風祭文庫・アスリート変身の館






「チェンジ」
(後編)


作・風祭玲

Vol.706





「ふぅ…」

ゴトッ!

大量の洗濯物が入ったカゴを抱えて哲行は洗濯場にくると、

額の汗を大きく拭った。

「全く、女にならなければ思いっきり練習が出来たのにな」

カゴに顎を乗せながら哲行は恨めしそうにレスリング場を見ると、

「そこだ、

 そこで堪える」

「うぐっ」

「ガマンだ、

 ガマン!!」

その中ではシングレット姿の照美は頭をマットに付け

背中から腰・そして足を浮かせるブリッジの練習に汗を流していた。

「はぁはぁ

 はぁはぁ、
 
 ぐっ」

汗を滝のように流し、

盛り上がった筋肉が浮き出しながら、

照美は必死にブリッジを続けるていると、

「よーしっ

 田端っ
 
 後藤の上に乗ってくれっ」

と練習中の勝正に声をかけると、

「おーしっ、

 潰すぞぉ」

と言いながら6つのブロックに別れている照美の腹の上に

ドシンッ

と乗っかった。

「くぅぅぅ」

照美の堪える声が響き渡るのを聞きながら、

「はぁ…

 あぁは言ったけど、
 
 心配だなぁ…
 
 せめて大会までにレスリングの試合が
 
 出来るようになってくれればいいが」

と哲行は呟くと、

汚れ物を洗濯機の中へと放り込む、

そして、スイッチを入れようとしたとき、

「あっ」

一着のシングレットがカゴに引っかかっているのを見つけると、

それを手に取った。

「うわぁぁ、

 くせぇぇ」

プンッ

と漂ってくる汗の臭いに哲行は鼻をつまむが、

「…これ…俺の…ってことは照美が着ていたのだ…

 あいつ…
 
 こんな臭いになっているのか」

と呟き、そっとシングレットを抱きしめていた。



夕方

「はぁはぁ…

 あーだめっ」

今日一日の練習が終わり、

ようやく解き放たれた照美が布団に突っ伏すと、

「もぅ何も食べる気はしないよぉ

 大会まであと4日だなんて…

 無理だよう…
 
 あたしがレスリングの試合に出るなんて…」

と呟きながら布団の中に顔を押し込み、

ジョリッ!

丸坊主に刈り上げた頭の髪を擦りつける。

元々おかっぱ頭だった照美だったが、

だが、アマレスラーとして試合に出場するときにその髪では問題と、

丸坊主にされていたのであった。

「あー無理だよぅ

 幾ら身体が男の人になったとは言っても

 あたし、初心者だもん。

 そんなあたしが満足に試合なんて…」

と哲美はぼやくが練習の疲れからか、

スーッ

いつの間にか照美は布団に顔を押し込んだまま寝入ってしまい、

そして、

「うっ」

ようやく目を覚ましたときはすっかり夜も遅くなってしまっていた。

「あっいけない、

 あたし、寝ちゃったんだ

 あーぁ、汗だく…

 シャワーを浴びてこよう」

女の子時代のままの部屋の中で照美は起きあがると、

のそのそと表に出て行った。

そして、シャワールームの側に来たとき、

キュッ

キュキュッ

ドォッ!!

キュッ

キュキュッ

ドォッ!!

誰もいないはずのレスリング場で誰かが動き回る音が聞こえてきた。

「ん?

 誰?」

その音に惹かれるようにして照美が向かっていくと、

「はぁはぁっ」

キュッ

キュキュッ

ドォンッ!!

灯りが落とされたレスリング場で、

何かを相手に赤いシングレットが浮き上がる様に動き回り、

そして、それは何かを掴み抱え落とす動作を繰り返していた。

「えぇ?

 まさか、
 
 幽霊?」

それを見た照美は背筋に冷たいモノを感じるが、

「だめよ、

 逃げちゃっ
 
 だって、あたし男の子でしょう?」

股間から下がるイチモツを抑えながらそう呟くと、

「だれ?」

と尋ねながらレスリング場のドアを開け灯りを付けた。

すると、

「はぁはぁ…

 てっ照美ぃっ」

肩で息をしながら声をかけたのは哲行だった。

「てっ哲行っ

 何をしているの?
 
 シングレットなんて着て…」

シングレットから乳房をはみ出させ、

そして、全身汗だくの哲行に向かって問いただすと、

「一日一回は吊りパン着て汗を流さないとね、

 身体がレスリングを忘れてしまいそうで怖いんだ」

と哲行は投げ技練習用の人形を立たせる。

「でも…」

そんな哲行に照美は声をかけようとすると、

「あはは…

 おかしいだろう?

 もぅ二度と吊りパンを着て男達と戦えないのに、

 レスリングを忘れることを怖がるなんて…」

と哲行は自嘲気味に笑うと、

「ちがうっ!」

照美の叫び声が響いた。

「え?」

響いた照美の声に哲行は驚くと、

「哲行は立派なアマレスラーだよ

 消えてしまいそうなこの部を立て直し、
 
 みんなを集め、
 
 そして、上を目指そうとしたんだから」

と汗だくの手を握りしめながらそう訴える。

「照美…」

そんな照美を見て哲行の目から涙がこぼれ落ちると、

ぐっ、

照美は下を向くと、

「あたし…

 何も出来ないかも知れない…
 
 試合に出ても何も出来ないかも知れない…
 
 でも、哲行の代わりになれる?」

と肩を震わせながら尋ねた。

すると、

「大丈夫だよ、

 照美はいつも僕たちの練習を見てきて、
 
 そして、励ましてくてくれたじゃないか、
 
 思っていたんだろう、
 
 男だったら、こうしていた。
 
 男だったら、こう戦っていた。って、
 
 ふふっ、
 
 俺もこうして女になって、
 
 マネージャになって
 
 みんなの練習を外から見るようになって

 やっと、照美がいつも何を考えていたのか判るようになったんだ、
 
 だから、
 
 僕のことは意識せずに思いっきりレンリングをしてほしいんだ、
 
 折角男になったんじゃないかっ
 
 思いっきり暴れてこいよ」

涙を光らせる照美の肩を叩き、

「よしっ、

 後藤っ
 
 いまから補習だ、
 
 俺のレスリングテクをお前に授ける。
 
 さっさと吊りパンに着替えろ!」

乳房を大きく揺らして哲行が声を上げると、

「うんっ」

涙でくちゃくちゃの顔をに笑みを浮かべながら照美は返事をした。



「ふわぁぁぁ…」

翌朝、

大きなあくびをしながら哲行は洗濯機に昨日の汚れ物を放り込み始める。

「痛てて…

 やっぱ女の身体で男を組み伏せるなんて無理があるか」

照美との特別補習で痛む身体を気遣いながら、

哲行はレスリング場を見ると、

「うらぁっ」

「間わせっ」

「止まっている止まっているぞ」

と既に白熱した練習がその中で始まっていた。

そして、その中で、

照美は目を輝かせながら勝正と組み合うと、

素早く勝正の身体を引き倒し、

一気に固めへと持って行く。

「はぁ…

 僕よりも迫力あるな…」

そんな照美のレスリングを見ているウチに、

「頑張れ…」

と声をかけると、

グッ!

と胸の前で握り拳を作った。



そして迎えた大会の日。

「はいっ皆さん、
 
 今日の目標は、勝つことです。
 
 ただそれだけです。

 これまで私たちが積み上げてきた練習の成果を

 思う存分発揮してください」

と顔つきも鋭い部員達を前にして光貞が言うと、

スッ

トレーナーにジャージ姿の哲行が前に出て、

「みんなっ

 頑張って!

 ファイトォー」

と拳を突き上げ気勢を上げる。

すると、

「東海林…

 お前、仕草がすっかり女らしくなったなぁ」

と祐二が指摘する。

「え?」

思いがけない祐二の指摘に哲行は顔を赤らめると、

「そっそう?」

と小声で聞き返した。

すると、

「うん」

照美を除く皆が大きく頷くと、

「後藤、

 午後から隣の会場で女子レスリングの試合がある。

 見に行くか?」

と光貞が話し掛けてきた。

「ちょちょっと、

 なんで僕が女子のレスリングなんかに…」

それを聞いた哲行が声を上げると、

「毎晩、後藤とレスリングをしているんだろう?

 思い切って女子レスリングに転向するのもいいんだぞ」

と小声は話かける。

「いっ

 知っていたんですか?」

光貞の言葉に哲行は驚くと、

「ふふっ、

 王様の耳はロバの耳…
 
 みんな筒抜けだよ」

と言うと、

ポンッ

哲行の肩を叩き、

そそくさと立ち去っていってしまった。

「やれやれ…」

そんな光貞の後ろ姿を見ながら哲行は頭を掻いていると、

「おーぃ、

 東海林ぃ」

正次の呼ぶ声が響き渡った。

「ん?」

その声に哲行が向かっていくと、

「・・・・・・・」

なにか真剣な面持ちの照美が座り込み、

ガタガタとその方を震わせていた。

「どうしたの?」

そんな照美を指さして哲行が理由を尋ねると、

「あぁ、

 新人が必ずなるアレだよ」

と祐二が説明をした。

「はぁ、

 ちょっとして緊張しているのか?」

その声を聞いて哲行は照美に尋ねると、

「だって…

 だって…
 
 だって…」

その鍛え上げた肉体には似合わない青い顔をしながら、

照美は哲行に同じ言葉を繰り返していた。

「ったく、

 仕方がないなぁ」

照美の状態を見た哲行は膝を叩き、

そして、腰を上げると、

「ついて来い、照美、

 短時間で出来るとっておきの緊張の解し方を教えてあげるよ」

と告げた。

「!!!」

それを聞いた正次達が一斉に驚くと、

「ちょっと待ったぁ」

と声をかけ、

「おっ俺たちも緊張しているんだ」

と哲行に迫るが、

パァァンッ!

いきなり平手打ちを喰わせると、

「どうだ、目が覚めたか?」

と哲行は尋ねた。



パタン…

「ココがイイな」

緊張している照美の手を引っ張り、

哲行は誰も入って来ることはなさそうな用具庫に入り込むと、

「照美、

 そのジャージを脱いで吊りパン姿になれ」

と命じた。

「え?」

思いがけない哲行の言葉に、

照美は半信半疑ながら着ていたレスリング部のロゴが入るジャージを脱ぐと、

ムキッ

薄暗い部屋に筋肉美とともにそれを包み込むシングレットが浮かび上がる。

「よしっ」

それを見届けた哲行は自分が着ていたトレーナーとジャージを脱ぐと、

「あっ

 哲行っ
 
 それは」

と照美は声を上げる。

スッ

「照美…どう?

 似合っている?
 
 吊りパンを着たあたしって」

突然、哲行は女の口調でそう囁くと、

ゆっくりと照美の傍により、

そして、細い手を照美の股間に這わせると、

キュッ!

っとそこで固く伸びているペニスの膨らみを握りしめた。

「うっ!!」

思いがけない哲行の行為に照美は身体を強ばらせると、

「うふっ」

それを見た哲行は小さく笑い、

そして、

チュッ!

唇を照美の片方の乳首に当て、

そして這わせ始めた。

「あっ

 あはっ」

ピクピクと身体を痙攣させながら、

照美は哲行の舌の感覚に酔いしれていると、

「照美ぃ、

 あなたのオッパイ…
 
 とても小さくて、
 
 そして、とても逞しいわ、
 
 ねぇ、あたしのオッパイはどう?」

と甘い声で囁きながら、

キュッ!

哲行は照美の手を握りしめると、

シングレットからこぼれ落ちる自分の乳房に押し当てる。

「くはぁ、

 はぁはぁ」

モミモミ…

荒い息を上げながら照美は哲行の乳房を揉み始めるが、

だが、その股間のペニスは

いまにも爆発しそうなくらいに大きく膨らみ、

そして、

ジワッ

先走りを滴らせ始めた先端のあるところには、

大きなシミが広がり始めていた。

「うふっ、

 感じているの?」

それをみた哲行は

シュッシュッ

っと膨らみを扱きながら尋ねると、

再び身体を接し、

「私…いつも、照美に迷惑掛けてばっかりだね…」

と囁いた。

「え?」

その哲行の声に照美は驚くと、

「弱虫でさ、

 いつもいつもいじめられて、

 そのたびに照美に助けられて…」

と囁く、

すると、

「ううん、

 哲行は弱虫なんかじゃないよ

 現にレスリングだって頑張ってきたじゃないの」

と照美が反論すると、

「ちがうわ、

 やっぱり、照美には男の子が似合うわ、

 あたし、女の子になれてとっても嬉しいの?

 だってほら、

 こんなにオッパイが膨らんじゃったし、
 
 オマンコだってこんなにイヤらしくなっちゃったているのよ」

そう言いながら哲行は

照美から少し離れると大きく股を開き、

着ているシングレットに股間に出来たシミを見せた。

その途端、

「はっ

 はっ
 
 はっ」

抑えが効かなくなったのか、

照美の息が激しく上がり、

下がっていた腕が震えながら上がってくると、

グッ

っと哲行の肩を鷲づかみにした。

「いっ痛…

 ちょちょっと照美…?」

その強い力に哲行は困惑すると、

「はっはっ

 はっはっ、
 
 そっそうかよ…
 
 おっ俺のチンポが欲しいのかよ、
 
 おっお前、幼稚園の頃から弱虫でいつも
 
 俺に泣き付いていたよなっ
 
 そっそんなに泣きたいのなら、
 
 俺が思いっきり泣かせてやる。
 
 おっおっおれのチンポで幾らでも泣かせてやる」

と興奮した口調で言うなり、

ピンッ

ピンッ

哲行の肩に止まっているシングレットの肩ひもを外すと、

ズザァ!

一気にそれを引き下ろした。

そして、自分もシングレットの肩ひもを外し引き下ろすと、

「へへっ

 どっどうだ、
 
 俺のチンポは…

 おっ俺、女だったのにチンポが生えちゃって、
 
 おっ男になっちゃったんだよ、
 
 へへっ

 いくぜ、俺のチンポもう破裂しそうだから、
 
 お前のマンコに入れてやるぜ」

と言うなり、

グィッ!

哲行の太股の間に腕をねじ込み、

そして、それを大きく開かせると、

そのまま身体を持ち上げた。

「うわっ」

文字通り無防備に股を開かされた哲行は驚いていると、

「へへっ

 ゆっくりと味わいな」

照美はそう言いながら

ビンッと勃起しているペニスに向けて哲行の身体を落としていった。

そして、このとき2人は一つになる。



クチョクチョクチョ!

「あはっ

 あぁぁっ」

響き渡る淫らな音共に

哲行の喘ぎ声も追って響き渡る。

「へへっ

 熱くてヌルヌルだぜ、
 
 締まりもいいし、
 
 感度もいい、
 
 お前のマンコ…
 
 逸品だな」

女の子時代口にしらしたことがなかった台詞を言いながら、

照美は腰を振り続ける。

そして、その先では、

「あっ

 あぁんっ
 
 いっいぃ
 
 いぃよぉ」

豊満な乳房を振り乱し、

くびれた腰と膨らんだヒップを前後に動かしながら

哲行が喘いでいた。

そして、

ビクッ!

「うっ出るぜ…」

「あんっ

 イクゥゥ」
 
2人共に絶頂の時が訪れると、

「出るっ!」

ビュッ!

ビュビュッ!

ビクビクビク!!

「あぁぁん!!」

2人共に果ててしまったのであった。



「はぁはぁ

 はぁはぁ
 
 はぁ…」

果てた後の脱力感を感じながら、

荒れた息を整えてると、

「どうだ、力が抜けたか」

と哲行は男言葉で尋ねた。

「え?

 哲行…戻って…」

哲行の言葉遣いが戻っていることを照美が指摘すると、

「バーカッ

 俺はいつもまともだよ、

 お前がバカみたいに緊張していたからな、

 一発抜いて解してやったんだよ、
 
 それにしてもお前のザーメン、
 
 真っ黄色じゃないか、
 
 ダメだぞ、ちゃんと出さないと、
 
 いいか、男は常に出してないと
 
 心と体が病気になるんだよ、
 
 さぁ、行け、
 
 もぅ直ぐ試合が始まる」

と哲行はさばさばした口調でそう言うと、

シッシッ

と血を滴らせる股を大きく広げたまま、

照美を追い払う仕草をした。

「哲行…」

脱ぎ捨てたシングレットを拾い上げて、

照美は哲行の名前を呼ぶと、

「ふふっ、

 照美っ

 俺の処女を奪った以上、

 絶対に勝てよっ」

と照美に向かってガッツポーズをする。

すると、

「うん、

 頑張る…」

その声に送られて照美が出て行くと、

「痛てて…

 あいつ、こっちの腰が立たないくらいに突きまくったな…

 でも、女って、男より感じるんだな」

と照美とのセックスを思い浮かべていた。



「回せっ」

「抜けるんだ」

「回せっ」

「そうだっ」

「なにをしている」

「そこだ」

一休みした後、身支度を調えた哲行が試合会場に行くと、

会場内のマットの上ではシングレットに身を包んだ哲実が、

屈強のアマレスラーを見事押さえ込み、

その周囲からは盛んに声援が響き渡る。

その姿を見た哲行は熱く感じるモノがこみ上げてくると、

バッ!

着ていたトレーナーとジャージを脱ぎ捨てて、

シングレット姿になるなり、

「よーしっ、

 照美ぃ
 
 そこだ、
 
 そこで、ぐっと堪えるんだ!!」

と回りが注視する中で声を張り上げ、

「すげーな、あの女…」

「マネージャかな?」

「うひゃぁぁ

 男物のシングレットを着て応援しているぞ…」

と哲行の応援ぶりに皆呆れかえっていた。

そして、

ピピーッ!

試合終了のホィッスルが鳴り響くと、

照美の逞しい腕が高く掲げられていったのでった。



おわり