風祭文庫・モラン変身の館






「帰宅」


作・風祭玲

Vol.015





「ふぅ…」

仕事で疲れた身体を引きずるようにして僕は改札口を抜けると

様々な灯りで溢れる街の中へと歩き始めた。

ふと気がつけば

僕のすぐ前を同じ方向へ向かって腕を組む1組のカップルの姿が目に入るが

「………」

いまさら足の向きを変えるわけにも行かず、

そのままカップルの後ろをついていくようにして歩いていくと

ギュッ!!

一瞬、自分の腕を誰かに掴かまれたような錯覚に陥った。

「清美…?」

僕は立ち止まって思わず振り返ったが

しかし、そこには誰も居るはずが無く、

月の明かりで作られた僕の影が一つ伸びているだけだった。

「………」

無言のまま僕は再び歩き出し、

そして空に高く昇った満月を眺めながら駅前通をしばし歩いていくと、

やがてその月に向かって伸びる一棟のマンションが聳え立つのが目に入る。

そう、ここの5階に僕は住んでいる。

「ただいま…」

返事が返ってくるはずのないのを承知でドアを開けた途端、

「健二さん…おかえりなさい…」

ふっと甘い匂いと共に女性の声が僕を迎えた。

「え?」

突然響いたその声に僕は一瞬キョトンとするが、

スグにあることを思い出すと、

足音荒く大急ぎでキッチンに飛び込んで行く、

そして、

「なっなに?

 そんなに慌てて」

と僕に向かって話しかけてくる一人の女性の姿があった。

「清美…」

彼女を見つめつつ僕は呟くと、

「うふっ

 ただいま」

と清美はニコリと笑って答えてみせる。

その途端、堰を切ったように僕は彼女に抱きつき、

ギュッと抱きしめながら、

「おかえり…」

と清美の耳元で囁く。



時が止まったかのような世界の中で、

僕はいまにも折れてしまいそうな彼女の華奢な身体を抱きしめながら、

「身体はもぅ元に戻ったの?」

と耳元で尋ねると、

清美はすかさずスカートの裾を手で伸ばし、

「えへへ…、

 あと少し…」

と悪戯っぽく答えて見せる。

「そうか…」

それを聞いた僕は抱きしめながら清美の股間の感触を確かめてみると、

確かに抱きしめた彼女の股間にはモコっとした膨らみがあったが、

それは時間の経過と共に小さくなっていき、

やがて最初から無かったかのように消えてしまった。

そのときになってようやく清美から体を離した僕は部屋の中を見回しながら、

「あれ?、

 持ってきた物は?」

と尋ねると、

「ん?、

 ベランダに置いてあるわ、

 見るの?」

と返事をする。

「いや、

 いぃよ」

この場ではあまり見たくは無いモノだったので、

僕はそう答えながら居間に向かうと着替え始める。

すると清美は僕の傍にくるなり着替えを手伝い始めた。

「おっおぃ」

思いがけない彼女の行動に僕は戸惑うと、

「いいのっ、

 折角帰ってきたんだから、

 こういうときこそ誠二さんの妻らしいところを見せなくっちゃね」

と片目を瞑りながら清美は僕に言う。

「うん、

 ありがとう」

そんな彼女に向かって僕は返事をすると、

「じゃぁ、

 ご飯食べましょう…

 あたしも日本のご飯食べるの久しぶりだわ」

と言いながら彼女はキッチンへと戻っていった。



夕食後、

「そういえば向こうの様子はどぅなの?」

TVを見ながら僕が尋ねると、

「え?」

清美は一瞬驚き、

そのまま黙ってしまったが、

「うん、

 まぁまぁよ…」

と答えると片付け物を洗い始める。

「あっごめん。

 気悪くした?

 いや、TVなどではだいぶ物騒なことを言っていたので、

 ちょっと心配になって…」

と彼女の後姿を眺めつつ尋ねた理由を言う。

すると、

「キジャーナのあたしにはよく分からないけど、

 そういう難しいところは長老たちが上手くやっているみたい。

 村は平和よ…」

と素っ気なく返事をしてみせる。

「そうか…」

その言葉をかみ締めつつ僕は向こうで、

”何を食べているのか”

”どんな生活をしているのか”

”悩み事は無いのか”

などいろいろ聞きたかったが、

でも

「この場で向こうのことはあまり思い出したくはないんだな…」

と思うとそれ以上はあえて尋ねなかった。



その夜は僕は清美を愛した。

無論、彼女も”女”として愛されることが

”ご無沙汰”だったためか貪るように愛し合い、

互いに様々な愛し方で幾度も絶頂を迎えたのであった。

そして僕の上に跨って肉棒を受け入れているとき、

ピタッ

さっきまで激しく腰を動かしていた清美が突然身体の動きを止めた。

「ん?

 どうした?」

二人の間に漂う静寂を打ち破るようにして僕は尋ねると、

清美は僕の肩の乗せている手を自分の胸の所に持っていき、

「えっ?

 うそ……

 そんな……

 まだ…一晩目なのに…」

と呟いて見せる。

「どうしたの?

 なにかあったの?」

そんな彼女に向かって僕は改めて問い尋ねると、

「あっ、

 ダメ!!」

と言う声と共に清美の身体がムクリと動いた。

「え?」

突然の動きに僕が驚くと、

「いやっ

 いやっ

 いまはダメぇぇ!!」

という清美の叫び声と共に

ギシッ

ギシッ!

と言う音が彼女の体から響き始め、

まるで身体中の筋肉が波を打つように蠢き始める。

「おっおいっ!」

それを見て驚いた僕が思わず声をあげるが、

しかし、

メキメキ…

メリメリィ

と言う音とともに清美の肩が動き始めると

その幅は見る見る広くなり、

その一方でふっくらとしたヒップは見る見る絞られていくと、

尻の両側凹みができ、

男の尻と化していく。

「いやだ!

 いやだ!

 止めて!!

 あたしは…まだ、あたしでいたいの!」

頭を抱えながら顎を上に上げて清美は訴えるが、

ジワッ

白い柔肌が墨汁に染まっていくかのように漆黒色に変わって行くと、

ムリムリムリ!!

ボリュームのある乳房は筋肉が発達していく胸板に飲み込まれ、

さっきまで僕が愛撫していたピンク色の乳首は黒く萎縮し、

胸板の上に小さく乗るだけの存在になっていく。

「あぁ…

 お肌が黒くなっていく…

 いやぁぁ…

 やめてぇぇ!!

 あたしを壊さないでぇぇ!!」

首を振りながらも清美は必死になって変身していく体を拒絶するが、

しかし、これまで柔らかな表情をしていた腹部に”田”形の溝が掘られていくと、

険しい表情の腹筋が盛り上がり、

その身体は女性の丸みのおびた体つきから、

逞しく角張った男性の体つきへと変化して行った。

そして、

「!」

何かに気づいたのだろうか、

「あっダメっ」

そう声を出して清美が自分の股間を押さえると、

キュッ、

グ・グ・グ・グ・グ…

彼女の胎内に挿入していた僕のペニスが中から押し出され始め、

それに合わせるようにして

ニュック!

と彼女の手の間から赤黒い肉塊が飛び出すと、

ズズズズ!!

まるでキノコが成長するみたいに漆黒色の”茎”が成長し始めていく。

「みっ、見ないで…

 お願い」

そう訴えながら清美は両手で成長していく肉棒を必死に隠そうとするが、

しかし肉棒は成長することを止めることはなく、

それどころかその先端がくびれ出してくると膨らみ始め、

やがて、

プリッ!!

っと包み込んでいた皮が捲れあがろうとしたとき、

プププッ

皮の一部が切れ始め、

その切れた間から赤黒い色をした亀頭が飛び出してしまうと、

残った皮は亀頭の下で小さく丸まっていくのであった。

「………」

亀頭の下を半周する白い筋を見せながら

その雄姿を見せる漆黒の肉棒・ペニスを僕は声を失ったまま眺めていると、

「あっ

 あっ

 変わっていく…

 あたし、変わって行っちゃうよぉ」

と訴えながら清美は厚くなっていく唇をかみ締め、

目の上に眼窩を突き出していく、

さらに細い手足が伸びていくと、

筋肉質の太くて逞しいもへと変貌し、

さらに長い黒髪がことごとく抜け落ちてしまうと、

変わりに短く縮れた髪が簾のごとく縒られながら伸びていった。



すべてが終わったとき、

僕の上には股間から逞しいペニスを突き伸ばし、

痩身でありながらも筋肉質の体を漆黒の肌で覆ったマサイ族の若者…

そう、キジャーナが呆然とした顔で跨いでいたのであった。

「おぃおぃ!」

清美の面影など欠片も無い漆黒のキジャーナを見上げながら僕は声を上げると、

「そんなぁ〜

 なんでぇ!!」

清美は男の低い声で自分の身体を眺めながらこぼしてみせる。

「こっこれから

 どっどぅするんだ?」

そんな彼女…いや彼に向かって僕は尋ねると、

「……向こうに帰るわ…」

清美はしばし考えた後、

残念そうに答えて見せる。

「えっ、

 だってまだ一日目じゃないか」

その言葉に僕は抗議すると、

「でも、

 こんな姿でここに居るわけにはいかないし…

 嫌でしょ?

 男と一緒に生活だなんて…」

と清美は答えるが、

「僕は一向にかまわないけど…」

そう僕が言うと、

清美は静かに首を横に振り、

「ううん、

 そういうわけには行かないわ。

 村に戻ってオロイボニになんで呪術が切れちゃったのか聞いてみる」

と答える。

「しかし、

 村に戻ってしまうと…言うことは」

清美の返事の意味を知っている僕は不安そうに尋ねると、

「そうねぇ

 また逢えるのは…次の満月に夜になるわね」

と清美は答えた。

「はぁ〜1ヶ月後かぁ…」

その答えに僕がガックリとすると、

「ごめんね…」

清美は僕の手を握ると謝って見せる。

「まぁ、しょうがない。

 キミに呪いが掛かってしまったのは半分は僕の責任だし…」

そう言いながら僕は清美の頬にキスをすると彼女はベッドから起きあがり、

そのままベランダへと向かうと顔や首元に赤土を塗り、

さらに簾状に縒っている髪にもにも赤土を塗り始めると、

髪を赤く染めながら清美は髪を結い上げていく。

それらが終わるとマサイの衣装である朱染めのシュカを取りだし、

身体に巻き付けるようにして身につけだした。

漆黒の肌に鮮やかな赤土やシュカの朱色が映える。

やがてそれが終わると、

チャラリ

赤や青などのをトンボ球を記号の様に並べ作られたマシパイを次々と身につけ、

さらに腰には山刀であるシミを挿し、

牛追いの棍棒・ルングや槍や盾を手に取ると、

「ふぅ…」

そこには正装したマサイ族の戦士・モランが立っていたのであった。

「清美…」

モランとなった清美を見ながら僕はそう呟きながら近づいていくと

徐に彼女の体を抱き寄せて見せる。

「!!」

僕の思いがけない行動に清美が驚くと、

その隙に僕はすかさず腕をシュカの中に入れ、

その中で垂れ下がっている清美のペニスを握りしめて見せる。

「あっあぁぁ…

 やっ止めて!!」

ペニスを握られた清美はそう言いながら

身体を捩って逃げようとするが、

「清美…お前…男のオナニーをしているだろう」

っとシュカに付着した精液の跡を指摘しながら僕が言うと、

「アァ…そんなこと言わないで…」

ペニスを扱かれることに感じているのか、

清美は顎を上げながらそう答える。

そして、直ぐに握られているペニスがムクムクと固くなり

シュカを持ちげ始めてしまうと、

「なんだ感じているのか、

 チンポを扱かれただけでこんなにでっかくするなんて、

 だらしがないモランだな」

シュッシュッ

シュッシュッ

僕は清美の耳元でそう囁きながら

勃起したペニスを扱くペースを徐々に上げていく、

すると、

ドロッ

ペニスの先から流れ出した先走りで、

固く勃起している清美のペニスは見る見るベトベトになり、

「あっあっあっ」

チャッチャッ!!

胸に下がるトンボ球で出来たマシパイを鳴らしながら

清美は目を剥いて必死に耐えていた。

「ふふ…さすがはモランだ。

 先走りだけでも凄い」

粘り気を持つ先走りの感触を確かめながら僕は小さく言うと、

その先走りを指の先につけ、

そのままゆっくりと手を滑らせていくと、

グッ

っと清美の肛門の中へと指を押し込んで見せる。

その途端、

「キャッ!!」

キュっ!

っと肛門を引き締め清美は飛び上がったのであった。

しかし、僕はスグに清美の身体を抱きかかえると

シュカをめくり上げ、

その黒い谷間の中にある菊門に僕のペニスを押し込み始めた。

「いやぁぁぁ!!

 止めてぇ…」

清美の悲鳴がこだまする。

「おいっ、

 そんな大声をあげると周りに聞こえるぞ」

清美に向かって僕がそう言うと、

「(あん)こんなこと、

 やっ止めてよぉ」

身体を捻りながら清美は僕に訴えるが、

「そう言う割にはお前の肛門はあったりと僕のを飲み込んだな」

と僕は指摘する。

すると、

「だって…」

清美はそう言うと下を向いてしまった。

「なんだ、向こうでもこうしてやられているのか?」

そんな清美を見ながら僕は腰を動かしながら尋ねると、

コクン

清美は静かに頷いて見せ、

「…でっでも、ホモとかいうんじゃないよ。

 村の外に出るときなんかに魔よけの意味などで上のモランから…」

と訴えると再び下を向いてしまった。

「そうか…じゃぁこれは僕からの魔よけだ」

それを聞いた僕はそう言いながら激しく腰を動かすと、

「いっ…でっでも、

 (あっ)あなたにはこんなコトして(あん)欲しくなかった」

泣きそうな顔をして清美が訴えるが、

「あなたって、

 いまのお前はマサイ族のモランだろう?

 真っ黒な男の体にシュカ一枚巻いて、

 マシパイの音を上げながら、

 槍と盾をもってサバンナを走っているモランなんだろう。

 だからこうして、

 僕が魔よけをしてあげているじゃないか」

僕はそう言うのと同時に清美のペニスを扱きはじめた。

すると、

「あぁ…

 ダメッ
 
 イク…出る!!
 
 あぁぁぁ!!」

顎を上げながら清美がそう叫ぶと、

ギュッ!!

彼女の菊門が僕のペニスを締め上げ、

「クッ、締まる、

 あぁ出る

 出る!

 出る!!」

僕と清美は同時に精液を飛ばしてしまったのであった。

「はぁはぁ」

射精して萎んでいくペニスを僕は清美の体の中から抜くと、

ガクッ

清美もその場に倒れるようにしてその場に両手をついて見せ、

「ふぅ…

 さすがはモランだ、良い締まり具合だったぞ」

そんな清美に向かって僕は汗が光る黒い身体を叩いた途端、

「うふっ

 …今度は、

 ア・アタシの番…ネ」

獣を思わせる眼光を輝かせながらゆらりと立ち上がった清美の股間には

ビンビンに勃起したペニスがそそり立っていたのであった。



バッ!!

乱れたシュカを直した清美が棍棒と槍、そして盾を手にすると

空に浮かぶ月に向けて短めの呪文を唱えて見せる。

すると、月の光がグラリと揺れたと思った途端、

パァァァァ…

清美の目の前に光の門が姿を現し、

その門にゆっくりと向かうと僕の方をチラリと見て

「じゃぁ、誠二さん…行って来ます。

 そうそう、

 あたしのオチンチンを入れられたんだから

 明日は会社休んだ方がいいと思うわ」

と言い残すと清美はそのまま門の中へと姿を消していったのであった。

そして清美を飲み込んだ門は徐々に小さくなって僕の視界から消えると、

「イタタタ…清美の奴め少しは手加減しろ!!」

と文句を言いながら肛門を庇いながら必死になって僕が起きあがると、

手すりに身体を預けながらタバコの煙を揺らせて見せる。

そして、空に浮かぶまん丸の月を見ながらふと

「ひょっとして、

 あのマサイ族の青年が清美と言う女性の姿を借りて、

 僕の前に現れてるのでは…」

と思ったが、僕にとってはどうでもいいことだった。

だって一ヵ月後には再び彼女は僕の前に現れるのだから。



おわり