風祭文庫・モラン変身の館






「尚子」
(第1話:ヌバの秘祭)


作・風祭玲

Vol.746





トンコッコッ…

トンコッコッ…

トンコッコッ…

真っ赤な夕日が灼熱の地平線に掛かり始めた頃、

何処とも知れずに太鼓の音が響き渡ってきた。

「あれ?

 太鼓の音だ」

その音にあたしの友人でもあり、

同じ研究仲間である有馬敦子が手を止め表に出ると、

音が響いてくる方の空を見上げた。

「ここじゃないみたいだな、

 何かあるのか」

「さぁ?

 何だろうか?」

彼女を追って、

三沢達志と野田一馬も空を眺めると、

「ねぇ、手を休めてないで、

 レポート送信の準備できたの?」

と灯りが点るノートパソコンの画面を見詰めながら、

あたしは注意をした。

「あぁ、悪い悪い」

あたしの声に一馬が頭を掻きながら、

スグに衛星回線を結ぶ携帯のスイッチをいれ、

そこから延びるケーブルをパソコンに接続をすると、

「しっかし、便利になったよなぁ…

 こんな電気もないアフリカの奥地から東京まで、

 一瞬で電子メールが送れるんだからな」

レポートを添付したメール送信画面を見ながら、

幾度もうなづき感心をしてみせる。

そして、

「テクノロジーの進化というのは恐ろしいねぇ

 燃料電池によって長時間駆動を手に入れたノート型PC。

 地球の周りを回る無数の人工衛星のリレーにより、

 太平洋の真ん中でも、

 こんなアフリカの奥地からでも接続が出来るネットワーク…

 まさに文明の勝利といっていいだろうな」

やや皮肉たっぷりに達志はそういうと、

「なによ、

 それって皮肉?

 このメールを送るのに幾らお金が掛かると思うの?」

とメールの送信ボタンを押しながら

あたし・窪川尚子は彼を見た。

「いやいや、田端先生が

 20年前、このヌバの村で調査をしたときは、

 写真撮影が主で、

 山のような手書きのレポートをしたためた。

 と散々聞かされてきたからね。

 俺達も同じことをすることになるのかな…

 っと内心引いていたんだけどね、

 でも、こうまで東京と同じ環境だとねぇ、

 拍子抜け…と言うか、

 期待はずれというか」

あたしの言葉を聞いて達志は言い訳をし始めるが、

「それなら、三沢君、

 あなただけ、手書きのレポートを書けば?

 誰も止めないわよぉ」

と達志の肩を叩きながら、

敦子が囁いた。

「え?

 いやっ

 それは…

 なぁ…」

土の壁にトンと背中をつけ、

そればかりは…

と達志は手を左右に振る。

「あっ、

 その壁、

 もろいからよっかからないで」

彼のその姿を見たあたしはすかさず注意をすると、

「え?

 あぁ、

 そうだったそうだった」

振り返った達志は

慌てて寄りかかりかけていた壁から身体を離した。



ここはアフリカの奥地、

茶褐色に濁る大河を数日駆けて遡り、

さらにその支流に分け入った

野生部族ヌバの集落。

大学で民族研究をしていたあたしは達志達と共に、

短期間このヌバ族の集落に住み込み、

彼らの生活ぶりを調査していたのであった。

小さな頃から夢に見てきたアフリカの大地、

でも、観光客が押し寄せるサバンナとは違い、

荒涼とした荒地の中で、

ウシと素朴に昔ながらの生活スタイルを堅持する彼らの姿に

あたしは引き込まれていたのであった。



「よしっ、

 送信終了。っと」

衛星回線を使い東京宛てにメールを送信終えたあたしは

ノートPCをたたむと大きく背伸びをして、

「明日にはココとはお別れね」

とみんなに向かって言う。

「そうだな…」

「なんか、あっという間だったな」

日本を離れ数万キロ、

アフリカ大陸の奥地にあるヌバ族の集落に来たのは約一週間前、

その日からあたしたちはこのヌバ族の一員として、

暮らしてきたのである。

「不便だし、

 目茶暑いけど

 でも、また来たいね」

骨組みが剥き出しの天井を眺めながら、

あたしはそう呟くと、

「そうねぇ、

 機会があったらまた来ようか」

と敦子は言うが、

「いやぁぁ…」

「あははは」

なぜか男性陣からは覚めた笑いが響くだけだった。

「まったく、

 男どもは…」

そんな彼らを横目で見ながら、

あたしは胸に着けているペンダントを弄ると、

「そういえばさっ

 尚子、

 そのペンダントって

 誰からのプレゼントだったの?」

と敦子が聞いていた。

「え?

 あぁ、これ?

 まぁ腐れ縁って奴かな?」

彼女からの質問にあたしはそう答えると、

ペンダントから手を慌てて離した。

そう、これは日本を立つ前、

20歳の誕生日に幼馴染の健一から貰ったもの…

でも、そんなことはここでは言えない。

だって、嫌味に聞こえるし、

それに人にはあまり言いたくはなかった。

「はぁ?

 なによ、それ?

 勿体ぶってないで教えなさいよ」

不満そうに敦子が聞き返してくると、

「え?

 あっ…」

あたしは困惑しながら表を指差すと、

「ねぇ、アレって何かしら?」

と表を歩く人影を指差した。

「ん?」

あたしの指摘に皆が振り向くと、

ゾロゾロ

ゾロゾロ

あたしたちが寝泊りしているこの小屋の前を

裸の男たちが通り過ぎていく。

初めてこの集落に来たときには、

素っ裸に首と腰にトンボ球と言われる

小さな玉を繋いで作った飾り紐のみを身につけ、

オチンチン丸出しで歩いていく男性達の姿に

ギョッとしたものだけど、

でも、しばらくここにいるうちにそれも慣れ、

彼らを自然に見ることが出来るようになっていた。



「ほんと、男の人ばかりね何所に行くだろう」

話をそらすためだったとはいえ、

どう見ても集落の外へと向かう男たちの列を見ながら

あたしはそう呟くと、

「田端先生が言っていたな、

 年に一度、

 いまぐらいかな、

 ヌバの秘祭があるって…」

と達志は呟いた。

すると、

「あぁ、

 さっき、太鼓がなっていたよな。

 なんでも大人になる儀式をする。って言うんだろう?」

と一馬もそう付け加えると、

「へぇ、

 じゃぁ、

 脚に紐を結わいで高いところから飛ぶんだ、

 しかも夜に…大変だね」

とあたしが言う。

すると、

「それ、違うよ、

 ここじゃぁ

 ずらっと並べたウシの背中の上を走り抜けるんじゃない」

あたしの発言を訂正しながら敦子がそういうと、

「お前ら…全然違うぞ」

と達志と一馬が口をそろえて否定した。

「じゃぁ、なんなのよっ」

口を尖らせながらあたしが聞き返すと、

「さぁ?

 田端先生も”見たことがない”

 と言っていたし、

 ”見せてもくれなかった”

 と言うから

 全く違うじゃないかな?」

と一馬は言うと、

チラリ…

あたしを方を見て、

「窪川ぁ…

 気になるならお前がこっそりと覗いてみれば?」

と囁いた。

「えぇ?」

思いがけないその言葉にあたしは声を上げると、

「田端先生ですら見たことがないんだ、

 もし窪川がそれを突き止めれば、

 大収穫だぞ」

とあたしの肩を掴みながらそういうと、

ポンッ

1台のデジカメが押し付けられた。

「ちょっと、これ」

「あぁ、高感度の奴だし、

 今夜は満月だから、

 ストロボ無しでも撮影できるだろう、

 じゃっ

 成功を祈る!」

押し付けられたデジカメに戸惑っているあたしに向かって

一馬はそう言うと、

バンッ!

あたしの背中を思いっきり突き飛ばした。



「全く…

 何であたしが…」

満月が照らす夜道を、

あたしは一人歩いていた。

無論、

夜間集落の外に出ることはきわめて危険なのだが、

田端先生も知らない秘祭…

という甘美な囁きに誘われるようにあたしは道を急ぐ、

秘祭の場所はすぐにわかった。

村人達が神聖な場所として崇めている、

巨岩が突き出したところだった。

まるで男性の性器を思わせる。

その巨岩の前ではかがり火が炊かれ、

正面には集落の長、

その両脇には年の行った男たちが並んでいた。

そして、その前には筋肉質の男たちが漆黒の肌を晒し、

その男たちと向かい合うようにして、

今宵成人の仲間入りをするであろう少年達が

緊張した面持ちで座らされていた。

その様子を近くのブッシュの影よりあたしは覗き込むと、

「うわぁぁ、

 本当に大人になる儀式なんだ」

とデジカメの撮影も忘れて

これから始まるであろう儀式を固唾を呑んで見守った。

「●●●●●!!」

突然、宣言をするように長が声を上げると、

『○○っ!』

少年達は声をそろえて返事をする。

すると、

『●●●っ!』

その両脇の大人たちも声をあげ、

『○○っ!』

その声に少年達は返事をすると、

「●●●っ!」

『○○っ!』

「●●●っ!」

『○○っ!』

「●●●っ!」

『○○っ!』

大人としての諸注意とそれの返答だろうか、

代わる代わる声を上げる大人たちの言葉に対して、

少年達は返事をしていった。

そして最後に

「●●●●っ!」

長が問いかけらしき声を上げると、

『○っ!』

と少年達は威勢良く返事をすると、

ズイッ!

少年達の前に立っていた若い男たちが一歩進み出る。

ゴクリ…

「何が始まるのかな?」

まさに勇者を思わせる男たちの姿に

あたしは固唾を飲み込んでいると、

ザザッ…

クルッ

少年は進み出た男たちに背中を向けると、

剥き出しのお尻を突き上げた。

「なっなに?」

思いがけない光景にあたしは目を丸くすると、

男たちの股間からは男性のシンボル・オチンチンが皆そそり立ち、

そして、そのオチンチンを手で掴むと、

次々と少年達のお尻へと突き刺していく。

「そんな、

 肛門を犯すと言うの」

男たちの腰と少年達のでん部が密着するのと同時に、

「ウガッ!」

「カハッ!」

「ウグゥゥ!」


少年達の口から痛みと苦しみをこらえる声が響き始めた。

だが、その声を聞いて男たちは行為を止めるわけは無く、

さらに、止めていた腰を振り始めると、

卑猥な音が響き始め、

「オォッ」

「オォッ」

「オォッ!」

少年達は一斉にうめき声を上げ始めた。

「これって…

 なに、なんなの?

 これが大人になるための儀式なの?」

目の前で繰り広げられる衝撃の光景に

あたしは硬直していると、

ムンズッ!

いきなりあたしの襟首が掴まれ。

そのまま一気に引っ張り出されてしまった。

「きゃっ!」

あたしの悲鳴が響き、

また、

ビリビリビリィ!

強引に引っ張り出されたためか

瞬く間に着ていたシャツが引き裂け、

その音がこだまする。

そして、

「●●っ!」

あたしを掴み上げた男の怒鳴り声が響くと、

「●●●っ!!」

「●●●っ!!」

たちまち、怒号が周囲に響き、

儀式は一時中断してしまうと、

あたしの周りには儀式を見ていた男たちが集まってきた。

「しまったぁ!!」

後悔しても遅かった。

ヌバの男たちが持つ無数の槍があたしに向かって突きつけられ、

誰かが一つ命令した時点であたしの命運は尽きることは明白だった。

「助けてくださいっ

 見逃してください。

 何でもしますから…」

ギュッ!

目を瞑り胸のペンダントを握り締めながら

あたしは一心不乱に祈っていると、

「●●●●っ!」

少し離れたところから長の声が響いた。

「あぁ、

 もぅダメ!」

そう観念したとき、

ザザッ

あたしを取り囲んでいた男たちが一斉に槍を納め、

そして、引き下がって行く。

「たっ助かったの?」

そのときあたしは

”願いが通じたのか?”

と思うと思わず力が抜け、

つい横座りになってしまった。

だが、

ヌッ

そんなあたしの目の前に長が立つと、

スッ!

杖をあたしに向け、

「●●●●?」

と何かを尋ねた。

「え?」

ヌバの言葉はあまり知らないあたしがキョトンとしていると

「●●●●っ?」

と今度は語気を強めながら尋ねてきた。

そんな長の姿を見て

あたしは機嫌を損なわせてはいけないと思いながら、

コクリ、

小さくうなづくと、

「オォ…」

周囲の男達から驚きの声が上がる。

「え?

 え?

 なんなの?

 あたし…なんか変なことを言った?」

男たちの思いがけない反応にあたしは戸惑っていると、

長は男たちをグルリと見渡し、

そして、ある一人を杖で指し、

「●●●っ!」

と声を上げた。

すると、

「●●っ!」

威勢のいい返事が返ってくると同時に、

ノッシッ!

取り囲んでいた男たちより

頭一つ高いヌバ族の大男が姿を見せると、

あたしのところへと向かって来る。

「うっ

 なに、この人…」

ただでさえ、身長の高いヌバ族にあって、

彼らより背の高い男の姿は

まさに巨人と言うことばがピタリと当てはまる。

そんな男の姿にあたしは驚くが、

それ以上に驚いたのは、

この男のオチンチンの大きさだった。

ダラン

力が抜け垂れ下がっている状態でも指を開いたあたしの手よりも長く、

そして、その後ろについているキンタマも、

両手で持たないともてないほどの大きさ。

「まさか…

 あたしをこの男の妻にさせる気では…」

そんな男を見上げながらあたしは妄想を膨らませていると、

「●●●っ!」

長は男に何かを命令した。

その途端、

ジロッ!

男はあたしを見つめると、

ムクッ!

見る間にオチンチンが膨らみ始め、

ムリッ!

瞬く間にその先端が剥けてしまうと、

プックリと膨らんだ肉の頭を

炎の灯りに照らし出した。

「ひっ!

 これって、

 こっここであたしを犯すの?

 罰として…

 そのオチンチンであ・あたしを…」

人間のサイズを大きく逸脱した凶器の姿にあたしは恐怖するが、

そんなあたしに構わず、

男は腕を伸ばし、

あっという間にあたしを掴み上げると、

なぜか、お尻を犯されている少年達の横へとあたしを連れて行く。

そして、

穿いているズボンに手を掛けると、

無理やりひき下ろした。

「もぅ、ダメ…」

下半身を裸にされて、

ついにあたしは観念してしまうと

一瞬幼馴染の健一の顔が脳裏に浮かんだ。

そして、

「ごめん、健一!」

とあたしは叫んだとき、

ドスン!

あたしを少年達の横に突っ伏させ、

そのままあたしの尻を自分の手で開かせた。

「え?

 これって…」

予想とは違う展開にあたしは困惑していると、

ヒタッ

ギュッと閉じている肛門にオチンチンが押し当てられた。

「え?

 違うっ

 そこ、お尻…」

思いがけない男の行動にあたしがそう言いかけた途端、

腰を掴む男の手に力が入ると、

メリッ!

男の巨大なオチンチンが

あたしの肛門にねじ込まれてきた。

ズキン!!

「痛いっ!」

強烈な激痛と伴いながら、

男のオチンチンはあたしの中へと入ってくる。

「痛ぁーぃ、

 痛ぁーぃ、

 許して、

 おっお尻はダメぇぇぇぇ!」

激痛は瞬く間に熱く感じられ、

その激痛に体中が痺れてくるが、

男は無言のままさらに力を入れる、

そして、男の巨大オチンチンが、

ゆっくりと…

ゆっくりとあたしの中へと入っていくと、

ググググ

ググ…

あたしを内臓を奥へと押し込むかのように突き上げ始めた。

「ぐぅぅぅぅ…」

もぅ何がなんだかわからなかった。

お尻から手を突っ込まれ、

内臓はもとより心臓までも鷲づかみにされたような感覚に

あたしは唸るだけだった。

そして、お尻の肌に、

男のザラッとした肌の感覚を感じたとき、

ズルズルズル!!!

今度は押し込まれたオチンチンが一気に外に向かって動き、

ある程度出て行ったところで、

また押し込まれてきた。

「うごわぁぁぁぁ!!

 ぐぉぉぉぉっ!!」

まさに焼けた棒で内臓を引っ掻き回される感覚、

そう言っても過言ではなかった。

グジャッ!

グジャッ!

あたしの身体の奥から不気味な音が鳴り響き、

そして、それに合わせるようにして、

あたしは前後に激しく突かれ続ける。

グジャッ!

グジャッ!

大波に弄ばれる小船の如く、

あたしは突かれ、

そして、身体は前後上下に激しくゆすられる。

やがて、あたしの意識が半分飛んでしまったとき、

ブチッ!

あたしの胸で踊っていたペンダントの鎖が切れてしまうと、

キーン!

何かに当たったのだろうか音を響かせながら

ペンダントは夜の闇の中へと消えて行く。

その一方で

「あがが…

 あがが…

 あがぁぁ…」

あたしは繰り返し襲ってくる激痛に

よだれを流しただ唸り声を上げるだけだった。



「オォッ!

 オォッ!

 オォォッ!!」

あたしの肛門を犯す男の雄たけびが上がり始めると、

ギュッ!

男の身体に力が入り、

オチンチンの動きが早くなってきた。

でも、そのときにはあたしの身体の力はほとんど消え去っていて、

あたしはただ、人形のごとくに男に犯され続けていた。

そして、

「オォォォォっ!!!!」

高々く男の雄たけびが上がった時、

ジュッワ!!

ゴボゴボゴボ!!

あたしの体内に熱く煮えたぎる男の体液が流し込まれたのであった。

裸体で生きる野生部族・ヌバ…

その勇者の濃くて熱い体液をたっぷりと流し込んで

巨大オチンチンが引き抜かれると、

ゴプ…

ゴププププ…

あたしのお尻から液体が逆流していく音と共に、

生臭い臭いが漂い始めた。

ドサッ

男の手から離れたあたしは

目を見開いたままその場に倒れてしまうと、

「オォォォォ!!!」

周囲から勇者たちの雄たけびが上がり、

さっきお尻を犯されたいたヌバの少年達を交えて、

飛び上がり踊り始めた。

まさに…悪夢としか言いようがなかった。



祭は終わり

それからどれくらい時間が経ったか判らない。

幾度もの昼と夜をあたしは

巨岩の元で寝かされた状態で見送っていた。

服は全て脱がされた全裸ながら、

何かのおまじないなのだろうか、

首と腰にはヌバの勇者たちが見につけている

あのトンボ球の飾りを付けさせられていた。

だけど、体中の力が消えうせ、

立ち上がることも、

指一本すら動かすこともままならならない状態では、

それらを手に取ることも出来なかった。

そして、

ジュルリ

ジュルジュルジュル…

あの夜、

ヌバの男に注がれた体液はまるで生き物の如く、

あたしの体内を動きまわり、

ゆっくりと広がり始めていた。

ジュルジュルジュル…

ジュルジュルジュル…

あたしの身体を内側から貪っているのだろうか、

広がっていくそれはあたしの中を食い尽くすと、

表に向かって侵食を始めだす、

やがて、肌にまで達したとき、

ジーン…

ジワッ!

ムズムズムズ…

動かせない身体のアチコチから違和感を感じ始め、

ピクピク

と動かせない筋肉が動き始めた。

「食べているんだ…

 あたしを食べているんだ…

 あぁ…

 あたし…このまま死んでしまうの…

 この場所があたしは一生を終えてしまうの」

昔観たSF映画の被害者のように、

皮一枚を残して消えてしまった姿を思い出しながら、

あたしは涙を流す。

そして、

「お願い、

 みんな…

 あたしを探しにきて、

 あたしを見つけて、

 あたしはここ、

 ここにいるわ」

と念じながら目を瞑った。



ハッ…

瞑っていた目を開けたとき、

太陽の位置が変わっていた。

どうやら、また一晩が過ぎてしまったらしい。

だけど、昨日とは違い、

身体を包んでいたあの奇妙なムズムズ感は消えていて、

何よりも身体に力が入るようになっていた。

「あっ、

 動く…

 身体が…

 動きそう…」

あたしの意思に的確に反応してくる手ごたえに

あたしは明るい表情になると、

ムンッ!

と腕に力を込めた。

すると、

ズッ

ズズッ

あたしの意思どうりに右腕が動き、

続いて左腕もが動き始める。

「やったぁ

 起き上がれる」

腕が動いたことにあたしは喜び

さらに力を入れると、

グッググググ…

上半身が持ち上がり、

視界が大きく動き始めた。

「そうそう、

 そうそう」

なかなか首に力が入らず、

さらに額が上を向いてしまったために、

見える景色は上下さかさまになっていくが、

ガクン!

首が一気に前に倒れると、

あたしは目を閉じうつむいた状態になりながらも、

ついに上体を起こすことに成功をした。

ふぅふぅ

ふうふぅ

「おっ起き上がるだけでも、

 こんなに大変だったなんて」

いつもなんとも感じない動作を苦労しながらも出来たことに

あたしは感動しつつも、

「しっかりしろっ」

と励ましつつ右手で額を押し上げた。

そして、閉じていた目を開けたとき、

「え?」

あたしは眼下に見える自分の身体の姿を見て

思わず目を疑った。

「なっなにこれ?

 こっこれが…

 あたしの身体?」

そう、眼下に見えるあたしの身体は、

ヌバ族の如く肌の色が漆黒色に染まり、

長く伸びた脚、

腹筋が溝を刻む腹、

乳房が消え、

代わりに厚く盛り上がった胸…

どれを見てもとてもかつてのあたしの身体とは

かけ離れたものだった。

「うそっ

 なんで、

 どうし…!!っ」

困惑するあたしに止めを刺すかのように、

それの存在に気がついたとき、

あたしの目は凍ってしまった。

ムクッ!

ムクムクムク!

何も無いはずのあたしの股間。

その股間よりまるで鎌首をもたげるようにして、

漆黒の肉棒が延びていくと、

ムリッ!

先端の皮を剥き、

中にある肉の球を見せ付ける。

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

巨石の下より野太い男の叫び声響渡ると、

「!!」

あたしは慌てて口を閉じ、

喉に手を当てた。

ゴリッ!

そこには喉仏が飛びでていて、

喉の動きにあわせて上下する。

「そんな…

 あたし…男の人になっているの…

 しかも、ヌバ族の…」

やはり漆黒色の皮膚に覆われている自分の腕を見ながら、

あたしは呆然としていると、

『ふふっ

 すっかり勇者らしくなったな』

の声と共にあの長が姿を見せた。

「あなたは…」

『勇者の魂を授けられて

 5日がかりだったな…

 ムンバの魂を受けただけに、

 なかなか立派なイリガではないか』

あたしの股間から伸びるオチンチンを見ながら、

長はそういうと、

「イリガって…

 おっオチンチンのこと?

 ちょっと、

 なんであたしをこんな姿に…」

満足そうな長にあたしは這いずりながらも詰め寄った。

すると、

『なにをそんなに怒っているのだ、

 ンガニよ』

と長はあくまで余裕を見せる。

「ンガニ?」

長の口から出たその言葉に、

あたしは思わず聞き返すと、

『何て顔をする。

 お前の名前はないか』

と長はあたしに告げた。

「え?

 何を言っているのよ、

 あたしの名前は尚子…よ

 ナ・オ・コ

 ンガニなんて名前ではないわ」

そう言い返すと、

『何を言っているのだ?

 お前は我がヌバ族のンガニ…

 ンガニがヌバとしてのお前の名前だ』

とあたしに言い聞かせようとする。

「違うっ

 あたしは…」

そう言いかけたところで、

「なんで…

 なんで、長の言葉がわかるの?」

と長が話す言葉の意味がわかることに気がつくと、

『泉の水に自分の姿を映してみるが良い』

と長は言う。

その言葉にあたしは巨石の傍にある泉に寄り、

自分の姿を映し出した。

すると、

水面にはいつものあたしの顔が映し出されるが、

だがその肌の色は漆黒色に染まり、

また、首から下は巨大なオチンチンを持つ

ヌバ族の男の肉体そのものであった。

「こっこれがあたし…」

水面に映るショッキングな自分の姿にあたしは驚愕すると、

ムズッ!

ムズムズムズ…

消えていたはずの違和感が今度は顔でおき始め、

見る見る顔中に広がり始めた。

「これって…」

顔中の肌で感じ始めた違和感に、

あたしは驚いていると、

『おぉ、ンガニよ。

 いよいよその顔もヌバになるというのか、

 そうだ、お前にはヌバの顔がふさわしい。

 さぁ、私に見せてくれ、

 ヌバとなったンガニの顔を』

と長はあたしに言う。

「いや…

 いやっ

 止めてぇ!

 顔は変えないで!

 お願いっ

 顔だけは変えないで、

 尚子でいさせて、

 お願い!

 その代わり何でもしますから』

プックリと膨らみ始めた唇を押さえながら、

あたしは涙ながらに訴えると

『……』

長は少しの間考え、

そして、

『それほど言うのなら、

 いますぐここで、勇者の証を立てなさい』

と告げた。

「え?

 勇者の証?」

長の口から出た聞き覚えの無いその言葉に

あたしは長を見ると、

『なにをしているンガニよ

 早くイリガを扱き、

 そして、勇者としての精を捧げれば、

 お前の変化は止まるぞ』

と言う。

「精?

 まさか…」

長のその言葉にあたしは股間のオチンチンに手をかぶせると、

『うむっ

 そうじゃ、

 そのイリガを扱き、

 早く精を捧げよ』

と長は言う。

「ううっ」

シュッ

シュッ

シュッ

刺激を受け長く伸びたオチンチンに手を沿えて握り、

そして、顔を背けながら、

あたしは手を前後に動かし始める。

ムズムズ

ムズムズ

顔の違和感は相変わらず続き、

あたしの顔は少しずつ変化していく、

そして、それをとめる為、

あたしはオチンチンを扱くのであった。

シュッシュッ

シュッシュッ

シュッシュッ

シュッシュッ

「うぅっ

 くぅ…

 なんか、気持ちいい…

 これが、男の人のオナニーの感覚なの?」

話には聞いていた男性のオナニー…

それをいま自分がしていること自体信じられなかったが、

だけど、いまは一刻を争うのだ。

ここで精液を出して捧げないと、

あたしは顔までもヌバになてしまい、

尚子で居られなくなってしまうのだ。

シュッシュッ

シュッシュッ

「出て…

 早くぅ…」

まるで取り依かれたかのように

あたしは股間から生える巨大なオチンチンを扱き、

精液を出そうとするが、

だが、容易には出ては来なかった。

「なんで…

 早くしてぇ」

ヌバ特有の眼窩が突き出ようとしているのか、

目の上で違和感が次第に高まってくるのを感じながら、

あたしはオチンチンを扱いていると、

『ただ、擦っているだけではダメじゃ、

 場所によって力に強弱をつけ、

 特に首元を集中的にな…』

と長がアドバイスをする。

「はっはいっ」

長のアドバイスに従い、

あたしはその通りにすると、

ゾクゾクゾク…

これまでにも感じたことの無い快感がオチンチンに走ると、

トロッ

透明な液体が先端から漏れ始めた。

「あぁ…

 気持ちいい…

 すごい

 すごいよぉ」

流れ出てくる液体でオチンチンをベトベトにしながら、

あたしはさらに扱き続けると、

ジーン…

次第に根元付近に何かが溜まる感じがし、

そして、それはムクムクと膨らみはじめだした。

プクッ!

「はっ

 はっはっはっ」

鼻の穴を大きく膨らみ、

オチンチンを握る腕の速度が自然に上がり始めた。

シュッシュッ

シュッシュッ

「あはっ

 あっあっあっ

 でっ出る、

 何かが…

 あぁでるぅ…」

身体の奥からこみ上げてくるその感覚に、

あたしは溺れ、

来るべく時のために力を込めた。

そして…

ビクッ!

一瞬、身体が震えると、

「あっでるぅぅぅぅ!!」

込めた力を思いっきり解き放つように、

あたしは手に力を入れた。

するとそれを合図にして、

ブッ!

オチンチンの中を熱いものが一気に駆け抜け、

ビュッ

シュシュシュシュッ!!!

真っ白な…真っ白な筋が

真っ黒なオチンチンの先より一気に伸びていった。



つづく