風祭文庫・モラン変身の館






「ズールーの神様」

作・風祭玲

Vol.006






「ねぇ、お姉ちゃん…」

ボクは前を歩くお姉ちゃんに声を掛けた。

「なぁに?」

お姉ちゃんは振り返らずに聞き返してくると、

ボクは下を見ながら、

「ボクたち、ずっとこの姿で生きて行くしかないのかなぁ…」

と呟いた。

するとお姉ちゃんは、

「判らない…

 ただ、アイツなら知って居るんでしょう。

 あたし達のこれからコト…」

と言うとお姉ちゃんはボクたち前でふわふわ浮いている物体を指さした。

アレが僕たちの前に姿を現したのは…

…そうだ正君が

”アフリカのお土産”

と言ってくれた木彫りの置物をもらったのがそもそもの発端だった。



「へぇ…すごいねぇ」

分厚いアルバムにビッシリと貼られた写真を見ながら

ボクは感嘆の声を上げていた。

「うん、で、これが、キリンで

 これが、ライオン」

そのアルバムを友達の正君が得意そうに説明をする。

そう、正君は夏休みの間、

両親とアフリカ旅行に行ってきたので、

ボクは学校の帰りにその話を聞くために正君の家にお邪魔していた。

「そうだ、悠君にお土産があるんだ」

正君はボクにそう言うと、

一体の木彫りの人形を持ってくると、

「はいコレ、悠君に」

と言ってボクに差し出した。

「これ、なんなの?」

正君から手渡された人形を見てみると不思議な形をした人形だった。

「良く知らない、でも、買ったお父さんが言うには神様だという話だったよ」

ジュースを飲みながら正君が答える。

「ふ〜ん、そぅなんだ

 でもいいの?、コレもらっちゃって」

と訊ねると、

「いいよ、悠君にあげるために買ってきたんだから」

と正君は答えた。

「う〜ん、ありがとう…正君」

ボクは正君にそう礼を言うと

その人形をそのままランドセルの中へと押し込んだ。



家に帰ってから、正君にもらった木彫りの人形をしげしげと眺めてみると

実に変わった人形だった。

人のようで人でない…う〜ん、なんて表現したらいいのだろう?

不思議に思いながらもあっちこっち触った後に、

それを机の上において部屋を出ようとしたとき、

「…ぃ…おい」

突然ボクを呼び止める声が聞こえてきた。

「?」

不思議に思いながら声の元をたどっていくと、

それはあの木彫りの人形から声が聞こえていた。

「うわっ、なんだコイツ!!気味悪い!!」

ボクはそう叫ぶと

テッシュを2・3枚取るとおっかなびっくりその人形をつまみ

そして、窓を開けて人形を投げ捨てようとしたとき、

ピカーっ!!

人形から発せられたまばゆい光が部屋中に満ちた。

「なっなんだ…」

突然のことに驚いたが、

しかし、光はスグに小さくなると呆気なく消えてしまった。

「なんなんだ?」

呆気にとられながらふと窓の方を見ると

そこには手のひらに乗るくらいの奇妙な身なりをした小人が

フワフワと浮かんでいた。

小人はボクを見下ろしながら、

「お主か、ワシを目覚めさせたのは、礼を言うぞ」

と言うと、ひらりと机の上に舞い降りた。

「きっ、キミは…」

ようやく出すことが出来た声で小人に訊ねると、

「ワシか…ワシは…神じゃ」

と小人は自分を指さして自己紹介をした。

「神様…なんですか?」

信じられないような声でボクが聞き返すと、

「おぉそうじゃ、

 それにしてもお主、妙な姿形をしておるのぉ…

 ココはズールーではないのか?」

「ズールー?」

「そうじゃ、ズールーじゃ」

と言うと机の上から窓枠へと飛び移ると部屋の中を見渡した。

「ふぅ〜む、

 ズールーではないようじゃのぅ…」

そう残念そうに言うと

「それに寒いわ」

と言って神様は縮こまってしまった。

「変な神様…」

そう思いながらボクは神様を見下ろしていると、

「で、ココは何処なのじゃ?」

と神様はボクに聞いてきた。

「?、東京だよ」

僕が素っ気なく答えると、

「東京?」

神様は聞き返す。

「そぅ、日本の東京」

念を押すようにしてボクがそう言うと、

「果て、聞いたことがないのぅ」

と神様は首を傾げながら考え込んでしまった。

そんなやりとりをしばらくしていると、

「ただいまぁ〜っ」

っと言う女の人の声が廊下に響いた。

「あっお姉ちゃんが帰ってきた。」

その声にボクは思わず振り返ってしばらくすると、

トタトタ…

足音がぼくの部屋に近づいてくると、

ガチャッ!!

とドアが開いて、

「悠…いるのぉ?」

と言う声と共に紺のセーラー服姿のお姉ちゃんが部屋に入ってきた。

「むっ」

ズールーの神がお姉ちゃんに気づくと、

「女っ、ここは神が居る聖域じゃぞ、

 女がくるところではない。

 スグに立ち去れ!!」

と命令した。

「はぁ?」

お姉ちゃんは突然響いてきた聞こえた声にキョロキョロしたあと、

ボクの机の上にいる神様を見つけると、

「うわぁ〜なにコレ…」

と言ながら手を伸ばして神様に触ろうとしたとき、

パチン!!

神様の周囲に青いボールのような光の玉が覆うと、

お姉ちゃんの手をはじいた。

「…痛ったぁい」

出した手を引っ込めたお姉ちゃんは神様をにらみつけると、

「女がワシの身体に触ることはゆるさん」

神様はお姉ちゃんをにらみ返してそう言い放った。

「なによコイツ、チビのくせに生意気ね」

神様の態度にムッと来たお姉ちゃんはそう言うと、

ボクの机の上にあったノートを丸め、

パシッ!!

と一発、ズールーの神様の頭を叩いた。

「おっおねぇちゃん、

 そんなことをするとバチが当たるよ」

心配したボクがお姉ちゃんの手を止めてそう言ったが、

お姉ちゃんはあきれた顔をしながら、

「悠ね、こんなヘンなのを持ってきたのは…」

と言いながら僕の頭を小突いた。

「(イテテ)ヘンなのって…」

ボクが反論しようとすると、

「とにかく早く棄ててらっしゃい、

 こんな気味が悪いモノを持ってきて、

 お母さんに見つかって怒られるのはあたしなんだからね」

と言うともう一回神様を叩いた。

すると神様は

「無礼者め…」

お姉ちゃんをにらみ付けながら呟くと、

「そんなにワシに触りたいのなら

 それにふさわしい身体にしてくれる、

 ホレっ!!」

と何やら呪文を唱えると持っていた杖を仰ぐように振った。

っと同時に突然巻き起こった砂埃がお姉ちゃんを襲った。

「うわっぷっぷっぷ」

部屋の中が砂埃で充満する。

「なによこれぇ…」

お姉ちゃんが文句を言いながらセーラー服に付いた砂埃を叩こうとしたとき、

しゅるるるる〜っ

突然、お姉ちゃんが着ている制服のスカートの裾が

どんどんと腰に向かって上り始めた。

「キャッ、なによ、どうしたの?」

お姉ちゃんの悲鳴が部屋に響いた。

スカートの裾は見る見る腰のあたりまで上がると

瞬く間に一本の紐となって、

お姉ちゃんの腰を飾る腰紐になってしまった。

「いやぁ〜」

白いパンティが丸出しとなったお姉ちゃんがその場にしゃがみ込んだ。

しかも、短くなっていったのはスカートだけでは無かった。

しゅるるる…

制服の上着も裾が胸に向かって駆け上がり始め、

また、袖も袖口が腕を駆け上がる様に短くなっていった、

「やっやめて!!」

お姉ちゃんの悲鳴に近い声が響くなか、

制服の上着はまるで紺色の涎掛けのような姿になったあと、

ブラジャーやスカーフと共に

赤や青色のトンボ球で出来た3本の飾り紐に変化してお姉ちゃんの胸元を飾った。

「なにこれぇ〜っ」

トンボ球の飾り紐とパンティ一枚だけの姿をさらけ出したお姉ちゃんは

両手で胸と股間を隠すが、

しかし、お姉ちゃんの変化はそれだけではなかった。

プクっとパンティに小さな膨らみが現れると、

まるでキノコが成長するようにどんどんと大きくなって、

やがてパンティを突き破るかの如く逞しく勃起した姿で股間に勇姿を見せた。

その膨らみが男のオチンチンであることはボクにはわかった。

「おっ、お姉ちゃん…」

「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

お姉ちゃんはその肉の棒を手で抑えながら唸り声を上げる。

ボクは神様を見ると、

「お願い、お姉ちゃんを男にしないで」

と懇願したが、神様はお姉ちゃんを見ているだけで何も言わなかった。

やがて生えたオチンチンの勢いに押され、

はち切れそうになったパンティが突如オチンチンに巻き付いてしまうと、

固い殻となってオチンチンを覆い隠してヌーっと伸び、

立派なペニスケースとなって聳え立った。

「あ・あ・あ…」

股から突き上げる一本の角のようなペニスケースにお姉ちゃんが驚いていると、

ムキムキムキ!!!

今度はお姉ちゃんの体中から筋肉が盛り上がり始めた。

ボインとは言い切れないけど

でもそこそこのボリュームがあるオッパイが空気が抜けていく様に萎んでしまうと

それに入れ替わるようにして胸板が盛り上がり始め、

色白だった肌は褐色から焦げ茶色に…

さらに炭のような黒檀色へと変化して行き、

また自慢だった髪の毛がまるで木の葉が舞い落ちるように抜け落ちると、

お姉ちゃんの頭は黒い肌の坊主頭になった。

黒光りした裸体を見せているお姉ちゃんの身体の変化はさらに続き、

肩幅とウエストがグイグイと広がる一方でヒップは小さく萎むように小さくなり、

お尻の両側にへこみが出来る。

また手足がグングンと伸びていくと、

身体もそれに合わせて大きくなっていった。

最後に、頭の上に鳥の羽で出来た頭飾りが現れると、

体中に幾何学模様の入れ墨が次々と浮き上がってお姉ちゃんの変身は終わったのであった。



「…うむ、立派な勇者じゃ、

 そのウルカを身につけた身体ならワシに触れるコトを許す」

と机の上のズールーの神様がお姉ちゃんを満足そうに見下ろして言うと、

ボクの前には黒光りした肌、

長い手足に逞しく盛りあがった筋肉…

そして股間にそびえ立つペニスケース・ウルカと共に…

胸元を飾るトンボ球の首飾りと鳥の羽根で飾った坊主頭…

まさに、アフリカの乾いた大地で裸の生活をしている

ズールー族の勇者になったお姉ちゃんの姿があった。



「いやぁ〜なによこれぇ」

自分のすっかり変わってしまった姿にお姉ちゃんが悲鳴をあげた。

「さぁ、勇者よワシに勇者の証を見せて見ろ」

ズールーの神様がお姉ちゃんにそう言うと、

「あっ」

お姉ちゃんの手がピクンと動くと、

スススス…

とウルカがある股間に移動し、

そして、ウルカを外すと、

中から飛び出した真っ黒なオチンチンを扱き始めた。

「なっ何をしているの?」

お姉ちゃんの行動にボクが恐る恐る訊ねると、

「決まっておるだろう、

 ワシに目通りするときにはこうして勇者の精を出さなければならないのだ」

と神様はボクに説明した。

「勇者の精?」

ボクには一瞬何のことだか判らなかった。

しかし、

シュッシュッ

シュッシュッ

まるで棍棒のような大きさのオチンチンを扱くお姉ちゃんの姿を見て、

「あっ…あのことか…」

とボクは覚えたばかりのオナニーのコトに気づき、

「そんな…神様…

 お姉ちゃんにそんな酷いことをさせないで」

と懇願したけど、

しかし、神様はボクの話には耳を貸さなかった。

シュッシュッ

シュッシュッ

お姉ちゃんはひたすら黒いオチンチンを扱き続けた。

「ねぇお姉ちゃん、そんなこと止めようよ」

耐えきれなくなってボクはお姉ちゃんにそう言ったが、

お姉ちゃんは口をパクパクさせながら、

「あっ…あぁ出ちゃう…

 悠…あたし…出ちゃう」

と譫言のように繰り返していた。

そして、

「あぅぅぅぅぅ!!!」

と言う雄叫びと同時にお姉ちゃんは腰を激しく振ると、

ブシュッ!!

っとオチンチンから白い液体を吹き上げてしまった。

「お姉ちゃん…」

ボクは呆気にとられていたが、

「ハァハァ」

お姉ちゃんは荒い息をしながらオチンチンを扱き続けていた。

「かっ神様ぁ〜お姉ちゃんを元に戻してよ」

ボクはズールーの神に懇願したけど、

「何を言っておる、コレがワシに対する礼儀じゃっ」

とピュッピュッと液体を吐き続けているお姉ちゃんを見ながら平然と答えた。

「あぁ…あたし出しちゃった。

 オトコのオナニーをしちゃった

 あぁん、こんな姿じゃぁデートに行けないよぉ」

オチンチンを握りながらあの気丈なお姉ちゃんがついに泣き出してしまうと、

それを見た僕は

「神様、お願いです。

 お姉ちゃんがこんな姿になっては、

 もぅココでは生きていけない、

 だからから…」

と縋るように訴えた。

すると、

「なんじゃ、小僧、ワシに文句があるのかっ

 ならばホレッ」

と言うと、お姉ちゃんを襲った砂埃が今度はボクを襲った。

「うわっ」

埃が静まると、妙に肌寒い…

恐る恐る自分の身体を見てみると、

真っ黒な腕、裸の身体、そして、股間のペニスケース、

いつの間にかボクもお姉ちゃんと同じ身体になっていた。



「お姉ちゃんっ」

「悠!!」

裸族となったボクとお姉ちゃんはお互い見つめ合うとヒシッと抱き合った。

そして、ズールーの神様は机の上からふわりと浮き上がると僕たちの傍に寄るなり、

「ココは何かと不便そうじゃっ、

 ズールーの地へ行くぞ」

と言った途端、強烈な光がボクたちを包み込んだ…



風が顔に当たるのを感じてうっすらと目を開けると、

ボクたちの目の前には荒涼とした大地が広がっていた…

「いくぞ、ズールーの地はすぐそこじゃ」

ズールーの神の声がする。

ボクとお姉ちゃんはよろよろと腰を上げると、

神様の後に付いていった。

「ココがこれから僕達が暮らしていくところなの?」

僕は心の中で神様に尋ねていた。



おわり