風祭文庫・バレリーナ変身の館






「レオタードレッスン」
第1話:地下室の狂宴


原作・りゅん(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-077





街に夜の帳がおりた頃、一人の青年が表通りをやや足早に歩いていく。

通り過ぎる車のヘッドライトから自分の身を隠しながら歩く彼の姿は、

まるで、まるで灯りから何かを隠しているような印象を与えていた。

ハァハァ…

ただ、歩いているだけなのに彼の心臓は大きく鼓動を打ち、

さらに息もまるで全力疾走をしているかのごとく荒れていた。

ほどなくして、彼はコンビニの角を曲がり、

そして人通りの少ない通りを少し歩いたところに、

そのビルは建っていた。

チュチュ姿の一人のバレリーナが踊っているシルエットと供に

”Yバレエ団”と書かれた看板が掛かっているそのビルのドアの前で彼は一瞬躊躇したが、

意を決してそっとドアに手を伸ばすと、

夜というのにそのドアはまるで彼を招き入れるように開いた。

ギュム…

ギュム…

磨き上げられた床と彼の靴が奏でるメロディーが響き渡る。

彼はビルの2階にあるレッスン場には向かわず、

少し離れたところにある。

”管理室”

と書かれたドアを開けた。

コツコツコツ…

そして、地下へと続く階段を一段一段確かめるようにして下りていくと、

やがて行く手に一つの扉が姿を現した。

スゥ…

彼ははそのドアノブに手をかけ、

そして大きく深呼吸をすると、

思い切ってドアを開けた。



カッ!!

スポットライトが彼を照らし出したのと同時に、

「高橋君、ちゃんと来たわね。時間通りよ」

と優しい女性の声が彼を出迎えた。

「先生…」

彼は一言そう言うと

光源の傍には一人の女性が立っていた。

「私の言いつけ通りの姿できたようね。いい子…」

「……」

彼・高橋秀男(19・仮名)の服装はスリムなジーンズ、デニムのシャツ姿。

だがそのまくった袖の先と開いた胸元には黒い布がかすかにのぞいていた。

「あなたは私の男子生徒の中で一番の素質があるのよ。

 これから君のために特別レッスンをするの。

 その服装もその一環なのよ。

 それは全部私の物…

 でも、とてもよくお似合いよ。

 ふふ…」

含み笑いをしながら秀男から先生と呼ばれた彼女がそう言うと、

「…はずかしいです…」

秀男は視線を外しながらそう呟いた。

「だいじょうぶ。

 そのうち快感にかわるわ。

 …さぁ、さっそくレッスンに入るから、シャツを脱ぎなさい」

彼女がそう言うと、

「え…?」

秀男は思わず聞き返した。

「脱がなきゃ体動かせないでしょ」

彼女は秀男に向かってそう告げると、

そのまま秀男の前へと近づき、

そして彼のシャツのボタンに手を掛ける。


      
「あ…」 秀男は抵抗する間もなく、 すこしづつ白いシャツが引き剥がされ、床に落とされた。 キラッ!! シャツを脱がされた彼の上半身には黒い長袖レオタードがその姿を見せた。 女性用のスコープネック。 その黒布はあやしくてかりながら秀男の肌に張りついていた。 「ちゃんと着てきたのね。  サイズもぴったりよ。ふふふ…」 満足そうに彼女がそう呟くと、 秀男の体はうっすらと汗ばみはじめていた。 男性用のレッスン着は着慣れていたが、しかしこれは別だった。 シャツの下とはいえ、秀男はレオタード姿でここまで歩いて来たのだ。 これまで経験したことのない恥ずかしさに秀男は捕らわれていた。 汗を吸った黒布の上から彼女の手指がまさぐり始めた。 「あ…ああ…先生…」 彼女の行為に秀男が悶えると、 「すごく素敵よ。女の子みたい。    ほら、乳首までこんなに固くなちゃってるわ。  私のレオタード、とっても気持ちいいくせに…」 いじめっ子のような口調で彼女が秀男に言うと、 彼は直立したまま、しびれたように震えていた。 「さあ、ジーンズも脱いじゃいましょう」 そう言うと彼女の手がベルトに伸びた。 「ま…待って…」 秀男にとってはそれは最後の砦だった。 ジーンズをはくことで彼は彼が着ているのはただの長袖Tシャツなのだと、 無理にでも自分に言い聞かせてこれたのだった。 だがジーンズを脱がされれば… 「あら、口答えするの?  貴方の学費を肩代わりしているのは誰?」 彼の予想以上の抵抗に、 キッ っと厳しい視線を秀男に向けながら彼女が言い聞かせるようにして言うと、 「……」 秀男はつかんでいた彼女の腕から自分の手を離した。 「いいわね、これは特別レッスンなのよ」 そう言うと、彼女は秀男のベルトを外し、 そしてジッパーを引き下ろした。 秀男はついに黒の長袖レオタード1枚の姿にさせられた。 胸の鼓動さえもその黒布は見逃さなかった。 秀男の体を包み込んでいる黒い長袖レオタード。 その下には何も着用されていなかった。 それをアピールするかのように彼の股間はくっきりと浮き出ていた。 「さあ、鏡の前にいらっしゃい、レッスン開始よ」 秀男は鏡に映る自分の姿から目をそむけながらいつものように踊りはじめた…… しかし、彼の体はいつものようには動いてはくれなかった。 手足をうごかす度に肌にまつわりついた黒布が、 異常に敏感になっている彼の皮膚をこするのだった。 その度に集中力が奪われた。 …あぁ…先生のレオタードが僕を…僕を… 「何やってるの?  動きが全然バラバラじゃない!?」 集中がとぎれとぎれ状態の秀男の動きに、 彼女からの厳しい声が飛ぶ。 「…先生…すみません  …レオタード、脱がせてください…でないと…」 と言うなり、秀男はへたりこんでしまった。 すでにレオタードは汗がくまなく染み込み、さらに彼の肌に貼りついていた。 「なんてありさまなの?  秀男君。  …どうやらお仕置きが必要ね」 腕を組みながら彼女は秀男の前に立つと見下ろしながらそう告げた。 「え…?」 ”お仕置き”と言う言葉に秀男が驚きながら彼女を見上げると、 「秀男君、あなたはココでプリマに生まれ変わるのよ、  そのためには男としての羞恥心を捨てなければならないの。  簡単の事よ。  女の子の心になればレオタードもちっともはずかしくなくなるわ」 「プリマ?…女の子?…  ぼ…僕にはそんなこと出来ません  …帰らせて下さい」 秀男は彼女に向かってそう言うとドアへ向かった。 すると、 「その格好で帰るの?」 「!」 彼女の声が秀男の動きを止めた。 彼の視界には妖しい光沢を放つ一枚の黒い布が入ってくる。 「着替え…持ってきてないんでしょ?」 次の言葉が秀男の置かれた状況を物語っていた。 「……」 すでにここから逃げることは許されてはいなかった。 「さぁ…こっちへいらっしゃい」 勝ち誇ったような彼女の言葉が秀男を束縛していた。 それから10分後… 秀男は両腕を後ろでにされ、バーに縄でつながれた状態で立たされていた。 「うふふ…」 彼女はそんな秀男を舐めるようにして眺めた後、 「準備できたわ、入ってらっしゃい」 と別のドアに向かって呼びかけた。 カチャッ するとドアの開く音とともに3人の若い女性が入ってきた。 「君たちは…!?」 3人は秀男と同じ研究員だった。 そして、皆、秀男と同じ黒のレオタード姿だった。 だが、秀男が素足にシューズをはいている以外は… 「さぁ…    これから秀男君の男としての恥じらいをあなた達の手で全て洗い落としてくれる?」 彼女が女性達に向かってそう言うと、 「わかりました」 3人はそう返事をして秀男を取り巻くように近づいた。 「秀男君、とてもかわいいよ」 「レオタード、本当はとても気持ちいいくせに」 「汗も出なくなるまで搾りとってあげるね」 「ああ……」 6本の手指が秀男を包む黒布に近づいていった。 そして、彼女達の指が秀男を包むレオタードの上をまさぐり始めた。 一本は秀男のわきの下を、 別の一本は秀男の乳首を、 黒布を通して攻めた。 「あ…ああっ…!」 レオタードに包まれた秀男は脈打つように悶えた。 「ふふ…」 「秀男君、こんなに敏感だったの?」 「ちがうわ、先生のレオタードに犯されてるからよね」 「とってもエロチック〜」 かわるがわる彼女たちになぶられる秀男。 その間に彼の股間ははちきれんばかりに黒布を押しあげていった。 しかし、彼女達の手はそこには触れなかった。 「どんどん大きくなってる。    これなら私たちが触らなくてもいっちゃいそう」 「レオタードでいくんだ〜早く見たいな〜」 「じゃ、そうしましょ」 3人は一気に仕上げにかかった。 秀男の頭の中はすでに真っ白になっていた。 あとは時間の問題だった。 「あぁ〜っ!!」 地下室にひびかんばかりの絶叫をあげた末、秀男は力尽きた。 「うふふふ…  3人とも、上出来よ。  でも、レオタードに免疫ができて、  さらに中毒になるにはまだまだ時間がかかりそうね。  それまでよろしくね。」 汗と体液で濡れた体を横たわらせながら、秀男の意識はぼやけていった。 彼女の言葉を聞きながら… 「さぁ…レオタードの次は…チュチュよ…」 彼女のその言葉が半年後の彼の姿を予言していた。 おわり