風祭文庫・アスリートの館






「呪われた部室」
(闘魂編)



原作・カギヤッコ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-233





それは長かった梅雨がようやく明け、

夏休みを目前に控えた初夏の日の事だった…

「あぁ…新体操部がうちのレスリング部の部室を借りる話?」

女子レスリング部の顧問である間藤先生は私に訊ねると、

「えぇ、三瓶先生の方からお話が行っていると思いますが…」

と私は答える。

すると間藤先生は頭をかきながら、

「ふぅぅん、

 君たちがあの部室に入るの?」

と意味深に聞き返してきた。

「はい。

 そうですが…

 なにか?」

先生の問いに私は首を傾げながら返事をすると、

「となると…

 明日にはレスリング部は再開できる…わね…」

と呟きつつ間藤先生は机の引き出しから鍵を取り出し、

「はい、これが部屋の鍵。

 ただしばらく使っていなかったし、

 誰かが忍び込んだのか結構汚くなっているみたいだから掃除が大変よぉ。

 ゴミがあったら遠慮なく捨てても構わないから」

と言いながら私に手渡した。

「…?」

一瞬、私は先生が言った言葉の意味を考えたが、

「何をしているの?

 早くしなよ」

と後ろからつつかれると、

「はいっ、

 判りましたぁ」

あたしは間藤先生に笑顔を見せながら元気よく返事をしてみせる。

「失礼しましたぁ」

頭を下げながら職員室から出た途端、

「ふぅぅ…

 何か言われるかと思ったけど、

 随分あっさりと鍵を渡してくれたね」

「とっくに諦めているんじゃないの?」

「まぁ、2年も部員がいないのではしょうがないわよねぇ」

「でも、間藤先生ってその昔オリンピックか何かに出た人なんでしょう?」

「あぁそれ知ってる…メダルには届かなかったみたいだけど」

「そんな人がなんでウチの学校なんかに居るの?」

「うちの卒業生らしいよ…」

「ふぅぅん…」

「でも、その割には女子レスリング部って人の波が激しいわね。

 盛況な時もあれば今年みたいにまったく部員がいなくて

 廃部同然になっている年もあるって聞くし…」

「やっぱり先生の態度が問題じゃないの?」

「そうかもね」

「よしっ、

 せめてもの供養に私たちがきれいに使ってあげよう。

 けってーぃ!」

「供養だってぇ

 きゃはは…」

とみんなは好きな事を言い始めだすが、

でも、そんな彼女たちの台詞を後ろで聞きながら、

「さっき、先生が言っていた言葉の意味って…

 何だったんだろう」

私は考えていたが、

「まぁいいか」

チャラッと鍵を握りしめ直し、

私たちはレスリング部の部室へと向かい始める。



私を先頭に同じ柄のジャージ姿の女子6人がゾロゾロと廊下を歩き、

職員室がある北校舎を出ると、

そのまま渡り廊下を進んでいく、

やがて運動部の部室が集まっている体育棟の入り口に出るが、

コンクリートの地肌がむき出しの素っ気ない建物は教育上の配慮からか、

1階は主に男子、2階は女子と分けられ、

私達の新体操部は数年前に作られたばかりの新参者だけに、

創部以来、ずっと女子体操部の部室に間借りしていたのであった。

しかし、間借りの部室の中で私たちに割り当てられた区画なにかと狭く、

またトラブルも多かったので、

女子体操部・新体操部連名で部員が無く廃部同然の女子レスリング部の部室を

新体操部の新部室として使わせてもらおうと運動をしてきたんだけど、

けど、なかなか許可が降りず不満に思っていた。

それが先日突然、転用許可が降り、

私達・新体操部2年生部員の6人が、

こうして部室の後片づけと整備に向かったのであった。

私達は2階へは行かず、

1階の奥にある女子レスリング部へと向かっていく。

「ねぇ、こんな奥じゃぁ、

 男子の目もあるしレオタードのままでは歩けないね」

と一人が左右を見ながら囁くように言うと、

「まぁ、男達がうようよ居る1階の奥じゃ仕方ないよね」

「ジャージ着ていけばいいんじゃない」

「部室があるだけマシよ」

などと言う声が次々とあがり、

やがて目的地である女子レスリング部の部室の前へと到着するが、

しかし、ドアの前にはしばらく使っていなかったためか、

男子達が置いていったのだろうか、

ゴミやら不要品やらが山と積まれていてとても入れる状況ではなかった。

「まったく、これだから男どもは…」

目の前のゴミを眺めて美和子が嘆くと、

「まずはこれからの片付けだね」

ため息混じりに京子が言う。

「よしっ

 じゃぁ始めますか!」

腕をまくりをしながら私が声を上げると、

私達は手分けしてドアの前にある障害物を取り除き始め

約30分後、ようやくドアにたどり着く事が出来た。

「じゃぁ、開けるよ」

障害物が除かれたドアの前で鍵を手に私がそう言うと、

「ふっ、鬼でも蛇でも出て来いってんだ」

と言う声が上がる、

「なに言ってんのよ」

ガチャッ!!

後ろの声に向かって私は怒鳴りながら鍵を回すと、

ガチャッ!

キィ…

乾いた音を立てながらドアが開くが、

ザワザワ…(フッ)

「えっ?」

ドアが開いた瞬間、

一瞬、部屋中にざわめきと人影が私の目に飛び込んでくるが、

しかし、それらはスグに消えてしまったのであった。

「何かいたの?」

呆気にとられている私の様子を見て知子が恐る恐る尋ねてくると、

「ハッ!?」

私はスグに我に返ると慌てて中を見回したが、

けど、私の視界に飛び込んできたのは只の埃っぽい部屋の様子だった。

「なぁにそこで立ちつくしているのっ、

 鍵が開いたのならサッサと中に入ろうよ」

イラツク様に言いながら入り口で立ちつくしている私を押しのけて

美和子が部室に入り

グルリと中を見回しながら、

「何もいないじゃない」

と残念そうに言うが、

確かに彼女の言うとおり何もなかったのである。

「それにしても汚い部屋ねぇ…」

美和子の後に続いて入ってきた京子が部屋の感想を言うと、

「どぅやればこうまで汚せるのかレシピを聞いてみたいものねぇ」

と呆れながら知子も言う。

確かにそれくらい部屋は汚かった。

ロッカーには汗を拭いたであろうタオルがそのまま掛かったままだし、

テーブルの上には雑誌等がそのままの状態で放置されている有様で

まるで部屋中がゴミに埋もれているようであった。

『……』

けど、私にはなんだか誰かに監視されている様な感じがして半分気味が悪かった。

「さぁて、じゃ始めますか」

と言う美和子のかけ声で、

私達は閉め切られていた窓を開けると部室の一斉清掃を始めたものの、

しかし、山のようなゴミと埃に私達の片付けは遅々として進まず、

それでも日暮れ前までになんとか部室として使える状態にすることが出来た。

「お疲れさまぁ…」

「あぁ疲れたぁ…」

グッタリとしている美和子達をよそに私はきれいになった部室を見渡し、

「ふぅ…これなら大丈夫ね…」

そう思って一息ついた時、

『……』

再び私は視線のようなモノを感じたのであった。

「え?」

かの感覚に私は慌てて振り向くと、

そこにはロッカーがあるだけだった。

「どうしたの?

 まさか…覗き?」

私の様子を見て知子が恐々声を掛けてくると、

「うぅん、何でもない…

 私もちょっと疲れたみたいね…」

私は額の汗を拭いつつ返事をしてみせる。

と同時に、

「みんなっ、おまたせぇ!!」

スーパーの袋を手にした祐子が部室に戻ってきた。

「遅いっ!」

「待ちくたびれたよぉ」

戻ってきた裕子に皆はそう声を掛けながら、

スーパーの袋からお菓子やジュースを取り出し、

それら肴に喋っていると、

ふと何かに気づいた洋子がロッカーの方を指さし、

「あれぇ?

 さっき開かなかったロッカーのドアが開いているわよ」

と指摘する。

「え?」

その声につられるように私は彼女が指さした方を見てみると

確かに掃除の際にはいくら開けようとしても開かなく、

「きっとノブが壊れているんでしょう」

と結論づけて、片付けを後回しにしたロッカーの扉がなぜか開いていた。

「ん〜?」

それを見た洋子は席を立ってロッカーの様子を見に行くと、

「やだぁ…なにこれぇ…」

と声を上げる。

「どうしたの?」

そう尋ねながら私は洋子の傍に行くと、

キィ…

そのロッカーの扉が独りでに大きく開いたのと同時に、

ドザドサドサ!!

と言う音を立ててロッカーの中からレスリングのユニフォームやアンダーウェア、

そしてシューズなどが雪崩打つように飛び出してきたのであった。

「うわぁぁぁ、何よ何よ!」

それを見た京子が悲鳴を上げると、

「ともちゃん、

 急いでゴミ袋をこっちに持ってきて」

と美和子が叫び声を上げる。

「これは…」

そして、それらの声を聞きながら

私は出てきたユニフォームなどの異様さに目を疑っていた。

そうユニフォームは2年以上放置されていたはずなのに、

ついさっきまで使われていたかのように汗で濡れ、

臭いを発散しているのである。

「これって、男物?」

明らかに男性の汗のにおいを放つユニフォームを眺めながら私は問い尋ねると、

「うーん、

 靴のサイズ等から見て明らかに男物だねこれは…」

と美和子は言いながらユニフォームを拾い上げる。

「でも…」

どうして女子レスリング部の部室に男物のユニフォームがあるのか、

私は首をかしげることしかできなかった。

美和子に急かされた知子は急いでゴミ袋を取に行き、

それを美和子に渡そうとしたが、

「?

 美和子?」

どう言う訳か美和子は手に取ったユニフォームを見つめたまま

顔を赤くしていたのであった。

「どうしたの?

 美和子…」

そんな美和子の姿を見て私は彼女の顔を覗いて見たが、

しかし美和子はジッとユニフォームに視線を落としたままだった。

「?」

私は彼女の様子を不思議に思いながらも、

足下に落ちているユニフォームを拾おうて手を触れた途端、

『……』

ビクン!!

何かが私の中に入り込み、

トクン…

「え?」

その瞬間、私の手も止まったのであった。

ハァ…

「なに?

 この感覚…」

胸の奥から湧き出てくる妙な感覚に私は戸惑い、混乱をするが、

しかし、その感覚が

「…たい

 …これを着て

 …闘いたい」

と言う衝動に変わるまでそんなに時間はかからず、

「はぁはぁ

 なっ何を考えているの?

 私」

とその気持ちを否定したとき、

「あれ?」

辺りの静寂さに気がつくと、

いつの間にか他のみんなも私の傍に来て

ユニフォームを手に取ったままじっとそれを眺めていたのであった。

「…ハァ…

 あっ、私…もうだめっ!

 我慢できない!」

部屋の隅の方にいた藍子が息を荒げながらそう声を上げると、

いきなり着ていたジャージを脱ぎ始めた。

脱いだ際に下着も一緒につかんだのか、

ジャージを脱ぎ捨てた藍子は一糸まとわぬ姿になると、

藍子はユニフォームを身に着け始めた。

すると、彼女の行動に触発されてか、

「私も…」

「私も…」

と他のみんなも次々とジャージを脱ぎ捨て裸になると、

アンダーウェアを穿き、

そしてユニフォームを身に着け始めた。

「ああ…体に張り付いてくる…」

「いい臭い…」

「ちょ、ちょっと…

 みんなどうしたの?」

ジャージの代わりに吊りパンツを身に着けたばかりか、

サイズの大きなユニフォームを体に押し付けたり、

汗ですえた臭いをかぎながら恍惚感に浸っているみんなを見た私は

思わずそう言うとしたが、その時…

『お前は着ないのか?』

と言う声が私の頭の中に響いた。

「だれ?」

私は左右を見ながら声を上げると、

『さぁ、みんなが待っているぞ』

声は再び私の頭の中に響き渡る。

「イヤよ」

声の誘いを拒否するように私が首を振っていると、

『さぁ…それを着て闘うのだ…

 お前はレスラーになるんだ』

声は抵抗をする私に絡みつくように響いた。

「イヤ…!!」

私はそう叫びそのまま立ち上がった。

しかし、

「ねぇ…千香ちゃん…

 私…千香ちゃんと闘いたい」

ユニフォーム姿にレスリングシューズを履いた京子が

キュッキュッっとシューズを鳴らしながら腰を落とすと

私に向かって構えて見せる。

「そんな…

 しっかりしてよ、みんな!!」

彼女の思わぬ姿に驚いた私は声を上げたが、

「ふふ…もぅみんな着替え終わったよ、

 さぁ、残っているのは千香ちゃんだけ…」

美和子がそう言うと、

一着のユニフォームを私に差し出してみせる。

「イヤよ、そんなの着ないわ!」

パシッ!

私はそう叫んで美和子の手を払いのけるが

「ふふ、強情ね。

 でも、本当はコレを着て闘いたいんでしょう、

 顔には出ているわよ」

と私の心を見透かすようにして言う。

ドクン…

するとそれに合わせるようにして私の胸が高鳴り、

『くく、さぁどうする?』

笑いながら声が私の頭の中に響くと、

突然私の右手が勝手に動き、

美和子が持つユニフォームへと伸びて行き始めた。

「………だっ、だめっ」

自分のその行為に私は必死になって止めようとした時、

「みんな…やっちゃえ!!」

私を見つめていた美和子がそう声を上げると、

ワッとみんなの手が一斉に私に伸びて来た。

「ダメぇぇぇぇ!

 ダメ、ダメ」

私は必死になって伸びてくる手をたたき落としたが、

スグに捕まってしまうと、

着ていたジャージ・下着類をすべて脱がされ私は全裸にされてしまった。

「いやっ!!」

皆に裸を見られたことに私はとっさにに胸と股間を隠すが、

しかし、スグにお尻が丸出しのアンダーウェアに脚を通されると、

続いてユニフォームを身につけさせられてしまった。

それと同時に生地に染みこんでいた汗の冷たさが私の肌に伝わってくると、

さらにギュッっと脚にレスリング用の靴下とシューズを履されると、

ツーン…
っと言う汗の臭いが私を包み込んだ。

「うっ…」

為す術もなくアマレスのユニフォーム、

しかも柔らかい乳房をむき出しの姿にされた私は

胸を押さえてその場に蹲ったが、

徐々に心の中に、

「あぁ…闘いたい…」

と言う気持ちが恥ずかしさを押しのけるように沸き上がりはじめてくると、

「さぁ…千香ちゃん、私と闘おうよ」

再び構えた京子が私の肩を叩きながらそう言う。

「闘う…?」

その言葉に反応した私は起きあがると同時に、

バッと彼女へ飛びかかった。

そして、京子は驚く間もなく私は彼女のバックを取ると、

「うりゃぁぁっ!!」

と言うかけ声と共に彼女の身体をひっくり返してみせる。

レスリングなんて知らないはずなのに…、

私の身体はまるで熟練のレスラーの様に動き、

そして戦い始めたのであった。

「くっ」

私に押しつぶされる京子は歯を食いしばりながら

両肩を床に着けまいとしてブリッジ姿勢をとる。

すると、

「おっ良いぞ、

 やっちゃえやっちゃえ」

その様子を見ていた美和子が声を上げるが、

彼女もまた飛びかかってきた祐子によってひっくり返されてしまうと、

たちまち部室内はユニホーム姿の少女達によるレスリング場と化してしまったのであった。

「くっ」

「さぁ、どうする?

 このままフォールされたい?」

髪を振り乱した私は京子の身体を押さえつけながらそう言った時、

ビシビシビシ!!

突然、彼女の周りから何かが膨らむような音がすると、

ビキビキビキ!!

まるで体中の筋肉が盛り上がるかの様な勢いで

京子の周りの空気が膨らみはじめた。

「うわっ」

それを見た私は思わず手を離すと間合いを取ると、

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

雄叫びを上げるかのごとく京子は声を張り上げる。

しかし、更に驚いたのは喘いでいる京子のユニフォームの股間に

ジワッっと黒ずみが広がってきたと思った途端、

ムクリと盛り上がり、

まるでユニフォームの下を何かが芽を出し成長していくように伸び始めたのであった。

「これは…」

ただ驚く私の目の前で、

膨らみはまるで生き物のように蠢きながらユニホームを引っ張り上げていく、

「あっあぁ…」

京子は口をパクパクさせながら声を上げるが、

成長していく”それ”はユニフォームを限界まで引き上げると裾を大きく広げ、

その中にあるアンダーウェアはおろか実体までもを露にしていた。

「そんな…京ちゃんが男になっちゃった…」

私はただ呆然としながら、

ビクン!!

ビクン!!

と京子の股間で脈打つ肉棒を眺めるが、

「あっ、うぅ…

 いぃっ、いいよぉ」

と言う声に私が振り向くと、

京子と同じような逞しい男の証を立てている美和子と祐子が絡み合い、

美和子の手が真っ直ぐに突っ立っている祐子のユニホームの頂点を

ムンズと掴みと扱いているのである。

「へへ…どうだ?

 …イキタイか?」

イヤらしい笑みと股間に大きな膨らみを立たせて美和子が祐子に囁くと、

「お願い…美和子…イかせて」

と祐子は美和子に懇願する。

「いや、まだイかせないよ。

 お前がイクのは俺をもっと楽しませてからだよ」

と美和子はまるで男のような口調で祐子に言い、

「さぁ、俺のも気持ちよくしてくれよ」

と言うと股を開いて祐子に大きく膨らんだ股間を見せつける。

「…オスッ」

それを見た祐子は小さくそう返事をすると、

ユニホームの裾から手を入れ、

大きく勃起する美和子の肉棒を扱き始めだした。

「あぁ…いいぜ…祐子ォ…

 俺もお前のをしてやるぜ」

美和子はそう言うと祐子の股間に顔を沈め、

両手を彼女の股間に置くと、

ユニホームを盛り上げている祐子の肉棒を攻めていく。

「おぉ…」

「あぁ…」

雄と化した二人が攻め合う様子を見ながら私は、

「ふっ二人とも、

 やめなよ、そんな事…」

と言うのが精一杯だった。

しかし、部屋の隅では、

「うっうっうっ…」

「んごぁ」

やはり変身をしていた知子と洋子も絡み合い、

同じ様にユニフォームの生地越しに互いの肉棒を愛撫し合っていた。

「ぷはぁ…

 あっ、千香ちゃんはまだ男になっていないんだ、

 早く男になっちゃえば?

 気持ち良いよこれぇ…」

つかんでいた洋子の肉棒を放して吐き出して知子が私にそう言うと、

「いやよ…そんな事…」

私はそう言いながら引き下がっていく。

しかし、ムンズっと私の肩がつかまれると、

いつの間にか復活した京子が私を抱きしめ、

「(はぁ)千香ちゃん、俺のもしてくれよ」

と息を荒げながら勃起した肉棒を私のお尻にこすりつけ、

片手で私の陰部をなで始めたのであった。

「いっ、いやぁぁぁ!!」

私は思わず悲鳴を上げて、京子の手を払いのけようとした時、

ジワッ!!

急に股間が湿り始めると、

ムリッと何かが顔を出した感覚を覚えた。

「え?」

その感覚に私は慌てて自分の股間に手を持っていくと、

モコッっとした塊が股間に顔を出していて、

それがゆっくりと成長していく様子が指先に感じられた。

「うふっ千香ちゃんにも生えてきたんだね、

 オチンチンが」

それを見た京子が優しく私に言うと、

「ひぃぃ…いやぁぁぁ!!」

京子に抱えられるように私は取り乱し、

バン!!

っと彼女の手を払いのけるが、

不意に足がもつれそのまま倒れ込んでしまうと、

私は勢い余ってドアを突き破り表へと飛び出してしまった。

と同時にムッとした外の熱気が私の身体を包み込んで来る。

するとそれに合わせるようにして股間の膨らみも成長し、

アンダーウェアとユニフォームを持ち上げてはじめたのであった。

男への変身。

私にとってあまりにも激しい感覚に気を失いそうになると、

「…どうやら第一段階は終わったみたいね」

と言う落ち着いた声が響いたのであった。

「え?

 あっ間藤先生」

その声に顔を上げると、

廊下で私を見つめる間藤先生があった。

「せっ、先生…

 どうして?」

私は顔を上げて間藤先生を見ると、

先生はすかさず、

「ほらっ、なんて顔をしているの、

 スグに準備運動を始めなさい」

と私に怒鳴った。

「え?」

先生の言葉に意味が飲み込めず私が呆然としていると、

「ほらっ、何をボサッとしているの?

 アマレスラーならキビキビとしなさい!!」

皆をにらみ付けながら先生は怒鳴ってみせる。

「そんな…レスラーって」

その声に私はオドオドしながら部室のガラスに映っている自分の姿を見ると、

「うそぉ!」

そこに映る姿に愕然とした。

そう、そこには顔は少女のままだが、

マッチョな肉体を包むユニフォームの股間からたくましく棒を突き出す

”いびつなレスラー”の姿が映し出されていたのである。

「あぁ…」

それを見た私が驚きの声を上げると、

「ふふふ…どう?

 アマレスラーになった気分は…

 なかなか逞しい身体になったじゃないの」

と先生は私の身体を眺めながら褒め称える。

「…それってどういう意味ですか?」

その声に思わず私は聞き返すと、

先生は視線を外に向け、

「ずっと昔…ウチの学校は男子のレスリング部が強かったんですって…

 この部室にはいつも大勢のアマレスラーが屯って居たそうよ。

 しかし、年月を経るウチに徐々に部員は減って、

 遂には廃部してしまったの…」
と続けた。

「でも、そこに集まっていた部員達の

 ”アマレスをしたい、強い相手とぶつかり合いたい”

 と言う思いはあの部屋に強く染み付いちゃってね…」

「じゃぁ、あの時のあの声は…」

それを聞いた私がそう呟くと、

「ちゃんとアナタも聞こえたのね。

 そう、それはあの部室に残る部員達の魂の声…」

と先生が答える。

「先生はそれを知ってて…」

間藤先生の言葉に驚きながら私が聞き返すと、

「ふふ…」

先生は笑みを浮かべながら、

ピンっと一枚の紙を私に向かって飛ばして見せる。

「これは…」

私は足下に飛んできたそれを拾い上げると驚きの声を上げると、

「ふふふ…」

間藤先生は相変わらず笑みを浮かべていたのであった。

「先生、これはなんですか?」

紙を手に私が訊ねると、

「それはね…この学校に入ったばかりの私の姿よ」

と、先生は私に告げる。

そう、私が手にした紙は一枚の写真で、

その中にはレオタード姿の女の子がはにかみながら写っていたのであった。

「そんな…じゃぁ先生は…」

先生の言葉に私は驚くと、

「私は元々あなた達と同じ様に新体操の部員だったのよ。

 でもねぇ、あの部室に入り込んだ時にとりつかれちゃって、

 それ以来レスリングに転向しちゃって…」

と言い、

「だから、これまで女子レスリング部に所属したレスラー達は

 みんなここでヨリシロになり、

 レスリングの魅力に取り付かれた女の子達ばかりなのよ」

と続けたのであった。

「まあ、無理も無いわよね…

 ここに残っているアマレス部員達の魂はいまだ収まる事は無く、

 そこに来てあなた達の様な若くて瑞々しい女の子達が来れば…」

そう言いながら当時を思い出しているのか間藤先生は

顔を惚けさせながら天井を見上げている。

そこに…

「あら、間藤先生も来てたんですか」

と聞き覚えのある声が響いた。

「み、三瓶先生…」

驚く間藤先生の視線の先にはなんと新体操部の顧問である三瓶先生がいたのであった。

「三瓶先生、助けてくださ…」

そう言おうとしてわたしの顔が一瞬凍りついた。

なぜなら、三瓶先生の顔も間藤先生同様ほのかに惚けた顔をしていたからだ。

「ま、まさか三瓶先生も…?」

三瓶先生は返事代わりに静かにうなずくと、

間藤先生と同時に来ていたジャージを脱ぎ捨てる。

バサッ、

ハラッ…

「!」

二人がジャージの下に身につけていたもの。

それはまぎれもないレスリング部のユニフォームだった。

白い肌と運動部顧問だけあってそれなりに鍛えられた

しなやかな体を覆う少しだぶだぶのユニフォーム。

しかし、その表面も汗と男の臭いににじんでいる。

「三瓶先生…いや、正江…久しぶりにやろ?

 ここにいたら女の子でいるのが我慢できなくなっちゃう…」

「間藤先生…美奈…そうね…

 もうわたし達の体にも男達の魂が染み込んでいるわ…

 ああっ!」

「うっ!」

ビクンッ!

次の瞬間、先生達のユニフォームの股間が勢い良く盛り上がり、

それに呼応するようにその体もたくましいレスラーのものに変わってゆく。

「はぁ…はぁ…久しぶりだぜ…」

「ふぅ…ひぃ…やっぱりいつ感じてもいいよな…」

二人は柔らかな乳房を飲み込んで生まれた胸板を抱きしめながら変化の興奮に酔い、

そしてその肉体を抱きしめ、口づけあう。

「正江…久しぶりに一戦交えようぜ?」

にやつく男の顔で三瓶先生を見つめる間藤先生。

しかし、間藤先生の目はわたしに注がれていた。

「美奈…その前に、あの新人に「男の感覚」を教えてやろうぜ。

 二度と女に戻りたいなんて言えなくなる位にな…」

と言う声と共に注がれるその目は間違いなく獲物を狙う獣の目だった。

「えっ?

 先生、冗談でしょ?」

じりじりとにじり寄る二人から逃げようとするが、

その背後に気配を感じると私は急いで振り返った。

そして、振り向いた先には…

「千香ぁ…いつまで女の真似してるんだよ…」

「そうだぜ…同じアマレス野郎として男同士でぶつからせてくれよ…」

同じ様に獣の目をしたみんながユニフォーム越しに肉棒を突っ張らせながら立っていたのであった。

ビンッ!

「あっ…」

それに反応するように私の肉棒もさらに高く突っ張る。

「みんな、やっちまえ!」

「おおーっ!」

その声が響くのと同時にしばらくの間、

私は男達にもみくちゃにされた。

オスの汗が、肉が、そして魂が

私のかすかに残っていた「女の子」の部分を押さえ、侵し、もみくちゃにする。

「あっ、うっ、うぉ…」

『そうだ…解放しろ…

 お前の中の魂を解放して闘え…』

私の脳の中にあの声が響く。

そしてそれからしばらくして…

「ウォーッ!」

生まれ変わった雄たけびと共にオレは京子を押さえつけるべく飛び掛っていった。

かつてうら若き新体操部員の少女達だった肉体をヨリシロにして蘇った雄達の宴は

夜中まで続いたのであった…



そして夏休み。

「おはよー、千香ちゃん」

学校に向かう私の肩をポンと京子が叩く。

「京子…暑いのに元気ね」

「まぁね。これもあれのおかげかな?」

「あれ…ああ、あれね」

「そう、あれ」

京子は飛びっきりの笑顔でそう答える。

あの宴の後、

私達の肉体と精神は夜明けと心地よい脱力感とともにもとの女の子のものに戻った。

それに対してみんな元に戻れた嬉しさよりも

せっかく手に入れた男の興奮を無くしてしまった事に対する無念の方が強く思えたのは

気のせいだろうか。

かく言う私もその気持ちは弱くない。

三瓶先生が言うにはあの部室では時折ああやって

女子の運動部員達をヨリシロにしてあらぶる魂を鎮めているとの事だが、

ここ数年は行われず、たまりにたまった思念を鎮める為に

私たちが選ばれてしまったと言うのだ。

実際美和子と祐子はあのあと新体操部を辞めて女子レスリング部に入ったし、

知子と洋子も新体操部には残っているけど、

やはり密かに仲良くしているらしい。

時々シャワー室などで二人が男と女の両方の口調で「仲良く」している声を聞いてしまう。

そして私たちも…

まあ、そんなこんなで私たちは新体操部の夏休みの合宿と称して学校に足を運んでいる。

「千香ちゃん、

 久しぶりに一緒にやっちゃおうね〜」

「祐子、そんな事言ってるとやってあげないからね」

「お、お〜す…」

「オッスでしょ?」

「オッス!」

校門の前で出会った美和子と祐子がそんなやり取りをする。

どうやらあの一件以降そう言う力関係ができたようだ。

「みんな、おはよう」

「…なんだ、みんな来ちゃったのか

 …ともちゃんと二人きりならよかったのに…」

廊下で出会った知子ははつらつに、

そして洋子は少し不満げにそう言う。

「あ、来たわね…

 いらっしゃい、わが新体操部の夏合宿に」

「そして女子アマレス部の夏合宿に」

あの部室の前で間藤先生と三瓶先生がそう言って出迎えてくれた。

ジンッ…

「あ…」

まだ心も体も女の子のままなのにもう体が熱くなっている。

それを何とか隠そうとしていた私だったが…

「千香ちゃん、我慢する事ないよ。

 みんな気持ちは同じなんだし…

 この合宿の間、思い切りぶつかろうっ!」

そう言うと京子はおもむろにジャージを脱いでみせる。

すると他のみんなも、

そしてわたしも子の暑さを振り払うようにジャージを脱ぐ。

そこには男達のアマレスユニフォームにピッタリ覆われた女の子の体があった。

「おっ、千香ちゃん、

 大胆だね〜もう男になる準備はOKって奴ね?」

京子がそう言ってユニフォームから露になった私の胸をつつき、

「きゃんっ」

その感触に私は思わず胸を隠してしまう。

「もう…男になったら覚えてなさいよ…」

顔を赤くしてきっと京子をにらむと、

「ちょっと…みんな、気合が入っているのはいいけど…」

「その格好はまだ早いんじゃない?」

先生達が苦笑いしながら顔を見合わせる。

わたしも、京子達も照れ笑いでそれに答えた。

そのあと、私たちは昼はレオタードに着替えた新体操部員の女の子として、

そして夜はアマレスユニフォームをまとったオスとして合宿に臨む。

この部室に宿り、そして私達の心と体に宿った闘魂の熱い感情を昇華させる為に…



おわり



この作品はカギヤッコさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。