風祭文庫・モラン変身の館






「持ち帰ったもの」


作・風祭玲

Vol.156





「じゃぁ、行って来る…」

柏木幸広がそう言ってドアを開けると

「あっ、会社の人に渡すお土産ちゃんと持った?」

と妻の千尋が後ろから声をかけた。

「あぁ…コレだろう」

幸広が手にした紙袋を掲げながら、

「ちょっとありきたりじゃないか?

 貰っても喜ばれないと思うけどなぁ」

と言うと、

「まぁまぁ…気持ちよ気持ち」

千尋はそう言って片目を瞑った。

「………」

弘幸は大きく鼻で息を吐くと、

そのまま

パタン…

とドアを閉めた。



「さてと…」

ドアが閉まり幸広の姿が見えなくなると、

「さてと…じゃぁ始めますか…」

千尋は振り返り腕まくりをしながら向かっていった先には、

口を開いたスーツケースと、

山積みになっている着替えなどに埋め尽くされた部屋があった。



結婚して3年目の結婚記念日。

幸広と千尋の2人は商店街の福引きで当てたアフリカ旅行に旅立った。

運良く、幸広の仕事も一段落ついていたので、

2人はのんびりとサバンナを楽しんできたが、

いざ旅行から戻ってみると、

日々の日常と言う物が2人を待ちかまえていた。



「…またどこか行きたいわねぇ…」

思い出に浸りながら千尋が片づけをしていると、

「ん?、あれ?
 
 なにかしら…」

幸広のケースの底に何か物が入っているのを見つけると、

彼女はそれを手にとって眺めた。

そして…

「やだ…幸広さん…コレ持って来ちゃったの…」

千尋は左手で口を隠すと驚きの声を上げた。

それは、旅行中サバンナの真ん中で小用をしていた幸広が、

草むらの中で見つけた小さな偶像だった。



「…おいっ、こんな物を見つけたぞ…」

そう言って幸広が千尋に偶像を見せると、

「…それは、マサイの神ですな」

ガイドが首を伸ばして幸広が手にした物を見て説明した。

「神?…マサイ族の?」

「あぁ、昔…

 戦いに行くマサイが勝つことを祈願して身につけていたと聞いてますよ」

ガイドはそう言うと、

「じゃぁ、出発しますね…」

と車のアクセルを踏んだ。



「あのとき、すぐに棄てたと思っていたけど、

 持って帰っちゃったのねぇ…
 
 まぁ、拾った物を大事にするあの人らしいわ」

偶像を眺めながら千尋は呆れた顔をすると、

「う〜んっと…」

首を伸ばして…

部屋の中を見回した後におもむろに立ち上がると、

「幸広さんが帰ってくるまでの間ココにいてください」

と言いながら偶像をタンスの上に置いてあるこけしの傍に置いた。



それから再び片付けを再開したが、

何とか目処がついてきたときには昼を過ぎていた。

「ふぅ〜っ

 ついつい他の片づけもしちゃったけど…

 でも、おかげで大分スッキリしたわね」

再び広く見えるようになった部屋を眺めながら、

感想を言っていると、

キーン…

突如、部屋の中に鐘を叩いたような音がこだました。

「なに?」

千尋がおびえながら周囲を見回す。

すると再び、

キーン…

と音が部屋にこだました。

「なっなんなのよっ」

千尋の視線が部屋の中を移動していく

三度、

キーン…

と言う音が鳴り響いたときタンスの上に置いてあったマサイの偶像から、

青白いオーラのようなものが沸き上がっていることに気づいた。

「え?」

思わす目が偶像に釘付けになる。

すると、

カタカタカタ…

スゥ…

っと偶像が微かに揺れながら上に持ち上がると、

音もなく千尋に近づいてきた。

「ひぃぃぃぃ!!!」

思わず千尋は声を上げるが、

体中がこわばってしまいまるで金縛りにあったように動かなくなっていた。

『…♪……♪…』

千尋の頭の中にマサイ村で聞いた歌声が流れ込んでくる。

「なっなんなのよぉ…」

怯えながら彼女がそう呟くと…

ブワッ

偶像のオーラがひときわ大きく噴きあがった。

そしてオーラは徐々に人の形へと変化していくと、

まるで霧が晴れていくようにそれは人の姿へと変わっていった。

『そんな…

 なんで…』
 
彼女が心の中で叫んだとき、

その目の前には右手に槍を持ち左手にはその偶像を手にした

裸体に朱染め衣装・シュカを巻いた男…

そう、マサイ族の勇者が立っていた。

『ウっソぉ…なんで…マサイが…』

千尋は目を丸くして驚く…

彼女の前に現れたマサイはゆっくりと周囲を見回した後、

『・・・・・』

千尋に何かを話しかけてきたが、

『なっなにを言っているんだろう』

彼女にはそれが理解できなかった。

するとマサイは千尋を頭から足へと視線を動かし

『・・・・』

再び何かを話しかけてきたが、

『…だから…何を言っているのか判らないって』

千尋は思わずそう叫ぼうとしたが、

しかし口が動かなかった。

すると、

マサイは槍を構えると千尋から一歩下がり、

そして、それを一気に振り下ろした。

キュン!!

風がナイフのように千尋の前を過ぎていく、

『ひぃぃぃぃぃぃ…』

思わず吹き出した小水が彼女の下着にシミを作った。

しかし本当に驚くのは次のシーン方だった。

バサ…

バサ…

千尋が身につけていたエプロン・洋服・下着が次々と切れると

そのまま足下へと落ちてゆく…

サァ……

それと同時に千尋の顔から血の気が引いていった。

あっという間に裸にされてしまった千尋に、

『・・・・・』

マサイは再び話しかけてきたが、

そのときの彼女にはそれを聞こうという思考は存在していなかった。



マサイは千尋にゆっくりと近づいて来る。

ビン!!

いつの間にかマサイの股間が盛り上がり、

朱染めの腰巻きに影を作っていた。

スクッ

マサイは千尋の目の前に立つと、

『・・・・・・』

再び話しかけた。

そして、真っ青になって立っている彼女の肩を掴むなり、

グリッ

と回れ右をさせると、ドンと突き飛ばした。

「きゃっ!!」

その時、千尋はようやく声を出すことが出来たが、

しかし、マサイの手が伸びてくると

そのまま頭を上から押さえつけられてしまった。

サラ…

千尋の尻にシュカの感触が走る。

「…やだ…犯さないで…」

千尋は懇願したが、

しかし、

グッ!!

っと彼女の股間に熱い肉の槍が押し当てられた。

『…犯される………助けて幸広っ!!』

千尋は心の中で夢中で叫んだ。



すると、すると彼女の意を介したのか

スッ…

押し当てられた肉槍はいったん千尋から離れて行った。

ヒヤリ…

彼女の股間に冷たい風が当たる。

「?」

千尋はマサイの行為を不思議に思っていると、

ズン!!

今度はその肉槍が千尋の菊門を直撃した。

「ひぃ…痛ぁ〜い、

 そこ…ち・が・う…」

お尻を襲う猛烈な激痛に喘ぎながら千尋は訴えるが、

マサイは容赦なく肉槍を押し込んでくる。

「やっやめてぇ…」

声を絞り出て訴えたが、

メリ!

メリッ!

肉槍は力任せにグイグイと千尋の中へと侵入してきた。



ハァハァハァ…

痛みを堪えるように肩で息をする千尋をよそに

マサイは己のすべてを彼女の中に押し込むと、

『・♪・・・・・』

呪文らしき言葉を詠唱し始めた。

「はぁ…、な…に…を言っているの?」

乱れた髪の間から千尋がマサイを見上げると、

マサイは目を閉じ歌うように呪文と詠唱し続けていた。

「なっ…なんなのよ」

すると押し込まれた肉槍は千尋の中でゆっくりと脈打ちはじめた。

ドクン!!

「くっ」

千尋は肉槍を押し出そうと気張ったが、

しかhし、体内の奥まで押し込まれたそれを出すことは出来なかった。

『・・・・』

徐々に詠唱の声が激しくなっていく…

「…うっ、なに?

 この感覚…」

千尋はマサイの声が激しくなって行くにつれ

自分の身体の中で何かがムクムクと成長していく事を感じ始めた。

「なっなんなのよ、これぇ…」

その感覚に驚いていると、

ボコッ!!

突如千尋の下腹部で何かが盛り上がった。

「なに?」

恐る恐る千尋はそこへ視線を移すと、

千尋のヘソの下の両側が盛り上がり、

そして、真ん中にスッと一本の筋が走っていた。

「!」

それを見た千尋が驚くと、

ボコッ!!

ボコッ!!

今度はヘソのスグ上が盛り上がり、

筋が上へと伸びて行く、

ボコッ!!

ボコッ!!

見る見る彼女の腹筋は盛り上がると、

見事な”田”の字を腹に刻んで行った。

「いっいやぁぁ〜っ

 やめてぇ〜っ」

千尋は悲鳴を上げながら大きく腰を振ってマサイの肉槍を外そうとしたが、

彼女の身体の変化はさらに続き、

メリメリメリ!!

胸に胸板が盛り上がり始めると、

彼女の乳房を飲み込みながら成長していく、

夫・幸広がサクランボみたいで可愛いと誉めていた乳首も

それにあわせるように小さく萎縮し、

逞しく盛り上がった胸板の影に小さくついている存在になっていった。

「やめてぇぇぇぇ〜っ」

腹筋を脈動させながら千尋は泣き叫んでいたが

しかし、マサイはそれに一切耳を貸さずに呪文を詠唱し続ける。

ビキビキビキ!!

千尋の身体が音を立てながらゆっくりと大きくなっていく、

そしてそれに合わせるようにして彼女の手足も細く長く伸びていった。

ボコ!

ボコ!!

伸びた手足に次々と筋肉が膨らみ張り、

ふっくらとした臀部にくぼみが刻まれていった…



「いや…いや…」

千尋は激しく首を振ったが、

ジワッ!!

白かった千尋の肌がまるで墨を垂らしたよう黒ずみが現れると、

見る見るそれは広がり、あっという間に彼女の身体を覆い尽した。

ゴリッ!!

黒い肌に覆われた喉に瘤が飛び出すと、

「あ・ぁ・ぁ・ぁ…」

黒光りする腕を見ながら千尋が声を上げるが

しかし、彼女の声は変声期の少年のような声に変わっていた。



ムズッ

ムズムズ…

その頃から千尋は個人の股間、

…特にクリトリスが張りつめ膨らんでいく感覚を感じていた。

すると、マサイの指が彼女のクリトリスをつまみ始めた。

ビクン!!

いいようもない快感が千尋を襲った。

「あん…なに?、この感覚…」

幸広とのセックスでも味わったことのない感覚に千尋が酔いしれていると、

グリッ

グリッ

マサイの指は千尋のクリトリスを扱き始める。

「(ビクン!!)いっ

 (ビクン!!)いやっ
 
 (ビクン!!)やめて!!」

強烈な感覚に千尋は身体を海老反らせながら懇願した。

しかし、マサイはその行為を止めることなく

呪文を詠唱しながら更に激しくしごいていく、

「やめて、おねがい!!

 じゃないと逝っちゃう!!」

千尋は粘液を流しながら叫んだ。

すると、

『・・・・!!っ』

マサイの呪文がひときわ大きく部屋に響いた。

その途端、

「うぐッ!!」

千尋の体の中を何かが突き抜けていくと、

ズニューーーーーッ

マサイがつまんでいた千尋のクリトリスが

まるでカタツムリが眼を伸ばすように伸びはじめた。

ムリムリムリ!!

伸びていくクリトリスは太く、そして逞しく成長していく。

やがて、それが乳児の腕くらいの肉棒に成長すると、

プリッ

その先端が括れはじめた。

そして、括れの先が膨らんでいくと、

ついに、

ニュルン!!

っと皮の中から飛び出すように肉の頭が飛び出した。

「うっ!!」

大きく成長した肉棒を揺らせながら千尋はうめき声をあげる。

そのとき、盛んに粘液を吐き出していた彼女の女性器は

開いていた口をゆっくりと閉じるとその両側が膨らむと

体内から一対の臓器が降りてきた。

ムリッ!!

飛び出した肉塊の両側にカリが張り出すと、

肉棒は逞しい肉槍(ペニス)と化してしまった。

「(はぁはぁ)そんな………」

肩で息をしながら千尋は自分の股間に現れたペニスに驚いていると、

マサイは出来たばかりのそれをギュッと握りしめた。

「うっ」

千尋の口から思わず声が漏れる。

すると、

シュッ…

シュッ…

マサイの手がゆっくりと上下し始めた。

「…やっヤメテ…」

千尋は両手でマサイの腕を掴むとその行為を止めさせようとしたが、

「あ…ん、あ…ん」

次第に自分のペニスから来る快感におぼれ始めた。

シュッシュッ

それを感じ取ったかマサイの手の動きが徐々に早くなっていく、

またそれに合わせて、

マサイは腰を動かし始めると

千尋の体内に入っている肉槍が動き始めた。

「だっだめぇ……」

「いくぅ〜っ」

千尋は徐々にピークに向かって登り始めた。

『・・・・・』

すると、囁くようにしてマサイが千尋に声を掛けた。

「え?なに?」

『・・・さぁ、モランとなる者よ…

 男の精を放ち、

 モランの証をたてるのだ』

「モ…ラン?」

これまで、マサイの言葉が判らなかったはずの千尋の耳に

マサイの言葉が聞こえるようになり始めた。

『さぁ、モランよ

 出すのだ!!』

まるで千尋に命令するかのようにマサイの言葉が鳴り響くと、

ギュッっとマサイの手が千尋の肉槍を握った。

「あんあんあん…

 あっでっ出るぅ〜っ

 あぁぁぁ〜…」

千尋はそう叫ぶと身体を激しく痙攣させた。

その途端、


プシュゥゥゥゥゥゥっ!!


千尋の肉槍の先から白濁した精液が高く吹き上げると、

反対側の壁を汚してしまったのであった。

「はぁ…はぁ…」

壁に付着した精液を眺めながら千尋が呆然としていると、

彼女の頭の中に声が響いた。

『…モランよ…

 …私のモランよ…』

「…え?

 それって

 …あたしのこと?」

千尋が聞き返すと、

『…そうだ、私はモランの神ンギリ…

 …お前は立派にモランとしての証を立てた。

 さぁ、槍を持ち、盾を持って行くがいい』

と言う言葉が響いた。

「えっ…ちょちょっと待って…それって…」

そう千尋が尋ねたところで、

ハッっと彼女は目を覚ました。



夕日が射し込む部屋にはマサイの姿はなく、

幸広がマサイ村から持ってきた偶像が千尋の目の前に置かれていた。

「え?

 あれは…

 夢…だったの…?」

そう呟きながら千尋が起きあがって目の前に置いてある鏡を見たとき

彼女の顔から血の気が引いた。

「そっそんなぁ…」

そう鏡に映っていた千尋の姿は

逞しい黒檀色の裸体に朱染めのシュカを巻き付け、

赤褐色に染めた髪を結い上げたマサイ族の勇者の姿が映し出されていた。

「そんな…

 あっ…あたし…

 マサイ族の勇者になっちゃった…

 どっどうしよう…」

鏡の前でオロオロしている勇者の足下で、

マサイの偶像はじっと天井を見上げていたのであった。



おわり