風祭文庫・モランの館






「奈緒の変身」


作・風祭玲

Vol.523





「奈緒っ、準備は良い?」

「えぇっ!、本当にまたやるのぉ?!」

カーテンが閉められた放課後の教室、

双子の姉である美穂に促され、

津久井奈緒は一歩前に出た。

「やめよーよ」

困惑をしながら奈緒は美穂に尋ねると、

「心配しなくてもいいわ、

 この間みたいにパパとママは上手く誤魔化すから、

 さっそこに立って」

そんな奈緒に美穂はそう言うと、

祭壇の前を指さした。

「………」

「大丈夫、ちゃんと元に戻してあげるから、

 この呪法が正しく出来るのか確認したいだけ」

渋る奈緒に美穂はそう告げると、

ごとっ

赤黒い液体が入った器を奈緒に見せた。

「あたしのお手伝ってくれるよね」

器を見せられ臆する奈緒に美穂はそう言いながら迫ると

「うっ

 うんっ
 
 わかったよ」

美穂の目を見つめながら奈緒は素直にうなづく。

「ふふっ

 それでこそ、あたしの妹」

奈緒の返事に美穂は笑みを浮かべると、

「さっ

 服を脱いで」

と指示を出すと、

祭壇にの両隣に立つ松明に火を点した。



「こっこれで良いの?」

「ん?」

程なくして奈緒の声が響くと、

すっ

美穂の前に白い肌を晒す下着姿の奈緒の姿があった。

「うん」

その姿に美穂は満足そうにうなづき、

そして、

「じゃぁはじめようか」

と告げると、

祭壇に捧げられていた一本の筆を取る。

ちゃぽん

あの液体が入った器に筆降ろし、

そして、その筆で美穂は奈緒の体に文様を描き始める。

「くすぐたい?」

「うっうん」

「あと少しだから我慢してね」

文様を描きながら美穂は奈緒にそういうと、

「よし、出来た」

と言いながら筆を奈緒の体から離す。

すると、そこには

赤黒い色で猛々しい文様が描かれた奈緒の姿がそこにあった。

「よしっ」

奈緒の文様を満足そうに眺めたと、

祭壇に向かって美穂は呪文を唱えはじめる。



ジッ

ジジッ

かがり火の光が揺れる中、

美穂が唱える呪文が教室に響き始める。

すると、

「あっ」

ビクンっ

小さな声と共に奈緒の身体が動くと、

「あっああっ」

奈緒は自分の体を見下ろしながら声を上げる。

するとその身体がムクリと大きく動き、

クッ!!

奈緒の腕に力が入ると

ジワッ

白々だった彼女の手がしみこんでくるかの様に茶色く変色しはじめた。

そして、次第にその色が濃くなっていくと、

まるで炭を塗ったような漆黒色へと変わって行く。

無論、その変化は手だけではなく、

奈緒の身体全体も褐色に染まり、そして漆黒色へと変色していった。

その一方で、

肌の色が変わったところより筋肉がムクムクと張り出すと、

メキメキ!

と言う軋む音と共に奈緒の肩幅が広がり始め、

さらに筋肉が盛り上がっていくと胸板を作る。

そして、”ブチッ”と言う音共に

奈緒が身に付けていたブラジャーがはじけ飛ぶと、

「きゃっ」

奈緒は思わず両手で胸を隠した。

しかし、そのはじけ飛んだブラの下にあった奈緒の乳房は、

さらに厚く成長する胸板へと飲み込まれてゆき、

萎縮した乳首を胸板の影に小さくつくだけの姿になっていった。

「やっ

 いやっ」

変化していく身体に奈緒は戸惑いの声を上げるが、

呪文を唱える美穂は奈緒が上げる声には耳を貸さず、

なおも呪文を唱え続けていくと、

「うっ

 くっ
 
 くはぁ」

奈緒はあえぎ声を上げ始め、

そして、

ギュッ

と手を握りしめると、

んっく…んっく…

肩を震わせ荒い息づかいをしながら、

自分の身体に起きている変化に必死になって耐え始める。

そして、奈緒の変身はさらに続き、

メリメリ

ゴキゴキ

と言う音を上げながら手足が伸び、

そして、そこに張り付くようにして筋肉が大きく張り出していくと、

股間を覆う下着に

プクっ

小さな突起が現れた。

「あっ」

顔を出したそれと下着の生地が擦れる感覚に奈緒は腰を落すと、

「くはぁはぁ

 はぁはぁ」

と荒い息をするが、

しかし、その奈緒の喉からは喉仏が飛び出し、

奈緒がつばを飲み込むたびに上下に動く。



ムクムク

ムクムク

奈緒の下着にに盛り上がりを作ったそれは

まるで植物が生長するようにムクムクと成長し、

下着を円錐形に持ち上げると、

ついに、

ビリィィィ…

下着を引きちぎり、表へと飛び出し、

ブルン!!

と震える。

そう、それは黒い棍棒を思わせるペニスだった。

「くはぁ」

股間から漆黒のペニスを飛び出させた奈緒は

無意識に固く勃起したペニスに両手を添えると

シュッシュッ

っと扱き始める。

そして、その間にも奈緒の白く細い足は漆黒色の逞しい足へと変貌し、

丸く甘いマスクだった顔も、

徐々に逞しい勇者の顔へと変貌して行った。

「あぁ…」

ペニスを扱き続ける奈緒の頭から長い髪がことごとく抜け落ちると

その後には短く縮れた毛髪が残り。

「うっあぁぁぁぁ!!!」

変貌していく奈緒が頭を抱えながら叫び声を上げると、

「うっうぉぉぉ!!

 おう
 
 おう
 
 おう」

再びペニスを扱きながら声を上げる。

その頃になってようやく美穂が振り返ると

そこには漆黒色の皮膚におおわれ筋骨逞しいアフリカの裸族の勇者へと

変身した奈緒の姿があった。

「うひゃぁぁ…

 奈緒が…

 土人になっちゃった」

漆黒色の裸体を晒す奈緒の姿に美穂は感心していると、

「うぅ〜っ」

自分の身体が裸族の勇者となったは奈緒は大きく息を吐き、

そして、変化が終わったことを感じとりながら、

ペニスを扱くのを止めると、

自分の手でその巨大なペニスを隠しながら、

「ミホ……ソ・ソレ…オネガイ」

と言いながら祭壇に置いてある

赤や青のトンボ球で出来た飾り紐と筒状の物体を指差した。

「え?

 うっうん…」

奈緒の催促に美穂はそれらを渡すと、

チャラッ!!

奈緒はまずトンボ球の首飾りを掛け、

そして、しゃがみこむと自分のペニスを掴むと、

それをそのまま筒の中へと差し込もうとした。

しかし、奈緒のペニスは変身の影響で力強く勃起しているために、

容易には筒の中に収まってくれなかった。

「大丈夫?」

奈緒が手間どっている様子に美穂は心配そうに覗き込むと、

「ダメ…

 ヌカナイト、ハイラナイ」

奈緒そう返事をし、

そして、

グンッ!

勃起しているペニスを美穂に突き出すと、

「ヌイテ、オネガイ」

と頼み込んだ。

「え?

 えぇ」

奈緒の思いがけない頼みに美穂は困惑するが、

しかし、

「判ったわよ」

の一言で美穂は奈緒の股間に生えた巨大なペニスを掴むと、

シュッシュッ

と扱き始める。

「アァァ

 ウゥゥ…」

美穂の手淫が感じるのか奈緒はうめき声を上げながら快感に身を任す。

そして、

「!!

 デッデル

 デル
 
 デル」
 
美穂に合図を送ると、

「ふふっ」

美穂はいたずらっぽい顔をした後

激しく扱き始めた。

その直後、

「アッ、アァァァァ」

シュッシュッ

ついに奈緒は叫び声を上げながら熱い精液を噴出してしまうと

「はぁ…

 この臭い…
 
 まさに勇者の臭いね」

美穂は奈緒が吐き出した臭いをかぎながら悦に浸っていた。



射精後、奈緒のペニスは縮小し、

あっさりと筒の中へと収まると、

「フゥ…」

奈緒は筒に巻き付けてあった紐を解き自分の腰に巻き付け結びあげる。

こうして、いまの奈緒が唯一身につけることが出来る衣装を”着”た後、

奈緒は祭壇に置いてある黒く固まった脂が入っているビンを取り出し、

「コレ…ヌッテ」

と言いながら美穂に手渡した。

「うん…」

美穂は奈緒より手渡された脂でさっき描いた文様を

塗りつぶすかのように丁寧に身体に塗り、

そして、塗り終わると奈緒の漆黒色の身体は、

脂でヌラヌラと怪しく光り輝き、

怪しげなイメージを引き立たせる。

それを確認した奈緒は、

槍と動物の皮で出来た盾を持ち、

そして、その場で踊り始めた。

タン・タタン・タン・タタン…

シャシャン、シャシャン…

奈緒の動きに合わせてトンボ球の首飾りも踊りリズムを刻む、

すると、

ぶわっ

突如、どこからか熱い風が教室を吹き抜け、

そして、

「よしっ…」

それを合図には美穂は周囲を見回すと、

ぶぅぅぅぅぅぅん

教室の中はサバンナの乾燥した景色へと変わていく。



それを見た奈緒は美穂に近づくと

「コノママ、ムコウニオイテイカナイデ

 チャント、

 ヨンデヨネ」

と言い残すと

大声を上げながらサバンナの大地へ駆け出して行く。

裸族の勇者として…



おわり