風祭文庫・モラン変身の館






「キジャーナ」


作・風祭玲

Vol.1020





はぁ…

はぁ…

はぁ…

真上から照らしつける陽の光の中をあたしは歩き続けていた。

右を見ても、

左を見ても、

目に入ってくるのは足を踏むごとに乾いた砂埃を上げる赤い土と

水気を完全に失い茶色く枯れ果てた草ばかり…

木陰を作っていそうな木々は遙か彼方陽炎に浮かび上がる木立がポツンポツンとあるだけで、

この灼熱地獄から逃れる術はない。

ユラリ

ユラユラユラ…

気がつくと遠くを歩くキリンの姿が大きく揺らめきだしていた。

「今日も暑くなりそうだ…」

悠然と歩くキリンを眺めながらあたしはポツリと呟く、

それにしてもあのキリンまでどれくらい離れているのだろうか、

500mかな?

それとも1km?

ついこの間までメガネを掛けていたはずなのに、

あたしの目はいつの間にか遠くに居るものが見えるようになっていた。



はぁ…

はぁ…

はぁ…

あれから気温はさらに上がり、

日の当たる場所から動物たちは皆姿を消していた。

気温は一体、何度になっているのだろうか。

35℃?

40℃?

それとも45℃?

まさか50…

寒暖計が手元にないので正確な値を知ることは出来ないけど、

でも、まるで炎に炙られているかのような暑さだ。

体全体に朱泥を塗ってなければ、とっくに火ぶくれになっているはず。

そう思いながらあたしは露わになっている肩に手を置き、

背中に掛かる髪を軽く揺すってみせると、

パラパラと髪から泥がこぼれ落ちた。

「はぁっ、

 一体いつまで歩き続けるのかな…」

今日起きてからずっと歩き通し、

もぅ10km以上も歩いていると思う。

起きてからのことを思い出していると、

ズキン!

不意に足に痛みを覚えると、

手にしているムクキと呼んでいる槍がズッシリと重く感じてきた。

「やば…」

後悔しても遅かった。

ムクキを重く感じるのと同時にルングと呼んでいる棍棒も重く感じ、

さらに腰に下げている剣・シミの重さまで感じてきた。

「だめ…

 もぅもぅ…」

泥を塗り込んでいる髪までも重く感じてしまったあたしはその場に立ち止まってしまうと、

サクッ

ムクキの柄尻を赤茶けた土地に突き刺し、

「あいたたた、

 もぅ歩けないよぉ…」

と弱音を呟きながら膝を折り腰を下ろしてしまう。

まさにギブアップである。

だが、

ジリッ

腰を下ろした途端、

熱せられた地面から立ち上ってくる熱気が

腰間を隠す程度しか捲いてない布を抜けてお尻を焼いてきた。

「熱い…

 でも…立ち上がれない…」

ジリジリとお尻を焼かれながらあたしは蹲っていると、

「キジャーナ!

 何をしている…」

の声と共に2人の影があたしを覆った。

ビクッ

その声にあたしは小さく驚きながら顔を上げると、

「なに座っている。

 行くぞ」

とあたしの正面に立つ陰は黒い肌を陽に光らせながらそう告げる。

「オレルグン

 ダメです。

 立てません」

あたしはそう訴えると、

「モランになるキジャーナがその程度のことで音を上げるな」

オレルグンはあたしに向かって言う。

「そんなことを言っても…」

期待はしていなかったけど、

あまりにもストレートな言い方にあたしは思わず口を尖らせると、

「どうした。

 足でも挫いたか」

と心配そうに声を掛けながらオレムガンは腰を下ろし、

あたしの足を診始める。

「いえ、怪我は…」

思わず足を引っ込めようとするものの、

「ん?なんだ…

 トゲを踏み抜いているじゃないか、

 オレルグン。

 近くで少し休もう」

何処で踏んでしまったのか、

あたしの足の怪我にオレムガンは気づくとオレルグンに向かって提案する。

すると、

「ちっ、

 仕方がないな…」

オレルグンは頭を掻きながらその提案を受けいれ、

あたし達は日差しを避けるために近くのブッシュへと向かっていった。



「ありがとう…オレルガン」

ブッシュの中であたしはオレルガンに向かって礼を言うと、

「礼を言うならオレルグンに言うんだな」

と彼は白い歯を見せる。

「……」

その顔をあたしはじっと見ていると、

「さて…

 その傷を何とかしないとならないな」

あたしの視線が気になったのか

オレルガンはそう言って腰を上げるとブッシュから出て行ってしまった。

「……へぇ…

 オレルガンの顔って初めて間近で見たけど、

 結構男前じゃない…」

元々マサイモランの顔は均整が整っていると言われているけど、

でも、オレルガンの顔はモランの中でもさらに美形であることをあたしは確信していた。

それに対してオレルグンは赤土で結い上げた髪に

色落ちした衣・シュカを纏い、

鋭い輝きを放つ槍・ムクキに山刀・シミ。

そして使い込まれたルングを手にした姿はまさに野生という言葉がぴったりと当てはまっている。

「はぁ…」

オレルグンとオレルガン対照的な二人のモランの姿をあたしは思い浮かべていると、

モソッ

いつの間にか手を股間へと滑らせていた。

「はんっ」

鼻を膨らませ、

軽い吐息を吐きながらあたしは朱染めの布一枚が覆うだけの股間に手を潜り込ませていく。

そして、

ギュッ!

布の下で固く勃起している肉の棒を掴み上げると、

シュッシュッ

としごき始めた。



シュッシュッ

シュッシュッ

朱染めの布をはだけさせ、

中から聳える肉棒を引きづり出してあたしは肉の棒を扱き続ける。

女の子だったあたしの股に生えている漆黒の肉の棒。

オロイボニによって生やされた肉棒はあたしに男としての快感と、

モランになるための肉体を作り上げていた。

「はぁん。

 はぁん。

 オレルガン…

 あたしを…

 あたしを抱いてぇ」

胸筋が盛り上がる胸を揉みながらあたしは肉棒を扱き続けていると、

フニッ

しばらく前に失っていた胸の膨らみを思い出す。

そして、

その胸の膨らみを振るわせながらオレルガンに突かれている自分の姿を妄想しつつ肉棒を扱いていると、

「オレルガンのヤツがそんなに良いのか?」

とオレルグンの声が耳元で囁いた。

「!!っ、

 きゃっ!」

反射的にあたしは悲鳴を上げて扱いていた肉棒から手を離してしまうと、

いきなり景色がグルンと天地逆さまに動くや、

ドンッ!

あたしの体は地面へと押しつけられ、

その上にのし掛かるようにオレルグンの体が覆って見せる。

「おっオレルグン」

じっとあたしを見下ろしているオレルグンの顔を見つめながらあたしは呟くと、

「オレサエコ…」

とオレルグンはモランとしてのあたしの名を呟き、

「こっこの時を待っていたんだ」

と鼻息を荒くしながら言う。

「待っていたって…」

彼が言った言葉にあたしは驚くと、

「オレサエコ…

 お前がオレ達のエニヤッタに来たときから俺はお前を妻にすることを決心した。

 しかし、オロイボニ・オレンガニはお前にイリガを与えキジャーナにしてしまった。

 お前を妻にすることを願っていた俺にとってとても悲しいことだった。

 でも、オレンガニの命令でキジャーナとなったお前をエニヤッタから連れ出したとき、

 俺はお前をモランにすることに誇りを覚えたんだ」

あたしに向かってオレルガンはそう告げるや、

いきなりあたしの口を自分の口で塞いでみせる。

「んんっ〜っ」

オレルガンに唇を奪われたあたしは彼の下でジタバタしてみせるが、

しかし、すでに数頭のシンバを倒した経験があるオレルガンにとってあたしなど敵ではなく、

それどころか、

クニュッ!

朱染めの衣の中に潜り込んできた彼の指があたしの肛門を侵し始めていた。

「!!っ」

思いがけない行為にあたしは驚くものの、

「さぁ、これを嘗めろ、

 痛い思いをしたくなければな」

と唇から離れたオレルガンはあたしに告げるや、

自分が体に捲いていたシュカをめくり上げる。

その途端、

グンッ!

と力強く伸びているイリガをあたしに向かって飛び出してきた。

「いっ、

 いや…」

割礼の傷跡がグルリと回っているオレルガンのイリガを

間近に見せつけられたあたしは拒否をしてみせるものの、

でも、逆らい通すことは出来ず。

「んぐっ」

半ば強制的に含ませられてしまうと、

「おぉ、いいよいいよ、

 キジャーナになってお前は一段と魅力的になったよ」

大きく開いた足であたしの体を挟みながらオレルガンは快感に浸ってみせるが、

しかしスグにイリガを引き抜いてしまうと、

「さぁ、俯せに寝ろ、

 そして、尻を上げるんだ」

とあたしに命令をしてきた。

「うっ」

その言葉にあたしは一瞬身を固くするものの、

「何をしている…」

と言われた途端

「判りました…」

あたしはスグに言われたとおりにして見せると、

「いくぜっ」

の声の後、

ズズズズズッ!

あたしの戒めを突き破ってオレルガンのイリガが体の中に入ってきた。

「いっ痛い…」

焼け付くような痛みを体中で感じながらあたしは歯を食いしばるが、

しかし、オレルガンはそんなあたしに構わずに腰を振り始め、

程なくしてあたしはお尻を犯されたまま彼に抱きかかえられた。

そして、

ビクンッ!

股間から自分のに肉棒を突き上げながら、

あたしは自分の肛門を犯され続ける。



翌朝、あたしは近くに見つけた川に飛び込むと、

体中に塗っていた赤土を落とし体を洗い始める。

そしてオレルガンから注ぎ込まれた精を洗い流すように体を洗うものの、

でも、

「あぁ昨日よりも…

 黒くなっている…

 あたしモランになって居るんだ…」

といつもよりも黒みを増している肌の様子にショックを受けると、

そのまま川の中に身を沈め水の中で声を大にして泣き叫んだ。

「傷は大丈夫か?」

歩き始めたあたしにオレルグンは心配そうに話しかけるけど、

「うっうん…

 大丈夫、

 ありがとう…」

あたしはオレルガンに犯されたことを気づかれないようにしながら振る舞ってみせる。

そして、そんなあたしをオレルガンは欲望に満ちた視線で見つめていた。

マサイキジャーナ・オレサエコ…

オロイボニの呪術によってキジャーナにされた女性であり、

オレルガンによってモランへの道を歩まされている。



お願いです、このオチンチンを取ってください。

あたしを元の姿に戻してください。

マサイになんてなりたくないんです。



おわり