風祭文庫・モラン変身の館






「姉妹」
(第3話:試練)


作・風祭玲

Vol.395





チリンチリン…

足につけた鈴の音を響かせながらモラン・シリンを先頭に

シカフ、ククル、カフ、奈津美(マサイ名:ツン)

そして殿を務めるモラン・ケルヤの5人は長とシンに見送られ、

シンバの姿を求めてサバンナへと歩み出た。

村を出た奈津美たちマサイの少年達の手には各々シンより手渡された槍と、

そして、右の耳タブには銀色に光るイヤリングが填められていた。

これもシンの仕業で日の光を受けキラリと光るイヤリングは魔よけの呪いが施され、

長いたびに出向く奈津美たちの無病息災を祈ったものだった、



『いよいよだなぁ、このときを待っていたよ』

『あぁ俺たちもモランになれるんだ』

『はやくシンバを倒してココにモランの飾りをつけてみたよ』

奈津美と同じ年齢組になるシカフ・ククル・カフの3人は

シンバの狩に期待を膨らませて興奮気味にそう言い合うが、

ズキン!

「うっ」

右耳に穴をあけられ、

そして小指の先ほどもある大きさのイヤリングを無理やり填められてしまった奈津美は

その痛みをこらえながら、

村に残してきた妹・久美のことを考えていた。

そして、隊列の殿を務めるモラン・ケルヤは

なぜか先頭を歩くシリンを苦々しく見つめていた。



カッ!!

村を出て半日以上が過ぎ、

村のある谷間からサバンナの大地に踊り出た奈津美達に頭上から太陽は容赦なく照りつける。

奈津美にとっては日本では味わったことのない激烈な暑さだ。

その暑さのためにサバンナからは暑さに弱い小動物の姿は消え、

暑さに耐性のある大型の動物と空を飛ぶ鳥しか姿を見ることは出来なかった。

『ふぅ…きついなぁ』

普段から暑さに慣れているマサイと言えども、

髪を失っているシカフ達にとっては応えるものだったが、

『よっ』

ククルは器用に顔飾りを使って暑さをしのごうとするが、

どれも決定打にはなれず四苦八苦する。

でも、そんな中でも奈津美はただ黙って歩いていた。

無論、奈津美もこの暑さと日射は相当応えるものになっていたが、

それにも構わずに歩きつづけた。

すると、シカフ達の様子を見かねたケルヤが、

『おいっ、

 お前ら、ツンを見習え』

と黙黙と歩きつづける奈津美を指差し注意をする。

『なんだよ』

『ツンの奴、点数稼ぎをしているな』

『いやな奴』

シカフ達は注意された矛先を奈津美に向けると、

口々にそう囁きあう。

こうして、歩き尽くめの一日が過ぎ、

夕方、目的地のブッシュに到着をすると、

ザンッ

まず最初にシリンが手にしていた槍を突き刺し、

すると、それを真似てシカフ達、

そして奈津美が続いて突き刺すと、

最後に締めくくるようにケルヤが槍を突き刺した。

『ふぅ』

綺麗な円形に突き刺さった槍を見て、

『よし、はじめるぞ』

シリンがそう声をかけると、

『うぉ……』

ケルヤが遠吠えのような声を上げ、

そして、それに続いてシカフ達がリズムを取りながら歌い始めた。

無論それを見た奈津美もシカフ達に口を合わせながらマサイの歌を声を上げて歌う。

やがて、歌と共にシリンやケルヤ、そしてシカフ達が体を上下にゆすり始めると、

タッ!!

その場でジャンプを始めだした。

マサイジャンプである。

「うわっ」

目の前で高さを競うようにジャンプをするシリン達を奈津美は驚きながら見つめていると、

『何をしている、

 お前も飛ぶのだ。

 こうして高く高く飛んだ者こそモランに早くなれるのだ』

マサイジャンプを見つめている奈津美にシリンがそう注意した。

『あっ』

シリンの声に奈津美は恐る恐るジャンプをし始める。

初めは小さく、

次第に高く奈津美はマサイジャンプをすると、

高くごとに周囲に生えているブッシュが奈津美の視線の下に落ちていった。

そして、ジャンプにあわせるように、

ペチンペチン!!

シュカに下に隠れている奈津美のペニスが音を立てながら股間をたたく。

ズキッ

『痛い』

割礼を受けて間がないペニスからの痛みに奈津美は顔をしからめるが

しかし、マサイジャンプをやめることはなかった。

「あっあたし…こんなに高くジャンプ出来るんだ」

上下に動く視界を見つめながら奈津美はそう呟くと、

まもなく行われる球技大会のことを思いこしていた。

バレーボールのクラス代表として出場を希望していた奈津美だったが、

しかし、高くジャンプするのが苦手だった故に、

控え扱いにされ、悔し涙を飲んだばかりだった。

「あはは…

 見て、あたし…こんなに高く飛べるようになったよ、

 これならあたし合格だよね」

マサイジャンプをしながら奈津美はそう叫び、

「でも…あたし…

 もぅ奈津美じゃないの

 真っ黒なおちんちんを生やしたマサイになっちゃったの。
 
 うふふ…
 
 おかしいよね、
 
 あたしがマサイなんてね」

ペチン!

ペニスが股間を叩くたびに奈津美は自分が男に、

そしてマサイにされてしまったことを意識し、

自然と湧き出してくる涙を振り切るかのように高く飛び続けた。



やがて、日が沈み

すっかり夜の闇が支配すると、

シリンたちは獣よけの焚き火を囲み、

皆は村から持ってきたキブユに口をつけると、

その中に入れてあるウシの血液とミルクで作った特製のミルクを廻し飲み始めた。

狩に出ているときのマサイが口に出来るのはこれだけで、

獣の肉や穀物は口にしないのが仕来りである。

『ほらよ』

『え?』

カフからギブユを手渡された奈津美は

『……』

困惑しながらもそれに口につけた。

すると、口の中に広がってきた血の香りに思わず

グフッ!!

っと咽ると、吐き出してしまった。

『何やってんだよ』

『もったいないなぁ』

ゴフゴフっと咽る奈津美をシカフ達は軽蔑の目で見ると、

『明日は早い

 寝るぞ』

シリンのその一声で全員はその場で横になると就寝した。



翌日も朝早くからシンバの姿を求めて奈津美達は広大なサバンナを放浪していた。

その翌日も、

またその翌日も、

そして奈津美達が村を出てから半月が過ぎ、

綺麗に剃られていた奈津美たちの頭に新たな髪が生え始めてくると

容赦ない日差しを徐々に柔らげてくれる。

その一方で、奈津美にとっては新たに生えてきた髪が

他のマサイ達と同じ縮れ毛であることに衝撃を受けると、

またひとつ奈津美はマサイに変身したことを知った。

その一方で、

ギブユに入っているマサイミルクを思うように飲むことが出来ない奈津美は

徐々に衰弱し歩くことが苦痛になっていた。

ハァハァ…

「あたし…このまま生き倒れて死ぬのかな?

 …うん…それもいいかも、
 
 だって、このままモランになっても、
 
 久美と一緒に帰ることは出来ないし、
 
 帰ってもモランとなったあたしには居場所がない」

猛暑の中、歩き続ける奈津美はそう考えていると

フワッ…

急に意識が遠くなりはじめた。

「あれ?」

ゆっくりと周囲の景色がフェードアウトしていく中、

『シリン!!

 大変だツンが倒れた…』

ケルヤのその声と共に奈津美は気を失ってしまった。



うっ

『ツンっしっかりしろ』

と言う言葉とともに唇に何が触れる感覚と、

そして、口の中に注ぎ込まれる生暖かい液体の感覚に奈津美が気がつき目を開けると、

奈津美は抱き起こされ、そしてその視界一面に目を瞑ったシリンの顔が迫っていた。

『きゃっ!!』

その様子に慌てた奈津美は反射的にシリンの体を押して飛び出すと、

ゴクリ

口の中に注ぎ込まれた液体を飲み込んだ。

『なっなにを?』

口をぬぐいながら奈津美が思わず理由を尋ねると、

『ツン、シリンに礼を言うんだ。

 お前は倒れたお前を介抱してくれたんだぞ』

奈津美とシリンの間にケルヤが割って入ってくると詳細を説明した。

『え?

 あたし、気を失っていた?』

ケルヤのその言葉に奈津子はハッとしシリンを見る。

しかし、シリンは一瞬、ほっとした表情をすると、

すぐに無愛想な態度をとりなら

『ここで、ギブユを飲まないのは

 自殺をするのと一緒だ、

 みんなに迷惑をかけるな

 行くぞ…』

と奈津美に告げると、

手にしていたギブユを奈津美に預け、歩き始めた。

『シリン…あたしを助けてくれたの…』

手渡されたギブユを抱きしめながら奈津美は呆然と立っていると、

『ほらっ

 いつまでも世話を焼かせるんじゃない。

 行くぞ』

と言いながらククルが奈津美の肩を叩く。

『あっうん』

ククルに促されるように奈津美は歩き始め、

そして、手に持つギブユに口をつけると、

中に入っているミルクを一口飲み込んだ。

すると、あれほど嫌だったミルクが何の抵抗も無く喉を通っていく、

そしてそれはスグに

『あれ?

 何でだろう、

 平気で飲める』

吐くことも無くマサイミルクを飲めたことに奈津美自身驚いていた。



倒れた奈津美を介抱したために

その日の目的地に到着したのは日が落ちて少し時間が経ってのことだった。

『火をおこせ!!』

『急げ!』

次第に暗くなる中、

シリンの指示で奈津美やシカフ達は大急ぎでブッシュから薪を集め、

そして火が熾きると暗闇の中に明かりが灯った。

『何とか間に合ったな』

『あぁ』

ホッとした表情でククルがそう呟くと、

『じゃぁ始めるか』

シリンのこの言葉と共に夜空に男達の声が響き渡ると、

焚き火を囲んでのマサイジャンプが一斉始まった。

ビュッ

ビュッ

いつもとは違う漆黒の夜空に向かって飛び出していく感覚と

股間を叩くペニスの感覚に奈津美は次第に酔いしれ、

「あぁ…

 あたし…」
 
心の中がマサイに染まっていくようなそんな感じを受けながら、

奈津美はマサイジャンプを続けていた。

やがて、マサイジャンプを終え燃え盛る焚き火を囲みながら、

奈津美たちは先ほど偶然出会った他所の村の放牧隊より分けてもらったばかりの

新鮮なマサイミルクを回し飲みをはじめる。

無論、奈津美も抵抗無く飲むとギブユをケルヤへ手渡した。

こうして、その日の夕食が終わると皆そのまま床に着いた。

やがて、皆が寝静まった頃、

なかなか寝付けない奈津美は起き上がると夜空を眺める。

『はぁ、綺麗な夜空…』

これまで夜空なんて見ることが無かった奈津美にとって

文字通り星が降ってきそうな夜空を見上げていると、

スクッ

っと立ち上がり、

そして、少しはなれたところでマサイジャンプを始める。

飛び上がるたびに近くなるような星を眺めながら。

ふと、いまこうしている自分はきっと夢の中の話だろうと思い始めた。

「…マサイの村に来されられて、

 マサイの姿にされ、

 さらに割礼を受け
 
 こうしてシンバの狩に…」

奈津美はそう呟くとついこの間までどこにでも居る女の子だった自分が、

いまこうして股間にペニスを持ったマサイとなり、

そして、夜空を眺めながらマサイジャンプをしていることが信じられなかったし、

また信じたくはなかった。

「夢なら覚めて…

 じゃないとあたし…」
 
モランになる…
 
一度はそう覚悟し自分がマサイに染まっていくのを受け入れものの、

しかし、奈津美の心の奥底にはこのままマサイに…

そしてモランへと変貌していく自分の姿への抵抗がまだ残っていた。

そう思いつつ夜空を見上げながらマサイジャンプを続けていると

『眠れないのか?』

奈津美が起きていることに気づいたのか、

寝ていたはずシリンが奈津美に声をかけるとムクリと起き上がった。

『あっ

 すっすみません』

シリンが起き上がったことに奈津美は驚いて、

マサイジャンプをやめると、

『ツン…

 こっちに来い』

シリンはそう言いながら奈津美に向かって手招きをした。

『え?』

手招きをするシリンに奈津美は困惑をしながらも、

シリンの元に向かい、

そして目の前に立つと、

『ココに座れ!』

シリンは自分の右隣の場所を手で叩くと奈津美に座るように促した。

『はい…』

シリンの指図にしたがって奈津美がそこに腰を下ろした途端、

シリンは無言のまま腕を伸ばすと奈津美の肩に手を置き、

グッ

と抱き寄せた。

『あ…』

瞬く間にシリンの土と汗の匂いに包み込まれた奈津美は、

マサイに変身してから忘れていた女の感情が微かに疼いた。

『シリン…』

ずっとこのままシリンと一緒にいたい、

そんなことを考えながらいつの間にか奈津美は自分の体をシリンに預けていると、

『明日も暑い…

 夜は明日に備えての力を蓄えておく時間だ。

 無駄な消耗をするんじゃない』

とシリンはそう奈津美に告げると、

そっと奈津美の頬に口をつけた。

『あっ』

思いがけないシリンの行動に奈津美が驚くと、

『まだ思い出せないか?

 ツン…』

とシリンは奈津美に尋ねた。

『え?』

シリンの口から出たその言葉に奈津美は思わず聞き返すと、

『ツンっ

 焦らなくていい、
 
 ゆっくりと思い出せ。
 
 生まれ変わってもお前は私の弟・ツンだ』

夜空を見上げながらシリンはそう呟くと、

『ちょちょっと待って…

 あたしはあなたの弟ではありません。
 
 身体はシンにマサイにされてしまったけど、
 
 でも…』

『ツン…』

『違います。

 あたしは…ツンなんかでは…』

シリンの言葉に奈津美がそういい返していると、

ズキッ

奈津美の頭に激痛が走り、

まるでフラッシュバックのようにマサイの少年の記憶が映し出された。

「違うっ

 違うっ
 
 あたしはマサイなんかじゃないっ
 
 奈津美よ
 
 新島奈津美と言う女の子よ!!」

シンの前ではモランになると言った奈津美であったが、

しかし、こうしてツンの記憶が浮かぶごとに、

自分がツンと言うマサイの少年に取って代わられそうな恐怖感を感じていた。

『大丈夫か?

 ツン?』
 
『いやっ触らないで!!

 あたしは…』

心配するシリンの手を奈津美は拒絶すると、

そう声をあげ立ち上がり、

『あたしは…ツンではない!!』

とシリンに向かって言い切ると駆け出してしまった。

ハァハァ

奈津美は勢いで走り出したものの、

しかし、夜のサバンナを一人で動き回る危険性はすっかり身についていた。

奈津美は少し走っただけで、

すぐに立ち止まるとその場にしゃがみこんでしまった。

『あたし…

 どうすればいいの』

沈みかけ月明かりにかすかに照らし出される石を眺めながらそう呟いていると、

サク…

いつの間にかシリンが奈津美の傍に腰掛け、

『さっきはすまなかった…

 君がツンの生まれ変わりだとシンに聞かされていたから…』

そうシリンが謝ると、

『いいんですっ

 あたし…モランになるためにこうしてきたのですからっ』

と奈津美はやや破れかぶれ気味に答えた。

すると、

『そうか、

 マサイにとってモランになることは、

 当然のことであり、

 名誉でもある。

 他所の部族のお前にとってはわかり難いと思うけどな

 でも、知いる通りモランになることは難しく、

 そして辛い…

 わたしの弟・ツンも
 
 モランになることを果たせずに命を落とした…』

シリンは奈津美を一切見ずに星空を見上げながらそう話し始める。

そして、シリンが話すツンとの思い出の事を聞くうちに

「シリン…」

いつの間にか奈津美はシリンの弟に寄せる想いを知り、

「シリンのためなら心からモランになっても構わない…」

と言う気持ちがゆっくりと頭を持ち上げ始めていた。



シンバ探しの旅はさらに続く。

月日が経つごとに奈津美たちの髪は伸びて行き、

ある程度伸びたところで赭土を髪に塗りこめながら簾のように結い

そして、額と背中に2方に結った髪を分割してまとめる。

これはモラン独特の髪型でマサイのシンボルでもあった。

またそのころには奈津美は顔の面影は以前とすっかり変わり、

厳ついモランの顔へと変化していた。



『おいっツンっ

 どこに行くんだ?』

『え?』

昼、

暑さを避けるための休憩のとき、

尿意をもよおした奈津美はいつのもごとくシリン達から分かれて、

ひとり木陰で用を足そうとすると、

シカフ達が奈津美に声を掛けてきた。

『なにって、小便だよ』

彼らの問いに奈津美はそう答えると、

『あっそうか

 じゃぁ俺たちもするか』

奈津美の答えにシカフ達はそう言い合うと着いて来た。

『え?』

『なに?

 なんか都合が悪いのか』

シカフ達と同伴ってことに奈津美はいやな顔をすると、

すかさずククルはそう噛み付いてきた。

『別にそういうつもりじゃないけど』

『だったらいいじゃないか』

『でも…』

奈津美がシカフ達の同伴に抵抗があるは無理は無い。

先日まで女の子だった奈津美にとって、

周囲に見られながらのトイレは抵抗があるし、

また、自分のペニスを触ることが出来ないために

立ちションというのを未だにしたことが無かったのだった。

「どうしよう…」

困惑する奈津美に向かって

『なに?

 俺達と連れションするのが嫌なのか?』

今度はカフが絡んでくる。

『知っているぜ、

 ツンって女みたいにしゃがんで小便をするんだよな』

カフのその言葉に

『それって本当かよ』

『なんだよ、情けないなぁ』

シカフとククルが驚きながら聞き返した。

『なっ』

3人の軽蔑したような視線に奈津美は驚くと、

『そっそんなことないよ』

と言い返すと、

『じゃぁ立ちション見せてみろよ』

カフがそう詰め寄ってきた。

『………』

ジリッ

っと迫ってくる3人に奈津美は追い詰められると、

『わかったよぉ』

っと悪態を突きながらそう返事をすると、

『いいか見てろよ』

そういうと、

シュカの裾を捲り上げ、

そして、ペニスを出すとそれに手を添えた。

「えぇっとこうだったよな」

奈津美は少女の頃父親が立ちションをしていたときのことを思い出しながら

ペニスに手を添えると、

クッ

っと下腹部に力を入れた。

すると、

ズズズズ…

さらしたペニスの中を小便が通り始め、

シャァァァァ…

っと亀頭の先から液体が吹き上がった。

「あっ…

 あたし…
 
 いま立っておしっこをしているんだ…」

排尿する感触に奈津美は思わずそう思うと、

立って小便をするその感覚に思わず酔いしれる。

『なんだ、出来るじゃないかよ』

ツンこと奈津美が目の前で立ちションをして見せたことに、

シカフとククルはカフに向かってそう文句をいうと、

『あれぇぇ?』

カフは頭を書きながら首を捻った。



そしてその夜、

近くのマサイの村にケルヤの友人を尋ねて、

シリンとケルヤが奈津美やシカフ達を残して離れると、

シカフ達が焚き火から背を向けて何かをはじめだした。

「なにをしているんだろう」

なにやらゴソゴソとしているその様子に奈津美は疑問に思うと、

『ねぇさっきから何をやっているの』

と尋ねながら覗き込んだ。

すると、

『なにって、見て判らないか』

ククルはそう言いながら顔を上げた。

『え?』

ククルのその言葉に奈津美は一瞬意味がわからなかったが、

しかし、ククル達は勃起した自分のペニスを握り締めながら、

シュッ

シュッ

っとそれをこする様子に奈津美は思わず顔を赤くすると目をそむけた。

『あぁ?

 何をしているんだ?
 
 ツン』

奈津美の様子にククルは怪訝そうな声をあげると、

『なっ何でもない』

奈津美はそう答えるとその場から去ろうとした。

すると、

『まてよっ』

その声とともにカフが奈津美の手を掴むと、

『ツンもいっしょにやろうぜ、

 なかなか気持ち良いからよ』

と言いながら奈津美をその場に座らせた。

シュッシュッ

シュッシュッ

『あぁ、いい気持ちだなぁ…』

『そうだよなぁ

 割礼の傷もすっかり癒えたし、
 
 またこうしてオナニーが出来るよなぁ』

『ホントだよなぁ

 普段はシリンとケルヤの監視が厳しくて
 
 オナニーすら出来ないなんてなぁ』

『あぁ女とやりてーよぉ』

『我慢しろ、

 モランになってこのトサカを切ってもらえれば
 
 俺達は立派な大人だ、
 
 女だってやり放題になるだろうよ』

『そうだよなぁ…

 その為にはシンバを倒さないと』

ペニスをしごきながらシカフとククルはそういうと、

『あぁ、ミナグッタ…

 えへへへへへ』

カフがそう言いながらいやらしそうな笑いを浮かべると、

次第に扱く速度を上げ始めた。

すると、他のシカフ・ククルもペニスを激しくしごき始める。

しかし、奈津美は3人のその様子をただ唖然として眺めていた。

やがて、

『おぉいいっ』

『あぁでるぅ』

『くぅぅぅぅ!!』

シカフ達は顎を上げそう叫ぶと、

シュッ

シュッシュッシュッ!!

扱いていたペニスより白濁した粘液を放出した。

『くはぁ、あぁ気持ちいい…』

『久々だよなぁ』

射精し、

肩で息をしながらシカフ達はそういい合うと、

『なんだよ、

 ツンは一緒に出さなかったのかよ』

と奈津美がオナニーに参加しなかったことに腹を立てた。

『え?

 だって

 あたしは…』

男のオナニーをすると女の子としての自分を否定しそうで、

これまで自分でしたことがなかった奈津美は困惑した。

しかし、

『なーに、真面目ぶっているんだよツンは』

『あっお前、ひょっとしてオナニーをしたことがないのか?』

そう言いながらシカフとククルが迫ってくると、

すかさず奈津美のシュカの下に手を突っ込んだ。

『やっヤメ!!』

突然のことに奈津美は驚き、

あわててシュカ越しに手を押さえつけるが、

『うぉぉぉ!!

 ツンってデカイなぁ!!』

シカフは奈津美のペニスを握り締め、

その大きさに思わず驚いた。

『やっやだ、

 そんな事といわないで』

元々自分のものでないペニスの大きさに感心されたことに、

奈津美は恥ずかしさを感じてそう叫ぶが、

しかし、

『へへ面白い…』

『やっちまおうぜ』

奈津美のその言葉にシカフ達は奈津美に飛び掛って押さえつけると、

股間から起立した奈津美のペニスを扱き始めた。

『あっ

 いやっ』

意識があるときに扱かれたことは事実上初めてなので、

奈津美は身体を捻りそして喘いだ。

『なんだと、コイツ

 本当にオナニーを知らないのか?』

『いいじゃないか』

奈津美の反応にシカフは驚き、

一方で、ククルは面白がりながら奈津美のペニスを扱く。

シュッシュッ

シュッシュッ

『うへぇ、我慢汁でべとべとだぜ』

ペニスを扱かれ、

それに感じてきたために奈津美のペニスの先からガマン汁があふれ始め、

そして、それは奈津美のペニス全体を潤滑材のごとく覆っていく。

ヌチャヌチャ

ヌチャヌチャ

奈津美のペニスがいやらしい音を上げ始めた頃には、

『あっあぁぁぁ…』

奈津美は顎を上げ、

そして身体を細かく痙攣させると、

射精まであと少ししか余裕がないことをシカフ達に伝え始めていた。

『出るか?』

『出るぅ…』

『出したいか?』

『出させて』

『出す?』

『うぅ…』

射精間近の奈津美にシカフ達は一種の言葉攻めをすると、

シュシュシュ

っと皿に激しく扱いた

すると、

『あっ』

奈津美のその声をともに視界に一瞬火花が飛び散ると、

プシュッ!!

夜空に向けて男となって2度目の白い花火を打ち上げてしまった。

『うへぇっ

 すげー』

『相当溜めていたなぁ』

奈津美が吐き出した精液の量にシカフ達は驚くと、

ハァハァ

肩で息をする奈津美は黙ったまま顔を横に向けると、

射精の余韻に浸っていた。



こうして、初めての射精の気持ちよさを知った奈津美は、

シリンやケルヤの目を盗んではオナニーに励むようになった。

ところが、

『なぁ、夕べ、俺、ケルヤにしてもらったぞ』

『なに、ククル、お前してもらったのか?』

『あぁ、まだケツが痛むけど、
 
 でも、ケルヤのイリガをココに入れてもらって、
 
 モランの魂を注ぎ込んでもらったサ』

『いいなぁ…

 俺、今夜、シリンに頼んでみようかなぁ…』

『ばーか、シリンはやめとけ、

 シリンの魂を注ぎ込まれても死人を出すだけだぞ

 頼むなら、ケルヤだ』

木陰で一休みをしていたシカフ達がそんな話をし始めると、

「何を話しているんだろう?」

奈津美は彼らが話をしていることが気になり聞き耳を立てた。

すると、

『よう、ツンはしてもらったのか?』

とカフが奈津美に尋ねてきた。

『え?

 あたしに?
 
 なっ何のこと?』

カフの問いかけの意味がわからずに奈津美は思わず聞き返すと、

『なんだよっ

 ツンはモランの魂のことも知らないのか?』

とシカフはあきれた表情をする。

『だって…』

それに抗議するかのように奈津美が言い返そうとしたとき、

『本当にツンは何も知らないんだな、

 いいか、
 
 モランになるためにはシンバを狩る以外にも、
 
 夜、シリンやケルヤといったモランに抱かれ、
 
 そして、ココにイリガを入れてもらって、
 
 モランの精を注ぎ込んでもらうんだよ』

とククルはシュカのすそをまくると尻を出し、

剥き出しになった肛門を指差した。

『え?

 そっそれって、
 
 男の同性愛の人がすることじゃぁ…』

奈津美が女だった頃にクラスの女子の間で交わされた話を思い出しながらそういうと、

『同性愛?

 なんだそれは?

 いいか?
 
 これは俺達にとって大切な儀式なんだ。
 
 これを済まさないとたとえシンバを倒したとしても
 
 真のモランにはなれないんだぞ』

奈津美の言葉にシカフは改まった顔をしてそう説明をする。



その夜、

横になった奈津美は昼間シカフ達が言っていた言葉を思い出していた。

『シリンにあたしが抱かれて…』

そう考えながらシリンに抱かれている自分の姿を思い出していると、

ドキン!!

奈津美の胸の鼓動が高まり、

股間のペニスが見る見る硬くなってきた。

そして、

はぁはぁ…

コチコチに硬くなってしまったペニスを諌めるかのように、

奈津美は勃起するペニスの陰茎に手を添えると、

ゆっくりとしごき始めた。

シリンやケルヤに隠れてオナニーをしているために

奈津美にはオナニーへの抵抗感をなくし

無意識に右手がシュカの中にもぐりこむと、

その中で勃起しているペニスを扱き始める。

シュッ

シュッ

『うっ』

奈津美は喘ぎ声を聞かれないように胸元のシュカを口まで持ってくるとそれを噛み、

そして喘ぎ声をかみ殺しながらペニスをしごきつづける。

シュッシュッ

シュッシュッ

奈津美のペニスの切り裂かれた傷口は旅の間に癒え

痛みは消えかかり、軽い痒みだけが残っていた。

はぁはぁ

シュッシュッ

シュッシュッ

鼻息荒く奈津美はペニスをしごいていると、

ウッウッウッ

今度は別のところから喘ぎ声が響いてきた。

「だれ?」

その声に奈津美は手を止めると、

聞き耳を思わず立てる。

すると、

ウッアッ

ウッアッ

喘ぎ声はまるで闇の置くから漏れてくるように聞こえて来た。

「なっなにかな?」

奈津美は好奇心から声のするほうへと這っていくと、



ハァハァ

ウッウッウッ

月明かりの下、

近くの茂みの奥でシュカをめくりお尻を突き出したカフに向かって

ケルヤが盛んに腰を動かしていた。

「うそっ

 本当にしている…」

衝撃の光景を目の当たりにして奈津美の目は思わず釘付けになる。

しかし、茂みの中の二人は奈津美のことは気づかすに行為を続け、

『はぁはぁ○○…』

『あぁぁ…○○○』

よくは聞き取れないが二人は常に何か言い合っていた。

そして、

「ハァハァ…」

そんな二人の姿を見ながら奈津美は

いつの間にか勃起している自分のペニスを握り締めると再びしごき始めていた。

シュッシュッ

シュッシュッ

『あっあぁ

 あたしも…』

奈津美は絡み合うケルヤとカフの姿を眺めながらオナニーを続ける。

そして、それから約10分ほどが経ったとき、

『あっあっぁぁぁ!!』

『うぅっ』

二人は同時にうめき声を上げると、

ビクビクビク!!

カフを犯していたケルヤの腰が細かく動き、

『くはぁ!!』

という声ををもに果ててしまった。

そして、二人がイクのと時をあわせるように

『うっうぅぅぅぅっ!!』

ビュッ!!!

ビュッ!!!

ビュッ!!!

奈津美は己のペニスから溜まった精を盛大に解き放った。

「くはぁはぁはぁ

 あぁ…きっ気持ちいい…」

奈津美は極上の快感に包まれながらその余韻に浸り、

「あぁ…

 なんて気持ちいいの」

そう呟く奈津美は余韻を楽しんでいた。



つづく