風祭文庫・アスリート変身の館






「白昼夢」


作・風祭玲

Vol.657





白熱するアメリカンフットボールの優勝決定戦。

そのさなかに事故は起きた。

敵味方入り交じってのボールの奪い合いがもつれ、

厳ついプロテクターを身につけた選手達がフィールドの中央部で

折り重なるように倒れ込んでしまったのであった。

無論、このようなことはアメフトの試合では特に珍しいことではないのだが、

しかし、

「おい!!

 大丈夫か!!」

安否を気遣う声が集団の中から響くと、

その声と同時に折り重なっている選手達が

一人また一人と散り始め、

最後に一人の選手が苦痛に顔をゆがませながら倒れている様子が飛び込んできた。

その途端、

「水島っ

 しっかりしろ」

倒れている選手と同じデザインのユニフォームを身につけた選手達が集まり、

程なくしてドクターがフィールドに飛び出してくると

彼の容態を診察し始めた。

「コレは折れているかも…な」

縺れたときに強打したのか、

選手の右手はまるでフットボールの如く腫れ上がり、

ドクターは直ぐに患部を冷やすと、

「医務室へ!」

指示を出した。



「ねぇ、ちょっと、

 これって、
 
 ヤバいんじゃない」

一方、観客席でこの試合を応援していたチアガール達も、

予想外の事態に皆動揺していた。

「うんっ

 マジでヤバいかもね」

「倒れたのって水島くんでしょう?」

「そ、そうみたい」

「でもさでもさ

 うちのアメフト部でQB満足にこなせるのって、

 彼だけなんでしょう?」

「うん、そうよ」

「じゃぁさ、

 これからどうなるの?」

「これじゃぁ…

 負けちゃうかも…」

「そんなぁ」

手にしたボンボンを口に寄せながら、

チアの少女達が困惑した声を上げていると、

「あの…」

同じチアのユニフォームを着た一人の少女が手を挙げた。

「なに?」

その声にチア部キャプテンの佐伯亜紀が返事をすると、

「なんか、試合が止まっているみたいなので、

 この間にトイレ行ってきて良いですか?」

くくり上げられたポニーテール、

なで肩の狭い肩、

引き締まったウェスト、

そして、横に張り出した腰と

その腰を覆う短くプリーツのスカートを揺らせながら

チアリーディング部の水島由美が許可を求めた。

「あのね」

「いま試合中なのよ」

その声に他の部員達が怒ると、

「いいわっ

 行ってらっしゃい…」

亜紀は額に手を乗せ、

由美の願いを許可する。

「ありがとうございます」

ピョコンとポニーテールの髪を揺らし、

由美はボンボンをその場に置くと、

脱兎の如く走って行った。

「キャプテーン」

そんな由美の後ろ姿を見送りながら他の部員達が、

亜紀について詰め寄ると、

「…ここで漏らされるより、マシでしょう?」

と亜紀は由美の前科を指摘した。



『そんなところで何をしているだ?』

その観客席の隅、

人気のあまりないところで立つ

白いドレスを思わせる衣装を身に纏った14・5歳くらいの少女に向かって

黒スーツ姿の男が声を掛けた。

『え?

 うん…

 人間界のスポーツと言うもののお勉強…』

と長く伸びた白い髪に青い目を輝かせながら少女は返事をし、

『そう言うお前こそ、

 こんなところで何をして居るんだ?』

と聞き返した。

『ふん、

 別に遊んでいるわけではない。

 仕事だ仕事』

長い顎をしゃくり上げながら

男は7・3に分けた髪を梳きつつ返事をすると、

”黒蛇堂製薬”と書かれた鞄を少女に見せる。

『ふんっ、薬売っているのか…

 で、売り上げはあるのか?』

鞄を見ながら少女は尋ねると、

『それは、企業秘密…』

と男は含み笑いをする。

『ふんっ、

 アイツと言い、

 コイツと言い、

 どいつも商売ばかりご熱心で』

男を見ながら少女は嫌みたっぷりにそう言うと、

シャラン…

長く伸びた髪を飾る髪飾りを鳴らしながら歩き始めた。

『何処へ行く?』

それを見た男が尋ねると、

『え?

 ふふっ

 さぁ、何をしようかしらね…』

含み笑いをしながら少女はそう返事をすると、

フッ

男の前から姿を消した。



「ふぅ…

 なんか緊張すると、トイレが近くって…」

手を拭きながら由美が女子トイレから出てくると、

「水島さん…」

と彼女の名を呼ぶ声が背後から響く。

「え?」

突然響いた声に由美は驚きながら振り返ると、

彼女の後ろにはチア部のキャプテンの佐伯亜紀が立っていた。

「キャプテン!

 どうしたんですか?

 あっもしかしてトイレですか?

 いまは空いてますよ」

亜紀を見ながら由美はそう言うと、

「…ちょっと付き合って欲しいの

 大事なお話があります」

と亜紀は由美に告げ、

廊下を歩き始めた。

「はい?

 なんですか?」

彼女の言葉に由美は付いていくと、

やがて、二人の前に男子更衣室が姿を見せる。

「あの、キャプテン…

 大事な話って何ですか?

 ここって、

 男子更衣室の前ですよね」

チアのユニフォームを庇うように由美が呟くと、

ガチャッ

亜紀はその男子更衣室のドアを開け、

「入って…」

と一言告げ、

先に更衣室へと入って行く。

「きっキャプテン…

 良いんですか?
 
 勝手に入って…
 
 怒られませんか?」

思いがけない亜紀の行動に由美は驚くと、

「なにをしているの?」

と中から亜紀の声が響いた。

「はぁ…」

その声に由美は戸惑いながら更衣室に入っていくと、

ツーン…

「臭い…

 うわぁぁ、
 
 これが男子更衣室なんだ」

更衣室内に無造作に置かれたショルダー等から立ち上る

酸味をおびた汗の臭いの中を由美は鼻をつまみながら歩いていくと、

先を行く亜紀はあるところで立ち止まっていた。

「キャプテン?」

その姿に由美が慌てて駆け寄っていくと、

「水島さん…

 あなたに頼みがあります」

と亜紀は振り返らずに由美に告げる。

「あたしに…

 ですか?」

亜紀からのその言葉に由美は驚くいて見せると、

亜紀は大きく頷き、

そして、

「水島健太郎」

とネームが入ったバッグを見るなり、

「水島君…

 あなたの姿と形、借りるわね」

と言いながら手を伸ばし、

ギュッ

棚に置かれていいるバッグを取り出した。

ゴト

ケガをした水島が着ていたプロテクターが入っているらしく、

バッグは重く、床に置くのと同時に重い音を響かせる。

「キャプテン?

 なにを…」

それを見た由美が理由を尋ねるが、

チーッ

亜紀はそれに答えずバックのファスナーを開くと、

中より汗が染みこんだアンダーシャツを取り出し、

そして振り返りながら、

「水島さん、

 それを脱いで、

 これに着替えなさい」

と指示をしたのであった。

「えぇ!?」

亜紀からの予想外の指示に由美は驚くと、

「急いで、

 時間がないの」

と亜紀は言う。

「急いでって…

 それ、男の人の…

 しかも、誰かが着たものじゃないですか、

 なんで、あたしが着ないと行けないんです?」

由美はそう理由を尋ねると、

「水島さん、

 あなたがケガをした水島君の代わりに出場するのよ」

と亜紀は言うが、

「え?

 えぇっ

 水島君の代わりって…

 まさか、キャプテン…

 あたしにアメフトをしろと言うのですか?」

亜紀の言葉に由美は目を丸くしながら食って掛かる。

「仕方がないわね」

渋る由美の姿を見て亜紀はある決断をすると、

キッ!

っとまくし立てる由美を見つめた。

すると、

「え?

 あれ…
 
 かっ身体が…
 
 あっあ…」

急に由美の口調が重くなり、

そして、うつろな目で亜紀を見る様になってしまうと、

「水島さん、

 これ、
 
 着てくれますよね」

と亜紀は念を押しながらアンダーシャツを差し出すと、

「は・い」

あれほど拒絶していた由美の口から同意する返事が漏れ、

そして、亜紀からシャツを受け取ると、

由美は自分がいま着ているチアの上着を脱ぎ捨て、

さらに下着をも取ってしまうと

渡されたアンダーシャツに袖を通してみせる。

「うん、

 そうよ」

その姿を見ながら亜紀は満足そうに褒めると、

「じゃぁ、

 コレを履いて」

そう言いながら、

亜紀はバッグの中から黄ばんだサポーターと

砂で汚れているフットボールパンツを差し出して見せる。

すると、

「は・い」

その返事と共に由美は機械的に返事をし、

スカートを脱ぎ捨て下着を取ると

サポーター、そしてフットボールパンツと順に脚を通してみせる。

「そうそう…」

その様子に亜紀は笑みを見せ、

さらにショルダーと背番号入りのフットボールジャージを差し出すと、

まるで操られているかのように由美はそれらを次々と身につけ、

最後にヘルメットを手渡すと、

カチャッ

亜紀の目の前にはぶかぶかのユニフォーム姿のアメフト選手が立っていたのであった。

「うふっ

 まぁまぁかなぁ…」

由美が化けたアメフト選手を見ながら亜紀は小さく笑うと、

「さぁ、

 こちらにいらっしゃい、
 
 あなたにアメフト選手としての闘志と、
 
 そして、それに相応しい肉体を授けます」

と告げると、

「は・い」

ヘルメットの中で由美の口が小さく動き、

カチャ

カチャ

スパイクの音を鳴らしながら、

亜紀の目の前に立った。

「そう、

 それでいいのよ、

 さぁ、お前に熱くたぎる男の血を注いであげます。

 そのままジッとしているのよ」

相変わらず光を失った目で自分を見つめる由美に亜紀はそう呟くと、

そっと、由美の首筋に口を這わせ軽く噛み付いた。

「うっ」

その瞬間、由美の表情が微かに動くが、

しかし、亜紀に抵抗はせずに言われたまま立ち、

その姿を横目に見ながら、

ジュッ…

亜紀は口より由美の体内へ注ぎ込み始めると、

いま穿いたばかりのフットボールパンツを引き下ろし、

そのままサポータの中へと手を入れクニクニと動かし始めた。

「うっ

 んくっ」

しばらくして由美の口から喘ぐような声が漏れ始めてくると、

ピクッ

ピクピク…

動きを止めていた身体が微かに動き始めた。

ジュッ……

由美のその反応を確かめながら亜紀はさらに注ぎ込むと、

「うっ

 あぁっ
 
 あんっ
 
 あぁぁん!!!」

次第に由美の声は大きくなり、

身体の動きと共に腰の振りも大きくなってきた。

「あぁん

 あぁん」

アメフトのヘルメットが艶めかしく動かし、

その中で由美が喘ぎ声を上げていると、

ムクッ

ムクムク!!

彼女の華奢な身体が膨れ始め、

ダブダブだったユニフォームの弛みが次第に少なくなってきた。

また、それと共に由美の身長も大きくなり、

彼女の首筋に取り付く亜紀の身体も次第に上へと持ち上げられていく。

「あぁん

 あぁん」

グッググググ…

ムクムク

ムクムク

喘ぎ声と共に由美の筋肉が盛り上がっていくと、

クニクニ

クニクニ

ニクッ

ムクッ

亜紀が手を入れている股間に変化が起き、

彼女の手を押しのけるように赤黒い肉の塊が姿を見せ、

次第にその大きさを膨らませてくると、

亜紀の手を押し退け始めた。

「(うふっ

  いいわっ

  その調子…

  そのユニフォームに似合う、

  大きなオチンチンを生やしてあげる)」

ツン!

と来る汗の臭いをまき散らしながら変身してゆく由美の姿を見て

亜紀は笑みを浮かべると、

さらに吹き込み、

「あぁぁぁ

 うっうぅぅぅ
 
 うぐぐぐぐ…」

次第に由美の喉元が膨らんでいくと、

その喘ぎ声も次第に野太いものへと変化し、

さらに、

「うぉっ

 うぉっ
 
 うぉぉぉぉっ」

上げる声も雄叫びへと変わってくる。

そして、

ビンッ!

雄叫びを上げだした由美の股間では亜紀の手を完全に押し退けて、

丸い肉球を頭に持つ肉棒が固く聳え立ち、

プロテクターの中の身体も筋骨隆々とした姿へと変化していたのであった。

「さぁ、

 あと少し、
 
 男の精を噴き上げるのよ、由美…」

そう念じながら

シュッシュッ

シュッシュッ

亜紀は由美の股間より突きだした肉棒を扱きはじめると、

「あぁ…

 うぅぅっ」

瞬く間に由美の口から喘ぎ声が漏れ始め、

腰をガクガクと降り始めた。

「さぁ、

 出したいのでしょう、
 
 出しなさい。

 出すのです。

 お前はアメフト部の男として精を出しなさい」

そんな由美に向かって命じながら激しく亜紀はさらに肉棒を扱くと、

「うぉっ

 うおっ
 
 うぉぉぉぉぉっ!!」

あごひげを生やした由美は雄叫びを上げ、

そして身体を大きく震わせた途端、

ビュッ!

ビュビュッ!!

由美は股間から突き上げていた肉棒より

白濁した粘液をまるで小便をするかのように噴き上げてしまい、

周囲に生臭い匂いを振りまいてみせる。

「ふふっ

 そうよ、

 水島さん…

 あなたは立派なアメフト部の選手…

 さぁ、お行きなさい。

 そして、

 敵をなぎ倒していくのですよ」

フットボールパンツを引き上げながら亜紀はそう囁くと、

ポン!

ショルダーで盛り上がっている由美の肩を叩いてみせる。



「水島が出てきた?」

「大丈夫なのか」

再び姿を見せた選手sの姿にフィールド内の選手達が驚くと、

タッタッタッ

「すみません」

さっき倒れた選手と同じユニフォームの選手が駆け寄り、

頭を下げた。

「ケガは大丈夫なのか?」

「はいっ

 大丈夫です」

「腕、折れてたんじゃないのか」

「いえ、大したことはないです」

「本当か?」

「大丈夫ですって」

ヘルメットを取らずに選手はそう返事をすると、

ピピーッ!

ホイッスルが鳴り響き、

試合が再開された。

試合再開後、即座に復帰した選手・水島が相手チームに猛攻をかけ、

さっきのお礼とばかりに飛びかかってくる厳つい選手達を次々と弾き飛ばし、

たちまち追加点を入れてしまう。

「すげー…」

「どうしたんだ、水島のヤツ…」

まさに戦うために舞い戻ってきたかのようなその姿に、

見方チームの選手達は驚き、

そして、意気が上がりはじめる。

「よしっ

 水島が入れた点を守るんだ」

「おーっ!」

阻む敵に全身で体当たりをしながら突進していく水島を援護すべく、

味方選手達は相手チームを押し返した。

こうして、

男と男、汗まみれ、砂まみれの白熱した戦いが

フィールドで繰り広げられる。

そして、その中心には常に水島の姿があり、

そのプロテクターに守られた姿はチームの守護神であるかのようだった。



ピピーッ!

試合終了のホィッスルが鳴り響いたとき、

離されていた点差は逆転し、

ついに水島達のチームは勝利をおさめた。

「やったぁ!」

戦いに勝ち、

その勝利にチーム全員が湧く中、

最大の功労者である水島は一人離れると、

ロッカールームへと向かっていく。

やがて、

汗と砂にまみれになったユニフォーム・ショルダー姿の由美の前に、

再び亜紀が姿を見せると、

「うふっ

 とっても良い試合でしたよ、由美…」

と囁き、

「さぁ、

 試合中にあなたが集めた男達の熱い血潮をあたしに頂戴」

と言いながらチアのスカートを捲ってみせる。

すると、愛液を滴らせる亜紀の性器が姿を見せ、

由美を挑発するかのように匂いを漂わせた。

「うっ

 うぅぅ…」

それを見せられた途端、

由美の口から声が漏れ、

ムクムクムクムク!!!

股間からはフットボールパンツを破いてしまうかのようにテントが盛り上がる。

「うふっ

 さぁいらっしゃい…
 
 そして、あたしにあなたのオチンチンを入れて…」

と亜紀が囁くと、

「うぉぉぉぉ!!」

由美は雄叫びを上げ、

穿いていたフットボールパンツを引き裂き、

野獣の如く亜紀に襲いかかった。

「あはっ

 そうよっ
 
 その意気よ、由美…」

ハァハァ!

由美が吐く熱い息を感じながら、

亜紀は股を開きまもなくやってくる熱き肉棒を待ち受ける。

と同時に、

ヌプッ!

その性器に由美の肉棒が挿入されると、

ギュッ!

亜紀は素早く膣を締めた。

「うごぉっ!」

プロクターを取らず、

またヘルメットも取らない姿で由美は雄叫びを上げると、

ありったけの力を使って肉棒を引き出ては押し込み、

思いっきり腰を振ってみせる。

「あぁっ

 いいよ、
 
 いいよ、
 
 その意気よ」

パンパンパン

激しく打ち付けられる肉棒の動きに亜紀は身を捩らせると、

由美から注ぎ込まれるエネルギーを受け止める。

「あぁ…

 いいよ
 
 いいよ、
 
 これが、男の生きる力…
 
 あぁ、あたしをもっと燃え上がらせて」

目から青い輝きを放ちながら亜紀は叫ぶと、

「うぉぉぉぉ!!」

亜紀を突く由美が遠吠えを上げ、

狂ったように腰を振り始めた。

そして、

シュワァァァ…

一心不乱に亜紀を突く由美の体から蒸気のようなものがわき上がり始めると、

まるで吸い込まれるようにして全て亜紀の中へと取り込まれていく。

「あぁそうよ、

 もっと
 
 もっと、
 
 あなたが持っているもの…
 
 私が渡したものを含めて全部頂戴!!」

壁に爪を立てながら亜紀が叫ぶのと同時に、

「うぉっ

 うぐぉ
 
 うぐぁぁ!!」

雄叫びを上げながら由美が細かく腰をふるわせ、

そして、

ビュッ!!!

亜紀の体内奥深くに精を放ったのであった。



ジュワァァァァァ…

濛々と湯気を噴き上げ、

グッタリとうなだれる由美を見下ろしながら亜紀は立ち上がると、

「ふふっ

 あなたが集めた精…
 
 とっても若々しくて、
 
 青臭くって…
 
 そして、美味しかったわ…」

と目を青く輝かせながら囁き、

そして、

フワッ!

一瞬、黒い陰が辺りを覆い尽くすと、

パサッ…

白く長い髪に、

白いドレスを身に纏った少女へと変身した。

『ふふっ、

 やっぱりコレが一番ね、
 
 どこかの誰かみたいに店番をしているのとは大違い…』

髪を梳きながら少女はそう呟くと、

『さぁて、

 今度は何処に行こうかしら…』

と青い瞳を輝かせ、

フッ

その姿を消した。

程なくして、

ザリッ…

『ふっ

 まったく…

 奪うだけ奪ってか…

 どこかの誰さんとはその辺が大きく違うか』

廊下の陰より髪を7・3に分けたあの男が姿を見せると、

廊下に蹲ったまま動かくなっている

アメフトのユニフォームとショルダーの固まりを見下ろしながら呟き、

『ここはもはや無用だな…

 どれ、一度ショールームに立ち寄ってから戻るとするか』

そう言い残し姿を消す。



「うっううん?」

それから30分ほどして、

ショルダーの中から少女の声がすると、

ガチャ?

「あっあれ、

 あたし何をしていたんだろう?
 
 それに、これって?
 
 え?
 
 うわっクサイ!!
 
 なによこれぇ!!
 
 なんで、あたしがアメフトのユニフォームを着ているわけ?
 
 いやだ、
 
 クサイ
 
 クサイ」

と叫びながら由美が起きあがり、

そして、慌ててユニフォーム・ショルダーを脱ぎ捨てるが、

「うわぁぁぁん、

 着替えがなぁい!!

 あたしのユニフォームは何処に行ったの?」

と裸のまま叫び声を上げていたのであった。



おわり