風祭文庫・モラン変身の館






「野生勇者・ムオラルンガ」
(第6話:希望の出帆)


作・風祭玲

Vol.973





時はUC(宇宙世紀)

旧世紀末、大国の意地の張り合いから始まった世界大戦は

産業革命以降、人類の活動によって傷つけられていた地球環境に壊滅的な打撃を与え、

それによって発生した大災害・南極大溶融より

人類は経済・産業の拠点としていた平地のほとんどを失ってしまったのであった。

さらに陸地の消失に伴って大気の大循環活動が弱まってしまうと、

残った陸地も砂漠化・サバンナ化が急速に進行。

そのため戦後樹立された地球連邦政府は人類の地球での居住を諦め、

宇宙空間に建設したコロニー群への移住を決定したのであった。

しかし、コロニーという閉鎖的な空間は居住する者達の精神を圧迫し、

それによる社会不安によって数々の凶悪犯罪が多発したために、

地球連邦政府・平和維持省は見せしめ効果による治安維持を目的として、

満18歳を迎えた男女から無作為に【選ばれし者】を選び出し、

ナノマシンを用いた肉体並びに精神の改造手術と併せて女性は男性への性転換手術を行うことで、

全員を原始的な野生戦士に仕立て上げたのである。

そして荒廃した地球上に設置されたカメラの前で野生戦士達は槍や弓、石斧を振り上げ

永遠に続く戦いを行うのである。

すべては人類の平和のために…



ごぉぉぉぉ…

それは不意のことだった。

風の音共に砂塵が舞いはじめると、

瞬く間に巨大な渦となってあたしの方へと迫ってくる。

『うっ…これは……』

それを見たあたしは逃げられないと判断すると、

とっさに風下に顔を向けて、

手にしていた牛追い棒を地面に突き刺し、

ジッ

と身体を丸めて耐える姿勢をとる。

そして迫ってきた砂塵が瞬く間にあたしや牛たちを飲み込み、

ビュォォォ〜っ

ビシッ!

ビシビシビシ!!

風に飛ばされた小さな砂粒が露になっているあたしの背中から腰、

そして脚にかけて満遍なく叩きつけてきた。

『痛い、

 痛い、

 痛い』

砂粒が当たる感覚は最初こそは痒みを伴っていたが、

しかし、時間の経過と共にすぐに痛みへと代わり、

あたしは歯を食いしばりながらひたすら砂塵が通り過ぎるのを待っていた。

小一時間ほどが過ぎてようやく砂嵐が収まってくると、

『ふぅ…』

あたしは顔を上げほっと一息を入れてみせる。

と、そのとき、

ザッザッザッ

まだ砂煙が残る中をスカートスーツを風になびかせて

正井さんがやってきたのであった。

『正井さん…』

彼女の姿を見てあたしは名前を呼ぶと、

『あの砂嵐を耐えたか、

 抜き打ちで試験をしてみたが、

 ちゃんとやり過ごせたようだな』

と正井さんは感心したように言うと、

『あっありがとうございます』

彼女に向かってあたしは礼を言う。

『どうだ、砂塵の味は?

 言っておくが、

 地球の砂塵はこれよりももっとすごいぞ』

そんなあたしに向かって脅し気味に正井さんは言うと、

『はぁ…

 がんばります』

と返事をする。

そのときだった。

ウゴォォォォ…

まるで断末魔のような声を上げて

あたしの傍に立っていた牛が倒れてしまったのであった。

『えっ』

急転直下の事態にあたしも正井さんも何が起きたのか判らなかったが、

『たっ大変!』

あたしは何とか搾り出した声をあげて牛の状態を診ようとすると、

『………』

あたしよりも先に正井さんが牛を診ていたのであった。

しかし、

ゴボゴボゴボ…

倒れた牛は口から泡を吹き、

だらんと垂れた舌は見る見る青くなっていく。

『だめっ』

あたしは声を上げて牛の介抱をしようとしたが、

『ダメだ…

 もぅ死んだ…』

牛の胸に耳を当てていた正井さんは牛が絶命したことをあたしに告げる。

『そんなぁ…』

突然のことにあたしはその場に座り込んで泣き始めると、

『よくあることだ。

 ほらっ、

 何をしているすぐに解体をするぞ』

と正井さんは声を上げたのであった。

『え?』

彼女のその言葉にあたしは顔を上げると、

『こいつはペットではない。

 家畜だ。

 家畜は死ねば解体され、

 人間の糧となる運命だ。

 こうして牛が死んだとき、

 アスメック族では喜び謳うのだ』

と言う。

『………』

その言葉にあたしは声を失うと、

『なにショックを受けた顔をしている。

 言っておくが文明人だってやっていることは同じだ。

 その身体への変身前、

 お前は普通に店で肉を買っていただろうと思うが、

 その買ってきていた肉はどうやって作られている?

 それと同じコトをお前はこれからするだけだ』

と正井さんは醒めた目で言う。

確かに彼女が言うことは正論だ。

でも…あたしは果たしてそれが出来るのか非常に不安になっていた。

『コレを使うと良い』

そういって渡されたのは一本の石のナイフだった。

『これって、

 いっ石?』

黒く光る凸凹の刃先を見ながらあたしは声を上げると、

『さぁ、

 何をしている。

 まずは血を抜くんだ』

と正井さんはあたしに指示をする。

そして、あたしは彼女の指示に従って血抜き作業をはじめのであった。

『いいなっ、

 何一つ無駄にするなっ、

 その血もお前の大切な飲料になるし、

 皮も服代わりになったり、

 寝る時の敷物になったりと非常に便利なものになる』

『はいっ』

そうやってあたしは石のナイフで牛を解体していくと、

その日の夜は剥ぎ取り干している牛皮を背にして

久方ぶりにあたしは肉に喰らいついていた。

『美味しい…

 お肉がこんなに美味しかっただなんて…』

あたしはそう言いながらいつもみたいなオシッコではなく、

血とミルクを混ぜた飲み物で喉を潤し、

黙々と肉を食べていく。

もはやその姿は誰が見ても野生部族・アスメック族の男の姿になっていたと思う。




『どうだ、

 久しぶりの肉は美味かったか』

翌日、正井さんはあたしに肉の味について尋ねてくると、

『はい』

あたしは笑みを浮かべて返事をしてみせる。

『うんっ、

 すっかりアスメック族の顔になったな…』

それを見た彼女は笑いながら、

グィッ

っとあたしの頬をつねってみせると、

『痛いです』

頬をつねられたあたしはそう言いながら顔を背ける。

『この程度で痛いなどと言うな』

そんなあたしに向かって正井さんは注意をすると、

『さて、そろそろ、

 仕上げと行くか』

と呟く。

『仕上げ?』

彼女は発した言葉の意味を探ろうとしてあたしは聞き返すと、

スッ

正井さんはあたしの背後に向けて指を指し、

『昨日剥ぎ取った牛の皮を見せてみろ』

と言う。

『はっはいっ』

その指示にしたがってあたしは干してあった皮を手渡すと、

『ふ…ん、

 まぁまぁかな…

 あとはなめせば使えるようになるか』

と皮を見ながら呟く。

そして、

バサッ!

あたしに向かってそれを放り投げると、

『昨日、お前が解体したこの牛の毛皮だ。

 そこにある石を使ってなめしてみろ』

と指示をした。

『はっはい』

その指示に従ってあたしはこぶし大の石を手に取り牛の皮を叩いてなめし始める。

そしてなめしながら、

ここに来てあたしは色々なことを正井さんに教わり、

同時に色々ことも忘れていったことを実感すると、

ムクッ!

股間のイリガが固く勃起しはじめ、

ニュッ!

とウルカの中を伸びていく。

ハァハァ

ハァハァ

股間からいきり立つイリガを伸ばしてあたしは皮をなめしきると、

『まっ正井さん。

 でっ出来ました』

と彼女に向かって声をかけた。

『うん、いい出来映えだ。

 さて、改めて言うが、

 これを持ってお前のアスメック族化教育は終了した。

 その皮はここでの卒業証書を思えばいい。

 わたしがこれ以上教えることは無い。

 本当は戦士として送りたかったが、

 まぁそれは仕方が無かろう』

と彼女は言う。

『はい…』

その言葉にあたしは感慨深げに頷いてみせると、

『うん』

正井さんは大きく頷き、

『では、

 お前にアスメック族としての名前と首飾りを授ける。

 ムオラルンガっ

 お前はアスメック族の牛飼い男・ムオラルンガだ』

とあたしの首に青いトンボ球で作られた首飾りを掛け、

そしてアスメック族としての名前を告げた。

『ム・オ・ラ・ル・ン・ガ…

 それがあたしの名前…』

正井さんの言葉を噛み締めるようにしてあたしは復唱したとき、

ピキーン!!

あたしの頭の中で何か弾け、

それと同時に、

ザザザザザ…

ざわめく様にしてあたしの頭の中に様々なものが流れ込んできた。

『あっ』

突然のことにあたしは一瞬めまいを起こしてしてしまうと、

『ん?

 大丈夫か?

 おいおい、こんなことで気を抜くな』

とあたしの抱き起こしながら正井さんは言う。

『大丈夫です、

 ちょっと、めまいが…』

彼女に向かってあたしはそう言い訳をしてみせたとき、

ビクンッ

『うっ!』

ジュッ…

あたしの体の中を強烈な刺激が突き抜け、

と同時にウルカの中に精が放たれる感触が伝わってきた。

『はっダメ』

それを感じたあたしは咄嗟にウルカを押さえるが、

ネトォ…

そのウルカの裾より熱い精液が滴り落ちて来たのであった。



『よしっ、

 以上だ』

あたしの射精に気づかなかったのか正井さんはそう締めくくると、

『地球へ降りるまで時間は結構ある。

 しばらくここでこれまで教えてきたことを復習でもしているんだな』

と言い残して立ち去って行く。

しかし、

ハァハァ

ハァハァ

正井さんが去った後、

あたしは荒い息をしながら股間のウルカを外すと、

ボトボトボト…

さっきウルカの中に放たれた精液が一斉に垂れてくるが、

しかし、射精をしたばかりであるにもかかわらず、

あたしのイリガは猛々しく伸び、

ビクンビクン

と鼓動にあわせて脈打って見せていた。

『まだ出るんだ…』

それを見ながら

ギュっ!

あたしはなおも痛いくらいに勃起していたイリガを握り締めると、

シュッシュッ

シュッシュッ

と扱き始める。

何でこんなことをするのか判らなかった。

ただ、胸の奥からこみ上げてきた魂があたしの中で暴れ出し、

そしてそれを鎮めるためにイリガを扱き始いているのである。

ハッハッ

ハッハッ

シュッシュッ

シュッシュッ

『うっ

 はうっ、

 んぐぅ』

子供の腕のように長く伸びているイリガをあたしは扱き、

そして、

『あぐぅぅぅ…』

プッ

シュッシュッシュッ!!

再び熱い精液をイリガから吐き出してみせる。

『あぁぁぁ…』

射精後の虚脱感を一人で感じていると、

『ムオラルンガ!!』

あたしを呼ぶ正井さんの声が奥から響き渡った。

『はっはいっ』

その声にあたしは反射的に飛び起きると、

急いで正井さんのところへと向かっていく。

すると、

『お前のご両親と担任の先生が面会に来ている。

 この後ここに通すから、

 ゆっくりとその姿を見てもらえ』

と告げたのであった。

『え?

 パパとママ…

 そして…先生が面会に?』

思いがけないその言葉にあたしは驚くのと同時に、

ハエが集る漆黒の裸体にウルカ一本のいまの姿を見られることへの気恥ずかしさを感じるものの、

あたしの胸はときめくと

ウルカの中のイリガはまたしても勃起していたのであった。



程なくして、

「うっ暑い…」

の声と共にパパとママ、

そして、名前は忘れてしまったけど担任だった先生が訓練室に入ってきた。

「ぱっパパ…

 まっまっママ…

 せっ先生…」

入ってきた3人に向かってあたしは声を掛けると、

「ちっ千香なのか?」

パパは驚きながらあたしを指差してみせる。

コクリ

コクリ

その言葉にあたしは2回頷いてみせると、

「まぁ…」

「うっ」

アスメック族の牛飼いになってしまったあたしの姿を見て皆は一様に驚いてみせる。

「ごっごっごめんな…さい」

そんな3人に向かってあたしは片言の言葉で謝ると、

「千香、

 あなた、言葉が…」

とママは尋ねる。

その問いにあたしは首を横に振って返事をすると、

『ごめんなさい、

 あたし、アスメック族の言葉しか話せないの』

と3人に向かってアスメック族の言葉で返事をしてみせるが、

「!!!」

それを聞いたママとパパは目を丸くして驚いたのであった。

『あっ…』

その姿を見たあたしはある種のショックを受けるが、

『えぇぃ、もぅ引き返せないんだ!』

とあたしは見せつけるように黒く光りハエが集る体を見せ、

「こっこっこれ…

 あっあっあたし…

 あっあたし…アスメック…

 なった…」

と必死で訴えてみせる。

「ひっ」

異臭を放ちウルカ一本のみの漆黒の裸体を見せられたママは思わず目をそむけてしまうと、

「!!」

そんなママの姿を見てあたしの胸は大きく痛んだ。

そのとき、

「そうか、

 とにかく元気そうで良かった…

 地球に下りても頑張るんだぞ」

と話しかけながらパパはあたしを抱きしめてくれたのである。

『パパ…』

パパに優しく抱きしめられたことにあたしは驚いていると、

「オホン。

 なんていったっけ。

 新しい名前を覚えられなくてすまんな。

 これはクラスのみんなから君へのメッセージと、

 学校の卒業証書だ」

と言いながら担任から高校の卒業証書とクラスの皆からの寄せ書きが手渡された。

「こっこっこれ」

思いがけない寄せ書きにあたしは目を細めると、

「学校で学んだことがこれから役に立つかどうかは判らないけど、

 とにかくがんばれって生き残れ!!」
 
そう言いながら担任はあたしの肩を叩くと、

「うん…」

あたしは涙を流しながら頷いてみせる。



そして、地球の降りる前日。

牛の皮の上で体に集るハエを手で払いながらあたしは寝転んでいると

『ムオラルンガっ

 面会人だ』

と言う正井さんの声と共に工藤慶介が尋ねてきた。

『けっけっ慶介…』

彼の顔を見た途端、

忘れていたはずのその名前を思い出したあたしは思いっきり声を上げた。

すると、

「よっ」

いつもと変わらず慶介は片手を挙げてあたしに近づいてくると

腰をかがめながらポンっと肩を叩き、

『すっかり大きくなったなぁ、千香』

となんとアスメック族の言葉で優しく話しかけてきたのであった。

『!!っ

 慶介、

 あなた、アスメック族の言葉を話せるの?』

そのことにあたしは驚きながら聞き返すと、

『なぁに、

 ちょっと勉強をしたまでさ、

 そんなに難しくは無いよアスメック族の言葉は』

と彼はさらっと言う。

『でっでも…』

『細かいことはどうでも良いじゃないか、

 僕はアスメック族の言葉を勉強したかったのさ』

そう言って慶介は全然変わらない態度を見せる。

『あっありがとう

 慶介』

その言葉にあたしは感激しながら答えると、

『それにしても本当に土人…

 いや、アスメック族の男の体になったんだなぁ。

 声なんて男じゃないか』

と彼はすっかり男の声になったあたしの声色を指摘するが、

すぐに

『調子はどうだい?

 だいぶやせた様に見えるが、

 ちゃんと食べ物は食べているのか?』

と尋ねてきた。

『うっ、

 うん、

 まぁまぁ

 まぁまぁ食べているよ』

とあたしは牛のオシッコを飲んだりしていることは隠して返事をすると、

『そっか、

 じゃぁ地球に降りてからも大丈夫だね』

と慶介は安心したような表情を見せる。

『うん…

 ありがとう』

本当のことが言えなかった罪悪感を感じつつ返事をすると、

ジッ

慶介はあたしの顔を見つめながら、

『身体はすっかり変わっちゃたけど、

 目は昔の千香のままだね』

と言うと笑って見せる。

すると、

『え?』

彼が言ったその言葉があたしの胸を貫き、

『そっそう…かな』

胸をドキドキさせながらあたしは答えるが、

それと同時に

ギンッ!

ウルカの中のイリガが痛いくらいに勃起してしまうと、

皮の上で正座をした途端、

片手をウルカに沿えながら、

ギュっ!

とそれを掴んで見せた。

そのときだった。

『千香っ』

突然慶介はあたしの名前を呼ぶと、

あたしの横に腰を下ろし、

『こっちを向いて』

と囁きながらあたしの顎に手を沿えて、

ゆっくりと自分の方へと向かせて見せる。

『慶介?』

彼の行為の意味が判らないでいると、

『アスメック族のその顔…

 真っ黒な肌…

 とっても素敵だよ』

囁きながら慶介は顔を寄せると、

チュッ!

あたしの頬にキスをしてしまったのであった。

『!!!っ

 あっ、だめ。

 あたし汚いから』

突然のことに驚きながらあたしは慶介を思わず突き飛ばしてしまうと、

キスされた頬を手で押さえながら声を上げる。

しかし、

『なにか汚いって?

 さっき言っただろう、

 どんな姿になっても千香は千香だし。

 それいアスメック族の姿もとっても魅力的だよ』

と囁きながら慶介は起き上がり、

今度はあたしを抱きしめたのであった。

『あっあぁぁ…』

慶介の抱きしめられた…

その事実が頭の中を駆け回り、

見る見るあたしの体から力が抜けていくと、

あたしの腕がダラリと垂れ下がってみせる。

すると、慶介はゆっくりとあたしを押し倒しながら、

『コレを枕にしているんだ』

と囁きつつ傍に落ちていた牛の頭蓋骨を掲げて見せる。

コクリ…

その言葉にあたしは頷いてみせると、

『その牛…

 あたしが解体した。

 あたし…牛のことしか知らない。

 勉強したことみんなわすれちゃった』

と呟く。

『そっか…

 千香は馬鹿になっちゃったのか、

 そうだよなぁ…

 アスメック族は牛のことと、

 戦いのことさえ知っていれば事足りるものなぁ…

 それ以外の知識なんて要らないか』

あたしをみながら慶介は言う。

『うっ…』

彼のその目を見た途端、

あたしの目から涙があふれてくると、

『何を泣いているんだい?

 大きなオチンチンを生やして、

 真っ黒な肌の男になってしまったのがそんなにいやなのか?』

と慶介は言葉優しく尋ねてきた。

『いや…よっ

 いやに決まっているでしょう。

 だって、あたし女の子よ。

 綺麗な服着て、

 おしゃれして、

 好きな人とデートだってしたかったのよ。

 それなのに…

 こんなイリガを生やして、

 素っ裸で牛のウンチやオシッコにまみれて生きていくだなんて…

 見てよ、この汚れた肌。

 本当ならもっと黒く光って良いはずなのに、

 これみんなウンチの灰やオシッコなのよ』

慶介のその言葉を聴いた途端、

あたしは汚れた肌を見せながら思いっきり胸の内を話してしまうと、

『大丈夫。

 君がどんな姿になっても、

 僕の気持ちは変わらないよ』

と慶介はあたしに言う。

『え?

 それって…』

慶介からの思いがけない言葉にあたしは声を詰まらせると、

『千香、好き。

 好きだっ、千香…』

と言いながら慶介はあたしを抱きしめ、

唇にむしゃぶりついてくると、

『あぁぁ…

 そんなぁ』

あたしはなにがどうしたら良いのかわからなくなり、

慶介の思うがままにされていく。

そして、慶介の右手があたしのウルカをゆっくりと外してくると、

『やめて…』

それを感じたあたしは彼の手をどけようとしたが、

しかし慶介はお構いなくウルカを外してしまうと、

ブルン

雄の臭いを放ちながら勃起していたイリガが勢い良く飛び出して見せる。

『うわっ、

 さすがはアスメック族。

 とても大きいね』

イリガの大きさに関心をしながら慶介は言うと、

『見ないで…

 恥ずかしい…』

とあたしは両手で顔を塞いで見せる。

すると、

『別に恥ずかしがることないよ…

 男なんだから大きなイリガは誇りにしなきゃ

 オナニー…もぅしているの?』

あたしに向かって彼は問い尋ねてくると、

コクリ

あたしは頷いてみせる。

『へぇ…そうか、

 じゃぁ見せてほしいな、

 千香が男の精液を吹き上げるところ』

と言いながら慶介はあたしのイリガを扱き始めたのであった。

『だっ、だめっ、

 そんなことをしては…』

彼の手の動きにあたしは身をよじって抵抗するが、

しばらくしたとき、

ヌルッ

別の感触が走った。

『え?』

いきなり変わった感触にあたしは舌を見ると、

チュプチュプ

なんと慶介はあたしのイリガを口に含んでいたのであった。

『!!っ

 だっ、ダメっ、

 イリガは一番汚い』

それを見たあたしは声を挙げるが、

『いいっていって…』

慶介はまるで縦笛を吹くかのように頬を膨らませつつ首を動かしてみせる。

『ダメよ、

 男同士でこう言うことをしては…』

『僕にとってはキミはあくまで女の子だよ』

『でも…』

そんな言葉を交わしながらあたしは思わず視線を外してしまうと、

『それより、ココ、

 感じる?』

と尋ねながら慶介は舌を使いあたしの亀頭を強く攻めてきた。

ビクンッ!

『アン…

 だめ…で、出ちゃう…』

彼の舌技にあたしは身悶えてしまうと、

射精が近いことを口走る。

すると、

『いいよ、だしても』

と慶介は囁いたのであった。

『ダメよ…』

『ガマンは体に良くないよ、

 ホラっ』

抵抗するあたしを見て慶介はイリガをギュと握り締めて見せると、

『あっあぁぁぁぁ…』

シュッン!!

シュシュシュッ!!

不意を突かれたあたしは射精をしてしまうと、

白い粘液を空高く飛ばしてしまったのであった。

ハァハァ

ハァハァ

イリガから精液を滴らせつつ、

あたしはその余韻に浸っていると、

『さぁ、

 今度は僕のを諌めてくれ』

と言いながら慶介は自分のオチンチンをあたしの前に差し出してみせる。

ヌプッ

まるで抵抗感なくあたしはそのオチンチンを手に取り口に含んで見せると、

『ふふっ』

慶介は小さく笑いながら泥で固めたあたしの頭を二手を添えると腰を振り始める。

『うぐっ、

 げほっ

 うごぉ』

口の中を出入りする慶介のオチンチンの動きにあたしの口の中が次第にしびれてくる。

と、そのとき、

ヌポっ

いきなり慶介はオチンチンを抜いてしまうと、

『さぁ、

 お尻をこっちに向けて、

 そして突き出して』

と指図してきた。

『う…うん』

すっかり判断力を失っていたあたしは言われたとおり、

慶介に向けてお尻を向けると突き出してみせる。

『ふふっ、

 中まで真っ黒な肌になっているんだ。

 肛門なんて判らないよ』

と言いながら慶介は指でお尻の周りを撫で回して見せると、

ある一点で指を突き立てるなり、

グンッ!

と押し込んできた。

『あはんっ、

 そっそこは…

 お尻の穴…』

まさしく肛門の穴に指が差し込まれたことにあたしは驚くと、

『そうかここはまだ開発されていないんだ。

 知っているかい?

 男同士のセックスはここの穴を使うんだよ、

 地球には男しか居ないから、

 新米の千香は必ずオチンチンをここに入れられることになる。

 まだ開発されていないのなら、

 僕が解して置いてあげるよ』

穴に入れた指をグリグリと動かしながら慶介はそういうと、

ゆっくりと指を抜き、

そして、

ピタッ

オチンチンの先端をそこに当てた。

そして、

『いくよ』

と言う声と共に、

メリッ!

オチンチンが入ってくるけど、

『いっいたぁぁぃ、

 痛い

 痛い

 痛いよぉ』

初めて肛門を貫かれたあたしはただ悲鳴を上げているだけであった。



『じゃぁ、元気でな…』

『うん、慶介も元気でね』

痛む肛門を押さえながらあたしは慶介に向かって別れの挨拶をすると、

一瞬、ある種の寂しさと悲しさを感じていた。

そして、

『あの…』

背を向けて去っていく慶介をあたしは呼び止めてしまうと、

『慶介、

 あたし…まだ言ってなかった。

 あたし戦士じゃないの。

 牛飼いなの。

 戦うことが出来ない牛飼いなの。

 でっでも生き残るからね。

 絶対に生き残って…

 いつかここに戻ってくる』

と声を張り上げてみせる。

そんなこと無理であることは判っていたけど、

でも、慶介と二度と会えないことは認めたくなかった。

そして、

ギュっ

手を強く握り締めながら、

『ムオラルンガ!!』

と声をあげ、

『あたしの名前はアスメック族のムオラルンガよ。

 絶対に忘れないでね』

慶介に向かってそう念を押してみせると、

『あぁ、判った。

 じゃっ、

 ムオラルンガ!!、

 元気でな…』

その言葉と共に慶介はあたしに背を向けた。

そのときだった。

ダッ!

あたしはダッシュで慶介に駆け寄ると、

前に回り込んで腰をかがめ、

チュッ

と彼の頬にキスをして見せる。

そして、

『さっきのお礼』

と囁いたのであった。



次の日、あたしは地球に降りる船に乗っていた。

その船の一角に【選ばれし者】となった漆黒の男たちが詰め込まれている部屋があり、

その部屋の壁から規則正しく並んで伸びている鎖の先に

手枷・足枷が填められたあたしが繋がれていたのである。

『ちょっと、これじゃぁまるで動物扱い…じゃない』

ジャラッ

とても人の力では外せそうもない頑丈な鎖を引っ張ってあたしは文句を言っていると、

『ねぇ…あなた…』

と横から突然声を掛けられた。

『はい?』

その声に向かってあたしは振り返ると、

ニコッ

あたしの方を向いていた漆黒の顔に笑みが浮かび。

『ひょっとしてアスメック族のムオラルンガさん?』

とあたしと同じように繋がれている裸族の男性が尋ねてきた。

『はぁ…

 そうですが』

その質問にあたしは頷いて返事をすると

『良かったぁ

 あたし…

 同じアスメック族に行くことになった”ザロガムンカ”と言います。

 よろしく…』

と挨拶をしてきたのであった。

『あなたもアスメック族なんですか、

 こっこちらこそよろしく…』

彼に向かってあたしは挨拶をすると、

『あたしたち、

 同じ日に改造されたんですね。

 あたしはNo7のカプセルにいたんですよ』

と話し始め、

さらに話し声を聞きつけて他の男達も会話に加わってきた。

そして色々話を聞いているうちに

「何とかなるかも…」

と言う気持ちがわき起こると、

それが希望となってあたしの胸を暖めてくれたのであった。



つづく