風祭文庫・アスリート変身の館






「白アシの香織」
(第19話:香織との再会)



原作・inspire(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-243





それは明日から冬休みになるという日のこと、

その日は水泳部の練習納めの日でもあり、

遅くまで練習で残っていた男子部員は和也と健士の2人だった。

そして短い冬の陽が没しようとした頃、

「今年一年どうもお疲れ」

更衣室に2人の声がこだまする。

「こっちこそ。

 なぁ、お前って家に帰らないのか?

 夏休みの練習ないときもずっとこっちにいたよな?」

一年間の労をねぎらう言葉を交わした後、

着替えながら健士は和也に尋ねると、

「あ…うん。

 でも、今日は僕が会わなきゃいけない人がいるんだ」

と和也はなぜか真剣な口調で答える。

「まぁいろいろあると思うけど、

 来年もまたよろしくな」

そんな和也に気押しされるようにして健士はそう言い残して

更衣室から出て行くと、

「うん、また会おうね」

彼を見送る和也も手を振りながら

(健士…かっこいい…)

と心の中で呟く、

そして1人更衣室に残った彼は

懐に入れている一枚の写真を取り出して目を通しす。

そこには、

女子用の白アシを着た二人の少女が写っていたのであった。



その夜−−−−−

あるアパートの一室で一人の美少女が喘ぎ声をあげていた。

彼女の名前は水上香織、

和也とは別の高校で女子水泳部のキャプテンをしている。

しかし、ここでの彼女は少し違っていた。

実は彼女は男子生徒の競泳パンツを履くのに至高の快感を感じており、

さらに新水泳部を作り上げては不思議な方法で男子を女子に、

女子を男子にしてはその部員にしてしまうのだった。

今日も彼女は男子用の白アシを穿き想い人のことを考えていたのだが、

−−−−−ピンポーン

突然響き渡ったチャイムの音が彼女を現実へと戻したのであった。

「誰?」

チャイムの音に訝しがりながらも、

香織は慌ててジャージを着てドアスコープを覗いた。

するとその先にいたのは和也だった。

「和…」

和也の姿を見て香織は驚きながらもドアをあけると、

和也は香織に対面するなり口を開き、

「…久しぶりね…お姉ちゃん。

 あたしのこと…覚えてる…」

と告げると、

その言葉に香織は少し驚いたように

「え…ええ…か…和葉…あなた…」

と呟いた。



−−−全ては香織が女子水泳部のキャプテンになった春から始まる。

想い人を失ってから香織は未だ立ち直れず、

しかもキャプテンという立場の責任は彼女に重くのしかかっていたのであった。

無論、香織も手をこまねいていたわけではない。

キャプテンとして出来うる限りの努力はしたものの、

しかし、いくら勧誘しても新入部員は少なく、

また相次いで中堅部員が退部していくため部自体の存続も危ぶまれていたのであった。

姉がそのような苦労をしている一方で

今年中学生になったばかりの和葉は鏡の前で入学祝いに買って貰った白アシを身につけると、

香織に向かって

「あ、お姉ちゃん。

 見て、この白アシ。

 あたし、これ着て水泳部に入るの。

 それでたくさん泳いで将来はオリンピックに出るのが夢なんだ」

と無邪気に喜んで見せたのであった。

しかし、妹のその態度に香織は怒りと嫉妬を覚えだが、

偶然彼女は今の部員不足を解決する方法を手に入れたのであった。

だが、彼女はその方法の効果に少し不安を抱えた。

(本当にこの方法を安易に試せるのか…)

期待と不安を抱えながら香織は家に帰ると、

飛び込んで来たのはやはり無邪気に自分の水着姿を見ている和葉だった。

「和葉っ、

 いつまで水着を着ているのっ」

そんな妹に向かってつい香織は怒鳴ってしまうと、

「何よ、お姉ちゃんっ、

 自分の部活が上手くいかないからってあたしに八つ当たりするのはやめてよ」

と和葉は口を尖らせてみせる。

「なにっ」

妹のその言葉を聞いた時、

香織の頭の中にある考えが過ぎり、

次の瞬間、彼女は和葉に一粒の錠剤を手渡していたのであった。

「なにこれ?」

「ねえ、和葉…その薬飲んでみない。

 この薬を飲めばすごく泳ぐのが上手になるの」

「へぇぇ、そうなんだ。

 お姉ちゃん、ありがとう」

姉のその言葉に和葉は何も疑いもせず、その錠剤を口にする。

その薬が性転換薬であるとも知らずに…

そして、和葉の体に異変が生じたのはその翌日からのことだった。

小食だった彼女の食欲が急に旺盛となり、

汗をよくかくようになりだした。

さらに変化はこれにとどまらず、

体の筋肉や骨格が音をたてて変化し始めると、

「なっ

 どうしちゃったのあたし…

 や…だ、

 やだやだやだぁ」

滴る汗をポタポタと垂らしながら和葉は困惑するが、

だが、和葉の変化は止まるどころかさらに勢いを増して進んで行く。

そして、ついに…

ムリッ!

ビクビクビク!!!!

股間の裂け目から成長していた肉塊が大きく成長してしまうと

赤黒いペニスとなって股間から起立してしまったのであった。



錠剤を飲んで一週間後。

香織と対峙する和葉は変声期を思わせる少年の声で

「ちょっとお姉ちゃん!

 これはどういうことなの?」

と怒鳴るが、

だがそのときの彼女の背は大きく伸び、

厚くなりつつある胸板は前に突き出し、

腹筋は綺麗に6つに割れると、

股間からはやや大きなペニスがのびていたのであった。

しかし、香織は男の臭いをまき散らしながら迫る和葉の姿に身動ぎもせずに

「あたしが苦労をしている横で無邪気に水着なんか着てみせる子は

 いっそ男になってしまえば良いのよ!

 それに、こうでもしないと…あたし…水泳部のキャプテンなんかできないわ」

と言うと、

「それって…

 どういう事?」

と和葉は香織の言葉の意味を聞き返す。

そして、そんな和葉に向かって香織は彼女を実験台にしたことを認めると、

「ひどい…

 そんなことであたしを…男にしたの?」

とショックを受けながら和葉は尋ねるが、

「ふんっ、

 すべては和葉が悪いんだからね」

和葉に向かって香織はそう言い返し、

「和葉…

 あなたはこれから和也と名を変えて貰うわ、

 そして、ここから遠くくある全寮制の高校に編入して貰うわ。

 うふっ大丈夫よ、

 その学校はスポーツ特待生と言うのをやっていてね、

 頭の中の出来までは問わないわ。

 和葉…うぅん、和也なら十分にやっていけるわ」

と一方的に香織は和葉をその学校へと追いやってしまい、

一方の効果を確かめることが出来た性転換薬で

香織は弱みのある生徒に使わせては新水泳部の部員に引き込み、

表向きは女子水泳部キャプテン、

裏では新水泳部キャプテンという二つのキャラを確立させていく。



−−−−今になって突然和葉が訪れるなんて

…そう思いながら和也を玄関から向かえ入れると

「ベッド…行こう」

と和也は香織に言う。

「え?」

この言葉にすこし戸惑いながらも、

香織は和也をベッドに案内する。

「服…脱いだほうがいい…?」

和也を横目で見ながら香織がそう尋ねると、

「ええ…」

和也はそう返事する。

「判ったわ」

和也の返事を聞いた香織は着ていたジャージを脱ぐと、

さっきまではいていた男子用の白アシ1枚になる。

「!!っ

 お姉ちゃん…それは…」

思いがけない姉の姿に和也は少し息を呑むと、

「ええ…これがあのとき、

 いえ…それ以前からのあたしの本当の姿…」

と香織は少し儚げな表情を浮かべて見せる。

すると、和也もおもむろに服を脱ぎ出し、

以前よりも張り出してきた胸板と腹筋、

それに必要な筋肉は十分についた四肢が露わとなる。

そして、その股間には黒地に青と黄色の切り替えがある競泳パンツがしっかりと包み、

前面の「speedo」の文字が十分に膨らんで見せていたのであった。

「和葉…そのパンツ…」

「本当は白アシがよかったけど…

 学校の水泳部の指定のパンツなの…」

驚く香織に向かって和葉は少し残念そうな顔を浮かべて見せる。

「いえ…たまには白アシ以外のパンツもいいわ…

 それに、白アシ以外にも黒字で青い模様のspeedoは

 有名な選手がよく穿いているのを見かけるわ…」

「そう…ありがとう…」

香織のその言葉を聞いた和也…いや、和葉は微笑んでみせると二人はベッドに横になった。

そしてベッドに横になると、

二人は抱き合った状態になり、

香織は和也に男になってからの事を聞いた…

すると、

「今の学校に編入してから…

 あたしはずっと自分は男なんだって思うようにしてきたわ…

 実際、まわりの生徒たちもみんな

 あたしのこと男だと信じて疑わないし…」

と和葉は頬を赤らめながら呟く、

「何かうまくいっていないことでもあるの?」

「いや…みんなには『イケメン』って呼ばれて、

 女の子にだってすごくもてるし、

 1年生でエースに抜擢されちゃった…

 だから…あのまま女の子でいたときよりも充実していたかもしれない…でも…」

香織の問いかけに和葉は不安そうな声で話を続けようとした。

しかし、そんな不安をよそに…

「ねえ…あなたのペニス…あたしの中に入れてみない…

 もちろん避妊薬は飲むけど…」

と香織は誘って見せると、

「…え…」

和葉はすこし戸惑いの表情を見せるが、

ふと股間を見ると、

ビクンッ!

競泳パンツの膨らみが大きくなっていたのであった。

「…ええ…いいわ…」

香織に向かって和葉はそう呟き、

二人はそれぞれのパンツを少し下げると、

避妊薬を飲んだ香織はベッドの上に仰向けとなり、

その上から和葉は激しく腰を動かしていた。

「ああん…ああん…ス…スゴイ…」

「…すごい…どんどん引き締まっていくわ…」

お互いに相手のすごさを改めて感じ、

そして、

「ああん…イク…」

「ああん…こっちも出そう…」

ドピュ!!

香織が絶頂に達するのと同時に大量の精液が発射されていたのであった。

その後、和葉のペニス自体はまだ果てることはなく、

何度もセックス、フェラチオを朝まで繰り返していた。

そして翌朝、

「ねえ、和葉…

 あなたはやっぱりこのまま男の子としてしか生きちゃいけない。

 だって、こんなにすばらしい男のものもってるのよ…」

香織は和葉の耳元で囁いてみせると。

すると、

「…私ね、実は男の子のことが好きになっちゃったんだ…。

 同じ水泳部でよく練習してるんだけど…

 でも、お姉ちゃんに会って…

 あたし、やっぱり女の子には戻れないって…

 じゃあ、あたしを男の子にしたあの薬…少し分けてほしいんだ…」

香織は再び大きく膨らんだ和葉の競泳パンツを見ると

「…仕方ないわね…」

と言いながらあの錠剤を取り出すと、

「女の子にするのはその彼一人なの?」

と尋ねたのであった。

(さすがは私の妹ね…

 さて、そういうあたしもそろそろ後継者を見つけておかないと…)



つづく



この作品はinspireさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。