風祭文庫・モランの館






「本の中」
(後編)


作・風祭玲

Vol.078





和葉たち4人でイジメていた敏江が落とした本を開いたとき、

彼女たちはとあるジャングルへと飛ばされてしまった。


ガシガシガシ………

和葉と一美が裸族達に連れ去られた後、

保奈美が一心不乱になって小屋の戸をこじ開けようとしていた。

「だれが、食べられるものですか」

そうつぶやきながら彼女は諦めずに作業を続けた。

やがてその甲斐あって、

コト

と言う音とともに戸が開いた。

「よしっ開いた」

保奈美がそっと顔を出して周囲に人がいないのを確認して素早く外に出ると、

「さっ佳奈っ早く」

と小声で言いながら中から佳奈を引きずり出した。

「和葉と一美はどうする?」

佳奈の問いかけに、

保奈美は二人が連れ去られた方をみて

「………諦めましょう」

と短く答えた。

「そんなぁ…」

友達を見捨てる保奈美のセリフに佳奈は訴えかけると

「もぅ、おそいわよ」

と言って佳奈の手を握るなり、

ダッシュで小屋から離れた。

広場で二人の裸族の男が他の裸族達と共に雄叫びを上げている様子を一目見て、

「和葉…一美…もぅ食べられちゃったのかな…」

佳奈が立ち止まると振り返りながらそう言った。

「二人のことは忘れて…さっ早く…」

佳奈が立ち止まっている保奈美の手を引くと

そのままジャングルの中へと消えていった。



裸族の集落を脱出してからどれくらい走っただろうか

無我夢中で走ってきた二人だったが

ようやく立ち止まると、

「ここまでくれば、大丈夫みたいね」

保奈美はついてきた佳奈に向かって言った。

「あたし、もぅだめ…動けない」

佳奈はそう言うとその場に倒れるようにして横になると

そのまま動かなくなってしまった。

「佳奈?」

保奈美は彼女の身体を揺すろうとして手を離した。

「寝てる…

 そうね、あたしも…疲れたわ…」

寝込んでしまった佳奈の姿を見て保奈美はそう言うと

佳奈に添い寝をするようにしてその場に横になるとそのまま寝てしまった。



ガサ…

「ん?」

保奈美が物音で目を覚ましたとき、

ジャングルは朝になっていた。

ガサ…

再び音がする。

保奈美はそっと近くの木からのぞき込むと、

少し離れたところで、

あの裸族達が辺りをうかがうようにして歩いていた。

「あいつら…

 もぅここまで…」

保奈美は物音を立てないようにして佳奈のところに行くと

「佳奈っ、佳奈っ、起きなさい」

と言って起こした。

「……おはよ〜っ」

佳奈が目ぼけ眼で起きると、

「寝ぼけてないで、ホラッあいつらが追ってきたわよ」

っと言うと、佳奈はハッと目を覚まし、

「うそ、もぅ?」

と驚いた顔をした。

「えぇ…そうよ、早く、逃げるわよ」

保奈美はそう言って佳奈の手を取り駆け出そうとしたとき、

オーオーオー

裸族達の声がジャングルに響いた。

「まさか」

振り向くと、一人の男が保奈美達を指さして声を上げていた。

「見つかった!!」

反射的に逃げ出す保奈美と佳奈、

その一方で、彼女たちを追う裸族。

しかし、

ジャンルの中を隈無く知り尽くしている裸族達にとっては、

逃げまどう保奈美と佳奈は狩りの練習にもならなかった。

こうして二人は呆気なく裸族に捕まってしまった。

「いやぁぁぁ」

保奈美が体を張って抵抗をすると、

何かの拍子で裸族が手にしていた槍を落としてしまった。

佳奈がとっさにそれを拾い上げると、

「えいっ」

と叫んで、裸族の頭を思いっきり殴った。

どさっ

動かなくなった裸族をみて

「死んだの?」

「知らない…とにかく早く」

二人は再びジャングルの中に消えていった。


倒れている仲間を見つけた他の裸族がさらに彼女らを追おうとしたとき

後からついてきた呪術士が制止した。

『呪いをかけておいた、

 あの二人はやがて我らの元へ戻ってくる。

 ここから先はおまえ達がいけ』

と言うと、二人の男に後を追うように命じた。

その二人とは、あの和葉と一美だった。


はぁはぁはぁ…

保奈美と佳奈はジャングルの中を走っていると

突然空間が開き、小さな泉が見えてきた。

「ねぇ、ちょっとここで一休みしよう」

佳奈が泉を指して言うと、

「そうねぇ、追って来ては居ないみたいだし」

保奈美が振り返りながら言う、

「もぅ、汗でべとべと」

佳奈がそういいながら制服を脱ぎ捨てると下着も取り、

裸で泉の中に飛び込んだ、

「ふぅぅぅぅぅ、気持ちいいわよ、保奈美も来なよ」

泉の中から佳奈が誘いの声をかける

「そうねぇ、じゃぁあたしも泳いじゃお」

保奈美も佳奈同様制服を脱ぎ、下着に手をかけたとき。

「ひっ」

っと声を上げた。

「どうしたの?」

佳奈が心配そうな声をかける。

「あぁぁぁぁぁぁぁ」

保奈美は思うように声が出なかった。

「ねぇどしたのよ」

泉から上がった佳奈が保奈美の前に立つと

「保奈美……」

佳奈も声を失った。

佳奈の目に映った保奈美の股間には小さな肉の棒が起立し下着を押し上げていた。

「保奈美…それって…」

佳奈が触ろうとしたとき

「だめ」

と言うと両手で股間を隠した。

しかし、

「その腕…」

佳奈が後ずさりしながら言って、

保奈美は自分の身体の異変が股間だけではないことに気づいた。

「そんなぁ」

ムリムリ…

彼女の肩や腕の筋肉が発達し始めていた。

「なんで、どうして」

保奈美は自分に起きているコトがわからなかった。

そのとき

「保奈美…」

と言う声がジャングルの奥から響いてきた。

「だれ?」

やがて二人の裸族の男達が姿を現した。

「佳奈、逃げて!!」

保奈美が佳奈に叫んだが、

「待って、あたしよ、和葉よ」

一人の裸族が保奈美達に言った。

「え?」

「あたしは、一美」

隣に立った裸族も続けて言う、

「え?」

保奈美と佳奈は混乱していた。

「こんな姿では信じられないかも知れないけどね…」

裸族はそういいながら近づいてきた。

「うそだ」

その様子を見て保奈美は声を上げたが、

「嘘じゃないわ、だって、保奈美、

 あなたもあたし達と同じ姿になっていっているじゃない」

と言って彼女の股間を指さした。

「ウバの人たちはあたし達を殺しはしないわ、

 ただ、あたし達に同じ姿になれ。って言っているのよ」

裸族になった和葉と一美が保奈美と佳奈に言った。

「信じられるか!!」

保奈美がそう叫ぶと、

「嘘じゃないわ、現に呪術者シシはあたしにそういったもの

 ねぇ…」

「そう、呪術者シシを信じなさい

 保奈美・佳奈、あなた達も素直にウバになりなさい」

二人の裸族は続けてそういった。

「さっ、佳奈っ、はやくここから行こう」

と保奈美は言うと再び制服を着ると、泉から立ち去った。

「どこまで願がれるか見守ってあげます。」

「ギブアップしたくなったらいつでも言ってね」

そういう裸族の言葉が保奈美のあとから追ってきた。



それ以降、ウバ族の追っ手は来なかった。

しかし、保奈美の男性化は徐々に進み、

彼女の股間には女性器を押し広げるように、

黒々としたペニスが顔を出して頭を擡げていた。

彼女の身体の変化は徐々に保奈美自身も変えてゆき、

小動物を見つけるとそれがトカゲであろうが虫であろうが、

生のままバリバリと食べるようになり、

食べた後の彼女の身体はムクムクと筋肉がついて行った。

そして、肌の色もウバ族達と同じ黒檀色へと変わり始めていた。


それから数日後…

「ねぇ、まだギブアップしないの…」

その言葉に気がつけば、

裸族と化した和葉と一美が立っていた。

「うるさいっ」

それを見た保奈美は怒鳴ったが、

「今日は、あなた達にいいものを持ってきたの」

「ほら」

と言って、二人が保奈美と佳奈に見せたのは

そう、二人が身につけているペニスケースだった。

「もぅ、その服もだいぶ窮屈でしょう?

 これをつけて楽になりなさい」

「気持ちが晴れ晴れするわよ」

二人は盛んに誘いをかけた。

しかし、

「だれが、つけるか、そんなの」

保奈美が再び怒鳴ると、

「恥ずかしいのね」

「じゃぁ、ここに置いておくから、気が向いたらつけなさい」

と言ってペニスケースを下に置くと、二人は姿を消した。

「誰が、つけるかっ」

そう言いながら、保奈美はペニスケースを地面にたたきつけようとしたが

なせが、そこから先の行動ができなかった。

「保奈美ぃ」

佳奈が心配そうな表情をする。

「いいのよ、無理しないで…

 あたし、それをつけた保奈美の姿を見てみたい」

と言う佳奈の台詞に

「畜生!!」

と保奈美が怒鳴ると、

「佳奈っ、悪いけど、来てもいいと言うまでここに来ないで」

と佳奈に指示した。

「わかったわ」

佳奈はそういうとその場を去った。

保奈美は佳奈の姿が消えるのを確認すると

しばしの間ペニスケースを眺めた後、

おもむろに制服を脱ぎ捨てると裸になった。

ブルン

大きく成長をしたペニスと共に陰嚢も保奈美の股間に垂れ下がった。

そして、自分のペニスにそれを被せようとしたとき

ドクン!!

保奈美は自分のペニスの付け根当たりから何かが溜まっている感触を感じた。

「なんだろう、この感覚」

胸の奥が締め付けられるような感覚に、

「はぁ…はぁ…」

と保奈美の呼吸は荒くなってきた。

保奈美はそっと自分のペニスに両手を添えると、

シュッ!!

っと一回扱いた。

ビクン!!

ムクムクムク!!

たちまちペニスは勃起をし始めるとたちまち黒い棍棒のような姿に変わってしまった。

「こっこれは」

勃起したペニスに保奈美は困惑すると、

「あっあぁ…我慢できない…」

と呟くと、

シュッシュッ

っと扱き始めた。

シュッシュッ

シュッシュッ

保奈美は腰を落として勃起したペニスを扱き続ける。

「あっあぁ…

 なに…
 
 オチンチンが、痺れて…
 
 あぁ、だめ出ちゃう
 
 出ちゃう!!」

譫言のように保奈美はそう言い続けた後、

「あぁぁぁ!!」

っと叫び声を上げた。

と同時に、

プシュッ!!!

大きく膨らんだ保奈美のペニスの先から白濁した精液が激しく吹き上げた。

「ねぇどんな感じなの?

 あっ」

そう言いながら佳奈が保奈美の所に戻ってきたのは、

保奈美が精液を吹き上げている最中のことだった。

「ダメッ

 あたしが呼ぶまでこないって約束だったでしょう?」

ドクドク!!

最後の一滴まで吐き出させようと

射精した自分のペニスを扱いていた保奈美が声を上げた。

「ごっゴメン…

 でも、保奈美も男の子になっちゃんだ」

佳奈はそう言って精液を吐き出し続ける保奈美をジッと眺めていた。

「みっ見るなぁ!!」

保奈美はそう叫ぶと佳奈に背中を見せる。

しかし、佳奈は保奈美に近づくと、

「ねぇ…保奈美…」

と囁くと、

「保奈美のコレつけるの、

 あたしにやらせて…」

とペニスケースを持ちながら囁いた。

「え?」

佳奈からの意外な申し出に保奈美が驚くと、

「保奈美のこと前々から好きだったの…

 だから、あたしの手で保奈美を裸族の勇者にしてあげたいのよ」

と言うと佳奈は片目を瞑った。

「佳奈…」

それを聞いた保奈美は佳奈と向き合った。

「好き…保奈美…」

佳奈は保奈美を見つめながらそう呟くと、

チュッ

っと唇を重ね合わせた。



「いーぃ?いくわよ」

ペニスケースを手にした佳奈がバツの悪そうな保奈美のペニスを握りしめると、

そう尋ねた。

「あぁ…」

保奈美は立ったまま佳奈と視線を合わせないように別の所を眺めていた。

「じゃぁ、行くね」

佳奈はそう言うと、

スススス…

っと保奈美のペニスにペニスケースを被せ始めた。

ゾゾゾゾゾ…

「うっ」

自分のペニスに被せられる感覚に保奈美は一瞬腰を引いたが、

しかし、佳奈はお構いなしにペニスケースを被せていった。

そして、ケースから伸びる紐で腰に固定すると、

佳奈の目の前には腰から角を生やした裸族の男がそびえ立っていた。

「うわぁぁぁ」

それを見て喜ぶ佳奈だったが、

しかし、保奈美にはある変化が起きていた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…

 何だろうこの感触は…」

保奈美の心は一線を越えた充足感に満たされていた。

こうして保奈美の身体の変化はこのペニスケースの着用で一気に進み、

身体どころか顔つきまで変わってしまい、

もぅ昔の美しかった彼女の面影なくなっていた。

そう保奈美の姿は

裸族であるウバの男達と寸分も違わないくらいにまで変わってしまっていた。

「もぅすぐだね」

「ほんと、もうすぐだ」

一美と和葉は裸族と化してしまった保奈美の見ながらそう言ていた。



長い間歩き続けた甲斐あってついに保奈美と佳奈は大きな川に出た。

保奈美は朽ちかけた小舟を見つけると、

「佳奈…あなたはコレに乗って逃げなさい」

と佳奈に言った。

「そんな、保奈美はどぅするの?」

彼女の言葉に驚いた香奈が聞き返すと、

「あたしは行けない」

保奈美は一歩下がってそう答えた。

「えっ、だって…」

佳奈がなおも食い下がると、

「仕方がない、もぅ身体になってしまっては、

 仮に戻るコトができても生活する事は出来ない…」

と保奈美が佳奈に言ったところで

「じゃぁ、戻る?」

と佳奈がささやいた。

「え?、どうして…」

佳奈の意外な台詞に保奈美が驚いていると、

「ふふふふふ」

佳奈は小さく笑うと、

自分のスカートをたくし上げて保奈美に見せた。

「佳奈…あんた…」

「昨日気がついたの…」

そうつぶやいた佳奈の股間に小さな膨らみが恥ずかしげに膨らんでいた。

「あたしも、もうすぐ保奈美みたいにウバ族の男になるわ…

 みんな、また一緒ね」

と言う佳奈の言葉に保奈美は小さく頷いた。



………………

パタン

本が閉じられると、

「うふふふ…

 和葉・一美・保奈美・佳奈…

 お似合いよその格好…

 この中で仲良くずっと裸族として生きなさいね…」

敏江は本の表紙を眺めながらそう呟いた。



おわり


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