風祭文庫・モラン変身の館






「尋ね人」


作・風祭玲

Vol.765





ギラッ!

真上から照りつける日差しの下。

「ふぅ…」

赤茶けた砂埃を巻き上げながらあたしは歩いていた。

見渡す限りの荒れ野は地平線の先まで続き、

何所に道があるのか、

何所に向かったら良いのか、

皆目見当がつかない。

「ディンガ族の村って何所にあるのかしら

 それにしても暑いなぁ…」

突き刺さるような日差しから、

逃れることが出来る日陰など期待薄の中、

あたしは身体をすっぽり覆うように纏っているシュカの裾を握り締めると、

額に浮かぶ脂汗を拭った。

この荒れ野・サバンナに来て数ヶ月。

あたしはある人を捜し尋ね歩いていた。

サクッ

サクッ

右手に持っている槍がひどく重く感じられる。

日の出から歩き始めてもぅ何キロ歩いたのだろうか、

気温は…温度計がないから判らないけど

30℃とか言う温度ではないことは確かだ。

ふと立ち止まると、

瓢箪を加工して作った容器・ギブユを取り出すと栓を開けた。

ゴクリっ!

立ったまま、それに口をつけ一口だけ飲み込む。

ミルクと血液が混ざったような不思議な味が口に広がってくる。

一昨日、立ち寄った村で分けてもらった貴重な飲み物だ。

「さて…」

栓をしたギブユを大切にしまうと、

あたしは再び歩き始める。



バサッ…

歩き始めてから程なくして、

一陣の風サバンナを吹きぬけると、

纏っているシュカが大きくめくり上げられた。

『あっ…』

一瞬の出来事だった。

慌ててその裾を押さえるが、

ブッ!

その弾みでシュカは外れ、

フワリと地面に舞い落ちる。



『あちゃぁ!』

ムワッ!

汗の臭いを漂わせながら、

あたしは落ちたシュカを拾い上げるが、

だが、その伸ばした腕は陽の光を受け黒く輝き、

しかも、それは腕だけではなく、

あたしの身体全体がその色に覆われているのだ。

『………』

しばし手を止めたあたしは、

じっと、黒い肌の自分の手を見詰めると、

腰に下がる短剣を抜き、

その刃先で黒い肌を軽く引っかいた。

鋭く尖った刃先は瞬く間にあたしの肌を傷つけ、

ジワッ

傷口より赤い血が滲み出てくる。

チュッ!

すかさずその傷口をあたしは舐めると、

『大丈夫、

 あたしは生きている…

 だから…』

と呟きながら

赤茶色のシュカを拾い上げた。

そして、

長く伸ばした縮れ毛に、

赤茶色の土を練り込んだ髪を持ち上げ、

シュカを纏うと歩き始めた。



夜…

小さく燃える火を見詰めながら、

あたしはシュカを纏ったまま座り込んでいた。

ここにきて幾日が過ぎたのだろうか…

あたしが居なくなって家族は心配しているだろうか…

友達はあたしを探しているのでは…

などと考え込みながら、

あたしは無意識に自分の胸を触ると、

バッ!

纏っていたシュカを脱ぎ捨て、

炎の明かりに自分の体を晒す。

赤茶けた髪、

膨らみが消え、代わりに筋肉が逞しく盛り上がる胸。

腹筋の凹凸が浮かび上がるお腹、

幅広の厳つい肩、

そして忌まわしく存在を誇示する。

股間の肉棒・オチンチン…

どれも、かつてのあたしには無縁のものだった。

だけどいまのあたしは黒い肌に覆われ、

それらを身に纏っている。

『マサイ…』

あたしの口からその言葉が漏れる。

そう、あたしはマサイ…

マサイの戦士・モランである。

漆黒の肌も、

赤茶けた髪も、

逞しく盛り上がる胸板も、

凸凹の腹筋も、

股間の肉棒も、

すべてマサイの戦士の証である。

チャラッ!

戦士としてのアクセサリーである髪飾りを揺らし、

原色のビーズで作った胸飾りから音を立てながら、

シュッシュッ

シュッシュッ

あたしは長く伸びた肉棒を扱い始めた。

『あぁ…』

こうして日に数度、

あたしは真っ黒なオチンチンを扱き、

そして、溜まっているあるモノを吐き出すのである。

シュッシュッ

シュッシュッ

『んあぁぁ…』

顎を突き上げ、

鼻の穴を大きく広げ、

半開きの口からはあえぎ声を漏れてくる。

チャラッ

チャラッ

チャラッ

髪飾りや胸飾りを盛大に揺らせ、

音を立てながら、

あたしはオチンチンを扱き、

そして、

『うぉぅぅぅぅ!!』

獣の遠吠えに似た雄叫びを上げると、

シュシュッ

オチンチンの先から白く濁った生臭い液体が迸った。

『はぁ〜っ』

ドッ!

虚脱感を感じながらあたしはさっき脱ぎ捨てたシュカの上に身を横たえる。

身体を覆う肌と同じ漆黒の夜空には無数の星が瞬き、

ジッとあたしを見下ろしている。

そして、

それを見詰めながらあたしは余韻に浸っていると、

あたしがマサイにされたあの日のことを思い出していた。

すべてはあの一人の女子生徒によって引き起こされたあの事件…



それは梅雨明け間近のひどく蒸し暑い夜のことだった。

「はぁ…

 もぅ先生ったら、

 こんなに遅くまで居残りさせなくてもいいじゃないっ」

額を流れる汗を拭きながら、

夏服姿のあたし・笹塚理美は灯りが落ちた廊下を歩いていた。

「ホント

 生徒会と言うのも楽なものじゃない。

 と聞かされてきたけど、

 聞くのと実際やってみるのとでは大違いだわ、

 次々と無理難題押し付けられて、

 ちっとも仕事が捗らないじゃない。

 もぅっ」

明後日に迫った球技大会の打ち合わせや準備に時間をとられ、

目処がついたときは既に夜の9時を回っていた。

無論、家族にはケータイで事情を話していたので、

了解は取り付けているけど、

でも、連日の裏方作業はあたしを苛立たせていた。

そして、

「はぁ…

 どこか遠くに行きたいなぁ…」

と呟きながら家庭科実習室の前を通り過ぎたとき、

コトン…

っと中から何かが落ちる音が響き渡った。

「!!っ

 あれ?

 誰か居るのかな?」

明かりが落とされ暗闇が支配しているはずの実習室から、

なにか人の気配を感じると、

閉じられている扉に手を掛け、

ガラッ!

一気に引いて見せた。

だが、

ガラン…

至極当然の如く中には人の姿はなく、

さっきまで感じていた人の気配も消え失せていた。

「んーっ、

 考えすぎだったかなぁ?」

首をひねりながら、

あたしは引き返そうとすると、

バタン!

開いていたドアがいきなり閉まり、

「うそぉ!」

あたしは慌ててドアを開こうとするが、

ドアが閉まるのと同時に鍵がかけられたのか、

幾ら引いてもビクともしなかった。

そして、

「ちょっとぉ、

 警備員さんっ

 あたし居ます!」

あたしは怒鳴りながらドアを幾度も叩くが、

返事は返ってこなかった。

「まったく…

 いいわっ、

 電話で呼びつけよう」

あたしはケータイを取り出し、

学校に電話をかけようとすると、

なぜかディスプレイには”圏外”のマークが出ていて、

電話をかけることが出来なかった。

「そんな…圏外だなんて…

 どういうこと?」

無常にも表示されるマークを見詰めながら、

あたしは困惑していると、

「もぅ、電話は通じませんよ」

と女の子の声が響き渡った。

「きゃっ!」

突然響いたその声にあたしは悲鳴を上げると、

「ふふっ

 こんばんわ、笹塚さん。

 生徒会のお仕事も大変ですね」

の声と共に一人の女の子が闇の中から浮かび上がるように姿を見せた。

「だっ誰?」

怯えながらあたしは聞き返すと、

「誰?だなんて…

 笹塚さんと同じクラスの西島真由美ですよ」

と彼女は言う。

「西島…

 真由美?」

彼女が告げたその名前と普段の顔を思い出そうとするが、

なぜかあたしの脳裏には浮かばず、

「えぇーと」

と考え込んでしまうと、

「そうね…

 あたし…影が薄いから…」

と西島さんは寂しそうに呟いた。

「いや、そんな…

 ごっごめんなさい」

あたしは自分の言葉で西嶋さんを傷つけてしまったことを詫びると、

「いいのよ…

 もぅ、ここはあたしには用のないところだから」

と呟いた。

「用のない?

 学校が?」

その言葉にあたしは聞き返すと、

「えぇ…

 毎日ここに来ても嫌なことばかり、

 だからね。

 あたしからサヨナラすることにしたのよ」

と彼女はあたしに言う。

「あっ!」

彼女のその言葉を聞いて、

あたしはいつも虐められている一人の少女のことを思い出すと、

改めて西嶋さんの顔を見た。

「うふっ

 思い出したようね、

 そう、いつも虐められている、

 虫けらの女よ」

と自虐的に西嶋さんは呟くと、

「そんな…

 違うわよ」

咄嗟にあたしはそう言うものの、

「何所が?

 ついさっきまであたしのこと思い出せなかったでしょう?」

と彼女は痛いところをついてきた。

「うっ

 それは…」

思わずあたしは声を詰まらせると、

「ふふっ、

 いいの…

 あたしは今夜、サヨナラをするから、

 そして、

 明日、新しいあたしとなって生きるのよ」

西嶋さんはあたしを見ながら呟いた。

「サヨナラ?

 新しいあたし?」

その言葉の意味を尋ねると、

「ディンガ族の勇者になるの、

 こんな地味な女ではなくて、

 服は纏わず、

 一本の槍で生き抜く強くて逞しい、

 ディンガ族の勇者…

 その勇者にあたしはなるのよ」

と彼女は言う。

「???

 意味がわからないよぉ」

彼女が言った言葉の意味が判らずにあたしは困惑すると、

「でも、あたしが変身をするのに、

 誰かの手助けが必要なの、

 そこに来てくれたのが笹塚さん。

 うふっ、

 あたしの変身を手伝ってくださらない?」

と言うと、

顔しか見えなかった西嶋さんがその全身を見せた。

「!!っ

 西嶋さん…裸…」

身体全体が光っているかのように、

西嶋さんはその白い全身の肌をあたしに見せ付ける。

小さく膨らんだ胸、

緩い括れ、

恥ずかしそうに飾り毛が覆う股間…

まさに発育途上の女の子の裸体にあたしは頬を染めると、

「ディンガ族には服なんて要らないのよ」

と彼女は囁き、

そして、手にしていたある物をあたしに見せる。

それは紛れもない男性の性器…だった。

「いやっ、

 なにこれぇ!」

真っ黒な肌と

まるで生きているかのような瑞々しさに、

あたしは悲鳴を上げるが、

「うふっ、

 これはディンガ族に伝わる呪術の道具、

 笹塚さん。

 これを使ってあたしを犯して…

 そうすればあたしはディンガの勇者になれるわ」

と懇願してきた。

「そんな…」

思いがけない西嶋さんの言葉にあたしは困惑していると、

ピシッ!

いつの間にかあたしの身体は指一本動かせなくなり、

そして、そんなあたしを見透かすかのように西嶋さんは近寄ってくると、

「制服を着ていては出来ないでしょう」

と言うなりあたしの肩に手を乗せ、

「○○○…」

なにか呪文のような言葉を詠唱した。

その途端、

ジワッ…

あたしが着ていた制服はまるで溶け落ちるかのように消えうせ、

あたしは瞬く間に裸にされた。

そして、

「さぁ、そのオチンチンをお股につけて…」

と西嶋さんが告げながら、

さっきのオチンチンをあたしの手に乗せると、

グッ!

あたしの手はひとりでに動き、

手に載せられたオチンチンをあたしの股間にある溝の中に押し込み始めた。

「いやっ、

 やめて!」

グイグイと押し込まれる感覚と、

自分の意思とは裏腹に動く手にあたしは悲鳴を上げるが、

だが、真っ黒なオチンチンは次第にあたしと一体化してゆくと、

ビクンッ!

勢いよく股間から起立してしまった。

「いやぁぁぁ!!」

あたしの悲鳴が教室中に響き渡り、

ピンッ!

股間から黒いオチンチンを勃起させながらあたしは泣き叫けぶが、

「さぁ、

 そのオチンチンであたしを犯してぇ」

と言いながら西嶋さんは机に手を置き、

グィとお尻を突き出した。

すると、

「え?

 え?

 えぇ!?」

またあたしの身体は勝手に動きだし、

そして、西嶋さんの腰を鷲づかみにするや否や、

メリッ!

「あぐぅっ」

なんと、彼女の肛門にオチンチンを押し込み始めてしまった。

「いやっ

 止まってぇ

 汚いよぉ

 お願いだから止まって!」

それを見ながらあたしは悲鳴を上げるが、

「…いいのよっ

 これがディンガになるための儀式、

 さぁ、笹塚さん。

 腰を振って思いっきりあたしを犯してぇ」

お尻を犯される痛みを堪えながら彼女はそう言うと、

グッ

グッ

グッ

あろうことかあたしは腰を振り始めてしまった。

「だめぇ!!

 やめてぇ!!

 こんなことしたくないよぉ」

腰を振りながらあたしは叫んでいると、

「あふっん、

 んんっ

 いいわ、

 あぁ、身体が

 身体が熱い

 熱いよぉ!!」

と訴えながら、

西嶋さんの肌は見る見る黒くなり、

おかっぱ頭の髪が抜け落ちていくと、

そのままの姿勢で四つんばいになり、

うめき声をあげる。

そして、

メリッ!

ゴキッ!

グキッ!

西島さんの手足が伸び、

肩幅が広がり、

腰は小さく、

お尻に凹みが出来ていくと、

頭には縮れた髪の毛が生え揃っていった。

「あぁぁ、

 イクイク!!」

西島さんがそう声を上げると、

ビク!

「うっ

 あたしもなにか

 なにかがオチンチンからでるぅ」

あたしもまた股間に何かが溜まってくるのを感じ、

ほぼ同時にあたしと西嶋さんが声を高みに達すると、

ビュッ!!

ジュゥゥゥゥ!!!

あたしは強烈な放出感に酔いしれたのであった。



ハァハァ

ハァハァ

お互いに荒い呼吸をし、

そして、先にわたしが我に返ると、

「はっ

 ないっ

 ないないっ

 オチンチンが無くなっている」

と声を上げて無理やり付けられたオチンチンが無くなっていることを喜ぶが、

その喜びもつかの間、

ムキッ!

まるで男のような、

ゴツゴツとした筋肉が盛り上がっていることに気付くと、

「うそぉ!

 なにこれぇ!!」

肌の色こそは黒くはなっていないが、

変わり果てた自分の姿に悲鳴を上げた。

その一方で、

「はふぅ

 はふぅ」

西嶋さんは息を整えながら、

漆黒色に染まった自分の身体を見詰めていた。

「にっ西嶋さん?

 なっなんで?

 なんで…

 どうして…」

自分を含めて目の前で見せ付けられた変身劇が

いまだに信じられないあたしはそう呟いていると、

『ふふっ

 うふふふっ…』

漆黒の肌を晒すディンガ勇者に変身した西嶋さんは笑いながらゆっくりと起き上がり、

変身を終えた自分の体を確かめ始める。

そして、

『すごい…

 本当に変身したんだあたし…』

と野太い声を上げながら感心していると、

「にっ西嶋さん」

あたしは震える手で彼女を指差しながら尋ねた。

すると、

ニヤッ

白い歯を浮かび上がらせるように西嶋さんは笑みを見せ、

『ねぇ見てぇ…

 笹塚さん。

 あたしの姿を』

と言いながら大きく手を広げ、

自分の身体をあたしに見せ付ける。

天井に迫る2m近い巨体。

厚みのある胸板。

腹筋が盛り上がる腹部。

長い手足に、

唇が厚く、

眼窩が突き出た顔…

何所を見ても以前の西嶋さんの姿とは似ても似つかないものだった。

そして、何よりも、

ブラン…

股間から伸びる巨大なオチンチンの姿に、

「いやっ!」

あたしは思わず目をそむけてしまうと、

『ふふっ

 大丈夫よ笹塚さん。

 あなたもあたしと同じように変身してあげるわ』

とあたしに告げた。

「ハッ!」

その言葉にあたしは振り返ると、

「そんなことよりも、

 あたしの身体を元に戻してよ」

と筋肉が盛り上がる自分の体を指差し迫るが、

『うふふふ…』

西嶋さんはただ笑みを見せるだけで、

ゆっくりと両手をあたしの頬に添えると、

『大丈夫、

 今度は笹塚さんの番よ』

と告げる。

「あっあたしの番ですってぇ、

 ふざけないでよっ

 そんなことよりあたしのこの体を元に戻してよ、

 もぅ用済みなんでしょう?」

そんな西嶋さんにあたしは怒鳴り返すと、

『ダダ・ダイジョウブヨ…』

『ササヅカ・アナタヲ・

 ・・・・ニシテアゲル

 カカ・カラ…』

どういう訳か、

西嶋さんは急に片言の言葉を話し始めると、

次第に話し言葉の速度がゆっくりとなってきた。

「西嶋さん?」

そんな西嶋さんの様子を見ていると、

『サッサッサダツカ…

 ディ・ディンガヨリモ、

 ンマッ

 ンマッ

 マサイガイィ』

と私を指差して言うと、

『ホホホホゥホゥ』

と奇声を上げその場で踊り始めだした。

「ちょちょっと、

 西嶋さんっ!」

踊り狂う西嶋さんを呼び止めようと、

あたしが声を上げた時、

ヌッ!

あたしの周りから一斉に黒い手が伸びると、

グッ!

あたしの手足を掴み、

ズルズルと闇の中へと引き釣り込み始めた。

「いやぁ!!

 やめてぇぇぇ!

 助けてぇ

 西嶋さん!!」

オチンチンを揺らし、

踊り続ける西嶋さんにむかって手を伸ばしながら、

あたしは叫んでいると、

『オッオッオッ

 オワカレ

 ワワワタシ・ディンガ。

 サッサッサダヅカ

 ンマッ

 ンマッサイッ』

と言いながら彼女はあたしを見る。

その途端、

ズォォォッ!

あたしは闇に引き込まれると、

ズイッ!

『ウゴォ』

開いた口に肉棒が差し込まれ、

また、同時にお尻も犯されると、

『うごわぁぁぁ!!』

あたしはこもった悲鳴をあげながら、

無数の男に犯されていったのであった。



ズゴッ

ズゴッ

ズゴッ

『うぉぉぉっ』

ビュッ!

『うっぷっ』

口の中をカリ首を持つ肉の棒が動き、

そして、生臭い粘液を放つと、

同様にお尻を犯している肉棒からも粘液を放った。

そして、それらをあたしはすべて飲み込んでいくと、

焼け付くような熱さと、

メリメリメリ

体全体を引き伸ばされ、

グッグッグッ

膨れていく膨張感を感じていた。

そして、その間に、

ブリッ!

わたしの唇が腫れ上がり、

ムリッ!

股間から何かが勢いよく突き出していく、

チャラッ…

引き伸ばされ、

何かが練りこまれた髪が結い上げられると

軽い音を奏でる飾りが付けられる。

また、首周りや、

胸周りにも紐のようなものが下げられた。

そして、布のようなものが身体に巻かれたとき、

フッ!

ドサッ!

あたしは土ぼこりが舞う地面に投げ出された。

『うぅ…』

全身を覆う激痛にあたしは唸りながらも、

うっすらと目を開けると、

ユラユラと揺らめきながら燃える炎と、

その炎を取り巻くように立っている黒い肌の男たちの姿があった。

『あれは…

 マサイ?』

赤茶けた布を身体に巻き、

鮮やかな装飾を身体に施したサバンナの戦士・マサイ…

かつてガイドブックで見たその姿

そのままの男たちを見詰めながら、

あたしは気を失ってしまった。



どれくらい気を失っていただろうか、

目を覚ましたあたしは閉じていた目を開けると、

日が昇ったのだろうか、

あたりは明るく、

澄み切った青空が目に飛びこんできた。

『ここは?』

キョロキョロと周囲を見回すと、

あたしは岩屋の済みに寝かされ、

その横では燃え盛っていた炎が消え、

燃え尽きた木切れが微かな煙を噴き上げていた。

また、炎の周りを取り囲んでいたマサイの戦士達の姿も無くなり、

ここにはあたし一人が取り残されていた。

『どこ?

 ここ?』

全く見当のつかない場所に居ることに、

あたしは不思議に思いながらゆっくりを起き上がると、

ドロ…

あの時犯され、

大きく開いたままになっていた肛門より白濁した粘液が滴り落ちていく。

『うぅ…

 これって…』

肛門はもとより、

全身からいまだに響いてくる痛みを堪えつつ、

あたしは自分の腕を見ると、

『うそっ

 これがあたしの…』

驚いたあたしの口から男を思わせる低い声が響き渡った。

『!!っ』

それに気付いたあたしは慌てて手を当て口を閉じるが、

カラ・カラン…

土と共に細く練り込められ髪に付けられた飾りがかすかに鳴ると、

『あ…

 あぁ…

 あぁぁぁ…

 これが…

 これがあたしの体なの?』

あたしは自分の顔、

頭、

胸やお腹、

さらには手や脚をさわりまくり、

そして、最後に股間に手を持っていくと、

『ううっ、

 オチンチンがあるぅ』

と涙目で訴えていた。



そう、あたしはマサイ…マサイの戦士・モランになっていた。

さらにいま私が居るところは、

地平線まで荒れ野が続くサバンナであり、

あたしは黒い肌を持つモランの肉体と、

一本の槍、

股間を隠すだけの主染めの腰布・シュカ、

そして、身体を飾る装飾だけの姿で放り出されていたのであった。

『どっどうしよう、

 そんな…

 あたし…』

立ち止っていても何も始まらない。

あたしは困惑しながらも、

残されていた槍を手に取ると、

『そうだ、

 西嶋さんを探さなくっちゃ、

 確か、ディンガって部族の男になったんだよね。

 早く西嶋さんを見つけて、

 元に戻してもらわなくっちゃ』

と西嶋さんの姿を求めて広大な荒れ野・サバンナへと踏み出して行った。



『はぁ…』

星空を見上げながらあたしはここに来たときのことを思い出すと、

『大丈夫よっ

 絶対に西島さんを探し出してみせる』

夜空で瞬く星を見上げながらそう誓っていたのであった。



おわり