風祭文庫・アスリート変身の館






「入魂」


作・風祭玲

Vol.625





「え?

 レスリングぅ?」

朝もやが立ち込める道を歩きながら岸野桃子が驚いた声をあげると、

「うん、そうよ」

彼女の隣を歩く嵯峨野冬美は元気よく返事をした。

「はぁ…」

「なっなによっ」

関心を通り越して呆れた表情をする桃子に冬美は突っかかると、

「いや…

 スポーツ系の部活とは縁遠かった冬美の口から

 いきなり女子レスリングなんて言葉が出てきたから…

 次の言葉が見つからないのよ」

と桃子はいまの気持ちをはっきりと伝える。

「そっそうかなぁ…」

「だって、そうでしょう。

 小学校、中学校、そして高校と

 まったく運動をしてこなかったじゃない。

 それが、高校の…しかも2年生の冬になっていきなり

 レスリングを始める。

 なぁんて聞かされれば誰だってそう思うわよ」

「わっ悪かったわね」

「で、あたしに内緒で作った彼氏ってどこの誰なの?」

「はぁ?」

「何とぼけているのよ、

 女が豹変するときというのはねぇ、

 彼氏が出来たときと、

 彼氏と別れた時って相場は決まっているのよ。

 で、何組の誰?

 冬美がレスリングって言うからには、

 格闘技が好きな奴なの?

 えーと、2年で格闘技好きといったら…

 3組の樋口…

 2組の野口、福沢…

 あと他はいたっけ…」

歩きながら桃子が考え込むと、

「違うわよ、

 男なんていないわよ、

 もし居たら、桃子に自慢するに決まっているでしょう」

考え込む桃子に向かって冬美は言う。

「じゃぁなんだって言うのよっ

 まさか、女子レスリング部のキャプテンが好きになったの?

 はぁ…

 冬美ってあぁ言うタイプが好みだったのぉ」

自分の考えが否定された桃子は

冬美が女子レスリング部を率いるキャプテン・花田京子に憧れているのではないか

と思った桃子であったが、

「ちょっとぉ!!!

 なんであたしが、

 女に惚れなきゃならないのよっ

 もぅ、とにかく変な推測をして、

 周りに言いふらさないでよね」

そんな桃子に向かって冬美は口を尖がらかせながら文句を言い、

そして時計を見た途端、

「あっ朝錬に遅れちゃうっ

 先に行くね…」

そう言い残して、

駆け足で学校へと向かっていった。

「はぁ…

 これも時代なのかな…」

ポツリと一人取り残された形となってしまった桃子は

去っていく冬美の後姿を見送っていた。

そしてその日を最後に桃子と冬美は仲良く登下校をしなくなり、

桃子一人がいつも歩くようになっていった。



そんなある日の夕方、

「ふぅ…

 あたしも何か部活に入ろうかなぁ…」

一人ぼっちで校庭を歩きながら桃子は立ち止まると、

グラウンドで練習をしている運動部の面々を見つめ、

自分も何かの部活動するべきかどうか考え込む。

そのとき、

「おらっ

 廻せっ」

「何をしているだ、

 後ろを取れ!!」

「そこそこ、

 堪えろー」

そんな声が響き渡ると、

「え?」

その声に驚いた桃子は思わず振り返った。

そして、

「あっ」

いつもは閉まっている体育館のドアが開け放たれ

その中でレスリングのユニフォームを着た人影が動いていることに気づくと、

「あれは…

 確か、女子レスリング部のユニフォームだわ

 へぇ…

 今日はこっちで練習をしているのか…」

学園内の主立った練習場は別の部活に占有され、

練習場が確保できない女子レスリング部は、

普段、市の施設などを借りて練習を行っており、

こうして学内で練習をしているのは

極めて珍しいことであった。

「そうだ、

 この際だから、冬美の練習…覗いちゃお」

練習を身ながら桃子はそう思うと、

タッタッタッ

制服のスカートを翻しながら駆けつけ、

そして、開かれているドアから中を覗き込んだ。

すると、

「おらっ

 気合だ、

 何をしているんだ」

「そこで堪えろ!!」

「崩せ!!」

まるで男の罵声のように響く声と共に、

練習場に設けられたマットの上では

Tシャツにレスリング独特のユニフォームを着た、

女子選手二人が組合い、戦いを広げていた。

「うわっ

 すごい…」

とても女子の試合とは思えないハードな展開に桃子は目を丸くすると、

「おいっ

 嵯峨野に野崎っ

 次はお前達だ。

 準備しておけ」

とジャージを羽織って戦いを見つめていた短髪の人物が指示をした。

「嵯峨野って…

 冬美のことだわ…」

冬美の名前が告げられたことに桃子は驚きながら、

「はいっ」

「はい…」

短髪の人物に名前を呼ばれた選手を見るが、

しかし、

「うそっ

 あっあれが、冬美?」

選手の姿を一目みた途端、

桃子は思わずその目を疑った。

そう、桃子の視界に飛び込んだのは、

あのときの冬美からは想像できないような、

筋骨逞しい肉体を持つ選手の姿だった。

「すごーぃ、

 あんなになって…

 どっどうして…」

短期間での友人の変貌ぶりに桃子は驚くのと同時に、

「どうしたら…あんなになれるのかしら…」

逆に彼女達にその変貌をもたらした練習方法に興味を持った。

すると、

「あれ、冬美が出て行くわ」

練習をするわけでもなく、

突然、練習場から出て行ってしまった二人を桃子は追いかけて行くと、

二人は更衣室の前で別れ、

冬美は更衣室へ、

一方、相手の部員はその先にあるトイレへと向かっていった。



「うーん、どうしようか…」

物陰に隠れながら桃子はどう行動してよいのか悩んでいると、

「ふっ

 うっくっ

 ふぐぅぅぅ!!!」

近くから何かを堪えるようなうめき声が耳に飛び込んでくる。

「え?

 なに?」

その声に引かれるように桃子は歩いてゆくと、

程なくして体育館の裏庭にでてしまった。

「あれ?

 裏庭に出ちゃった」

裏庭の景色を見ながら桃子は引き返そうとすると、

「はいっ

 頑張るのよっ

 ほらっもぅ少し」

と声とあげながら、

レスリング・ユニフォーム姿の女子部員二人が裏庭にいる様子が見え、

一人は屈んだ立ち姿で両膝に手をつき何かを堪えているのに対して、

もぅ一人はその者の横で盛んに声をかけていた。

「(何しているんだろう…)」

そんな二人の姿を桃子は見ていると、

「そんな事いっても、

 あたしできないよぉ」

「もぅ、

 先輩に”男の魂”を入れてもらったんでしょう。

 ほらっ

 こうするのよ

 (ふんっ)」

弱音を吐く相方についに痺れを切らすと見本を見せるかのように

声をかけていた部員は身体に力を入れた。

「(男の魂って何かしら?)」

力んで見せる部員が言ったその言葉の意味がわかららずに

桃子は首をひねっていると、

「え?」

その部員の身体に起き始めた変化に目を見張り、

思わず、

「うそっ」

と口走ってしまった。

そう、桃子の目に入ってきたのは、

力んだ途端、

ムリッ

ムリッ

っとその身体を膨らませ、

見る見る逞しくなっていく部員の姿だった。

「なっなにあれ…」

変身という言葉がぴったりと当てはまりそうな光景に桃子は唖然としていると、

「ふんっ

 うがぁぁぁ!!」

部員は男のような雄叫びを上げて力を抜き、

「さぁ、お前もやってみろ」

と見上げているもぅ一人の部員の肩を叩く、

「はっはいっ

 ふんっぐっ」

その言葉にもぅ一人の部員も力んで見せると、

ムリッ!

ムリムリムリ!!!

見る見るその身体が膨れ始め、

身体が一回り、いや、二周り大きくなり、

またユニフォームが覆う股間より棒を思わせる影が突き出てきた。

「ふふっ

 やれば出来るじゃないかよ」

「ごめん、なかなかコツがつかめなくて」

股間を膨らませ、

そして筋肉を盛り上がらせる男のような肉体に変身した二人の部員は、

確かめるようにして互いに相手の身体を叩き合う。

「(え?

  え?

  一体何なの?)」

衝撃のその光景に桃子は困惑し、

そして、思わずそばの壁に寄りかかろうとしたとき、

ガシャーン!!

壁にかけてあった箒が倒れ、

その先にあったバケツを激しく叩いた。

「誰!?」

その音に部員が桃子の方を振り向くと、

「(しまった!!)」

見てはいけないものを見てしまった事に桃子は気づくと、

慌てて逃げ出すが、

「なんだ、いまの音は?」

同じように音に気づいた女子レスリング部員が出てくると、

「その子を捕まえて!!」

股間を膨らます部員が桃子を指差し叫び声を上げた。

「ひぃぃ!!

 いやぁぁ!!

 来ないで」

出てきた部員達の股間が皆膨らんでいることに桃子は気づくと、

叫び声をあげつつ、手にしていたカバンを放り投げた。

「あっっ

 この野郎!!」

放り投げられたカバンを叫び声をあげながら部員が叩き落とすが、

ダッ!

その隙を突いて桃子は包囲網を突破すると、一目散に逃げ出す。

「なっなに?

 みんな、女の子じゃなかったの?

 あれじゃぁまるで…

 男じゃない」

必死で逃げながら桃子は自分の目で見たことが信じられなかった。

そのとき、

「あれ?

 桃子じゃない」

いきなり冬美の声が桃子にかけられると、

「(はっ)冬美?」

その声に桃子は思わず立ち止まり、振り返るが、

その瞬間、

ガシッ!!

桃子の身体が何者かにつかまれると、

グルン!!

いきなり景色が一回転し、

ズンッ!!

強烈な衝撃が桃子を襲った。



「起きなさい!」

パシッパシッ

響き渡る声と共に桃子の頬が2・3回叩かれると、

「うっ…」

意識を失っていた桃子はその目をゆっくりと開けた。

すると、

「ふっ気が付いたようね…」

その声が耳元で響き、

視界を覆っていた朱色がスッと引いていく、

「ここは?」

状況がわからずに桃子が顔を上げると、

そこはどこかの練習場の中で、

視線を下に下ろすと足元には赤い円が描かれたレスリングマットが広がっていた。

「マット?…」

マットを見下ろしながら桃子はそう呟くと、

「そうよ、ここは女子レスリング部の練習場よ」

と声が響いた。

「女子レスリング…

 女子レス…

 (はっ!)」

その言葉を復唱しながら桃子は目撃した衝撃の光景を思い出すと、

「ひぃ!」

悲鳴をあげながら桃子は勢いよく立ち上がろうとした。

しかし、

ガシッ!!

たちまち数本の手が伸び、桃子の身体を押さえつけてしまうと、

そのまま、マットの上に押し付けられてしまった。

「いやっ

 離して!!!

 やめて!!!」

押さえつけられながら桃子は悲鳴を上げると、

「2年1組の岸野桃子さん」

と桃子の名前が高らかに読み上げられる。

「!」

その声に桃子は顔を上げると、

「うふふ…」

笑みを浮かべながらレスリングユニフォーム姿の一人の人物が桃子に迫り、

ゆっくりと腰をおろすと、

「ようこそ、女子レスリング部へ…」

と囁きながら桃子の顔を撫でる。

「いやっ

 離して!!

 あたしを帰して!!」

その手を払いのけるように桃子は顔を振り、

そして、自分を解放するように叫ぶと、

「帰るってどこに?

 あなたはたった今から我々の仲間…

 女子レスリング部に入ったのよ」

と告げられた。

「え?」

その言葉に桃子は驚くと、

ムリッ!!

人物の股間から勢いよく棒らしき物が延び、

そして見事な膨らみを作り上げる。

「ひぃ!」

それを見た途端、桃子は悲鳴を上げると、

「ふふっ

 何を怖がっているの?

 これはねぇ…

 男の魂の象徴よ、

 この象徴を得た事で私達は男達と互角の力を得て、

 強くなってきたのよ。

 さぁ、レスリング部に入ったあなたにもこの象徴を分けてあげます」

股間を大きく膨らませながら人物はそう告げ、

「嵯峨野っ

 お前の力をこの者に分け与えなさい」

と命じた。

すると、

「はいっ」

その声に応えるように声が響き、

ムリッ!

同じようにユニフォームの股間を膨らませる冬美が桃子に迫ってきた。

「冬美…あなた…」

「お久しぶりね、桃子…

 あたしはもぅ昔のあたしじゃないわ…

 キャプテンに”男の魂”を注ぎ込まれたレスリング部員なの…

 でも、安心して、

 桃子、あなたにも”男の魂”を分けてあげる。

 そして、一緒に練習をしましょう」

驚く桃子に向かって冬美はそう囁くと、

パシッ!!

ユニフォームの肩紐を外し下へと引き下げた。

すると、

ビンッ!!

アンダーウェアをして使っている男物の競泳パンツの中より飛び出すような姿で、

本来女性にはあるはずの無いペニスが突き出し、

ビクン!!

ビクン!!

と打ち震えていた。

「やっ

 いやっ

 やめて…

 来ないで…」

女を突き刺す悪魔の槍にも見えるペニスの姿を見据えながら桃子は声をあげるが、

「さぁ、

 準備をしなさい」

「はいっ」

ペニスを勃起させながら冬美が命じると、

「いやぁぁぁ!!」

たちまち桃子のスカートはめくりあげられ、

下着が引き下ろされると、

グイッ!!

お尻の両脇を大きく広げられてしまった。

ヒヤッ…

自分以外誰も触ったことが無い排泄口・肛門に練習場の冷気が微かにあたり、

「うぐっ」

その感覚に桃子は目をギュッと閉じる。

すると、

ヒタッ…

桃子の腰に冬美の手が当たり、

「大丈夫よ、

 直ぐに終わるわ…

 それに”男の魂”を得るとこれまでのことが馬鹿馬鹿しく感じるわよ」

と冬美は囁きながら、

ヒタッ

勃起する己のペニスを桃子の肛門に当てる。



メリッ!!

「!!!」

固く閉じられた門をこじ開けるかのように冬美のペニスが侵入してくると、

ズキン!!

桃子の身体の中を激痛が走っていった。

「いっ痛い!!!」

まるで焼かれた棒を突っ込まれるそんな感覚に桃子は悲鳴を上げるが、

しかし、強い力で身体を押さえつけられている桃子は逃げ出すこともできず、

メリメリ…

メリメリ…

間隔を置いて侵入してくる冬美のペニスを悲鳴をあげながら受け容れることしが出来なかった。

「いたーぃ、

 痛いよぉぉ!!

 出して、

 今すぐ出して!!」

激痛に脂汗を浮かべながら桃子は必至に訴えるが、

しかし、いくら懇願しても冬美のペニスは引き抜かれることなく、

さらに奥へ、奥へと侵入してきた。

「力を抜いて…

 あたし達を受け容れるのよ…

 抵抗すればするほど痛いわよ、

 諦めるのよ桃子…

 あたし達の秘密を知った時点であなたは仲間…

 レスリング部員なの

 さぁ、力を抜きなさい」

抵抗を続ける桃子に冬美は優しく声をかけるながらも、

グイッ!!

まだ半分近く出ている自分のペニスを押し込んでいく。

「うがぁぁ!!」

白目をむきながら桃子は叫ぶと、

ズルズルズルズル…

押し込まれていたペニスが引き抜かれるようにして後退し始める。

「(おっ終わり?)」

その動きに桃子はホッとしながら安堵するが、

その次の瞬間、

ズブズブズブ!!!

引き抜かれたはずのペニスが勢いをつけて潜り込んできた。

「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

激痛の津波となって入ってくるペニスに桃子は悲鳴を上げると、

ズルズルズルズル…

またペニスは引き下がり、

そして、

ズブズブズブズブ!!!

再び潜り込んできた。



ハッハッハッ

パンパンパン!!!

「うがっ

 うぉっ

 うぐっ

 うがっ」

持ち上げられた桃子の腰向かって冬美は己のペニスを幾度も幾度も打ち付ける。

そして、その行為は次第に桃子から激痛を奪い、

徐々に快感を植え付けていった。

「あっあっあっ

 熱い…

 あぁ、お尻が熱い…」

感覚が麻痺し、痛みが熱感に変化してくると、

桃子は自然に冬美を受け容れ始めだし、

さらに時間がたつと、

「あっあっあっ

 あぁんっ」

犯される肛門がまるで性器になってしまったかのような

錯覚を感じるようになってしまっていた。

「ふふっ

 大分出来上がりましたね、

 さぁ、この者に男の魂を…」

上気した顔を見せるようになった桃子を指さし、

レスリング部のキャプテンはそう命じると、

「はいっ」

桃子を犯しつづけてきた冬美は返事をするのと同時に、

「さぁ、桃子(ハァ)…

 男の魂を分けてあげます(ハァ)

 これで、あなたも立派なレスリング部員です」

と腰を動かしながら囁き、

「うぐぅぅぅぅぅ!!!」

思いっきり力んだ。

その途端、

「あっ

 あぁぁぁぁぁぁ!!」

桃子の視界に火花が飛び、

ズニュゥゥゥゥゥ…

それと同時に自分の体内奥深くに向けて熱いモノが昇っていった。

ハァハァハァ…

「どうですか…」

「はいっ

 男の魂、確かに分け与えました」

「そうですか…

 よくやりました」

キャプテンと冬美の会話を聞きながら桃子の意識は薄れていった。

そして、

「はっ!」

桃子が目が醒めたとき、

「これは…」

そう、彼女の身体にはレスリング部のユニフォームが

しっかりと貼り付いていたのであった。



「うふっ

 おめでとう…桃子…

 あなたももぅ立派なレスリング部員よ」

驚く桃子に向かって冬美が話し掛けてくる。

「冬美…」

あの別れの日以来、初めて面頭向かっての会話だった。

「なぁに?」

「あなた、男の人になったの?」

「え?」

「さっき、あたしを犯したとき、

 あなたには男の人の…その…」

未だに痛む肛門を意識し、

あのことが事実であることを確信しながら桃子は尋ねると、

「うふっ

 言ったでしょう?

 男の魂を得た結果だって、

 それに…

 桃子だってあたしが男の魂を分けてあげたから

 もぅすぐその身体が変化するわ、

 あっでも、

 切っ掛けがないとだめか…」

桃子に向かって話しながら冬美は考え込む。

すると、

「ほらっ、

 何をしている。

 練習試合いくよ」

と外から声がかかり、

「はーぃ」

その声に向かって冬美は返事をした。

「練習試合?」

「うんっそうなの、

 今日は練習試合の日、

 みんなチンポ盛り上がらせて男共を投げ飛ばしに行くわ、

 このときは女子ではなくて男子のアマレスラーとして試合をするんのだからね、

 さっ、このジャージを着て、

 桃子も行くのよ」

吊パン姿の桃子に向かって冬美はレスリング部のジャージを放り投げると腰をあげた。



「うっ」

練習場の外に出た桃子に向かって午後の日差しが容赦なく照らし出す。

「ふふっ

 1日以上倒れていたのよ桃子…」

そんな桃子に向かって冬美は事情を話すと、

「そう…」

桃子は股間を押さえながら返事をする。

ズクン…

ズクン…

「(なっ何これ…

  何かが…

  蠢いている)」

自分も股間の中で得体の知れない何かが蠢いているものを感じながら桃子は歩いていく。

そして、

「遅い!!」

「すみませーん」

練習試合に行くメンバー達と合流をすると、

皆と共に桃子はレスリング部の一員として練習試合に向かっていった。



「こっここは…」

吊パンツが張り付く身体をジャージで隠し、

桃子が連れてこられたところは

電車で30分ほど乗った駅のそばにある高校だった。

「ここは国体でも常勝しているレスリングの名門よ、

 無論、オリンピックにも選手を送り出している」

敷地外から学校を見上げながらキャプテンが説明をすると、

クルッ

と振り返り、

「さーて、

 いいかな、みんなっ

 敷地に入ったらあたしたちは男子アマレスラーよ、

 みんなチンポ、おっ勃てている?

 萎えているところなんて見せるんじゃないよ」

とはっぱをかけると、

その途端、部員の表情が変わり、

「押忍っ」

と勢いよく返事をした。

「え?

 えぇ?」

冬美まで男らしい表情になったことに恵子は戸惑うと、

「大丈夫だよ、

 そのうち慣れる」

男の口調で冬美は言い、

ポン

っと恵子の肩を叩いた。

「えっえぇ…」

ムンッ!

男のように筋肉を盛り上げ、

まさに男子レスリング部員と言った面持ちで皆は敷地に入ると、

そのままこの学校のレスリング部員が待ち構える練習場へと向かっていった。

「お願いします!!」

さっきまでとは打って変わって野太い声で皆が挨拶をすると、

「お願いしますっ」

待っていた、向こうの男子部員も一斉に挨拶をし、

直ぐに練習試合がはじまった。

「うらっ」

「くっ」

「ふんぬっ」

「廻せっ」

「気を抜くな」

用意されていたマット上で組み合う吊パンツ姿のアマレスラー達を、

恵子や冬美たちは応援をするが、

しかし、その股間には恵子を除いて皆盛り上がり、

また、盛り上がる筋肉も相まって、

相手の選手達は皆恵子たちを男子部員として見ていた。

そして、

ズクン…

ズクン…

「(あっ…

  だんだん大きくなってくる…

  あぁ…

  なに?

  このモヤモヤした感覚は…

  うっくっ

  力が…

  力が…沸いてくる…)」

恵子は身体の奥から染み出してくるパワーと、

股間で暴れ始めた”もの”に困惑をしていた。

そのとき、

「恵子っ

 キャプテンが呼んでいるわ」

と冬美の声が響くと、

「はっはいっ」

恵子はキャプテンの元へと向かっていった。



「え?

 あたしが…」

「そうっ

 次の試合に出なさい。

 これはキャプテンの命令」

恵子は次の試合に出るように言われ驚くと、

すかさずキャプテンはそれを命令と告げた。

「そんな…

 あっあたし…

 レスリングなんて出来ません」

腕を組むキャプテンに向かって恵子は断言をすると。

「そう?

 あなたの身体の中では蠢いているんじゃないの?

 男の魂が…」

「!!」

恵子の身体の中で起きている変化をキャプテンが指摘すると、

その顔に驚きの表情が出る。

ピピーッ!!

「さっ、

 試合が終わったよ、

 次っ

 行きなさい」

そんな恵子に向かってキャプテンが命令をすると、

「はいっ」

恵子は返事をし、着ていたジャージを脱ぐ。

そして、レスリングのユニフォーム・吊りパンツ姿になると、

マットへと進んでいった。

「はぁ…(恥ずかしいなぁ…)」

半裸に近い自分の体を人前に曝すことに抵抗を感じながら、

恵子は顔を赤くしていると、

「ほらっ

 シャキっとしないか、

 シャキっと」

たちまち戒める声が飛んだ。

「………」

そんな声を恵子は恨めしく思いながら前へ進むと、

審判が恵子と相手の身体をタッチし、

そして、恵子は相手が差し出して手と握手する。

「これで良いのかな?」

そんなことを思っていると、

ピピーッ!

試合開始の笛が鳴り響き、

バッ!

このときを待ってましたとばかりに相手が飛びかかってくる。

「うわっ」

一瞬のことだった。

瞬く間に恵子を押し倒した相手はポイントを稼ぎ、

試合を有利に進めていく。

「くそぉっ」

経験が少ないとはいえこの状況に恵子は苛立ってくると、

ズクン!

一度は鎮まっていた恵子の股間が蠢き始めた。

しかし、今度はそのことに恵子は戸惑うことはなく、

それどころか、

「くぅぅぅ」

この感覚に乗っかるようにして身体に力を溜め始めた。

「ちっ、

 何だコイツ…
 
 女みたいなヤツだな」

恵子を組み伏せた対戦相手はその手応えにふと思うが、

「くぉのぉっ」

ムキムキムキ…

反撃に転じた恵子の身体から筋肉が盛り上がり始めたのを感じ取ると、

「なっなんだ…こいつ…」

その変化に驚き始めた。

そして、

ズクン

ズクン

ズクン

「負けて…

 たまりますか」

「おっおいっ」

組み伏せられた己の身体を恵子は力づくで解き放つと

ムリムリムリ!!!

その股間より突起を起立させ、

そして、

「うらっ!」

いきなり相手の脚にタックルを仕掛け、

一気に押し倒した。

「フォールだ!

 フォール!」

それを見た冬美が声を張り上げると、

「あっ」

バッ!

すかさず恵子は固め技を掛けると、

一気にフォール体勢に持ち込んだ。

ピピーッ!

恵子の勝利告げる笛の音が鳴り響き、

「は…勝ったの…」

勝者を告げる腕を上げられながら恵子は勝利を実感していた。

そして、そんな恵子の股間からは

モッコリ

としたペニスの影が浮かび上がり、

新しいアマレスラーが誕生した瞬間であった。



おわり