風祭文庫・海女変身の館






「海女体験」



作・風祭玲


Vol.424





「え?

 海女の体験?」

宿に着いたばかりの指田雪乃は振り返りながら思わず聞き返した。

「あぁそうだ、

 せっかく、内倉島まで来たのに

 通り一遍の観光じゃぁつまらないだろう?

 だから、ちょっと刺激的なのをと思ってな」

彼女の夫である指田俊夫はタバコに火をつけながら説明をすると、

「だって、あたし…

 海女なんて…」

雪乃は惑いながら返事をする。

「なぁに、

 体験だよ、た・い・け・ん

 別に本物の海女になれと言うわけではないし、

 それに雪乃、お前、学生時代水泳部だったろう、

 泳ぎには問題ないじゃないか、

 まぁベテランの海女さんが一緒についていろいろ教えてくれるっていうし

 貴重な体験だよ」

そう言いながら俊夫はタバコを一服吸うと、浴衣に着替えはじめた。

「でっでも…」

気楽そうに言う俊夫に対して、

雪乃は彼のこの提案にどこか気が乗らない。そんな感じがしていた。



俊夫と雪乃がこの島を訪れたのは、

お盆も過ぎ秋風が吹き始めたそんな8月の下旬のことだった。

「え?

 内倉島ですか?」

結婚して3年が過ぎ、夫婦生活に倦怠感が漂い始めたそんなとき、

ようやく休みが取れた夫・俊夫は日本海に浮かぶ内倉島への旅行を提案してきた。

「聞いたことのない島ね」

夕食の片づけをしながら雪乃は内倉島のイメージを言うと、

「まぁそうだな…

 でも、風景はきれいだし、

 食べ物もうまいそうだよ、

 特に、いまどきは夕日がきれいだそうだ」

テーブルの上に置いたノートパソコンを雪乃の方に向けながら俊夫は説明し始めた。

「はぁ…

 あたしは構わないですが…」

熱心に説明をする俊夫に根負けするようにして雪乃が返事をすると、

「よしっ決まりな!!」

俊夫はひざを叩いて腰を上げると、

その翌日には二人は内倉島の土を踏んでいた。



元々大きな島ではないために、

内倉島に渡った初日で島の名所めぐりの旅は終ってしまい。

「俊夫さん…

 3泊4日も予約を取っていたけど、

 そんなにこの島にいるのかしら…」

雪乃はそれだけの長期間この島にいることが不安になっていた。

そして、宿に着いたとき、

俊夫から海女の話を持ちかけられたのであった。

「なに変な心配しているんだよ、

 ちょっとした気分転換と思えばいい」

俊夫は笑いながら雪乃の肩に手を置いた。



ところが…

「え?

 こっこれって?」

翌日、集合場所である、

海女小屋を訪れた雪乃はそこにいる海女達の姿を見て思わず声が詰まった。

「どうした?」

そんな雪乃に俊夫が声を掛けると、

「あの方々って、

 海女さんですか?」

「あぁ、そうだよ」

「みっみんな、

 そのフンドシを締めているんですね」

「まぁそうだな、

 ここは海が暖かいし、

 それにフンドシの方がいろいろと便利なんだそうだ」

「そっそうですか…」

日に焼けた裸体に赤い六尺褌を締める海女達の姿に

雪乃は顔を真っ赤にして俯いてしまうと、

「あのぅ…」

俊夫たちに気づいた海女の一人が声を掛けてきた。



「あぁ、

 先日、お電話を差し上げた指田ですが」

まるで近所に挨拶をするかのような気軽さで俊夫は返事をすると、

「あぁ、体験の希望の方ですね」

「はい」

俊夫の返事にその海女は納得したような表情をすると、

タッタッタ

俊夫は早歩きで海女に近づいて行き、

ちょっと驚いている海女の耳元で何かを囁いた。

すると、

「え?」

俊夫の申し出に海女は少し驚いた顔をして、

「良いのですか?

 磯着なら用意してありますが…」

そう返事をすると、

「あぁ、

 妻の希望でね」

俊夫は固目を瞑って返事をした。

「はっはぁ…」

俊夫に話しかけられた海女はそう返事をしながら海女小屋に戻ると、

「では、これを…」

と言いながら小屋より持ってきた朱染めの六尺を俊夫に手渡した。

「ありがとう」

海女の差し出した六尺を俊夫はありがたく受け取ると

「おーぃ!!」

離れたところにいる雪乃に声をかけ、

自分のところへ来るように手で招いた。

「なにかしら?」

俊夫と海女の一部始終を見ていた雪乃は不安になりながらも俊夫の傍によると、

「これを、締めてくれって」

と言いながら俊夫は手渡された六尺を雪乃に差し出した。

「こっこれって!!」

手渡された六尺に雪乃は思わず声を上げると、

「おいおい、なんて声を上げるんだよ」

声を上げた雪乃を呆れたような表情で俊夫は見る。

「だってこれって」

「ん?」

「フンドシでしょう…」

「あぁ、そうだよ、

 ここでは、海女は六尺褌っ

 という決まりだそうだ」

「そんな…

 俊夫さんはあたしにそんな格好をさせるのですか?」

「イヤなのか?」

「イヤとかそういう次元じゃ」

「締めてくれるよな」

「でっでも」

六尺を手になおも雪乃が拒むと、

「ふふ…」

俊夫はにこやかに笑みを浮かべながら、

「雪乃…

 俺、お前のフンドシ姿が見たいんだ」

と耳元で囁いた。

「え?」

俊夫の思いがけないその言葉に雪乃は顔を上げると、

「締めてくれるよね」

雪乃の瞳をじっと見つめながら俊夫は囁く、

まさに俊夫の武器であった。

彼にじっと見つめられながらそう囁かれると、

雪乃の心の中から抵抗がなくなり、

事実上彼の言いなりになってしまった。

「はっはぁ…」

「そうか、ありがとう」

小さく頷いた雪乃に俊夫は礼を言うと、

「じゃぁ、あの海女小屋が更衣室になっているそうだから

 あそこで着替えてくると良い」

と浜辺に建つ海女小屋を指差した。

「はっはいっ」

これから締めることになる六尺を手に雪乃は海女小屋へと向かうと、

「こちらです」

二人の様子を伺っていた海女達は小屋の戸を開き、雪乃を迎え入れた。



フワッ…

「あっ磯の香り…」

海女小屋の中は表の様子とは打って変わって整然と片付けられ、

壁には海女達が漁で使うであろうと思われる様々な磯のノミや網籠が掛かり、

また、漁の際に締めていたと思われるフンドシを数本干されていた。

「………」

そんな中で雪乃は着ていたワンピースを脱ぐと、

小屋の中に彼女の白い肌が浮かび上がる。

すると、

「あのぅ…」

表から海女の一人が小屋の中に顔を入れて尋ねてきた。

「きゃっ」

突然の声に雪乃は脱いだワンピースで正面を隠しながら悲鳴を上げると、

「あっすみませんっ

 あのぅ

 六尺の締め方…って出来ますか?」

海女は脅かしてしまったことを誤りながらも

雪乃が六尺褌が締められるか尋ねてきた。

「え?

 あっ

 はっはい…

 あの…

 これってどうやって締めれば良いのですか?」

海女に言われて雪乃は自分が六尺を締め方を知らないことを告げると、

「じゃぁ、

 あたしが締めてあげます」

20歳くらいだろうか、

身体に皺一つない海女はそう言いながら海女小屋に入ってくると、

「おっお願いします」

雪乃は海女に頭を下げた。



「うわっ奇麗な肌ですね…

 あっいいですか、

 六尺の締め方ですが、

 まず、広げた六尺を縦に折ってその片方を肩に掛けて…

 そうですね、

 あっもぅちょっと、余裕があったほうが良いかも」

「はいっ」

海女の声と共に壁から入ってくる日の光に

身体を照らしながら雪乃は縦に2つ折りした六尺を肩に掛けると、

スルッ

丁寧に巻かれた六尺が日に焼けた海女の手に導かれて雪乃の股間を通って行く。

そして、

クッ!!

っと股間を通った六尺が雪乃の秘所と肛門に押し当てられると

「あっ」

硬く閉じていた雪乃の口から小さな声が漏れてしまった。

「あっすみません」

雪乃のその声に海女は小さく謝ると、

「いえっ」

雪乃は顔を赤くしながら返事をする。

すると、

「ちょっと、痛いかもしれませんがガマンしてください」

海女はそう言いながら、

キリキリ

尻の間に通した六尺をねじり始めると、

見る見る股間から先の六尺が捩れ細くなっていった。

そして、

ある程度まで捩ったところで、

グイッ

っと引き上げられると、

キュッ!!

雪乃の股間が締め付けられるように持ち上がられ、

「うっ」

雪乃は声が漏れないように唇をかみ締めた。

「痛いですか?」

フルフル

雪乃の様子を見ながら海女は声を掛けると、

捩った六尺を雪乃の腰の後ろまで持ち上げ、

そして、

そこを起点にグルリと雪乃の腰の周りに六尺を回すと、

「はいっ

 肩に掛かっている端を落としてください」

と告げた。

「あっはいっ」

海女に雪乃は言われたとおりに自分の方に掛かっていた六尺の片方を落とすと

キュッ!!

海女は片手でその端を掴むと再び雪乃の股間を通し、

そして、捩りながら引き上げると、

縦褌となっていたさっき捩った六尺に絡ませていった。

クックック

っと引き締められてくる六尺褌の感覚に、

「あぁ…

 これって、

 気持ち良い…」

雪乃は思わず感じてしまい、

知らず知らずのうちに体から力が抜けてしまっていた。

とそのとき、

グイッ!!

雪乃に六尺褌を締めていた海女がその両端を持って思いっきり締め上げると、

「きゃっ」

ビクン!!

力が抜け、気持ちに隙間が出来ていた雪乃は驚くと思わず声を上げてしまった。

「あっすみませんっ

 つい、いつもの調子で」

雪乃があげた悲鳴に海女が驚いて謝ると、

「いっいえ、

 だっ大丈夫です、

 つっ続けてください」

秘所が湿り始めたのを感じながら雪乃はそう返事をした。

そして、

ククク…

締められた横褌の左右に六尺の端が絡ませられてると、

ビシッ

雪乃の白い股間に力強く、朱染めの六尺褌が締められた。

「はい、出来上がり

 うん、似合ってますよ、

 旦那さん、どんな顔をしますかね」

雪乃の六尺姿を見ながら海女はそう言うと、

「え?

 俊夫さんが…」

雪乃は自分のこの姿が俊夫に見られることが恥ずかしくなってきた。



「あっ髪を結いますね」

雪乃の長い髪が下がったままであることに海女が気づくと、

手際よく結い上げ、

そして、その周りを手ぬぐいで巻き上げると、

「じゃぁ、

 磯メガネと磯ノミ、

 それと、磯桶、

 これを持って表に出て下さい」

海女は雪乃のいまの気持ちを汲むことなく、

テキパキと海女の道具を手渡すと、

「はいどうぞ」

と告げながら海女小屋の戸を開けた。

「え?」

海女に促されて、

一歩

また一歩と雪乃は光であふれる出口に向かって歩いていく、

そして、

出口に出たとき、

「おっ」

その正面には驚いた表情の俊夫が立っていた。

「とっ俊夫さん!!」

突然の俊夫の登場に雪乃は驚くと、

「おぉ…

 海女って感じがしていいよ、その格好」

俊夫は褌海女となった雪乃の姿を落ち着いた口調でそう告げた。

しかし、

「………」

恥ずかしさのあまり満足そうに頷く俊夫の声に返事することなく

タッタッタッ

雪乃は小走りで浜辺に向かうと、

「よっ宜しくお願いします」

浜で待っていた海女に雪乃は頭を下げた。



それから約1時間後…

ゴボゴボ…

ベテランの海女にレクチャーを受けながら磯メガネをつけた雪乃は海に入ると、

そこには幻想的な海の光景が彼女が待っていた。

「はぁぁ…」

卒業からすっかりご無沙汰していたとはいえ、

雪乃の身体は水泳部時代の頃を忘れることはなく、

彼女をその世界の中へを引き込んでいった。

「海って…こんなにきれいだったんだ…」

海の中をじっくりと見たことが無かった雪乃はそう感じながらも、

グィッ

自分の股間を締め付ける六尺褌を意識すると、

「あっ…」

雪乃は無意識に股間へ手を滑らせていた。



ザザーン…

海女に導かれ海中散歩と小さな収穫を上げた雪乃は

浜から少し離れた岩場に上がってくと、

「はい、お疲れさま」

と言う声と共に

カシャッ!!

シャッター音が響き渡った。

「え?」

響き渡ったシャッター音に雪乃は振り返ると、

「海から上がったばかりの海女さんって色気があって良いねぇ」

と岩場の上からカメラを構える俊夫は口元をニヤケさせながらそう言う。

「俊夫さん!!」

そんな俊夫の姿に雪乃は慌てて胸と褌が締められた股間を隠して

抗議するかのように声を上げると、

「ほぉ、一日で日に焼けたみたいだな」

といつの間にか赤みを帯びた雪乃の肌のことを指摘した。

「あっ」

それに気が付いた雪乃はちょっと驚いた顔をすると、

「おっ、

 いい顔、いい顔」

俊夫はそう言いながらカメラを構えるとシャッターに指を伸ばした。



「ありがとうございました」

海女の体験が終わり、

雪乃の指導をしてくれた海女に雪乃は頭を下げると、

すぐに着替えようと海女小屋に向かって行った。

すると、

「おーぃ」

海女小屋に向かおうとする雪乃を俊夫が呼びとめると手招きをした。

「俊夫さん」

手招きをする俊夫の方と雪乃は向かっていくと、

「こっちこっち」

俊夫は雪乃を招きながら岩場の人目が付かない方へと導いていく、

そして、磯の奥まったところまで向かっていくと、

「雪乃…」

振り返った俊夫はそう囁きながら褌姿の雪乃に抱きついてきた。

「え?

 俊夫さん、何を」

「ふふ…

 どうだった、褌締めて海女になった気分は…」

俊夫の豹変に驚いている雪乃の耳元で囁くと、

雪乃の横褌に手を掛け、

グィッ

っと引き上げた。

「あっいやっ」

自分の股間を切り裂くかのように食い込んでくる縦褌の痛みに雪乃は悲鳴を上げると、

「いやか

 すっかり湿っているじゃないか」

食い込みながらも秘所を覆う六尺の上をさすりながら俊夫は囁く、

「そんな、海に入ったから…」

「そうか?

 じゃかこれは何だ?」

否定する雪乃に俊夫は六尺の中に指を入れてくると、

その中で充血していた秘所に指を這わせ始めた。

「いやっ」

俊夫の指に弄ばれながら雪乃は身を硬くすると、

「ふふ…

 お前の海女姿…

 思ったとおりだったよ」

「そんな…

 恥ずかしい…」

自分に告げられた言葉に雪乃は驚く、

すると、

「恥ずかしくはないよ

 どうだ、褌を締めた気分は?

 気持ち良いだろう」

クニクニ

六尺の中に入れた指で雪乃のもっとも敏感な部分を突付きながら俊夫は尋ねると、

「あぁ…」

悶え始めた雪乃は身をよじり俊夫に抱きついた。

「ん?」

グニッ!!

雪乃の反応を見ながらさらに焦らすように俊夫は攻めると、

「きっ気持ちいいです

 だっだから…
 
 俊夫さんのを…」

すっかり俊夫の指技に堕ちてしまってた雪乃はその先のことを要求し始めた。

すると、

「そうか、

 じゃぁ俺のために褌海女になってくれるか?」

「あっ…はっはいっ

 なります、褌海女になりますから、

 だから、あなたのを…」

「ふふ…

 そうだ。

 じゃぁいくよ……」

「あぁ…

 頂戴っ」

勝利を確信したような笑みを浮かべる俊夫の前に雪乃は崩れ落ちていった。

そして、翌日も、また翌日も雪乃は褌海女の体験を続け、

身も心も褌海女となっていった。



「ただいまぁ」

一日の仕事を終えた俊夫が玄関を開けると、

玄関のドアを向こうには海女の赤褌を締め、

結い上げた頭に巻かれた手ぬぐいと

頭に引き上げられた磯メガネ、

そして、褌に挟むように磯ノミを身につけた、

そう、内倉島の褌海女姿の雪乃が三つ指をついて待っっていて、

「お帰りなさい、あなた。

 お風呂ですか?
 
 それともお食事ですか?
 
 それとも…
 
 褌の海女ですか」

と顔を赤らめながら俊夫に尋ねる。

「そうだな…」

そんな雪乃の姿を見ながら、

俊夫は少し考えると、

「すっかり出来上がっているようだから、

 その褌海女を頂こうか」

股間を大きく膨らませながら答える。



「あはっ、

 あっあ〜ん」

ヌチャッ

ヌチャッ

ベッドの上で褌海女・雪乃が喘ぎ声を上げ、

そして、その雪乃を俊夫は背後から突きまくる。

「あっ

 あっ
 
 あっ
 
 あぁっ」

腰に締められた海女の褌を横にずらし、

己の肉棒を挿入した俊夫は腰を激しく振りながら、

「そうだ雪乃、

 こんど、海の傍に引っ越そう、

 お前がいつでも海に行けるように
 
 そして、お前からいつも磯の香りがするようにな」

喘ぐ雪乃の頭を撫でながら俊夫はそう言い聞かせると、

「あぁん、

 ずっと褌海女でいられるのね

 うっ嬉しい。」

磯メガネを輝かせて雪乃の声が響き渡った。



おわり