風祭文庫・アスリート変身の館






「痩せ薬」



原作・nao(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-293





木下幸恵(16)は高校1年生ながら身長168pの長身であり、

さらに出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるメリハリが効いたスレンダーな体型。

そして、某グラビアアイドルを彷彿させる面持ちの3点セットが自慢であった。

無論、それらを維持するために幸恵は日々涙ぐましい努力を行っているのだが、

しかし、学園でNo1と噂されるイケメンを巡る熱くて激しい恋のバトルに惜しくも敗戦。

その失恋によるショックを紛らわすために過食に走った結果、

なんと幸恵の体重は10s近く増えてしまったのである。



10sの体重増。

中高年では額に冷や汗を流しつつ笑ってごまかす重量であるが、

しかし、年頃の乙女にとって死活問題である。

それ故、過ちに気づいた幸恵は精力的にダイエットを試みるももの、

失恋の影響が未だ残っているのか挫折を繰り返してばかりいた。

そんなとある日曜日。

幸恵は友人である津田紀子の家に遊びに行くと、

彼女の目の前に神戸の老舗洋菓子店が誇るイチゴのショートケーキが出された。

「あっありがとう、

 でも、遠慮するわ」

出されたケーキを一目見るだけで、

幸恵は手を着けようとはしなかったが、

「あら、食べないの?」

不思議に思いながら紀子はその理由を尋ねると、

「紀子は良いわよ。

 そんなに食べても太らないから」

と幸恵は少し拗ねたような返事をしてみせる。

「あらっ

 私は食べた分だけちゃんと運動しているから太らないだけよ」

幸恵の態度から本当の理由を悟った紀子はそう返すと、

「はぁ…楽して痩せられる方法があったらな」

と幸恵は愚痴をこぼして見せる。

「あはは、そんなのある訳ないでしょ」

「判っているわよっ、

 ちょっと言ってみただけよ」

そんなやり取りの後、幸恵は自宅へと帰るが、

その途中、

「萬扱い・黒蛇堂」

と書かれた看板が掛かる古風な煉瓦造りの建物を見つけると、

「黒蛇堂?

 変わった名前ね」

訝しがりながらも幸恵は惹かれるようにして店へと入って行った。

店の中では自分と年齢が大して変わらない少年が一人で商品の整理をしていて、

「アルバイトかな?

 あのぅ」

彼に向かって幸恵は声を掛けると、

「いらっしゃいませ」

少年は元気よく返事をして見せる。

「あら?

 あなた一人なの?

 店長さんはいないの?」

グルリと店内を見渡しながら幸恵が尋ねると、

「あっ」

少年は何かに気づく素振りを見せた後、

「はっはい、僕がその店長です」

と胸を張って見せる。

「ちょっとあたし好みかな…

 ねぇここは何のお店?」

少年の顔立ちを見つめながら幸恵は尋ねると、

「どんなものでも扱っています。

 お客様は体型の事でお悩みがあるようですね?」

と少年は赤い瞳で見据えながら指摘してきた。

「あら、はっきり言ってくれるわね」

「それならこの痩身胆を飲めば理想の体型も夢ではありません」

「本当に効果があるの?」

「はい、あまりの効果にお客様も満足していただけますよ」

「ふぅーん」

目の前に出された小瓶に一抹の胡散臭さを感じたものの、

「判ったわ、じゃぁそれもらえる?

 幾らかしら?」

何としても痩せたいと思っている幸恵は痩身胆の購入を申し出る。

すると、

「いいえ、お代は頂きません。

 貴方の願いが満たされれば、それで結構で御座います」

改まった口調で少年は言う。

「あら、そうなの?

 じゃぁ遠慮なく貰っていくわね。

 後でお金を請求しに来ても払わないわよ」

念を押して幸恵は小瓶を手に取ると、

「お客様、痩身胆を使用する際に一つだけ注意があります。

 痩身胆は効果が強いので1日1錠しか飲んではいけません」

と少年は注意事項を告げた。

「判ったわ」

そう返事をして家に帰ると幸恵は、

「1日1錠って言っていたけど、

 面倒だわ、一気に3錠飲んじゃおう」

と呟きながら小瓶から3錠もの痩身胆を取り出し一気にそれを飲んで見せる。

そして飲んだ後、

ソファに座りながら雑誌を捲るとあるページが目にとまった。

「へぇボクササイズか、おもしろそうね」

ボクシングのトレーニングを応用したダイエット法であるボクササイズに興味を持った幸恵は

早速ボクササイズを始める事にし、

食事にも注意するようになった。

そして、少しでも効果を出したいために痩身胆を1度に5、6錠飲むようになると、

幸恵は体中から滝のような汗を吹き出しながらボクササイズを続けたのであった。



幸恵が痩身胆を飲み始めてから1週間程経った日曜日。

紀子が幸恵の自宅に遊びに来ると、

ランニングシャツにトレパン姿の幸恵は自室で黙々とボクササイズに励んでいた。

「随分はりきっているみたいね」

「あぁ紀子!」

「やだ、あたしが来たのいま気づいたの?」

「うっうん」

「結構ハマっているみたいね」

「うん、ボクササイズって意外におもしろくて(ゴホゴホ)」

「どうしたの?

 風邪?」

「うっうん、最近喉の調子がおかしくて」

紀子の問いに幸恵が喉を押さえると、

「根を詰めるのは良いけど、

 でもあまり無理しない方が良いわよ」

と幸恵の体調を心配してみせる。

「そうだね」

「それにしても幸恵にはボクサーの素質があると思うな…

 この腕なんて筋肉パンパンじゃない」

「え?

 そぉ?」

「あら気づいてなかったの?

 幸恵がやっているのはボクササイズっていうより、

 正真正銘のボクシングの練習になっているわよ。

 うわっ、腹筋も固くなっているし、

 胸だって…あら、こっちも筋肉パンパンになっている。

 やだぁ、幸恵ったらマジで女子ボクサーになる気?」

「うーん、そんなつもりは…」

「そうだ、いっそあたしのお父さんにコーチして貰えるように頼んでみようか」

「え?」

「だって、あたしのお父さんってボクシングジムをやっているんだもん。

 幸恵のその体を見れば、きっと女子ボクサーにしてくれるわよ」

筋肉質に変貌している幸恵の肉体を確かめながら紀子は勧めるものの

その時の幸恵は返答を躊躇していた。

しかし、それから数日後、

突然幸恵は学校を休むようになり、

心配になった紀子が幸恵の自宅に向かうと、

ハァハァ

ハァハァ

幸恵の部屋から怪しげな息づかいの声が聞こえ、

「?」

不審に思った紀子がそっと部屋のドアを開けて覗いて見ると、

シュッシュッ

シュッシュッ

なんと、ボクササイズのトレーニング器具に体を預けた姿で

股間から伸びる棒を扱く筋肉質のシルエットが目に飛び込んできたのである。

「うそっ、

 まっまさか幸恵なの?」

それを見た紀子は慌てて部屋の中に飛び込み、

「あなた幸恵なの?」

とシルエットに向かって問い尋ねた。

「の、紀子?」

突然、部屋に響いた紀子の声にシルエットは驚き、

と同時にそれに応えるようにして野太い声が響き渡る。

「なに…

 それ?」

露わになっている股間から突きだしている肉棒を指さして紀子は尋ねると、

「うっ」

その肉棒を扱いていた幸恵は一瞬声を詰まらせた後、

「おっオチンチンよ」

小さく返事をして見せる。

そして、改めて股間を手で隠しつつ、

「あっあたし…

 男の子になっちゃった…」

呟くようにして恥ずかしがってみせる。

すると、

「ふぅ」

紀子は大きく息を吐き、

「ふふっ」

微かに微笑んでみせると、

幸恵を尻目に紀子は制服を脱ぎ出した。

「のっ紀子っ!?」

思いがけない友人の行為に幸恵は驚くが、

「うふっ厚い胸板。

 くっきりと割れた腹筋。

 そして、大きなオチンチン。

 あの幸恵がこんなに逞しい男になってしまっただなんて」

と言いつつ紀子は全裸になり、

戸惑う幸恵の前に立つと、

「いまの幸恵はあたしの理想の男…」

と囁きながら幸恵の手を取り、

導くようにしてベッドの端に座らせる。

「紀子…何をするの?」

股間を両手で押さえながら怯えたような口調で幸恵は問い尋ねるが、

そんな幸恵に構わず紀子は手を払いのけて幸恵のペニスに手を触れると、

それを扱き始める。

「あっうっ」

その瞬間、幸恵の体はビクンッと震え、

体を大きく仰け反らせると肉棒から響いてくる快感の波に耐える姿勢を取る。

「気持ち良い?

 もし良かったら…私と付き合って欲しいの」

「でも、紀子には彼氏がいるでしょ?」

「英也の事?

 軟弱だしスグに浮気をするから別れたわ」

「そっそうなの」

「それに比べて幸恵はあたしの理想。

 このまま男になってしまいなさいよ。

 悪いようにはしないわ」

そう囁きながら紀子は扱く勢いを強めると、

「あっあっあっ

 あぁぁぁぁ!!!」

の声と共に幸恵の肉棒の先端より白濁した精が噴き出したのであった。

その後、幸恵は幸和と改名し、

学業の傍ら紀子の父が経営するボクシングジムに通うようになったが、

しかし幸和は紀子のお気に入りである為か、

他の練習生とは隔離された存在になっていた。



「シャワーを浴びるついでにやらないか?」

「もぅ父さんが留守だからって調子に乗らないの」

「たまには良いじゃないか」

「しょうがないわね、私も汗かいたから良いわよ」

練習を終えた幸和が紀子を誘うと、

二人並んでシャワールームへと向かっていく。

そして、脱衣所で幸和はシャツとボクサーパンツを脱ぐと、

ビクンッ

彼の股間から赤黒く勃起したペニスが露となった。

「また大きくなったわね」

「痩身胆を飲まなくなってからは背は伸びなくなったけど」

「違うわよ」

「こっちの事か、どうだ皮も剥けているだろう」

「うふふっ

 可愛い」

チュバッ



おわり



この作品はnaoさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。