風祭文庫・アスリート変身の館






「練習場の秘密」



原作・風祭玲

Vol.897





「お疲れ様でーす」

「お疲れ様ぁ」

今日の練習が終わった新体操部部室に少女達の声が響き合い、

自分のロッカーからタオルと着替えを持ち出しシャワー室へと向かっていく少女、

シャワー室から戻りジャージ姿から制服に着替える少女、

それらの少女達が入り混じり、

そして三々五々部室から消えていく、

やがて、響き渡っていた彼女らの声が聞こえなくなり、

室内に大勢居た部員の姿もほぼ消えた頃、

ガチャッ

閉じられていたドアが開くと

「ふぅ…」

レオタード姿の少女が一人部室に入ってくる。

「はぁ…

 後片付けも大変」

シニョンに纏め上げた髪の下から流れ落ちる汗を腕で拭い

ため息混じりに少女はそう呟くと、

自分のロッカーへと向かっていく、



カチャッ

ロッカーのドアが開く音が辺りにこだまさせながら、

少女は開けられたロッカーより大き目のタオルを取り出すと、

続いて、着替えを入れた袋を取り出そうとした。

とそのとき、

「!!っ」

何かを思いついたような表情に少女の顔がなると、

伸ばしていた手を引っ込める。

そして、

キョロキョロ

と周囲を確かめ、

部屋の中にいるのは自分ひとりだけであることを確認すると、

少女の口が小さく動き、

「……しちゃおうか…」

と呟く声が響いた。

すると少女は前かがみになってロッカーを漁り、

ガサッ

使い込まれ皺が寄っているビニール袋が出てきた。

どこかのスポーツ店のものだろうか、

店のロゴが入るビニール袋を少女はしばしの間抱きかかえ、

そして、意を決すると、

レオタード姿のまま部室から出て行った。



屋根があるだけの晒し廊下を駆け抜けて少女は向かって行ったのは

まだ明かりが点るアマチュアレスリング部の練習場であった。

「しっ、

 しっ、

 しっ、

 しっ」

昼間ここで練習をしていったレスリング部員達が残した汗の臭いの中、

たった一人、厳つい身体にレスリングユニフォーム・シングレットに身に付けて練習に勤しむ少年の姿があった。

「しっしっ」

キュッ

キュキュッ

シューズの音が響かせながらマットの上で少年は一人黙々と練習をしていたが、

「ん?」

不意に身体の動きを止めると起き上がる。

そして、

「なんだ、来たのか」

明かりの届かない物陰に向かって声をかけると、

「ちっ、そっと忍び込んだんだけどな」

とさっきのレオタード少女がやや残念そうな表情をしながら姿を見せる。

「当たり前でだろう?

 女の臭いをぷんぷんさせて、

 誰だって気づくぞ」

少女に向かって少年はそう指摘すると、

「そうかぁ、

 そんなに臭うかぁ?」

その指摘に少女はレオタードの袖を嗅いで見せるが、

「うーん、判らないな。

 それよりも、ここって相変わらず臭せーな」

と男言葉で話の方向を変える。

「うるせーなっ、

 で、何でここに来た?」

額の汗を拭う仕草しつつ少年は彼女がここに来た理由を尋ねると、

「俺がここに来る理由といったら、

 一つしかないだろう?」

と意味深に少女は答える。

「あのなぁ…

 少しは女としての自覚を持ったらどうなんだ?」

それを聞いた少年は両手を腰に当てて呆れ半分に少女に向かって注意すると、

「いいじゃないかよっ

 一人でトレーニングしているんだろう、

 俺も付き合うぜ」

と少女は言うや否や、

スルッ

レオタードから肩を出し、

脱ぎ始めてしまった。

「あっおいっ、

 いきなり、

 何をするんだよ」

突然のことに少年は手で目を覆って見せるが、

「なに恥ずかしがっているんだよ、

 俺の裸なんて幾度も見てきただろう」

少女は構わずにそう言い、

プルン!

と弾くように白い乳房を揺らす。

「あぁもぅ!」

充血しはじめた股間にこれ以上刺激を与えなくするためか、

少年は少女に背を向けるものの、

その背後で少女はレオタードを脱ぎ、

代わりに持って来たビニール袋より、

少年が着ているのと同じ柄のシングレットを取り出した。

「うわぁクセぇ」

シングレットから立ち上る汗の臭いに文句を言うが、

しかし、急に頬を赤らめると、

「これ…俺の臭いなんだよなぁ…」

と呟いてみせる。

「え?」

彼女のその言葉に少年は振り返ると、

「キャッ!

 えっちぃ!」

と少女は手にしていたシングレットで胸を隠し声を上げる。

「なっ、
 
 なにがエッチだ」

それを聞いた少年は怒った顔で迫ると、

「うふっ、

 じゃぁ、この格好で練習しようか?

 俺はそれでも構わないよ」

くっきりと縦筋を見せているファンデーションのみの姿で少女はそう言うと、

「うっ」

少年は言葉につまり再び背を向けた。

そんな少年の後姿に少女は小さく笑い、

手にしていたシングレットに足を通してみせる。



「お待たせ、

 さっ、

 やろうか」

少女の声が響くと、

「あっあぁ」

少年は振り返るが、

直に顔を赤面させてしまった。

「なんだよ」

そんな少年に向かって少女は怒った口調で尋ねると、

「お前…

 また胸が大きくなったんじゃないか?」

と少年は指摘する。

「ん?

 そうか?」

シングレットの両脇からはみ出ててしまっている乳房を見ながら、

余り気にしない口調で少女は返事をすると、

「せめて、女用の吊パン着ろよ、

 それじゃぁレスリング出来ないだろう」

と少年は文句を言う。

「別にいいじゃないかよ、

 それとももぅ俺とはレスリング出来ない。とでも言うのか?」

キュッ!

履き替えたレスリングシューズの音を小さく響かせて、

少女は少年の足元に飛び込むと、

「うらっ」

「あっ」

瞬く間に少年を引き倒し、

固めに入っってみせる。

「いきなりだ何て卑怯だぞ」

床を叩き抗議する少年に

「やったもん勝ち」

と少女は返すと、

「んなろっ」

少年は全身の力を込めて少女が掛けている固め技を外し、

お返しとばかりに腕をねじ上げ少女を組み伏せた。

「はははっ

 どうだ、

 それで全力か?

 なんだかんだ言ったって、

 すっかり女になっているじゃないかよ」

勝ち誇ったように少年はそういうと、

「…なぁ、

 もしも、俺がこの格好でここから逃げ出して、

 お前に無理やり連れ込まれて

 こんな格好をさせられた上にエッチなことをさせられた。

 って訴えたらどうなるかな…」

と少女は呟く。

「あっ、

 てめぇ!」

それを聞いた少年は驚きながら腕を放すと、

「スキあり!!」

すかさず少女は少年の後ろに回り、

後ろから掴みあげると一気に振り回した。

「やったぁ」

試合なら見事なポイント勝ちを収めたことに少女は喜ぶが、

直に少女が後ろから抱えられ、

今度は少女の身体が振り回されかけるが、

直に少女は投げさせられまいと這いつくばる。

すると、

突然背後から少年が覆いかぶさり、

ハァハァ

ハァハァ

荒い息を吹きかけながら身体を摺り寄せてきた。

「いっ」

予想外の事態に少女は表情を強張らせ、

「おいっ、

 何をするんだよ

 ちゃんとレスリングしろよ」

と彼がルールを逸脱していることを指摘するが、

「うるせーっ、

 ルールまんて始めから守ってないだろう?」

少女の耳元で少年の上ずった声が響き、

グィ

グィ

っと少女のお尻に少年の身体から突き出た”モノ”が押し当てられる。

「なっなに興奮しているんだよ」

そんな少年に向かって少女は声を上げると、

グニィ

何時の間が少年の手が少女の胸に忍び寄り、

下から少女の乳房を持ち上げ始めた。

「あ、んっ」

持ち上げただけではなく、

グリグリと乳首がいじられる感触に少女は声をかみ殺すと、

「へへっ

 乳首がすっかり硬くなっているぜ、

 なんだかんだ言ってもお前もスケベだなぁ」

少年の声が少女の耳元で響く。

「ちっ違う」

彼のその指摘に少女は抵抗をするが、

その場で仰向けに返されてしまうと、

ガバッ

少年が抱きつき、

少女の股間に己の股間を押し当ててきた。

「あっあん、

 いやっ

 やめて」

抱きつく少年に少女は抵抗をして見せるが、

しかし、

キュッ!

シングレットから飛び出してしまった乳首が抓られてしまうと、

ビクビクッ!

少女は身を縮こまらせ、

「あはっ」

思わず喘ぎ声を上げてしまった。

すると少年は身体の向きを変え、

少女の顔にいきり立つイチモツがシングレットを押し上げている股間を押し付け、

自分の顔は少女の股間に潜り込ませると、

汗臭いシングレットに出来ている縦方向の染みを自分の指で弄り始めた。



「あっ

 あはっ

 いやっ

 やめて、

 あんっ」

人気の無いレスリング部の練習場、

その練習場に敷かれたマットの上で、

同じシングレットを身に着けた男と女が絡み合っている。

「何やいやなんだよ、

 もぅすっかりベトベトになっているじゃないかよ」

取りとめも無く愛液がでてくる少女の秘所の様子を少年は言うと、

「やめて、

 言わないで」

両手で顔を隠し少女は懇願する。

「ははっ、

 ちょっと前まで同じ吊パン着て大会にも出たイモ野郎が、

 いまではすっかり女の子か…

 さぁ、

 俺のチンポを舐めてくれよ、

 溜まっているんだよ」

そんな少女に向かって少年はそういうと、

グィグィ

っと股間を押し当てる。

すると、

最初は嫌がる素振りを見せていた少女だったが、

少年に自分の陰部を弄られているうちに、

次第に上気し、

「あうんっ」

ついにその口を開いてしまうと、

チュバッ

シングレット越しに少年のイチモツに下を這わせてしまった。

「あふんっ」

「んんんっ」

「あぁぁっ」

「あんっ」

アマレスラー達が汗を流すマットの上で淫らな音を響かせながら、

二人の男と女は絡み合い互いの秘所を責め合う。

その行為は二人を徐々に絶頂へと導いていき、

やがて、

「あっあぁぁぁ」

「あはあはあぁぁぁ」

二人はほぼ同時にイッてしまったのであった。



「はぁはぁ」

「はぁはぁ」

バタン

股間に大きく染みを作りながら二人はマットの上に寝転び天井を見つめているが、

不意に少年が身体を起こして少女を見下ろすと

「ごっごめん」

と一言謝ってみせた。

しかし、その声に少女は返事もせずに起き上がると、

何も言わずに着て来たレオタードを拾い上げると練習場から姿を消す。

シャァァァァ

それから程なくして共同のシャワー室に湯気が上がると、

「あはあはあはあは…

 あんっ」

身体にお湯を当てながら己の陰部に指を入れてオナニーをする少女の姿があり、

彼女の心の中にはレスリングの試合会場で

屈強のアマレスラーに犯されている自分の姿が映し出されているのであった。



かつて、この学園のアマレス部には個人戦で負けなしと言われた男子アマレスラーが居た。

しかし、新体操部の女の子に手を出した彼はその部長に呼び出されると

大勢の女の子達の眼前で謎の薬により女の子に…新体操部員にされてしまたのであった。

以来、彼、いや彼女は新体操部員としての日々を過ごすのだが、

時折こうして、少女の姿でかつての仲間とレスリングをしているのである。



おわり