風祭文庫・アスリートの館






「目撃者」


作・風祭玲

Vol.475





ピピー!!

試合終了を告げる笛の値が鳴り響くと、

「はぁ…

 終わったぁ」

最後の望みを託し暴れていた相手を押さえ込んでいた岬恵一は力を抜くと

ばったりとその場に仰向けになる。

そして、

「勝った…」

天井から煌々と自分を照らし出す灯りを見ながら彼は自分の勝利を味わっていた。



「あははは、

 でも、お前が勝つなんてな」

「本当だ、

 雨でも降らなければいいが」

試合会場からの帰り道、

そんなことを言いながら恵一達は歩いていると、

「あっいけねっ!!」

校門を抜けようとしたとき、突然、恵一は声を上げた。

「なんだよ?」

「いきなり驚かすなよ」

とメンバーから理由を尋ねる声と、非難の声が響いた。

「ワリィ!!

 更衣室にケータイ忘れてきた」

その声に恵一はズボンのポケットを探る仕草をしながらそう返事をすると、

「取ってくる

 先に行ってて、

 後から追いかけるから」

と言い残していま来た道を引き返していった。

「あんだよ、

 まったく」

「どんくせーな」

背中を見せて走り去っていく恵一の後姿を見送りながら、

部員達はせせら笑うと、

「おいっ

 ゆっくり行ってやろうぜ」

と声をかけ、駅への道を歩き始めた。



ハァハァ

ハァハァ

「やべぇやべぇ」

部員達と別れた恵一は慌てるようにしてさっき試合が行われた会場へと戻っていくと、

人気の無くなった試合会場を横目に見てそのまま更衣室へ入っていく、

そして、薄暗くなった更衣室の中を進み、

自分が使っていたロッカーを見つけると、

ガチャッ!!

「えーと、

 どこだっけかなぁ」

と置き忘れたケータイを探し始める。

すると、

「あっあぁ…」

まるでかみ殺すような男の喘ぎ声が恵一の耳に届いた。

「ん?」

その声に恵一は手を止めると、

「………」

聞き耳を立てた。

「(ボソボソ)…」

「うっくっ」

「(ボソボソ)…」

「ううっ」

その声の主のほかに誰かが居るのか、良く聞き取れないないものの、

誰かが、誰かを攻めているようにも聞こえた。

「ん?

 この声?」

押し殺す男の声に恵一は聞き覚えのある感じがすると、

ゆっくりと声のするほうへと向かい始めた。

「あうっ

 くっ」

「(ボソボソ)…」

「うっ」

声は更衣室の中を響き渡り、その声を追いながら恵一は更衣室の中を歩いていく、

そして、

「壁?」

恵一の目の前に壁が姿を見せると、

その声は壁の向こう側から響いていた。

ピタッ!!

まるで吸いつけられるように恵一は耳を壁に付けると、

『どうした?

 返せるものなら返してみろ』

『うっうぅ』

『いいのか?

 お前のここ、無防備じゃないか』

『うっく』

攻め手の男と、それを堪える男の呻き声が鮮明に聞こえてきた。

「練習をしているのかな?」

その声に恵一はこの二人の男が練習をしているのでは?と思うと、

ふと、どんな練習をしているのか気になりはじめた。

もし、練習の様子を見ることが出来ればきっと自分が気がつかない点が見えてくるはず…

そう考えた恵一はこの壁の向こうで行われている特訓を一目見ようと、

見つかったときの危険を顧みずに更衣室を抜け出し、

ゆっくりと隣の部屋へと向かっていった。

そして、

「ん?

 ここは、倉庫?」

恵一の目の前に姿を露したのは体育用具関係の保管庫であった。

「体育倉庫」

と書かれた硬く閉ざされている両開きの扉に恵一が手を掛けると、

スッ!!

重厚な扉はその姿とは裏腹に抵抗感無く軽く開いてしまった。

「あっ開いた…」

まるで手招きをするかのように開いた扉に恵一は警戒を忘れ入ってく、

そして、彼が倉庫内に入った途端、

「あうっ!!」

男の声が倉庫内に響き渡った。

「なっ

 なんの特訓をしているんだ?

 こんなところで…」

響き渡った声に半ば驚きながら恵一は奥へ奥へと向かっていく、

そして、天井まで届かんがごとく聳え立つマットを過ぎようとしたとき、

「!!」

突然、彼の目に”赤”と”青”が飛び込んできた。

「なに?」

突然の出現に恵一は驚き、

そして、慌ててマットの陰に隠れながら改めて見てみると、

そこには一枚のマットが敷かれ、

そしてその上でシングレット姿の二人のレスリング部員が寝技を掛けている真っ最中だった。

「なにをしているんだ?

 こんなところで」

そう思いながら恵一は食い入るように眺めると、

「ん?」

二人の体勢は普通の寝技とは明らかに違っていた。

「なんだ?

 あんな技、見たことが無い」

自分の知らない型に恵一は驚き、そして目を凝らしてみた。

ところが、

「え?」

恵一が二人の動きをつぶさに見始めると同時に

一人の手が相手の股間に差し込まれ、

そして激しく上下に動き始めた。

「うっ

 あぁぁ!!」

股間に手を差し込まれた男が呻き声を上げる。

「おいっ

 なんだよ、

 情けないなぁ、

 この程度でよがり声を上げるだなんて…」

響き渡った声に男の股間に手を差し込む男がその男に向かって話しかける。

「せっ先輩…

 だっ駄目です

 出させてください」

男の掛けられた声に、股間を扱かれる男が悲鳴にも似た声を上げると、

「なに、甘えた声を上げるんだ!

 第一、なんだ、今日の試合は…

 K高のヤツなんかに負けやがって、

 貴様のその性根えを叩きなおしてやる」

と先輩と呼ばれた男は声を荒げた。

すると、

「おっ押忍」

股間を扱かれている男はそう返事をすると、

「おらっ、

 ブリッジ!!」

先輩呼ばれた男はそう叫びながら、

ピシッ!!

っと男の太ももを叩いた。

「おっ押忍」

その声に男は頭を床につけ腰を浮かしエビゾリになると、いわゆるブリッジの姿勢になる。

すると、先輩と呼ばれた男は付き上がる男の腹に腰掛け、

「よーし、その姿勢のまま堪えろ」

と命令をすると、男の股間に手を這わせた。

それから10分近くの時間が過ぎ、

先輩と呼ばれた男の手が動くたびに

「あっ

 うっ」

ブリッジをさせられている男の呻き声が倉庫の中に響きわたるが、

「なっなにをされているんだろう」

恵一の居る位置からではされている男の詳細が見えず、

仕方なく恵一はマットの山を登っていった。

そして、マットの上から下を見下ろしたとき、

「あっアイツは…」

いま責められている男は恵一と試合で戦いを演じたD高の選手・三瓶であることに気づいた。

「三瓶ってヤツじゃないか、

 そっか、俺に負けたことで先輩にヤキ入れられているんだな」

そのとき恵一は三瓶が自分との試合に負けたことで先輩から責められている。と考えたが、

しかし、すぐにその考えを改めなければならなくなってしまった。

「うそ…」

マットの山の上からいま下で行われていることに恵一は目を丸くすると、

その下では、

「へへへへ…」

いやらしく笑う先輩の手が三瓶の吊りパンの中へと伸び、

その中でいきり立つ彼の逸物を鷲づかみにしながら上下に動いていた。

「うぅ…」

爆発点が近いのか三瓶は脂汗を流しながら必死に耐える表情をする。

「おらおらっ

 出したいんだろう、

 出してもいいんだぜ、

 けど判っているな、

 出したらお前の毛を全部そり落とすからな」

と先輩は告げながら、

三瓶が着ている吊りパンの肩をはずすとゆっくりと引きずり下ろす。

すると、

その下から出てきたのは、

全ての毛が綺麗に剃りおろされた、三瓶の股間だった。

「うへっ

 毛を剃られていやがる」

その様子に恵一は驚くが、

しかし、彼の股間はいきり立つ肉棒が大きなテントを張っていた。

「せっ先輩、

 もぅ我慢が…」

「うるせー

 お前にはやることがあるだろうが

 おいっ俺のを舐めるんだよ」

悲鳴をあげる三瓶に彼の先輩はそう怒鳴ると、

ズルッ

徐に身に着けている自分の吊りパンの股の部分をずらして

その中から硬く勃起している赤黒い肉棒を飛び出させると、

そのまま三瓶の顔の上に滑り落ち自分の股を覆い被さった。

「うぇっ」

その様子に恵一は思わず自分の口を手で覆うと、

しばらくして、

「うごっ」

「うっ」

チュバッ

チュバッ

咽ぶような音共に三瓶の首が動き始めた。

「おっおいっ

 まさか…」

彼のその動きに恵一は目を見張ると、

まるで恵一の思いに応えるかのように彼の先輩は腰を浮かせその様子を恵一に見せつけた。

「!!っ

 うわっ

 しゃぶっているよ、

 おっ男のチンポを!!」

先輩の股間から伸びる肉棒がブリッジをしたままの三瓶の口の中に押し込まれ、

その肉棒を三瓶は苦しい顔をしながらほおばっていた。

「うっぷっ」

衝撃の光景に恵一は吐き気を催すが、

しかし、彼の心の奥にはいま三瓶がされていることと同じことをされたい…

という願望が芽生え始めていた。

「おしっ

 お前に俺の気合を分けてやる、

 一滴も残さずに飲み干せ」

三瓶の口に己の肉棒をしゃぶらせていた先輩はそう言うと三瓶の顔に手を添えると

そのまま浮かせ、

そして、

パンパン

っと彼の口に己の腰を打ちつけ始めた。

「………」

その光景に恵一は何も言うことが出来なくなってしまったが、

しかし、彼の手は自分の股間を握り締めると、

ズボンの中でいきり勃つ肉棒を掴み上げ、そして扱き始めていた。

シュッシュッ

シュッシュッ

眼下で行われている痴態にシンクロするように恵一は手を動かす。

そして、十分に溜まった己の欲望を吐き出そうとしたとき、

「おらっ

 飲め!!」

恵一よりも一足早く三瓶の先輩がそう叫ぶと、

グィ!!

三瓶の顔に自分の腰を押し付け、細かく腰を揺さぶった。

「あっ

 あぁ…」

射精のタイミングを外されてしまった恵一は思わず声を上げかけるが、

すぐにそれに気づくと慌てて口を塞ぐ。

ゴボッ!!

三瓶の口から先輩の肉棒が引き抜かれるのと同時に彼の口から白濁した精液が吹き零れた。

しかし、射精をしたにもかかわらず彼の先輩の肉棒は未だにいきり立ったままだった

すると、

「おいっ」

先輩は三瓶に声を掛けると、

「ケツをだせ」

と命令をした。

「え?」

彼の命令に恵一は驚くと、

「おっ押忍」

三瓶はすぐに返事をし、

そしてブリッジの体勢から体を捻ってうつぶせになると、

グィ

っと腰を上げる。

「おっおいっ」

その光景に恵一はそう漏らすと、

ピシャッ!!

彼の先輩は彼の尻をたたき、

「よくガマンしたな、

 よし、

 褒美に俺のチンポをくれてやる。

 俺と一緒に出せばお前の不始末を許してやる」

と告げた。

すると、間髪居れずに

「押忍

 先輩の気合っ

 俺に入れてください!!」

三瓶は声を張り上げ懇願すると、

「よしっ

 いい心がけだ!!」

彼の先輩はそう言いながら、

勃起している男根の亀頭を三瓶の肛門へ押し当て、

そのまま、

ヌプッ!!

っと体内へと押し込んだ。

「うっ

 くっ」

肛門を犯される痛みだろうか、

三瓶はマットをかきむしり苦しむような声を上げる。

「おいっ

 気張れ!!」

そんな三瓶に彼の先輩はそう怒鳴ると、

ゆっくりと腰を動かし始めた。

ヌプッ

ヌプッ

ヌプッ

先輩の腰が動きそれに合わせて三瓶の肛門から肉棒が延びると押し込められる。

「うぅ…」

男が男に犯される。

話だけで聞いていたその光景を恵一は目撃すると、

反射的に彼の手が股間へと向かい、

そして、ギンギンに勃起している肉棒を扱き始めた。

パンパンパン!

「あっあっあっ」

彼の先輩の腰が動き、

その動きとシンクロするように三瓶は喘ぎ声を上げる。

そして、恵一の腕もそれに合わせて上下していく、

そのとき、3人の動きは完全に同一となっていた。

やがて、

「おっおぉ、

 出るぞ、

 出る」

三瓶の先輩が声を上げると、

「いっ

 いっいきます!!」

三瓶も叫ぶように声を上げた。

そして恵一も

「うっくぅぅぅぅぅ」

腰を震わせながら

ビュビュ!!

ビュッ!!

その肉棒の先より濃厚な精液を吐き出してしまった。



ハァハァハァ…

射精後、逃げ出すように体育倉庫から飛び出した恵一は、

衣服の乱れもあまりなおすことなく、灯の落ちた試合会場から飛び出していく、

「あんな…

 あんな世界があったのか…」

衝撃の光景を目撃した恵一の心臓は高鳴り、

そして何よりも二人の男が絡み合うその光景に欲情していた。



「先輩?」

「ん?」

「誰かに見られたのですか?」

「あぁ…

 でも、大丈夫だ、

 次の試合、

 お前は勝つ」

「そっそうですか?」

「あぁ、

 もぅアイツはお前を直視することが出来ないからな」

そう告げる男の目が一瞬に光る。



おわり