風祭文庫・モラン変身の館






「モランの村」


作・風祭玲


Vol.005






「おい、女二人でアフリカ旅行なんて大丈夫か?」

旅行支度をしている美弥の傍らで僕は心配そうな顔をしながら尋ねた。

「もぅ…さっきから同じことを繰り返して、雅雄ったら心配性ねぇ…」

呆れながら美弥が僕を見ると、

「だって、君にもしも何かあったら…」

そう僕が言うのを止めるようにして、

「だから、大丈夫だって!!

 折角の卒業旅行なんだし、

 第一結婚したらアフリカなんて行けなくなるでしょう?」

と彼女は僕を見ながらそう言った。

そう美弥と僕はこの5月に結婚式を挙げることになっている。

彼女との出会いは3年前クラブの新入生と先輩と言う形で出会ったのがそもそもの始まりで、

それから付き合っていくうちに徐々に男と女の間柄となり、

ついには結婚を意識するまでに至ったが、

ただ、挙式は僕が社会人となり生活が安定し、

また彼女が卒業するまで待つことにしていた。

そして、彼女が卒業旅行の行き先として決めたのが

アフリカの大地に広がるサバンナだった。


「なにもサバンナじゃなくても

 もっと他のところがあったんじゃないか?」

なおも食い下がるようにして僕は言うと、

「あのね、雅雄も知っているハズでしょう、

 あたしがアフリカに行くのは昔からの夢だったってことを…

 そう、広大な自然を闊歩する野生の動物達…

 そしてそこで素朴な暮らしをするマサイ…」

そう言いながら彼女はうっとりするが、

しかし、僕には別の懸念もあった。

「ただ、最近でサバンナで外国人旅行者が

 行方不明になると言う話をよく聞くからなぁ」

と最近頻発している旅行者の行方不明事件のことを口にした。

すると美弥は、

「そういう人達って危ないところに行っているんじゃないの?

 大丈夫、

 あたしはそんなに危ないところには行かないし、

 それに、これを持って行くから」

と微笑みながら、

チャラッ

っとロザリオがついたネックレスを僕に見せると、

「雅雄に貰ったこのお守りを持って行くから安心してね」

と僕から不安をかき消す台詞を言うが、

しかし、

「あのなぁ…」

そんな彼女の言葉が余計に僕を不安にさせていた。

「大丈夫だって」

心配する僕に美弥そう言い残すと、

美弥は友人の朋子と共に念願のアフリカ・サバンナへと旅立ち、

そして、消息を絶ったのはこの3月のことだった。



「だから注意したのに…」

僕は彼女の行動を止めさせることが出来なかったことを悔やみ、

そして、事件発生から約3ヶ月後、

僕は彼女の姿を探してこのサバンナにやってきた。

「美弥は絶対生きている。」

と言う確信の元に…


現地に到着後、

僕は美弥達が取った行動を残された予定表に従って追っていった。

そして彼女たちの姿を最後に目撃されたという

マサイ族の村へとクルマを走らせていた。

同行しているガイドは僕に色々なことを話しかけるが、

しかし、僕の頭の中は美弥の安否で一杯だった。

やがてクルマがマサイ族の村に近づいたとき

ガイドは奇妙なことを口にした。

『旦那、あの村ですか?』

ガイドが行く手に見えてきたマサイの村を指さして確認するようにして訪ねると、

『あそこはヤメといた方がいいですよ』

怪訝そうな顔つきで言った。

『何で?』

彼の言っている意味を尋ねると、

『いやね、あの村は気味の悪いところでね、

 そう去年の今頃だっけかなぁ…

 たった一人の爺さんがあそこに住み着いたんですわ、

 それからあれよあれよと言う間に人が増えちまって

 …今ではあんな大所帯になっちまった』

ガイドはマサイ独特の形をした小屋が建ち並ぶ村を指さしてそう言った。

「去年の今頃と言えば…

 例の旅行者の行方不明事件が起き始めた頃か…」

妙に符合するこの事実に

『で、それといまの忠告とはどういう関係があるんだ?』

そう聞き返すと、

『まぁ大きな声では言えないんですがね、

 あの爺さんは悪霊使いだと言われているんだよ』

とガイドは小声で僕に言った。

『悪霊使い?』

彼の説明に僕が驚くと、

『あぁ、そうさ、

 あの村に住んでいる村人も

 実は本当の人ではなくて爺さんが死んだ人間を蘇らせている。

 じゃなかったら、人が急に増えるはずはないじゃないですか』

ガイドは真顔で僕にそう言うが、

「…………美弥の行方不明と悪霊使いの爺さんか…」

しかし、僕にはその奇妙さに引きつけられるモノを感じていた。



やがてクルマは牛たちをかき分けるようにして村の中に入って行く。

そして、クルマから降りるのを拒むガイドをそのまま車中に残して、

僕はこの村の長をしているその曰く付きの老人の元へと向かった。

突然の訪問者に村人達が僕の周りに見る見る集まって来たが

しかし、

「う〜ん、ガイドはあんなことを言ったけど、

 でも、どう見ても普通のマサイ族にしか見えないがなぁ」

僕は半裸に朱染めの衣装・シュカを身につけた身なりの彼らの姿を眺めながら、

ガイドの言っていたことを思い出した。

村の中を歩いてその長をしている老人の小屋に着こうとしたとき、

突然グィっと僕の腕をつかまれた。

「?」

思わず振り向くと、

坊主頭のマサイの男が僕の腕をつかんでいた。

「美弥?」

一瞬、僕の目に彼の姿が美弥に見えた。

「(美弥のわけないか)なに?」

不思議そうに僕がそのマサイに尋ねると、

『……』

マサイは何かを言おうとして口を開こうとした。

そのとき、

『ナンっ、そこで何をしておる』

っと声とともに長を思える老人が小屋から出て来るなりマサイを睨み付けた。

ナンと呼ばれたマサイは老人の姿を見るなり掴んでいた僕の腕を放すと、

その場から逃げ出すようにして立ち去ると小屋の陰へと身を隠してしまった。

「なんだ?」

怪訝そうに僕が彼が消えた小屋の方を見ていると、

『さて、お前、余所者だな』

そう言うと長は僕をジロリとみるなり、

『お前に尋ねる

 ウシとライオンどっちが怖いか?』

と僕に尋ねてきた。

「え?」

僕は長が言っている意味が分からなかったので取りあえず、

『ウシが怖い…かな?』

と返事をすると、

『ふん、ウシが怖いか

 じゃぁお前はモランにはふさわしくない』

と呟くと、

『で、ワシに何の用じゃ』

と尋ねてきた。

『あっ、実は…』

僕は長に美弥の写真を見せると美弥の特徴などを説明して

『…というわけで、彼女達を見かけなかったか?』

と聞いてみたものの、長は写真をちらりとみると大きく首を振り、

『さぁ知らないなぁ』

と手振りで答えた。

僕は諦めずに2・3質問を変えてみたが結果は同じだった。

仕方なく諦めて長の元を辞したが、

しかし、どうもこの村に美弥がいるような気がしてならなかった…

そして、さっきから感じている妙な感覚…

そぅ常に誰かに見られているような視線を僕は感じていた。

「美弥?」

僕は振り向きながら周りを見渡してみるが、

しかhし、そこには僕を遠巻きに囲んでいるマサイ達の姿だけで、

その中に彼女の姿はなかった。

「居ないか…」

サマイ達を眺めながら僕はそう呟くと、

「あれ?」

再び村人たちの陰に隠れるようにして僕を見るめているあのマサイの男と目が合った。

さっきは気がつかなかったが、

彼は黒光りした逞しい裸体に申し訳程度のシュカを腰に巻き、

首から腰に掛けてトンボ球で出来た赤と青2本の紐を捩って飾っているだけの簡素な身なりで、

髪の毛は長く伸ばした髪を赤茶色に染め結い上げるマサイ流のお洒落をせず、

すべて剃り落とした坊主頭に鬣のような飾りを頭につけていた。

そんな彼からの視線に僕は何か惹かれるものを感じるとじっと見つめ返した。

すると、僕が見ていることに気づいたのか、

彼はなにも言わず建物の影に隠れてしまった。

「なんだ?」

そう思いながら僕が視線を逸らした後、

しばらくして再び視線を感じた方を向くと、

村人達の輪から少し離れたところで彼は僕を見ていた。

「何か用があるのかな…」

彼を見つめながら僕はそう思っていると、

彼の存在に気づいた長が彼を指差し、

『あぁ、アイツは少し前にこの村にやってきた者でな、

 ここが気に入ったので居させて欲しいというから、

 ワシがマサイとして迎え入れてやったんだが、

 どうもここの仲間とうまく溶け込めないようでな、

 あぁやっていつも離れた所にいるんじゃ、

 全く困ったヤツじゃ』

と説明する。

また、あの坊主頭はマサイになるときの儀式で髪を剃り落としたためだと付け加えた。

僕は長からその話を聞くとさらに彼への興味が増し、

そして、彼の方へと近づいていった。

『おいおい、そいつは放っておけ』

長の声を尻目に僕が彼に近づくと、

彼は僕から逃げるようにして村はずれへと歩き出した。

そして村の外れまで来たとき、

突然、彼は周囲を伺い、そして誰も居ないのを確認すると、

僕のほうを振り向き、

「はっ早く…こっココから、にっ逃げて…」

と、片言の日本語で僕に話し掛けてきた。

「きっ君は日本語がしゃべれるのか?」

彼の突然の言葉に僕は驚きながら聞き返すと、

「ま…雅雄…

 こっココにいてはいけない。

 一刻も早くここから…逃げて」

と訴えるように話してくるが、

しかし、僕には彼がなぜそのような忠告をするのか意味がわからなかった。

すると、

チャラッ

彼はあるものを取り出すと僕に示した。

それは、僕が美弥プレゼントをしたネックレスだった。

「なんで?

 なんで、君がそれを持っているんだ?

 まさか、君っ
 
 美弥の事を知っているのか?」

僕は彼の両肩をつかんで問いただすと、

ジワッ

彼の目から涙が溢れはじめ、

そして、

「あたしよ…雅雄…」

と小さく囁いた。

「え?」

彼の言ったその言葉に俺はキョトンとすると、

「まっまさか君は…美弥?」

僕は信じられない思いで、

彼を指差しながらそう呟くと、

「ほっ本当にみっ、美弥なのか?」

と聞き返した。

すると彼は小さく頷くと、

パサッ

腰に巻いているシュカを取って見せると、

「こんな姿に…なってしまったけど、

 あたしです…美弥です」

と漆黒の肉体と股間のペニスを晒しながら答えた。

「そんな…」

僕は目の前にいるマサイの男が美弥だということが容易には信じられなかった。

「本当なんです。

 あたし…マサイにされちゃったんです」

彼はそう言いながら崩れるようにしてその場に座り込むと泣き出してしまった。

「そんな…このマサイが美弥だなんて…でっでもどうして?」

僕がそのことを確かめようとして声を出そうとすると、

「雅雄…

 お願い、あたしのことは忘れてココから逃げて、

 長の問いかけをかわしたいまなら何もなかったかのように出て行けるから」

と僕に言った。

「長の問いかけ?」

美弥の言葉と共にさっき長からの質問が妙に引っかかっていた僕はすぐに聞き返した。

すると、

「そう、ウシとライオンの問いかけです」

「あれに何か意味があるのか?」

宮の返事に僕は長からされた質問を思い出しながら尋ねると、

美弥は視線を地面に落としながらこのマサイ村で起きたことを僕に話しはじめた。



…その日、美弥と朋子はこのマサイ村を訪れた。

 そして、村にはいるのと同時にあの長の老人に問いかけられた。

 美弥達は少し考えた後”ライオンが怖い”と答えると、

 長は”そうか…ならライオンからウシたちを守って貰おうか”

 と言うと、自分の小屋へと美弥達を招いた。

 美弥と朋子は長の招きに躊躇したが、
 
 しかし、執拗に招く長の機嫌を損なわないようにと考えて、
 
 長の小屋の中へと入っていった。
 
 小屋の中は微かに明かり取りの窓から射し込む日の光以外何も無く真っ暗で、
 
 そして、例えようもない臭いに満ちていた。

 その臭いに耐えかねた二人がそそくさと立ち去ろうとしたとき、

 ”え?”
 
 ”あっ”

 突然意識が遠のき倒れてしまった。

 どれくらい経ったかは判らないが、

 美弥が目を覚ますと薄暗い洞窟の中で裸にされ寝かされていた。

 しかし、起きあがろうとしても、

 美弥の身体は石のように固くなり

 指先すら動かすことが出来ない状態になっていて、

 声すら上げることが出来なかった。

 そして、唯一動かすことが出来る目で洞窟内を見回すと、
 
 彼女の横には同じように裸にされた朋子と共に
 
 怪しげな祭壇があることに気づいた。
 
 ”なによ、これ…”
 
 祭壇を眺めながら美弥がそう思っていると程なくして、

 不気味な仮面を付け、裸の体中に文様を描いたあの老人が現れた。

 悲鳴を上げたくても上げられない美弥はその老人を見つめていると、

 老人は祭壇に置いてあった壺の中から気味の悪い液体を手で掬うと

 呪文を唱えながら美弥や朋子の身体に文様を描き始めた。

 そして、彼女たちの身体が文様で埋め尽くされると、

 見る見る美弥の身体がジワジワと熱くなりはじめた。

 ”あっなに?、体が熱い…”

 まるで体の中から焼かれるような苦しみから逃れようと必死に藻掻いていると、

 長は祭壇の前で呪文を唱えながら踊り始めた。

 と同時に

 ビキッ

 ビキビキビキッ

 美弥の身体から異様な音がなり始めると洞窟の中にこだました。

 メリメリメリ
 
 まるで、何かに引き延ばされるような感覚ともに、

 無数の見えない手が自分の身体を作り替えていく。
 
 そんな錯覚に美弥は捕らわれた。

 ”やっ止めて!!”
 
 心の中で美弥は叫んだが、

 しかし、美弥の身体はその形を変えていき、

 視野の中に見えていた乳房が萎むように消えていった。

 長の呪文が一段と強くなったとき、

 ムリッ!!
 
 美弥の股間にある敏感な部分が膨らみ始めた。

 ムリムリムリ!!

 長が唱える呪文に合わせるようにしてそれドンドンと成長していく、

 天空に高く伸びていったそれは
 
 ググググ…
 
 っと思いっきり突っ張った後、
 
 プッ…ムリッ!!
 
 っと捲れ、中のモノが飛び出した。

 ヒヤッ
 
 洞窟の冷気が飛び出したモノの周りにまとわりつく、

 ”ヒィヒィヒィ…”

 ビンビンに張った感覚と冷気の感覚に美弥は翻弄される。

 すると、長は呪文を唱えるのを止めると、

 美弥と朋子の姿を満足そうに見つめていた。

 ”お願い…もぅ止めて…”

 その言葉を最後に美弥の意識は再び消えていった。

 美弥が目を覚ましたのは長の小屋の中だった。
 
 さっきとは違い身体の自由は利いたが、
 
 しかし、身につけているモノは
 
 腰に腰巻きのようなシュカを巻き付けているだけだった。
 
 不安に駆られるようにして美弥は長の小屋から飛び出すと、
 
 美弥を待っていたのは
 
 ”ワッ”
 
 っと言うマサイ達の祝福だった。
 
 ”え?、なに?”
 
 状況の変化に美弥が戸惑っていると、
 
 ”さぁ、お前はマサイに生まれ変わったのだ”

 美弥に近寄ってきた長はそう言うと彼女の身体を叩いた。
 
 ”あたしがマサイ?…あっ!!”
 
 そのとき、美弥は自分の声が男の声色に変化しているコトに気づいた
 
 また、さらに眼下に見える自分の体が
 
 漆黒の肌に覆われた長い手足と
 
 筋肉が盛り上がった肉体に変わっていることにも…
 
 ”そんな…”
 
 両腕を目線の高さまで上げてそれが自分の肉体であることを確認していると、

 ”これ、どういうこと…”
 
 もぅ一人のマサイが小屋の中から姿を現すと周囲の状況に戸惑った。

 その声に美弥は彼を見ると、
 
 ”ひょっとして、朋ちゃん?”
 
 と声を掛けた。
 
 美弥の声を掛けられた彼は一瞬驚き、そして、
 
 ”あなたは…”
 
 と聞いてきた。
 
 ”あたしよ、美弥よ!!”
 
 美弥は朋子に近づくとそう叫んだが、
 
 しかし、
 
 ”うそ…”
 
 朋子には目の前にいるマサイが美弥であることが信じられない様子だった。
 
 しかし…
 
 ”いやぁぁ!!…なにこれぇ?”

 スグに朋子は自分の体がマサイに変身していることに気づくと悲鳴を上げた。

 ”そうだ、お前はマサイの勇者になるべく生まれ変わったのだ。”

 それを見ていた長が二人にそう言った。
 
 ”そんな…”
 
 マサイと化してしまった美弥と朋子はその場に座り込むと、
 
 ムリムリムリ…
 
 二人の股間から肉棒が頭を上げ始めると、
 
 腰布を押し分けビンビンに勃起した姿を曝し始めた。
 
 ”あっあっあっ”
 
 それを見て二人は腰を引いた。
 
 けど、長はそれを見るなり、
 
 ”さぁ、勇者の証を皆見せるのだ”
 
 と言った。
 
 ”勇者の証って…”
 
 その言葉に美弥と朋子は見つめ合うと、
 
 ”あっ”
 
 ビクン!!
 
 朋子の身体が微かに動くと、
 
 勃起している自分の肉棒・ペニスを両手で握りしめると
 
 シュッシュッ
 
 っと扱き始めた。
 
 ”朋ちゃん、何をしているの!!”
 
 朋子の行動に美弥が驚くと、
 
 ”あぁん、美弥…あたし我慢が出来ないの!!”
 
 朋子はそう美弥に言うと、
 
 更に激しくペニスを扱いた。
 
 ”そんな朋ちゃん…”
 
 美弥は男のオナニーに耽る朋子の姿を呆然と見つめていた。
 
 やがて、
 
 ”あっ…あっ…あぁぁっ
 
  出るぅ!!”
 
 と言う朋子の絶叫と同時に
 
 シュッ!!
 
 朋子のペニスがその先より白濁した液体を吹き上げた。
 
 ”ふむ…”
 
 長は満足げに精液を吹き上げる朋子を眺めると、
 
 ”さぁお前はどうした”
 
 と美弥に迫る。
 
 ”うっ…”
 
 美弥はずっと我慢してきたが、
 
 しかし、朋子の射精を見た途端、
 
 自分のペニスを握りしめると扱き始めた。
 
 そして、美弥が射精するまではそんなに時間は掛からなかった。



と言うのが美弥の説明だった。

あまりにも信じられないその説明に、

「そっそんなことが出きるのか?」

と聞き返すと、

「だって、あたしを見れば分かるでしょう」

立ち上がった美弥はそう答えると自分の腰に朱染めのシュカを巻いた。

「じゃぁ、ここの村人達は…」

「そう、あの老人によってマサイにされた旅行者達なんです」

「なに?

 でも…じゃぁなんでみんなは騒がないんだ。

 これだけの人がそんなことになれば相当な騒ぎになるはず」

美弥の説明になおも僕が食い下がると、

「それは無理です」

と美弥はきっぱりと否定した。

「え?」

「だって、マサイにされた人は最初は姿形だけなんど、

 やがて心の中も徐々にマサイになって行って、

 最後には記憶も何もかもすべてマサイになってしまうんです…」

「そんな…」

美弥の説明に僕は声が出なかった。

「朋ちゃんも、マサイにされたばかりの頃は

 ”負けちゃぁダメ”

 と言って励ましてくれていたんだけど…」

美弥はそう言うと集落の広場でマサイジャンプをしている一人のマサイの方を見る。

「まさか…あのマサイが朋子なのか…」

マサイを指差しながら尋ねる僕の言葉に

コクン

と美弥は小さく頷いた。

「本当に身も心もマサイになってしまったのか」

「…ごめんね」

「え?

「雅雄が言ったとおり、旅行に行かなければ良かった。

 行かなければ、あたし、こんな姿にならずに済んだのに」

「なぜ…

 なぜ美弥はマサイになりきらないんだ?」

「分からない

 長もあたしがマサイになりきらない様子を不思議がっていた。

 あたしをマサイにしようと狩りや戦に連れ出したりしたけど、

 でも、未だ体だけがマサイのまま…

 いっそ朋ちゃんみたいに心もすべてマサイになってしまえば楽になれるんだけど…

 でも、あたしの心は美弥のまま…」

視線を落としながら美弥がそう呟いていると、

ムクリ…

朱染めの腰巻きで覆われていた彼女の股間が盛り上がり始めた。

「あぁ…」

それを見た美弥は思わず声を上げると腰を落とした。

「どうした?」

彼女の様子を尋ねると、

「見ないで雅雄さん…

 あぁ、
 
 いや、見て、お願いコレがいまのあたしなの」

美弥は僕に向かってそう言うと、

シュッシュッ!!

っと棍棒のように勃起し先走りがしたたり落ちている黒いペニスを扱き始めた。

「なっ何を」

美弥の行為に僕が驚くと

「ハァ…ハァ…」

美弥は荒い息をしながらペニスを扱き続ける。

そして、

「ハァ…

 長はあたしの心が早くマサイになるようにって(ハァ)

 別の呪いを掛けたの、
 
 これがこれ、
 
 こうしてオナニーをさせてあたしをマサイにさせようとしているの(ハァ)」

と訴えた。

シュッシュッ

シュッシュッ

美弥は手慣れた手つきでペニスを扱き続けると、

「うっうぉぉぉぉ!!」

まるで、野獣が吠えるような叫びを上げて

腰を振るわせながら精液を吐き出した。

ピュッ

ピュッ

ペニスの先より放たれた精液は赤茶けた大地に黒いシミを作っていく、

「あぁ…また…あたしは」

両腕を地面に付けてガックリと肩を落とす美弥に僕は

「そんなことはないよ

 君がマサイの男としてオナニーをするような身体になっても、

 僕の君への想いは変わらないよ」

と言うと、

「さぁ美弥、早くこの村から出るんだ、

 このままでは本当にマサイになってしまう」

そう言って彼女の腕を掴んで起こすと、

美弥は腕を振りほどき、

「ダメよ、見てわからない…

 あたしはもぅマサイなのよ!

 雅雄のことも段々と忘れてきているの。

 言葉も忘れてきたし、
 
 勉強してきたことも忘れてきているの。

 マサイとなったあたしはオチンチンを生やした姿でココで生きていくしかないのよ。」

と涙目で訴えた。

確かに男のオナニーをしていた美弥の姿はどこから見てもマサイ族の男だった。

しかし…僕はしばらく考えると、

「わかった、じゃあ日が落ちた頃

 ここにもぅ一回来る。

 そしたら来い」

と言うと僕は美弥と離れるとクルマへと戻っていった。

戻ってきた僕の姿を見て安堵しているガイドに

『行くぞ』

とひとこと言うとスグに村から離れた。

村から離れる際、村の外れを見ると美弥の黒い人影が立っていた。

「まさか…美弥がマサイ族になっていたなんて…そんなこと」

僕は半分信じられない気持ちで、彼女を眺めたのちにその場を去った。



日が落ち夜の帳が降りるころ、僕は一人であのマサイ村へと向かった。

マサイ村の手前で車を村外れの方へと向きを変えると、

やがて一人の人影がライトに照らし出された。美弥だ。

美弥は昼間と同じ半裸の粗末な姿をしていたが、

手には槍と盾を持っていて

マサイの勇者としての威厳を持っていた。

「良かった、決心してくれたか」

彼女の姿に安堵すると僕は横に車を止め、

「さぁ美弥、乗れ!!」

と言ってドアを開けたとたん。

大きな叫び声とともに槍が飛んできた。

「なに?待ち伏せか」

僕はそぅ叫ぶと、

唖然としている美弥の手を取ると彼女(彼)を車内へと引っ張り込んで、

猛スピードでその場から出発した。

ドカドカドカ、

槍がクルマに当たる。

が、僕は躊躇わず車を走らせた。

助手席では美弥が顔を強ばらせて様子を眺めている。

マサイ村から脱出したのち、

彼らを撒くようにして宿に到着したのは、

夜も明け始めた頃だった。

ここでは美弥の姿は逆に目立ってしまうので、

彼女に用意していたロングコートを羽織らせた。

「ここでコート姿は似合わないけど、でも、これなら判らないだろう」

そう言うと

フロントに大枚を握らせて口止めをさせ、自分の部屋へと連れ込んだ。

自分の部屋に入ると緊張が解れたのか、僕はイスに座り込んだ。

「大丈夫?」

美弥が心配そうに尋ねた。

「あぁ大丈夫だ…」

僕はそう答えると、ミネラルウォーターを一本飲み干すと、

「もぅ、それを脱いでもいいぞ」

と言うと、美弥はしずしずとロングコートを脱ぎはじめる。

部屋の明かりにマサイ族のたくましい裸体が照らし出された。

わたしはそんな美弥の体を見て、

「美弥…本当にマサイ族になったんだなぁ」

と言うと、彼女はコクリとうなずいた。

僕は、ふと立ち上がると美弥の体に手を回して抱きしめた。

以前は僕の眼下だった彼女の頭が、いまでは頭の上に彼女の顎があった。

「あっ」

美弥は僕の行動に驚くと、

「…ダメ…です…離れてください」

と言って僕の体を離そうとしたが、

僕は彼女を強く抱きしめると

「なんで…」

美弥の顔を見ながらそう尋ねた。

「だって…あたし…もぅ長い間お風呂に入っていないから…」

恥ずかしげにそう言う美弥に、

「それがどうした?」

と聞き返すと、

「だって、汚れます…」

と言ったところで僕は美弥の顔を下に引くと彼女の口を塞いだ、

「う・ん・」

そのまま僕たちはベッドの上に倒れると、

僕は美弥の身体を愛撫した。

チャラッ!

胸に掛かるトンボ球で出来た紐が鳴り、

俺の肌に食い込んでくるが、

しかし、俺は構わずに彼女を愛撫した。

姿形は変わっても、彼女の感覚は依然と同じだった。

美弥が着ている唯一の衣服であるシュカを取り去ると、

そこには昼間精液を吐き出した太くて長いたくましいペニスがそびえ立っていた。

「立派なオチンチンだね」

と美弥に言うと彼女は、

「見ないで…」

と小声でささやく。

すでに割礼を受けたらしく亀頭の下に生々しい傷跡が盛り上がっていた。

「あっ、割礼、受けたんだ」

それに気づいた僕が指摘すると、

「うん」

美弥は頷いた。

「痛かっただろう?」

そう言いながら僕はそっとそれを包むように

両手を当てるとゆっくりと扱き始めた。

「う・あ・ん」

美弥は顎を上げて呻き声を上げる。

シュッシュッ

徐々に扱くスピードを上げていく、

「あん・あん・あん」

彼女の呻き声のピッチが上がっていった。

そして

「あん・ああああ、でるぅ〜〜」

と言う声と共に

ジュン

美弥のペニスは僕の手によって精液を吹き上げた。

ピチャピチャ

放たれた液体がシーツにシミを作っていく。

「うわぁぁぁ

 凄い量だし、臭いも強烈だ」

僕の手に着いた美弥の精液を確かめるようにしてそう言うと、

「…恥ずかしい…」

美弥はそう言うと縮こまってしまった。

「ふふ…」

彼女のその姿を見て僕の口に笑みがこぼれる。

しかし、彼女のペニスは精液を吹き上げても

萎えることなくいきり立ったままだった。

そのとき、

『…ナンよ目覚めるんだ…』

と言う老人の声が突然部屋中に鳴り響いた。

「?」

僕があたりを見回していると

うぐっ…

美弥の様子が変わり始めた。

「はぁはぁはぁ」

彼女の呼吸が徐々に荒くなり目の色が徐々に変わってきた。

「あぁぁ、ダメ…雅雄さん…逃げて…

 あたしが…あたしでなくなるぅ…」

美弥の叫び声が途切れたとたん、

「ぐぅぅぅ」

と言う唸り声とともに

彼女は僕を睨み付けるとガシッと両腕を握りドンをベッドの上に押し倒した。

「美弥、どうしたっ」

僕が叫んだがすでに彼女には僕の声は届かない様子になっていた。

「おい、しっかりしろ、美弥!!」

はぁはぁはぁ

完全に彼女の目は獣の目になっていた。

『ほぅ、ナンがモラン・カーラに入ったか』

「!!」

何時のまにか部屋の隅にあの長が座っていた。

「お前は…」

『昼間の男よナンを真のマサイにしてくれたお礼を言うぞ』

と老人は言うと、

フン

と気合いをかけて持っていた杖を僕に向けた。

ぶわっ

一陣の風が吹き抜けた。

すると体の中に熱い感覚が沸き起こり、それがみるみるそれが全身へと広がっていった。

「くぅぅぅぅぅ」

なんだ?

胸がくすぐったい…

股間が熱い…

体が変だ…

美弥に身体を押さえつけられたまま僕は悶えた。

…判る…自分の身体が何が別の物へと変わっていくこの感覚…

っとそのとき

ビリビリビリ

マサイ化した美弥が一心不乱に僕の服を引き裂き始めていた。

「ヤメロ、止めるんだ美弥!!」

そう叫んだが、しかし美弥は一心不乱に僕の衣服を引き裂いていった。

やがて、肌が露出する。しかし、

露わになった僕の身体は、肌の色が黒くなり、

それどころか、

自分の胸に現れていた2つの膨らみが

大きくジワジワと膨らんでいく様子が見えた。

「あぁぁぁぁ…胸が膨らんでいくぅぅぅ…」

プルン

っと震える乳房を揺らせながら僕は仰け反ると、

『さぁ、ナンよ、勇者として存分にその女を味わうとよい』

再び老人の声が響いた。

「おんな?、僕がか?」

このとき、僕は自分の身体が女性化していることを思い知らされた。

チュク

美弥は僕の膨らんだ乳房に口を付ける。

ビクッ!!

「んくぅ」

まるで、電撃が体の中を突き抜けたような快感に僕は飛び上がった。

ヌチャヌチャ

「あぁん!!」

美弥が乳首をなめ回す快感に必死に耐えていた。

しかし、体に中から僕とは別の感情が沸き起こってきた。

「…あぁ、欲しい…男が…欲しい…」

はぁはぁ

「いや、僕は男…だ…」

必死になって僕は自分自身にそう言い聞かせるが、

しかし、

ピチャピチャ

美弥が股間に舌を這わしはじめた。

縦に動きそして潜り込んでくる舌のざらついた感覚に、

僕の股間には既に男のペニスが無いことを実感した。

「だめだ…もぅ」

身体をよじって快感から逃れようとしたとき、

ヒタっ

僕の股間に美弥の太いペニスが押し当てられた感覚が走った。

「あっ…きっ来て…早く…」

僕は無意識に股を開くとオトコを受け入れる体勢になっていた。

ズンっ

激痛と共に、美弥は僕の身体に入ってきた。

「んあぁぁぁぁぁぁ」

彼女は僕を抱え込むようにして腰を動かし始めた。

「くぅぅぅぅぅ」

ズンズン来る快感に、

僕の心は快楽の中で徐々に薄くなりはじめてきた。

とその時美弥の声が聞こえてきた。

「雅雄、遅くなっちゃったけどやっと一緒になったね」

「あぁ」

僕が最後に感じたのは

「うぉぉぉぉぉ」

と言う美弥の叫び声と下腹部に広がる熱い感覚だった。

「ふぅふぅ」

ベッドの上でぐったりとしている僕の身体を抱えながら

なおも腰を動かし続けている美弥の姿を眺めながら

『ふふふ…

 さぁ、モランの誕生だ!!』

老人はそういうとおもむろに腰を上げたのであった。



おわり