風祭文庫・アスリートの館






「相撲体験」



原作・カギヤッコ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-214





キーンコーン…

放課後を告げるチャイムが鳴り響く中

ガラッ、

タッタツタッ

まだ教壇に立つ先生への礼もそこそこに

一目散に教室を飛び出すと、

僕はある場所へと向かっていく。

そして、

「よしっ

 一番乗り!!」

誰もいないのを確かめながら僕が飛び込んでいったのは旧校舎にある美術室だった。

2年前、正面に見える新校舎が出来た時この旧校舎は多目的用途用に改装され、

一部授業などで使われるようになったが、

生徒数の減少とかで新校舎に余裕が出来ると

授業の殆どが新校舎で行われる様になってしまい、

今ではすっかり忘れられている存在になっていた。

けど、

忘れられている存在=落ち着いた環境でもある事であり、

特にこの旧美術室は新校舎の美術室とは違い、

静かな環境で絵を描く事が出来る恰好の場所だった。

「はぁ…やっぱりここだと落ち着くなぁ」

新校舎によってグランドの音が遮られ殆ど無音に近い中で、

僕は絵筆を握り、

描きかけのキャンバスに向かって下ろした。



静かな時が過ぎていく、

そんな中で僕は絵筆を動かしていると、

バシッ、

ダァン!!

「うぉりゃぁ!」

「うっしっ!」

突然、

男の声と共に、

階下から叩きつけるような音が響き渡った。

「あれ?

 相撲部の稽古って今日だっけ?」

響き渡る音に僕は絵筆を止めると

苦々しく廊下を眺め、曜日を確認する。

しかし、今日は相撲部の稽古が無い曜日である事を確認すると、

「ちっ、なんだよぉ…

 今日は稽古の日じゃないかよぉ」

と文句を言いながら腰を上げる。

この校舎の1階に残っている相撲場で行われる相撲部の稽古日は月水金土であり、

今日は木曜日であった。

しかし、

バシッ!

ドォン!!

「しぁぁぁっ」

男達の声と振動は

文句を言う僕に否応無く相撲の稽古である事を告げていた。

「…仕方が無い」

仕方なく僕は今日の作業は中止する事にして絵筆をしまい、

美術室を出ると相撲部の稽古場がある1階へと降りて行く。

「一体、そんな稽古をすればあんな音が出るんだ?」

クレームをつけるつもりではあったが、

でも、相撲部の稽古とはそんなものか。と言う、

半ば好奇心で僕は自分の足を相撲稽古場へと向け、

そして、稽古の音が響き渡る稽古場を見た時、

「あっ」

その光景に僕は思わず息を呑んだ。

「おらっ、どうした!」

「くっ」

男達の怒号が響く中、

頭に髷を結い、

黒い極太の帯”廻し”を締めた”力士”が土俵の中で組み合い、

汗だくになって相手を投げ飛ばそうとしている。

まるで相撲部屋に迷い込んでしまったかと、

思わせる光景に僕は”あるもの”を感じながら、

つい、魅入ってしまっていた。

「うりゃぁっ」

硬直した取り組みだったが、

一瞬の隙をついて右側の力士が左側の力士の廻しを取ると

その部分をテコにして重心を崩し、

一気に投げに打って出る。

「あっ」

あっけなく投げ飛ばされる力士。

その姿に僕はすっかり魅了されていた。



だが、よくよく考えるとうちの相撲部は一応部員こそいるものの

ほとんど無名に近く、

ここまで迫力のある組み合いを見る事はない。

しかし、今目の前で繰り広げられているのはさながら

地上に降りた闘神達か、

はたまた人の姿をした荒ぶる獣達の宴であった。

その荒々しくも美しいその姿に僕はただ魅入られるばかりであった。

ゆえに…。

ガラッ!

「おいっ、何だお前は」

僕の姿に気付いた力士がドアを開けた事にすら気付かなかった。

「え?

 いっ、いや…。」

掛けられた声に僕は困惑をしながらそう返事をすると、

「あんだぁ?

 あに見てんだよ、お前は!」

と怒鳴りながら別の力士が近付いてくる。

「え?

 すっ、すみません」

予想外の展開に僕は慌てて逃げ出そうとするが、

ポンッ

僕の肩にテーピングされた太い手が乗せられると、

「まぁ、見て行けや」

と言いながら僕の後ろに廻し姿の力士が睨み付けるように立っていた。

「え?

 あっ、いやっ(いつの間に後ろに…)」

真後ろに立つ力士の姿に僕は飛び上がるようにして驚き、

そして慌てて体裁を作ろうと、

「ふぅぅん…」

力士は僕をゆっくりと見下ろした。

「あっ、あのぅ…」

にらみつける力士から少し間隔を置いて僕は聞き返すと、

「青っ白そうな面している割には

 ここをのぞきに来るなんて珍しい奴だな、

 相撲がしたいのか、

 それともおれ達の廻し姿に欲情するモーホー野郎か?」

とさっき僕に言いがかりをつけてきた力士が僕を恫喝する。

「え?

 ちっ、違いますよ、

 ただ、そこを通りがかっただけで」

力士の言葉を慌てて僕は否定すると、

「んだとぉ?」

その力士は凄みを利かせて僕に迫った。

そして、

「おうっ、言いたい事があるのなら

 土俵の上で聞こうじゃないか、

 こっちこいっ」

という怒鳴り声と同時に僕の腕を強引に引っ張られた。

「ちっ、違います、

 僕はただ稽古を見ていただけで」

「うるせー」

否定する僕を力士は相撲場へと引っ張り、

そして、相撲場に入った途端、

「おらっ」

の声と共に僕を土俵へ突き飛ばすと、

「え?

 うわっ!!」

僕は前につんのめりになりながら土俵に頭から突っ込んでしまった。

「痛たたた…」

土俵に撒かれている砂で顔をこすりながら起き上がると、

「おらよっ」

バシッ!!

起き上がった僕にとぐろを巻く布束が投げつけられた。

「うっ」

布束から発せられる猛烈な汗の臭いに僕は思わず顔を背けると、

「なにやってんだ、お前の好きな廻しだろうが」

と言いながら力士はニヤリと笑いながら顎をしゃくる。

「さぁ、それを締めろ。

 おれ達がお前のその根性を叩き直してやる」

「そんな…違う、僕は…」

力士の声に僕はなおも否定するが、

ザッ

僕の周りには廻しを締めた屈強な力士が腕組をしながら立ち並び、

「よしっ、

 お前が無実だと言うのなら俺達と勝負をしろ」

と一斉に命じてきた。

「そっそんなぁ!!」

力士のその言葉に僕は悲鳴をあげるが、

この場からは逃げ出すこともままならず仕方なく、

「判りました…」

と返事をすると腰を上げ、

さっき投げつけられた廻しを手に取ると、

「あのぅ…どうやって締めればいいのですか?」

と尋ねた。

「なんだよっ、お前、

 廻しが好きなクセに廻しも締めた事が無いのか」

「だって、知らないんです」

「ふん、どうだか」

僕の言葉に呆れる相撲力士と疑う力士とが僕の両脇に立ち、

僕のズボンのベルトをつかむと、

ズルリ!

パンツごとズボンを引きおろす。

「うひゃっ!」

それを見た僕は声を上げると、

「馬鹿野郎っ

 男の癖にそんな声を上げるヤツがあるかっ」

の怒鳴り声と共に

ポカッ!

僕の頭がげんこつで殴られた。

そして、

シュルリ…

裸になった僕の腰に廻しが締められ、

キュッ!

「うっ!」

僕の股を引き裂かれるようなその感覚に僕は思わず声を上げると、

「あはは、

 なんだ、

 やっぱり感じているんじゃないかよ」

とそれを見た力士は下卑た声を上げる。

他の力士達からもニヤニヤとした笑い声が上がる中、

僕の腰に次々と廻しが巻かれていくと、

最後にギュッと締め上げられた。

その瞬間、

僕の腰を強烈な力で押しつぶして来きた感覚に思わず顔が真っ赤になる。

「よしっ、

 ほらっ見てみろ、

 あと髷さえ結えばお前は立派な力士だ」

廻しを締め終わったのと同時に僕にその言葉が投げかけられると、

「え?」

稽古場の隅に置かれた鏡に上半身こそ制服姿のままだが、

下半身には裸に廻しを締めた僕の姿が映っていた。

「あっ…本当だ」

その様子を僕は呆然としながら眺めてると、

「さて、廻しも締めたし、

 稽古をつけてやろうか」

準備運動をしながら力士たちが僕に迫ってきた。



バシッ!

「おらっ

 もぅ終わりか?」

ゼハァ…

ゼハァ…

あれから約1時間後…

そんな言葉が浴びせられながら

僕は汗と砂にまみれ土俵の真ん中で這い蹲っていた。

元々こうなる事は判っていた。

第一運動が苦手な僕が力士を投げ飛ばせられるわけがない。

しかし、何も出来ないでの敗北に悔しさを感じると、

「くそぅ」

と言う言葉が僕の口から漏れた。

すると、

「ったく…根性だけはいっちょ前と言う所だな…おいっ」

一人の力士が声をあげると、

「うぃっす」

その返事とともに別の力士が干してある廻しを2本手に取り、

僕に迫ってきた。

「なっ、何を…」

迫ってくる力士に僕は怯えながら声を上げると、

「立て…」

力士は低い声で僕に命令をした。

「え?」

力士がこれからやろうとしている事が判らずに僕は立ち上がると、

ドンッ!!

いきなり僕は突き飛ばされ、

あっと言う間に土俵の反対側に滑っていった。

「うわっ、

 とっとっと…」

そんな声を上げながら尻餅をつかないようにバランスを立て直していると、

ザザザザ!

別の力士がすり足で僕に迫るとそのまま僕を押し出し、

バシン!!

土俵の外で聳える”てっぽう柱”に僕を押し付けた。

「痛たっ!」

背中で感じる痛みに僕は悲鳴をあげるが、

グィッ

力士はさらに僕を柱に押し付ける。

そして、

「さぁて、じゃぁ新入力士の歓迎会をしてやるか」

と言葉が響き渡ると、

「うぃっす」

力士の声が響き渡った。

「え?

 なに?

 僕は相撲部になんて入ら…」

その声に僕は困惑しながらそう叫ぼうとすると、

バサッ

いきなり僕の顔に廻しが押し付けられると、

呼吸が出来る様に鼻の部分を空けながら、

グルグルと”てっぽう柱”に縛り付けるように巻きつけられてゆく。

さらに、胸、太ももと別の廻しが巻かれると、

僕は廻しで”てっぽう柱”に固定されてしまった。

「うっ、動けない…」

廻しから漂う臭気に耐えながら、

僕は身体を動かそうとするが、

きつく縛られた廻しとそこからしみ出す匂いに巻かれ、

微動だにする事は出来なかった。

その途端、

サワッ。

無数の手が僕の身体に取り付くと一斉にモゾモゾと動き始めた。

「え?

 うわぁぁぁ…やっ、ヤメ!!」

動き回る手の感触に僕は悲鳴をあげるが、

それから逃げる術は僕には無かった。

そしてさらに、

シュルリ…

僕の腰を締め上げている廻しが解かれると、

ギュッ

股間のペニスが鷲づかみにされ扱かれ始めた。

「いやっ、ヤメ、ヤメテくれ」

自分のペニスを乱暴に扱かれるその感触に僕はさらに悲鳴をあげた。

しかし、

ムクリッ

そんな僕の気持ちとは裏腹にペニスが見る見る硬くなっていき、

「おいっ、なんだかんだ言ってもチンポ硬くしているじゃねぇかよ」

「へへっ好きなんだろう?

 こうされるのが」

と言いながら力士は僕のペニスをさらに扱いた。

「あっあぁ、

 駄目、お願いです、

 コレを解いてください」

衝撃的な感触に誘発され射精が近い事を感じ取った僕はそう懇願するが、

「なんだよ、

 もぅ出すのかよ、

 早漏だな」

「はは、だらしねぇなぁ…

 おれ達よりも早いなんてそれでも男か」

「じゃぁ俺達がたっぷりと仕込んでやるからな」

と言う返事が浴びせられ、

そして一段と激しく扱き始める。

「あっ、あっ…

 でっ、出る、

 出ちゃう、

 出ちゃうよぉ」

廻しで目隠しをされた僕はその中で涙を流しながら訴えると、

「どうだ、相撲は好きか?」

と力士達は僕に尋ねてきた。

「すっ、相撲…なんて」

最初はイヤだと返事しようとしたが、

グッとペニスが握りしめられると、

「あっあぁ…」

僕は汗の臭いを放つ廻しの中で思わずもだえてしまった。

そして、

「いっいぃ…」

あれほど臭かった廻しの臭いが気にならなくなり、

代わりにこの廻しを締められ、

扱かれる事に嫌悪感を持たなくなり始めた。

「どうだ?」

「返事は?」

なおも続く力士の叫び声が響き渡ると、

「あっあぁぁぁぁ…

 いっ、いぃぃぃです!!!」

シュシュッ!!

僕はそう返事をしながら力士の前に白濁した精液を飛ばしてしまった。

「ふふふ…

 そーか、力士になるって言うんだな」

「そーかそーか

 コレでお前は俺たちと同じ栄えある力士だ」

「よろしくな、新弟子」

はぁはぁはぁ…

射精後力が抜けぐったりとしている僕に力士達は声を掛ける。

その一方で、

「くはぁ…あっあぁ…ぼっ僕…相撲を…」

まだ廻しとその香りに遮られた中、

僕は掛けられたその言葉をいつまでも反芻していた。

「おい、新弟子の廻しを解いてやれ」

「ういっす!」

この声と共に力士達は僕を縛りつけていた廻しを解き始める。

動けるようになった解放感と

あの気持ちいい感覚から遠ざけられるつらさが同時に襲う。

「ふふふ…

 これからたっぷり鍛えてやるぜ…」

力士は朦朧とした僕の顔を見つめながらにやりと笑う。

「久しぶりの新弟子だ…

 楽しみだぜ…」

「まったく、

 何のかんの言っても俺達も立派なモーホーだよな…」

と、僕をホモ呼ばわりした力士もニヤニヤと笑っていた。

その時…

「うっ!」

「くっ…時間切れか…」

悔しそうに言いながら力士達が相次いで体を押さえ始める。

「ううう…うわぁぁ…」

「くうっ…あっ、あぁん…」

ある者は地面に両手を付き、

またある者は興奮に耐えられず廻しを解き、

逞しい筋肉、

そしてゴツイすね毛に覆われたイチモツを燐とさらす。

その光景に僕はさらに興奮を高めるが、

まだ脱力感が抜けない体では身動きする事はできなかった。

シュワワワ…

そうしている間にも力士達の体から湯気の様なものが吹き出し始め、

そしてそれは部屋一杯に満たされ、

力士達を覆い尽くす。

その中で…

グッ、ググッ!

「うっ、うあっ!」

「あっ、あぁっ!」

鎧の様に力士達の体を覆っていた荒々しい筋肉が少しずつ縮み始めると、

同時に体全体が縮んでいっている。

うずくまっていた岩の様な肉の塊が少しずつ小さく、

柔らかくなり、

まるで白玉団子の様な姿に変わってゆく。

特にそのでん部はまるで瑞々しい桃の様に形を変えて行った。

一方、廻しを外していた力士の体もゆっくりとしぼんでゆく。

鎧の様な筋肉も、

剛毛と言えるすね毛も、

そして棍棒の様に逞しくそそり立っていたペニスも体の中に消えてゆく。

それと入れ替わるように逞しかった胸板がゆっくりと膨らみながら垂れ落ち、

腹筋も柔らかくなり、

細くくびれてゆく。

「ああ…

 ああん…

 はぁーんっ!」

髷が外れ、

ザンバラ髪を振り回しながらゴツイ顔が小さくなってゆき、

いつの間にか力士達全員が甲高い声を上げていた。

その声と言い体と言い…

「お、女…?」

そう、力士達は全員女性の体に変化していた。

力士達は上気した肌と恍惚とした顔を湛えながらゆっくりと立ち上がる。

その姿はさながらサナギから蝶が羽化するかの様であった。

「ふう…今日はここまでね…」

「もっとやりたかったけどね…はぁ…」

「あ〜あ、

 ずっと”力士”のままでいてもいいな〜」

「何言ってるの。

 ずっと”力士”だったらこんな事できないわよ」

「きゃっ、胸つかまないでよ…感じやすくなってるんだから…」

「あぁ…わたし、女の子なのに

 男の廻しを締めてるなんて…たまんないわ…」

廻しが滑り落ちた者、

まだ廻しを締めたままの者とそれぞれだが、

全員僕の事が目に入っていないかの様に白い肌をさらし、

柔らかい乳房を揺らしながら談笑している。

中にはそのまま廻しの隙間に手を入れている者までいる。

「こ…これって…」

余りの展開に言葉をもつれさせながらたずねると、

それに対し、部長だった女性が近付いてきて笑顔を見せる。

「ふふっ、驚いている様ね…

 ま、無理もないわよね。

 さっきまで廻し一つでぶつかり合っていたゴツイ男どもに

 歓迎されイッちゃったと思ったら、

 その男どもがみんなこんなにかわいくてナイスボディな女の子に

 なっちゃったんだもの」

そう言ってグラビアみたいなポーズを取ると軽くウインクをする。

「わぁ…こうして見ると結構かわいいんだ〜」

別の力士がそう言って僕の体、

特にペニスを見つめている。

他の力士達に比べるとどこか幼さの残る姿をしているのが印象的だが…

キュッ!

「うっ!」

突然その力士が僕のペニスを掴んだ。

男だった時とは違う柔らかな感触が襲う。

シュッ!

その瞬間、僕はまた射精をしてしまった。

「キャッ、やだ〜」

「ふふっ、かわい〜」

「あんなに激しくやったばかりなのに、元気よね〜」

それを見ていた力士達は口々に歓声を上げ、

普通なら白い目で見そうな光景なのに、

まるで状況を楽しんでいるとしか思えない。

「…まったく、“力士”の裸を見てそうしちゃうなんて、

 ホントとんでもないモーホー野郎よね」

さっきの力士がそう言ってクスリと笑い、

ピンッと僕のペニスをはじく。

どうやら彼女はさっき僕に因縁を付けた力士らしい。

その様と周りのクスクス笑いに僕の顔はますます被虐心で一杯になる。

「はいはい、ちょっと静かにして!」

パンパンと部長が手を鳴らすと力士達は静かになる。

「本当は他の人達に気付かれる前に

 このまま片付けて解散だけど…

 せっかくホンモノの男子も入った事だし…」

「この子の“二次会”をしちゃおうーっ!」

部長の言葉をさっきの力士が先取りして言う。

それに対して他の力士達も歓声を上げる。

「うふふ…今度は女の子としてたっぷり相撲の稽古をつけてあげるわよ…」

「わたし達“相撲部屋部”の歓迎会、

 たっぷり楽しんでよね…」

部長を始め力士達がじりじりと詰め寄る。

恐れ慄きながらも僕のペニスはこれまで以上にピンと立っていた…



キーンコーン…

放課後を告げるチャイムが鳴り響く。

コソコソと新校舎にある美術部の部室に足を運ぼうとした時、

僕の両脇を誰かがはがいじめにする。

「おーい、どこ行くのかな〜」

「え、ち、ちょっと…」

「今日は“部屋”の日じゃない。

 みんな待ってるわよ」

例の幼い顔をした力士がにっこり笑顔を向ける。

「それに、あなたはもうあの感覚からは逃れなくなっているはずよ。

 あの体のぶつかり合い、そして汗と廻しの香りから…」

同時に現われた部長がそっと僕の耳にそうささやく。

ピクン!

それに合わせるように僕のペニスがズボンの中で動き出す。

「さぁ、稽古だ、

 新弟子、

 徹底的にしごいてやるぜ!」

ドンッ!

わざと男の口調でそう言いながら艶っぽい笑顔で微笑む部長に背中を叩かれ、

僕は“部屋”に向かう。

あの男の汗と廻しの匂いに満ちた“部屋”に。

そこで僕は絵を描く。

土俵と言うキャンバスに裸の男達がぶつかり合う絵を僕と

“彼ら”の全身と言う筆と絵の具を使って…



おわり



この作品はカギヤッコさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。