が乗っ取られそうな気持ちがして我慢をする。

だが、まだ慣れない男としての性欲に美咲の心はあまりにも無防備だった。

「いっいやっ!!、

 が、我慢が…
 
 うっ…
 
 で、できない…」

股間で熱く硬くなっていくものに、

ついに美咲は根負けするとそれを掴みかかり激しく扱き始めた。

その途端、

何かが自分の中で変わり始めるのを感じた。

まるで、自分が自分のペニスを摩るごとに、

自分で自分の記憶を犯しているようだった。

自分の心の中に、

囁いているもう一人の自分が

マサイとしての記憶を流し込もうとしているようだった。

「だめッ、あたしが…あたしでなくなるぅぅぅぅ」

美咲は倒錯的な快感に身を任せとうとうその一点を超えた。

そして、美咲は男の精を激しく飛ばした。

ブシュッ!!!

白濁した精液がさっきよりも高く大量に飛び、部屋を汚した。


………

「はぁはぁはぁはぁ…」

その一点を超えたとき、もはや美咲は美咲でなくなっていた。

蘇る記憶は、彼女を完全に変える。

「モラン…アダ…」

ついに復活することをできた彼は、

朱染めの衣・シュカを身体に巻き、

勇者の風貌となった顔を上げたのであった。



おわり



この作品はバオバブさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。