風祭文庫・モラン変身の館






「スクリーン」


作・風祭玲

Vol.687





『君が協力してくれたおかげで無事撮影が済んだよ』

広大なサバンナを背景にして、

あたしに向かって手を指しなしながら恰幅の良い男性はそう言うと、

『いえっ、

 僕は当然のことをしたまでです』

とあたしははにかみながら返事をした。

『この映画を撮ることはわたしの長年の夢だったのだよ、

 だが、なかなかマサイ達は撮影に協力してくれなくてね、

 一時は諦めかけていたところに、

 君が彼らを説得して話を纏めてくれて、

 いやぁ、本当に感謝しているよ』

と言いながら映画を撮り終えた満足感からか、

男性…監督さんはあたしの手をギュッと握りしめ、

幾度も感謝の言葉を口にする。

『はぁ…

 とにかく、監督さんの願いが叶って良かったですね』

やや乱れてしまった朱染めの衣・シュカを身体にまき直しながらそう尋ねると、

『うむ…

 後はラボに持ち帰って編集をする作業が残っているがね、

 あぁ…
 
 ラボというのはここで撮影したものを…』

と監督さんは説明を始めだした。

幾度も聞かされたその説明にあたしはややうんざりすると、

『どういう事をするのか判ってますよ、

 早く監督さんの映画が世界の人に見られるようになるといいですね』

その話を断ち切るようにあたしは言う。

『うむ…』

あたしの言葉に監督さんは大きく頷くと、

『それにしても君…随分と映画のこと、

 特に撮影に関して詳しかったけど…

 以前、どこかで勉強をしてきたことがあるのかい?』

と監督さんはあたしの頭の先から足の先まで視線を幾度も動かしながら尋ねた。

『え?

 えぇ…まぁ…』

彼のその質問をはぐらかすようにしてあたしは答えると、

ジワッ

トンボ玉の腕飾りが付く左腕が微かにムズ痒くなった。

「あっ」

それを感じたあたしは慌てて左腕を隠すと、

『ふむ…

 まぁ、黙っていても世界中の情報が入るからな、

 君みたいなマサイにも外の世界の情報を耳にすることもあるか…

 おっと…

 いまの言葉は決して君を見下したわけではないんだぞ』

うっかり失言してしまったコトに気づいた監督さんは慌てて発言を訂正すると、

『では、君たちを村に送ろう、

 クルマを用意するから待ってなさい』

『あっありがとうございます』

監督に向かってあたしはそう返事し、

『じゃ、仲間の所に戻ります』

と告げると撮影スタッフ達が慌ただしく動き回る場所を後にした。



撮影現場からさほど離れていないところであたしと同じ朱染めのシュカを身に纏い、

漆黒の肌を持つ7人男達が槍を地面につきたて座り込んでいた。

皆、立派なマサイの戦士達である。

そんな彼らを見つめながらあたしは側に寄っていくと、

「あっ、

 コルヤっ」

と1人戦士があたしを見つけるなり声を上げた。

ラウと言う名前を持つ彼はあたしよりも年下らしいが、

でも、サバンナの経験はあたしよりも遙か上である。

「ただいま戻りました」

戦士達に向かってあたしはそう言うと、

「そうか…」

「あの、おっさん、

 ウシについて言っていたか?」

と黒い顔に赤土の模様を描いたツツカがあたしに話しかける。

「うん、

 あたし達を村に送るって」

その問いにあたしは小さく呟くと、

「なんだよ、ウシの話は無しか」

「大丈夫なんだろうなぁ…」

あたしの言葉に他の戦士達が次々と質問してくるが、

「それは大丈夫、

 ウシは村に着いたってこと、

 無線機で話していたのを聞いたから…」

彼らの迫力に押されながらあたしはそう返事をした。

その途端

ザグッ!

「よしっ、

 ここはコルヤに言うことを信じよう」

この中で一番年長のカムジがそう言いながら一度抜いた槍を再度地面に突き刺すと、

彼ら黒い顔とその上に束ねられている赤茶けた髪束が縦に静に動いた。



ガァァァァァァ…

程なくしてあたし達は監督が手配したトラックに乗せられると、

道無きサバンナの中を走り始める。

「ひゅぅ…」

「貸し切りだぜ」

「しかも、タダだからたまらないね」

荷台に座るマサイ達は動き始めた景色に口笛を鳴らし、

そして、ご機嫌そうに走り去る景色を見つめる。

そんな彼らと少し間をおいてあたしは座り込んでいると、

ドサッ

あたしの直ぐ傍にマサイ達のNo2であるフフホトが腰を下ろした。

ジャラ…

胸から下がる何本ものトンボ玉で出来た首飾りが重そうに鳴るが、

その一本一本がフフホトが倒したシンバ(ライオン)の数である。

「………」

あたしはなにも言わずにフフホトを横目で見ると、

ジワッ

また左腕がムズ痒くなった。

「うっ」

その感触を悟られまいとあたしは右手で左腕を押さえると、

チラリ…

フフホトはそんなあたしを見るなり、

スッ

露わになっているあたしの肩に手を置くと、

思いっきり抱き寄せた。

「あっ、

 いやっ」

とっさにあたしの口からその声が漏れてしまうが、

「なんて声を出しているんだ、

 コルヤ…」

とフフホトは低い男の声で告げるが、

その声とフフホトの身体から立ち上る体臭を嗅いだ途端、

ジワッ

左腕のムズ痒さがさらに強くなり、

それと同時にあたしのアナルが火照り始めた。

「うっ」

チリチリとしてくるアナルの感覚にあたしは慌てて、

シュカ越しにお尻を押さえてしまうと、

「ふふっ」

フフホトの笑い声が響き、

「モランの魂を欲しているようだな、

 あの男達に付き合っている間、

 お前には与えてなかったからな」

とあたしに言い、

さらにキツく抱きしめてくる。

ギュッ!

あたしの目の前にフフホトの黒檀色の胸板が迫り、

その表面を流れる脂があたしの顔に染みこんでくる。

「いっいやっ…」

激しく揺れる荷台の上で、

あたしはフフホトの匂いに包まれながらも抵抗を試みるが、

サワッ

フフホトの手があたしのお尻の当たりをまさぐり始めると、

ビクッ

ビクッ

っとあたしの身体の中を強烈な電撃が駆け抜けていくかのような刺激が走る。

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

次第にあたしの息が乱れ、

股間では痛いくらいに固くなってしまう。

あたしのオチンチンがその存在を誇示するのだ。

「何を拒んでいるのか知らないが、

 お前のイリガは正直だな」

フフホトはそのオチンチンをシュカ越しに掴みながらそう言うと、

「止めて…

 いっイリガを掴まないで…」

とあたしは懇願する。

だが、

「何を言うんだお前は、

 固くなるイリガこそモランの証。

 もっと堂々としろ」

フフホトはそう注意するとあたしの顎の下に自分の指を当て、

そのままあたしの顔を上へ向かせると、

ゆっくりと厚い自分の唇を寄せてきた。

ヌルッ

あたしの唇とフフホトの唇が合わされ、

それと同時にフフホトの舌があたしの中に入ってくる。

「あぁ…」

と同時にまるで電撃を撃たれたかのようにあたしの身体は硬直してしまうと、

いつの間にかあたしの手はフフホトの首に回り、

今度はあたしがフフホトに抱きつくようにしてディープなキスを始めだしてしまった。

(あぁ…

 だめっ、
 
 これ以上をしては…)

サワサワ

サワサワ

フフホトの手がお尻をなで回すのを感じながら、

あたしはそれ以上踏み込んでしまうことに躊躇するが、

だが、

身体の奥からこみ上げてくる猛々しいモランの体液が

さらなる体液を求めてあたしの身体を動かしてゆく。

(やめて…

 あたし、これ以上モランになりたくないの)

心の奥からわき上がってくる闇に向かってあたしは絶叫するが、

(今更何を言うの…)

左腕が強くムズ痒くなり、

それに合わせるようにもぅ1人のあたしが言い返してきた。

(いやっ

 いやなのっ

 これ以上オチンチンを大きくしたくないし、

 これ以上肌が黒くなるのはイヤ、

 髪の毛だってこれ以上赤くしたくない)

闇から響く声に向かってあたしは怒鳴るものの、

(うふっ

 そうは言っても、

 これまで随分とフフホトからモランの魂を注がれたじゃない。

 それにこんな大きなイリガも生やして、

 あなた、これまで何回、勇者の証を立てて来たの?

 それだけ、勇者の証を立ててきたからこそ、

 マサイの…モランの身体になってしまったんでしょう?

 監督さんはあなたを一人のモランをして認めたのよ、

 だからこそ、あなたをマサイの戦士として映画を撮ったのよ)

と言い返してきた。

(うぅ…)

その言葉にあたしは声を詰まらせると、

(さぁ、何をしているの、
 
 フフホトはあなたにモランの魂を入れようとしているわ、

 あなたがすることはただ一つ、

 お尻を晒して受け入れるコトよ)

と声が告げると同時に、

メリッ!

あたしのアナルを押し広げてフフホトのイリガが押し込まれてきた。

そう、いつの間にかあたしはフフホトから口を離し、

そして、自らシュカをたくし上げていたのであった。

ギウュッ!

ギウュッ!

「んあぁぁっ」

フフホトのイリガが前後に動くごとにあたしの口から声が漏れる。

そしてフフホトは、

「ふっ

 ふっ
 
 ふっ」

あたしの腰を鷲づかみにするなり、

この股間から聳え立つ漆黒のイリガをあたしのアナルへと打ち込み、

そして、引くとまた打ち込んでいたのであった。

「あぁっ、

 あぁっ」

揺れ動くトラックの荷台の上、

6人のマサイ戦士達にしっかりと見られながら、

あたしは犯され、

そして、犯されながら、

あの日のコトを思い出していたのであった。



全てはこの左腕のトンボ玉の腕飾りが始まりだった。



ザザザザ…

あの日、観光で訪れたマサイ村からのコテージへ向かう道中、

時音と呼ばれていたあたしはずっとむくれたままだった。

揺れる車内。

あたしを乗せたジープは一路サバンナを突き進んでいた。

そのジープのハンドルを握るのはあたしの恋人兼撮影スタッフの孝志だった。

「もぅ、なによっ」

動物を主人公にしたドキュメント映画の撮影で訪れたサバンナ、

撮影続きのスケジュールの中、

たまには息抜きでもと訪れたマサイ村であたしは1人の呪術師から

トンボ玉で出来た腕輪を貰ったのだが、

だが、その腕輪を左腕に付けた途端、

あたしは気を失ってしまったのであった。

そして、徐々に意識を取り戻してくると、

孝志と呪術師が口論している声が聞こえ始め、

「え?

 なに?」

その声に呼び起こされるようにあたしは身体を起こすと、

「時音っ、

 帰るぞ」

と孝志の声が響くのと同時に、

グイッ!

腕を引っ張られあたしは止めてあったジープに押し込まれてしまった。

「なっなんなのよっ」

突然のことにあたしは孝志に理由を尋ねるが、

だが、孝志は何かをぶつぶつと言うだけで、

あたしの質問には答えてくれなかった。

「もぅっ」

そんな孝志の姿にあたしはむくれていると、

「ん?」

ジープの行く手、

夕焼け空の下で黒い人影が動いているのが見えてきた。

「誰か居る…みたい」

それに気づいたあたしが前方を指差してそういうと、

「なに?」

孝志は驚きながらハンドルを動かし、

スピードを緩めた。

「なにかな…」

蠢く影を見ながらあたしは呟くと、

人影は近づくにつれ、

1つが2つに

そして2つが4つに分かれて行き、

程なくして総勢7人のグループであることが鮮明に見えてきた。

「うわぁぁ

 ねぇねぇ、

 あれがマサイの戦士なんだ」

朱染めの布を纏っただけの衣装・シュカから覗く黒い肌と、

赤茶色の髪を結い上げた精悍な顔、

そして、全身から漂う緊張感…

マサイ村では会えなかったマサイの戦士の姿にあたしは感動し、

そして、その姿を撮影しようと、

「あぁ…

 カメラ、カメラと」

と後部に置いてある荷物からカメラをほじくり始めだした。

だが、

「マサイ!!」

孝志はそう怒鳴るや否や、

その表情は見る見る硬くなり、

「まさか…

 そうだよ、

 あの村のマサイじゃないんだから…」

と呟き始めた。

「孝志?

 どうしたの?
 
 さっきから変よ」

そんな孝志の様子を見てあたしは尋ねるが、

孝志は返事もせずに道の右側で固まっているマサイに神経を使いつつ、

ゆっくりと車を動かして行く、

とそのとき、

『あっ』

と言う声が響いたと思った途端、

マサイ達があたしを指さし何か叫び始めた。

「え?

 なになに?」

マサイ達のただならない様子にあたしは驚くと、

ブワッ!

ジープのエンジンが一際高くなり響き、

マサイ達に構わずジープが飛び出そうとした。

「だっだめぇぇぇ!!」

それを見たあたしは声を上げて孝志に注意をすると、

ザザッ

まるでそのときを見計らったかのようにマサイ達は一斉に飛び出し、

ジープの行く手を遮ってしまったのであった。

「くそっ…」

「孝志っ

 一体、どっどうしたのよ、

 危うくマサイ達をハネるところだったじゃない」

悔しそうにハンドルを叩く孝志に

あたしは心配そうに尋ねると、

「あぁ、大丈夫だけど…

 でも、なんだこいつら?

 どうやってあの村から…」

と孝志はジープを取り囲むマサイ達を苦々しく見つめた。

「え?

 え?
 
 なに?
 
 ちょっと説明してよ」

孝志に行動の理由を尋ねると、

「時音っ…

 彼奴らは君に用事があるんだよ、

 くそっ、
 
 逃げ切れると思ったんだけど」

じっとあたし達を見つめるマサイ達を指さしながら孝志はそう言うと、

マサイ達の中から1人が出てくるなり、

コンコン!

窓をたたいた。

「え?」

彼らの思いがけない行動にあたしはドアを開けようとすると、

「開けるなっ」

すかさず孝志はあたしに注意をする。

「え?」

孝志の注意にあたしは振り返るが、

時遅く、

ガチャッ

あたしは横のドアを開けてしまったあとだった。

その途端、

ヌッ!

いきなりマサイの黒い手が車内に入ってくると、

ぐいっ!!

その手があたしの腕を引いた。

「いやぁぁぁ!!」

あたしの悲鳴が車内に響き渡り、

「時音っ!」

それに応えるかのように孝志があたしの名前を呼んだときには

あたしはマサイ達によって車外へと引きづり出されてしまっていた。

「時音になにをするっ」

慌てながらも孝志がジープから降りて、

あたしの方へと向かって来ようとするが、

ガシッ!

1人のマサイが孝志の背後から押さえ込んでしまうと、

スッ

その喉元にナイフが突き立てられてしまった。

「ちょちょっと、

 何をするのよっ」

組み伏せられながらもあたしは怒鳴り返すと、

『掟だ…』

と言うマサイの言葉が周囲に響く。

「え?

 掟ですって

 なんなの?」

思いがけないマサイの言葉にあたしは固まってしまうと、

スッ

1人のマサイ…

そう、後にフフホトと言う名前であることを知るマサイがあたしの前に立ち、

あたしの左腕に填めたトンボ玉の腕輪を指さし、

『お前は呪術師・エンケに認められた勇者の素質を持つ者、

 我々はお前を迎えに来たのだ』

とあたしに告げたのであった。

「へぇ?

 なに言っているの?

 迎えにって、

 どういう事?」

彼のその言葉の意味が判らないあたしはそう言い返すと、

「逃げろっ

 時音っ
 
 逃げるんだ!」

と孝志の声が響いた。

「え?

 逃げろ。
 
 って言ってもそんな…」

孝志の言葉にあたしはアタフタしながら、

逃げだそうとするものの、

だが、マサイ達にあたしの動きは封じ込められ、

それどころか、

クイッ

そのマサイが顎で何かを指示をすると、

あたしはズルズルと引きずられはじめだした。

「ちょちょっと…

 孝志ぃ!!」

数人掛かりで引きずられていくあたしは孝志に助けを呼ぶが、

だが、孝志が来られるはずもなく、

10分近く引きずられた後、

ドサッ!

あたしは乱暴に放り出されてしまった。

「痛たぁぁ…

 何をするのよっ」

放り出したマサイに向かってあたしは怒鳴るが、

ザクッ

怒鳴るあたしを取り囲むように、

6本の槍が突き立てられると、

事実上あたしの動きを封じてしまった。

そして、さっきあたしに”掟”と告げたマサイの戦士が目の前に立つと、

スッ…

その身体を撒いている朱染めの衣・シュカの裾をたくし上げた。

「ひっ!」

彼が裾をたくし上げるのと同時に飛び出してきた

逞しいマサイのオチンチンを見たあたしは悲鳴を上げると、

『さぁ、

 これを嘗めるんだ…』

とマサイの戦士はあたしに告げる。

「なっ何を言いだすのよっ

 そんなこと出来るわけ…」

マサイを睨み付けながらあたしはそう言い返そうとしたとき、

ビリッ!

いきなり左腕に弱い電撃のようなモノが走ると、

「つぅぅ!」

あたしは左腕を押さえた。

だが、

ドクンッ

その電撃と共にあたしの胸が急に苦しくなると、

「くはぁ…」

目の前に突き出されたペニスを無性にしゃぶりたくなってしまった。

「うぅっ、

 なに…この感覚…
 
 胸が…
 
 胸が苦しい」

マサイの股間へと引かれていく身体を必死に押しとどめていると、

グッ

他のマサイ達があたしの腕を掴み、

目の前に立つマサイの股間へとあたしの上半身を近づけていった。

「いやっ

 止めて…」

漆黒の足を掴まされ、

そして、聳え立つペニスに顔を近づけられながらも、

あたしは抵抗をするが、

ピトッ!

抵抗をするあたしの頬に黒光りする亀頭が張り付いたとき、

「あっ…」

あたしの中で何かが弾け飛んでしまった。



♪〜っ

マサイ達が上げる歌声の中、

チャプッ

チャプッ

あたしは突き出された漆黒のペニスをほおばってしまっていた。

汚い、

直ぐにでも吐き出したい。

そう思いながらも、

あたしは強烈な臭いを放つペニスを愛おしそうにしゃぶりつづける。

すると、

マサイの手が動いてあたしの顔に添え、

『いまからお前に勇者の魂を授ける』

と告げた。

「え?

 勇者の魂って」

その言葉にあたしは戸惑っていると、

♪〜っ

一際、マサイ達の歌声が響き渡り、

ガンガンガン!

いきなりマサイはあたしの顔を鷲づかみにすると、

激しく腰を振り始めだした。

「うっ!

 ぶっ!」

激しく出し入れされ始めたペニスの動きにあたしは噎せ始めたとき、

ビクッ

ビクビクビク!

マサイは痙攣をすると、

ビュッ!

ビュッビュッ!!

あたしの口の中に生臭く、苦くて熱い体液が放たれたのであった。

「うげぇ!」

口の中に広がるその匂いにあたしは吐き出そうとするが、

『それを飲めっ』

と言う指示がされると、

「うっ、

 ゴクリ…」

あたしは言われるままマサイが放った体液を飲み込んでしまった。



「うぅ、汚い、

 汚い
 
 汚い」

体液を飲み込んでしまったあたしは慌てて吐き出そうとするが

だが、それを飲み込んだ胃の奥から熱さを感じ始めてくると、

それは瞬く間に全身へと広がって行き、

「くはぁ…

 熱い…
 
 熱いよぉ…」

滝のような汗を吹き出しながらあたしはマサイに縋ってしまった。

すると、

『それを脱げっ、

 モランの魂を授かったお前はマサイとなるのだ』

と言う言葉が投げられた。

「マサイに…

 あたしが?」

その言葉にあたしはハッとするが、

だが、感じていた暑さはさらに激しくなり、

身体を焼き尽くすかのような猛烈な熱へと変わっていくと、

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

あたしは着ている服を次々と脱ぎ捨て、

ついに全裸になってしまった。

それでも、熱さは収まることなく、

「うぅぅっ」

あたしは苦しみのたうち回ると、

『コレを飲め』

と言う声と共にマサイ達が携帯している水筒・ギブユが差し出された。

身体を焼き焦がすような暑さから逃れるのなら、

とあたしはギブユにしゃぶり付き、

なかのものを飲み始めた。

ドロッとした牛乳とさびた鉄の味が口の中に広がっていくが、

だが、あたしはそれを吐き出すことなく飲んでしまうと、

ムズッ…

左の腕に付けられた腕輪の周囲がムズ痒くなり、

それに合わせてアナルが疼き始めだした。

「なに?

 あたしの身体はどうしちゃったの?」

次から次と変わる異変にあたしは戸惑っていると、

『お前の身体がモランになろうとしているのだ。

 さぁ、肛門をわたしに向けろ』

とあのマサイの声が響いた。

「えぇ?

 肛門をって、
 
 そんな…」

マサイの声にあたしは困惑し戸惑うが

ジリジリ…

左腕の腕輪の当たりから感じるムズ痒さが強まると、

「うぅっ」

涙を流しながらあたしはマサイに向けて尻を上げアナルを晒す。

そして、その直後、

メリッ!

メリメリメリ!!!

異物を挿入したことすらなかったあたしのアナルは

マサイのペニス・イリガを飲み込んでしまったのであった。



ギュッギュッ

ギュッギュッ

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

揺れ動く荷台の上、

あたしは激しく動くフフホトのイリガを全身で感じていた。

もぅすぐモランの魂が注がれる…

監督もマサイと認める黒檀色の肌、

逞しく発達してしまった筋肉、

縮れてしまったうえに赤茶の粘土でもって結われた髪、

そして、股間からつきだし、

先走りを垂らし続ける漆黒のペニス…

あの日、モランの魂を注がれたあたしの身体はマサイになってしまっていた。

荷台の向こうでアナルを犯されるあたしを見ているマサイ達からは、

2人のマサイが絡んでいるようにしか見えないだろう…、

そう、あたしはマサイであり、

モランなのだ。

チャラ…

左腕に付けられた腕飾りを見ながらあたしはそのことを思うと、

目から涙がこぼれ落ちる。

ビクビクビク!!

フフホトの腰が小刻みに動いた後、

シュッシュッ

あたしの身体の奥中に熱くて大量の液体が放たれた。

映画の撮影でフフホトも相当溜まっていたみたいだ。

そして、放たれたモランの魂はあたしをさらにモランへと変身させてゆく、

シンバを目の前にしても怖じ気つかない強い心、

どんな過酷なところでもへたばらない体力、

そして、サバンナを生き抜く知恵…

それらを得るごとにあたしは時音であった頃のことを忘れさせていくであろう。



ムクッ

ムクムクッ

フフホトから授かったモランの魂があたしの身体をモランへを作り替えていく、

そして、

股間ではイリガが痛いくらいに固くなっていた。

ギュッ

あたしはそのイリガをなだめるように手を添えると、

シュッシュッ

と扱き始める。

「あうぅぅ」

手を動かすごとに響いてくる快感、

その快感にあたしは身を委ね、

さらに激しく扱く、

孝志とはあれ以降、会っていない…

いまはどうしているのか、

日本に無事帰れたのだろうか、

わたしと共に作っていた映画は出来上がったのか、

モランの魂によって生やされたオチンチンを勃起させ、

黒い身体のマサイとなってしまったあたしを見たらなんていうだろうか、

そんなことを考えていると、

ビクビクビク

あたしの腰が小刻みに動いた。

「出る…」

股間に溜まったあたしの勇者の魂が出口を求めて蠢き出している証。

「はぁっ」

厚い唇が大きく開き、

あたしは”証”をたてる準備をする。

「もし、監督の映画が日本で公開されたなら、

 孝志に観て欲しい…」

手を激しく動かしながらあたしはそう思うと、

ビュッ!

ビュビュッ!!

空に向かって白濁した粘液を高く噴き上げる。

1人のマサイの青年が旅の末

逞しいモランとなっていく映画。

まさに、あたしが歩んできた道なのだから…



おわり