風祭文庫・モラン変身の館






「家訓」


作・風祭玲

Vol.859





雨上がりの朝、

パタ。

パタ。

水に濡れた冷たい石畳の上をサンダルの音が響いていく。

「あのぅ…」

初秋の朝日を浴びながら丹波和泉は前を行く御津慶子に遠慮気味に声をかけると、

「はい、

 なんでしょうか?」

と慶子は肩に掛かる髪を揺らせながら振り向き笑顔を見せた。

「あのう…

 私に用事って一体何なのでしょうか?」

自分より5歳年上の慶子に向かって和泉は質問をすると、

「うふっ

 そのうち判りますわ」

と慶子は返事をすると再び歩き始める。

ザワザワ

ザワザワ

石畳の両側で葉についた雨粒を陽の光に輝かせる熊笹を横目に見ながら、

「慶子さんの用事って何だろう…

 あたし何か変なことをいたっけ」

と和泉は考え始めていた。




和泉と御津慶治が結納を交わしたのは昨日のこと、

ごく普通の家庭に育ち、

ごく普通に社会に出た和泉は、

ごく普通に慶治を出会い、

ごく普通の恋をした。

だが、慶治の実家は実はとある地方の名士の家系であり、

始めて目にするその敷地は都会では中々目にすることが出来ない広さだった。

「ふぅ…

 慶治さん、あまり自分の実家について話さなかったけど、

 これって結構な資産家じゃない。

 でも、全然そんな素振りは見せてなかったなぁ…」

結納のために両親ともども慶治の実家を訪れていた和泉だったが、

その実家の姿にただ驚き、

これから迎えるであろう新婚生活に一抹の不安を感じていたのであった。

そして、この日の朝、

和泉は姉・慶子に呼び出され、

慶子に連れられるまま石畳を歩いているのである。



「ここは」

母屋から歩き始めて15分。

敷地の外れに来たのだろうか、

鬱蒼と茂る森の手前にその土蔵は建っていた。

「曾おじいさんの土蔵です」

慶子は振り返らずにそう告げると、

ガチャッ!

持っていたカギで重々しい扉に掛かる南京錠のカギを開ける。

ギッギギギギ…

久方ぶりの訪問者を迎えるのか、

土蔵の扉はキシミながらゆっくりと開けられると、

ふわ…

土倉特有のやや湿り気を帯びた冷たい埃の臭いが周囲に漂ってきた。

「さぁ、入って」

扉を開けた慶子は和泉に向かって言うと、

「はっはい」

その声に招き入れられるように和泉が先に土蔵に入り、

後から慶子が入ると、

ギィー…

ドムッ

中から土蔵の扉を閉め、

カラン…

「只今修行中」

の木札がその扉の表で静かに揺れた。



「なんで、扉を閉めたのですか?」

慶子の行動について和泉が尋ねると、

「長く外の空気を入れると良くないからね、

 さぁ、奥に行って」

そんな和泉に慶子は指示をすると、

「はっはい…」

腑に落ちない表情をしながらも和泉は先へと進んでいく、

内部の暗さに次第に目が慣れてくると

土蔵の中には木製の棚がびっしりと置かれ、

それぞれの棚の上には和泉が見たこともない奇妙な品物が置かれていた。

「あの…」

そんな品々を横目に見ながら和泉は声を上げると、

「これは曾おじいさんが世界中から集めた奇品ですわ」

と慶子は先に答える。

「そっそうですか…」

「はい、

 曾おじいさんが生まれた19世紀はまだ冒険の時代。

 ですので、曾おじいさんは世界中を旅してこれらの品物を持ち帰ってきたのです。

 中にはなんて説明をしたいいのか困るような、

 不思議なものもいっぱいありますが…」

「はぁ」

慶子のその説明に和泉は冷や汗を流しながら、

「なにかここで祖先代々伝わるモノでも見せられるのかな…」

微かなワクワク感を感じ始めていた。

すると、

「先ほども言いましたように、

 曾おじいさんは世界を旅しました。

 無論、いまみたいに大砂漠の真ん中でも

 GPSで位置を知り、

 携帯電話で話せるような時代ではありません」

そう言いながら慶子は和泉を追い抜き、

先に出ると土蔵の奥へと向かっていく、

「見た目と違って結構奥行きがある土蔵なんだ」
 
そんな慶子の姿を見ながら和泉はそう思っていると、

「…中でも、

 アフリカサバンナを冒険したとき、

 曾おじいさんは大病を患い、

 このまま野生動物たちのエサになってしまうかもしれない危機を迎えたのです」

と慶子は曽祖父が陥った危機について話し始める。

「まぁ、

 それで」

興味津々に和泉が聞き返すと、

「曾おじいさんがその場で死んでいたらなら、

 わたしたちはここにはいません。

 運良く曾おじいさんはサバンナに生きる野生の戦士達に救われたのです」

と曽祖父を助けてくれたマサイの戦士のことを言う。

「野生の戦士?」

「そう、マサイの戦士です。

 倒れている曾おじいさんを見つけた彼らは、

 そのまま自分達の村へと連れて行き、

 丁寧な看護により曾おじいさんは元気を取り戻しました。

 始めて訪れた土地で見ず知らずの人に命を助けてもらう。

 これはお金の力では到底出来るものではありません」

慶子は100年以上前に曽祖父が受けた恩を語ると

「そうですね…」

それを聞いた和泉もまた大きく頷く。

「そのときです、

 マサイの村に凶暴なライオンが襲い掛かってきたのです。

 身の丈が8尺もあったと言いますから

 極めて巨大なライオン…と言うべきでしょう。

 そんな化け物のようなライオンがマサイの村を襲いましたが、

 だけど、

 戦士達は怯まずに槍を持ち、

 立ち向かっていったのです。

 そして、そのとき、

 曾おじいさんは信じられないものを見たのです。

 残された女達は甕に入った不思議な脂を被り始めると、

 皆、男の姿になってしまったのです。

 そして、戦士と同じように槍を持ち、

 暴れるライオンに向かって行ったのです」

慶子の口からそれを聞かされた和泉は、

「うそ」

と口を押さえて驚きの声を上げた。

「女が男になる不思議な脂…

 世界にはその様なものがあるのですね」

感心しながら慶子は幾度も頷くと、

「しかし、ライオンは戦士達の攻撃を跳ね除けて、

 指揮を執る長に襲い掛かろうとしましたが、

 それを見た曾おじいさんはすかさず愛刀・村正を抜き、

 ライオンの首を一刀両断、切り落としたのです。

 命を救ってくれたせめてものお礼です」

「切り落としたって、

 曾おじいさんは武士だったのですか」

予想外の展開に和泉は驚くと、

「はい、

 戊辰の戦ではまだ元服前だというのに、

 薩長を相手に大立ち回りを演じたと聞いていますわ」

と慶子はあっけらかんと話す。

「薩長って…

 一体、お幾つで亡くなったのですか?」

目を丸くしながら和泉は尋ねると、

「いえいえ、

 死んではいません。

 まだまだ元気ピンピンですよ」

慶子は曽祖父が存命中であることを言う。

「はぁ?

 えっと明治維新が1868年で、

 その時に元服前でしょう…

 元服は数えで15歳だから、

 でも”曾”おじいさんってことは、

 慶治さんから見て3代前…

 あっあれ、計算が合わない…」

指折り数えながら和泉は混乱してくると、

「まぁまぁ、

 細かいことは気にしないで下さい、

 それよりも大事なのこはそれからです」

と慶子は釘を刺す。

「はっはい」

その言葉に和泉は慶子を見ると、

「化け物ライオンを倒したとき、

 曾おじさんは悟ったのです。

 男もそうだけど、

 これからの時代、

 女も強くなくてはならないと、

 そして…」

と言いながら慶子は壁に掛かる古びれた獣の皮を捲りあげると、

そこにはポッカリとひと一人が身を屈めて通れそうな黒い穴が開いていた。

「さっ、ここに入って下さい」

口を開ける穴を見せながら慶子はそういうと、

「あっはぁ…」

言われるまま和泉は穴をくぐると、

視界が一気に利かなくなるのと同時に、

ムワッ!

人の汗の匂いと

獣の臭い、

そして、乾いた土の臭いと

得体の知れない動物性の脂の臭いとが混ざり合った臭いが和泉の鼻をついた。

「うっ、

 臭いっ」

漂う悪臭に和泉は思わず鼻を覆うと、

「ふふっ、

 大丈夫、

 スグに慣れますわ。

 と言うより、

 和泉さん自身、

 この臭いを撒き散らす様になるのですから」

と慶子は言う。

「え?

 それってどういう…」

慶子の言葉の意味が判らなずに和泉は聞き返すと、

ガシッ!

暗黒の闇の中からいきなり手が伸び、

和泉の両腕を取り押さえた。

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

突然のことに和泉は悲鳴を上げると、

ボッ!

目の前に火がともり、

利かない視界が見えてきた。

「え?

 え?

 なにここ?」

和泉が居るのは赤茶けた土の壁がむき出しの円形をした部屋の中で、

部屋の中央部には黒い脂のような液体を満々と湛える

直径は1mほど高さも1mの大きな甕があり、

ゴボッ

ゴボッ

っと不気味な泡を吹き上げている。

「これって…」

その甕を見た後、

和泉は自分の腕を押さえている者の姿を見ると、

ジロッ!

和泉の左右には汗が浮き出る漆黒の肌を晒し、

朱染めの衣を身に纏った大男二人、

和泉の左右からそれぞれの腕を押さえていたのであった。

「ひっ!」

自分を取り押さえる男の姿を見た和泉が悲鳴を上げると、

「紹介するわ、

 シュカを身にまといサバンナを一本の槍で生き抜くマサイの戦士よ」

と慶子は二人の男を紹介する。

「なっなんで、

 こんな所にマサイの戦士が居るの?」

震える声で和泉が尋ねると、

「うふっ」

慶子は小さく笑い、

甕を挟んで和泉の反対側へと向かうと、

そこに掛かる毛皮の垂れ幕を引き上げた。

その途端、

強烈な光と共に、

地平線まで広がるサバンナの景色が広がっていたのであった。

「うそ…」

野生動物達が闊歩するサバンナの景色に和泉は固まってしまうと、

「そう、ここはサバンナよ、

 そして、これから和泉さんにはここで花嫁修行をしてもらうのよ」

と慶子は和泉に言う。

「はっ花嫁修業って…

 まさか…

 その脂って」

それを聞いた和泉は慶子の曽祖父が見たと言う脂のことを思い出すと、

「はいっ

 ご名答。

 この脂はね、

 マサイの女が被れば男に変身するだけだけど、

 あたしたちが被ると、

 ほらっ、

 いま和泉さんを取り押さえているマサイと同じ姿になってしまう不思議な脂なのよ。

 ふふっ、

 これから和泉さんにはマサイの戦士になってもらうわ」

と慶子は言う。

「いっいやぁぁぁ!

 マサイの戦士なんかになりたくないっ。

 慶治さんっ

 助けてぇぇ!」

思いっきり声を張り上げて和泉は婚約者である慶治に向かって助けを呼ぶが、

「あら、

 慶治は了解済みよ」

と慶子はシレっと答えた。

「えぇ!

 そんなぁ…」

それを聞いた和泉は体から力が抜けていくのを感じると、

「こんなこと御津家の者は皆経験済みよ、

 曾おじいさんの方針でね、

 必ず一度はマサイの戦士となって鍛えることってね」

と慶子は和泉に言い聞かせた。

「うっうぅぅぅぅ…」

ガックリとうなだれ、

和泉は泣きはじめると、

「さぁ、やっちゃって」

と慶子はマサイの二人に指示を出す。

すると、

コクリ!

二人のマサイは小さく頷き、

グィッ!

和泉の腕を持ち上げると、

その脚を甕の中へと落とし始めた。

トプン!

「いやぁぁぁぁぁ!!!!」

サンダルが脱げた脚先が甕に溜まる脂の中に入ると、

一際高く和泉の悲鳴が響くが、

だが、その声を聞きつけて駆けつけてくるものはなく、

ズブズブ…

瞬く間に和泉は腰まで脂に浸させられてまうと、

「いやぁぁ…

 慶治さん助けてぇ」

泣きじゃくリ続ける和泉の頭に手を当て、

フンッ!

とその頭を脂の中へと押し込んだ。

「うがぁぁおぁ!」

ガボッ!

ゴボゴボゴボ!!

甕の中から和泉の悲鳴と、

脂が泡となって噴出す音が木霊するが、

マサイ達は手馴れたようにその手は動かさず、

力を込めて和泉を押しとどめていた。

ブクブクブク…

噴出す泡の量が減り、

和泉の体から力が抜けていくのをマサイは感じ取ると、

グィッ!

今度は沈めた和泉の身体を引き上げ始め、

ボタボタボタ…

バシャッ!

甕の中から脂まみれの和泉の体が引き上げられると、

そのまま甕の横に敷いてあるライオンの皮の上に寝かされた。

「ガボッ!

 ゲホゲホゲホ」

押し込められてる間に脂を飲み込んだのか、

和泉は口から黒い脂を噴出し、

そして、

「ゼハゼハゼハ…」

と苦しそうに息をするが、

それと同時に、

シュワアァァァァア…

和泉の体から煙のようなモノが吹き上がると、

ゴリッ!

ゴリッ!

メキ!

バキッ!

体の各所から骨が軋むような不気味な音が響き始める。

そして、

ボコッ!

いきなり胸周りが横に膨らむと、

ブチッ!

着けていたブラが弾けとび、

さらに、

ビシッ!

ビシビシッ!!

手脚が鳴り響くと、

モコモコモコ!!

伸び始めた両手足から筋肉が盛り上がっていく、

「あぐぉわぁぁぁ!!!」

唇を厚くさせながら和泉は喉を掻き毟ると、

指の間から喉仏が盛り上がり、

さらに肩幅が広がっていくと、

グンッ!

股間から何かが突き出し、

グググググ!!!

下着を押し上げながら伸びていった。

「うぉうぉ

 うぉうぉ」

野太い男の声を上げながら、

和泉は延びてきた股間を押さえると、

バシャッ!

甕の脂が跳ねる音が響き、

トタ…

脂まみれの脚が和泉の横に立つ。

シュワァァァァ…

「ふふっ

 マサイになるなんて何年振りかしら…」

急激にマサイ化していく自分の身体を見下ろしながら慶子はそう呟くと、

「初めてこれを経験するときって、

 結構、キツイのよね。

 でも、安心して、

 あたしがあなたの苦しみを取ってあげるわ」

キュッキュッ

股間から伸びていく男の性器・ペニスを扱きながら慶子はそう呟くと、

「ふぐぅぅぅぅ」

慶子よりもゆっくりとマサイ化してゆく和泉を抱き起こし、

脂を吸い身体に張り付く服を一枚一枚脱がせ始めた。

そして、全裸にすると、

「和泉さん、

 マサイの衣はシュカを申し訳程度に巻くだけよ、

 実質上あなたはこの裸の姿で生きていくことになるわ、

 だけど、大丈夫よ、

 サバンナで生き抜けるように

 あたしがモランの魂を少し分けてあげるから」

と慶子は和泉の耳元で囁き、

ぐったりする和泉をうつぶせに寝かせると、

その黒いお尻を上に引き上げさせる。

「ふふっ」

シュッシュッ

シュッシュッ

無防備にその姿を晒す和泉の尻の穴を眺めながら、

慶子は自分のペニスを扱くと、

ビンッ!

慶子のペニスは力強く立ち上がり、

その先から先走りを垂らし始めた。

「はぁ〜っ、

 こっちの準備は完了っと、

 では頂くわ」

30cm近くまで伸び、

ガチガチに硬くなっている己の凶器を慶子は和泉の肛門にあてがい、

グッ!

腰に力を入れる。

すると、

「うっ!」

和泉の顔に苦痛の表情が浮かぶのと同時に、

ヌプッ!

和泉の肛門は慶子のペニスを飲み込み始めた。

「あら、

 素直に入るのね、

 まさか、慶治の奴、

 このことを見越して和泉さんのお尻を広げていたなぁ」

ニヤリと笑いながら、

慶子は慶治が和泉の肛門を広げてた事に気付く。

確かに慶治は和泉と結ばれたときから、

何かと理由をつけて和泉の肛門を拡張していたのであった。

ヌプッ

ヌプッ

「もぅ、

 先に手を打つだなんて卑怯よ慶治っ

 これじゃぁ興ざめじゃない」

易々と慶子の凶器を飲み込んでしまった和泉の肛門に慶子はブツブツ文句を言いながらも、

その腰の動きを次第に早めていくと、

「まっそれならそれでいいわ、

 でも、勇者の証は私の手で立ててあげるわよ」

と言うと、

慶子は自分の手を和泉の股間に入れ、

女性器を飲み込み逞しく成長した和泉のペニスを扱き始めた。

シュッシュッ

ヌプヌプ!!

シュッシュッ

ヌプヌプ!!

慶子は腰と手を動かしていると、

「んぁぁぁぁぁっ、

 んぐぅぅぅぅ

 あっ

 あっ

 こっここは…」

うめき声を上げ続けていた和泉はようやく正気を取り戻すと同時に、

「あんっ、

 お尻の中で何が…

 あぁ…熱い…」

腰をよじりながら和泉は力を込めた。

すると、

「あふんっ、

 あら、和泉さん

 やっと気付いた?

 んーっ

 あぁん、締まるぅ」

それと同時に慶子もまた締め付けられてくる感覚に喘ぎ、

「あはっ、

 あはっ

 和泉さんっ

 ゆっ勇者の証を立てるのよっ」

と和泉に命じた。

「ゆっ勇者の証って、

 あぁん、

 慶子さん、

 マサイになって…

 あっあたしを犯しているんですか?

 んんっ」

肛門を突かれるたびに、

ビクビクと身体を跳ねさせながら和泉は慶子に話しかけようとするが、

「あぁっ、

 出るっ

 出るっ

 何かが出て来るぅぅ!」

身体を小刻みに痙攣させてそう訴えると、

「あっあっあっ

 あたしも…

 イクぅぅぅ!!」

ブシュッ!!!

和泉と慶子は二人揃って勇者の証を立ててしまったのであった。



「はっ恥ずかしい…」

丸出しのお尻を恥ずかしげに手で隠しながら和泉が訴えると、

「何を言っているのっ、

 マサイに服なんて関係ないわ」

とシュカをたくし上げながら慶子は周囲をする。

「でっでも」

その言葉に和泉は言い返そうとすると、

「いいこと、

 あたしは年長っ、

 年下のあなたはわたしの命令に逆らうことは出来ないのっ、

 それがマサイの掟よ」

と慶子は釘を刺す。

「はっはぁ」

正面の股間をやっと隠すだけのシュカを押し下げながら和泉は頷くと、

「さぁ、

 あなたの花嫁修行はまだ始まったばかり、

 シンバをその槍で狩るまでは戻れないからね」

と慶子は言い、

「あたしのマサイの魂をあげたんだから、大丈夫だって、

 それに…

 あたしがこうして付き合っているだけでも感謝して欲しいわ」

と慶子は心の中で呟いていた。



御津家の花嫁修業は酷もつらいものである。



おわり