風祭文庫・モラン変身の館






「モランの魂」
第1話:月夜


作・風祭玲

Vol.541





『よぉ、どうだ?

 今日、飲み会があるんだけど来るだろう?』

『いや…

 今日はちょっと…』

『なんだよっ

 付き合い悪いなぁ
 
 帰りが遅いと奥さんが文句を言うのか』

『そう言う訳ではないけど…』

『じゃぁ良いじゃないかよ』

『そうだよっ

 やっと、このプロジェクトが終わったんだ、
 
 ちょっとぐらい息抜きをしたって誰も怒りはしないよ』

『はぁ…』

・
・
・

「ふぅ…」

週末の宵の口、

職場の同僚達との打ち上げの飲み会に誘われた僕は、

断る事も出来ずに2次会までつき合わされ、

やっとの思いで帰途につくことが出来た。

そして、同じ様な酔っ払いや、

残業で疲れきったサラリーマンとたちともに

駅頭に立った僕はまっすぐ自宅へと足を向ける。

コツリ

コツリ

街灯だけが照らし出す夜道を僕は乱れたネクタイを直しながら進み、

程なくして妻の時恵が待つマンションのシルエットが見えてくると、

「時恵の奴、

 アレ、見てないだろうなぁ…」

とマンションの背後より煌煌と照らす月・満月を見上げながらそう呟やく。

「なんか、

 急いだ方が良いかも…」

胸の底からわき上がってくる胸騒ぎがさらに僕の足を急がせ、

そして、それから数分後、

やっとの思いで自宅の玄関先に立った途端、

フワッ

周囲に漂うかすかな臭いが鼻につき、

「うっ

 これは…
 
 まさか…」

その臭いに僕が手で鼻を覆うとすぐに、

ムクッ!!

僕の胸で何がが盛り上がる感触が伝わり、

両胸の左右それぞれの一点が膨れだした。

「おっおいっ」

ムリムリムリ!!

膨れていく2つのポイントに僕は驚くと、

ビクンっ!

スグに膨れるポイントが着ていたシャツにこすれ、

それと同時に身体に電撃のような快感が走った。

「あんっ」

反射的に僕は喘ぐような声を漏らすと、

慌てて口をつぐむ。

「いまの…

 だっ誰も聞かれていないよな…」

つぐんだ口を押さえつつ僕は左右を見渡し、

そして、誰も居ない事を確認すると、

そっと、ドアノブへと手を伸ばし、

カチャッ!

「ただいまぁ…」

周囲を警戒しながら僕はドアを開け、

逃げ込むように部屋の中へと入っていった。

すると、

ムッ!

帰宅した僕を出迎えてくれたのはさらに強烈な異臭だった。

「うっ…」

部屋の中を充満している土の臭いと汗の臭いが入り混じった臭いに反応してか、

ドクンッ!!

僕の心臓が高鳴った。

「あぁやっぱり…」

自分の身体で起きている変化と、

この立ちこめる臭いに僕は確信すると、

「時恵ぇっ、

 月を見たのか!!」

と声をあげた。

すると、

「ごっごめんなさいっ

 正之さん」

の声と共に

ヌッ!

部屋の奥より筋骨逞しい漆黒の肌とそれを覆う朱染めの布・シュカ、

そして、手首や胸元に飾る猛々しいアクセサリーを身につけた、

そう、サバンナの勇者・モランが姿を見せた。

「はぁ…」

赤茶けた髪を束ねるモランの姿に僕は思わず頭に手を置くと、

「だぁって、

 正之さんが遅いのが悪いのよ
 
 早く帰ってこないから」

と僕を非難するかのようにモランは文句を言い、

プイと横を向く。

「だから電話したろう。

 遅くなるって…

 第一、何で月を見たんだよっ
 
 月の力はお前に注がれたモランの魂を活性化させることは知っているだろう」

首一つ背の高いモランを見上げながら僕はそう言い返すと、

「だって、仕方が無いじゃないっ

 いつ帰ってくるか不安で仕方が無かったんだからっ」

と文句を言いながら口をにごらせる。

そして、

ブラン…

彼が着ている朱染めのシュカの裾より

まるで象の鼻のように顔を出している

長さ30cm近くはあると思われるペニスを横目で見ながら、

「はぁ

 萎えている状態でもその大きさか…」

と僕はため息をつくと、

「うん…

 また大きくなっちゃったみたい…」

モランはすまさなそうな表情をした。

「ちょっと、待ってろ

 いま支度するから」

そんなモランに向かって僕はそう言うと、

着ていたスーツの上着を脱ぎながら部屋へと向かう。



カタン、シュルリ…

スーツを脱ぎ、

そして、Yシャツを脱ぐと、

プルンッ!!

僕の胸より2つの膨らみが姿を見せ、

ツンとした突起の影を下着のシャツに作り上げていた。

「はぁ…

 もぅこんなになっているか」

その影を見ながら僕はそういうと、

「あっあのっ

 正之さん…」

と僕の背後よりモランが声をかけてくる。

「ん?

 どうした?」

その声に僕は返事をしながら振り向くと、

ビクンッ!!

モランは股間より聳え立つペニスを握り締めながらモジモジしていた。

「なんだ、

 もぅ少しまて、
 
 まだこっちの変身は終わってないよ」

膨らみ続ける胸を指差しながら僕はそういうと、

「うっ…うん…

 でも、こっちも爆発しそうなのよ。
 
 ほらっ
 
 ここんところ、ずっと変身してなかったら」

とモランは言い訳をし、

シュッシュッ

そのペニスを扱きはじめだした。

「おっおいっ

 とにかくあと30分待て、
 
 じゃないと、お前のチンポを入れることは出来ないからな」

そんなモランに向かって俺はそういうと、

ガバッ!!

下着のシャツを脱ぎ、上半身を露にした。

すると、

こげ茶色に染まりつつある肌と、

さっきよりもボリュームを増した乳房、

そして、スルリと柔らかな表情を見せるウェストが姿を見せた。

「まっ正之さん…

 ハァハァ
 
 ハァハァ」

そんな僕の姿にモランは欲情したのか、

まるであの巨大ペニスは勃起してまるでバットのような姿となり

己を挿入される肉壺を捜し求める。

「まだ我慢しろよ、

 お前が先に出されると、
 
 今度は僕が戻れなくなるからな」

シュッシュッ

シュッシュッ

極太ペニスを扱くモランに向かって僕はそう言い聞かせると、

自分の股間へと手を滑らせた。

すると、

クチュッ!

帰宅するまではあった僕のペニスは姿を消し、

変わりに縦に開いた口が涎のような愛液を流しここに来るものを待っている。

「もぅ少しか…」

愛液ですっかり濡れてしまっている陰裂を指で撫でながら僕はそう判断すると、

バッ!

ズボンを下ろして全裸になると、

クロゼットに仕舞っておいたシュカを腰に巻き、

パサッ、

首に大きな円盤状のアクセサリを着け始める。

すると、

モヤ…

僕の胸の奥にモヤモヤしたものが湧き上がり、

やがてそれは男…いや、オスの体液を求めるメスの欲望へと変化していった。

そして、約30分が過ぎたとき、

クニッ

「ふふっ

 お待たせ、
 
 さぁ、モランっ、
 
 あたしの準備はいいわっ
 
 あなたの中で雄叫びをあげているモランの魂、
 
 あたしの胎内にすべて出すのよ…」

髪がすべて抜け落ちた坊主頭、

ボールのように膨らんだ乳房、

漆黒の肌を輝かせるマサイの踊り子に変身してしまった僕は、

スー…

指で顔に朱を入れると、

腰を振り、色気を振りまきながらペニスを扱き待っているモランを誘う。

すると、

「ふぅふぅ

 ふぅふぅ」

すでにモランは限界に達しているらしく、

まさに獣の目で僕を見据えると、

一気に飛び掛り僕を押し倒した。

「あぁ

 いいよっ
 
 そうだ、
 
 時恵っ
 
 お前のそのぶっといチンポ…頂戴…」

膨らみきった乳房を吸われ、

そして、股間を指で迫られている僕は喘ぎ声をあげながら、

黒く輝く身体をくねらせ、そして強請った。

すると、

ヌプッ!

それに応えるかのように大きく広げた股間の口より

硬く巨大な異物が身体の中に入り込んできた。

「あんっ

 あぁ…」

坊主頭を振り乱しながら僕は異物を飲み込んでいくと、

「ふっ

 ふっ」

モランは腰を降り始める、

そして、身体の中をかき回されるようなその感覚に翻弄されながらも、

「あぁん…

 そうよ、
 
 時恵…サバンナで無理やり注ぎ込まれたモランの魂…
 
 あたしが全部飲み込んであげるわ。
 
 さぁ、出て!!
 
 絞りきるくらいにあたしの中に注ぐのよ」

身体の中で暴れる時恵のペニスの感覚を感じつつ、

「もっもっとぉ

 あぁん
 
 いっいぃ!!!」

踊り子というより一匹のメスと化すと、

モラン…いや、妻の時恵にしがみつく。

そして、半年前のあの日

「サバンナの動物を見たい」

という時恵の望みで僕達は新婚旅行先としてサバンナを選び、

その旅行の際に訪れたとあるマサイ村に踏み入れた日のことを思い出した。



「なんだ、それは?」

「え?」

チャラ…

マサイ村の中を散策していた時恵の右耳に

三角形の光るアクセサリーがついていることに僕が指摘をすると、

「ん?

 あぁ
 
 あの子にもらったのよ」

と時恵は無邪気そうにそう返事をし、

村はずれにるブッシュの影より僕達を覗き見る一人のマサイの少年を指差す。

「あの子に?」

年は10代半ばに見えるちょっと内気そうな少年の姿を僕は見ると、

サッ

僕の視線に気がついたのか少年はブッシュの影に隠れ、

その少年と代わるようにして、

数人のマサイの戦士・モランが姿を見せると、

僕たちを指さしなにか談義をし始めた。

「?

 なんだ…

 あいつら…」

朱染めのシュカを腰に巻いただけの姿のモランを横目に見ながら僕は呟くが、

しかし、彼らの視線が時恵へと向いていることに気づくと、

「時恵っ

 そんなものもらったからと言って

 いきなりつける奴があるか、

 はずして返して来い」

と時恵に向かってそう言うが、

「えぇ!!」

僕の言葉に時恵は驚いた顔をした後、

「なんでぇ?」

と聞き返してきた。

「なんでもだ、

 ほらっさっさと外せ」

ある種の嫌悪感を感じながら

僕は彼女の耳についているアクセサリーを引っ張るが、

しかし、

「いっ痛い

 痛いよ」

時恵は悲鳴を上げ僕の手を阻止した。

「何だ外せないのか?」

「うっうんっ

 外せないみたい」

「何やっているんだよ」

「でも、付けるときは簡単についたんだよ

 う〜ん、どうなっているのかな…」

僕の手を離させた時恵はそう言いながら盛んにアクセサリーを弄ってみせるが、

しかし、アクセサリーはしっかりと時恵の耳たぶのホールに填まり込んでいるらしく、

容易には外すことが出来ないみたいだった。

「仕方が無いなっ

 さっ行くぞ」

アクセサリーを外すのを諦めた僕は時恵の手を引くと、

「あんっ

 なに、そんなに急いでいるのよ

 まだ時間はあるじゃない」

時恵は口を尖らせながら僕に向かって文句を言うが、

「何を言っているんだ、

 時間が無いんだよっ」

腕時計を指差し僕は怒鳴る。

すると、時恵の顔が一瞬ゆがむと、

「あっ妬いているんだ」

と指摘してきた。

「うるさいっ」

時恵の言葉に僕は思いっきり怒鳴ると、

「むっ」

時恵はプッとむくれた。

別に時恵に怒る理由は無かった。

とにかくいま、

このマサイ村から離れたかったのだ。

悪寒を伴った不安を抱いたまま僕と時恵は村を出ようとしたとき、

「あっ」

小さく時恵は声を上げると、

スルリ…

握っていた僕の手を離した。

「時恵?」

時恵の手が離れたことに僕が気がつくと、

スッ

時恵は僕が向かっていた方向とは違う方向へと歩き出していく所だった。

「あっ

 おいっ
 
 時恵っ」

脇目もふらずに早歩きで歩いていく時恵に向かって僕は怒鳴るが、

いくら叫んでも時恵には僕の声は届いていない様子だった。

そして、さっきあのモラン達がいたブッシュへ向かって歩いていく時恵の姿に

「くそっ」

僕は舌打ちをしながら追いかけ、

やがて追いかけながらブッシュの近くに来たときに

ザザザザ…

時恵の前に一人、

また一人とあのモランが姿を見せると、

瞬く間に8人のモランが姿を見せ、

そのまま僕と時恵を取り囲む。

「マサイ…」

僕達を取り囲むマサイ達を見ながら僕がそう呟くと、

「(ハッ)え?

 あっあれ?」

時恵は何かに気づいたような顔をした後、

キョロキョロと周囲を見渡した。

そして、自分の周りにモランの戦士達が取り囲んでいることに気づくと、

「まっ正之さん!!」

怯えながら叫び声を上げる。

「なっなんだよっ、お前達!!」

怯える時恵を庇いつつモランに向かって怒鳴り返すと、

スッ

一人のモランが歩み出ると僕の前に立った。

『(むっ)何か用か?』

目の前に立つモランに僕はむっとしながらも英語で尋ねると、

『この者…

 我らの訴えに選ばれたものなり』

とモランは時恵を指差しつつそう僕に告げる。

『なんだと?』

『そう、その者は選ばれた…』
 
『選ばれたってどういうことだ?』

モランの言葉に僕は困惑しながら聞き返すと、

「!!っ

 まさかっ」

僕は時恵の耳についているアクセサリーのことを思い出すと

同時に時恵の方を振り返る。

すると、

キラッ

時恵の耳につけられたままのアクセサリーは陽の光を反射し、

まばゆく光り輝いた。

「え?

 なっなに?
 
 正之さんっ
 
 モランはなんて言っているの?」

アクセサリーを輝かせながらモランの言葉の意味が判らない時恵は僕に尋ねると、

「時恵…

 逃げるぞ!!」

時恵に向かって僕はそう叫び、

そして、取り囲むモランの隙を付いて飛び出そうとした。

しかし、モランの脇をすり抜けたと思ったものの、

僕の行動はモランには筒抜けだったらしく、

グイッ!

いきなり腕を捕まれると、

『お前、

 私たちの邪魔をするなっ』

の声と共に強烈な衝撃が僕の頭を襲い、

「正之さぁん!」

時恵の悲鳴を聞きながら僕は気を失ってしまった。



どれくらい時間が経っただろうか、

「うっ

 いてて…」

痛む頭をさすりながら気が付いた僕が起きあがると、

あたりは夕焼けとなり、

地平線には夕日がかかっていた。

「ゆっ夕方か?」

その光景を見ながら僕は呟くと

「正之さんっ」

時恵の声が響く、

「時恵っ」

その声に僕は振り向いて飛び上がろうとしたとき、

ガシッ

いきなり強い力で身体を押さえつけられ、

そのまま地面に突っ伏せられてしまった。

「なっなにしやがる」

赤い砂埃を噴きあげながら僕は怒鳴ると、

ザッ

僕の前に黒い二本の脚が並び、

『お前はこれから我らの儀式の傍観者として見届けるのだ』

とあのモランの声が響いた。

『儀式?

 おいっ
 
 儀式って何だ
 
 時恵に何をする気だ』

組み伏せられている僕は思いっきり怒鳴りながら顔を上げると、

10mほど離れたところで聳えているバオバブの巨木の下に牛皮が広げられ、

その上に四方を4人のモラン達によって固められていた時恵が座り、

バオバブの木の背後には半月が夕焼けの空に掛かっていた。

「時恵っ」

「正之さぁん」

時恵自身は束縛らしきことはされていないものの、

しかし、彼女がその場から走って逃げ出す隙はどこにも無かった。

「待っていろ、

 いま助けてやる」

泣き出しそうな声を上げる時恵に僕はそう言って聞かせるが、

しかし、ガッシリと組み伏せられているらしく、

押しても引いてもびくともしなかった。

「くっそぉ」

どうすることも出来ない現状に臍をかんでいると、

『その者…

 選ばれし者なり。
 
 それ故、儀式を行う』
 
とさっき僕の質問に答えなかったモランが言葉短く告げる。

『おいっ、

 その選ばれし者って一体なんだ。
 
 時恵が何をしたっていうんだよ』

『その者は選ばれたのだ。

 お前に話すことはもぅない。

 ただし、
 
 儀式の傍観者として見届けよ』

抗議する僕にとモランはそう言うと、

スッ

僕に向かって指を伸ばし、

ピチッ!!

っと僕の眉間を指で弾いた。

その瞬間。

「あっ」

ビシッ!!

まるで金縛りに遭ったかのように体が硬直をし、

その姿勢のまま固まってしまった。

「正之さんっ!!」

僕の異変に時恵が僕の名前を呼ぶが、

しかし、彼女の声に応えることは僕には出来なかった。

『お前は動けない。

 語れない。
 
 見るだけ。
 
 聞くだけだ』

固まっている僕に向かってモランはそう告げ、

きびすを返すと時恵に向かって歩いていく。

そして、バオバブの木を背後にして立つと、

スッ

おもむろに手を上げた。

すると、それを合図に

「やだ、やめて!!」

叫び声をあげる時恵は二人のモランによって担がれ、

そして、僕を固めたモランの前に膝を折る形で座らされる。

「ちょっとぉ

 正之さんに何をしたのよっ
 
 さっさと戻しなさいよ」

仁王立ちになっているモランに臆することなく、

時恵は怒鳴ると、

ジロッ

モランは返事をせずに時恵を見下ろし、

『何者にも臆することの無い気高い闘争心…

 モランにとって大事なもの…
 
 お前はモランになる素質は十分にある。

 よって、お前にモランの身体を与える。
 
 さぁ、そのか弱い肉体ではなく、
 
 強く、強靭な肉体を得、
 
 そして、我らと共に行こうぞ』

と告げた。

”なに言っているんだ?

 コイツは…
 
 時恵をどうしようと…”

モランの言葉に僕は訝しがっていると、

グイッ!!

時恵を座らせた二人のモランの腕に力が入り、

彼女が暴れないように固定する。

「痛い、

 なにをするのよっ」

強く握られた痛みからか、

時恵は悲鳴を上げていると、

スッ

バオバブを背にしているモランが時恵に近づき、

チャラッ…

自分が首に下げているトンボ玉で出来た首飾りを1つ外すと、

時恵の首に掛けさせる。

そして、

「なにこれっ」

自分の胸元で光る首飾りに時恵は文句を言っていると、

別のモランが近づき、

時恵の両頬と額に赤土で3本の筋をつけた。

”何をやっているんだ、

 あいつら…”

時恵に施されていく様子を僕はじっと見つめていると、

サッ!!

『・・・・・・・!!!』

突然、時恵の前に立つモランが雄たけびを上げ、

『・・・・・・・っ!!』

『・・・・・・・っ!!』

他のマサイ達も声をあげると歌いはじめだした。

そして、歌にあわせて、

タッ

タッ

っと次々とマサイジャンプを始めだす。

”おっおいっ!”

モラン達によるジャンプの舞に僕は驚いていると、

ィーーーン…

時恵の耳に付けられていたアクセサリーが音を響かせ始め、

そして、ポゥ…

今度は胸に下げられた首飾りが仄かに光り始めた。

「なっ

 なによっ
 
 なによっ
 
 一体!!」

自分のすぐ横で飛び跳ねるモラン達に時恵は臆すると、

マサイジャンプを繰り返していた正面のモランはジャンプをするのをやめ、

息を乱すことなく時恵を見下ろす。

すると、

チャッ!!

槍を手に取り、

その槍の先で時恵の周囲になにやら文様を描いていくと、

ムクムクムク!!

モランの股間が見る見る膨らみ、

彼が着ているシュカを下より持ち上げ始めた。

すると、モランは体に巻きつけているシュカの裾を捲り上げると、

『時は来た。

 いまよりお前にモランの魂を授けるため、ナクチャの秘術を掛ける。

 さぁ、これを銜えるんだ』

と命じながらその中より飛び出した漆黒のペニスを

時恵に向かって突き出した。

”なっ

 なんだ!”

その光景に僕は唖然としていると、

「やっ

 いやっ」
 
目の前に迫るペニスに時恵は顔を背け悲鳴を上げる。

すると、

『銜えろ』

モランはそう命じながら、

時恵の硬く閉じた唇にペニスの先を当てる。

「くっ」

ペニスを押し付けられてもなおも頑として時恵は口を閉じていると、

時恵の両側に居るモランたちは共にうなづいた後、

ガシッ

お互いに時恵の顔に手を添え

そして正面へと向けさせた。

”やめろ!”

俺はモランに向かって動かすことの出来ない口で怒鳴るが、

無論、それは声にはならず、

モランにも時恵にも聞こえることはなかった。

すると、時恵にペニスを押し付けているモランは俺を一目見たのち、

時恵の髪をつかみ、

『さぁ、銜えるんだ!!』

と強い調子で命令をした。

”やめろ、

 やめるんだ。

 くそっ”

ガシッ

モランに掛けられた怪しげな術のせいで身体が動けなくなっていながらも、

僕は必死で抵抗を試みる。

すると、

「いっ

 いやぁぁ!!
 
 助けて!
 
 正之さぁん」

我慢しきれなくなったのか、

時恵が叫び声を上げると、

ズボッ!

開いた時恵の口にモランのペニスが無理矢理押し込まれてしまった。

「うごぉぉぉ!!」

”時恵っ!”

口をいっぱいに開かされ時恵は目を剥くが、

『○○○〜っ』

そんな時恵を余所に他のモラン達は一斉に歌い始めると、

それをリズムに次々とジャンプをはじめ、

そして、時恵を犯すモランは彼女の顔に腰を打ち付けはじめた。

「うごっ

 うごっ
 
 うごっ」

口よりヌラヌラ光るペニスを伸ばし縮めながら、

時恵は目を剥くと、

『さぁ、

 お前にモランの魂を授ける、
 
 受け取るがいい』

モランはそう叫びながら腰を細かく動かし、

そして、時恵の喉奥深くにペニスを打ち込んだとき、

「うごっ!」

時恵の目が一際大きく見開く、

”時恵っ!”

その光景に僕は声にならない声を叫び、

そして、

トロ…

時恵の口の隙間より白濁した粘液が糸を引きながらゆっくりと下がっていった。

”あっ

 あいつ、時恵に…”

たったいま時恵を犯していたモランは

彼女の喉奥深くに精液を放ったことを僕は直視すると、

”このっ”

僕は力の限りを使って動こうとする。

すると、

徐々にだが身体が動き始め、

そして、

「とっ時恵ぇぇっ」

僕の口から声が漏れはじめだした。

『お前、

 我々の拘束を自力で解いたのか

 だが、これ以上暴れるな、

 おとなしくしろ、

 これは儀式だ』

もがき、そして少し身体が動き始めた僕にモランは気づくと、

「(うぐっ)

 こっこっこれが儀式だって、

 ふっふざけるなっ

 おっお前たちは僕のとっ時恵をなぶろうとしているだけじゃないか」

と不自由な言葉遣いで言い返す

すると、

『うるさいぞ

 神聖な儀式を妨害するもの

 モランは許さない。

 生きていたければじっと見ているんだ。

 おまえはこの儀式を見届ける義務がある』

と時恵の前に立つモランは僕にいう。

「なっ

 なんだとぉ

 いい加減に…」

モランの言葉に俺が切れかかったとき、

「やめて…」

僕に向かって時恵が弱々しい声で制した、

「時恵っ

 待っていろ、いまおまえを助けてやる」

時恵に向かって俺はそう言うと再び体に力を込めた。

すると

「正之さんやめて、

 抵抗をしたら殺されてしまうわ」

と時恵は口から粘液を滴らせながら俺に向かって言う。

「だって、時恵っ」

時恵の声に俺はそう返そうとしたとき、

くっ

何か覚悟を決めたような目を時恵がすると、

すっ

彼女の白い手が動き、

そして、

今しがた射精をしたばかりのモランのペニスを握りしめた。

「時恵っなにを!!」

突然の時恵の行為に僕は間を丸くすると、

時恵は僕の視線を感じながらも

ゆっくりと顔をモランのペニスへと近づけ、

そして、閉じていた口を再び開いた。

「ややめろ、

 やめるんだ、

 時恵っ!

 そんな奴のチンコをまたくわえるんじゃないっ」

僕の目の前で時恵ががしようとしていることを

止めさせようとして僕は怒鳴るが、

しかし、時恵は俺の方をちらりと見ると、

「ごめんなさい…」

と告げるなり、

モランのどす黒い亀頭をその口の中にまた飲み込もうとした。



つづく