風祭文庫・モラン変身の館






「あたしの使命」


作・風祭玲

Vol.707





一日サバンナを焼き尽くした太陽が地平線の彼方へと姿を消し、

辺りも次第に夕方から夜の闇へとその姿を変え始ます。

そして、その中であたしは大急ぎで支度をしていました。

今夜寝るところはこのブッシュの中に盛った砂の上、

無論、周囲を囲う壁もなければ、

身体に掛ける布団もありません。

砂の上であたしはいま身につけている朱染めの衣・シュカを脱ぎ、

横になった身体の上に掛け直すだけです。

無論、お風呂なんてそんな気の利いたものはここにはありません。

というより、最後にお風呂に入ったのは遠い昔のような気がします。

サクッ!

日中、あたしの身を守った槍を地面に突き立て、

いよいよ寝るだけとなったとき、

ザクッ

ザクッ

あたしの周りに黒い脚がぐるりと取り囲みました。

「あっ」

それを見た途端、

ジワッ…

あたしのお尻がムズ痒くなってきます。

「用意はいいか」

低い声が響き渡ると、

「はい」

あたしは返事をして身につけているシュカの裾を捲りあげると、

黒い肌が覆うお尻を露わにしました。



♪〜っ

日の落ちたサバンナの大地に男達の歌声が響き渡り、

その歌声が始まると、

ヒタッ

あたしのお尻を抱えるように手が添えられ、

それと同時に弾力性のある何かが押し当てられます。

「うっ」

その感触にあたしは思わず肛門に力を入れてしまいますと、

「力を抜け、

 痛い思いをするだけだ」

と声が響きます。

「はっはい」

その声にあたしが一瞬、肛門の力を抜きますと、

あたしのスグ後から歌声が上がり、

グッ

お尻を掴む手に力がこもります。

そして、

ギュムッ

肛門をこじ開けるように、

弾力性のある物体が押し込まれたのです。

「うがぁぁぁ!」

肛門に走る激痛にあたしは思わず悲鳴を上げますが、

ググッ

グググッ

ねじ込められるそれは容赦なく肛門を押し広げ、

あたしの奥深くへと潜り込んできます。

「あぁ…

 うぐっ

 いっ痛い…
 
 熱い…」

感じる痛みはいつしか熱さへと変化し、

ポタ

ポタ

首周りから浮き出た汗は顎を回り、

パウダーの様な砂の上に落ちます。

「くはぁ

 はぁはぁ
 
 はぁはぁ」

内臓が押し上げられるような感覚の中、

あたしは肩で息をしていますと、

♪〜っ

歌声が高らかに響き、

グググッ

深々と押し込まれたそれが引っ込み始めました。

「あぐぅぅぅ」

押し込まれるときとは正反対の引き抜かれる痛みがあたしを襲い、

またあたしは声を上げます。

しかし、そんなあたしに構うことなく、

グググッ

引き抜かれ掛けたそれはまた押し込まれ、

次第にその動きは速く、

そして、大きくなっていきました。

ギュムッ!

「うぐっ」

ギュッ!

「うぐっ」

ギュッ!

「あぐっ」

夜の暗闇が迫る中、あたしは肛門を犯され続けます。

これまでに何度も犯され、激痛を味わいました。

そんな中、あたしはさっき地面に突き刺した槍を見つめます。

母さんがあたしに託したモランの槍…

その槍の姿にあたしは励まされるのです。

この激痛に耐え、

一日も早く一人前のマサイの戦士となり、

あの憎い呪術師を倒して父さんと母さんを取り戻すこと。

それが今のあたしがすべきことです。



物心付いたときからあたしの傍には母さんは居ませんでした。

父さんに母さんのことを聞いても詳しくは教えてくれなかったので、

きっとあたしが幼いときに離婚したものだと思っていたが、

でも、たまに母さんが家にいるのではないか、

と思わせることもしばしば起きていました。

朝起きると家の中が綺麗に片付けられていたり、

さらには洗濯や食事の支度までキチンとされていることもありました。

無論、家事は父さんとあたしの当番制だけど、

でも、あの忙しい父さんがそこまでするとはとても思えなかった。

そしてあたしが中学生になったとき、

衝撃的な光景を目撃してしまったのです。

それは間近に迫った定期テストに備えて、

勉強を遅くまでしていたあたしがトイレに向かったとき、

ふと父さんの部屋から明かりが漏れていることに気づきました。

てっきり電気を付けっぱなしで父さんが寝てしまったものと思い、

部屋のドアを少し開けてみると、

その中で起きている父さんの姿を見つけました。

”なにをしているんだろう”

部屋の中で胡座をかきながらジッと窓を覆うカーテンを見つめている父さんの

いつもと違う雰囲気にあたしは怖々様子をうかがっていると、

♪〜っ

どこかしらから、人の叫び声のような、

歌声のようなそんな声が響き渡ってきました。

”なに?

 この声?”

声色の低い男性の声で雄叫び混じりの

日本語とは明らかに違う歌詞にあたしは戸惑っていると、

♪〜っ

歌声は近づいてきているか、

不明瞭だった声が次第にハッキリと聞こえるようになり、

部屋を異様な空気に包んでいきました。

そして、一際声が高鳴ったとき、

父さんの目の前にあるカーテンが薄く輝き、

シルエットが浮かび上がったのです。

”幽霊?”

あり得ないことにあたしはパニックに陥りますが、

でも、父さんは怯えることなくジッとカーテンを見つめたままでした。

すると、シルエットの人影が発するのか、

甲高い雄叫びが部屋中にこだまします。

するとカーテンごしに見えるシルエットが

その場で小刻みにジャンプを繰り返しはじめたのです。

”なっなんなのっ

 これぇ”

あたしにとって何が起きているのか

まったく訳がわかりませんでした。

ただ、シルエットの右手と思われる所から

長い槍を思わせる棒を持っている事がはっきりと見て取れ、

ジャンプと同時に上下します。

そして、シルエットが発する甲高い雄叫びがさらに一段と高くなると、

ピタッ

突然シルエットは動きを止め、

右手にした棒のようなものを父さんに向かって構えると、

腰を落とすとそれを投げるような仕草を見せたのです。

”きゃっ”

それを見たあたしは思わず怯んでしまいましたが、

しかし、父さんは怯むことなく徐に立ち上がり、

シルエットを映し出すカーテンへと近寄ると、

「おかえり、

 早苗」

と声を掛けたのです。

”早苗って?

 母さんの名前?”

父さんの口から発せられたその言葉にあたしは驚いていると、

カーテンに父さんは手を掛け、

シャッ!

一気に引いたのです。

そして、その次の瞬間、

あたしの目に飛び込んできたものは

とても信じられないものであった。

”まっマサイ!

 マサイの戦士!?”

そう、あたしが目撃したのは

引き締まった筋肉質の身体と、

それを覆う黒檀色の肌を輝かせ、

朱に染めた布を腰に巻き、

茜色に染まった髪を振り乱して槍を構えている

紛れもないマサイ族の戦士だったのです。

”なっなんで、

 マサイの戦士が?”

突然現れたマサイの戦士にあたしは呆然としていると、

スッ

マサイの戦士は構えていた槍の剣先を上へと上げました。

そして、険しい表情が見る見る温厚な表情へと変わると、

厚い唇が動き、

「ただいま…」

と日本語で挨拶をしたのです。

”え?

 えぇ?!
 
 マサイの戦士が日本語で挨拶をしたぁ?”

てっきり意味不明の言葉を発するものだとばかり思っていたあたしは

父さんの前に立つマサイの戦士が発した日本語に困惑しました。

すると、マサイの戦士は構えを解き、

ゆっくりと立ち上がると、

次の瞬間、なんと父さんに抱きついたのです。

そして、父さんも抱きついたマサイの戦士を嫌がることなく、

それどころかマサイの戦士を同じように抱きしめたのです。

”え?

 え?
 
 えぇ?
 
 マサイの戦士が父さんが抱き合っている?!
 
 どっどういうコトぉ”

考えたことすらなかった現実にあたしは思わず飛び出してしまうと、

「あっ

 優美っ」

「ゆっ優美ちゃん!!」

父さんとマサイの戦士はあたしの名前を呼びました。

しかし、その時のあたしにはマサイの戦士が

あたしの名前を呼んだことを気にとめず、

「出て行って!

 出て行って!」

と叫んだのです。

すると、マサイの戦士は一瞬驚いた顔をした後、

ニッコリと微笑み、父さんを見ました。

その途端、父さんはあたしの前に立ち、

「優美に見られてしまったからには仕方がない」

ため息混じりにそう言うと、

「優美…

 お前には黙っていたけど、
 
 この人がお前のお母さん、早苗だよ」

とあたしに告げたのです。

”え?

 あたしのお母さん?
 
 このマサイの戦士が?
 
 あたし、マサイの戦士の子供?”

父さんのその言葉にあたしはキョトンとしますが、

そのスグ後に、

「きゃはははは!!

 いきなり何を言うのお父さん」

と笑い声を上げてしまったのです。

すると、

「優美っ

 信じられないかも知れないが、

 この人は紛れもないお母さんだよ」
 
と父さんは言います。

でも、あたしはその言葉を信じることは出来ず、

「ちょっと待って、

 なんであたしがマサイの戦士の子供なのよ、

 何処を見てもあたしは日本人とマサイのハーフじゃないし、

 それに、マサイの戦士って男の人でじゃない。

 そのマサイの戦士がどうやってあたしを産んだのよ」

と反論をしました。

「優美ちゃん…」

その時、マサイの戦士があたしの名前を呼びます。

「ちょっと、なれなれしくあたしの名前を呼ばないで」

名前を呼んだマサイの戦士にあたしは言い返すと、

「そうか…」

父さんは一言、そう呟きました。

その時です。

『見つけたぞ』

部屋の中におどろおどろしい声が響き渡りました。

すると、

ザッ

マサイの戦士は空を睨み付けながら手にした槍を構え、

また父さんは

「優美っ」

あたしの名前を叫びながら庇いました。

「何、この声」

意味が判らないあたしは叫ぶと、

『げへへへへ…

 ンバエよ、

 時々居なくなると思っていたが、

 まさか、ここに戻って来ていたとわな』

とあの声が響き、

フワッ!

いきなり部屋の中に白い煙がわき上がると、

マサイの戦士が腰に巻いているのと同じ朱染めの布を身に纏った老人が姿を見せました。

「お前は!」

それを見た父さんが声を上げますと、

『ゲヘゲヘゲヘ

 私が消えたと思ったか、

 ゲヘ

 あの程度で消える私ではない。

 姿を隠し、
 
 お前達が何をするのか見ていたのだ』

と老人は父さんとマサイの戦士に言います。

「何を!」

『ゲヘ、

 ンバエよ、すっかり逞しくなったな

 やはり実際のサバンナで鍛え上げた方が

 モランの成長にはいいらしいのぅ』

老人は睨み付ける父さんとマサイの戦士にそう言うと、

「何を言うっ

 お前を倒し、
 
 私はこの娘の母親に戻る」

と槍を構えたままマサイの戦士は怒鳴り返しました。

「え?」

マサイの戦士の言葉にあたしは驚くと、

「父さん…

 これってどういうコト?」

とあたしを庇う父さんにコトの子細を尋ねると、

「優美…実はな…」

あたしの質問に父さんはあたしが幼い頃に起きたある事件を話し始めたのです。

…それはあたしが保育園に預けられていた時のこと、

 この家にある荷物が宅配されたのです。

 送り主に心当たりがない父さんと母さんが荷物を解くと、

 中から出てきたのは古びた鏃と一体のマサイ戦士の木彫り人形でした。

 気味悪いから捨ててしまおうか。と言う母さんに対して

 父さんは、飾り物に使えそうだと言う理由で

 人形を家に置いておくことになったのですが、

 けど、そのころを境にして母さんの様子が少しずつ変化し始めたのです。

 家事をしているときに突然、意味不明のことを叫んだと思えば、

 着ている衣服を脱ぎ捨て裸で歩き回るようになったりして、

 最初、父さんは育児ノイローゼかと思ったそうですが、

 でも、母さんの体の変化が始まりだすと、

 その考えも吹き飛んでしまったそうです。

 そして、母さんの体に起きた変化というのは、


 ”マサイ戦士・モランへの変身”


 だったそうです。

 色白の肌が褐色に、

 黒檀色へと染まっていくと、

 あたしがしゃぶり付いていたオッパイは発達する胸板へと飲み込まれ、

 また、胸板だけではなく体中の筋肉が発達していくと、

 手足、そして背が伸びていったそうです。

 当時のアイドル・Aによく似ていると言われた顔も、

 眼窩が突き出、唇が厚いマサイの精悍な顔へと変わり、

 さらには、長い髪も縮れ毛へと変わり、

 茜色に染まると頭を飾ったそうです。

 そして、あたしを産み落とした股間からは男のシンボルが生え出すと、

 父さんのそれよりも一回りも二回りも太くて長いオチンチンが下がり、

 ついには日本語で言葉を交わすことも出来なくなってしまったそうです。

 そう、母さんは一人のマサイ、

 戦士・モランになってしまったそうです。

 オチンチンを振り回してマサイジャンプを始めだした母さんの姿に

 父さんは呆然としていると、

 あのマサイ人形から突然煙が吹き出、

 その中より朱染めの衣を身体に巻いた一人老人が姿を見せたそうです。

 そして、老人は父さんに自分は呪術者であることと、

 母さんを贄にしたモラン復活の呪詛を掛けたことを告げました。

 最初は驚いていた父さんでしたが、

 すぐに呪術師に母さんを元に戻すように迫りましたが、

 しかし、呪術師はそのことには首を縦に振らなかったそうです。

 そして、はじまった父さんと呪術師の闘い。

 素手の父さんに対して呪術師は優位に闘ったそうですが、

 でも、マサイになったはずの母さんにまだ心が残っていて、

 呪術師の隙をついて母さんが鏃を呪術師に打ち込み、

 悲鳴を上げながら呪術師は消えていったそうです。

 でも、呪術師は消える間際に別の呪いを母さんに施したそうです。

 それは…モランの呪詛を固定化させる呪い。

 つまり、呪術師は退治したけど、

 でも、母さんは元の姿に戻ることはなく、

 マサイの戦士・モランの姿のまま生きていくことになったのです。

 当然、マサイの姿のままではここでは暮らしていけません。

 父さんと今後を話し合った母さんは

 マサイの秘術でマサイ達が暮らすサバンナへと向かい、

 時折、様子を見に戻って来るようになったそうです。

以上の話を聞かされてあたしは全ての疑問が解けると共に、

あたしの心の中に呪術師に対して憎しみが生まれました。

だってそうでしょう。

この呪術師が母さんを変身させなければ、

あたしは平穏に暮らせたのですから、

そう思うと、いま復活した呪術師と対峙し闘っているマサイの戦士…

そう、母さんに向かってあたしは思いっきり応援の声を上げました。

けど、あたしの応援にもかかわらず母さんは呪術師に押されて行きます。

そして、

カンッ

母さんの手から槍がはじき飛ばされると、

その槍はあたし目がけて飛び、

カッ!

あたしの足下に突き刺さりました。

「優美ちゃん、

 逃げて!」

母さんの悲鳴が上がりますが、

「え?」

あたしはその槍を手にしたままオロオロします。

すると、

『ゲヘヘヘヘヘ

 その娘にはいま用はない。

 用があるのはお前の方だ』

と呪術師は父さんを指さしそう告げます。

すると、

「うわっ」

と父さんが胸を押さえ、

声を上げたのです。

「お父さん?」

その様子にあたしは思わず尋ねると、

「優美っ

 来るなっ」

苦しそうな息をしながら父さんはあたしにそう言います。

「何が、

 どうしたの?」

父さんの言葉に意味が判らずにあたしは尋ねたとき、

ムリッ

ムリムリムリ!!

父さんの胸が膨らみ始めていることに気づきました。

しかも、変化しているのは胸だけではなりません、

父さんの肌が褐色に…さらに黒く染まっていくと、

シャツから覗く手が細くなり、

またその顔も変わり始めました。

「あっ

 あっ
 
 あぁ…」

見る見る変化していく父さんの姿にあたしはパニックに陥ると、

フーッ

フーッ

トタ

トタ

荒い息に血走った目をしたマサイ戦士姿の母さんが父さんに近づき、

手を伸ばすと父さんのシャツに手を掛けたのです。

そして、

ビリィ!

布を引き裂く音が響き渡ると、

ハムッ!

「あぁんっ」

なんと母さんは飛び出した父さんのオッパイにしゃぶり付いたのです。

「やっやめて…」

あたしは声を絞り出しながらそう訴えますが、

しかし、褐色から黒檀色に肌を染め、

さらにオッパイを膨らます父さんの姿はまさにマサイの女…

そんな父さんをマサイ戦士の姿をした母さんが押し倒すと、

ズルッ!

母さんの股間から衣を押しのけて、

黒光りした大きなオチンチンが姿を見せ

その剣先は父さんの股間へと向かいます。

そして、ズボンを脱がされた父さんがその股間を大きく開いたとき、

クニッ

あたしの目に女の性器の姿が焼き付けられました。

「父さん…

 本当にマサイの女になってしまったの…」

呆然とするあたしを余所に母さんと父さんは唇を重ね、

そして、母さんは股間の勃起したオチンチンを父さんの中へと挿入し始めたのです。

あたしの目の前で、

黒い肌を輝かせながらマサイの戦士・モランとマサイの女が愛し合います。

でも、この二人はあたしの母さんであり、

そして父さんであります。



クチョ

クチョ

クチョ

「あっ

 あおっ
 
 おぉっ
 
 おぉっ」

流れる汗を振りまきながら母さんは腰を振り、

そして、父さんはムッチリ膨らんでしまったお尻を振ります。

マサイ族の男と女の情事…

でも、その正体はあたしの母さんと父さんです。

「やめて

 やめて
 
 やめて」

槍を抱きしめながらあたしは幾度も叫びました。

でも、母さんが雄叫びを上げたとき、

父さんも絶頂に達したのか、

二人揃って身体を痙攣させたのです。

恐らく、父さんの体内では

母さんが出すマサイの精液が怒濤のように注ぎ込まれているのでしょう、

そして、二人が離れたとき、

父さんの身体に次の変化が始まったのです。

それは、お腹が膨れだしたこと。

母さんの精液を全て受け入れた父さんのお腹が見る見る膨れ、

瞬く間に臨月を迎える妊婦のようになってしまいました。

それどころか、

程なくしてなんと出産が始まったのです。

陣痛なのでしょうか、

父さんがお腹をおさえて苦しみ始めると、

その股間から液体が流れ出しました。

そして、程なくして、

ズズ

ズズ

父さんのオマンコが大きく伸びると、

その中より褐色の肌をした赤ちゃんの頭が飛び出し、

さらに肩が出ると、

ズルッ!

父さん…いえ、マサイの女は男の子を出産をしてしまったのです。

けど、生まれた男の子はただの赤ちゃんでありませんでした。

立ちつくすあたしの目の前で赤ちゃんは急速に成長してゆくと、

ゆっくりと立ち上がります。

生まれてからたった10分程度の時間で、

赤ちゃんは黒い肌を輝かせ、

筋肉質のマサイの男になってしまったのです。

そして、ゆっくりとあたしの方を見ると、

「ふふっ

 どう?

 姉さん?
 
 私の新しい身体は?」

と笑みを浮かべて尋ねたのです。

彼の口から出た言葉…

それはまさしくあの呪術師の声でした。

言葉でした。

「ねっ姉さん?」

彼の言葉にあたしはそう返すと、

「ふふっ

 だってそうでだろう?

 僕たちは同じ親から生まれた兄弟だよ、

 ふふっ
 
 これから仲良くしていこうよ」

と男は言い、

あたしに手を差し伸べました。

「じ、冗談じゃないわ、

 あなた、あの呪術師の爺さんでしょう。

 何のマネ?

 父さんと母さんを元の姿に戻してよ」

あたしはそう怒鳴り返して男の手をはねのけると、

「ふふっ

 姉さんって乱暴だなぁ…

 そんな乱暴者はサバンナで修行をするといいよ、

 ふふっ

 オチンチンは僕が付けてあげる」

手首を押さえながら男はそう言うと、

上目遣いであたしを見た。

そして、その次の瞬間、

あたしの視界は一回転したのです。



「あぁ」

「うぉ

 うぉ
 
 うぉぉぉぉぉっ」

夜空にあたしの声と男・マサイの戦士の声が響き渡り、

じゅぅぅぅっ

あたしの体内奥深くに精液が放たれました。

メリメリメリ

ミシミシ…

あれから大分時間が経ちました。

あたしの身体の中から身体を作り替える音が響き渡ります。

サバンナに放り出されたあたしの股間には一本のオチンチンが生やされていました。

でも、それ以外は優美のままでした。

そして母さんの槍を抱えたままあたしはサバンナを彷徨い、

とあるマサイ村でそこの長の息子として養子に迎え入れられたのです。

髪を全て剃り落とされ、

服も捨てさせられたあたしに与えられたのは、

長の死んだ息子が着ていた、子供サイズの朱染めの衣・シュカ…

シュカから伸びる肩ひもを肩に掛けて長さを調整しますが、

隠せるのは股間とお尻のみの頼りない衣です。

でも、そんな姿であってもあたしはマサイ戦士の端くれ、

上の者達と共に村を立てば、

毎夜のようにお尻を犯され、

モランの魂を注ぎ込まれるのが日課となるのです。

翌朝、あたしの身体は少し逞しくなっていました。

でも、あの呪術師を倒すにはまだまだだと思います。

秘術も使えませんし、

シンバだってまだ倒せません。

モランの1年生、それが今のあたし。

でも、頑張ります。

頑張って呪術師と対当できる力を得て、

あたしは父さんと母さんを救い出すのです。

それが今のあたしの使命なのです。


この槍に誓って…



おわり