風祭文庫・モランの館






「ディンガの甕」
(第2話:拓也の絵)


作・風祭玲

Vol.347





キンコーン…

夕暮れの校舎にチャイムの音が鳴り響くと、

「あっあのぅ…山口先輩…一緒に帰りませんか?」

美術室で絵筆を握る俺に同じ美術部の後輩である1年生の山下里香が声を掛けて来た。

「ん?

 あぁ…」

キャンバスから顔を上げた俺は彼女の言葉にそう返事をすると、

「先輩って…

 いつも裸の男の人の絵ばかりを書かれていますね」

とキャンバスを覗き込みながら里香が尋ねてきた。

「そっそうか?」

「えぇ…そうですよ、

 他の絵…

 例えば風景画とかは描かないのですか?」

「うぅん…まぁな」

彼女の質問に俺はただ曖昧な返事をするだけだった。

すると、

「先輩が描かれているこの人って

 一体どういう人なんですか?」

里香は俺が描いている人物についての由来を尋ねて来た。

「え?

 あぁ…ディンガ族って言う部族の勇者だよ」

彼女の質問に俺は絵筆を置きながらそう答えると、

「へぇぇ…

 何か凄い身体をしていますね」

と言いながら里香はしきりに感心をする。

「まぁな…

 砂塵が舞う灼熱の大地で生きて行くにはこれくらい逞しくないとな」

キャンバスに視線を落としながら俺はそう言うと、

「じゃぁ、あたし…

 下駄箱のところで待ってますので…」

里香はそう言い残して美術室から出ていった。

パタパタパタ

次第に遠ざかっていく里香の足音を聞きながら、

「…あれから1年か…」

俺は夕闇に包まれていく空を窓越しに眺めた。

そう、俺は帰ってきていた。

幼馴染の梓と共に突如この学校からディンガ族の村へと連れて行かれ、

そして、その村で梓は俺たちを招き寄せた呪術師の手によって、

セーラー服姿の女の子から

ペニスを晒しながら闊歩する勇者へと姿を変えられてしまったのだった。

「くっ」

悔しさが混じる表情をしながら俺はキャンバスに視線を落とすと、

じっと、その中の勇者の絵を見つめる。



1年前…

「そんな…梓…」

自ら呪いが掛かった油を頭から被ってしまった梓は

俺の目の前でディンガ族の勇者へと変身していった。

そして、

逞しいディンガ族の勇者になってしまった梓は、

唖然としている俺に構うことなく小屋から出て行くと、

外で待ちかまえていたディンガ族の男達と共に踊り始めた。

声を上げ、変身を喜ぶかのように舞う梓の身体から、

彼女の身体を変身させた油が四散していき、

そして、その下からはまるで油に染まってしまったかのような漆黒の肌が

日の光に鈍い輝きを放っていた。

「梓…」

そう呟きながら小屋から出た俺は歓喜の表情で踊り続ける梓の姿を眺めていると、

『異邦の者よ…』

そう、あの呪術者が俺の前に立つとそう話しかけていた。

「おっお前が!!」

視界に入ってきた呪術者の姿に、

我に返った俺は、梓をディンガにされてしまったことの他に

これまで溜めていた様々な怒りを爆発するかのように呪術者に掴みかかると、

「お前が梓をあんな姿にしたんだぞ!

 梓を元に戻せ!!」

と思いっきり怒鳴った。

すると、

『ふふ…

 我々には我々を導く新たな勇者が必要だった。

 その為に私はこの世の隅々に向けて術を放った。

 そして、それに応えたのがあの者だ、

 勘違いをするなっ

 我々は強要したのではない。

 あの者が我らの勇者のなることを決めたのだ』

と呪術師は俺に告げた。

「なにっ

 梓があんな身体になることを望んだって?

 バカも休み休み言えっ!」

呪術者の言葉にそう俺が反論をすると、

『異境の者よ、

 お前の役目は終わった…

 さぁ元の世界にかえるがよい』

俺の質問には答えずに呪術者はそう言うと、

スッ

っと腕が伸びると、

ドン!!

と俺の身体を強く突き飛ばした。

「うわっ!!」

その瞬間、

俺の身体は宙に浮き上がるとポッカリと開いた黒い闇の中へと落ちていった。

「梓ぁ〜っ」

落ちていく俺はそう叫ぶのが精一杯だった。

そして、ふと気づくと俺は人気の無くなった教室に倒れていた。

しかし、戻ってきたのは俺だけで、

ディンガの勇者に変身してしまった梓の姿はそこには無かった。



ところが不思議なことに、

クラスの誰に聞いても皆梓に纏わる記憶はなかった。

いや、それどころか、

梓がココに居たという記録その物が消えて無くなっていた。

まるで、最初から梓と言う少女が居なかったかのように…

けど、俺にはしっかりと梓の記憶は残っていた。

恐らくこの不可解な現象もあの呪術師が何らかの呪いを掛けたのだと信じている。

戻ってきた俺は急いで梓を取り戻すべくディンガ族に関する情報を集めてみたが、

しかし、インターネットを駆使しても、

図書館で本を読みあさっても、

アフリカの地図を目を皿の様にして探し回っても、

あのディンガ族の村の場所すら特定することは出来なかった。

ところが、

大航海時代の探検家が書き記した著書に目を通したとき

偶然、それらしき村の名前が書き記されているのを発見した。

「まさか…

 そう言えば、

 あの村の連中…

 全然、現代文明に関するものを持っていなかったな…」

俺はディンガの村に現在に繋がる品物が全くなかったことを訝しがった。

「いくらなんでもおかしすぎる…

 コイン一つ無いだなんて…

 まさか、俺と梓は時を越えてこの村に?」

そう考えたとき、

俺の頭の中にはある種の絶望感が覆っていった。



それからしばらくして俺は美術室に行くようになると、

無地のキャンバスに梓の絵を描くようになった。

最初は女の子の姿の梓を描いていたが、

しかし、いつしか俺が描く絵はディンガ族の勇者に変身した後の梓の姿に変わっていた。

そして、いつの間にか俺は美術部の部員になっていた。



「さて、帰るか…」

目処をつけたところで

俺はキャンバスが邪魔にならないように隅に片付けると帰り支度をはじめたが、

しかし、その数分後には

キャンバスに描かれているディンガ族の勇者となった梓の絵をジッと見つめていた。

「梓…」

絵を見つめながら俺はそう呟いた。

こうして梓の姿を常に描くことによって、

ディンガ族になってしまった梓のことを忘れないようしていた。

しかし、戻ってきて1年が過ぎ、

俺の心の中の梓の記憶が徐々に薄れてきていた。

ひょっとしてあの呪術師の呪いを受けているのかも知れない。

このまま梓のことを忘れてしまうのでは、

と言う恐怖心を振り払うようにして、

「じゃぁな、梓っ

 また明日」

キャンバスに向かってそう別れの挨拶をした俺は

美術室の出入り口に向かうとそっと部屋の電気のスイッチに手を伸ばした。

っとそのとき、

『卓也…』

美術室にそう囁く男の声が響き渡った。

「!?

 この声は…」

響き渡った男の声に俺は敏感に反応をすると、

「あっ梓?」

振り返るなり思わず声を上げた。

すると、

『卓也…どこにいるの?』

と声は再び俺に呼びかけた。

「ここだ、ここにいる!」

美術室の真ん中に戻った俺は我を忘れてそう訴えると、

パァァァァ!!

突如、俺のキャンバスが光り輝くと、

その中から、

ムクリ…

キャンバスに描かれていた梓の絵が膨らむようにして

徐々に立体的になっていくと

ズルッ

漆黒の肌に包まれた裸体を晒しながら

ディンガの勇者がキャンバスの中からゆっくりと湧き上がるようにして姿を現した。

「うっ」

その光景に俺は思わず息を飲み込んだ。

トン

鍛え上げられた肉体を誇示するかのように

ディンガの勇者はキャンバスの中から降り立つと、

『ここは…』

と言いながらグルリと教室を見渡した。

「あっ梓か…?」

キャンバスの中から出てきたディンガ族の勇者の腰に

ボロボロになりながらも存在していた紺色のスカートを見た俺は

思わず呼びかけると、

『たっ拓也?!…』

勇者は俺の方を見るなりそう叫んだ。

「ほっ本当に梓なのか?」

俺は確かめるように尋ねると、

『あっあたし…よ

 梓よ…

 …呪術者にお願いして、

 戻ってきた…の…』

とディンガの勇者は俺に向かって答えた。

「ほっ本当に梓なんだな」

『うっうん…』

「そうか…」

俺は何度も確かめた後、

勇者・梓の元に走り寄ると、

ギュッとその身体を抱きしめた。

ムワッ…

汗と土、そして獣の糞尿の臭いが梓の身体から漂ってくる。

しかし、俺はそんなことには構わずに

「会いたかったよ」

と言うと、

『あっあたしも…

 拓也に会いたかった…』

ディンガの勇者となり俺よりも頭二つ分身長が高くなった梓はそう言いながら、

ギュッ俺の頭を抱きしめる。

その一方で俺は

ザラッ

土だらけになっている梓の腹筋を撫でながら、

「くそっ

 こんなに逞しくなりやがって」

と言いいながら、軽く2・3発、盛り上がった梓の腹筋を拳で叩いた。

『ごめんなさい…』

俺の拳を受けた梓は短く謝ると、

「判っている…

 判っているよ」

梓の言葉に俺はそう返事をして、

「梓…俺のことがまだ判るんだな?」

と尋ねた。

『うっうん…

 あたし、拓也が居なくなってからも
 
 拓也のこと忘れないように、
 
 何時も思い出していた』

「そうか…」

『呪術師は昔のことはさっさと忘れろ

 って言うけど

 でも、あたし…
 
 ディンガじゃないもん、

 女の子の梓だもん。
 
 だから、拓也のことは忘れなかった』

梓は俺に向かってそう言いきった。

「そうか、そうか」

梓の言葉を俺は嬉しく思いながら頷いていると、

『拓也…

 おっお水…飲んできて良い?』

と梓は畏まると俺に向かってそう尋ねた。

「水か?」

『えぇ』

「ちょっと待って…」

梓の言葉に俺はすかさず廊下を覗いて人影が無いことを確認すると、

「よしっ、

 行って良いぞ!!」

と梓に声を掛けた。

すると、

タタタタッ

梓は剥き出しのペニスを揺らせながら美術室から飛び出していくと、

ジャァー

蛇口から迸る水をゴクゴクと飲み始めた。

そして、

キュッ

黒く長い手が蛇口を閉めると、

『あぁ、こんなに美味しい水を飲んだのは久しぶり…』

と飲んだ水の観想を俺に告げた。

「そっそうか…

 確かに向こうの水は美味しいとは言えなかったよな」

美術室に戻ってきた梓に俺はディンガの村でのことを思い出しながらそう言うと、

『実は…

 拓也がいなくなってしばらく経った頃から村に雨が降らなくなってきたの』

と梓は俺が居なくなった後の事を話し始めた。

『呪術師や村の長老はこの時期は何時もこうだから心配をするなっ

 って言ったけど、

 でも、それでも少しは降ると言う雨ですら降らないのよ、

 それで、少なくなっていく水をまず牛に飲ませ、

 そして余ったのを村の子供・女と言う順に飲ませているの』

と説明をした。

「そうか…

 で、梓、お前は水を飲めたのか?」

と俺が尋ねると、

『うん…一応はね』

梓は表情を曇らせながらそう答える。

「そうか…

 しかし、水がないんじゃ大変だな…

 身体なんか洗えないだろう」

ふと俺はそう尋ねると、

『うん…でも、身体は一応洗えるのよ』

と梓は答えた。

「え?水不足なのに?」

『うっうん、まぁ』

「どうやって…?」

俺に質問に対して梓は一呼吸置いて、

『牛のオシッコ…』

と梓は小さく答えた。

「牛のション便?」

梓の返事に俺は驚きながら聞き返すと、

『そぅ、水は貴重品だから

 例え牛のオシッコと言っても粗末に出来ないの、

 だから牛がオシッコを始めると、

 みんなそこによって飲んだり身体を洗ったりしていしたわ、

 だからほら、髪の毛がこんなに脱色しちゃって』

梓は自分の頭髪を指さした。

確かに彼女の髪の毛は脱色し黒から赤茶けた色をしていた。

「そうか…」

そのとき、俺はさっき梓を抱きしめたときに、

彼女の身体から糞尿の臭いが漂っていたことに気が付いた。

それから、

陽が落ちてすっかり暗くなった美術室の中で俺と梓は2人並んで座ると、

梓は向こうでの生活を淡々と話してくれた。

牛の世話をしながら水を求めて荒野を移動していることや、

牛泥棒などど闘ったこと、

さらに、魔よけの文様を刻んだことなどを話してくれた。

身体に刻んだ文様の話を聞いたとき、

俺は梓の肩や胸に刻まれた幾何学的な模様に気が付いた。

「そうか、

 梓も立派なディンガの勇者になっちゃたんだ」

俺はそう呟きながら梓の胸に刻まれた文様を触ると、

『やめて、拓也、

 拓也の口からそんなこと言わないで…』

梓はそう言いながら首を振った。

「ごっゴメン…」

それを見た俺は反射的に謝ると、

『あっあたしもぅ帰らなきゃ』

梓はそう言うと腰を上げた。

「え?、向こうに帰るのか?」

突然の言葉に俺は驚くと、

『うん…

 呪術者との約束だし…

 それにあたし勇者だから
 
 ココにいられる時間は僅かなの』

立ち上がった梓はそう言うと、

『そうだ、ねぇ…お願いがあるの』

と俺に願い事を告げた。

「なに?」

俺がそう聞き返すと、

梓は顔を背けながら、

『あっあたしの…

 あたしのオチンチンを扱いて欲しいの…

 これまでも自分でしたり、

 ディンガの女達にして貰ったりもしたけど、

 でも、拓也の手でイカされるのが一番って気づいたの…』

と恥ずかしげに俺にそう言うと、

ムクリ…

見る見る梓のペニスが勃起し始めた。

「はぁ?」

梓の申し出に俺は呆然とすると、

シュッシュッ

「(はぁ)……おっお願い…

 あの時みたいにオチンチンを扱いてぇ」

荒い息をしながら梓は棍棒のような固くなったペニスを自分で扱き始めた。

「判った判った…じゃぁ…」

自分でオナニーを始めた梓の姿に俺はため息を吐きながらそう言うと、

手を伸ばして、

ギュッ

っと梓の極太のペニスを握りしめた。

そして、

シュッシュッ

っと扱き始めると、

『あっあぁ…

 拓也が、あたしのオチンチンを…

 あぁ…』

その途端、梓は喘ぎ声をあげながら体を反らすと、

その快感に酔いしれ出した。

梓のペニスは生えたばかりの1年前と大きく姿を変え、

逞しくそしてグロテスクな風貌に変化していた。

「すっすげぇ…」

梓のペニスの長さ太さともに俺の倍以上の大きさになり、

また以前よりも大きく張ったカリ首と

陰茎に絡まるように浮き上がる血管がまるで未知の異生物を連想させていた。

「なぁ、梓っ

 お前、さっき女がどうしたこうしたって言っていたけど、

 女とやったのか?」

ペニスを扱きながら俺はそう尋ねると、

『…拓也が居なくなった後、

 じゅっ呪術師が、勇者なら女を知れって言って

 あっあたしにディンガの女をつっ連れてきたの…』

快感に酔いしれながら梓はそう告白した。

「そうか…梓…男になったんだ」

梓の告白に俺はある種のショックを受けながらペニスをしごき続ける。

すると、

『あっあたしも、

 最初はイヤだったけど…
 
 でっでも、大きく開いた女の人のアソコを見ているウチに、
 
 このオチンチンが熱くなって…
 
 そしたら…

 止まらなくなって…
 
 あっあぁぁ…
 
 もっと、もっときつく扱いて!!

 オチンチンが引きちぎれるくらいに
 
 思いっきり!!』

途中まで俺の問いに答えていた梓だったが突然そう叫ぶと、

グッ

ペニスを扱いている俺の両手に自分の手を添えると、

グイグイ

と動かし始めた。

「梓っそんなにきつくしたら…」

『いいの…

 これくらいじゃないと感じないの!

 だから思いっきり!!』

困惑する俺の背中を押すように梓はそう言った。

「くそっ!!」

梓の催促にヤケになった俺は梓のペニスを力を込めて扱きはじめる。

シュッシュッ

シュッシュッ

『うぉぉぉっ

 いい…いい…』

ペニスからの感触に梓は雄叫びをあげるようにそう叫ぶと、

グッグッグ

っと俺の手の動きに合わせて梓は腰を動かし始めた。

そして、

『お願い…

 あたしのオチンチンをしゃぶって…』

と口走った。

「えぇ!!」

思いがけない梓の言葉に俺が驚くと、

『あんっ

 お願い…』

梓はグッと股を開くと俺に縋ってきた。

「でっでも…」

かつては女の子だった梓だったが

しかし、今ではディンガの勇者…

俺の目には逞しい男の裸体に俺が躊躇すると、

『お願い…拓也…

 あたし、向こうに戻ったらまたしばらく来られないのよ』

渋る俺に梓はそう言った。

「…判ったっ」

ついに根負けした俺はそう叫ぶと、

そのまま梓の前に跪くと、

グィっ

先走りが滴り落ちるペニスが俺の目の前に差し出された。

「くっ」

目の前に迫るペニスに俺は覚悟を決めると、

梓のペニスに手を掛けると、

ヌプッ

っと巨大な亀頭を口に含んだ。

「うげっ」

アンモニアと土が混ざった複雑な臭いが俺の口の中に広がる。

「あぁ…」

梓はそううめき声を上げると、

俺の頭に両手を添え、

グッ

っと押し込んだ。

と同時に、

ムゴッ

口の奥へと亀頭が押し入って来た。

「うごぉ

 うごぉ」

俺が目を白黒させていると、

『あぁ…

 いぃ…
 
 拓也が…
 
 拓也があたしのチンポを舐めている…』

俺の頭を押さえながら梓はそう言うと、

グッグッグ

っと腰を動かし始めた。

そしてその動きに合わせて、

梓のペニスは俺の口の中を往復し始める。

フゴフゴフゴ

俺は目をまん丸に剥いて呻くが、

しかし、梓はお構いなしに腰を動かしていた。

そして、

「あっあぁ…

 いぃ…出ちゃう出ちゃう出ちゃう!!」

口から涎をながらしながらそう訴えると、

「え?」

慌ててペニスを吐き出そうとする俺の頭を抱え込むと、

グイッっとペニスを俺の喉の奥へと押し込んだ。

そして、その瞬間。

ジュッ

梓のペニスはその先から熱い精液を吹き出した。

「うごぉぉぉぉぉ!!」

ドクっ!

ドクっ!!

梓の精液は俺の喉を通り身体の奥へと流し込まれる。

『うっうっうっ』

腰を振るわせながら最後の一滴までも絞り出した後、

梓はようやく俺を解放した。

「(うげぇぇ)おいっ、お前の精液飲んじゃったけど大丈夫か?」

梓の精液を飲んでしまったことに不安になりながら俺が尋ねると、

『大丈夫よ…

 向こうの女達にもあたしの精液は飲ませているんだから』

梓はケロッと答えると、

「俺をディンガの女と一緒にするなっ」

俺は思いっきり怒鳴ってしまった。

すると、

フワッ

一瞬、梓の輪郭がぼやけると、

『(ヤバ)じゃぁ

 しばらくしたら迎えにくるね…

 今度逢う時を楽しみにしているね』

と梓は俺に言い残して、絵に中に消えていった。

「迎えに来る?

 なんだそれは?」

暗やみに包まれた美術室の中で俺は梓が最後に言った言葉に思わず首を捻った。



その夜…

布団の中で俺は熱を出していた。

ジリジリ

『あぁ…熱い…

 くそ、
 
 なんだ、この熱さは』

掛けていた布団を剥ぎ

全身からシャワー浴びたかのような汗を流しながら、

俺はうめき声を上げる。

すると、

どこからか、

トンコトンコ…

と言う太鼓を叩く音が俺の耳に響き始めた。

『この音は…

 あぁディンカの村で聞いた音だ…』

そう思いながら俺はそのリズムをずっと聴いていた。

そして、何とか熱が下がったのは、

夜明けが近い時刻になっていた。



「先輩…昨日ずっと待っていたんですよ…」

その日の放課後…

キャンバスに向かっている俺に里香がそう言うと、

「あっそうだった、ゴメン」

俺は里香が下駄箱で待っていたことを思い出すと即座に謝った。

「もぅ…」

そんな俺の様子に、里香はプッと膨れると、

「昨日はココで何をしていたんですか?」

と問いただした。

すると、

「さぁなぁ…」

俺ははぐらかせたそうな答えを言うと、

「ちゃんと答えてくださいっ」

「何って?」

「誰かここに来たでしょう?」

「そうか?」

まさかディンカとなった梓がここに来たとは言えずに、

俺は平静さを装いながらそう返事をすると、

「ふーん」

里香は疑いの目で俺を見る。

「なっなんだよ」

その目に耐えかねた俺はそう返事をすると、

「何でもありません。

 その代わり今日はあたしも最後まで残りますからね」

里香はそう言うとクルリと俺に背を向けた。

「まったく…

 女ってホント鋭いな…」

俺はそんな里香の後ろ姿を見ながらそう呟いていると、

ズキッ

ちょうど両胸の乳首のあたりに軽い鈍痛が起こった。

「痛っ

 なんだ?」
 
俺の乳首はまるで虫に刺されたかのように熱く、

そして、ズキズキと痛んだ。

「虫にでも刺されたかな?」

帰り道、

なかなか引かない胸の痛みと熱に俺は不審に思っていると、

「どうしたんです?、先輩っ」

っと隣を歩いている里香が俺に尋ねた。

「いやっ

 なぁに…
 
 ちょっと胸が痛いんだよ」

と俺が返事をすると、

「大丈夫ですか?

 先輩…」

里香は不安そうな顔で俺を見つめた。

しかし俺は、

「あはは…

 大丈夫、大丈夫」

と平静さを装いながらそう返事をすると、

「そう言えば、

 女の子の胸が膨らむ時って結構痛いんですけど、
 
 まさか、先輩…胸が膨らんで来たんじゃぁ…」

と里香は悪戯っぽい表情で俺に言った。

「おいおい…」

その時の俺はまだ彼女の言葉を聞き流していたが、

しかし…

俺の身体は徐々にだが確実に変身を始めだしていた。



つづく