風祭文庫・尼僧変身の館






「闇から覗くのは」

作・風祭玲

Vol.292




ホーケキョっ

暑い下界ではすっかり聞くことがなくなったウグイスの鳴き声に

誘われるようにして俺は山道を歩いていた。

「えっと、この先だったかな?」

地図を片手に俺は流れる汗をふき取ると、

キラリ!

自分が向っている先で、

微かに光る瓦屋根の建物が視界に入ってきた。

「あっあれか…」

建物を確認すると、

俺は目指すモノの目印を見つけることが出来たことに安心をすると、

足取り軽くそこへと向かっていった。



「ほぅ、これは…」

ようやく建物の傍まで来たとき、

突如姿を現した山門の威容に俺は圧倒されると、

グッ

っと気合いを入れるとそのまま中へと向かう、

綺麗に手入れが行き届いた庭を眺めつつ、

本堂に差し掛かると、

「どなた?」

と言う声と共に白の尼僧頭巾を被り

黒袈裟姿の尼僧が声を掛けてきた。

「うわっ」

歳は30そこそこだろうか、

これまでずっと老尼ばかり相手にしてきただけに

この初々しそうな尼僧に俺はしばし見とれていた。

「あのぅ…」

俺からの反応がなかなか返ってこないことに困惑した尼僧はそう尋ねると。

「(はっ)あっ、すみませんっ

 実は私こういう者です」

と俺は名刺を取り出すと尼僧に手渡した。

「まぁ…新聞記者さんで」

尼僧は俺の名刺を見て驚くと、

「いや、そんな大げさな者ではありません、

 まぁなんと言いますか新聞の生活面を担当している者でして、

 あちらこちらを旅しながら

 そこで気になったものの取材をしているのです」

と説明をした。

すると、

「あぁ、そうなんですか…」

尼僧は笑みを浮かべながらそう返事をすると、

「まぁ立ち話はなんですから…

 どうぞこちらへ」

と言って俺を本堂の方へと招いた。



「この寺にはどういったことで…」

お茶を差し出しながら尼僧・恵心は俺にそう尋ねると、

「えぇ…

 このお寺はかつて縁切り寺だったそうですね」

差し出されたお茶を啜りながら俺はメモを見ながらそう尋ねる、

「はいっ、

 男性の暴力に耐えかねた多くの女達がココに救いを求めてきたそうです。

 そして、駆け込んできたモノの体が弱り命を落とした女達も多かったとか」

そう言うと、

恵心尼はそっと手を差し伸べると、

「あの木の向こう側に、

 不幸にも命を落とした女達の墓がありますよ」

と俺に告げた。

「はぁ、そうですか…」

コトッ

そう返事をしながら湯飲みを置いたとき、

「ん?」

俺は本堂の一角に護符が張られ固く閉ざされている戸があることに気づいた。

「どうしました?」

俺の様子に恵心尼が尋ねると、

「あれは…?」

手を伸ばしながら俺はその護符が張られている部屋を指さすと、

「あそこには、魔物が封印されています」

と恵心尼は俺にそう告げた。

「魔物ですか…」

軽く笑いながら俺がそう返事をすると、

「見てみますか?

 魔物を…」

スッ

恵心尼は立ち上がるなり俺に向かってそう言うと、

「そうですね、

 見てみたいモノですね」

と俺は返事をした。

すると、

カリカリカリ

カタカタカタ

何かが引っ掻く音とそれに合わせるようにして戸が細かく揺れ動いた。

そして、立ち上がった恵心尼は、細かく動く戸の前に立つと、

「この尼寺は

 夫と離縁するために女達が駆け込んできた駆け込み寺だったって言いましたよね」

と確認するように俺に告がる。

「はぁ…」

恵心尼の言葉に俺は素直に頷くと、

「夫との暮らしに耐えかね逃げてきた女達…

 でも、女の性は決っして男を捨てたわけではない、

 例え我が身が滅びても…」

「え?」

俺はその時の彼女の哀れむような表情に驚いた。

そして、

「さぁ、お前達…

 久々のオトコですよ、

 心行くまで味わいなさい」

と言うや否や、

ガラッ!!

っと思いっきり戸を全開にした。

すると、

ザワッ!!

ギラッ!!

戸の向こうでは全くの闇に無数の赤い光が俺を凝視していた。

「うわっ、

 なんだ…」

それを見た俺は思わず引き下がったが、

『オトコ…』

『オトコ…』

『オトコ…』

赤い光は口々にまるで飢えた狼のようにそう囁きあうと、

しゅるるる…

闇より真っ黒な触手を無数に伸ばしてくると俺に迫ってきた。

「うわぁぁ!!

 寄るな!!
 
 あっち行け!」

俺はそう叫びながら逃げだそうとしたが、

しかし、

「フフフ」

逃げ道であるふすまはピシャリと閉じられ

その前では恵心尼が笑みを浮かべて立っていた。

「しっ恵心尼さん、

 すぐに逃げて…」

そう俺は怒鳴ると、

「大丈夫ですよ、

 彼女たちは女性には何も悪さはしません、
 
 ただ、オトコに飢えているだけですから」

と俺に告げた。

「え?」

彼女のその言葉に俺は思わず言葉に詰まった。

「この者達は、この寺に逃げ込んだものの、

 しかし、オトコを忘れることが出来なかった女達の欲望が集まったもの…

 さぁ、哀れな女達を慰めてあげなさい。

 女達の欲望が潰えたときあなたはこの寺から出ていくことが叶いますよ」

と恵心尼は俺に告げた。

「そっそれって…」

そうしている間にも蠢く闇の触手は俺に迫り、

そして、ついに、

「うわぁぁぁぁぁ!!」

俺の身体を掴みかかると、

グィッ!!

闇の部屋へと引きづり込み始めた。

「たったっ助けてくれぇ!!」

畳の目に爪を立てながら俺は必死になって抵抗をするが、

しかし、闇は俺の身体を確実に飲み込み、

そしてついには俺は闇に飲み込まれてしまった。

「うわぁぁぁぁ」

猛烈な勢いで俺は闇の奥へと押し込められていく、

着ていた服が引きちぎられると、

『うふん…』

無数の女達の艶めかしい声が耳に響きわたり始め、

さらに、

『ねぇ…ちょうだい…あなたのものを』

と言う声が聞こえると、

ズズズズズズ…

まるで染みこむように声が俺の体の中に入り込み始めた。

ビクン!!

すると、これまで萎えていた俺のペニスが見る見る勃起し始めた。

「やめろぉ!!」

俺は藻掻くように抵抗を続けるが、

『あぁ…いぃ!!』

無数の女達の喘ぎ声が俺の心を覆い尽くし始めた。

『あんあんあん…』

『いいわぁ…』

『ねぇもっと頂戴』

『いやぁぁぁん』

まるで、酒池肉林のハーレムの中にいるような媚びた声が俺の脳裏を駆け回るが、

しかし、

目に見えるのは全くの闇と、

猛烈な速度で俺の周りを巡る赤い光だけだった。

「離せ!!

 離しやがれ!!」

闇の中で俺は藻掻いていると、

「うっ(シュシュシュッ)」

俺のペニスから精液が闇の中へと絞り出され始めた。

『あぁん…いぃ!!』

女達の喘ぎ声はさらにボルテージが上がっていく、

ガツガツガツ!!

「やめろぉ!!」

まるで、女達の声に俺の身体を貪られるような感覚の中、

俺は必死の抵抗を続けた。

すると、

ある時点を境に急に俺の胸が妙にくすぐったくなると、

股間の感覚も見る見る変化し始めた。

「あぁ…なんだこの感覚は…」

まるで女になっていくような感覚と共に、

俺もの心も徐々にオトコの身体を欲し始めた。

「あぁ…くそっ、なんだ!!

 くぅぅぅぅぅっ!!

 あん」

次第にキーが高くなっていく声をあげながら

俺はオトコのペニスを求めるようになっていく、

そして、

「あんっ、オトコ…オトコが欲しい!!」

と叫んだとたん、

ドサッ

あたしは闇の奥から放り出されてしまった。


女達の欲望に男の身体を食い尽くされ、

飢えたように粘液を流す女唇と、

形の良い乳房をプルンと振るわせる女の身体となったあたしは悶え訴えると、

「ふふふ…」

笑みを浮かべる恵心尼の懐に抱かれていた。

「入れて…お願い

 ぶっといのココに入れてぇ!!」

女の声でそう訴えるあたしに、

「まぁまぁ、すっかり女達の欲望に食べ尽くされちゃって…」

あたしを眺めながら恵心尼はそう呟くと、

「わかったわ、あたしが慰めてあげる…

 その代わり約束して、

 尼となりこの哀れな女達の欲望を弔ってあげるって…」

と囁くと、

「なる、なります、

 ですから、早くぅ」

そう言いながら飢えてオトコを求める女陰に指を入れながらそう返事をした。

すると、

スルリ…

恵心尼は着ていた衣を脱ぎ捨てると、

「さぁ、これで慰めてあげる」

と股間に装着していた張り子をあたしに見せた。

「あぁ…」

観音様が彫り込まれた張り子を見るなりあたしは股を大きく広げて、

「いっ入れてください、

 そのぶっといのであたしをかき回してください」

と懇願した。

「いいわ、さぁ心行くまで味わいなさい」

恵心尼はそう告げると、

張り子をあたしの女唇にそっと宛うと

ニュクッ

っと押し込み始めた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

股間を押そう強烈な感覚にあたしは後悔と共に目を見開いて声を上げる。

「うおぉっ!」

「うぉぉっ!!」

恵心尼が腰を動かす事にあたしは内臓をズタズタにされるような激痛に悶える。

「さぁ(はっ)、どうです(はっ)」

恵心尼の言葉にあたしは返す言葉がないまま悶えていた。

ムギュッ

いつの間にか恵心尼の手が伸びて

あたしの綺麗に膨らんだ乳房を握りしめると、

その先端に着いている淡いピンク色に染まっている乳首を軽く抓る。

「あんっ、

 いっいぃ…」

すっかり女達の欲望に飲み込まれ

全身が性感帯となってしまったあたしは淫らに悶えると、

ゆっくりと絶頂への階段を上り始めていた。

「これが女の感覚ですっ

 男には味わえない感覚です」

腰を打ち付けながら恵心尼はあたしにそう告げると、

「さぁ、この欲望に負けないように修行をしましょう。

 あなたは尼になって、

 女達が残していった欲望をすべて成仏させるのです」

と続けた。

「いぃ…いぃ…いっちゃう

 俺…あたし…いっちゃうよぉぉぉぉ」

ついに絶頂に上り詰めたあたしはそう訴えた後、

「あぁぁぁぁん!!」

大声を上げると果ててしまった。

と同時に、

『ぉぉぉぉん…』

あたしの身体の中に入り込んでいた女達の欲望のいくつかが、

満足そうに消滅していくのも感じていた。



コトっ

髪の毛がこびり付いた剃刀が静かに置かれると、

「ありがとうございます」

綺麗に剃られた頭を下げ、

黒衣に黄袈裟をまとうあたしは礼を言う。

「うふっ、可愛い尼になりましたね

 しっかりと修行をするのですよ」

そんなあたしを見て恵心尼はそう言うと、

「はいっ」

あたしは力強く返事をした。

と同時、

「あのぅ…」

頬を赤らめながら身体をモジモジさせると、

「まぁ…もぅこれが欲しいのですか?」

恵心尼は呆れながら衣の裾をめくりあげると、

ニュッ

っと巨大な張り子が顔を出した。

「おっお願いです」

あたしは平伏しながらそう訴えると、

「いいわっ、

 あなたの中の女達が飢えているのでしょう?

 さぁ尼は救い求める者達を浄土を連れて行かなくてはね」

恵心尼はあたしにそう告げると、

「さぁ…まずはどうして欲しい?」

と尋ねながら本尊の前で大きく股を開いて見せる。



おわり