風祭文庫・アスリート変身の館






「”たまめ”の武」
(相撲部編)



原作・ぽちゃえもん(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-304





やばい。

よりによって相撲の稽古中に始まりやがった。

昨日あたりから乳首の周りが張ってきたので、

そろそろだとは思っていたけど、

いつもより半日も早くキンタマが体の中に潜り込んで来た。

「どうした武っ

 キンマタでもぶつけちまったのか?

 顔が青いぞ」

3年の谷口先輩が俺の様子に感づいたらしく声を掛けてきた。

谷口先輩は190cm130kgの恵まれた体で県大会個人優勝を果たす強者だ。

無論、俺の憧れの先輩でもある。

先輩は相撲が強い上に勘がいいというか、

とにかく気を遣う人で、

後輩全員から好かれている。

その勘の良さが俺にとっては危険な存在だ。

「いえ、なんか急に腹の調子が…

 すんませんっ

 ちょっと便所行ってきます」

「おうっ

 構わないけど廻しにミソつけてくんなよ!

 あははは…」

豪快な先輩の笑い声に送られて俺は稽古場から飛び出すと一目散に便所へと行く。

しかし今日はどうしたことだろう。

いつもなら一時間近く掛かって女に変わりきるのに、

今日は倍のスピードで変身が進んでいる気がする。

キンタマに続いてチンコも体に潜り込んできた。

ー]けきっていた亀頭が小さく萎縮しながら敏感になってくる。

と同時に体が火照って来た。

体が女へと性転換している確かな証…

と同時に頭の中も女性化が進んできた。

しかも変身中はやたらと性的興奮が高まっちまうのだ。

「ああ、早く女になりてえ…」

ふと口からそんな声が漏れてくるが、

このまま女になっちまったら着替えができなくなってしまう。

なんせ着替えはみんなのいる稽古場でするからだ。

スーッ

俺は大きく深呼吸をした。

少しでも変身を遅らせるコツだ。

腹の中から伸びてきた膣が出口を求めているらしく

チンコの消えた股の真ん中がムズムズしてきた。

キンタマはすでに卵巣となって盛んに女性ホルモンをばらまき始めるが、

でも廻しを締めているせいもあって外見はまだ男のままだ。

俺も谷口先輩に負けじ劣らずの175cm120kgのデブ。

多少おっぱいが大きくなってもいつも垂れているから気がつかれない。

俺は腹痛をきめこむことにして、

今日の部活を早退することにした。

稽古場にUターンするなり、

「やっぱ腹に来るんで今日は帰ります」

「そうか、さっきよりさらに顔色が悪くなってるな。

 無理すんな」

変身を我慢している様子が具合悪い顔に見えるのはラッキーだ。

俺はみんな稽古を続けているのを横目にしながら廻しを外す。

股にはチンコの姿は無く、

代わりにくっきりと縦に開いた溝…そうマンコが刻まれているのが見える。

もぅ俺は女になっていた。

そのマンコを隠すようにして赤い木綿布を被せると、

俺は下着代わりの六尺褌を締め始めた。

手早く俺は六尺褌を締め終えると、

何とか股のマンコは見られずに済んだ。

谷口先輩は俺を心配そうにじっと見詰めている。

あんまり見つめないでください、先輩。

あんまり見つめられると、

あたし…先輩のこと愛しちゃう…。

いかんいかん、

体の変身は抑えていたものの、

心の変身が先へと進んじまっている。

ああん、でも…

先輩に抱かれたい、

先輩、あたしを抱いてえ…

今度は本能と理性の戦いまで始まってきたわ。

とにかく早く着替えて、

一刻も早くこの場を立ち去らないと。

いやん、靴下を履くのに小指が立っちゃう。

「おっお先に失礼しまぁす」

まだ声は男のままなので若干おかまっぽく言っちゃった。

先輩気がついたかしら。

走るように稽古場を後にして、

あたしは運転手を携帯で呼び出した。

急いでお話したからお伝えしていませんでしたけど、

あたしの通うここ鶴亀学園はちょっとセレブな方々が集まる男子校なの。

あたしもちょっとした資産家の生まれですのよ。

その上あたしの家系には時々あたしのように男と女に変身を繰り返す者が生まれるの。

あたしたちはその者たちを「たまめ」と呼んで血をつないでおります。

「たまめ」には優れた商才が備わっていて、

血を絶やさぬことで家の富を守り続けております。

父上は普通の男性ですが、

お爺様がたまめです。

たまめも年齢を重ねてゆくに従い変身する回数も減るが普通なのですが、

大三郎お爺様は今でも半年後とに変身してらっしゃるの。

いわゆる精力衰えず、ってところ。

いやん、はしたない、あたしったら。

「お待たせいたしました、武坊ちゃま」

運転手の井上が校門前に到着しました。

車に乗り込もうとしたところに、

谷口先輩が廻し一丁のままこちらに走ってくる。

「俺のうちに腹痛に抜群に効く薬があるんだ。

 ほら、俺んちは薬剤会社やってるだろ。

 武んちより俺のうちのほうが近いし寄ってけよ」

有無を言わさず、

先輩は裸のままあたしの隣に乗り込んだの。

軽く息を弾ませて汗を浮かべてる先輩の姿がかっこよくてもう倒れそう。

はっと、変身が進んでいないか慌てて触ってみたけど、

我慢が効いたのかあれ以上の変身は治まっているみたい。

でも気を緩めたらすぐにでも変身しちゃいそう。

先輩とこうしていられるのはすごくうれしいけど

でも早くお別れしないとあたしの秘密がばれちゃう。

でも断りきれずに結局先輩の部屋に案内されちゃった。

程なくお薬とお水をいただいて、あたしは飲むふりだけした。

「どうだい、結構早く効くはずだ。」

「ありがとうございます、先輩。」

もう、抱かれたくて仕方ないあたしはそういうのがやっとだった。

「前から思っていたんだが、

 武はなんていうか、

 あんまり男っぽくないよな」

どきっ!

何をおっしゃるの先輩!

たまめであることを勘のいい先輩はやっぱり見抜いてらしたのかしら。

でも谷口先輩なら秘密を知られてもあたしかまわないかも。

「いや、気を悪くしないでくれ。

 武がオカマだなんて言ってるんじゃねえんだ。

 なんていうか、

 優しいそうって言うか、

 可愛いっていうか…

 武に頼みがあるんだ。

 その…相撲じゃなくて、普通に抱かせてくれないか。」

そう言うが先か、先輩はあたしの大きな体に太い腕で包み込むように抱き締めたの。

男の汗の香りがあたしの女の精神を犯してゆく。

そんなことしたらあたし、女に…

あれ?変身しないわ。

っていうか、いつの間にか消えていたはずのチンコが再び伸びてるじゃないの。

しかもビンビンに。

「武…俺はお前を愛してる…」

谷口先輩はあたしの男の体を愛撫し始めた。

そりゃ、あたしは先輩に完全に落とされたわ。

でも男の体なのに。

エッチの後、再び着替えたあたしは井上の車に乗りこんだ。

「ごめんな、俺のこと失望したかな。」

谷口先輩は車の外からそういった。

「あたし、

 いや、俺、先輩のこと好きっすから。

 またお願いします」

精一杯男らしく言ったわ。

そしたら先輩、すごくうれしそうな顔になって見送ってくれた。

遠くなっていく先輩を見つめながら走る車の中で井上にあたしは言った。

「井上、今日のことは父上にも母上にもしゃべってはなりませんよ」

「もちろんでございます、武お嬢様」

先輩の愛撫を思い出すたびに胸がどんどん膨らんで、

大きくなる乳首がTシャツに擦れると、

あたしは感じまくっていた。

「ああ、先輩。

 ああん、感じる、感じちゃうわ」

よだれが垂れるのも気がつかないほど、

あたしは変身していく体全身で感じながらオナニーを始めた。

先ほども申しましたが、

男から女へ、あるいは女から男へ変身する間は

それはもう淫乱極まりない状態になりますの。

たまめである宿命でございます。

でも、これはあたしのせいじゃなくてよ。

走行している間に褌の中のチンコは小さくなって

その先っぽは”亀頭らしきもの”に姿を変え先走りを流しだし続けている。

いじればいじるほど、

いつに無く早く溝が刻み込まれ、

指がぬめぬめと刻まれた溝の奥へと吸い込まれてゆく。

ああ、ヒップがズボンからはみ出さんばかりに大きく成長しているわ。

波を打つかの勢いで。

こんなに大きく変化するから下着はふんどしなの。

お爺様譲りの下着といえばそうなんだけど。

色はもちろん赤よ。赤フン。

「はあん!」

家に着く前にいってしまったわ。はしたないあたし。

ダッシュボードから井上が着替えを差し出す。

まっさらの絹の赤いふんどしとマドレーヌ女学校のブレザーの制服を。

120kgのあたしが変身したって120kgの女なのよ。

化学で「質量保存の法則」って習いませんこと?

あたしのグラマラスなバストとヒップは男の時の制服ではおさまりませんし。

Hカップのブラをつけ制服に袖を通すあたし。

スカートをはき肩まで伸びた髪を束ねてポニーテールに仕上げたころには、

明日から再び通いだすマドレーヌ女学校の女子高生に変身が終わりました。

たまめのあたしは大体2週間ごとに変身を繰り返していて、

男の時には男子校・鶴亀学園の高校男子、

女の時には女子校・マドレーヌ女学校の女子高生として学校生活を送っているの。

ちなみに男性のときは「武」ですが、

女性のあたしは「武美」と呼んでいただいております。

変身していないときは海外短期留学だとか、

父上の会社で実践的な経営学の勉強をするだとか適当に理由をつけているのよ。

鶴亀学園にも今日のうちに2週間学校を休む連絡が行くわ。

谷口先輩との恋がうまくいくことを夢見て2週間辛抱するんだわ。

早く男になりたいわ。

ん?あれ?

ちょっとまって、なにか変よ。

谷口先輩がすきなのは男のあたしじゃないの?

てことは谷口先輩ってホモだったんだわ!

ああん、複雑な恋心。



つづく



この作品はぽちゃえもんさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。