風祭文庫・尼僧変身の館






「藪の中」


作・風祭玲

Vol.614





パキン!!!

バサバサバサ!!

ギャァギャァ…

「うわっ!」

「しーっ」

「んなこといったって…」

「いいから、静かにしろ」

突然飛び上がったカラスに驚く僕を

前を行く田端勝義君が即座にしかりつけると、

「……」

その声に抗議するように僕は黙ってしまった。

すると、

「わっ悪かったよ…

 でも、智が声をあげるのが悪いんだぞ」

バツが悪くなったのか、

勝義君は怒鳴ったことを謝りながらも、

その責任は僕にあることを言う。

ここは僕たちが住む街から少し離れた大藪の中、

この春、中学生になった僕たちだったが、

実は別の小学校から入ってきたクラスメイトより、

この大藪にあるお化け屋敷ついての噂を聞き、探検に来たのであった。

「ねぇ…

 本当にあるのかな?」

「さぁな、

 とにかく行ってみるしかないだろう」

噂のお化け屋敷を一目見ようと僕たちは藪の中を進んでいく、

前を行く勝義君と僕は小学校からの親友で、

中学生になってもこうして行動を共にしている。

でも、いつも主導権は活発な彼にあった。

ザザ

ザザザ…

腰まである笹をかき分け僕たちは進んでいくと、

やがて、

「あっ」

いきなり空間が広がると、

目の前に一軒のお寺らしい建物が姿を見せた。

「おっお寺?」

「ここがお化け屋敷?」

突然現れたお寺に勝義君は驚き、

また、僕はお化け屋敷と言うには手入れが行き届き

整然としているそのたたずまいに困惑をする。

「人の家に入っちゃったのかな?」

「でも、お寺だぜ…

 こんなところにお寺があるだなんて聞いたことがないよ」

境内を見回しながら僕達は相談をすると、

「とにかく、探検してみようぜ」

と勝義君は言うなり、

先頭を切って境内の中を歩き始めた。

「あっまずいよ、

 見つかったら怒られるよ」

歩いていく勝義君に向かって僕は何度もそう言うが、

しかし、彼は聞く耳を持たず物珍しそうに歩き回っていた。

とその時、

「誰?」

突然、女の人の声が響くと、

「え?」

「うわっ!!」

突然の声に僕と勝義君が驚いて声を上げる。

すると、

スッ…

建物の影より黒衣に黄袈裟を身にまとい、

頭には白い頭巾を被った人物が姿を見せた。

「え?

 女の人?」

これまでに見たことがないその人物の姿に僕は驚いていると、

「やば、

 おいっ

 何やって居るんだ、

 逃げるぞ」

と勝義君が僕の腕を掴むなり走り出すと、

この場から逃げだそうとした。

ところが、

「あらっ、

 勝手に入って…

 挨拶もなしに逃げるのですか?」

女の人はそう言うと

ススッ…

まるで、横滑りしたかのように移動をすると、

僕たちの前に立ちはだかり、

グイッ

「いてて!!」

先を行く勝義君の腕を掴み上げた。

「うそっ」

女の人のその素早さに僕は驚いていると、

「はっ放せっ」

と勝義君は声を上げるが、

「うふっ、

 ダメよ、逃がさないわよ」

女性はそう言いながら嘗めるような視線で僕たちを見つめた。

「いっいったい、

 あなたは誰ですか!」

そんな彼女に向かって僕が問尋ねると、

「わたしは御仏に使える、尼。

 ここはその尼の寺…尼寺よ、

 男の出入りは固く禁じられているわ」

と自分を尼と名乗った女性はそう僕に告げた。

「そっそれは、謝ります。

 でっでも、

 別に悪いことをしようとして入ったわけではありません」

尼さんに向かって僕は弁解をするが、

「でも、君たちは禁を侵したわ、

 その責任は取って貰うわ」

と冷たい口調で尼さんは言う。

「責任って…」

その言葉に僕は驚くと、

「智、伏せろ!!

と勝義君の声が響き、

「えいっ」

の声と共に

バッ

その尼さんの顔めがけて砂が投げつけられた。

その途端、

「うわっ」

尼さんの悲鳴が上がり、その身体が大きく怯んだ。

すると、

「おいっ

 行くぞ!」

再び勝義君の声が響くと

グィッ!

彼の手が僕の腕を引く、

「行くって…」

「逃げるんだよ、

 あの女の人、
 
 ちょっとおかしいぞ」

僕の腕を引きながら勝義君はそう言うと、

「とにかくこんなところから退散だ」

と叫んだ。

すると、

「くっ、小癪な」

勝義君が投げつけた砂を尼さんは払うと、

逃げる僕達を睨み付けるなり、

「この尼寺に立ち入った者は全て尼になる運命、

 お前達も尼になるがよい!」

と叫びながら追いかけてきた。

「うっうわっ、

 尼さんが追いかけてきたよ」

後ろから迫ってくる尼さんの姿に僕は驚くと、

「どうでもいいから走れ!」

前を行く勝義君は叫んだ。

しかし、尼さんは着物姿とは思えないスピードで迫ってくると、

グイッ

いきなり僕の襟首を掴み上げ、

「捕まえたぁ…」

と僕の耳元で囁いた。

「いやぁぁぁ!!

 放せ!」

瞬く間に持ち上げられ、

そして、足をバタつかせながら僕は悲鳴を上げると、

「こらぁ!!

 智を放せ!!」

勝義君は戻って来るなり、

僕を掴み上げている尼さんに飛びかかってきた。

「なにをするっ

 貴様っ」

「うるさいっ

 智を放せ!」

たちまち尼さんと勝義君はつかみ合いとなり、

そのはずみで僕の襟首から尼さんの手が離れると、

「逃げるんだ、智っ

 先に行け!!」
 
と勝義君は僕に叫び、

「わっわかった!」

その声に僕は必死になって藪の中を駆け抜け、

そして、

ガサッ!!!

自転車が置いてある道路に出たときにはすでに夜になっていた。



ところが、いくら待っても勝義君は戻っては来なかった。

なかなか帰ってこない勝義君に僕は別のところに居るのかと思い、

自転車で周辺を探してみたのだが、

しかし、どこにも勝義君の姿は見あたらず、

ついには警察なども出て勝義君を捜したのだが、

勝義君の姿はもちろん、あのお寺も、

また、尼さんも見つからなかった。



こうして1週間が過ぎても勝義君は戻らず、

僕は勝義君の姿のない学校に通う日々を過ごしていた。

そして、あの事件から2週間が過ぎ、

僕はある決心をすると、

再びあの大藪の前に立っていた。

「きっと、勝義君はあの尼さんに捕まって居るんだ。

 僕が助けに行かなきゃ」

僕はそう決心すると、

ザザザ…

再び大藪の中へと分け入っていった。

ザザザ

ザザザ

あの後勝義君を捜しに入っていった警察でさえも

見つけることが出来なかった尼寺を求めて僕は藪の中を彷徨う、

そして、

「どこに行けば…

 困ったなぁ…」

なかなか尼寺を見つからないことに焦りを感じ始めた頃、

「・・・・・・・・」

どこからかでお経を読むような声が微かに聞こえてきた。

「お経?」

その声に引かれるようにして僕は向かっていくと、

ガサッ

いきなり藪が開け、

あの尼寺が僕の前の前に姿を見せた。

「あっ!」

尼寺を見た瞬間、

僕は思わず声を上げそうになたが、

「いけない!」

すぐにその口を塞ぐと、

あの尼さんに見つからないように、

こっそりと境内に入っていった。

「ここのどこかに勝義君はいる」

そう思いながら僕は歩いてゆくと、

段々、お経を読む声がハッキリと聞こえてきた。

そして、本堂の横を通ったとき、

その中で、尼さんの姿をした女の子の姿が見えた。

「え?

 女の子?」

歳は僕と同じぐらいだろうか、

尼の着物に白い頭巾姿の少女は静かに手を合わせると、

透き通る声を響かせ、お経を読み上げていた。

その声と姿に僕は立ち止まっていると、

「…」

突然、声が止まり、

そして、僕の方を見るなり、

「智さん」

とその尼の少女は僕の名前を呼びながら駆け寄ってきた。

「え?

 えぇーと、
 
 誰だっけ?
 
 僕と会ったことがあります?」

僕の手を握りしめる尼の少女と面識がない僕は思わず尋ねると、

クス…

尼の少女は小さく笑い、

「わたしよ、

 智さん。
 
 あなたの親友だった勝義って男の子…」

と囁く、

「え?」

彼女からのその言葉に僕は驚くと、

「うっうそだ!」

と僕は声を張り上げるが、

「ウソじゃないわ、

 本当よ、

 夢香尼様に摩羅を取っていただいて尼になったのよ」

僕に向かって尼の少女はそう言うなり、

スス…

衣の裾をたくし上げると、

股を大きく開き、

露わになった股間を僕に見せつけた。

「うっ」

その股間には男の子のオチンチンは無く、

代わりに女の子のあの縦溝がくっきりと刻まれていたのであった。

「あっ」

見てはいけないものを見てしまったことに僕は顔を背けると、

クスッ

「別に恥ずかしがることないよ、

 あたし達、親友でしょう?」

と尼の少女は言うが、

「しっしかし…

 だからと言って、

 こういうのは…」

とそっぽを向きながら僕は言うと、

「クス…

 わたしのこと判ってくれた?」

と聞き返してきた。

「え?」

その言葉に僕は驚くと、

尼の少女は僕にすり寄り、

そして、

「ねぇ…

 智も尼になろうよ、

 智が尼になってくれたら、
 
 あたし達、ずっと一緒よ」

と囁いた。

「そんな…

 僕が尼さんにだなんて」

その言葉に僕は驚いていると、

「で、尼になる決心は出来たの?」

と今度は大人の女性の声が響いた。

その声に僕は顔を上げると尼の少女の後ろに、

この間僕たちを追いかけ、

そして、勝義君を尼さんにしてしまったあの尼が立ち、

僕をじっと見つめていた。

「あっ!

 いつの間に…」

尼さんを見た途端、僕は声を上げると、

「うふふ…

 また会いましたね、坊や…」

と尼さんは呟いた。

すると、

「行こうっ」

反射的に僕は尼にされた勝義君の手を引き、

逃げだそうとするが、

「ふふっ

 紫洸っ」

と尼さんは指示をすると、

「はいっ」

僕の後ろで勝義君の声が響き、

「あっ」

瞬く間に僕は組み伏せられてしまった。

そして、即座にシャツを脱がされ、

さらにズボンまでも脱がされてしまうと、

「さぁ、華香尼さま、

 この摩羅を引き抜いてください」

と言いながら勝義君はパンツを脱がした僕の股間を尼さんに向けた。

「やっやめ…」

誰にも見せたくない股間を大開にされた僕は慌てながら抵抗をするが、

「ふふっ

 覚悟はよいか」

と尼さんは手を差し出しながら僕に尋ねてきた。

「覚悟だなんて…

 そんな…
 
 なっ勝義君っ
 
 止めようよこんなこと」

尼さんの言葉に僕は顔を青くしながらも、

後ろで羽交い締めにしている彼にそう言うが、

「うふっ

 智もオチンチンを引き抜いて貰って、
 
 尼さんになろう」

と僕に言う。

「やっやだぁ!!」

その直後、僕は悲鳴を上げるが、

しかし、

ギュッ!

僕のオチンチンを尼さんが握りしめると、

ヒヤッ!

氷のように冷たい感触が僕のオチンチンを包み込んだ。

「いやだ、

 いやだ
 
 いやだ」

声を張り上げ、僕は抵抗をするが、

ギュゥゥゥゥ…

オチンチンを握りしめる尼さんの手が引かれると、

僕のオチンチンは引き延ばされ、長く伸びて行く、

「痛い、

 痛い
 
 痛い!」

引き延ばされる激痛に僕は悲鳴を上げるが、

尼さんは構わずにさらに手を引いてゆく、

そして、ついに、

ブチブチブチ!!!

ズルン!!!

オチンチンはついに切れてしまうと、

同時に引き抜かれてしまった。

「あぁぁぁぁぁ!!」

身体の中を駆け抜けていく衝撃の中、

僕は気を失ってしまった。



「うっ」

どれくらい気を失っていたのだろうか、

頭から伝わってくる冷気に僕は気がつくと目を開けた。

「ここは」

畳の上に敷かれている布団に寝かされていた僕は

キョロキョロと周囲を見ながら起きあがると、

ヒヤッ

頭を襲う冷気から逃れようとして、

僕は手を頭に当てたとき、

ツルリとした皮膚の感触が手に伝わってきた。

「え?

 髪が…
 
 ない!」

ペタ

ペタ

髪が消えてしまった頭を触りながら僕は困惑していると、

スッ

閉じていた襖が開き、

尼の姿をした勝義君が部屋に入ってきた。

「勝義君…」

彼、いや、彼女の姿を見ながら僕は呟くと、

「紫洸、と呼んでください」

と勝義君は僕に言い、

そして、

「いかがですか、

 尼になった感想は」

と尋ねてきた。

「尼になった?」

「えぇ…

 智は夢香尼様に摩羅を引き抜いて貰い、

 尼になったのよ」

そう言いながら勝義君は僕が着ている着物の前を開くと、

「ほら、

 ご覧なさい」

と言いながらいまの自分の姿を見せる。

「そんな…

 無くなっている…」

そう僕の股間からは見慣れたオチンチンは無くなり、

代わりに縦に刻まれた溝がそこにあった。

すると、

勝義君の手が僕の股間に伸びると、

その溝を左右に開いて見せ、

「クス…

 ほら、よく見なさい…
 
 これがオマンコっていうものよ」

と僕に囁いた。

「いっいやっ」

女の子が持っている”もの”が

僕に付いてしまったことを否定するように顔を背けると

「大丈夫、

 怖くはないわ、

 あたしが居るでしょう」

勝義君はそう言いながら僕の身体を抱きしめると、

溝の中に指を滑り込ませた。

その途端、

「ビクッ!!

 あんっ」

僕の身体の中を電撃が走り抜け、

思わず喘ぎ声を上げてしまうと、

「綺麗な声…

 さぁ、智君もあたしにして」

勝義君はそう囁き、

僕の手を取ると自分の股間へと導いていった。

すると、

クチュッ

僕の指先に生暖かく湿った感触が伝わり、

「んくっ」

ビクッ

それと同時に勝義君の身体が小さく動き、

今度は僕の股間に潜り込んでいる指に力が入った。

「あんっ!」

勝義君の指の動きに僕は喘ぐと、

ピクンっ

僕の指が動き、

「んくっ」

僕の指の動きに勝義君が喘ぐと、

ビクッ

「んんんっ」

僕が動いた。

それを幾度も繰り返し

そして、気づいたときには、

ハァハァ

ハァハァ

僕たちは裸になり互いの身体を絡め合いながら、

布団の上で抱き合っていた。

クチュッ

クチュッ

男の子の時には抱き合ったことすら無かったのに、

僕と勝義君は唇を合わせ、股間を刺激し合う。

ハァハァ

ハァハァ

「いっいぃ…

 いいよぉ」

「あんっ

 気持ちいいよ」

互いに坊主頭を振り回し、

そして、股間を刺激し合っているうちに、

「あぁ、くる…」

「あん、いやっ

 身体が…
 
 あっ
 
 あっあぁ!!」

身体の奥からこみ上げてきた大きな波に

まるで、突き上げるようにして、

僕は身体を強ばらせると、

「いっイク時は一緒に…」

勝義君のその声が響いた。

そして、それからまもなく、

「あっひぃぃぃぃっ」

「いくぅぅぅぅぅ!!」

僕たちは絶頂を迎えてしまった。



クハァハァハァ…

布団の上で僕と勝義君が倒れていると、

スッ

僕たちの前に黒い影が立った。

「だれ?」

半分意識が飛び、

力が入らない身体を必死に起こしながら、

僕は尋ねると、

「ふふっ

 絶頂を味わったのね」

と女性の声が響く

「あっあなたは…」

その声に驚きながら僕は身体を起こすと、

「ふふっ、

 いかが?
 
 尼の絶頂は?
 
 御仏に導かれた思いでしょう」

と夢香尼様が僕に迫った。

「…はっはい」

間近に迫る夢香尼様の顔を見ながら僕は頷くと、

「ふふっ

 そうでしょう…
 
 さぁ、あなたはもぅ尼です。
 
 法名を授けましょう、
 
 そうですね…
 
 紫雲…

 紫雲がいいですわ。

 しっかりとお勤めに励むのですよ」

夢香尼様は僕に尼としての名前を紫雲と告げると、

スッ

僕の坊主頭に白い頭巾をかぶせた。



…紫洸…

…なぁに、紫雲

…もぅおうちには帰れないのかな

…うふっ、何を言うの?

 あたし達、もぅ尼よ、

 ずーと、この尼寺で暮らすのよ。

…ずーと?

…そう、ずーと…



おわり