風祭文庫・バレリーナ変身の館






「達夫の憂鬱」



作・風祭玲

Vol.308





ガチャッ!!

「ただいまぁ…」

学校から帰ってきた俺はそう言って玄関のドアを開けると、

「達夫っ、遅かったじゃないっ、

 ほらっもぅレッスンの時間よ、

 サッサと支度しなさい!」

と家の奥からお袋の声が響いた。

「はぁい…」

時計をチラリと眺めつつ俺はそう返事をすると、

まっすぐ自分の部屋へと向かい、

持っていた鞄をイスに放り投げると、

ボフッ!!

っとベッドの上に倒れ込む。

そして、

「はぁ…」

グルリと仰向けになり天井を眺めていると、

「行きたくないなぁ…」

と言う言葉が俺の口から漏れる。

しかし、

チッチッチッ

机の上の時計が支度する時間が徐々に無くなってきていることを

無言で告げていたのであった。

「………」

無言のまま壁の方へと視線を動かしていくと、

そこには純白のチュチュを身に纏いスポットライトを浴びる痩身のバレリーナ。

そう現役時代のお袋のポスターが貼ってあって、

その下には綺麗におり畳まれた黒い輝きを放つレオタードと、

淡いピンク色をしたバレエタイツが置かれているのであった。

「さっさとしなさい」

お袋の急かす声が俺の背中を押す。

「はぁ…」

再び俺はため息を吐いて立ち上がると、

制服のスカートに手を掛けファスナーを降ろし始める。

カチャッ!!

ハンガーと共に揺れるセーラー服を横目に

下着まで取った俺は全裸になるとサポーターを穿き、

折り畳まれていたバレエタイツを手に取った。

タイツの口を大きく開かせ、

まるで下半身を飲み込ませるように俺はタイツの中に足を入れると、

俺の両脚と腰を飲み込んでバレエタイツは下半身を覆い尽す。

白い脚を眺めつレオタードを手に取るとそれを素早く身につけていく。

ピチッ!!

黒い輝きを放つレオタードが俺の体の線を描き出したとき、

チャッ!!

「もぅ、何やってんのよっ」

痺れを切らせたお袋がドアを開けた。

「ちょっとまって」

お袋の姿に俺は驚きながら押し出すと、

急いで髪をシニョンに結い上げ、

ピンク色のハーフパンツに足を通し、

バレリーナを図案化したロゴが入っているTシャツを被りながら部屋を出る。

「はいっ、頑張ってくるのよ」

「行ってきまーす」

お袋の声に送られつつ、

バレエシューズとトゥシューズ、

そしてタオルが入った袋を片手に俺は家を出た。

俺の名は森達夫…17才の立派な男子高生だ。

趣味は小学校の頃から続けているバレエなんだけど、

でも、最近それが少しづつ嫌になってきている。

「恥ずかしいなぁ…」

すぐにレッスンが出来るようにと自宅からレオタードにタイツを着込み、

その上にTシャツと短パンを穿いて教室へと向かうのだが、

最近、この格好で表に出ることが恥ずかしく感じるようになってきた。

小学校の頃はレオタード姿のまま表にでても何も感じなかったのに、

どういう訳か近頃、同じ歳の女の子の視線を感じるようになっていたのである。



通っているバレエ教室まで歩いて10分ほど…

俺は自転車を漕ぐと急いでバレエ教室へと向かって行く。

すると、

「おーぃ、達っちゃんっ」

と言う声と共に隣に住む幼馴染みの千香が走りながら駆け寄ってきた。

「よう、千香…ランニングか?」

「あぁ、ランニングのついでにちょっと家に寄っていたんだ…」

そう言いながら千香は鍛え上げた逆三角形の身体を俺に見せつける。

レスリング部に所属している千香はインターハイでいつも上位に顔を出す有力選手だった。

だから、丸首のシャツを着ていても、

太い首筋や、盛り上がった胸筋が手に取るように判る。

「それにしても、また太くなったなお前…」

感心しながらそう言うと、

「まぁね、そろそろ大会でしょう、

 だから、それに合わせて鍛えておかないとね」

と千香は軽くウインクをして俺に言う。

「はぁ…いいよなぁ…女は…

 そうやって思いっきり暴れることが出来てさぁ」

俺は羨ましそうに言いながら千香の方を見ると、

「そーぉ?

 あたしは達っちゃんが羨ましいよ」

と言いながら千香は俺を見る。

「なっなんでだよ」

思わずその理由を尋ねると、

「だぁって、

 あたしなんて毎日毎日体を鍛えて、

 そのあげくむっさい女と汗だくになって組まなきゃ行けないのよ、

 はぁ、それを考えるだけでも鬱になるわ」

と言うと、

「なんだよ、千香はバレエをやりたいのか?」

俺は意地悪そうに尋ねる。

「そっそりゃぁ…」

その途端、顔を赤く染め、

視線を路面に落とす千香の姿を見た俺は、

「ふぅぅぅん…

 千香がバレエに興味があっただなんて意外だなぁ…」

と指摘すると、

「誰にも言わないでね。

 あたしがバレエを習いたいだなんて、

 口が裂けても家族には言えないし…」

千香は恥ずかしげに言う。

「判った判った…

 俺と千香、二人だけの秘密にするよ。

 女でバレエなんて言うと笑われるもんなぁ」

そう俺が言うと、

「ねぇ、大昔バレエは女の子の習い事だったってこと知ってる?」

と千香は俺に尋ねてきた。

「え?、そうなの?」

千香の言葉に俺は驚きながら聞き返すと、

「うん、本当の話よ…

 大昔はバレエを習うのは主に女の子で、

 格闘技や武道を習うのは男の子だったんだって、

 それがいつの間にかひっくり返しになっちゃんだって」

と昔の事を千香が話すと、

「そっか…

 じゃぁ、俺も昔に生まれていれば、

 千香みたいに格闘技で暴れることが出来たんだ」

「うん、あたしも達ちゃんのように、

 レオタード着てバレエを習っていたかもね」

二人でそんな話をしているうちに俺の目的地のバレエ教室が間近に迫ってきた。

ポロン!!

教室から漏れてくるピアノ音に

「あっもぅレッスンが始まっている」

俺は思わず声を上げると、

「あっごめんね

 じゃっ、これで」

「うんっ」

千香は俺に謝ると手を振りながら走り去っていった。

「そっか…バレエが女の子の習い事ねぇ」

俺は自転車を開いている所に止めるとそう思いながら教室のドアを開けた。

その途端、

「森さん、遅刻ですよ!!」

っとバレエ教師のキツイ声が俺の耳に響く。

「やばっ

 すっすみません」

俺は手短に謝ると、

すばやくシャツと短パンを脱いでレオタード姿になり、

レオタード姿の男達の間をこじ開けるようにして潜り込み、

やっと見つけたバーに手を置いた。

「はいっ、中断してしまいましたが、

 続けマース」

教師はそう声を張り上げると、

「アンドゥトワァ!」

と手を叩きながらポジションのレッスンを始める。



レッスンを受けながら俺の目が教室を埋め尽くしている男の中で

黒タイツにTシャツ姿で一人悠然とレッスンをしている女性へと目が行く。

山本すみれ…

俺よりも2才年上の女子大生だ。

千香とは違う細い身体ながらも無駄なく張りつめた筋肉が

如何にも女性ダンサーの風格が漂っている。

「山本さん…綺麗だなぁ…」

レッスンをしながらそう思っていると、

ムクムクムク

サポーターの中の俺のムスコが急に硬くなり始めた。

「やっやばっ!!」

俺は慌てて関心を別の方へと切り替えると、

レオタードを押し上げ始めたムスコを鎮めようと努めるが、

しかし、

意識をすれば意識するほど俺のムスコは大きくなるばかりだった。

その途端、

ピシッ!!

教師の手に握られた細い杖が俺の股を叩くと、

「森さんっ、

 注意がそれていますよ」

と注意を受けてしまった。

「はっはいっ」

俺は顔を真っ赤にしてそう返事をすると、

クスッ

山本さんはチラリと俺を見ながら小さく笑った。

ガーン!!

言いようもない絶望感に襲われる暇もなく、

「おいっ、森っ

 山本さん見ながら、なにチンポ大きくしいるんだよ」

俺の後ろでレッスンをしている河田武が背中をつつきながら追い打ちを掛ける。

「うっうるせー」

皆に知られたくないことを的確に指摘された俺は小声で怒鳴るのが精一杯だった。



1時間近くに渡って続いた基礎レッスンが終わり、

なんとか立ち直った俺は、

「ふぅぅ」

滝のように吹きでている汗をタオルで拭いていると、

「さて、今度の発表会で着る衣装が届いているので、

 みんな衣装合わせをしてみて」

と言う教師の声が響くと

レッスンに来ている者にそれぞれの配役の衣装が手渡された。

ザザザザザザ…

「ふぅぅぅん」

パニエの音を響かせながら俺は手渡されたチュチュを目の高さに引き上げる。

「よっ、ついにコレが着られるな」

河田が俺の横っ腹をつつきながらそう言うと、

「まぁな…」

と俺は返事をする。

「はぁ…なんて言ったってチュチュは男の子の憧れだからなぁ」

河田はそう言いながら俺と同じデザインのチュチュを頬ずりすると、

「男の子の憧れか…」

そう思いながら俺は小学校の頃、

このバレエ教室に恥ずかしそうに入っていく山本さんの姿を思い出していた。

そう、このときの山本さんの姿が俺がバレエを習う切っ掛けだったような気がする…

そう思いながらチュチュをジッと眺めていると、

「そうだ、知っているか?

 バレエって昔は女の子の習い事だったんだってな」

と俺は河田に言うと、

「本当かぁ?」

河田は俺を小馬鹿にしたような顔をして見せる。

「あっ信じてないな、その顔は!!」

「当たり前だろうかっ

 あのゴッツイ女がバレエを踊るなんて信じられるかよ」

否定するように河合が声を上げたとき、

「はいっ、ではレオタードの上からで良いから

 各自衣装を着けてちょっと振りを合わせてみましょう」

と言う教師の声が響いた。

「はーぃ」

教師の声に俺はレオタードの上からチュチュを身につけると、

レッスン室の真ん中では王子の衣装を着た山本さんが、

教師からアレコレをアドバイスを受けているのを見えた。

「真ん中で踊れるようになれば山本さんと堂々とパドドゥが出来るな」

俺の後ろから河田が見透かすように俺に言うと、

「判っているよ」

俺は思わず怒鳴ってしまった。



「ただいまぁ…」

その後、発表会の振り付けの打ち合わせなどで、

俺が帰宅したのは既に8時を回っていた。

「お帰り…

 夕飯の支度はしてあるからね」

母さんの言葉が響くと、

「うん判った」

俺はそう返事をしながら、自分の部屋へと向かって行く。

すると、

「ねぇお兄ちゃん!!」

と小学3年になる妹の沙樹の声が響いた。

「あん?」

沙樹の声に俺の足が止まると、

「お兄ちゃん…

 バレリーナになるの?」

と沙樹は俺に尋ねた。

「え?

 そうだなぁ…

 なれるといいかもなぁ」

俺はそう返事をすると沙樹の頭を撫でると、

「じゃぁ、沙樹応援するね」

と沙樹は俺にそう言うと走って行く。

パタン…

ドアを開けて俺は自分の部屋に入り、

パサッ

シャツとハーフパンツを脱ぎ捨てる。

ヒヤッ

汗を含んだレオタードが身体を冷やしていくのを感じると、

「はぁ…」

いつの間にか俺の股間から硬く大きく膨らんだムスコがレオタードを押し上げていた。

「あぁ…山本さん…」

シュッシュッ!!

俺は自分のベッドの上に倒れ込むと、

華麗に舞台で舞う山本さんの姿を思い浮かべながら

すっかり硬くなってしまったムスコをレオタードの上から扱き始めた。

ギシッ

ギシッ

ベッドが俺の身体の動きに合わせるようにして軋む音を立てる。

「あっあっあっ」

シュッシュッシュッ

ムスコを扱くスピードが上がったとき、

コンッ!!

突然窓が叩かれると、

カラッ!!

乾いた音を立てて窓が開いた。

「うわっ!!」

突然のことに俺は慌てて飛び上がると、

「大分溜まっているみたいね、達っちゃん」

と言う声と共に千香が顔を出した。

夜空を背に髪の毛を短く刈り込んだ千香の顔が浮かび上がる。

「なっなんだ、ちっ千香か…」

ドキドキする胸を押さえながら俺はそう言うと、

「抜いてあげようか?」

と千香は小声で俺に言う。

「え?」

思いがけない千香のその言葉に俺が驚くと、

「ヨイショ」

千香はそう声を上げながら俺の部屋の中に潜り込んできた。

ムワッ

千香の身体から漏れる汗の臭いが俺の鼻に入ってくる。

「なんだよ、千香、勝手に男の部屋に入ってきて

 それにお前、汗だくじゃないか」

鼻を押さえながら俺はそう言うと、

ギュッ!!

千香は何も言わずに俺を抱きしめた。

そして、彼女の手が俺の股間に潜り込んでくると、

乱暴気味に俺のムスコを扱き始めた。

「あっ…」

ビクン!!

ムスコに絡みつくような千香の手さばきに俺は恍惚となってくる。

「ふふ…

 どう?
 
 感じる?」

耳元で囁くように千香は俺にそう言うと、

コクリ…

俺は頷いた。

「そう…」

千香は笑みを浮かべながら、

スルリ

レオタードとタイツの隙間に手を滑らせると、

その中で硬くなっているムスコを引き吊り出すと直接扱き始めた。

シュッシュッ!!

「あっあぁ…」

ビンビンと伝わってくる快感に俺は顎をあげると、

スッ

千香が頭を下げた途端、

チュッ

っと俺のムスコに口づけをするなり、

そのままくわえ込んでしまった。

「あっダメッ!!」

俺は抵抗して千香の頭を引き離そうとするが、

しかし、千香はレスリング仕込みの身体捌きで

あっという間に69に体勢にすると、

両脚で俺の両手を塞いでしまった。

ムギュッ

千香は難なく俺を封じてしまうと、

「レスリングならこれでフォール勝ちね」

と言いながら、

ニュクっ

ニュクっ

っと俺のムスコをしゃぶりながら頭を上下に動かす。

「あっくぅぅぅぅぅっ」

オナニーとは違う次元の快感に俺は悶える。

「どう?、

 先輩にね、男の子はそうすると喜ぶって教えて貰ったのよ」

と千香は俺に言う。

「あっあっあっ」

俺は身体の奥からこみ上げてくる射精感に必死で堪えるが、

千香の舌俺のムスコのカリ首や裏筋を徹底的に攻めると、

「達っちゃんって、

 なかなかしぶといのね」

と言うなり、肛門に指を突き立てた。

「あっ、ダメッそこは…」

思わず俺がそう言ったとたん。

ピュッ!!

シュシュシュシュ!!!

ムスコの下で溜まっていた精液が一気にムスコの中を駆け抜けていくと、

千香の口の中に吹き出してしまった。

ゴクゴクゴク…

千香は俺が吐き出した精液を飲み干す。

そして、すべてを飲み干した後、

口元でたれる精液を拭いながらそう言うと、

「相当溜まっていたのね、

 でも達っちゃんのミルク、おいしかったわ…

 ねぇ、今度はあたしのに…して…」

っと俺の顔に押し当てたままの汗まみれの秘所を俺の顔にこすりつけて見せる。



「じゃぁ、またあした」

満足そうに千香が俺の部屋からでていくと、

「はぁ」

すっかり精を抜き取られてしまった俺はバタンと仰向けになって寝っ転がっていた。

そして、

「溜まっていたのは千香の方だろうが…」

天井を眺めながら呟くと、

「山本さん…」

と呟きながらムスコを扱きながら、

「もしも、昔なら山本さんはチュチュを着て踊っていたんだろうなぁ…」

と思いながら、

トゥシューズの音を鳴らしながらチュチュ姿で舞い踊る山本さんの姿を俺は思い浮かべていた。



おわり