風祭文庫・モラン変身の館






「香奈ちゃん」

作・風祭玲

Vol.017





僕が初めて香奈ちゃんに出会ったのは確か小学校2年の時だった。

近所に引っ越してきて初めて会った彼女は、

『色白で弱々しい女の子』

と言う感じがした。

そして、やっぱり、香奈ちゃんは病弱で学校をよく休んだ。

そんな香奈ちゃんが大きな病気になったのは小学校6年の時だった。

いつものようにすぐに良くなるかと思ったけど、

香奈ちゃんの病気は一向に良くならず、

むしろ悪くなるばかりだった。

そんなある日

『香奈ちゃんダメかもしれない…』

とお母さん達が道端で話していたのをこっそりと聞いた。

僕はすぐに神社に行くと、

神様に

「どうか香奈ちゃんを助けてください」

とその日から毎日のようにお参りをした。

僕のそんな思いが通じたのか生死を彷徨っていた彼女が、

突然医者も驚いたほど急に元気になって無事退院してきた。

『良かった…』

僕は元気に歩く香奈ちゃんの姿を見て安堵した。

しかし、香奈ちゃんにとってこれは始まりにしか過ぎなかったことを後で知った。



春になって僕と香奈ちゃんは無事小学校を卒業して中学校に進んだ。

中学に入ってからの香奈ちゃんは

まるで病弱だった頃の時間を取り戻すかのように元気になり、

女子バレー部で活躍をするようになった。

そんな香奈ちゃんの体に異変が始まったのは彼女の15歳の誕生日の前だった。

これまで色白だった香奈ちゃんの肌が徐々に黒くなり始めた。

みんなは香奈ちゃんが

『日焼けサロンに通ているのでは?』

と噂したが、僕が香奈ちゃんにそのことを尋ねてみると、

なぜか彼女はなにも言わず黙って首を振った。

僕はそんな彼女の様子を不思議に思ったけど、

でも、何か訳があるのでは

と考えてあんまり深くは言わなかった。

けど、香奈ちゃんの変化はそれだけではなかった、

肌がある程度黒くなったところで今度は急に背丈が伸び始めた。

これまで小柄だった彼女の背丈が見る見る伸びると、

あっと言う間に、男子よりも大きくなってしまった。

そのために制服が合わなくなったので、

仕方なくジャージで登校するようになったけど、

クラスのみんなは

『香奈ちゃんが変な病気になったのか』

と彼女の変化を気味悪がるようになり、

そして近づかなくなっていった。

僕は一人で教室にぽつんと居る香奈ちゃんによく話し掛けたり、

またいっしょに登下校をして彼女を気遣ってあげた。

しかし、しばらくして香奈ちゃんは登校しなくなった。


先生の話だと

「風邪を引いた」

と言うことだけど、

みんなは別の病気じゃないかと噂をしていた。

彼女が登校しなくなってからしばらくして、

先生から

「進路相談のプリントを渡すように」

と彼女宛のプリントを僕が預かり、

それを持って僕は香奈ちゃんのうちへと向かった。

久しぶりに彼女の家を訊ねると、

疲れたような顔をしたおばさんが出て来ると、

僕とはもうすぐお別れになるから、

ぜひ彼女に会って欲しいと頼まれた。

おばさんが言っている意味がよく分からず、

僕は香奈ちゃんの部屋の通された。

香奈ちゃんの部屋の前で、

「香奈ちゃん、僕だけど、体の調子はいいのかぃ?」

と訪ねたけど中からなにも返事はない。

「あのぅ、先生からプリントを預かって居るんだけど開けてもいいかなぁ…」

と言ってドアのノブに手をやると鍵はかかって無く、

カチャリ

と音がしてドアは開いた…

部屋の中はカーテンで締め切られていて薄暗かったが、

なによりも獣のような得体の知れない臭気に僕は一瞬むせた。

「…慶君なの…」

と言う声が奥から聞こえた。

「香奈ちゃん?、いるの?」

聞き返すと、

「………」

返事がない。

「ちょっと待って、今窓を開けるから」

と言って僕がカーテンを開けようとしたとき、

「待って…」

と言って僕の手を誰かが握った。

大きくて妙にゴツゴツとした男のような手だった…

そして、僕のすぐ横に大きな人影が立っていた。

僕は恐る恐る

「香奈ちゃん?」

と訊ねるとその人影はコクリと頷いた。

「どうしたの?」

と僕が聞くと、人影は握った僕の右腕を自分の体に近づけ、

そして胸のあたりにふれた……

「!!」

そこには女性のふくよかな胸の感触はなく、

男の体を触っているような感覚がした。

僕は驚いた、

人影はさらに自分の体のあちこちを僕に触らせる。

その感触に僕はさらに驚いた。

人影は腰に布のような物を巻き

数珠のような球をつないだ紐を数本、

肩から掛けている以外は何も身につけていない裸で、

男のようなゴツゴツした筋肉が張った体と、

頭は髪を剃り上げているのかザラりとした感触がした。

そして、最後に僕の手を股間へと導いた。

僕の手は、ゴワゴワとした布越しに固く大きくなっているオチンチンに触れた…

「!!!!!」

それに僕は驚くと振り切って手を引っ込めた。

「きみは‥」

僕がそぅ言いかけたところで。

「あたしよ、香奈よ…」

と人影が答えた。

「うっうそだ、おまえは誰だっ」

と叫んだ途端、

サッ

とカーテンが開かれた。

部屋に光が満ち、僕は暗闇に慣れていた目をかばった。

やがて視力が回復すると、目の前に立つ人物の詳細が見えてきた。

が、その人物は僕が知っている香奈ちゃんではなかった。

腰に朱染めの布を巻き…炭のように黒い肌…

2mはあろうかと言う細身の体…

そぅ、TVなどでみるマサイ族そっくりの男が立っていた。

呆気にとられている僕の様子を見て、

その男は視線を床に落とすと。

「あたしよ、香奈よ、

 こんな姿になちゃったけど、香奈なのよ」

と呟いた。

「信じられない…キミがあの香奈ちゃんだなんて…」

僕が呆気にとられながら言うと、

「…3年前、

 あたしが生死の境を彷徨ったときのこと知っているよね。」

とポツリと言うと、

「…うん」

僕が頷いた。

「その時、お父さんがマサイの秘術を使ったの…」

と男は僕に言った。

「マサイの秘術?」

思わず聞き返すと、

「そう…

 あたしのお父さんは病弱だった私を元気にするために世界中を駆け回ってわ…

 そして、マサイ族の呪術師・オロイボニからある秘術を手に入れたの…

 それを持って日本に帰ってきた時、あたしが倒れて…

 お医者様からはもぅダメかも知れない…

 といわれたときに、

 お父さんはその秘術を使う決心をしたの。

 そして、あたしは元気になったわ…

 けど、術が強く掛かり過ぎてしまって…

 あたし…

 この通りマサイの男になっちゃたの」

と男は僕に事情を説明した。

「そんな…

 そっその術を解く方法はないの?」

僕は彼女に掛かった秘術が解ければ元の姿に戻るのでは、

と思って尋ねたが、

「ううん、ダメみたい…

 元々この術は強力で、一度掛けた術は死ぬまで解けないそうなの」

マサイとなった香奈ちゃんは首を振って僕の質問に答えてくれた。

「じゃぁ、これからどうするの?」

「この姿ではもぅココでは暮らしていけないから、

 あたし、アフリカに行くことになったの。

 そこでこのシュカを着てマサイとして暮らすのよ、

 ずっとね」

「アフリカに…」

「うん、だから、慶君とはもうすぐお別れ…」

「そんなぁ〜」

「あたしも慶君と分かれるなんてイヤよ

 でも、あたしは見ての通り、

 マサイになっちゃたから、

 もぅ一緒には居られないわ」

と香奈ちゃんは言うと僕は黙って下を向いた。

沈黙の時間が流れた。

そして、それを破るかのように

「…いつ、起つの?」

と僕が訊ねると、

「今度の土曜日」

香奈ちゃんは答えた。

「3日後かぁ…」

部屋の雰囲気を重くなった。

やがてその雰囲気に耐えきれなくなった僕が立ち上がろうとしたとき、

「待って…」

香奈ちゃんが僕の腕を掴んだ、

とその拍子に僕はバランスを崩して、

香奈ちゃんの胸元に飛び込んでしまった。

逞しくなった香奈ちゃんに抱かれてながら

「香奈…行くな」

と叫んだ。

「ううん、ダメよ」

香奈ちゃんは答えたが、僕は

「行くな」

を連発した。

二人は抱き合ったまま静かに時が流れた。

日がすっかり落ちた頃、

「ねぇ慶君にお願いがあるの…」

と香奈ちゃんが呟いた。

「なに?」

僕は顔を上げると、

「あの…その…男のオナニーの仕方を教えてほしいの」

と香奈ちゃんは恥ずかしそうな声で僕に言った。

「オナニーの仕方?」

香奈ちゃんからの意外な質問に僕は聞き返すと、

「慶君はしたことがあるんでしょう?」

「うんまぁ…」

「どんなな感じだった?」

「どんな感じって…

 そりゃぁなんて言うか…」

僕はどう答えて良いか困っていると、

「あたし見ての通り体はすっかり男の子になっちゃったけど、

 でも、まだ女の子なの…

 だから慶君の手で男の子にしてほしいの」

と懇願してきた。

香奈ちゃんからの頼みに僕はイヤとはいえず、

「うん判った、じゃぁ教えるね、良い?」

と訊ねると、

「いつでも良いよ」

と答えて香奈ちゃんは朱染めの腰布をたくし上げた。

ブルン!!

僕の目の前に香奈ちゃんの大きくて黒いオチンチンがそびえ立った。

「じゃ行くよ」

僕はそういうと、そのオチンチンに手をふれた。

ドクン!!

香奈ちゃんのオチンチンは思っていた以上に固く脈を打っていた。

「うわぁぁ、僕のよりもずっと大きい…」

そう思いながら

シュッ

シュッ

っとしごき始めた。

「………」

香奈ちゃんはじっと僕の手つきを眺めている。

シュッシュッ

シュッシュッ

僕は扱くスピードを徐々にあげながら、

また亀頭のカリのところではギュッと握る力を強めて

香奈ちゃんのオチンチンを扱いた。

「んあぁぁ…」

感じてきたのか香奈ちゃんの口から喘ぎ声が漏れてくると、

ドロッ

オチンチンお先から液体が漏れてきた。

「感じてきた?」

扱きながらそう訊ねると、

「あぁ…なんだろう、オチンチンの付け根あたりがジンジンしてきた」

と香奈ちゃんは僕に言った。

「そうか、じゃぁもっと強く行くよ」

僕はそういうと香奈ちゃんのオチンチンを激しく攻めていった。

「あっあぁ

 あっあっあっ

 慶君!!、

 何かが出てくる…
 
 いや、出ちゃう出ちゃうよぉ!!」

香奈ちゃんは口をパクパクさせながら譫言のように言い続けると、

「あっあうぅぅぅぅぅ」

ビクン!!

香奈ちゃんは腰を前に突き出すと、

プシュッ!!!

っと白濁した精液をとばした。

「はぁはぁ…」

初めての射精をして荒い息を肩でする香奈ちゃんに

「おめでとう、香奈ちゃん」

と言いながら僕は手を差し出した。

「うん、ありがとう」

香奈ちゃんはニコリと笑うと僕の手を握って握手した。

「じゃぁ、もぅ遅いから帰るね…」

僕はそう言う香奈ちゃんの部屋を出ようとしたとき、

「見送りはしない、向こうでも元気でね…」

と言うと、香奈ちゃんは一言、

「うん」

と返事をした。

そして、3日後香奈ちゃんは居なくなった。



翌年、

僕は無事希望の高校に入り、

香奈ちゃんのことを忘れた頃、

一通のエア・メールが届いた。

何だろうと思って、封筒を開けると数枚の写真が出てきた。

写真を見て僕はハッとした。

写真には、正装したマサイ族の勇者がにこやかな表情で写っていて、

そして一言、

「元気にしてる?」

っと書いてあった。

「あーぁ、香奈ちゃんたらオチンチンおったてちゃって…」

僕はマサイの勇者の股間が妙に盛り上がっていることに気づくと、

「こっちは元気だよ〜っ」

写真を見ながら僕は呟いた。



おわり