風祭文庫・モラン変身の館






「日曜日の出来事」


作・風祭玲

Vol.414





「いつまで寝ているのっ

 お兄ちゃん!!」

陽光が差し込む日曜日の朝、

俺の部屋に妹の瑞穂の声が響き渡ると、

「あと10分、寝かせてくれ…」

俺は寝言のような声をあげ布団にしがみつく、

「もぅ!!

 8時をとっくに過ぎているのよ!!
 
 片付かないじゃない!」

そんな俺に呆れるようにして瑞穂は

シャッ!

っとカーテンを開けると、

「さっさと起きる!!」

そう叫びながらベッドを剥ぎ取ると俺を床の上に突き落としてしまった。



カチッ!

時計の針が9時を指そうとしている。

「もぅ、お兄ちゃんが起きてくれないから遅れちゃったじゃない」

そう文句を言いながらダイニングで俺と瑞穂はやや遅めの朝食をとっていた。

俺の名前は四門正志、高校2年の17歳。

そして妹の名前は瑞穂、中学1年の13歳である。

俺の親達はいわゆる教授と呼ばれる職業に就いていて、

母親はアフリカで化石人類の発掘を、

一方、父親は日本の離れ小島で昆虫の生態系を調査している。

これで2人は恋愛結婚だと言うんだから世の中よくわからない。

そんな環境の中ではあるが

俺と瑞穂はまぁ人の道を踏み外さない程度に生活を送っている。



ピーンポーン!!

「はーぃ」

突然響き渡った呼び鈴の音に箸を置いた瑞穂が玄関へと向かっていくと、

「あっ、ママからだ」

宅配便業者より届けられた包みにある差出人の欄を見て瑞穂は声を上げる。

「ん?

 母さんから?」

その声を聞いて俺は覗き込むようにして尋ねるが、

しかし、

「なんだろう…」

俺の声が聞こえないのか瑞穂は返事をせずに梱包材を破っていく。

すると、

「わっ、

 綺麗…」

の声とともに彼女の手元にトンボ玉で出来ている首飾が転がり出てきた。

チャラッ

「ふーん…

 これ、あたしへのプレゼントね!」

首飾りを手にして喜んでいる瑞穂を横目で眺めつつ俺はため息をついて見せると、

プルルル…

突然、家の電話が鳴り響く。

「ん?

 こんな朝に誰だ?」

鳴り響く電話に俺はそう思うと、

「はいはーぃ」

「あぁっ俺が出るよ」

そう叫びながら電話に出ようとする瑞穂を制止させ、

「はいっ

 もしもーし、
 
 四門ですが…」

受話器を取って俺は声を上げる。

すると、

「あっ、正人?」

電話の向こうから響いたのは母さんの声だった。

「なんだ、母さんか…」

母さんの声に俺はちょっとがっかりしたような声で返事をすると、

「ねぇ、

 あたしからの荷物届いた?」

と母さんは俺に荷物のことを尋ねる。

「あぁ…

 さっき届いたよ
 
 いま、瑞穂が入っていた首飾りをつけているけど
 
 でも、母さんよく瑞穂が喜びそうなのがわかるなぁ」

感心しながら俺はそう言うと、

「それって本当?

 たっ大変!!

 いいから、スグに瑞穂から首飾りを取り上げて!!」

それを聞いた途端、

驚く母さんの声が俺の耳に響き渡った。

「え?

 えぇ?」

母さんの思いがけない声に俺は一瞬パニックになると、

「いやぁぁぁぁ!!!」

追うようにして今度は瑞穂の悲鳴が響き渡った。

「どうした、瑞穂!!」

響き渡った瑞穂の叫び声に俺は受話器を持ったまま妹のところに向おうとすると、

カッ!!

閃光が輝き、

ごわぁぁぁぁ!!

部屋中をかき回すかのように突風が渦を巻くように吹き荒れ始めた。

「なっなんだ?」

腕で顔を庇いながら俺は何が起きたのか探っていると、

「お兄ちゃぁぁぁん!」

瑞穂の叫び声が渦の中心、そう部屋の真ん中付近から響いてくる。

「瑞穂っ

 どこに居るんだ!!」

顔を庇う腕で視界を遮っている俺は瑞穂の居場所を求めて声を上げると、

「お兄ちゃん、

 ここよ
 
 ここ」

再び瑞穂の声が響く。

「くっ」

俺は柱の陰に入って体勢をキープし、

顔を僅かに出し瑞穂を探した。

すると、

「お兄ちゃん!!

 ここよ、
 
 ここ!!」

まさに吹きまくる渦の中心に瑞穂は立ち、

さっき付けた首飾りを光輝かせながら俺に向かって声を上げていた。

「瑞穂っ!!

 早くその首飾りを取れ!!」

柱の影から俺はそう声を上げると、

「さっきからやっているんだけど取れないの!!」

と瑞穂の悲痛な叫びが響き渡る。

「なに?

 思いっきり引っ張れ!!」

妹の声に俺はそう怒鳴るが、

「ダメ!!

 触ろうとすると、
 
 首飾りがビリビリして痛いの!!」

と瑞穂は声を上げる。

「くっそぉ!!」

それを聞いた俺は

「えぇいっ」

とばかりに渦の中に飛び出し、

そして、這いずるようにして一歩一歩、瑞穂へと近づいていった。

そんなに広くない部屋がこのときばかりはまるでグランドの居るかのように広く感じる。

ぐぉぉぉぉぉ!!!

「なんで…

 この野郎!!」

そんな状況でも俺は懸命に足を前に出すと、

ゆっくりと瑞穂が俺に近づいてきた。

そして、

伸ばした腕の先に瑞穂の胸で輝く首飾りが触れようとしたとき、

ハシッ!!

いきなり黒い腕が瑞穂の後ろから伸びてくると俺の腕を掴み上げた。

「なっ?!」

予想外の出来事に俺は驚きの声を上げると、

『モランの証に触れる者、許さない』

という男の声が響き渡った。

「誰だ!!」

俺以外の男の声に俺は思いっきり怒鳴ると、

ブワッ!!!

風の壁が一気に俺の体を跨ぎ、

フッ!!

俺の体に吹き付けていた風は胡散霧消するものの

しかし目の前に堅固な風の壁が築き上げられていた。

「なんだこれ?」

高速回転する風の壁に呆気に取られていると、

「お兄ちゃぁぁぁん」

瑞穂の泣きべそのような響く、

「(はっ)瑞穂!!」

その声に俺はハッとして声を上げると、

瑞穂は風の壁の向こうに居て、

その後ろには背の高さは俺よりも高く、

黒檀色の肌に筋肉が張り詰めたたくましい肉体、

そして、朱染めの衣・シュカを身に纏うそうTVなど見る

あの”マサイ族の戦士”が瑞穂の肩に手を置いていたのであった。

「なっ何だ?

 お前は?!」

マサイ族の戦士に向かって俺は怒鳴り声を上げると、

『ふふ…

 わたしはツツ…
 
 マサイのモランだ…』

とマサイ族の戦士は自分の事をツツと名乗った。

「ツツだぁ?」

ツツの名前を俺は口にすると、

『私はツツ…

 でも、私の体はこの世のものではない。

 そう、いまからこの者を私の依代にする』

ギュッ!

ツツは瑞穂の肩を握り締めるとそう宣言した。

「依代だとぉ?

 どう言う意味だ!!
 
 それよりも瑞穂から手を離せ!!」

ツツん向かって俺は怒鳴ると、

「お兄ちゃぁん」

瑞穂は俺に向かって声を上げる。

「待ってろ!!

 いま助けに行く」

そんな瑞穂に俺は助けることを叫ぶと、

『ふっ

 無駄なことを…』

ツツはそうつぶやき、

じっと瑞穂を見下ろした。

「こらぁ!!

 瑞穂に変なことをしてみろ、
 
 ただじゃ済まさないぞ!」

風の壁に手を伸ばしながら俺は怒鳴るが、

けど…

バチッ!!

「うっ!!」

俺の手が壁に触れた途端、

俺の手はまるで叩かれたかのように弾き飛ばされると、

同時に襲ってきた激痛に俺は腕を庇いながら座り込んでしまった。

『無駄だ』

そんな俺にツツの声が降り注ぐ、

「くっそぉ!」

ジッと俺を見下ろすツツに視線に対抗するように、

俺はツツを睨みつけると、

『ふっ』

ツツの口元が貸かすかに笑った。

「なっ」

余裕とも取れるツツのその表情に俺は驚くと、

「お兄ちゃん!!!」

瑞穂の絶叫が響き渡った。

「どうした!?」

瑞穂の声に俺は自分の視線を瑞穂に向けたとき、

「なっ」

妹の体に起きている異変に俺は目を奪われた。

ミシッ!

メキッ!!

瑞穂の体から異音が響くと、

ジワッ!!

ツツの手が置かれている瑞穂の肩の肌が次第に黒く染まっていくと、

まるで瑞穂の肌を食い尽くすように全身に向かって広がり始めていた。

「瑞穂!!」

その様子を目の当たりにした俺は思わず声を上げると、

「うぅっ」

瑞穂は色が変わっていく肌に両手を当てうめき声を上げる。

「痛いのか?」

「苦しいのか?」

風の壁に阻まれ俺は瑞穂の傍によれない悔しさで地団太を踏みながらいろいろ尋ねるが、

しかし、瑞穂は俺の問いかけには答えなかった。

「貴様!!

 瑞穂に何をしやがる!!」

ツツに向かって俺は怒鳴り声を上げると、

『ふっ』

ツツは余裕の笑みを浮かべ、

『見よ』

と短く言いながら、

ビリィィィ!!

瑞穂が着ていたシャツを思いっきり引き裂いた。

「きゃぁぁぁ!!」

瑞穂の悲鳴が部屋にこだまする。

「貴様!!!」

ツツの行為に反射的に俺は怒鳴るが、

しかし、

「え?」

ムキッ!!

俺の目に飛び込んできた瑞穂の胸にはバストは無く、

代わりに横に膨らんでいく胸板と、

腹筋がデコボコに盛り上がっていくお腹の様子が飛び込んできた。

「なっ

 なんだぁ?」

まるで鍛え上げた男を思わせる瑞穂の胸とお腹の様子に俺は目を奪われると、

「おにいぢゃぁん、何を見ているのよ!!」

逞しくなっていく胸を隠しながらガラガラ声の瑞穂の声が響いた。

「瑞穂っお前、声が!」

瑞穂のその声に俺が驚くと、

ググググ…

瑞穂の喉には喉仏が盛り上がっている最中だった。

「瑞穂…」

次第に黒い肌に覆われ、

そして、男を思わせる肉体へと変化していく瑞穂の姿に俺は1・2歩後ずさりする。

『そうだ、

 このものは私の依代となるために、
 
 マサイへとなっているのだ。
 
 お前はそこでゆっくりと私の復活を眺めていろ』

変身していく瑞穂の後ろに立つツツは俺に向かってそう言い放つと、

ムンッ!!

前に居る瑞穂に向かって力を入れた。

その途端、

「うぎゃぁぁぁぁ!!」

瑞穂の叫び声が響き渡ると、

メリメリメリ!!!

瑞穂の身長が一気に伸び始め、

また、

ムリムリムリ!!

体はもちろん、

瑞穂の伸びていく手足にも筋肉がついていった。

「あっあぁぁ…

 みっ瑞穂が…
 
 マサイ族になっていく」

見る見る姿を変えていく瑞穂の姿に俺は思わず腰を抜かしてしまった。

そして、

バリバリバリ!!

ムリッ!!

ビンッ!!

瑞穂の下着を突き破って、

瑞穂の股間から真っ黒なチンポが飛び出すと、

黒い棍棒のごとくその勇姿を瑞穂の股間の真ん中に押し立てた。

「いやぁぁぁ!!」

ビンッ!!

自分の真ん中で固く突き上げたチンポに瑞穂は悲鳴を上げると、

『はははは…

 そうだ、これがイリガだ、
 
 どうだ、俺様のイリガはたくましいだろう』

ツツは俺に向かってそう告げながら、

シュッシュッ!!

っと生えたばかりの瑞穂のチンポ・イリガを扱き始めた。

すると、

ビクン!!

「あっひゃん!!」

瑞穂は体を動かし小さく悲鳴を上げた。

『ふふ…

 感じるのであろう?
 
 そうだ、
 
 これが戦士の感覚だ。
 
 さぁ、お前はいまから俺の為に”勇者の証”を立てるのだ。
 
 お前は勇者の証を立てたとき、
 
 お前はこの俺になるのだ』

ツツは瑞穂の体に生えたばかりのチンポをギュッと握り締めながらそう告げる。

「いっいやょっ

 離して
 
 いますぐこれを離して!!」

ツツの言葉に瑞穂はそう言い返しながら、

体をくねらせ、ツツの拘束から逃げ出そうとする。

しかし、いくらもがいても、瑞穂はツツの檻から逃げ出すことは出来なかった。

それどころか、

シュッシュッ

シュッシュッ


シュッシュッ

シュッシュッ

チンポを握るツツの手が規則正しく動き始めると、

「あぁっ!!」

ツツの行為が感じてしまうのか瑞穂は己の体をツツに預けてしまった。

「瑞穂っ

 何をしているんだ!!」

そんな瑞穂の様子にやっと声を出せた俺はそう怒鳴るが、

「あぁ…

 いっいぃ…
 
 でっ出ちゃう」

すっかりツツの術中に嵌ってしまった瑞穂は、

チンポの先から先走りを垂らしながら悶えていた。

「瑞穂っ

 気をしっかり持て!!」

そんな瑞穂に向かって俺は思いっきり叫ぶ、

しかし、いくら叫んでも俺の声は瑞穂の耳には届いていないようだった。

「あぁ…

 いっいぃよぉ
 
 いいよぉ
 
 出ちゃう
 
 あぁ出させて、
 
 お願い、勇者の証を立たせて」

メリッ

ミシッ

顔を除いてツツと寸分も違わない肉体に変貌してしまった瑞穂はそう懇願し始めると、

『よかろう…

 さぁ、出すのだ、
 
 そして、出したとき、
 
 お前は俺になるのだ!!』

ツツは瑞穂に向かって叫ぶと

シュッシュッ

シュッシュッ

激しく瑞穂のチンポを責め始めた。

「うぐわぁぁぁぁ!!」

チンポを責められる瑞穂の叫び声が部屋中にこだまする。

「くっそぅ!!」

その声を聞きながら助け出すことすら適わない俺はただ床を叩きまくっていた。

『はははは!!

 もぅスグだ、
 
 もぅスグ俺はこの世の体を手に入れる。
 
 長かった。
 
 戦いに負け、
 
 この首飾りに封印されてしまった俺はもぅすぐ復活するのだ!!』

勝ち誇ったようにツツは声を上げると、

「!!

 そうか、ツツは首飾りに封印されていたのか」

ツツのその声に俺は顔を上げると、

「くぉのっ!!」

全身の力を込めて風の壁に体当たりをかませると、

変身していく瑞穂の胸で輝く首飾り目掛けて手を伸ばした。

バババババ!!

ボッ!!

猛烈な風の抵抗を受けながらも俺の手は風の壁を突き破り、

「あぁ!!出ちゃう!!」

ビュッ!!

勃起した真っ黒なチンポから白濁した精液を吹き上げ始めた瑞穂の首で輝く首飾りを勢いのまま掴むと、

バッ!!

思いっきり腕を引き下ろした。

すると、

『うぎゃぁぁぁ!!』

響き渡るツツの絶叫と共に

バンッ!!

首飾りは無残に引きちぎれ、

バラバラバラ!!

首飾りを構成していたビーズが瑞穂が吹き上げた精液と共に四散していった。



カチッ

カチッ

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

俺を阻むように吹き付けていた風の壁は消え、

散らかった部屋の中に時を刻む音と俺の荒い息の音がこだまする。

「消えたのか…」

恐る恐る顔を上げた俺は部屋の中にツツの姿が無いことを確認すると、

「そうだ、瑞穂…」

と妹の姿を探した。

しかし、

「みっ瑞穂…」

俺の目に飛び込んできたのは漆黒のマサイの戦士の肉体を持ち気を失った妹の姿だった。

「みっ瑞穂…

 おいっ瑞穂?」

『勇者の証を立てたとき、こいつは俺になる…』

あの時ツツが言っていた言葉が俺の耳に響き渡る。

「まっまさか…

 だっ大丈夫、

 首飾りは無くなった。
 
 でっでも、もしも…
 
 もしも、目覚めた瑞穂がツツになっていたら…」

俺の心に不安と焦りが広がっていく、

とそのとき、

「うっうんっ」

瑞穂は声を上げると、

閉じていた目をゆっくりと開ける。

「みっ瑞…穂」

恐る恐る覗き込みながら俺は声をかけると、

「あっあれぇ?

 お兄ちゃん?」

目を覚ました瑞穂はいつもと同じ言葉を俺にかけてくれた。



ジリジリジリ!!

月曜日の朝、

いつもと同じように目覚まし時計が鳴り響くと、

「うん…

 あと5分…

目覚ましを止めようと布団の中より手を伸ばした俺はそう言いながら時計を探す。

するとそのとき、

サクッ!!

そんな音を立て何かが俺の枕元に突き刺った。

「ん?」

それに気づいた俺は寝ぼけ眼のまま顔を上げると、

キラッ!

俺の枕元には一本の槍が突き刺さっていた。

「え?(サァァァ!!)」

キラリと光る刃先に俺は思わず飛び上がると、

「もぅ、朝はとっくに明けているよ、お兄ちゃん!」

黒い肉体を汗で光らせ、

そして、体に巻いたシュカより飛び出した棍棒のようなチンポを扱きながら、

マサイの勇者の姿をした瑞穂が俺に朝の挨拶をする。

「みっ瑞穂!!」

「うふっ、

 男の人の体って面白いね」

「え?」

「あたし…

 いっぱい出したんだけど、まだ出てくるの
 
 ねぇお兄ちゃんもそうなの?」

俺の枕元に突き刺した槍を引き抜きながら瑞穂はそう尋ねると、

ニコリと笑った。



「おっおいっ

 瑞穂…
 
 お前…学校どうする気だ?」

その言葉が俺が出せる唯一の台詞だった、



おわり