風祭文庫・尼僧変身の館






「探検の代償」


作・風祭玲

Vol.605





チチチ…

春。

若々しい緑があふれ始めた境内を黒衣に黄袈裟、

そして白の頭巾姿の尼僧が一人ゆっくりとした足取りで歩いていた。

つい先日まで寒々とした冬木立の境内だったが、

しかし、桜花の開花と共に樹木は一斉に芽を吹き、

殺風景だった境内は若々しい緑に包み込まれている。

歳は20歳ぐらいだろうか、

頭巾から覗く瑞々しい肌と、

尼僧には似つかわしくない口元の紅が妖美なものへと引き立てていた。

そんなとき、

「うふっ」

尼僧が嬉しそうに笑うと、

「おや、何をそんなに嬉しそうにしているのです?」

と少し歳が行った尼僧が後から姿を現し理由を尋ねる。

「あっ蓮月尼さま、

 いえ、すっかり春だな…と」

その声に笑いを浮かべた尼僧は慌てて繕うと、

「いいんですよ、華月、

 芽吹きが嬉しいのは私も同じです。

 こうしてまた芽吹きの季節を迎えたのですから」

蓮月と呼ばれた尼僧はそう言うと、

若芽が覆うえ枝に手をさしのべる。

すると、

キラッ

華月尼の目が妖しく光り、

「こういう日は…」

と呟くと、

「えぇ、きっと良い”贄”と巡り会うでしょう」

蓮月尼はそう返事をする。




チチチ…

「おいっ、知っているか?」 

その山の麓にある学園。

この春に入学していた新入生達の間にちょっとした話題が持ち上がっていた。

「何が?」

掛けられてきたその声に初々しい制服姿の日野岬は振り返ると、

「ほら…

 あの山の真ん中にお寺があるだろう」

といいながら同じ1年の中野健一は校舎から仰ぎ見る山を指さした。

『あぁ、あれってやっぱりお寺なんだ…』

岬自身、健一が指した山の中腹に

お寺のような建物があることは以前から気がついていたが、

「で、あれがどうした?」 

と尋ねてきた意味を尋ねると、

「尼寺なんだってよ…」 

と健一は囁く、

すると、

「おぃ、やっぱりそれって本当なのか?」

横で聞いていた小金井光男が割り込んできた。

「あぁ間違いないそうだ」

「そういえば、俺、

 あの山の中を尼さんが歩いているところ見たことあるよ」

と今度は湧いて出るように姿を見せた三鷹肇が言う。

「で、それがどうしたんだ?」

なんで尼寺のことでここまで盛り上がるのか不思議だった岬は聞き返すと、

「日野クン、キミと言うヤツは…

 覗きに行くに決まっているだろう…

 尼寺だよあ・ま・で・ら。

 男を絶ち、俗世を棄てたうる若き乙女達が、 

 悶々とした日々を過ごしているんだよ。

 これを覗き行かなくては失礼と言うものであろう」

と健一はまるで演説をするかのごとくそう言い聞かせると、

『中野…お前、溜まってねぇーか?

 それに、どぅすればそういう理屈が成り立つんだ?』

岬は心の中で呟く。

そんな岬の心中とは裏腹にスッと健一は山指さすと

「っと言うわけで、

 本日の授業を終えたばかりの我々は

 ただ今よりあの尼寺へ慰問に向かう。

 では出発っ」

と高らかに宣言をした。

しかし、

「はいはい、行ってらっしゃいっ」

そんな健一に岬はそう言って手を振っていると、

「ひぃ〜のぉ〜くん」

健一が思いっきりドアップになって岬に迫り、

「ふふっ、

 このプロジェクトに関わった以上、

 キミは自動的に我々の仲間だ、

 抜け駆けは一切ゆるさん」

と指で岬の胸をつつきながら健一は言って聞かせた。

「はぁ?

 抜けがけぇ?」 

健一のその言葉に岬はあきれた表情をしていると、

「国分寺さんとデキていること、

 クラス中にバラしていいのかなぁ…」

と小声で囁いた。

「!!っ」

その言葉に岬の表要が固まると、

「ふふっ

 入学早々、1年の中ではNo1との誉れが高い

 国分寺響子とキミがお付き合いしていることは調べが付いている。

 知っているだろう?
 
 我々の紳士協定を…」

「国分寺さんとは中学が同じだっただけだ、

 別に協定を破っているわけでないし、

 それに、競艇なんてそっちが勝手に言っているだけじゃないか?」

と岬は反論するものの、

健一はそんな岬の反論には耳を貸さずに

「協力、してくれるよね」

にっこりと微笑んだ。



結局、健一に引きずられるようにして、

岬は渋々と山道を登っていく、

ややキツメの山道を登ること30分、

やがて彼らの前に大きな山門が姿を現した。

「なかなか見事な門ですね、

 こりゃぁ徳川時代のものかなぁ…」

歴史が好きな光男がしげしげと山門を見上げるが、

「さぁ…行くぞ」

そんな光男に構うことなく健一は山門に足を踏み入れた。

すると、

「じゃぁ、俺はここで…」 

そう言って岬が引き返そうとすると、

突然、

ガシッ!!

岬の両腕を光男と肇ががっしりと握り、

そして、その側に健一が立つと、

「抜け駆けは揺るさん!!

 と言っただろぅ」

と腕を組み言い聞かせた。

「誰が抜け駆けをするかっ、

 俺は帰るっ」

「日野君、

 裏切り者の末路って知っているかい?

 ふふっ

 悲惨な最期を遂げたくなかったら

 我々につき合ってくれるよね」

そう囁きながら健一がウインクすると、

「わかったよ、

 行けばいいんでしょう、

 行けば(クソ)」

やや破れかぶれになりながら岬は怒鳴り返した。

「物わかりがいい日野君って好き」 

「ふんっ

 勝手にしろ!!」 

そんなやりとりの後、

岬・健一・光男・肇の4人は山門を抜け寺の境内へと入った。

そして、中に入ったとたんフッっと空気が変わり…

4人を清々しく、そして清楚な空気を包み込む。

「きれいに手入れしてますねぇ…」

整然と人手が入った境内を肇は盛んに感心すると、

『そぅいや、三鷹って園芸が趣味だって聞いてたなぁ…』

と岬は呟き、歩きながら境内を見回す。

確かに、境内は隙がないくらい美しく整備してあり、

こうして、歩くのがもったいないくらいだった。

4人は道なりに進み、やがて寺の本堂が見えてくる。

山門に負けないくらい立派な建物である。

が、本堂に近づくに連れ動く人影が見えてきた。

「!!っ

 隠れろ!!」

健一の指示で俺たちは取りあえず近くの木の陰に隠れ、

木陰からそっと覗くと、

黄袈裟に白い尼僧頭巾と言う出で立ちの尼僧が何か作業をしている様子だった。

「尼さん、いましたね」

尼僧を見ながら光男が囁くと、

健一は周囲を見回し、

「よし、こっちだ」

と言うなり庭木の間を這うように移動する。

「なぁ」

「しっ、黙ってろ」 

岬は健一達にしばらくつき合ってみたものの、

しかし、段々と馬鹿馬鹿しくなり、

そしてついに

「あぁっ

 もぅ、これ以上つき合ってられない」

と声を上げながら立ち上がったとき、

フワッ

黒い陰が視界を遮るのと同時に人の顔がアップになった。 

「えっ?」

その瞬間、岬は何が起きたか判らなかった。 

「しまった!!!」

反射的に岬は逃げだそうとするものの、

しかし、

「お待ちなさい」

そんな岬に女性の声が響くと、

フッ

再び黒い影が岬を包み込む。

「なっ」

突然のことに岬は驚くが、

しかし、

「あっ…」

同時に漂ってきた抹香の香りに飲み込まれるように

岬は意識を失ってしまうと、

そのまま誰かの腕の中へともたれ掛かってしまった。



「ん?

 あっあれ?」

どれくらい気を失っていたのであろうか、

前に置かれた燭台に灯された一本の蝋燭の炎に岬は気がつくと、

「ここは…

 どこ?」

一変した周囲を驚きながら見回した。

すると、黒く磨き上げられた板の床と、

その床より突き出すように太い木の円柱が規則的に並び、

光が届かず薄暗い天井を支えている光景が目に入った。

「お寺の中?」

その光景から岬はいま自分が寺の中に居るのでは?

と考えると、

「あっ」

意識を失う直前の事を思い出す。

そして、

さらに周囲を見たとき、

ギシッ!

岬は自分手足が天井を支える一本の柱に縛り付けられている事に気づいた。

「え?」

そのことに岬は驚くものの、

さらに驚いたのは、

縛り付けられている自分が衣服を全く身につけていない全裸であることだった。

「うそっ

 僕…
 
 裸に…
 
 なっなんで?」

文字通りスッポンポンの姿で縛り付けられていることに岬は顔を赤くしていると、

ポゥ…

周囲の柱に白い人影があることに気づいた。

「!!!っ

 幽霊?」

その白い人影に岬は飛び上がりそうになるものの、

ギシッ

自分の身体が柱に縛り付けられているために身動きすることが出来ず、

「痛いっ」

身体を走る痛みに悲鳴をあげると、

「うふっ

 目が覚めたのですね」

と女性の声が響き渡った。

「え?」

響き渡ったその声の方向に岬は顔を向けると、

ポゥ…

蝋燭の明かりに浮かび上がるように黒衣に黄袈裟をまとい、

白頭巾を被った尼僧が姿を見せる。

「あっあなたは?」

いま全裸で居ることも忘れて岬は尋ねると、

「うふっ

 わたしはこの尼寺の尼・華月…」

と尼僧は自己紹介をする。

「なっなぜ、

 僕にこんな事を」

華月を名乗った尼僧に岬は自分を縛り付けている理由をただすと、

「うふっ

 私たちの寺に勝手に踏み入れ、
 
 荒らしたからです」

と華月は理由を言う。

「あっ

 そっそれは…
 
 謝ります。
 
 ですが、
 
 こんな事をしなくても…」

その理由に岬は反論をすると、

「うふっ

 大丈夫ですよ、

 あなたが得度すれば、

 直ぐにその拘束を解いてあげますわ」

と華月は言う。

「得度?」

「はい、

 他の方々はすでに得度を終えられていますわ」

得度という言葉がわからない岬に華月はそう告げると、

スッ

岬の目の前に置いてある燭台を手にすると、

コト…

その燭台を離れたところに移動させた。

すると、明かりが動き、

さっきまで周囲の柱に浮かび上がる白い人影としか

見えなかったものの様子が見えてきた。

「これは…」

自分と同じように柱に縛り付けられているが、

雪のように白い肌、

果実のように膨らんだ左右一対の乳房、

そして、股間にはピンク色の花弁を開く女の証、

けど、頭を飾る髪はなく剃り跡も青々しい坊主頭が頭を垂れていた。

「あっ尼さん?」

「はい…

 得度を終え、尼となった者達」

岬の口から出た言葉に華月はそう返事をすると、

ススッ

再び燭台を動かし、

全裸の尼僧はこのほかにあと2人、

合計3人が岬と同じように縛り付けられている姿を見せる。

「……3人も…

 なぜ?」

何も罪がなさそうな尼僧が3人も縛り付けられていることに岬は疑問を持つと、

「この者達はあなたと同じ、

 この尼寺を荒らした者達

 故に得度をして貰いました」

と別の尼僧が姿を見せると、

そう理由を告げた。

「え?」

その言葉に岬は驚くと、

「まさか」

目を剥き、縛り付けられている尼僧達を見た。

「まさか…

 中野達?」

頭を垂れる尼僧達を一人一人目で追いながら岬は呟くと、

「さぁ、次はお前の番です」

と華月の声が響き、

岬の目の前に白い肌が迫る。

「なっなにを…」

再度姿を見せた華月は全裸になり、

クニュッ

岬に見せつけるようにその股間を開いた。

「うっ」

間近に見る女性の股間に岬は思わず己の股間が硬くなるのを感じていると、

「ふふっ、

 摩羅を硬くして、

 でも、この摩羅も直ぐに女唇にしてあげます。

 あなたにこの女唇を授け、尼に…」

華月はそう囁くと、

クチュッ

自分の細い指を股間に沈め、

激しくすりあわせはじめると、

「あっはぁ〜っ」

喘ぎ声と共に青い剃りを輝かせる頭を振り始めた。



「はぁ〜っ」

「んっくっ」

「あうっ」

クチュクチュクチュ!

「……」

目の前で繰り広げられる尼僧の自慰を岬は呆然として見ていると、

「うっ

 イク

 イク
 
 イクイク」

華月は身体を震わせわながらそう訴えると、

岬に向かって股を大きく開き、

「イクゥ!!!」

と叫びながら、

シャッ!!

股間の女唇より”潮”を噴き上げ、

岬の顔から身体に掛けて吹きかけた。

「うわっ」

身体を柱に縛り付けられているために

岬は逃れることなく”潮”をモロに浴びてしまうと、

程なくして、

「うっ…

 くっ…

 かっ身体が…熱い」

岬は身体が燃え上がるような熱さを感じ、

それと共に身体が異変が起きたのを感じ始めた。

「うっ

 くっ
 
 あうっ

 どうしたんだ?」 

ムリッ

ムリムリムリ…

悶えながら身体の異変に困惑していると、

「ふふふふ…」

絶頂と共に倒れていた華月は起きあがり、

そして、手を伸ばすと岬の胸を鷲づかみにする。

すると、

「あんっ!」

岬は胸に痛みを感じると共に声を上げると、

「ほらっ

 もぅオッパイが膨らんできているわ、

 それに、摩羅もこんなに小さくなって…」

と囁き、胸と共に股間から突き出している肉棒を扱き始めた。

「(ビクッ)

 あんっ
 
 いやっ、そんなに…
 
 強くしないで…」

小指ほどに萎縮してしまった岬の肉棒は

その周囲を包む皮膚は粘膜へと代わり、

少しの刺激にも敏感に感じるようになり、

また、肉棒の下には小さな穴が開き、

盛んに粘液を流しはじめていた。



「ふふっ

 乳房を膨らませ、
 
 女唇も開いたお前はもぅ女…
 
 さぁ、得度をしてあげよう、
 
 尼になるのです」

すっかり女性化してしまった岬に華月はそう言い聞かせると、

キラッ…

手にしているカミソリを光らせながら髪の生え際へと当て、

それをゆっくりと引く、

ゾリゾリゾリ

ゾリゾリゾリ

寺の中に岬の髪を剃り上げる音が響き渡り、

やがて、華月が岬の前から去ると、

そこには青い剃りを光らせる坊主頭の岬の姿があった。

そして、

「お前は今より俗世を捨て、

 この寺で尼として修行をするのです。

 いいですね」

と言いつけながら華月は岬の拘束を解くと、

その間に後から来た別の尼僧・蓮月が他の者達の拘束も解いた。



「なぁ、知っているか?」

「なによっ?」

「あの山の寺、尼寺なんだってよ」

「あぁ、その話か

 知っているよ、
 
 それがなにか?」

「ふふっ」

「何だよ、気味悪いな」

「じゃぁ、

 あの尼寺に新しい尼さんが入ったのを知っているか?」

「え?

 そうなのか?」

「あぁ…

 初々しい尼さんがなんと4人も増えたんだってよ」

「へぇ、そうなんだ」

「でも、見に行くなよ」

「なんで?」

「調子に乗って尼さんを見に行くと、

 帰ってこられなくなるそうだからさ」



おわり