風祭文庫・モラン変身の館






「裸族変身」
(智之編)


作・風祭玲

Vol.126





「お〜ぃ、大丈夫か?」

「うっ、うん…」

「痛たた…」

ジャングルの遊覧飛行中の小型飛行機がエンジントラブルを起こすと、

そのままジャングルの中に吸い込まれていった。

その飛行機にはパイロットのほかに新婚旅行中の俺と和音、

そして、同じく新婚旅行中の高梁夫妻が搭乗していた。



墜落した飛行機は機体が砕けバラバラになったものの

客室部分は運良く木に引っかかり、

おかげで俺達は比較的軽傷で済んだのだが、

しかし、墜落のショックで操縦席から放り出されたらしく、

パイロットは行方不明になっていた。

「はぁ…

 折角の新婚旅行が台無しね…」

枝づたいに僕たちは地表へと降りると、

和音がため息をつきながらそう言う。

「みんなこうして命があっただけでも感謝しなくっちゃな」

周囲の様子を眺めながら僕が言うと、

「それにしても、こりゃぁ奇跡だな」

高梁さんが大破した機体を眺めながら言い、

「ねぇ、あたし達これからどうなるの?」

座り込んみながら僕を見ている和音の質問に

「そろそろ飛行機が戻ってこないことに向こうの連中が気づく頃だけど、

 問題は救援隊か…」

考える素振りを見せながら僕は答えた。

その言葉が終わるのと同時に、

「日本ならスグに警察や自衛隊が捜索に来ますけどね」

そう高梁さんが付け加え、

「うん…

 どれだけすばやく…

 どれだけ広範囲に捜索をしてくれるかだな…」

と心配そうに空を見上げながら僕が言う。

すると、

「ねぇ…

 無線機で救援を呼ぶのは?」

話を聞いていた弥生さんが口を挟むが、

「ダメだ、墜落のショックですべて壊れていたぞ」

と飛行機の機器が壊れてしまっていることを高梁さんが指摘する。

「問題はこれから…どうするかだ」

皆を見ながら僕は尋ねると、

「下手に動くより

 いまはココに留まったほうが良いのでは?」

「まぁ、そうだなぁ」

高橋さんの意見に同意した僕達はそれから2日間、

この墜落現場に留まり救助が来るのを待っていたものの、

しかし、

いくら待っても救援隊はおろか捜索の飛行機も飛んでこなかった。



すでに手持ちの食料は底を尽き、

僕達は昨日の夕方から何も食べていなかった。

「お腹すいたぁ…」

と和音が声を上げる。

「どうします?」

それを見た僕が高梁さんに訊ねると、

「う〜ん…このまま待っていても仕方がないし、

 いっそこちらから移動してみるか」

空を眺めていた高梁さんがそう答える。

「下手に動くとまずいんじゃない?」

それを聞いていた高梁さんの奥さんである弥生さんが制した。

「いや、落ちる前にチラっと河が見えたから、

 そこに出てそのまま下流に向かえば

 どこかの街が村に出られるはずだ。

 そこなら何らかの連絡手段があると思う」

高梁さんはそう言うと早速準備に取りかかった。

僕も彼の姿を見て大急ぎで準備に取りかかる。



「さて…その河は何処に?」

支度を終えた僕が高梁さんに訊ねると、

「えーと、あのときの太陽の位置からすると…

 こっちかな?」

と高梁さんがある方向を指さすと、

「随分とアバウトねぇ…」

っと弥生さんが呆れながら言った。

それを聞いた高梁さんは

「じゃぁコレで決めるか?」

と言って

トン

一本の棒を立てると、

「なるほど…棒の倒れた方向にか…」

僕は棒を眺めながらそう言うと、

「それはもっとイヤ!!」

っと弥生さんは言うと、

サッサと先ほど高梁さんが指さした方へと歩き出してしまった。

「あっおい」

その跡を追うようにして高梁さんが駆け出すと僕たちもその後に続いた。




ザッ

ザッ

行けども行けども草や木が生い茂り、

枝や根が複雑に絡み合う景色が続くジャングルの移動は骨が折れる。

「…映画みたいにツタからツタに移動できないの?」

それを見ていた和音がふと愚痴をこぼすが、

「そんな都合のいいものココにはないよ」

っと僕が言うと、

「そうですね…ソレができたらホント楽なんですけどね」

高梁さんが言う。



「おいっ、そっとだぞ…」

「うん、わかっている」

「うわぁぁぁ…」



急に視界が開け、

ようやくジャングルから抜け出たと思ったらそこは崖だった。

下の方にはジャングルと遙か彼方に一本の河が流れていた。

「あれに沿っていけば、人里に出られるな…」

僕の言葉に高梁さんは大きく頷いた。

それから僕たちは湿気でぬかるんだ崖を用心しながら、

通れるところを探しながらゆっくりと降り始めた。

最初はおっかなびっくりだったものの要領がわかり、

徐々にスピードを上げたそのとき、



ザザザ…

「きゃぁぁぁぁぁ」

突然の叫び声と同時に僕の後ろを進んでいた和音が足を滑らせた。

「和音っ…うわっ」

ザザザ…

突然の事で驚いた僕も足を滑らせる。

「藤間さんっ!!」

高梁さんの声がかすかに聞こえた。



「痛ぅ〜っ」

ハッと気が付くと僕は草むらの中に倒れていた。

体中が軋むような痛みをこらえながら起きあがると、

「和音っ」

妻の名を呼んだものの返事はなかった。

「和音ぇ〜っ、どこだ返事をしろっ」

幾度も叫んだが何の返事もない。

周囲も探して見たものの彼女の姿は見つからなかった。

「まさか…」

そう思ったとき、

ガサッ

突然近くの葉がゆれた。

「和音?」

見るとそこに高梁さんが一人で立っていた。

「高梁さん…?」

僕は呆気にとられながら声を掛けると、

「あっ藤間さん…無事でしたか」

「えぇ、高梁さんも落ちてしまったのですか?」

僕の質問に、

「えぇ、あなた方が落ちてスグ…

 それより…妻を見ませんでしたか?」

と逆に尋ねてきた。

「弥生さんですか?

 いえ…見ませんでしたが…

 あの…ウチの和音…見ませんでしたか?」

再び僕の問いかけに高橋さんは静かに首を横に振った。

「そうですか…

 ここに滑り落ちたのは私と高梁さんだけのようですね」

そう僕が言うと、

「そうみたいですね、

 とにかくココを上りましょう、

 ひょっとしたら途中で止まっているかもしれませんよ」

と高梁さんが上を見上げながら言うと、

僕達二人は斜面を上り始めた。

しかし、

「うわっ…ったった」

湿っている斜面は上ろうとする僕達を容赦なく突き落とした。

「仕方がない、迂回して上がるか…」

その高梁さんの一言で、

迂回路を探しながらゆっくりと上り始めた。

「怪我をしてなければいいんだが」

歩きながら高梁さんが呟くと、

「………?」

何かが聞こえた僕が立ち止まった。

「どうかしましたか?」

そんな僕を見てすかさず高梁さんが尋ねると、

「いや、何か声のようなものを聞いたので…」

と僕は答え、

「まさか…弥生たち?…」

高梁さんも周囲の様子を探り始めた。

耳を澄ますと確かに声がする。

しかも、女性の声のようだった。

「和音?」

僕も一瞬緊張する。

しかし、

聞こえてくる女性の声は2人ではなく、

数人…いや、5・6人の声で

しかし聞こえてくる言葉は日本語ではなかった。

「・・・・・・・・」

何かささやいているようなそんな声だった。

僕と高梁さんは背中合わせになって警戒する。

ザザ…

ザザ…

何かがゆっくりと近づいてきた。

「誰だ!!」

我慢しきれなくなった僕が叫び声をあげたそのとき、

ザバッ

草むらから黒い固まりが飛び出すと、

たちまち僕たちを取り囲んだ。

「!!!」

見ると手に手に槍を持った女性だった。

「何?」

高梁さんが驚きの声を上げる。

彼女たちの姿はほとんど何も身に着けない裸体で、

大きく膨らんだ乳房を露わにし、

髪は綺麗に剃り上げた坊主頭に、

お腹にはどうやってつけたのかわからないが

盛り上がった皮膚で作られた模様のようなモノが浮き出ていた。

一方、股間には申し訳程度の布の切れ端のようなモノが下がっていて

唯一ソレが性器を隠していたのである。

しかし、体の筋肉は女性ながら逞しく盛り上がっていて、

まさにアマゾネス(女戦士)がピッタリの姿だった。

「’&&’&$%()&)」

彼女たちの一人が僕たちに向かって何かを言うが、

残念ながら僕には何のことかさっぱりわからなかった。

そんなやりとりをしばらくした後、

ツン

一人の女性が僕の横腹を槍でつつき始めた。

「!!」

「どうやら”ついてこい。”と言っているみたいですよ」

彼女たちの様子を見て高梁さんが僕に言う、

確かにこの状況では下手に抵抗するとたちまち串刺しになるのは必至、

仕方なく僕たちは彼女たちに従った。

僕達はそのまま女戦士達に連れられるようにしてジャングルの中を歩き始めた。



女戦士達に連れられた僕達はジャングルの中をひたすら歩き、

そして、日が大きく傾いた頃、

僕達の前に大きな柵が姿を表した。

「すげっ」

柵を見上げながら僕は思わず声を上げると、

その柵の門の正面に女戦士の一人が立ち、

門に向かってなにやら大声を張り上げる。

すると、

ギィ…

その声に応えるかのように門がユックリと開くと僕達を中へと導いた。

「行きますか?」

「行くしかないでしょう」

僕と高梁さんは村へと入っていった。

開いた門は村の入り口で柵はジャングルと村との境界を意味していた。

中に入ると村は中央の大きな広場を中心にして、

それを囲むようにして数軒の大きな建物が立ち並び、

広場の奥にはここの長の住居らしき小屋があった。

その中を僕と高梁さんは護送されるようにして歩いていく、

ザワザワ…

村にいたほとんどの人達が遠巻きにして俺達の様子を伺っていた。

しかし、その村人達の身なりは誰もが皆裸の姿で

剃り上げた頭が綺麗に光っていた。

当然、洋服を着ている者は一人も居なかったが、

ただ、女戦士達とは違って

女性達は簡単な巻きスカートのようなモノを身につけていた。

「男性が居ませんね…この村…」

高梁さんが村の様子を見ながら呟く、

確かに…

僕たちを見物しているのは皆女性と子供ばかりで男の姿はどこにもなかった。

「狩りにでも行っているのでしょうか?」

僕が言うと、

「いや、いくら何でも女だけというのはちょっと変ですよ」

高梁さんが答えた。

僕達はそのまま一軒の小屋に連れて行かれると

そこに押し込まれるようにして監禁された。

「和音…大丈夫かな…」

小屋の中で僕がポツリと呟くと、

「弥生……」

高梁さんも地面を見つめながらそう呟いていた。


日が暮れ、夕闇が支配してきた頃、

「・・・・・・」

僕と高梁さんは入ってきた女戦士によって小屋から連れ出されると、

村外れにある別の小屋へと連れて行かされた。

そこで僕達はその小屋に入るように指図された。

「どうする?」

「入るしかないですね」

「う…ん…」

高梁さんにそう言われた僕は先に小屋へと入って行った。


小屋の中には数人の女達が僕達を待ちかまえていて、

「・・・・・・・・・・」

入ってくるなり着ているモノを全て脱ぐように指図された。

僕と高梁さんは顔を見合わせると

仕方なく彼女達の前で着ていた衣服を脱ぎ全裸になる。

その途端、

「’&%’&%’!!!」

女戦士達は僕の体を見てざわめき、

その中から一人が慌てふためくようにして奥へと入って行く。

「こいつらひょっとして男の身体を見たことがないのか?」

僕がそう思いながら待っていると、

やがて、さっきの女戦士が戻ってくるなり、

僕の腕をグイとつかむと、

そのまま小屋の奥へと連れて行った。

「おっオイ…」

僕は声を上げるが

女戦士は構わず僕の腕を引っ張った。

奥に行くとこの村の長らしき大女が座っていた。

「うわっでかい…」

彼女の体も大きければ、胸についている乳房も巨大だった。

僕を連れてきた女が跪くと、

「・・・・・・・・」

大女は僕を手招きした。

思わず躊躇していると、

ドン

背中を押された。

トット

2・3歩前に出ると大女は僕の手を

ぐぃっ

と掴むと大女は自分の体に僕を引き寄せた。

フワッ

香料のような香りが僕を包む。

「・・・・・・・・・」

大女は何かを言うと、

ズイっ

片方の乳房を僕の前に差し出した。

「え?」

ムクムク…

目の前の乳首が大きく膨らみ、

見る見るペニスのような大きさと太さになった。

「なっなんだ…」

グロテスクな姿となった乳首に僕が驚いていると、

大女は俺の口をこじ開け大きく勃起した乳首を口の中に押し込んできた。

モゴッ

反射的に僕は噛み切ろうとしたが、

乳首は固く引き締まり容易には噛み切ることが出来なかった。

それどころか、

ムクッ

ムクッ

と膨らみを増していくと、

「・・・・・・・・・」

大女が呪文のような言葉を唱え始める。

「・・・・・・・・・」

その言葉がしばらく続くと、

僕の口の中の乳首がさらに大きくなり、

ビュッ!!

っと生暖かい液体を吐き出した。

「ぶっ!!」

口の奥まで乳首を差し込まれていために、

乳首から吹き出した液体は僕の体の奥へと流し込まれる。

ビュッ!!

ビュッ!!

彼女の乳首から発射された液体は容赦なく僕の中に入っていった。

「フグッ…フグッ…」

散々飲まされた後、

プハっ…

っとやっとの思いで乳首を吐き出すと、

ドサッ

僕はようやく解放された、しかし

ジワ…

「なに…」

僕の胸がジンジンと痛み出してきた。

「痛い…」

胸に手を持っていくと乳首が虫に刺されたかのように痛痒く、

まるで乳首の上に何かが乗っているような感じだった。

「……………」

無意識に自分の胸を掻いているウチに

ムクムク

と僕の乳首が膨らみ始めた。

「え?」

膨らんできたのは乳首だけではなかった…

乳首の周囲…

いや、胸全体が熱っぽくなると徐々に膨らみ始めてきた。

「何…」

ムクムク…

ムクムク…

僕の胸は成長を続け、

やがて、

どこから見ても”乳房”と言う言葉が当てはまるくらいに成長をしていった。

「そんな…オッパイが…」

プルプル…

ついに弾み始めた胸に僕が驚いていると、

見る見る肌が柔らかくなり、繊細になっていく。

身体の変化はさらに続き、

肩は小さく…

手足は細く…

そして、臀部が大きく張り出してきた。

「おっ女に?」

変化していく自分を見て僕は驚きの声を上げた。

そしてさらに、

股間が熱っぽくなると、

乳首の時と同じく痛痒くなってきた。

「!!」

違和感を感じた僕は大急ぎで股間に手を持っていくと、

大きく勃起していたはずの僕のペニスが徐々に小さくなっていく。

「やっ、やめ…」

僕は股間を押さえながら小さくなっていくペニスを止めようとしたが、

しかし…

僕のペニスは指で摘める程度にまで萎縮してしまうと、

ついには小さな触角になってしまったのである。

そして、

クチュッ…

ペニスの無くなった股間に一本の縦溝が姿を見せると、

触角となってしまったペニスがその溝の中へ引き込み粘液を吐き出し始めた。

「こっこれって…

 まさか、オマン…」

自分の股間に口を開けた溝を見た僕は恐る恐る中へと指を入れてみると、

ニュル…

とあっさりと指は溝の中へと入り、

「ひっ!!」

ビクン!!

同時に体中に電気が走ったような刺激に僕は飛び上がっる。

すると、

「&%$&#’&%」

その様子を見た大女が何かを指示した。

すると、待機していた女達が僕を取り囲むとたちまち取り押さえ…

そして大女の後ろに置いてあった瓶から脂のようなモノを取り出すと

僕の身体に体に塗りたくり始めた。

「やっヤメロ!!」

女達の行動に僕は抵抗したが、

しかし、あっという間に僕の身体は脂まみれになってしまった。

すると、大女は石で出来たナイフのような物を取り出すと、

丁寧に俺の体中の毛を剃り始めた。

「うっ…」

本来なら苦し紛れの抵抗の一つぐらいするところだが、

しかし、体が女になってしまった影響か、

これ以上抵抗する気は起きなかった。

僕は彼女になされるがまま体中を剃り上げられると、

その腰に女達と同じ巻きスカートを巻かれた。

「・・・・・・」

それを満足げに眺めた大女は小屋の一角に作られた小さな穴を指さすと、

僕にそこから出て行くように指図した。

仕方なくその穴にはいると、

穴は細く長く…

まるで赤ちゃんが生まれるときに通る産道の様だった。

そう、この小屋は僕が裸族へ生まれ変わるための子宮で、

このトンネルは子宮と外界を繋ぐまさに産道……

そんなことを考えながらようやく外に出ると、

なんと、小屋の前に村人達が集まり、

穴から出てきた僕の様子を眺めていた、

僕はどうしたらいいか分からずその場に立っていると、

程なくして、一人の女の人が別の穴から出てきた。

「だれ…

 …まさか、高梁さん?」

彼女の姿を見て、

僕も彼と同じ格好になっているのかと思うと、

思わず恥ずかしくなってしまった。

「ひょっとして、藤間さん?」

彼女が聞いてきたので

「あぁ…やっぱり高梁さんだ」

コクン

僕はそう思いながら頷くと、

「そんな…

 オレ…女になっちゃった…」

高梁さんは裸族の女になってしまった自分の身体に困惑していた。



その夜、村の女達は新しい仲間を迎える盛大な宴が繰り広げられた。

僕と高梁さんはもぅ来訪者ではなく村人の一人になったことを実感していた。

やがて宴が終わり、

他の女達とともに彼女らが寝泊りしている小屋にはいると、

僕たちは取りあえず空いているところに身を横たえた。

「…………」

何も言葉が出なかった。

女に…しかも、裸族の女に…

その事実が重くのしかかる中、

心細く、僕は体を丸めて寝た。

プクリ…

と膨らんだ胸が僕のこれからを暗示する。

そして次の日から文字どおり、

僕とと高梁さんは裸族の一員としての生活が始まった。



僕と高梁さんが裸族になって月が3回満ち欠けを繰り返した。

「こんな姿…弥生に見せられないな…」

あれ以降僕たちの体はさらに女らしく変化し

また、お腹には他の女達と同様に傷で作った模様が描かれていた。

そして、そんな自分の身体をみて高梁さんがポツリと呟いた。

「そんな…大丈夫ですよ」

僕は慰めの言葉をかけるが、

「ダメだよ、こんな姿の夫なんて…

 弥生が見たら気味悪がると思うよ」

気丈だった彼が弱音を言い始めた。

「………」

僕には何もいえなかった。

そう言う僕も、高梁さんと同じく

”裸族の女”と言う言葉が

ぴったりと当てはまる姿になっていた。

「和音…僕の姿を見たらなんて言うかなぁ…」

僕は和音と再会した場面を想像し始めた。



…誰?あなた…

…え?、智之だって?

…ウソよ

…いや、あたしに近寄らないで…

……………

ジワッ…

いつの間にか涙が僕の頬を伝わる。

「どうしたんですか?」

高梁さんが心配そうに覗き込んできた。

「うぅん、なんでもない…」

何とか悟られまいとして僕は振舞うが

「会いたい…しかし…」

と言う思いで僕の胸はいっぱいになっていた。



それからしばらくして、

僕達は大女から呼び出された。

「なんだろう…」

僕達は不安に駆られながら行ってみると

大女に使えている女性から

『今日、お前達は男の村から来る男に精を受けるがよい』

と僕たちに言った。

「男の村?

 そう言うのがあるんですか?」

彼女の言葉に思わず僕が訊ねると、

『我が部族は昔からのしきたりで、

 男と女が分かれて住んでいる。
 
 そして、その境に営みをする場がある。
 
 今日、お前達はそこに行のだ』

と僕に言う。

「営みって…

 アレの事かな?」
 
僕と高梁さんは顔を見合わせた。



それからスグに僕と高梁さんは女達に連れられて村を出ると、

ある方向に向かって歩いて行った。

以前ココに向かっていこうとしたとき

『そこは神聖な場所だから行ってはならない』

と注意された事を思い出した。

やがてジャングルの中から一軒の小屋が姿を現す。

「あれかな?」

僕が指をさして言うと、

「あぁ…おそらく…」

高梁さんは頷きながら返事をする。

ザッ!!

恐る恐る小屋の中に入ると、

まだ誰も来てないらしく、中は無人だった。

僕たちが中に入ると、

連れてきた女達はそのまま村へと引き返して行った。



キョキョキョ

鳥の鳴き声が響き、

こんな所に置き去りにされた僕を心細くなって高梁さんの手を握った。

どうやら、心も知らない間に女性化してしまったようだ。



ザッザッ

しばらくして、足音がしてくると、

ヌッ

二人の男が姿を現した。

「うっ」

彼らの身なりは僕たちと同じ裸で、

黒い肌に逞しく盛り上がった筋肉と、

股間のペニスケースが彼らの猛々しさを表現していた。

「うわぁぁぁぁ

 この人とセックスをするの…」
 
僕は彼を見上げながらそう思うと、

彼も僕をじっと眺めていた。


ふと和音との初夜のことを思い出した。

恥ずかしがる和音に僕は様々なテクを駆使して彼女を抱いた。

まさか、その新婚旅行で僕が彼を犯されるのか…

と思って眺めているとき、僕は覚悟をした。


スッ…

僕は惹かれるように立ち上がると目の前で僕を眺めていた男の体に絡み付いた。

「こういうときは女の方から積極的に立ち振る舞った方がいい」

そう思うと僕は積極的に彼を誘惑する。

すると彼は僕に誘われるようにして抱きしめた。

グッ

彼の黒く堅い肌の感触に僕は驚いた。

「そうだった、男の身体ってこんなに堅かったんだっけ…」

女の身体になってすっかり忘れていたその感覚を目の当たりにしたとき、

男の眼から涙が零れ落ちるのを見た。

「?

 どうしたんだろう」
 
と思っていると、

男は突然はギュッっと僕を抱きしめると、乳房にしゃぶりついた。

あん…

あん…

僕は喘ぎ声をあげる。

ハァハァ…

男の荒い息づかいが耳元でささやく、

ジュン…

あそこから盛んに分泌液が漏れだしてくる…

「………もうすぐ犯される…」

そう思ったとき、男の手が僕の腰布を取った。

僕の下半身が無防備にさらけ出される。

男の手が僕の股間を這っていく

チュク…

僕の秘所を探り当てたとき、

男は股間のペニスケースを取ると

ズニュッ

すかさず僕の体内に固く勃起しているペニスを挿入し始めた。

「うっ」

激痛とともに男のペニスが僕の体の中に入ってくる。

ギュュ…

反射的に僕は男のペニスを締め上げた。

「…くっ…」

破瓜の痛みをこらえながら、

「これが…女の痛み…」

と思ったが、

男がペニスを動かし始めると、

別の感覚がわき上がってきた。

っく、っく…

痛みは徐々に快感に変わり始める…

あぁぁぁぁん

あぁぁぁぁん

僕は喘ぎ声をあげる。

それにつられてか、男の動きが大きくなる。

あん

あん!

あん!!

男の動きにあわせて僕の体が激しく上下する。

クチョクチョ…

みだらな音が小屋に響く…

「そうだ…高梁さんは…」

咄嗟に彼の方をみると高梁さんももぅ一人の男に犯されてた。



あぁぁぁん

「イク…イク…」

絶頂が近づくに連れ、

僕は男のペニスを締め付け始めた。

男の方も息が荒くなり様子が変わってきた。

向こうも射精が近いようだ、

「イ…イクぅ…」

僕が絶頂に達した瞬間男は射精した。

ドクドクドク

熱い精液が僕の体奥深くに放出されると、

「んんんん…」

食いしばって僕はソレを受け止めた…

「はぁはぁ…

 僕…ついに男に犯されちゃった」

そう思っていると、

男が僕の体に覆い被さってきた。



とそのとき

「うそ…俊彦さん?」

突然、高梁さんを犯していたもう一人の男が声を上げた。

「そんな…なんで…

 なんで…あなたが…」

男は困惑した顔で言う、

「まさか…

 お前は弥生なのか?」
 
高梁さんが起きあがると困惑している男にそう言った。



「どうしたの?」

僕を犯していた男が声を上げる。

「この人…俊彦さんよ」

と男は高梁さんを指さして叫んだ。

「えぇ…!!」

男が再び声を上げたとき、

ハッ…

僕は僕を犯していた男の素性に気がついた。

「お前…和音なのか?」

僕が声を上げると。

「まさか、あなた…智之さんなの?」
 
男は驚いた声を上げた。

コクン

僕は頷いた。

バッ

男は慌てて僕から離れる。

気まずい雰囲気が小屋の中に満ちあふれた。

「……おっ、驚いたでしょう…

 あっあたし、男になっちゃたんだ…」
 
和音は自分のペニスをペニスケースに入れながらそう言うと、

「うっうん…そっそうだね」

僕が答える。

「あっあたし…裸族になったのよ、

 ほら、逞しくなったでしょう?」

そう言って僕の前に立ちはだかると

グィッ

っと筋肉を盛り上げて誇示した。

「…うっうん、すっかり逞しくなったね

 筋肉も凄いじゃないか……

 ぼっ僕も裸族の女になっちゃった…

 ほらこの通り、オッパイも大きいし

 あそこもこの通り…」

そう言いながら僕は股を開くと彼女に自分の体を見せた。

「うっうん…綺麗よ…智之…

 あたしよりもずっと…」
 
和音がそう言うと、



「………」

「……逃げよう…」

しばしの沈黙が流れた後、

僕は考えていることを和音に言った。

「え?」

彼女が困惑した顔をすると、

「逃げよう…

 ここでは、僕たちは一緒に暮らしていけない。
 
 このまま村に戻ってしまったら、

 次に会えるのは何時になるかわからない」
 
と言うと、

「そんなことしていいの?」

和音が聞いてきた。

「和音はこのままでいいのか?」

と僕はは真剣な表情で彼女に訊ねると、

「うぅん」

和音は首を横に振った。

「よし…じゃぁ決まりだ

 高梁さん達はどうする?」
 
っと僕が訊ねると

「決まっているじゃないか、

 俺達もここから出ていくよ」

と彼らも答えた。
 
その日から安住の地を目指してあたし達の放浪の旅が始まった。

でも、怖くない…

だって、和音と一緒だから



おわり


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