風祭文庫・モラン変身の館






「極楽鳥」


作・風祭玲


Vol.720






「うわぁぁぁ…

 きれい…」

送られてきた宅配便の箱を開けたとたん、

嘉納明美は驚きの声をあげた。

キラ☆

そしてその眼下には

紅を基調に青や黄などの極彩色に彩られた極楽鳥の尾羽が一本、

開けられた箱の中より光り輝き、

昭美の顔を照らし出している。



『明美へ、

 折角の結婚記念日に帰国できなくってごめん、

 こっちの仕事はこれが届くころには、

 目処をつけることが出来るものと思う…』

「ふぅぅん、

 相変わらず忙しいのね」

極楽鳥の羽とともに送られてきた

夫・義之から手紙を目に通しながら明美は微笑み、

読み進めていくと、

『…お詫びといってはなんだが、

 明美が一度見てみたいと言っていた、

 極楽鳥の尾羽を送る。

 この尾羽はここでも貴重なもので、

 野生部族・ダニの戦士達は戦いの前この尾羽を頭に飾り、

 極楽鳥の持つ霊力を授かった後、

 戦いに行くそうだ。

 明美もよく病気をするから、

 この極楽鳥の霊力で元気になってほしい』

「まっ、

 義之さんったら…

 でも、ありがとう」

っと読み終わった後、

明美は頬を染めながら礼を言うと、

軽く手紙にキスをしてみせる。

そして、キスの後、

明美は箱から極楽鳥の尾羽を取り出すと、

それを高く掲げて見せた。

「きれい…

 本当、極彩色ってこういうのを言うのだわぁ」

尾羽が放つ光に感嘆した後、

その尾羽を軽く頭に触れさせると、

「病気をしなくなりますように、

 早く、赤ちゃんが授かりますように」

と願をかける。

その瞬間、

ピシッ!

「痛っ!」

静電気が放たれてしまったのか、

明美の頭に刺すような痛みが走ると、

頭を抑えながらその場に蹲ってしまったが、

「あっあれ?

 何ともない…」

一瞬、強い痛みを放ったはず頭の痛みは、

ものの数秒で雲散霧消してしまっていた。

「変ね?」

部屋の電気を消すように消えてしまった痛みに明美は首を捻ると、

立ち上がり、

家事の続きを始めだした。



明美と夫・義之とが結婚したのは5年前のことであった。

だが、結婚後、程なくして夫・義之が昇進すると、

これまでとは打って変わって出張の繰り返しとなり、

明美との間にはなかなか出来にくい環境となってしまったのであった。



夜

「はぁはぁ…

 はぁはぁ…」

明美が一人で暮らす部屋に荒い息遣いの声が響き渡る。

「はぁはぁ

 はぁはぁ

 うっうーん」

ダブルベッドの上で明美はうなされ、

そして、目を開けると、

「なっ何かしら…

 体が熱い…」

とつぶやきながら状態を起こした。

「………」

もし、横で夫が寝ていたら

スグに

「どうしたか?」

と声をかけてくるところだが、

だが、彼女に優しく声をかける者の姿はここにはなかった。

「ひどい寝汗…」

パジャマをグッショリと濡らす寝汗に明美は驚くと、

「着替えなくっちゃ…」

と起き上がりパジャマを脱ごうとしたとき、

ジーン!!

その股間から何かが突っ張る感触が走った。

「え?」

突然の感覚に明美は戸惑い、

そして、恐る恐る股を抑えると、

ビクン!

「あんっ」

体の中に強烈な電撃が走りると、

そのまま座り込んでしまった。

そして、

「くぅぅぅぅ…

 なに?

 なんなの?

 あそこが、

 おっきくなっている…」

と体の中を走る快感に打ち震えながら、

手で押さえている局部より、

陰核が突起のごとく盛り上がってくるのを感じると、

「いやっ、

 何これ!」

明美は悲鳴を上げながら、

盛り上がる陰核を押し込もうとするが、

だが、その程度で成長する陰核は押し込まれることはなく、

さらに成長を続ける。

そして、

「はぁはぁ

 はぁはぁ

 あぁ、ダメっ」

クニクニ

クニクニ

あえぎ声を上げながら大きく股を開いた明美は

5cm近くまで伸びてしまった陰核を摘み、

それを激しく上下動させはじめていた。

キュッキュッ

キュッキュッ

「あはっ

 あぁんっ

 いっいぃ…」

局部から天に向かって力いっぱいに伸びている陰核を

明美は指でしごき続けていると、

ビクッ!

突然体を硬直させ、

そして、

「あはっ

 あぁっ

 でっ出る!!」

と声を上げたとたん、

ビュッ!

陰核の下に開いている穴より、

白濁した粘液を吹き上げてしまった。

「!!っ

 なに今の…」

体の中心を一気に下に向けて突き抜けた快感の後に、

局部からの噴出しに明美は驚き、

そして、自分が吐き出した粘液が付着している手を持ち上げる。

すると、

ムワッ

「うっ

 臭い…」

これまで自分が吐き出した液体とは明らかに違う粘性と臭いに

明美は顔を背けてしまうが、

だが、まったく見知らぬ液体ではなかった。

「こっこれって…まさか」

夫・義之とのセックスの際に嗅いだ事があることを思い出すと、

「なっ何であたしが精液を…」

と明美は自分が射精してしまったことに戸惑いを見せる。

だが、

メリ!

ミシっ!

”射精後”、局部の奥へ引っ込んでいたはずの陰核が再度顔を見せると、

一回り大きくなって局部から飛び出してしまった。



「あはっ

 はぁはぁ

 はぁはぁ」

シュッシュッ

シュッシュッ

あれほど几帳面で、

日々の掃除を欠かしたことがなかった明美が、

すべての家事を放棄して既に1週間が過ぎていた。

シュッシュッ

シュッシュッ

「くはぁ…

 あぁ気持ちいい、

 気持ちいいよぉ」

股間から太く伸びる肉棒を鷲づかみにし、

モコッ!

筋肉が盛り上がる肩を小刻みに動かしながら、

明美は一心不乱に肉棒をしごき続ける。

そして、

ビクビク!!

深い溝を掘る腹筋を小刻みに震えさせると、

「うごわぁぁぁ」

野獣のような唸り声を上げるのと同時に、

ブッ!

ビュビュ!!!

硬く伸びた肉棒の先より精液を吹き上げる。

そして、

「はぁはぁ

 はぁはぁ

 あぁ…」

射精後のまどろみの中、

明美は呆然としていると、

「あたし、

 また変身している?」

と次第に広がっていく肩幅と

黒ずんでいく自分の肌を見る。

「はぁ…

 また変わるのかな…

 こんなことを繰り返していたら、

 あたし、

 このままじゃあたしじゃなくなってしまいそう」

と変化してゆく自分の姿に恐怖を覚えていた。

けど、すぐに

シュシュ!!

シュシュ!!

と肉棒をしごき始めてしまうと、

「ふー

 ふー」

鼻の穴を大きく膨らませながら、

明美は男の快感におぼれて行ったのであった。

射精の後のまどろみの中で、

敷きっぱなしのベッドの上に明美は寝ていると、

『あっそうだ』

何かを思い立った明美は起きあがると、

イソイソと出発の支度を始め出す。

すると、

『明美…どこに行くんだ?』

そんな明美に向かってソファに座る義之が声をかけてくると、

『どこって?

 ちょっと買い物に…』

声をかけた義之に向かって明美はそう返事をする。

すると、

『買い物って…

 お前、裸で行く気か?』

と義之は笑いながら明美を指差をすると、

『え?』

義之のその指摘に明美は驚きながらわが身を見てみると、

彼の指摘どおり、

明美は一糸まとわぬ裸体であった。

『きゃっ

 やっやだぁ!』

裸でいることに気づいた明美は悲鳴を上げ、

胸と股間を手で覆うと、

フッ

腰を上げた義之が近づいて来るなり、

『別に恥ずかしがることはないよ』

と明美に囁き、

そして、

『え?』

思いがけないその声に明美は驚くと、

『さぁ、

 これをつけな』

そう言いながら義之は

ヌッ

明美の正面に長さ50cmほどの筒状の物体を見せると手渡した。

『これは?』

渡されたものが理解できない明美はたずねると、

『ふふふっ

 それはコテカというものだよ』

と義之は説明をする。

『コテカ?』

『そう、

 ダニ族の勇者達はみなつけていんだよ』

『勇者?

 ダニ族?

 違うっ

 あたしは違うわ、

 だって、あたしは…』

義之の言葉に明美が反論をしようとしたとき、

ミシッ!

いつの間にか明美は普段来ている服を身につけていた。

『あつあれ?

 いつの間に?』

それに気づいた明美が驚くと、

『ふふふっ

 着ているものが窮屈そうだね。

 君はダニ族の勇者、

 さぁ、そんなものを脱ぎ捨てて

 コテカを付けるんだ』

そう言った途端、

と義之の姿が消え声だけが響く、

『なんで、

 ダニ族ってなによっ

 あたし、そんなのじゃないわ』

姿の見えない声の主に向かって明美は怒鳴ると、

『くくっ

 いきなり何を言うんだ。

 そのコテカ、

 われわれダニの男たちが代々身につけている、

 お前が言う服というやつだ、

 さぁ、コテカを付け、

 その勇ましい肉体を晒すのだ』

と声は命令をしてくる。

『これが服?

 笑わせないで、

 第一、どっどうやって着るのよ』

手にしている筒の身につけ方が思い浮かばない明美は聞き返すと、

『なに?

 コテカのつけ方もわからないのか?

 それでもダニの男か?』

と声は呆れるが、

『何を言っているのっ

 あたしはダニなんかじゃないわ』

声に向かって明美は言い返すと、

『ふんっ、

 ダニの男であるお前が身に着けることが許されるのは、

 コテカだけだ』

声が強い口調で怒鳴った。

すると、

バッ!

明美が着ていた服が弾け飛び再び裸体にされるが、

だが、

ムキッ!

裸体にされた明美の体は

大きく横に盛り上がった分厚い胸板。

深く溝を刻む腹筋、

力瘤が大きく膨らむ腕、

筋肉が覆い尽くす脚。

さらに股間からは巨大な肉棒が聳え立った。

まさに男の肉体を晒していたのであった。

『なっなにこれぇ!』

部屋中に野太い声が響き渡ると、

『ふふっ、

 見事な肉体じゃないか』

と声は明美の肉体美を褒め称え、

『さぁ、

 コテカをつけてやろう』

と響くと、

ムリムリムリ!

明美の肉棒が瞬く間に硬く延び、

その肉棒を隠すかのように、

スッ!

あの筒が被せられると、

ズズッ

ズズズッ!

根元まで覆っていく。

『あっはっ

 あんっ』

硬く勃起している肉棒が筒の中を進んでいく感覚に、

明美は思わずあえいでしまうと、

『なに情けない声を上げるのだ!』

と明美を嗜める声が響き渡る。

『そんなことを言っても』

声に向かって明美が反論をしようとするが、

ズンッ!

その声を封じるように一気にコテカが肉棒を覆ってしまうと、

そのままかぶさってしまった。

『あぁっ』

コテカの動きに明美は体を震わせ堪えるが、

その内部では、

ドロッ…

肉棒の先端より先走りが滴り落ちていた。

『ふふっ

 コテカを付け、

 幾分ダニらしくなったな』

股間からコテカを直立させる明美の姿が見えるのか、

声はそう告げると

『だが、まだ足りない』

というなり、

ムズッ!

明美の鼻の中に何かが姿を見せると、

ズズッ!!

グンッ!

グンッ!

左右の鼻の穴より鼻の穴を押し広げて、

湾曲する動物の骨が突き出した。

『!!!

 ふがっ!!』

上方向に向かって突き出した骨に明美が驚いていると、

『後2本…』

声が告げると、

グンッ

グンッ

今度は下方向に向かってやや小ぶりの骨が突き出してゆく、

それを合図に、

カラン

カシャカシャ!!

明美の首周りに動物の牙で作られた首飾りがかかり、

さらに両腕には毛を編んだ腕輪がつけられていくと、

『あーっ

 あーっ』

白い肌を褐色色に染めながら、

明美はダニの勇者へを姿を変えていく、

一方、その心の中では

『…いやっ

 やめて、

 あたしを変えないで、

 違うっ

 あたしはダニじゃない。

 明美よっ

 あけ…

 ううぅっ

 違う、

 違う、

 違う!!!

 あぁ…思い出せない…

 あたしは

 あたしは…

 あぁ…

 あたしはダニ…

 ダニの勇者…

 うぅっ

 ダニの勇者・デデ…デグニ…

 うぅ…

 ああっあぁ!!

 うがぁぁぁ!!』

明美は頭を抱えながら叫び声をあげていた。



「うぅ…」

ようやく夜が明け始めたころ、

ベッドの上で何者かがうめき声を上げながら蠢きはじめだす。

「あぁ…」

縮れ毛が覆う頭を左右に振り、

黒く光る肌を動かしながらその者は起き上がると、

グンッ!

股間から突き出したコテカが登り始めた朝日を受け怪しく輝きだす。

チャラ…

首に掛かる牙を編みこんだ飾りを鳴らし、

『ふぉ…』

鼻から突き出す骨の飾りを見せ付けるように立ち上がると

カラン…

ベッドの下に落ちていた槍を手に取った。

『はぁはぁ

 はぁはぁ』

無駄なく張り詰める手足の筋肉を動かして、

裸体の男は立ち上がると、

『!!』

テーブルに置かれた箱に極楽鳥の尾羽があるのを見つける。

『おぉ!!』

それを見るなり喜びの声を上げると、

裸体の男は尾羽を自分の頭に付け、

それを大きく揺らせながら戦いの踊りを始めだした。

踊る男の心の中は以前自分が何であったのかは既に忘れ、

自分が野生部族・ダニの勇者であることに

何も疑いを持ってはいなかった。



キッ!

そのころ、一台のタクシーが停車すると、

「よいしょっ」

スーツ姿の一人の男が降り立つ。

「ふふ、

 いきなり帰ったら

 明美びっくりするかな」

そう呟きながら帰国したばかりの義之はこれから自分が向かう部屋を見上げると、

胸を張って歩いて行くのであった。



おわり